(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】塗料組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 4/00 20060101AFI20240229BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20240229BHJP
【FI】
C09D4/00
C09D7/61
(21)【出願番号】P 2019097052
(22)【出願日】2019-05-23
【審査請求日】2022-03-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390033628
【氏名又は名称】中国塗料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真也
(72)【発明者】
【氏名】本田 清二
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-506636(JP,A)
【文献】特開2009-242647(JP,A)
【文献】特開2003-253198(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0216838(US,A1)
【文献】特開2015-180717(JP,A)
【文献】特開2011-213023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 4/00
C09D 7/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子と、活性エネルギー線硬化型樹脂とを含む塗料組成物であって、
前記無機粒子の含有量が、前記塗料組成物の固形分全量に対して10.0質量%以上70.0質量%以下であり、
SiO
2の含有量が、無機成分全体の50.0質量%以上であり、
Al
2O
3の含有量が、無機成分全体の30.0質量%以下であり、
Na
2Oの含有量が、無機成分全体の1.0質量%以下であり、
K
2Oの含有量が、無機成分全体の1.0質量%以下であり、
CaOの含有量が、無機成分全体の2.0質量%以上15.0質量%以下である、塗料組成物。
【請求項2】
Al
2O
3の含有量が、無機成分全体の5.0質量%以上である、請求項
1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
MgOの含有量が、無機成分全体の5.0質量以下である、請求項1
または2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
Fe
2O
3の含有量が、無機成分全体の0.10質量%以下である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項5】
TiO
2の含有量が、無機成分全体の0.10質量%以下である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項6】
建材の塗装に用いられる、請求項1~
5のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項7】
建材の少なくとも片面が、請求項1~
5のいずれか一項に記載の塗料組成物から形成された硬化塗膜で被覆されてなる、塗膜付き建材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物、より詳細には、無機粒子を含む塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、室内の壁や床および家具や建具などにおいて、白色の内装部材に対する需要が高まっている。特に、白色の内装部材においては、経年劣化による黄変が目立つ。そのため、長期にわたって白色を維持することが必要とされ、耐黄変性の技術には多くのニーズが存在する。
【0003】
従来、紫外線による経年劣化についてはUV-AやHALS、酸化防止剤などを添加することにより改善することが行われてきた。例えば、黄変を防止するために、樹脂成形品にフェノール系酸化防止剤を添加することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。酸化防止剤などを利用した場合には、一時的な効果は得られるものの、経時で酸化防止効果は失活してしまい、変色を長期的に防止することはできない。
【0004】
一方、近年、光の当たらない暗所においても黄変するケースが確認されている。光の当たらない暗所としては、室内でカーペットや家具などで被覆される床や壁、または家電機器などに接する家具や建具などがある。さらに、クローゼットや備付家具の内側(床、壁)などが挙げられる。暗所における耐黄変性の要望は、近年の住宅事情として、省エネ、耐震性、長期耐久性、気密性、断熱性の向上などの市場ニーズの高まりとともに要望が多くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の暗所黄変については、紫外線以外の要因が考えられる。本発明者らは、室内の住環境で黄変の原因となる要素を検討した結果、暗所黄変の要因の一つとして熱および水分(湿度・湿気)が影響を及ぼすことを知見した。熱に関しては、室内の断熱性の向上と冷暖房機器(エアコン・カーペット・床暖房)の発展により、従来よりも熱に長期に曝露されるケースが増えていると推測される。特に、床暖房などを例に挙げると、長時間運転し続けることが一般的とされ、床材が長時間加温され続ける条件が増えている。水分(湿度・湿気)については、一定の箇所に留まるケースが多くなっていると推察される。たとえば、マンションなどの集合住宅、耐震性や長期耐久性などを考慮した構造物においては、構造部材が吸放湿性能を有する木材ではなく、鉄骨や鉄筋コンクリートを主体とする構造部材が主流となっている。このような構造物においては、水分(湿度・湿気)の逃げ場が無く、換気されにくい場所は高湿度条件で長期に曝露される箇所が発生すると考えられる。さらに頑丈で気密性の高い構造物になればなるほど、一定の箇所に水分(湿度・湿気)が留まる様な住宅構造になり得る恐れがある。
