(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】デジタル入力装置及びプログラマブルロジックコントローラ
(51)【国際特許分類】
G05B 19/05 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G05B19/05 L
(21)【出願番号】P 2019037160
(22)【出願日】2019-03-01
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】前野 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】下田 賢二
(72)【発明者】
【氏名】曽我 満
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-069694(JP,A)
【文献】特開2013-090542(JP,A)
【文献】特開2018-156434(JP,A)
【文献】特開2013-206087(JP,A)
【文献】特開2004-185564(JP,A)
【文献】特開2009-236536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置からデータを入力するデータ入力回路と、CPUモジュールに接続されるデータバスに前記データを供給する内部回路と、前記データ入力回路と前記内部回路との間にフォトカプラとを備え、
前記データ入力回路は、外部切り離し回路とテスト信号発生回路とを備え、
前記内部回路は、前記CPUモジュールが前記データの取り込みを行うサイクルタイムであるリフレッシュサイクル中の故障判定のためのテストが可能な時間であるテスト可能時間を前記CPUモジュールから取得し、前記テスト信号発生回路に供給し、前記テスト可能時間中に前記テスト信号発生回路から供給されるテスト信号を使って前記故障判定のためのテストを行い、
前記外部切り離し回路は、前記CPUモジュールから供給されるチップセレクト信号に基づいて、前記外部装置との切り離しと再接続とを制御し、
前記テスト信号発生回路は、前記外部切り離し回路から切り離し出力を受け取ったことをトリガとして、前記テスト信号の前記内部回路への出力を開始し、前記外部切り離し回路から再接続出力を受け取ったことをトリガとして、前記テスト信号の前記内部回路への出力を停止し、
前記テスト可能時間と、前記故障判定のためのテストを行うテスト時間とを比較し、
前記内部回路は、前記テスト時間が前記テスト可能時間より小さい場合、1回の前記リフレッシュサイクルで前記故障判定のためのテストを行い、
前記テスト時間が前記テスト可能時間以上である場合、前記テスト可能時間を1パルスのテスト時間で割ることにより、1回の前記リフレッシュサイクルでテストするパルス数を算出し、
前記故障判定に必要な総テスト回数を1回の前記リフレッシュサイクルでテストするパルス数で割ることにより、前記故障判定のためのテストを行う前記リフレッシュサイクルの数を算出し、
前記テスト信号を算出した前記リフレッシュサイクルの数の複数の前記リフレッシュサイクルに分散させて前記故障判定のためのテストを行うことを特徴とするデジタル入力装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記外部装置からのデータを監視し、トレンドから外れた場合に前記故障判定を行うことを特徴とするデジタル入力装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記外部装置からのデータを監視し、トレンドから外れていなくても、強制的に前記故障判定を行う機能を備えたことを特徴とするデジタル入力装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記故障判定の結果が故障となった場合、デジタル入力装置自体でユーザに通報するか、前記CPUモジュールに通報してプログラマブルロジックコントローラを停止させることを特徴とするデジタル入力装置。
【請求項5】
データアクセスバスが利用可能なベースと
、前記ベースに接続された複数のデジタル入力装置と、
前記ベースに接続され、前記デジタル入力装置へのデータアクセスを、前記データアクセスバスを介して行うCPUモジュールとを備え、
前記デジタル入力装置は、
外部装置からデータを入力するデータ入力回路と、前記データアクセスバスに接続さ
れ前記データを前記データアクセスバスに供給する内部回路と
