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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】基板保持部材および基板保持機構
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240229BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240229BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/68 P
H01L21/304 643A
H01L21/30 564C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019027606
(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公開番号】P2020136474
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-11-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 教夫
(72)【発明者】
【氏名】手島 貴志
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-210878(JP,A)
【文献】特開2004-079588(JP,A)
【文献】特開2016-152414(JP,A)
【文献】特開2006-080389(JP,A)
【文献】特開2012-199408(JP,A)
【文献】特開2018-060957(JP,A)
【文献】特開2008-270721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/304
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側に基板が載置され、下側で支持部材により支持され、上下方向に沿った軸線を中心に回転される基板保持部材であって、
前記基板保持部材の下側において前記支持部材の支持面に当接する当接面と、
前記基板保持部材の下側において前記当接面の少なくとも一部を取り囲むように環状に延在し、かつ、前記当接面よりも窪んでいる環状凹部と、
前記環状凹部に沿って環状に延在し、かつ、前記基板保持部材の下側において前記支持部材の支持面と全周にわたって当接するように前記環状凹部に配置されている環状封止部材と、を備え、
前記環状凹部が、前記基板保持部材の中心を0とし、前記基板保持部材の最外周部を1としたとき、0.7以上の位置に設けられ
前記環状凹部の少なくとも一部が、前記環状封止部材の外周側において前記基板保持部材の外周側の空間に連通していることを特徴とする基板保持部材。
【請求項2】
上側に基板が載置され、下側で支持部材により支持され、上下方向に沿った軸線を中心に回転される基板保持部材であって、
前記基板保持部材の下側で前記支持部材の支持面に当接する当接面を有し、
前記基板保持部材の下側において前記支持部材の外側面を外周側から取り囲むように、環状に延在し、かつ、前記当接面よりも突出している環状突出部と、
前記環状突出部の内側面に沿って全周にわたり環状に延在し、かつ、前記支持部材の外側面に全周にわたって当接するように配置されている環状封止部材と、を備えていることを特徴とする基板保持部材。
【請求項3】
上側に基板が載置される基板保持部材と、前記基板保持部材をその下側で支持する支持部材と、を備え、上下方向に沿った軸線を中心に回転される基板保持機構であって、
前記基板保持部材が、その下側において前記支持部材の支持面に当接する当接面を有し、
前記支持部材が、前記支持面に開口部を有し、前記開口部から前記支持部材の外側面まで連続する連通路を有していることを特徴とする基板保持機構。
【請求項4】
請求項記載の基板保持機構において、
前記基板保持部材が、その下側において前記当接面の少なくとも一部を取り囲むように環状に延在し、かつ、前記当接面よりも窪んでいる環状凹部と、
前記環状凹部に沿って環状に延在し、かつ、前記基板保持部材の下側において前記支持部材の支持面と全周にわたって当接するように前記環状凹部に配置されている環状封止部材と、を備え、
前記環状封止部材の外周側に前記連通路の開口部が配置されていることを特徴とする基板保持機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板保持部材、特に回転駆動される真空チャックに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置において、上側でウエハなどの基板を真空吸着保持している基板保持部材(スピンチャック)が高速で回転されている状態で、当該基板の表面にレジスト液が塗布されることにより、薄くて均一なフォトレジスト膜を基板の表面に形成する技術が知られている(例えば、特許文献1~2参照)。基板保持部材の回転によりレジスト液はその周囲に飛散し、外囲器(カップ)により受け止められて回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平04-014813号公報