【0007】
本研究では、熱および水分による暗所黄変について鋭意研究を行った結果、樹脂組成物中の無機成分が黄変性に影響することを知見した。無機成分および無機粒子を含有しない樹脂組成物であれば、熱や水分による黄変は少ないが、凹凸のある基材の表面を平滑化すること、樹脂組成物の硬化収縮を低減させること、表面の耐傷性などの機能性を向上させること等を目的として無機成分および無機粒子の使用が必要な場合が多い。
【0008】
また、無機成分や無機粒子を含有する樹脂組成物を利用する場合は、基材の色相に影響を与えない事が必要となり、基材の色相に著しい変色を与えない無機成分や無機粒子を選択する必要がある。
【0009】
本発明は上記の背景技術および新たな技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、暗所での熱および水分による耐黄変性(耐湿熱黄変性)に優れる塗膜を形成可能な塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、無機粒子を含む塗料組成物において、特定の無機成分の含有量を特定の範囲内に調節することにより、上記課題を解決できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0011】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 無機粒子と、活性エネルギー線硬化型樹脂とを含む塗料組成物であって、
前記無機粒子の含有量が、前記塗料組成物の固形分全量に対して10.0質量%以上70.0質量%以下であり、
SiO2の含有量が、無機成分全体の50.0質量%以上であり、
Al2O3の含有量が、無機成分全体の30.0質量%以下であり、
Na2Oの含有量が、無機成分全体の1.0質量%以下であり、
K2Oの含有量が、無機成分全体の1.0質量%以下である、塗料組成物。
[2] CaOの含有量が、無機成分全体の2.0質量%以上15.0質量%以下である、[1]に記載の塗料組成物。
[3] MgOの含有量が、無機成分全体の5.0質量%以下である、[1]または[2]に記載の塗料組成物。
[4] Fe2O3の含有量が、無機成分全体の0.10質量%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の塗料組成物。
[5] TiO2の含有量が、無機成分全体の0.10質量%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の塗料組成物。
[6] Al2O3の含有量が、無機成分全体の5.0質量%以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の塗料組成物。
[7] 建材の塗装に用いられる、[1]~[6]のいずれかに記載の塗料組成物。
[8] 建材の少なくとも片面が、[1]~[6]のいずれかに記載の塗料組成物から形成された硬化塗膜で被覆されてなる、塗膜付き建材。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、暗所での熱および水分による耐黄変性(耐湿熱黄変性)に優れる硬化塗膜を形成可能な塗料組成物を提供することができる。このような塗料組成物から形成された硬化塗膜は、透明性に優れ、色相全体の変化を抑制することもできる。また、このように無機粒子を一定量含有する塗料組成物は、基材へ塗布した際に、基材の凹部への塗料組成物の充填性が良好であるため、平滑性に優れた塗膜付き建材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】塗膜付き基材とブランクの色差を示すグラフである。
【
図2】塗膜付き基材とブランクの保存試験前後の色差を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<塗料組成物>
本発明による塗料組成物は、少なくとも、無機粒子と、活性エネルギー線硬化型樹脂とを含むものである。本発明による塗料組成物は、(メタ)アクリレート系モノマー、光重合開始剤、およびその他の添加剤をさらに含んでもよい。このような塗料組成物から形成された硬化塗膜は、耐湿熱黄変性に優れるものであり、さらに、透明性に優れ、色相全体の変化を抑制することもできる。したがって、本発明による塗料組成物は、建材用として、特に黄変が目立ち易い白色の内装部材に好適に使用できる。以下、本発明による塗料組成物の各成分について詳細に説明する。
【0015】
(無機粒子)
無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム等の成分からなる無機粒子を用いることができる。これらの無機粒子は1種単独で用いてもよいし、複数の無機粒子を混合して用いてもよい。