、前記データ入力回路と前記内部回路との間に配置されたフォトカプラと、外部切り離し回路
と、テスト信号発生回路とを備え、
前記CPUモジュールは前記CPUモジュールが前記データの取り込みを行うサイクルタイムであるリフレッシュサイクル中の故障判定のためのテストが可能な時間であるテスト可能時間とクロック信号を各デジタル入力装置に供給し、
前記デジタル入力装置は、
前記データを前記CPUモジュールに供給しない時間に、前記クロック信号に基づいて前記外部切り離し回路で前記外部装置を電気的に切り離し、
前記テスト信号発生回路は、前記外部切り離し回路から切り離し出力を受け取ったことをトリガとして、テスト信号の前記内部回路への出力を開始し、前記外部切り離し回路から再接続出力を受け取ったことをトリガとして、前記テスト信号の前記内部回路への出力を停止することにより、前記外部装置を切り離した状態で、前記テスト信号を前記内部回路に供給し、前記内部回路は、前記テスト可能時間を前記CPUモジュールから取得し、前記テスト信号発生回路に供給し、前記テスト可能時間中に前記テスト信号発生回路から供給される前記テスト信号を使った前記故障判定のためのテストを行い、
前記テスト信号発生回路は、
前記テスト可能時間と、前記故障判定のためのテストを行うテスト時間とを比較し、
前記内部回路は、前記テスト時間が前記テスト可能時間より小さい場合、1回の前記リフレッシュサイクルで前記故障判定のためのテストを行い、
前記テスト時間が前記テスト可能時間以上である場合、前記テスト可能時間を1パルスのテスト時間で割ることにより、1回の前記リフレッシュサイクルでテストするパルス数を算出し、
前記故障判定に必要な総テスト回数を1回の前記リフレッシュサイクルでテストするパルス数で割ることにより、前記故障判定のためのテストを行う前記リフレッシュサイクルの数を算出し、
前記テスト信号を算出した前記リフレッシュサイクルの数の複数の前記リフレッシュサイクルに分散させて前記故障判定のためのテストを行うことを特徴とするプログラマブルロジックコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブルロジックコントローラ及びデジタル入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プログラマブルロジックコントローラ(以下、PLCとする)の入力モジュールとなるデジタル入力装置は、一般にCRフィルタ回路やフォトカプラより構成されている。このフォトカプラの故障やプリント基板内の配線経路が故障した場合は、外部装置(産業システム)からのデジタル入力信号を正しく入力することが出来ない。
【0003】
デジタル入力装置は、例えば大規模プラントや工作機械等の様々な産業システムに使用されている。一般に産業システムでは、インターロック回路を用いて、ある条件が成立する場合のみシステムが動作するように設計されている。デジタル入力信号が正しく入力できなかった場合、これらの産業システムが誤動作する原因となり、重大な事故が起こる可能性が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、デジタル入力装置の故障を検出するためには、例えばメンテナンス作業員が、PLCの設置されている場所に行き、産業システムの動作を停止させた後、外部装置の配線を外して故障の確認を行う必要がある。
【0006】
また、PLCの設置されている場所が遠隔地である場合や、産業システムの中で手の届かない位置に設置されている場合、デジタル入力装置の故障を確認すること自体が困難である。
【0007】
本発明の目的は、外部装置を停止させることなく、デジタル入力装置の自動故障検出を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に対して本願は複数の解決手段を備えている。その一例は、外部装置からデータを入力するデータ入力回路と、CPUモジュールに接続されるデータバスに前記データを供給する内部回路とを備え、前記データ入力回路は、テスト信号発生回路を備え、前記データ入力回路は、前記データバスに前記外部装置からのデータを供給しない時間に、テスト信号を前記内部回路に供給することを特徴とするデジタル入力装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外部装置を停止させることなく、デジタル入力装置の自動故障検出を可能にすることにある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1のPLCシステムの装置構成を示した図である。
