(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】回転式伸展及びロックシステムを有する伸縮ブーム
(51)【国際特許分類】
B66C 23/693 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B66C23/693 J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019103477
(22)【出願日】2019-06-03
【審査請求日】2022-06-02
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510051082
【氏名又は名称】マニタウォック クレイン カンパニーズ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MANITOWOC CRANE COMPANIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】スクーンメイカー, スティーヴン ジェイ.
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202004017598(DE,U1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0305727(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101537979(CN,A)
【文献】特開2002-293494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 19/00-23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部及び可動部を有するブームアクチュエータと、
前記可動部へ動作可能に接続されていて前記可動部に対して回転できる回転式アクチュエータと、
前記回転式アクチュエータへ接続されていて前記回転式アクチュエータと共に回転するように構成されている連結ピンと、
ベース区分及び前記ベース区分に対して長手方向ブーム軸に沿って伸縮運動するように構成されている1つ又はそれ以上の伸縮区分を含む複数のブーム区
分と、
少なくとも1つの伸縮区分へ取り付けられている回転式伸展及びロックシステムであって、前記ブームアクチュエータへ選択的に連結されるように及び最も近い外方に隣接するブーム区分と選択的にロックされるように構成されている回転式伸展及びロックシステムと、
を備え
、
前記回転式伸展及びロックシステムは、
前記伸縮区分上に回転可能に取り付けられている連結リングと、
前記連結リングに動作可能に取り付けられ、前記回転式伸展及びロックシステムを前記最も近い外方に隣接するブーム区分にロックする第1の位置と、前記回転式伸展及びロックシステムを前記最も近い外方に隣接するブーム区分からロック解除する第2の位置との間で移動可能とされた区分ピンと、
を有し、
前記連結ピンは前記回転式アクチュエータの第1の方向への回転に応えて前記連結リングに係合して、前記ブームアクチュエータを前記伸縮区分に連結し、
前記連結リングは、前記回転式アクチュエータ及び前記連結ピンの前記第1の方向への更なる回転に応えて前記第1の方向に回転させられて、前記区分ピンを前記第1の位置から前記第2の位置に動かすようにされた、伸縮ブーム。
【請求項2】
前記回転式伸展及びロックシステムは、
前記区分ピンに選択的に係合するように構成されているラッチ
をさらに備えている、請求項1に記載の伸縮ブーム。
【請求項3】
前記連結リングを既定方向に回転するよう付勢するために前記伸縮区分と前記連結リングの間に動作可能に連結されている連結リングばねと、
前記区分ピンを
前記第1の位置に向けて動くよう付勢するために前記伸縮区分と前記区分ピンの間に動作可能に接続されている区分ピンばねと、
前記ラッチを前記区分ピンに向かう方向に付勢するために前記伸縮区分と前記ラッチの間に動作可能に連結されていているラッチばねと、
を更に備えている請求項2に記載の伸縮ブーム。
【請求項4】
前記ラッチは前記区分ピンを前記第2の位置に保持するために前記区分ピンに選択的に係合する、請求項
2に記載の伸縮ブーム。
【請求項5】
前記ラッチは、ラッチばねからのばね力を受けて、動かされて前記区分ピンとの係合する、請求項
4に記載の伸縮ブーム。
【請求項6】
前記連結リングは当該連結リングの前記第1の方向への更なる回転に応えて前記区分ピンから係合解除される、請求項
4に記載の伸縮ブーム。
【請求項7】
前記連結リングは更にラグを備えており、前記ラグは、前記連結リングの前記第1の方向への更なる回転に応えて、前記ラッチを動かして前記区分ピンとの係合から外す、請求項
6に記載の伸縮ブーム。
【請求項8】
前記区分ピンは区分ピンばねのばね力を受けて前記第2の位置から前記第1の位置へ動く、請求項
7に記載の伸縮ブーム。
【請求項9】
前記連結リングは第2の方向で回転して始動位置となる、請求項
8に記載の伸縮ブーム。
【請求項10】
前記区分ピンはばね押しアームを備えており、前記連結リングは前記第2の方向への回転中に前記ばね押しアームを偏向させる、請求項
9に記載の伸縮ブーム。
【請求項11】
前記連結リングは連結リングばねからのばね力を受けて前記第2の方向に回転する、請求項
9に記載の伸縮ブーム。
【請求項12】
前記連結ピンは、前記回転式アクチュエータの前記連結リングに対する前記第2の方向への回転に応えて前記連結リングを係合解除する、請求項
9に記載の伸縮ブーム。
【請求項13】
前記連結リングは、前記連結ピンを前記連結リングに係合させる連結スロットを備えている、請求項
1に記載の伸縮ブーム。
【請求項14】
前記区分ピンは、前記回転式アクチュエータに選択的に係合するように構成されているインターロックピンを更に備えている、請求項