【0016】
無機粒子の含有量は、塗料組成物の固形分全量に対して10.0質量%以上70.0質量%以下であり、好ましくは15.0質量%以上65.0質量%以下であり、さらに好ましくは20.0質量%以上60.0質量%以下である。なお、本明細書における固形分全量とは、塗料組成物に用いた原料成分の固形分(溶剤以外の成分)の合計質量で示す値である。無機粒子の含有量が上記数値範囲内であれば、塗料組成物から形成された硬化塗膜は、耐湿熱黄変性に優れるものであり、さらに、透明性に優れ、色相全体の変化を抑制することもできる。
【0017】
(無機成分)
上記の無機微粒を含む塗料組成物において、下記の無機成分の含有量が無機成分全体に対して下記の条件を満たすものである。無機成分の含有量が下記の条件を満たすことで塗料組成物から形成された硬化塗膜は、耐湿熱黄変性に優れるものであり、さらに、透明性に優れ、色相全体の変化を抑制することもできる。
SiO2は、50.0質量%以上であることが必須であり、下限値としては好ましくは55.0質量%以上であり、より好ましくは60.0質量%以上であり、さらに好ましくは65.0質量%以上である。
Al2O3は、30.0質量%以下であることが必須であり、下限値としては好ましくは5.0質量%以上であり、より好ましくは10.0質量%以上であり、さらに好ましくは15.0質量%以上であり、上限値としては好ましくは27.0質量%以下であり、好ましくは25.0質量%以下であり、好ましくは22.0質量%以下である。
Na2Oは、1.0質量%以下であることが必須であり、上限値としては好ましくは0.50質量%以下であり、さらに好ましくは0.10質量%以下であり、さらにより好ましくは0.050質量%以下である。
K2Oは、1.0質量%以下であることが必須であり、上限値としては好ましくは0.50質量%以下であり、さらに好ましくは0.10質量%以下であり、さらにより好ましくは0.050質量%以下である。
【0018】
上記の無機微粒子を含む塗料組成物において、下記の無機成分の含有量が無機成分全体に対して下記の条件を満たすものであることがより好ましい。無機成分の含有量がさらに下記の条件を満たすことで塗料組成物から形成された硬化塗膜は、耐湿熱黄変性に優れるものであり、さらに、透明性に優れ、色相全体の変化を抑制することもできる。
Fe2O3は、上限値としては好ましくは0.10質量%以下であり、より好ましくは0.060質量%以下であり、さらに好ましくは0.050質量%以下である。
TiO2は、上限値としては好ましくは0.10質量%以下であり、より好ましくは0.060質量%以下であり、さらに好ましくは0.050質量%以下である。
CaOは、下限値としては好ましくは2.0質量%以上であり、より好ましくは3.0質量%以上であり、さらに好ましくは5.0質量%以上であり、上限値としては好ましくは15.0質量%以下であり、さらに好ましくは12.0質量%以下であり、さらにより好ましくは10.0質量%以下である。
MgOは、上限値としては好ましくは5.0質量%以下であり、さらに好ましくは3.0質量%以下であり、さらにより好ましくは2.0質量%以下であり、下限値としては好ましくは0.1質量%以上である。
なお、無機成分中の組成割合は、市販の蛍光X線分析装置を用いて測定することができる。
【0019】
(活性エネルギー線硬化型樹脂)
活性エネルギー線硬化型樹脂は、少なくとも1つ以上の不飽和二重結合を有するオリゴマーおよびポリマーから選択される少なくとも1種である。活性エネルギー線硬化型樹脂は、エネルギー照射された時に不飽和二重結合が重合することで、硬化塗膜(硬化物)を形成する。前記不飽和二重結合を有する官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、スチリル基等を挙げることができ、活性エネルギー線照射時の反応性の観点から、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0020】
活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられるが、これに限定されるものではない。このような活性エネルギー線硬化型樹脂は、従来公知の方法により製造することができ、これらの中でも、硬化塗膜の密着性、柔軟性、強靭性、屈曲性などの観点から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
【0021】
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリイソシアネートと、水酸基含有(メタ)アクリレートと、必要に応じて水酸基含有(メタ)アクリレート以外のポリオールとを反応させることによって得られ、分子中に官能基としてアクリロイル基(CH2=CHCO-)および/またはメタクリロイル基(CH2=C(CH3)-CO-)と、ウレタン結合(-NH・COO-)とを有する。
【0022】
上記ポリイソシアネートとしては、本発明の効果を損なわない限り炭素数を限定するものではないが、たとえば、全炭素数が4~20、好ましくは6~15の直鎖状または分岐状のイソシアネート基含有炭化水素、イソシアネート基含有環状炭化水素、イソシアネート基含有芳香族炭化水素を用いることができる。
【0023】