【文献】特許第2808010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、基板保持部材が支持部材に載置された状態で、当該支持部材とともに回転された場合、レジスト液の一部が基板保持部材の上側から側面を伝わって下側に回り込み、基板保持部材の下側が汚染される場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、レジスト液などの液体による基板保持部材の下側の汚染の抑制を図りうる基板保持部材およびこれを用いた基板保持機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の基板保持部材は、上側に基板が載置され、下側で支持部材により支持され、上下方向に沿った軸線を中心に回転される基板保持部材であって、前記基板保持部材の下側において前記支持部材の支持面に当接する当接面と、前記基板保持部材の下側において前記当接面の少なくとも一部を取り囲むように環状に延在し、かつ、前記当接面よりも窪んでいる環状凹部と、前記環状凹部に沿って環状に延在し、かつ、前記基板保持部材の下側において前記支持部材の支持面と全周にわたって当接するように前記環状凹部に配置されている環状封止部材と、を備え、前記環状凹部が、前記基板保持部材の中心を0とし、前記基板保持部材の最外周部を1としたとき、0.7以上の位置に設けられ、前記環状凹部の少なくとも一部が、前記環状封止部材の外周側において前記基板保持部材の外周側の空間に連通していることを特徴とする基板保持部材。
【0007】
本発明の第1態様の基板保持部材によれば、基板保持部材がその下側において当接面を支持部材の支持面に当接させるように当該支持部材に載置されることにより、基板保持部材の当接面と支持部材の支持面との間隙のうち、環状封止部材の内周側にある部分が、環状封止部材の外周側から遮断される。このため、基板保持部材の下側において環状封止部材よりも内周側の部分に液体が浸入すること、ひいては当該液体により基板保持部材の下側が汚染される可能性が低減される。
【0009】
当該構成の基板保持部材によれば、基板保持部材の下側において、環状封止部材によってそれよりも内周側に侵入することが防止された液体が、当該環状封止部材が収容されている環状凹部のうち基板保持部材の外周側に連通している少なくとも一部を通じて、当該基板保持部材の外周側の空間に排出されうる。このため、基板保持部材の下側において環状封止部材よりも内周側の部分に液体が浸入すること、ひいては当該液体により基板保持部材の下側が汚染される可能性がさらに低減される。
【0010】
本発明の第2態様の基板保持部材は、上側に基板が載置され、下側で支持部材により支持され、上下方向に沿った軸線を中心に回転される基板保持部材であって、前記基板保持部材の下側で前記支持部材の支持面に当接する当接面を有し、前記基板保持部材の下側において前記支持部材の外側面を外周側から取り囲むように、環状に延在し、かつ、前記当接面よりも突出している環状突出部と、前記環状突出部の内側面に沿って全周にわたり環状に延在し、かつ、前記支持部材の外側面に全周にわたって当接するように配置されている環状封止部材と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の第2態様の基板保持部材によれば、基板保持部材がその下側において当接面を支持部材の支持面に当接させるように当該支持部材に載置されることにより、基板保持部材の当接面と支持部材の支持面との間隙の外周縁が、環状突出部により全周にわたって囲まれる。このため、環状突出部の外周側に接触する液体が、環状突出部の内側面を介して、さらには当該間隙を介して、基板保持部材の下側に浸入すること、ひいては当該液体により基板保持部材の下側が汚染される可能性が低減される。
【0013】
当該構成の基板保持部材によれば、基板保持部材がその下側において当接面を支持部材の支持面に当接させるように当該支持部材に載置された際、環状封止部材により、環状突出部の内側面と支持部材の外側面との間隙が全周にわたって封止される。このため、環状突出部の外側面に接触する液体が、環状突出部の内側面を介して、さらには当該間隙を介して、基板保持部材の下側に浸入すること、ひいては当該液体により基板保持部材の下側が汚染される可能性がさらに低減される。
【0014】
本発明の基板保持機構は、上側に基板が載置される基板保持部材と、前記基板保持部材をその下側で支持する支持部材と、を備え、上下方向に沿った軸線を中心に回転される基板保持機構であって、前記基板保持部材が、その下側において前記支持部材の支持面に当接する当接面を有し、前記支持部材が、前記支持面に開口部を有し、前記開口部から前記支持部材の外側面まで連続する連通路を有していることを特徴とする。
【0015】