1に記載の伸縮ブーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は概括的には回転式伸展及びロックシステムを有する伸縮ブームに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]クレーンの既知の伸縮ブームは、ベース区分と、ブームを伸ばしたり縮めたりするために互いに対して動くように構成されている複数の入れ子になった伸縮区分と、を含んでいる。伸縮区分の運動即ち伸び縮みは、ロッドがベース区分内に固定されていてシリンダがロッドに対して伸縮式に動けるようになっている伸縮式ロッド-シリンダ組立体を有する油圧式アクチュエータによって制御されている。シリンダがロッドに対して縮められた状態では、ロッド-シリンダ組立体はベース区分の長さと実質的に同じ最少長さを有する。シリンダがロッドに対して伸ばされた状態では、ロッド-シリンダ組立体は、ベース区分と伸ばされた伸縮区分との組み合わされた長さと実質的に同じである最大長さを有する。
【0003】
[0003]既知の油圧式アクチュエータは、本願と同一の出願人による米国特許出願公開第2017/0305727号に記載の型式の回転ロック機構を含んでいる。回転ロック機構はモーターとモーターによって駆動される回転要素を含んでいる。回転要素は、回転して伸縮区分との係合に入ったり係合から出たりするように構成されているシリンダ対区分ピンを含んでいる。シリンダ対区分ピンが伸縮区分と係合された状態では、油圧式アクチュエータの軸方向の動きがシリンダ対区分ピンを通じて伸縮区分へ伝えられ、その結果、伸縮区分は油圧式アクチュエータのシリンダと共に動く。シリンダ対区分ピンが伸縮区分から係合解除された状態では、シリンダは伸縮区分に対して軸方向に動くことができる。
【0004】
[0004]既知の油圧式アクチュエータは、更に、伸縮区分を外方に隣接する伸縮区分へロックしたり外方に隣接する伸縮区分からロック解除したりするために伸縮区分側の区分ロックを動作させるように構成されているブーム区分接続ピンアクチュエータを含んでいる。区分ロックが掛かると伸縮区分は外方に隣接する伸縮区分に対する伸縮運動に抗って固定され、区分ロックが解除されると外方に隣接する伸縮区分に対して動けるようになる。
【0005】
[0005]このように、既知の油圧式アクチュエータは、シリンダ対区分ピンと区分ロックを動作させるのに別々のアクチュエータ、つまりモーターとブーム区分接続ピンアクチュエータを含んでいる。伸縮ブームは、モーターとブーム区分接続ピンアクチュエータとロッド-シリンダ組立体のシリンダの協調された動作を通じて伸ばされたり縮められたりすることができる。伸縮区分は、例えば、モーターを動作させてシリンダ対区分ピンを回転させ伸縮区分との係合に入れる、ブーム区分接続ピンアクチュエータを動作させて伸縮区分と外方に隣接する伸縮区分の間の区分ロックを解除する、シリンダを伸ばし又は縮めて伸縮区分を動かす、ブーム区分接続ピンアクチュエータを動作させて伸縮区分の外方に隣接する伸縮区分への区分ロックを掛ける、モーターを動作させてシリンダ対区分ピンを伸縮区分から係合解除する、及びシリンダをロッド及び伸縮区分に対して別の伸縮区分がシリンダ対区分ピンによって係合される位置へ動かす、ことによって伸縮式に動かされることができる。このプロセスが追加の伸縮区分を伸ばしたり縮めたりするのに繰り返されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2017/0305727号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0006]単一の回転式アクチュエータがシリンダ-区分ピンの連結及び連結解除運動及び区分ロックのロック及びロック解除運動を駆動する伸縮ブームを提供するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0007]1つの態様によれば、伸縮ブームが、固定部及び可動部を有するブームアクチュエータと、可動部へ動作可能に接続されていて可動部に対して回転するように構成されている回転式アクチュエータと、回転式アクチュエータへ接続されていて回転式アクチュエータと共に回転するように構成されている連結ピンと、ベース区分及びベース区分に対して長手方向ブーム軸に沿って伸縮運動するように構成されている1つ又はそれ以上の伸縮区分を含む複数のブーム区分を有している伸縮ブームと、を含んでいる。回転式伸展及びロックシステムが、各伸縮区分上に取り付けられていて、ブームアクチュエータへ選択的に連結されるように及び最も近い外方に隣接するブーム区分と選択的にロックされるように構成されている。
【0009】
[0008]回転式伸展及びロックシステムは、伸縮区分上に回転可能に取り付けられている連結リングと、連結リングへ動作可能に接続されている区分ピンと、区分ピンに選択的に係合するように構成されているラッチと、を含んでいる。連結リングを既定方向に回転するよう付勢するために伸縮区分と連結リングの間に連結リングばねが動作可能に連結されていてもよい。区分ピンを第1の位置に向けて動くよう付勢するために伸縮区分と区分ピンの間に区分ピンばねが動作可能に接続され、またラッチを区分ピンに向かう方向に付勢するために伸縮区分とラッチの間にラッチばねが動作可能に連結されていてもよい。連結ピンは回転式アクチュエータの第1の方向への回転に応えて連結リングに係合することができる。
【0010】
[0009]連結リングは、回転式アクチュエータ及び連結ピンの第1の方向への更なる回転に応えて、第1の方向に回転させられて区分ピンを第1の位置から第2の位置へ動かす。ラッチは、区分ピンを第2の位置に保持するために区分ピンに選択的に係合することができる。ラッチは、ラッチばねからのばね力を受けて、動かされて区分ピンとの係合に入ることができる。連結リングは、連結リングの第1の方向への更なる回転に応えて、区分ピンから係合解除されることができる。連結リングは、更に、ラグを含み、ラグが連結リングの第1の方向への更なる回転に応えてラッチを動かして区分ピンとの係合から抜け出させるこができる。区分ピンは、区分ピンばねのばね力を受けて第2の位置から第1の位置へ動くことができる。