具体的には、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート基含有直鎖状炭化水素、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート基含有分岐鎖状炭化水素、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート等のイソシアネート基含有環状炭化水素、p-フェニレンジイソシアネート、3,3'-ジメチルジフェニル-4,4'-ジイソシアネート、1,3-キシレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4、4-ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート基含有芳香族炭化水素等が挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0024】
上記ポリイソシアネートは、イソシアヌレート等に変性されていてもよく、イソシアヌレート変性されたものとしては、たとえば、イソシアヌレート変性トルエンジイソシアネート等が挙げられる。また、上記以外のポリイソシアネートとして、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、イソシアネート基含有アクリレート等の多官能イソシアネートを用いてもよい。
このようなポリイソシアネートは、1種単独でも、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0025】
上記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、水酸基を少なくとも1個以上、好ましくは1~5個有する(メタ)アクリレートを用いることができる。また、このような水酸基含有(メタ)アクリレートは、本発明の効果を損なわない限りその炭素数を限定するものではないが、好ましくは炭素数が2~20の炭化水素部位を有することが望ましい。ここで、炭化水素部位とは、直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、あるいは芳香族炭化水素基を有する有機基をいい、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基は、飽和でも不飽和でもよい。なお、当該炭化水素部位の一部には、エーテル結合(C-O-C結合)が含まれていてもよい。
【0026】
具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。また、上記以外にも、ポリカプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の変性体を用いてもよい。
このような水酸基含有(メタ)アクリレートは、1種単独でも、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0027】
必要に応じて用いられる、上記水酸基含有(メタ)アクリレート以外のポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール等の公知のポリオールを用いることができ、具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、ポリカプロラクトンポリオール、アルキレンジオール等が挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。
このようなポリオールは、1種単独でも、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0028】
活性エネルギー線硬化型樹脂の含有量は、塗料組成物の固形分全量に対して、好ましくは5.0質量%以上90.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以上70.0質量%以下、さらに好ましくは15.0質量%以上50.0質量%以下である。活性エネルギー線硬化型樹脂の含有量が上記数値範囲内であれば、硬化塗膜の密着性等の塗膜物性に優れる傾向がある。
【0029】
本発明の塗料組成物は、活性エネルギー線硬化型樹脂として、2つの不飽和二重結合をもつ2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることが好ましい。2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む塗料組成物は、密着性、柔軟性に優れ、汚染防止性だけでなく、強靭性や屈曲性にも優れる。
【0030】