【
図2】実施例1のデジタル入力装置の構成図である。
【
図3】CPUモジュールとデジタル入力装置のデータアクセスのタイミングと故障判定を行うタイミングを示した図である。
【
図4】テストパターン生成処理フローを示した図である
【
図5】外部データDATAのパターンを示した図である。
【
図6】外部データDATAのトレンド判定フローを示した図である。
【
図7】デジタル入力装置の自己診断処理フローを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施例」という)について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、実施例1のPLCのシステム構成を示した図である。実施例1のPLCは、ベース10の上に電源モジュール11、CPUモジュール12、デジタル入力装置群13が接続されている。CPUモジュール12からデジタル入力装置へのデータアクセスは、ベース10のデータアクセスバスを介して行われる。本実施例のデジタル入出力装置群13はデジタル入出力装置がN+1個接続されており、1つのCPUモジュール12に第0デジタル入力装置14から第Nデジタル入力装置16まで接続されている。また、データアクセスは、複数のデジタル入出力装置14~16に対して順番に行われる。
【0013】
図2は、実施例1のデジタル入出力装置の構成図である。電源は省略している。
図2のデジタル入力装置は外部装置21に接続されている状態を示している。デジタル入力装置は、内部回路22、入力回路23、内部回路22と入力回路23との間に配置されたフォトカプラ24とを備えている。
【0014】
内部回路22は論理回路であり、データアクセスバスに接続されている、
入力回路23はRCフィルタなど外部装置21からデータを取り込むための回路である。
【0015】
フォトカプラ24は、外部装置21からの外部データDATAを電気信号から光信号に変えて内部回路22に伝達することで、絶縁型のデジタル入力装置を構成し、電気的外乱の侵入を防いでいる。
【0016】
本実施例の入力回路23は、外部装置21との接続端側から外部切り離し回路25とテスト信号発生回路26とRCフィルタなどの既存入力回路を備えている。
【0017】
外部切り離し回路25は、外部信号により、外部装置21と入力回路23との電気的な接続を切り離し、再接続する制御を行い、その制御状態を出力するものである。
【0018】
テスト信号発生回路26は、外部切り離し回路25から切り離し出力を受け取ったことをトリガとして、テスト信号TSSの内部回路22への出力を開始し、外部切り離し回路25から再接続出力を受け取ったことをトリガとして、または所定回数のテスト信号TSSを出力したことをトリガとして、テスト信号TSSの内部回路22への出力を停止する。
【0019】
内部回路22はテスト信号TSSを入力信号INSとして検出した場合は正常と判断し、テスト信号TSSを入力信号INSとして検出できない場合は故障と判断する。
【0020】
次に、故障判定を行う処理をタイミング図で説明する。
図3は、CPUモジュール12と第0デジタル入出力装置14のデータアクセスのタイミングと故障判定を行うタイミングを示した図である。タイミングを説明する前に、まず、各信号の説明をする。
【0021】
第0チップセレクト信号CS0~第Nチップセレクト信号CSNは、CPUモジュール12からのチップセレクト信号である。
【0022】
アドレス信号ADRは、CPUモジュール12が外部装置21から取得した外部データDATAを取り込むアドレス空間を指定する信号である。
【0023】
リフレッシュサイクルT2は、CPUモジュール12が所望のデジタル入出力装置IOから外部データDATAの取り込みを行うサイクルタイムである。
【0024】
テスト可能時間T1は第0デジタル入出力装置14での故障診断が可能な時間である。
【0025】
リフレッシュサイクルT2中テスト可能時間T1になる前、つまり、チップセレクト信号CS0がLOWとなっている時間T0は、第0デジタル入出力装置14から外部データDATAがCPUモジュール12に供給され、テスト可能時間T1(第0クロック信号IN0がHIGHとなっている間)には、第0デジタル入出力装置14から外部データDATAがCPUモジュール12に供給されない。
【0026】
外部切離し信号DVSは、第0チップセレクト信号がLOW/HIGHのステータスまたは切替をトリガとして、外部切り離し回路23が外部回路21をデジタル入出力装置14から電気的な切り離しと再接続の切替を、テスト信号発生回路26に知らせる信号である。