【0011】
[0010]連結リングは第2の方向に始動位置へ回転することができる。区分ピンはばね押しアームを含み、連結リングは第2の方向への回転中にばね押しアームを偏向させることができる。連結リングは、連結リングばねからのばね力を受けて第2の方向に回転することができる。連結ピンは回転式アクチュエータの連結リングに対する第2の方向への回転に応えて連結リングを係合解除することができる。
【0012】
[0011]連結リングは、連結ピンを連結リングに係合させる連結スロットを含んでいてもよい。区分ピンは、回転式アクチュエータに選択的に係合するように構成されているインターロックピンを含んでいてもよい。回転式アクチュエータは、連結ピンを回転させて連結リングとの係合に入れることによって連結動作を実施し、連結リングを回転させて区分ピンを第2の位置へ動かすことによって区分ロック解除動作を実施する。
【0013】
[0012]別の態様によれば、伸縮ブーム区分が、端面を有する細長い区分本体と、回転式伸展及びロックシステムと、を含んでいる。回転式伸展及びロックシステムは、端面上に回転可能に取り付けられていて連結ピンを受け入れるように構成されている連結リングと、連結リングへ動作可能に接続されている区分ピンと、端面上に取り付けられていて区分ピンに選択的に係合するように構成されているラッチと、を含んでいる。連結リングは端面に対して第1の方向に回転するように構成されている。区分ピンは、連結リングの第1の方向への回転に応えて端面に対して第1の位置から第2の位置へ動くように構成されており、ラッチは区分ピンを第2の位置に保持するために区分ピンに係合するように構成されている。
【0014】
[0013]ラッチは、連結リングの第1の方向への更なる回転に応えて、動かされて区分ピンとの係合から抜け出ることができる。
【0015】
[0014]本発明のこれら及び他の特徴並びに利点は、下記の詳細な説明並びに付随の特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】[0015]或る実施形態による伸縮ブームを有するクレーンの側面図である。
【
図2】[0016]
図1の伸縮ブームの遠位端の拡大側面図である。
【
図3】[0017]或る実施形態によるブームアクチュエータの斜視図である。
【
図4】[0018]
図3に示されているブームアクチュエータの可動部の拡大図である。
【
図5】[0019]或る実施形態による伸縮区分と回転式伸展及びロックシステムの斜視図である。
【
図6】[0020]
図5の回転式伸展及びロックシステムの連結リング、区分ピン、及びラッチを示す拡大図である。
【
図7】[0021]或る実施形態による、
図6の連結リング、区分ピン、及びラッチを有する伸縮ブームの、伸縮区分及び最も近い外方に隣接するブーム区分の一部分を示す斜視端面図である。
【
図8】[0022]或る実施形態による、連結リングが初期回転位置にあり連結ピンが連結リングから係合解除されているときの
図7の伸縮ブームを示している。
【
図9】[0023]或る実施形態による、連結リングが第1の方向に初期回転位置から回転されたときの
図8の伸縮ブームの一部分を示している。
【
図10】[0024]或る実施形態による、連結リングが第1の方向に回転されたときの
図9の連結リング、区分ピン、及びラッチを示す拡大図である。
【
図11】[0025]或る実施形態による、連結リングが第1の方向に回転されたときの
図10の連結リング、区分ピン、及びラッチを有する伸縮ブームを示している。
【
図12】[0026]互いに対して位置決めされた
図11の連結リングと区分ピンを示す斜視図である。
【
図13】[0027]或る実施形態による、連結リングが第1の方向に更に回転されたときの
図11の連結リング、区分ピン、及びラッチを示している。
【
図14】[0028]或る実施形態による、連結リングが第1の方向に更に回転されたときの
図13の連結リング、区分ピン、及びラッチを示している。
【
図15】[0029]或る実施形態による、連結リングが第1の方向に更に回転されたときの
図14の連結リング、区分ピン、及びラッチを示している。
【
図16】[0030]或る実施形態による、連結リングが第2の方向に回転されたときの
図15の連結リング、区分ピン、及びラッチを示している。
【
図17】[0031]或る実施形態による、連結リングが第2の方向に更に回転されたときの
図16の連結リング、区分ピン、及びラッチを示している。
【
図18】[0032]或る実施形態による、区分ピンが隣接する伸縮区分に係合されたときの伸縮ブームの一部分を示す拡大斜視図である。
【
図19】[0033]或る実施形態による、伸縮区分に対して位置決めされたブームアクチュエータ及び回転式アクチュエータの諸部分を示す拡大図である。
【
図20】[0034]或る実施形態による、連結リングが第1の方向に初期位置から回転されたときの伸縮区分に対して位置決めされた
図19のブームアクチュエータ及び回転式アクチュエータの別の図である。
【
図21】[0035]実施形態による、
図7の伸縮ブームの一部分を示す別の斜視端面図である。
【
図22】[0036]別の実施形態による、区分ピンを有する伸縮ブームの端面図である。
【
図24】[0038]
図22の伸縮ブームの別の斜視図である。
【
図25】[0039]或る実施形態による、連結ピンが連結リングから係合解除されたときの
図22の伸縮ブームの別の端面図である。
【
図26】[0040]
図4の可動部及び回転式アクチュエータの別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0041]本装置は様々な形態での具現化の余地があるものの、本開示は装置の一範例と見なされるべきであって示されている特定の実施形態に限定されるものではないとの了解の下に現時点で好適とされる実施形態が図に示され以下に説明されている。
【0018】
[0042]