2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、前記のポリイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレートおよび必要に応じて水酸基含有(メタ)アクリレート以外のポリオールとを反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのうち、2官能のものを適宜選択して利用することができる。市販されているものとしては、具体的には、UV-841、UV-71、UV-72、UV-73、UV-820、UV-822、UV-831(商品名、以上大竹明新化学株式会社製)、ヒタロイド4860-CH37、ヒタロイド4863(商品名、日立化成株式会社製)、EBECRYL210、EBECRYL215、EBECRYL230、EBECRYL244、EBECRYL245、EBECRYL270、EBECRYL284、EBECRYL285、EBECRYL8402、EBECRYL9270、(商品名、以上ダイセル・オルネクス株式会社製)、ニューフロンティアR-1204、ニューフロンティアR-1214ニューフロンティアR-1220、ニューフロンティアGX-8780J、(商品名、以上第一工業製薬株式会社製)紫光UV-2000B、紫光UV-3000B、紫光UV-3200B、紫光UV-3300B、紫光UV-3310B、紫光UV-6630B、紫光UV-6640B(商品名、以上日本合成化学工業株式会社製)、UA-122P、U-200PA、UA-4200(商品名、以上新中村化学工業株式会社製)、アートレジンCMB-002、アートレジンUN-333、アートレジンUN-2600、アートレジンUN-2700、アートレジンUN-6304、アートレジンUN-7600、アートレジンUN-9000PEP、アートレジンUN-9200A、(商品名、以上根上工業株式会社製)、Photomer6010、Photomer6210、Photomer6230、Photomer6891、Photomer6893-20R(商品名、以上IGM Resins社製)、MiramerPU210、MiramerPU2100、MiramerPU2560、MiramerMU3603、MiramerSC2565、(商品名、MiwonSpesialtyChemical社製)、CHTU-C2531、CHTU-C2543、CHTU-C2559、CHTU-C2788、(商品名、Chemton社製)等が挙げられる。このような2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、1種単独でも、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0031】
本発明の塗料組成物は、活性エネルギー線硬化型樹脂として、2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとともに、あるいは2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの代わりに、3つ以上の不飽和二重結合をもつ3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有しても良い。3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む塗料組成物から形成される硬化塗膜は、表面硬度が向上することによって、より汚れが付着しにくくなり、汚染防止性が向上する。
【0032】
3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、前記のポリイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレートおよび必要に応じて水酸基含有(メタ)アクリレート以外のポリオールとを反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのうち、3官能以上のものを適宜選択して利用することができる。市販されているものとしては、具体的には、UV-55(商品名、大竹明新株式会社製)、EBECRYL 4738、EBECRYL 4740、EBECRYL 8254(商品名、ダイセル・オルネクス株式会社製)等が挙げられる。このような3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、1種単独でも、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0033】
本発明では、活性エネルギー線硬化型樹脂として、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有することが好ましく、2つ以上の不飽和二重結合をもつ多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有することがより好ましく、特に、2つの不飽和二重結合をもつ2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有することが好ましい。
【0034】
((メタ)アクリレート系モノマー)
本発明の塗料組成物は、(メタ)アクリレート系モノマーをさらに含んでもよい。(メタ)アクリレート系モノマーは、少なくとも1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーであり、本発明の塗料組成物の粘度を調整する反応性希釈剤としての役割を有し、樹脂組成物に対して活性エネルギー線照射した際、活性エネルギー線硬化型樹脂とともに硬化塗膜を形成することができる。
【0035】
(メタ)アクリレート系モノマーとしては、たとえば、4-アクリロイルモルホリン、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオールエトキシレートジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエトキシレートジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、このような(メタ)アクリレート系モノマーは、たとえばε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールの(メタ)アクリレート等のラクトン変性体であってもよい。このような(メタ)アクリレート系モノマーは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0036】