【0027】
テスト信号TSSは、切り離し信号DVSをトリガとして、テスト信号発生回路26が内部回路22に対する出力するテスト信号である。結局、第0チップセレクト信号がLOWからHIGHになると外部切り離しとテスト信号の出力が行われ、第0チップセレクト信号がHIGHからLOWになると外部切り出し回路による再接続とテスト信号の出力停止が行われる。
【0028】
内部信号INSは、内部回路22が内部入力として検出した信号である。
【0029】
まず、CPUモジュール12は、第0デジタル入出力装置14~第Nデジタル入出力装置16に対して、各チップセレクト信号(第0チップセレクト信号CS0~第Nチップセレクト信号CSN)とアドレス信号ADRとをデータアクセスバスを通じて供給する。
【0030】
第0デジタル入出力装置14の内部回路22は第0クロック信号CS0がLOWになったことをトリガとして、CPUモジュール12との間でデータアクセスを行い、外部データDATAをデータアクセスバスに出力する。
【0031】
同様に、第1デジタル入出力装置IO1は第1クロック信号CS1がLOWの期間に、第Nデジタル入出力装置16は第Nクロック信号CSNがLOWの期間に、CPUモジュール12との間でデータアクセスを行う。
【0032】
第0デジタル入出力装置14の外部切り離し回路25は、第0チップセレクト信号CS0がLOWからHIGHになったことを、配線27を介して供給される内部回路22からの信号で検知し、これをトリガとしてテスト信号発生回路26に外部切り離し信号DVSを送る。
【0033】
テスト信号発生回路26は、外部切り離し回路25からの外部切り離し信号DVSをトリガとして、テスト信号TSSを生成し、内部回路22にテスト信号TSSを出力する。このテスト信号は第0チップセレクト信号がLOWからHIGHになると外部切り出し回路25の出力によりテスト信号を出力し、第0チップセレクト信号がHIGHからLOWになると外部切り出し回路25の出力によりテスト信号の出力を停止する。
【0034】
内部回路22は、内部入力INSとしてテスト信号TSSと同じ回数の信号を検出できなかった場合、故障と判断し、内部入力INSとしてテスト信号TSSと同じ回数の信号を検出した場合、故障なしと判断する。
【0035】
故障であると判定した場合、第0デジタル入出力装置14に備えたLEDなどで故障をユーザやメンテナンス作業員に通報するか、故障をCPUモジュール12に通報する。通報されたCPUモジュール12は、異常信号をインターロック回路に使用して産業システムを安全に停止させる。さらに、CPUモジュールはLEDに異常表示を行うことで、ユーザやメンテナンス作業員に故障を知らせる。
【0036】
なお、テスト信号TSSの入力回数Nは、PLCが設置されている場所のノイズ環境等のPLCの設置環境により任意に設定できるものとする。また、テスト信号TSSの入力回数は、テスト可能時間T1によってその入力できる回数が決まる。また、テスト可能時間T1は、PLCに実装されるデジタル入力装置の個数やCPUモジュール12内のプログラムによって変化するものであり、テスト可能時間内にテスト入力信号をN回入力出来ない場合がある。テスト可能時間内にテスト入力信号をN回入力出来ない場合は、次のリフレッシュサイクルT2にテスト信号を分散させることも可能である。
【0037】
以上のように、本実施例のデジタル入出力装置は、個々のデジタル入力装置だけでなく、PLCシステムやデジタル入力装置に接続された外部機器の運転も停止させなくても、個々のデジタル入力装置の故障判定を行うことが可能となっている。
【実施例2】
【0038】
実施例2は、実施例1では固定パターンでテストしていたテスト信号を設定可能とするものである。
【0039】
図4は、テストパターン生成処理フローを示した図である。この処理は内部回路22とテスト信号発生回路26で行う。
【0040】
まず、内部回路22はテスト可能時間T1をCPUモジュール12から取得し、テスト信号発生回路26に供給する。
【0041】
テスト信号発生回路26は、テスト時間TTSの合計とテスト可能時間T1とを比較する。
【0042】
テスト時間TTSの合計がテスト可能時間T1より短い場合は、1回のリフレッシュサイクルT2のテスト可能時間T1内でテストを行う。そうでない場合は、1回のテスト時間TTSと1パルスのテスト時間TTSPより、1回のテスト時間TTSでテスト可能なパルス数を決定する。具体的には、1回のテスト時間TTSを1パルスのテスト時間TTSPで割ることで算出する。