図1は或る実施形態によるクレーン10の側面図である。クレーン10は、ラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーン、トラック搭載型クレーン、産業クレーン、ブームトラック、又は他の類似の構築及び用役の車両の様な、移動式クレーンとすることができる。クレーン10は下部走行体12及び上部構造体14を含んでいる。下部走行体12は、フレーム16及びフレーム16へ接続されているタイヤの様な転動式地面係合要素18を含んでいる。
【0019】
[0043]上部構造14は伸縮ブーム20を含んでいる。上部構造体14は、更に、操作者運転台22、カウンターウェイト組立体24、及びホイストの様な他の共通のクレーン構成要素を含むことができる。上部構造体14は、例えば回転式の床又は支承部26を介して、回転可能に下部走行体12上に取り付けられていてもよい。
【0020】
[0044]
図2は、或る実施形態による伸縮ブーム20の一部分を示す拡大側面図である。
図1及び
図2を参照して、伸縮ブーム20は複数のブーム区分120、122、124、126、128を含んでいる。複数のブーム区分120、122、124、126、128は、ベース区分120と1つ又はそれ以上の伸縮区分122、124、126、128とを含んでいる。4つの伸縮区分が示されているが本開示はその様な実施例に限定されない。例えば、伸縮ブーム20は何れの適切な数の伸縮区分を有していてもよい。
【0021】
[0045]
図2を参照して、下記の実施例での参照を容易にするために、最も内側の伸縮区分(即ち、長手方向ブーム軸A1に最も近い伸縮区分又は最も内方に入れ子にされている区分)を第1伸縮区分122と呼ぶ。第1伸縮区分122に対し最も近い外方に隣接する伸縮区分を第2伸縮区分124と呼ぶ。次に最も近い外方に隣接する伸縮区分を第3伸縮区分126と呼び、次に最も近い外方に隣接する伸縮区分を第4伸縮区分128と呼ぶ。1つの実施形態では、ベース区分120は第4伸縮区分128に対して最も近い外方に隣接するブーム区分である。ここで使用されている伸縮区分の特定の番号付けは限定的ではない。伸縮区分122、124、126、128は、概ね長手方向ブーム軸A1に沿って最も近い外方に隣接するブーム区分から外方に伸びたり最も近い外方に隣接するブーム区分の中へ縮んだりするよう伸縮式に可動である。
【0022】
[0046]
図3は、或る実施形態によるブームアクチュエータ28の斜視図である。ブームアクチュエータ28は伸縮ブーム20内に配置されていて、伸縮ブーム伸縮20の長さを伸ばしたり縮めたりするために区分122、124、126、128を動かすように構成されている。1つの実施形態では、ブームアクチュエータ28は、ベース区分120に取り付けられている固定部30と、固定部30の長さLに沿って動くように構成されている可動部32と、を含んでいる。可動部32は、例えばキーとキー溝による係合によって、固定部30に対する回転に抗って固定されることができる。
【0023】
[0047]固定部30は、1つの実施形態では、実質的にベース区分120の長さ以下の長さLを有する細長い部材である。可動部32は固定部30に沿って並進運動するように構成されている。1つの実施形態では、可動部32は固定部30の第1端34と第2端36の間を可動であり、ケーブルシステム38(
図3に部分的に示されている)によって駆動される。こうして、1つの実施形態では、ブームアクチュエータの長さLは、細長い部材上の可動要素32の位置に関わらず、実質的に固定されている。ケーブルシステム38は、回転可能なドラム又はリニアアクチュエータの様なケーブル駆動装置(図示せず)によって駆動されることができる。別の実施形態では、可動部32は、既知の油圧伸縮式ロッド-シリンダ組立体(図示せず)のシリンダ(図示せず)であってもよく、その作動は当業者には自明であろう。例えば、伸縮式ロッド-シリンダシステムでは、シリンダは、ロッド-シリンダシステムの長さを増加させるようにロッドに対して伸ばされ及びロッド-シリンダシステムの長さを減少させるようにロッドに対して縮められるようになっていてもよい。その様な油圧伸縮式ロッド-シリンダ組立体は、ここに参考文献としてその全体が援用される上述の米国特許出願公開第2017/0305727号に記載されている。
【0024】
[0048]
図4は、或る実施形態による可動部32の拡大斜視図である。
図3及び
図4を参照して、ブームアクチュエータ28は、更に、可動部32上に取り付けられている回転式アクチュエータ40を含んでいる。回転式アクチュエータ40は、可動部32に対して回転するように構成されていて、可動部32に対して軸方向に固定されていてもよい。回転式アクチュエータ40は、限定するわけではないが電気又は空気によってパワー供給されるモーターの様な、モーター42によって駆動されて回転するようになっていて、ラックとピニオンギヤの組合せの様なギヤリングインターフェース44を介してモーター42へ接続されていてもよい。
【0025】
[0049]連結ピン46が回転式アクチュエータ40から延びている。1つの実施形態では、回転式アクチュエータ40及び連結ピン46は一体に互いと連続して形成されていてもよい。また、1つの実施形態では、連結ピン46は回転式アクチュエータ40に対して固定されていてもよい。1つの実施形態では、長手方向ブーム軸A1は回転式アクチュエータ40及び連結ピン46の回転軸A2と同軸である。但し、本開示はその様な同軸整列に限定されない。
【0026】
[0050]
図5は、或る実施形態による、複数の伸縮区分122、124、126、128から選択された伸縮区分の斜視図である。参照を容易にするために、
図5に示されている伸縮区分は第4伸縮区分に相当する符号128で識別されている。但し、
図5に示されている伸縮区分は、各伸縮区分122、124、126、128を代表しているのであり、伸縮区分122、124、126、128のそれぞれは以下に別途記載のない限り他の伸縮区分と同じ構成要素を有して形成され得る。
【0027】
[0051]なおも