活性エネルギー線硬化型樹脂と(メタ)アクリレート系モノマーの配合比は、通常は100:0~10:90、好ましくは80:20~20:80、より好ましくは70:30~30:70にあることが望ましい。
【0037】
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、特に限定されず、従来公知の活性エネルギー線硬化用の光重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系重合開始剤、フォスフィンオキサイド系重合開始剤、ベンゾイルホルメート系重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤、オキシムエステル系重合開始剤、ヒドロキシベンゾイル系重合開始剤、ベンゾフェノン系重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系重合開始剤等が挙げられる。
【0038】
アセトフェノン系重合開始剤としては、アセトフェノン、3-メチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル-2-モルホリノプロパン-1-オン、および2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等が挙げられる。
フォスフィンオキサイド系重合開始剤としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドおよび2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
ベンゾイルホルメート系重合開始剤としては、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。
チオキサントン系重合開始剤としては、イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
オキシムエステル系重合開始剤としては、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]およびエタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等が挙げられる。
ヒドロキシベンゾイル系重合開始剤としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびベンゾインアルキルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、および4,4′-ジアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
α-アミノアルキルフェノン系重合開始剤としては、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロ-ブタノン-1および2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等が挙げられる。
【0039】
光重合開始剤の含有量は、硬化性および耐黄変性の観点から、塗料組成物の固形分全量に対して、好ましくは0.10質量%以上15.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以上10.0質量%以下であり、さらに好ましくは2.0質量%以上8.0質量%以下である。
【0040】
(その他の成分)
本発明による塗料組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、上記成分の他にもその他の成分を含んでもよい。その他の成分として、防汚剤、帯電防止剤、重合禁止剤、非反応性希釈剤、つや消し剤、消泡剤、分散剤、沈降防止剤、レベリング剤、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、密着性向上剤、光増感剤、抗菌剤、防カビ剤、抗ウイルス剤、シランカップリング剤、可塑剤等を必要に応じて配合することができる。
【0041】
<塗料組成物の調製方法>
本発明による塗料組成物は、上記の各成分を、従来公知の混合機、分散機、撹拌機等の装置を用いて、混合・撹拌することにより得られる。このような装置としては、たとえば混合・分散ミル、ホモディスパー、モルタルミキサー、ロール、ペイントシェーカー、ホモジナイザー等が挙げられる。
【0042】
塗料組成物の25℃における粘度は、通常、10~20,000mPa・sであり、好ましくは100~10,000mPa・sである。粘度の測定はB型粘度計を用いることができる。
【0043】