【0043】
次に、総テスト回数と1回のサイクルでテストするパルス数よりテストを行うサイクル数を決定し、テスト信号発生回路26はテスト信号を生成する。具体的には、総テスト回数を1回のサイクルでテストするパルス数で割ることで、テストを行うサイクル数を決定する。
【0044】
テスト信号発生回路26は、テスト信号TSSを内部回路22に供給するとともに、判定基準として、その結果を供給する。
【0045】
このテスト信号TSSの設定結果は、テスト信号を生成するテスト信号発生回路26と判定を行う内部回路22とで共有できていればよいので、どちらが行ってもよい。
【実施例3】
【0046】
これまでの実施例の故障判定は毎サイクル(常時)行うことを前提としていたが、本実施例では、故障判定は常時行わず、内部回路22が外部データDATAのトレンドを常時監視してトレンドから外れた場合のみ故障判定を行う。
【0047】
図5は、外部データDATAのパターンを示した図である。外部データDATAは、「常時ONパターン」、「常時OFFパターン」、「(一定)周期ONパターン」、「不定期ONパターン」の4つパターンに分類可能である。本実施例では、まず外部データDATAが4つのパターンのどれに分類されるのかを判定する。
【0048】
図6は、外部データDATAのトレンド判定フローを示した図である。判定をスタートし、「ON時間パターン」と「OFF時間パターン」を監視する。ON時間がOFF時間と比較して大きい場合は、「常時ONパターン」と判定する。そうでない場合、同様にON時間とOFF時間を監視し、OFF時間がON時間と比較して大きい場合は、「常時OFFパターン」と判定する。そうでない場合、ONする周期を監視し、ONする周期が一定であれば「周期ONパターン」と判定する。そうでない場合は、「不定期ONパターン」と判定する。ここで、周期ONパターンと不定期ONパターンと判定した場合は、外部データDATAがONとOFFに変化しているため、回路の故障は無いと判断し故障判定は行わない。「常時ONパターン」、「常時OFFパターン」と判定した場合で、トレンドから外れた場合に故障判定を行う。
【0049】
図7は、デジタル入力装置の自己診断処理フローを示した図である。
【0050】
はじめにPLCの電源を起動されると、クロック信号とアドレス信号テストが内部回路22に入力される。それをトリガとして、テスト信号発生回路26はテスト信号を決定する。実施例1のように外部切り離し回路を備える場合、その制御結果をトリガとする。
【0051】
次に、内部回路22は、外部データDATAのパターン判定を行いトレンド監視を行う。
【0052】
外部データDATAが「常時ONパターン」か「常時OFFパターン」の場合、それぞれ入力信号がON、OFFの場合は再びトレンド監視を行う。
【0053】
そうでない場合は、トレンドから外れたと判断して故障判定動作に移行する。なお、トレンドから外れていない場合でも、設定により強制的に故障判定動作に移行することができる機能を付与してもよい。
【0054】
故障判定動作に移行した場合、まず故障判定回数をカウントする。次に、故障判定回数を比較しN回以上の場合は、入力信号のトレンドが変化したと判断して再び入力信号のパターン判定を行う。そうでない場合は、故障判定を実行する。故障判定を実行した結果正常の場合は、再びトレンド監視を行う。そうでない場合は、故障と判断し、デジタル入力装置のLEDに異常表示を行うと共にCPUモジュール12に異常を通知する。通知されたCPUモジュール12は、異常信号をインターロック回路に使用して産業システムを安全に停止させる。さらに、CPUモジュールはLEDに異常表示を行うことで、メンテナンス作業員に故障を知らせる。
【符号の説明】
【0055】
10…ベース
11…電源モジュール
12…CPUモジュール
I3…デジタル入力装置群
14…第0デジタル入力装置
15…第1デジタル入力装置
16…第Nデジタル入力装置
20…デジタル入力装置
21…外部回路
22…内部回路
23…入力回路
24…フォトカプラ
25…外部切り離し回路
26…テスト信号発生回路
CS0…第0チップセレクト信号
CS1…第1チップセレクト信号
CSN…第Nチップセレクト信号
ADR…アドレス信号
DATA…外部データ
DVS…外部切離し信号
INS…内部入力
T0…外部データがCPUモジュールに供給される時間
T1…リフレッシュサイクル内でのテスト可能時間
T2…リフレッシュサイクル
TSS…テスト信号
TTS・・・テスト時間
TTSP・・・1パルスのテスト時間