図5を参照して、伸縮区分128は、第1ロック孔134、第2ロック孔136、及び第3ロック孔138の様な複数のロック孔を含んでいる。1つの実施形態では、第1ロック孔134は伸縮区分128の近位端130に最も近く位置付けられ、第2ロック孔136は中間の場所に位置付けられ、第3ロック孔138は伸縮区分128の遠位端132に最も近く位置付けられている。追加の中間ロック孔又はより少ない中間ロック孔が提供されていてもよい。
図5には示されていないがベース区分120も複数の同様に位置付けられているロック孔を含むことができる。ロック孔134、136、138は、第1(最も内側)の伸縮区分122からは省略されていてもよい。
【0028】
[0052]
図6は、
図5の伸縮区分の近位端130の拡大図である。
図5及び
図6を参照して、伸縮区分128は、更に、ブームアクチュエータへ選択的に連結されるように及び最も近い外方に隣接するブーム区分(
図5には示されていない)と選択的にロックされるように構成されている回転式伸展及びロックシステム200を含んでいる。1つの実施形態によれば、回転式伸展及びロックシステム200は、伸縮区分128の近位端130に配置されることができ、連結リング202、区分ピン204、及びラッチ206を含んでいる。連結リング202は、伸縮区分128上に回転可能に取り付けられている。連結リング202はまた伸縮区分128に対して軸方向に固定されていてもよい。連結リング202は、区分ピン204へ動作可能に接続されていて、ラッチ206は区分ピン204に選択的に係合するように構成されている。1つの実施形態では、連結リング202は、区分ピン204の第1面201に選択的に係合するアーム208によって区分ピン204に動作可能に接続されている。回転式伸展及びロックシステム200は、各伸縮区分122、124、126、128上に含まれることができる。
【0029】
[0053]回転式伸展及びロックシステム200は、連結動作においてはブームアクチュエータ28へ連結されるように及びブームアクチュエータ28から連結解除されるように構成されていて、尚且つロック動作においては伸縮区分を最も近い外方に隣接するブーム区分へロックするように及び伸縮区分を最も近い外方に隣接するブーム区分からロック解除するように構成されている。回転式伸展及びロックシステム200がブームアクチュエータ28へ連結されていて且つ最も近い外方に隣接するブーム区分からロック解除されているとき、伸縮区分は長手方向ブーム軸A1に沿って延びたり縮んだりするよう駆動されることができる。反対に、回転式伸展及びロックシステム200が最も近い外方に隣接するブーム区分へロックされると、伸縮区分は実質的に長手方向ブーム軸A1に沿った伸縮運動に抗って固定される。また、回転式伸展及びロックシステム200がブームアクチュエータ28から連結解除されると、ブームアクチュエータ28は各ブーム区分120、122、124、126に対して動くことができる。
【0030】
[0054]1つの実施形態では、連結リング202は、連結ピン46を受け入れて(
図8)回転式伸展及びロックシステム200をブームアクチュエータ28に連結する(
図9)ように構成されている。加えて、連結リング202は、連結ピン46及び回転式アクチュエータ40の第1方向D1(
図10)への回転に応えて第1方向D1に回転するように構成されている。連結リング202の第1方向D1への回転は、区分ピン204に第1位置P1(
図10)から第2の位置(
図11)へ動くように仕向け、それにより回転式伸展及びロックシステム200を最も近い外方に隣接するブーム区分からロック解除する。ラッチ206は動かされて、区分ピン204を第2位置P2(
図11-
図13)に保持するべく区分ピン204とのインターロック係合に入ることができる。
【0031】
[0055]連結リング202の第1方向D1への更なる回転は、ラッチ206を動かして区分ピン204との係合から抜け出させる(
図14)。1つの実施形態では、区分ピン204はこのとき、例えば区分ピンばね216のばね力を受けて、第1位置P1へ戻ることができる(
図15)。区分ピン204が第1位置P1に入ったら、回転式伸展及びロックシステム200は最も近い外方に隣接する伸縮区分へロックされたことになる。
【0032】
[0056]連結リング202は、更に、例えば連結リングばね228のばね力を受けて、第2方向D2に回転して(
図16)始動位置に戻る(
図17)。連結ピン46及び回転式アクチュエータ40は連結リング202と共に第2方向D2に回転する。連結ピン46及び回転式アクチュエータ40の連結リング202に対する第2方向D2への更なる回転に応えて、回転式伸展及びロックシステム200はブームアクチュエータ28から連結解除されることができる(
図8)。
【0033】
[0057]
図7から
図18は、回転式伸展及びロックシステム200の動作の実例を伸縮ブーム20と共に示している。
図7は、ベース区分120として示されている最も近い外方に隣接するブーム区分内に納まっている伸縮区分128の近位端130の拡大図である。伸縮区分128はベース区分120に対して引き込められた位置にあることが示されている。区分ピン204は第1位置P1にあって、ベース区分120の第1ロック孔134内に係合されている。1つの実施形態では、ブームアクチュエータ28の固定部30は取り付けブロック48へ取り付けられていてもよい。
【0034】
[0058]示されていないが、
図7の構成では、第3伸縮区分126は既に第4伸縮区分128に対して伸ばされており、第3伸縮区分125の区分ピン204は第1位置P1にあって第4伸縮区分128の第3ロック孔138内に係合されているものとする。第2伸縮区分124及び第1伸縮区分122もそれぞれ第3伸縮区分126及び第2伸縮区分124に対して同様に配列されているものとする。
【0035】
[0059]
図8を参照して、連結ピン46は連結リング202から係合解除されている。したがってブームアクチュエータ28は回転式伸展及びロックシステム200から連結解除されている。
図9を参照して、回転式アクチュエータ40は第1方向D1(矢印で図示)に回転されて連結ピン46を動かして連結リング202との係合に入れ、ブームアクチュエータ28を伸縮区分128の回転式伸展及びロックシステム200へ連結する。