当該構成の基板保持機構によれば、基板保持部材の当接面と支持部材の支持面との間隙にその外周縁から浸入した液体のうち少なくとも一部が、連通路を介して当該間隙から支持部材の外周側の空間に排出される。このため、基板保持部材の下側において連通路よりも内周側の部分に液体が浸入する可能性が低減される。
【0016】
本発明の基板保持機構において、前記基板保持部材が、その下側において前記当接面の少なくとも一部を取り囲むように環状に延在し、かつ、前記当接面よりも窪んでいる環状凹部と、前記環状凹部に沿って環状に延在し、かつ、前記基板保持部材の下側において前記支持部材の支持面と全周にわたって当接するように前記環状凹部に配置されている環状封止部材と、を備え、前記環状封止部材の外周側に前記連通路の開口部が配置されていることが好ましい。
【0017】
当該構成の基板保持機構によれば、基板保持部材がその下側において当接面を支持部材の支持面に当接させるように当該支持部材に載置されることにより、基板保持部材の当接面と支持部材の支持面との間隙のうち、環状封止部材の内周側にある部分が、環状封止部材の外側から遮断される。また、基板保持部材の当接面と支持部材の支持面との間隙にその外周縁から浸入した液体のうち少なくとも一部が、連通路を介して当該間隙から環状封止部材の外周側にある開口部を通じて支持部材の外周側の空間に排出される。このため、基板保持部材の下側において環状封止部材よりも内周側の部分に液体が浸入すること、ひいては当該液体により基板保持部材の下側が汚染される可能性が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態としての基板保持機構の構成の概略説明図。
図2】本発明の第2実施形態としての基板保持機構の構成の概略説明図。
図3】本発明の第3実施形態としての基板保持機構の構成の概略説明図。
図4】本発明の第4実施形態としての基板保持機構の構成の概略説明図。
図5】本発明の第5実施形態としての基板保持機構の構成の概略説明図。
図6】本発明の第6実施形態としての基板保持機構の構成の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
【0020】
(構成)
図1に示されている本発明の一実施形態としての基板保持機構は、基板保持部材100と支持部材200とを備えている。
【0021】
基板保持部材100は、AlN、Al、SiC、BC等のセラミック焼結体により構成されている。基板保持部材100は、略円板状であり、第1主面101(上面)および第2主面102(下面)、ならびに、第1主面101から第2主面102まで連続する通気路104を有している。本実施形態では、第2主面102は略平坦であり、下側環状凹部121を除く領域が「当接面」に該当する。基板保持部材100は、第1主面101から上側に突出する複数の上側凸部111と、第1主面101の周縁部において複数の上側凸部111を取り囲むように環状に延在し、かつ、第1主面101から上側に突出する上側環状凸部112と、を有している。
【0022】
なお、第2主面102は略平坦な面であるほか、下側に突出する複数の下側凸部や多重の下側環状凸部を有していてもよい。これによれば、第2主面102と支持部材200との接触面積が低減することで、パーティクルの噛み込みのリスクが低減するため、基板保持部材100の平面度を高精度にすることが可能であり、薄くて均一なフォトレジスト膜を形成することができる。
【0023】
上側凸部111は、略円柱状のほか、略矩形柱状、略円錐台状、略角錐台状、大きさが異なる複数の柱が積み重ねられたような段差付き柱状、または、大きさが異なる複数の錘台が積み重ねられたような段差付き錐台など、さまざまな形状に形成される。複数の上側凸部111は、三角格子などの格子の格子点を構成するように、または第1主面101の中心から放射状に広がるように規則的に配置されていてもよく、不規則的に配置されていてもよい。
【0024】
また上側凸部111は、前記のような柱状や、錐台状に限らず、環状の凸部を多重に取り囲むリング(リブ)状の凸部であっても良い。
【0025】
基板保持部材100の上側にウエハ等の基板Wが載置された際、当該基板Wが複数の上側凸部111の上端面および上側環状凸部112の上端面により支持される。複数の上側凸部111の上端面および上側環状凸部112の上端面の高さは同一であってもよく、上側環状凸部112の上端面の高さ位置が、上側凸部111の上端面の高さ位置よりも低くてもよい。その場合、基板Wが複数の上側凸部111の上端面のみにより支持されてもよい。
【0026】