本発明においては、塗料組成物を塗布に適した粘度に調整する等、必要に応じて溶剤で希釈することができる。溶剤としては、塗料組成物中の樹脂分を溶解するものであれば特に限定されない。具体的には、芳香族炭化水素(例えば、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼン)、エステル又はエーテルエステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルおよびメトキシブチルアセテート)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールのモノメチルエーテルおよびジエチレングリコールのモノエチルエーテル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ-n-ブチルケトンおよびシクロヘキサノン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-又はi-プロパノール、n-、i-、sec-又はt-ブタノール、2-エチルヘキシルアルコールおよびベンジルアルコール)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、水およびこれらの2種以上の混合溶剤等が挙げられる。
【0044】
(塗膜性能)
本発明による塗料組成物から形成された硬化塗膜は、透明性が高く、基材の色相に与える影響が小さい。例えば、本発明による塗料組成物を用いて、基材上に厚さ50μmの硬化塗膜を形成した場合、硬化塗膜による色差の影響(塗膜付き基材と塗膜無し基材の色差)は、Lab表色系においてΔL*:±1.0以内、Δa*:±0.5以内、Δb*:±1.0以内、ΔE*:±1.1以内であることが好ましい。
【0045】
本発明による塗料組成物から形成された硬化塗膜は、耐湿熱黄変性に優れる。例えば、本発明による塗料組成物を用いて、基材上に厚さ50μmの硬化塗膜を形成した場合、塗膜付き基材と塗膜無し基材を温度85℃、湿度85%の条件で24時間保存した後の硬化塗膜による色差の影響(塗膜付き基材と塗膜無し基材の色差)は、Lab表色系においてΔb*:±2.5以内、ΔE*:±3.0以内であることが好ましい。
【0046】
<塗膜付き建材>
本発明による塗膜付き建材は、建材の少なくとも片面が、上記の塗料組成物から形成された硬化塗膜で被覆されてなるものである。本発明においては、黄変が目立ち易い白色の建材に用いることで、本発明の効果をより発揮することができる。
また、基材への塗布した際の無機粒子の塗膜への充填性が良好であるため、平滑性に優れた塗膜付き建材を提供することができる。
【0047】
建材としては、建築物の構造や仕上げに使用される部材をいう。例えば、窓、壁、天井、床、屋根、建具、壁紙などが挙げられる。特に、壁材や床材等が好ましい。
この他に適用部材としては、意匠部品、容器等、OA機器、通信機器部品、オフィス家具や住設機器の工業部品が利用可能である。
更には、上記部材が、プラスチック基材を材料とする場合には、特には限定されないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。これらで透明な基材を用いれば、ビルや家屋等の建築物の窓、道路隔壁などに用いることができる。
【0048】
建材の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、0.1~15mmが好ましく、1~7mmがより好ましい。
【0049】
<塗膜付き建材の製造方法>
本発明による塗膜付き建材は、建材の少なくとも片面に、上記の塗料組成物を塗布する工程(塗布工程)と、該塗布面に活性エネルギー線を照射して、該組成物を硬化させる工程(硬化工程)とを含むものである。
【0050】
(塗布工程)
塗布工程は、建材の少なくとも片面に、従来公知の方法により、上記の塗料組成物を塗布する工程である。塗布には、例えば、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター(ナチュラルロールコーターおよびリバースロールコーター等)、エアナイフコーター、スピンコーターおよびブレードコーター等の塗布機が使用できる。これらの中でも、作業性および生産性の観点からロールコーターを用いた塗布方法が好ましい。
【0051】
塗布膜厚は、硬化乾燥後の膜厚として、0.5~150μmであることが好ましい。乾燥性、硬化性の観点から更に好ましい上限は100μmであり、耐摩耗性、耐溶剤性、耐汚染性の観点から更に好ましい下限は5μmである。
【0052】
塗料組成物を溶剤で希釈して使用する場合は、塗布後に乾燥することが好ましい。乾燥方法としては、例えば熱風乾燥(ドライヤー等)が挙げられる。乾燥温度は、好ましくは10~200℃、塗膜の平滑性および外観の観点から更に好ましい上限は150℃、乾燥速度の観点から更に好ましい下限は30℃である。
【0053】
(硬化工程)
硬化工程は、建材の塗布面に活性エネルギー線を照射して、塗布された塗料組成物を硬化させて、硬化塗膜を形成する工程である。活性エネルギー線としては、紫外線(遠紫外線、近紫外線等)、赤外線等の光線に加えて、電子線等が挙げられ、中でも、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等の面から、紫外線が好ましい。
本発明による塗料組成物を、上記紫外線等の光線により硬化させる場合は、光重合開始剤を使用する。一方、上記電子線等により硬化させる場合は、通常、光重合開始剤を使用しなくてもよい。
【0054】
紫外線で硬化させる方法としては、200~500nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、UV-LED等を用いて、紫外線を照射する方法等が挙げられる。紫外線の照射量は、塗料組成物の硬化性および硬化物の可撓性の観点から、好ましくは100~3,000mJ/cm2であり、より好ましくは200~2,000mJ/cm2である。