【0036】
[0060]
図10及び
図11を参照して、回転式アクチュエータ40の第1方向D1への継続される回転が連結ピン46に連結リング202を第1方向D1に回転させる。その様な継続される回転により、区分ピン204は第1位置P1(例えば
図9に示されている位置)から第2位置P2(例えば
図10及び
図11に示されている位置)へ動かされる。区分ピン204の第1位置P1から第2位置P2への運動の方向は
図10に区分ピン204上の矢印によって表されている。1つの実施形態では、第1位置P1は区分ピン204が最も近い外方に隣接するブーム区分120のロック孔内に係合された伸展位置であり(
図9)、第2位置P2は区分ピン204が最も近い外方に隣接するブーム区分のロック孔138から退かされた引込位置である(
図11)。
【0037】
[0061]1つの実施形態では、第1位置P1から第2位置P2へ動いてゆくと、区分ピン204の案内面212(
図8)がラッチ206の傾斜面214に接触してラッチ206を区分ピン204に対して
図9のラッチ206の矢印によって表される方向に動かす。
【0038】
[0062]1つの実施形態では、区分ピンばね216は、伸縮区分128と区分ピン204の間に動作可能に連結されていて、区分ピン204を第1の方向P1に向けて付勢する。加えて、ラッチ206を区分ピン204に向けて付勢するように伸縮区分128とラッチ20の間にラッチばね218が動作可能に連結されていてもよい。
【0039】
[0063]
図10-
図13を参照して、区分ピン204が第2位置P2へ動かされてしまうと、ラッチ206は案内面212に邪魔されず、付勢されて区分ピン204とのインターロック式係合に入る(
図13)。こうしてラッチ206は区分ピン204を第2位置P2に保持することができる。
【0040】
[0064]
図12-
図14を参照して、連結ピン46及び回転式アクチュエータ40と一体での連結リング202の第1方向D1への継続される回転は、連結リング202を区分ピン204から接続解除する。例えば、連結リング202のアーム208は、区分ピン204側の溝220を通って区分ピン204の第1面210との係合から抜け出ることができる。
図13に示されている様に、連結ピン46及び回転式アクチュエータ40と一体での連結リング202の第1方向D1への継続される回転は、連結リング202側のラグ222をラッチ206と係合させる。
【0041】
[0065]連結ピン46が連結リング202に係合されたことで、ブームアクチュエータ28は伸縮区分128へ連結される。加えて、区分ピン204が第2位置P2に入ったことで、伸縮区分128はベース区分120からロック解除される。したがって、可動部32の固定部30に沿ったベース区分120の近位端130から遠ざかる運動が、伸縮区分128の区分120に対する伸びる運動を生じさせる。反対に、可動部32の固定部30に沿ったベース区分120の近位端130に向かう運動は、伸縮区分128のベース区分120に対する縮む運動を生じさせる。連結ピン46は、何れかの他の伸縮区分122、124、126の連結リング202相手に交互に係合し、上述のように操作される。
【0042】
[0066]
図14及び
図15を参照して、連結リング202の第1方向D1への継続される回転は、ラグ222にラッチ206を持ち上げ区分ピン204から係合解除させる。したがって、
図15に示されている様に、区分ピン204は、例えば区分ピンばね216からの力を受けて、第1位置P1へ戻ることができる。
【0043】
[0067]
図16及び
図17では、連結リング202は、始動位置へ進む第2方向D2に回転するように構成されている。
図16に示されている様に、1つの実施形態では、アーム208は回転して区分ピン204側のばね押しタブ226と接触しばね押しタブ226を偏向させることができる。その結果、連結リング202が始動位置への回転を継続することを可能にさせるのに十分なクリアランスが提供されることになる(
図17)。
図17では、ばね押しタブ226は、連結リング202の第2方向D2への継続される回転に応えて、実質的に偏向前の状態へ復帰する。ラッチ206は、ラッチばね218からの力を受けて区分ピン204に向かって進むことができる。
【0044】
[0068]1つの実施形態では、連結リング202は、回転式アクチュエータ40及び連結ピン46の第2方向D2への回転に応えて、第2の方向に回転する。例えば、連結リング202は、連結リング202と伸縮区分128の間に動作可能に連結されている連結リングばね228からのばね力を受けて、回転式アクチュエータ40及び連結ピン46に追従し又は従動することができる。
【0045】
[0069]
図18は、ベース区分120から伸ばされた位置にある伸縮区分128を示す斜視図である。
図18の実施例では、連結リング202は始動位置にある。伸縮区分128の区分ピン204はベース区分120の第1ロック孔134内に係合されている。
【0046】
[0070]回転式アクチュエータ40及び連結ピン46は連結リング202に対して第2の方向に更に回転させられ、連結ピン46を連結リング202から係合解除させる(
図8)ことができる。するとその結果、可動部32は伸縮区分128から連結解除され、伸縮区分128に対し固定部30の長さに沿って動くことができるようになる。こうして、可動部32は、動かされるべき次の伸縮区分へ進められ上記動作が繰り返されることになる。
【0047】
[0071]始動位置とは、概して、回転式伸展及びロックシステム200の位置において、区分ピン204が第1位置P1にあって且つ連結リング202が、第1方向D1への回転が区分ピン204を第1位置P1から第2位置P2に向かって動かしてゆくように位置決めされている、という位置をいう。
【0048】
[0072]1つの実施形態では、
図6、
図8、及び