基板保持部材100は、第2主面102の周縁部において環状に延在し、かつ、第2主面102よりも上側に窪んでいる下側環状凹部121と、下側環状凹部121に沿って環状に延在し、当該下側環状凹部121に部分的に収容されている環状封止部材122と、を有している。基板保持部材100の中心軸線を含む断面(例えば図1)における下側環状凹部121の形状は第2主面102に高さ位置が一致する底辺を有する略矩形状である。下側環状凹部121の当該断面形状が、第2主面102に高さ位置が一致する底辺を有する矩形と当該矩形の上辺を直径とする半円とが組み合わせられた形状、第2主面102に一致する下底を有する略台形状、または、第2主面102に高さ位置が一致する底辺を有する三角形状など、環状封止部材122を収容可能な様々な形状であってもよい。下側環状凹部121から環状封止部材122が脱落することを防止する観点から、下側環状凹部121の当該断面形状が、例えば、第2主面102に高さ位置が一致する、環状封止部材122のサイズよりもやや小さい上底を有し、第2主面102側に向って幅が狭くなる略台形状であってもよい。
【0027】
環状封止部材122は、ゴム製のO-リングなど、弾性または可撓性を有する素材により構成されている。環状封止部材122の中心軸線を含む断面における形状は、略円形状のほか、略楕円形状、略多角形状(正八角形、正十二角形など)であってもよい。
【0028】
また、第2主面102における下側環状凹部121の配置は、液体の浸入が抑制されればどの位置に配置しても良いが、基板保持部材100の下側の汚染を抑制する観点において外周部に配置することが好ましい。基板保持部材100の中心部を0とし、最外周部を1としたとき、0.7以上の位置に下側環状凹部121を設けることが好ましい。
【0029】
支持部材200は、AlN、Al、SiC、BC等のセラミック焼結体、または金属により構成されている。支持部材200は、内部空間204を有する略円筒状の筒状部210と、筒状部210の上端部から径方向外側に拡張している、基板保持部材100と略同径の外径を有する穴あき円板状のフランジ部220と、を備えている。筒状部210の上端面およびフランジ部220の上面により、基板保持部材100の当接面と当接する支持面202が構成されている。
【0030】
円筒部210が回転駆動機構(図示略)に連結されており、当該回転駆動機構により支持部材200はその中心軸線Zの回りに回転可能である。
【0031】
(使用態様)
前記構成の基板保持機構によれば、基板保持部材100が支持部材200の上側に載置されることにより、基板保持部材100の第2主面102(当接面)が支持部材200の支持面202に当接し、さらに基板保持部材100の下側環状凹部121に収容されている環状封止部材122が支持部材200の支持面に当接する。また、基板Wが基板保持部材100の上側に載置されることにより、基板Wの裏面が複数の上側凸部111のうち少なくとも一部の上端面および上側環状凸部112の上端面のうち少なくとも一部のそれぞれに対して当接する。
【0032】
この状態で、支持部材200の筒状部210の内部空間204に連結された真空吸引装置(真空ポンプ(図示略))により、当該内部空間204に負圧領域が形成される。これにより、基板保持部材100に対して支持部材200に向かう吸引力が作用し、基板保持部材100が支持部材200に対して固定される。この段階で第2主面102(当接面)が支持部材200の支持面202に対して当接してもよい。
【0033】
さらに、通気路104を通じて、基板保持部材100の第1主面101および基板Wの裏面により挟まれている空間にも負圧領域が形成され、基板Wが基板保持部材100により吸着保持される。この段階で、基板Wの裏面が複数の上側凸部111の全部の上端面および上側環状凸部112の上端面の全部のそれぞれに対して当接し、平坦な状態になる。
【0034】
続いて、回転駆動機構(図示略)により支持部材200が回転駆動され、これに伴って基板保持部材100およびこれに吸着保持されている基板Wも支持部材200の中心軸線Zの回りに回転する。ここで、基板Wの表面にレジスト液が滴下され、基板Wの回転に応じた遠心力によって基板Wの表面に広がる。これにより、薄くて均一なフォトレジスト膜が基板Wの表面に形成されうる。
【0035】
(機能)
本発明の第1実施形態としての基板保持機構によれば、基板保持部材100が支持部材200に載置された状態で、基板保持部材100の第2主面102と支持部材200の支持面202との間隙のうち、環状封止部材122の内周側にある部分が、環状封止部材122の外側から遮断される。このため、基板保持部材100の下側において環状封止部材122よりも内周側の部分にレジスト液などの液体が浸入すること、ひいては当該液体により基板保持部材100の下側が汚染される可能性が低減される。
【0036】
(第2実施形態)
図2に示されている本発明の第2実施形態としての基板保持機構においては、基板保持部材100が、支持部材200のフランジ部220の外径よりも大径である。基板保持部材100は、周縁部において環状に延在し、かつ、第2主面102よりも下側に突出している下側環状突出部140を有している。下側環状突出部140は、フランジ部220の外側面223を全周にわたり取り囲んでおり、その内径はフランジ部220の外径よりもわずかに大径である。
【0037】
基板保持部材100は、下側環状突出部140の内側面の全周にわたって外側に窪んでいる内側環状凹部141と、内側環状凹部141に沿って環状に延在し、かつ、フランジ部220の外側面223に全周にわたり(支持面202よりも下側において)当接するように配置された環状封止部材142と、を備えている。