【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
<塗料組成物の調製>
まず、塗料組成物の調製のために、以下の原材料を準備した。
・ウレタンアクリレートオリゴマー:脂肪族2官能ウレタンアクリレート、根上工業株式会社製、商品名:アートレジンCMB-002
・アクリレートモノマー1:4-アクリロイルモルホリン、KJケミカルズ株式会社製、商品名:ACMO
・アクリレートモノマー2:ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、日立化成株式会社製、商品名:FA-512AS(DCPA(EO)付加物)
・光重合開始剤1:IGM Resin社製、商品名:Omnirad 184
・光重合開始剤2:IGM Resin社製、商品名:Omnirad TPO
・分散剤:ビックケミー株式会社製、商品名:Disperbyk-2164
【0057】
また、無機粒子として、以下の原材料を準備した。
・複合材料1:SIBELCO社製、商品名:Portaryte G1500
・複合材料2:SIBELCO社製、商品名:Portaryte G2000
・不定形溶融シリカ:キンセイマテック株式会社製、商品名:F-HD05
・球状溶融シリカ:SIBELCO社製、商品名:Megasil SS-0090
・ネフェリンサイナイト1(霞長石):SIBELCO社製、商品名:MINEX 10
・ネフェリンサイナイト2(霞長石):FinetonIndustrialMineralsLimited社製、商品名:FinEx 10
・ソーダ長石1:SIBELCO社製、商品名:Unispar PG-F5
・ソーダ長石2:SIBELCO社製、商品名:Unispar PG-F7
・カリ長石:SIBELCO社製、商品名:Unispar PG-K5
【0058】
[実施例1~6、比較例1~5]
表1に記載の配合に従って、脂肪族2官能ウレタンアクリレート化合物、単官能アクリレートモノマー1、単官能アクリレートモノマー2、光重合開始剤1、光重合開始剤2、分散剤、および無機粒子の各原材料を、ホモディスパーを用いて混合して、塗料組成物を調製した。また、無機成分中の組成割合を、蛍光X線分析装置(株式会社島津製作所社製:LABCENTER XRF-1700)を用いて測定し、表2に示した。なお、本蛍光X線分析装置による測定の定量限界は0.1質量%であり、組成が確認されるものについては、定量限界値以下である「0.1>」と表記した。
【0059】
<塗膜付き基材の製造>
上記の実施例1~6および比較例1~5で調製した塗料組成物をポリカーボネート樹脂プレート(住友ベースライト株式会社製)上にドクターブレードで1回塗布した。続いて、紫外線(365nm照射量:200mJ/cm2,200mW/cm2)を照射することで塗膜を硬化させて、厚さ50μmの硬化塗膜を形成し、塗膜付き基材を得た。
【0060】
<性能評価>
(透明性・色差試験)
まず、ポリカーボネート樹脂プレート(住友ベースライト株式会社製)について、塗料組成物を塗布せずに上記の<塗膜付き基材の製造>と同様に紫外線照射を行ったものをブランクとした。
次に、ブランクと上記で製造した各塗膜付き基材について、色彩色差計(コニカミノルタ社製、CR-410、データプロセッサーDP-400)を用いて、色差(Lab表色系におけるΔL
*値、Δa
*値、Δb
*値、およびΔE
*値(=[(ΔL
*)
2+(Δa
*)
2+(Δb
*)
2]
1/2)を測定した。結果を表3および
図1に示した。ブランクと各塗膜付き基材の色差が、ΔL
*:±1.0以内、Δa
*:±0.5以内、Δb
*:±1.0以内、ΔE
*:±1.1以内である場合に良好と判断した。
【0061】
(耐湿熱黄変性試験)
上記で製造したブランクと上記で製造した塗膜付き基材を、温度85℃、湿度85%の条件に設定した恒温恒湿器(エスペック株式会社製)に投入し、24時間の保存試験を行った。続いて、ブランクと塗膜付き基材を取りだし、粗熱を放熱させた。その後、ブランクと各塗膜付き基材について、上記と同様にして保存試験前後の色差を測定した。結果を表3および
図2に示した。黄変性の確認のために、Δb
*およびΔE
*にて評価を行った。ブランクと各塗膜付き基材の保存試験後の色差がΔb
*:±2.5以内、ΔE
*:±3.0以内である場合に良好と判断した。
【0062】
(充填性評価)
<塗膜付き基材の製造>
表面化粧単板がナラの基材を用意し、塗料組成物(実施例1~6、比較例1~5)をナチュラルリバースロールとナチュラルロールを塗付し、塗付量が4.0~5.0g/尺2になる様に塗装した。その後、紫外線(365nm照射量:100mJ/cm2、100mW/cm2)を照射し塗膜を硬化させ、塗膜付き基材を得た。
【0063】
<充填性の評価>
充填性は目視により、ナラの基材の導管部分に塗料組成物が充填されているか、平滑性が得られているかを評価した。導管部分に十分に塗料組成物が充填され、導管部分の凹凸が無くなり、平滑になっている状態を良好とした。
評価は下記の4段階評価とし、△以上を合格とした。結果を表3に示した。
◎:特に平滑で良好であった。
〇:平滑で良好であった。
△:若干の凹凸はあるが、目立たなかった。
×:充填が不十分で平滑ではなかった。
【0064】
【0065】
【0066】