図21を参照して、連結ピン46は回転して連結リング202の連結スロット230との係合に入れられる。連結スロット230は、連結ピン46を受け入れるための開口端232と、連結ピン46が連結リング202を第1方向D1に回転させる力を加える閉鎖端234と、を含んでいる。連結スロット230は軸方向に離間された側壁236、238によって境界されていて、可動部32からの軸方向の向きの力を動かされるべき伸縮部へ伝達するために連結ピン46によって係合されることになる。
【0049】
[0073]1つの実施形態では、連結リング202のアーム208はスタッド240(例えば
図9を参照)を含んでいる。スタッド240は、連結リング202の第1方向D1への回転中に区分ピン204の略フック形状部の第1面210に沿って滑動して(例えば
図9及び
図11を参照)区分ピン204を第2位置P2に向けて動かすことができる。連結リングの第1方向D1への更なる回転は、スタッド240が区分ピン204の溝220を通って動き、連結リング202が区分ピン204から係合解除するようにする(
図13を参照)。
【0050】
[0074]図は連結リング202へ動作可能に接続されている1つの区分ピン204しか描いていないが、各伸縮区分122、124、126、128は、各個が連結リング202へ同様の方式で動作可能に連結される2つの区分ピン204を含むようにすることができる。また、各個が区分ピン204と関連付けられていて上述のラッチ206と実質的に同じ様式に構成されている2つのラッチ206が含まれるようにすることができる。つまり、各伸縮区分は2つの回転式伸展及びロックシステム200を含むことができるということである。
【0051】
[0075]
図20、
図22、及び
図23を参照して、1つの実施形態では、連結リング202の位置を検知するために連結ピン46の進行経路に沿って1つ又はそれ以上の第1の近接スイッチ224A、224Bが位置付けられていてもよい。例えば、連結リング202が区分ピン204を第2位置P2に動かすのに十分な距離だけ第1方向D1に回転された場所に、単数又は複数の第1のスイッチ224Bが位置付けられていてもよい。連結リング202が区分ピン204を第1位置P1に入れることに対応する回転位置になる場所に、別の第1の近接スイッチ224Aが位置付けられていてもよい。
【0052】
[0076]加えて、1つ又はそれ以上の第2の近接スイッチが可動部32又は回転式アクチュエータ40側に配置されていてもよい。1つの実施形態では、第2の近接スイッチは、伸縮区分128の係合区域140へ入ってゆくとオン状態へ移行するように構成されているフットセクションスイッチ50を含んでいてもよい。第2の近接スイッチは、更に、1つ又はそれ以上のパターンスイッチ52を含んでいてもよい。パターンスイッチ52は、伸縮区分128又は連結リング202側の1つ又はそれ以上のパターンスロット54、56に受け入れられるようになっていてもよい。1つの実施形態では、各伸縮区分が異なる構成のパターンスロット54、56を含み、特定の伸縮区分に依存してパターンスイッチ52の全部か又は幾つかがパターンスロットに受け入れられたり又はどれもが受け入れられなかったりするようにしていてもよい。そうすれば、伸縮区分はパターンスイッチ52の状態に基づいて識別されることができる。
【0053】
[0077]更に
図20を参照して、連結ピン46は回転されて、動かされるべき伸縮区分の連結リング202の連結スロット230に入っており、連結リング202はそれが近接スイッチ224Bによって検知されることのできる位置へ回転されている。加えて、パターンスイッチ52は対応するパターンスロット54、56に受け入れられていることが示されている。
【0054】
[0078]
図21は、或る実施形態による、区分ピン204に対して位置決めされた連結リング202の別の斜視図である。連結スロット230内での一方又は両方の側壁236、238に形成されている平坦部242に押し当たる連結ピン46の運動が伸縮区分を僅かに持ち上がるよう仕向ける。その結果、隣接する伸縮区分から区分ピン204に及ぶ横方向の荷重が小さくなる。1つの実施形態では、始動位置では、アーム208と区分ピン204の第1面210の間には、連結リング202の比較的少量の回転のための裕度を提供するクリアランスCが存在し得る。
【0055】
[0079]第1の近接スイッチ224に代えて又は加えて、回転角度センサ(図示せず)が回転式アクチュエータ40の回転を測定して連結ピン46の位置を求めるようになっていてもよい。別の実施形態では、第1の近接スイッチ224が連結ピン46の連結リング202に対する位置を検知するのとは対照的に、回転式アクチュエータ40のための近接スイッチが連結ピン46の回転ひいては位置を検知することができる。
【0056】
[0080]以上の実施形態では、連結ピン46は、区分ピン204が第2位置P2へ動かされる前に連結リング202内に係合される。1つの実施形態では、連結ピン46は、例えば連結ピン46と連結リング202の接続部にて支持される伸縮区分の重量によって、及び/又は連結ピン46の第2方向D2への回転を防止するソフトウェア制御によって、及び/又は機械的なインターロックによって、連結リング202内に保持されることができる。
【0057】
[0081]
図22-
図24は、インターロックピン244を更に含んでいる、連結リング202及び区分ピン204の一例を示している。
図22を参照して、1つの実施形態では、インターロックピン244は、連結リング202の及び/又は伸縮区分128の第1のインターロックスロット246を通って延びていて回転式アクチュエータ40から隔てられている。
図23及び
図24を参照して、区分ピン204の第1位置P1から第2位置P2へ向かう運動が、インターロックピン244を回転式アクチュエータ40に形成されている第2のインターロックスロット248の中へ動かす。
図24に示されている様に、万一、回転式アクチュエータ40が第2方向D2に回転されるようなことがあれば、インターロックピン244が第2のインターロックスロット248の停止端250に係合して、連結ピン46が連結リング202と係合されたままになるように更なる回転を制限する。
【0058】
[0082]