【0038】
なお、基板保持部材100において内側環状凹部141および環状封止部材142が省略されてもよい。下側環状突出部140が、基板保持部材100と一体的に形成されるのではなく、基板保持部材100とは別個の部材として構成され、基板保持部材100に対して接着またはネジ止めなどにより機械的に固定されてもよい。
【0039】
上記の構成に加えて、基板保持部材100の下側環状凹部121およびこれに収容されている環状封止部材122が省略されていること以外の第2実施形態の基板保持機構の構成は、第1実施形態の基板保持部材の構成と同様であるため、当該同様の構成については同じ符号を用いるとともに説明を省略する。
【0040】
(機能)
本発明の第2実施形態としての基板保持機構によれば、基板保持部材100が支持部材200に載置された状態で、基板保持部材100の第2主面102と支持部材200の支持面202との間隙の外周縁が、下側環状突出部140により全周にわたって囲まれる。すなわち、基板保持部材100の第2主面102および下側環状突出部140の内側面により画定される略円柱状のポケットに支持部材200のフランジ部220の上部(または全部)が嵌入されたような状態になる。さらに、環状封止部材142により、環状突出部140の内側面と支持部材200のフランジ部220の外側面223との間隙が全周にわたって封止される。
【0041】
このため、下側環状突出部140の外側面に接触するレジスト液等の液体が、下側環状突出部140の内側面を介して、さらには当該間隙を介して、基板保持部材100の下側に浸入すること、ひいては当該液体により基板保持部材100の下側が汚染される可能性が低減される。
【0042】
(第3実施形態)
図3に示されている本発明の第3実施形態としての基板保持機構においては、支持部材200のフランジ部220の外径が、基板保持部材100よりも大径である。支持部材200は、フランジ部220の周縁部において環状に延在し、かつ、支持面202よりも上側に突出している上側環状突出部240を有している。上側環状突出部240は、基板保持部材100の外側面を全周にわたり取り囲んでおり、その内径は基板保持部材100の外径よりもわずかに大径である。
【0043】
支持部材200は、基板保持部材100の下側環状凹部121よりも外周側または周縁部に開口部を有し、フランジ部220の外側面223まで連続する連通路224を有している。
【0044】
上記の構成以外の第3実施形態の基板保持機構の構成は、第1実施形態の基板保持部材の構成と同様であるため、当該同様の構成については同じ符号を用いるとともに説明を省略する。なお、基板保持部材100において下側環状凹部121および環状封止部材122が省略されてもよい。
【0045】
(機能)
本発明の第3実施形態としての基板保持機構によれば、基板保持部材100が支持部材200に載置された状態で、支持部材200の支持面202および上側環状突出部240の内側面により画定される略円柱状のポケットに基板保持部材100の下部(または全部)が嵌入されたような状態になる。
【0046】
基板保持部材100の下側環状凹部121よりも外周側または周縁部に開口部を有し、フランジ部220の外側面223まで連続する連通路224が支持部材200に形成されている。このため、レジスト液等の液体が、上側環状突出部240の内側面および基板保持部材100の外側面の間隙を介して、基板保持部材100の第2主面102と支持部材200の支持面202との間隙に侵入した場合、当該液体の少なくとも一部が連通路224を介して支持部材200の外部に排出される。
【0047】
さらに、環状封止部材122により、基板保持部材100の第2主面102と支持部材200の支持面202との間隙が全周にわたって封止される。このため、当該間隙を介して、環状封止部材122の内周側に基板保持部材100の下側に浸入すること、ひいては当該液体により基板保持部材100の下側が汚染される可能性が低減される。
【0048】
(第4実施形態)
図4に示されている本発明の第4実施形態としての基板保持機構においては、基板保持部材100の、下側環状凹部121が基板保持部材100の側面から当該下側環状凹部121まで連続する連通路124を介して基板保持部材100の外周側の空間に連通している。下側環状凹部121の延在方向(基板保持部材100の周方向)に沿って、複数の連通路124が断続的に配置されていてもよい。
【0049】
上記した以外の第4実施形態の基板保持機構の構成は、第1実施形態の基板保持部材の構成と同様であるため、当該同様の構成については同じ符号を用いるとともに説明を省略する。
【0050】
(機能)
本発明の第4実施形態としての基板保持機構によれば、レジスト液等の液体が基板保持部材100の外側面を伝わって、基板保持部材100の第2主面102および支持部材200の支持面202の間隙等を介して下側環状凹部121に浸入した場合、当該液体の少なくとも一部が下側環状凹部121から連通路124を介して基板保持部材100の外部に排出される。
【0051】
さらに、第1実施形態の基板保持機構と同様に、基板保持部材100の第2主面102と支持部材200の支持面202との間隙のうち、環状封止部材122の内周側にある部分が、環状封止部材122の外側から遮断される。このため、当該間隙にその外周縁から液体が入り込んだとしても、基板保持部材100の下側において環状封止部材122よりも内周側の部分にレジスト液などの液体が浸入すること、ひいては当該液体により基板保持部材100の下側が汚染される可能性が低減される。
【0052】
(第5実施形態)
図5に示されている本発明の第5実施形態としての基板保持機構においては、基板保持部材100において、下側環状凹部121が全周にわたって基板保持部材100の外側に連通している。
【0053】
上記した以外の第5実施形態の基板保持機構の構成は、第1実施形態の基板保持部材の構成と同様であるため、当該同様の構成については同じ符号を用いるとともに説明を省略する。
【0054】
(機能)
本発明の第5実施形態としての基板保持機構によれば、レジスト液等の液体が基板保持部材100の外側面を伝わって下側環状凹部121に浸入した場合、当該液体の少なくとも一部が下側環状凹部121から基板保持部材100の外部に排出される。
【0055】
さらに、第1実施形態の基板保持機構と同様に、基板保持部材100の第2主面102と支持部材200の支持面202との間隙のうち、環状封止部材122の内周側にある部分が、環状封止部材122の外側から遮断される。このため、当該間隙にその外周縁から液体が入り込んだとしても、基板保持部材100の下側において環状封止部材122よりも内周側の部分にレジスト液などの液体が浸入すること、ひいては当該液体により基板保持部材100の下側が汚染される可能性が低減される。
【0056】
(第6実施形態)
図6に示されている本発明の第6実施形態としての基板保持機構においては、支持部材200は、基板保持部材100の第2主面102の周縁部に対向するように環状に延在し、かつ、支持面202より下側に窪んでいる上側環状凹部221と、上側環状凹部221に沿って環状に延在し、かつ、基板保持部材100の第2主面102の周縁部に全周にわたり当接するように配置された環状封止部材222と、を備えている。
【0057】
支持部材200は、支持面202の上側環状凹部221よりも外周側または周縁部に開口部を有し、フランジ部220の外側面223まで連続する連通路224を有している。
【0058】
なお、支持部材100において上側環状凹部221および環状封止部材222が省略されてもよい。
【0059】
上記の構成に加えて、基板保持部材100の下側環状凹部121およびこれに収容されている環状封止部材122が省略されていること以外の第6実施形態の基板保持機構の構成は、第3実施形態の基板保持部材(図3参照)の構成と同様であるため、当該同様の構成については同じ符号を用いるとともに説明を省略する。なお、基板保持部材100の下側環状凹部121およびこれに収容されている環状封止部材122がそのまま残されていてもよい。この場合、下側環状凹部121が、上側環状凹部221を囲むように延在していてもよく、上側環状凹部221に囲まれるように延在していてもよい。
【0060】
(機能)
本発明の第6実施形態としての基板保持機構によれば、基板保持部材100が支持部材200に載置された状態で、支持部材200の支持面202および上側環状突出部240の内側面により画定される略円柱状のポケットに基板保持部材100の下部(または全部)が嵌入されたような状態になる。
【0061】
支持面202の上側環状凹部221よりも外周側または周縁部に開口部を有し、フランジ部220の外側面223まで連続する連通路224が支持部材200に形成されている。このため、レジスト液等の液体が、上側環状突出部240の内側面および基板保持部材100の外側面の間隙を介して、基板保持部材100の第2主面102と支持部材200の支持面202との間隙に侵入した場合、当該液体の少なくとも一部が連通路224を介して支持部材200の外部に排出される。
【0062】
さらに、環状封止部材222により、基板保持部材100の第2主面102と支持部材200の支持面202との間隙が全周にわたって封止される。このため、当該間隙を介して、環状封止部材222の内周側に基板保持部材100の下側に浸入すること、ひいては当該液体により基板保持部材100の下側が汚染される可能性が低減される。
【符号の説明】
【0063】
100‥基板保持部材、101‥第1主面、102‥第2主面(当接面)、104‥通気路、111‥上側凸部、112‥上側環状凸部、121‥下側環状凹部(環状凹部)、122‥環状封止部材、140‥下側環状突出部(環状突出部)、141‥内側環状凹部(環状凹部)、142‥環状封止部材、200‥支持部材、202‥支持面、204‥内部空間、210‥円筒部、220‥フランジ部、221‥上側環状凹部、222‥環状封止部材、223‥フランジ部の外側面、224‥連通路、240‥上側環状突出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6