図25を参照して、インターロックピン244は、更に、連結ピン46が連結リング202と係合されていない場合に区分ピン204の第2位置P2への運動を防止するように連結ピン46に係合することができる。連結リング202のアーム208も同じく、区分ピン204の第2位置P2に向かう運動を防止することができる。
【0059】
[0083]
図26は、或る実施形態による、可動部32及び可動部32上の回転式アクチュエータ40の別の斜視図である。回転式アクチュエータ40を駆動するモーター42は、回転式アクチュエータ40とのギヤリングインターフェース44を介して回転を制限されるようになっていてもよい。
【0060】
[0084]
図17、
図20、及び
図21を参照して、連結リング202は、更に、連結リング202の連結スロット230が形成されている部分と連結リング202のアームが形成されている部分の間に延びていてそれら部分同士を接続している接続ピン252を含んでいてもよい。接続ピンは、前記部分を回転に関して互いへ固定することができる。加えて、接続ピン252は、伸縮区分128側のスロット152、例えば伸縮区分128のカラー164上のスロット152、を通って延びている。スロット152の各端は、接続ピン252の更なる回転を防止することによって、連結ピン202の特定の方向への回転を制限する働きをする。したがって、連結リング202は伸縮区分128に対して回転可能となる。
【0061】
[0085]以上の実施形態では、第1の近接スイッチ224A、224B及び第2の近接スイッチ50、52は、制御システム300(
図1に模式的に示す)へ動作可能に接続されていてもよい。制御システム300は、例えば、プログラム命令を記憶するように構成されているメモリ、プログラム命令を実行するように構成されているマイクロプロセッサ、及び/又はデータを制御システム300へ又は制御システム300から送信させる入力/出力(I/O)モジュールを含んでいる。1つの実施形態では、制御システム300は、第1の近接センサ224A、224B及び第2の近接スイッチ50、52の状態を受信し、受信されたスイッチ状態と記憶されているスイッチ状態に関する規則に基づいて判定を下す。1つの実施形態では、制御システム300は、1つ又はそれ以上のクレーン構成要素へ動作可能に連結されていて、1つ又はそれ以上のクレーン構成要素の動作を判定に基づいて制御するようになっていてもよい。制御システム300は、クレーン10上の例えば操作者運転台に配置されていてもよいし、クレーン上の幾つかの場所に分散されていてもよいし、クレーン10から遠隔に配置されていてもよいし、又はそれらの何らかの組合せであってもよい。
【0062】
[0086]また、以上の実施形態では、
図5-
図8に関し、例えば複数の伸縮区分の伸縮区分は、近位端130に端面162を有する細長い本体160として形成されることができる。回転式伸展及びロックシステム200は伸縮区分128の端面162上に取り付けられていてもよい。1つの実施形態では、連結リング202は、端面162上に回転可能に取り付けられ、例えばカラー164へ取り付けられていてもよく、その場合カラー164に対して回転するように構成されている。区分ピン204は連結リング202へ動作可能に連結されていて、端面162に対して第1位置P1と第2位置P2の間で動くように構成されている。例えば、1つの実施形態では、区分ピン204は端面162に対して実質的に伸縮区分128の横方向に並進運動するように構成されている。ラッチ206もまた端面162上に取り付けられていて端面162に対し区分ピン204に近づく及び遠ざかる運動をするように構成されていてもよい。
【0063】
[0087]この様に、伸縮ブームは、ブームアクチュエータと伸縮区分を連結及び連結解除する動作と伸縮区分を隣接する伸縮区分に対してロック及びロック解除する動作を実施するために単一の回転式アクチュエータ即ち回転式アクチュエータ40を含むことができる。
【0064】
[0088]以上の実施形態の何れかからの様々な特徴は、ここに説明されている他の実施形態と共に使用できるものと理解している。
【0065】
[0089]ここで言及されている全ての特許は、本開示の文脈内で明確に援用されているか否かにかかわらず、これにより参考文献としてここに援用される。
【0066】
[0090]本開示では、原文の単数形を表す冠詞「a」又は「an」の対訳である「或る」又は「一」という語は、単数形と複数形のどちらも含むと捉えられたい。反対に、複数品目への何らかの言及は、該当する場合には、単数形を含む。加えて、様々な構成要素の向きに言及する用語遣い、例えば「上」又は「下」などは、もっぱら例示目的で使用されており、本開示の主題を特定の向きに限定するものではないと理解している。
【0067】
[0091]上記からは、本開示の新規性のある概念の真髄及び範囲から逸脱することなく数多くの修正型及び変形型が達成され得るということが観取されるであろう。示されている特定の実施形態に関しては何らの限定も意図されず、また推察されてもならない、ということを理解しておきたい。本開示は、特許請求の範囲の範囲内に入る全てのその様な修正型を網羅するものとする。
【符号の説明】
【0068】
10 クレーン
12 下部走行体
14 上部構造体
16 フレーム
18 転動式地面係合要素
20 伸縮ブーム
22 操作者運転台
24 カウンターウェイト組立体
26 回転式の床又は支承部
28 ブームアクチュエータ
30 固定部
32 可動部
34 固定部の第1端
36 固定部の第2端
38 ケーブルシステム
40 回転式アクチュエータ
42 モーター
44 ギヤリングインターフェース
46 連結ピン
48 取り付けブロック
50 フットセクションスイッチ
52 パターンスイッチ
54、56 パターンスロット
120 ブーム区分のうちのベース区分
122、124、126、128 ブーム区分のうちの伸縮区分
130 伸縮区分の近位端
132 伸縮区分の遠位端
134、136、138 ロック孔
140 係合区域
160 細長い本体
162 細長い本体の端面
164 カラー
200 回転式伸展及びロックシステム
202 連結リング
204 区分ピン
206 ラッチ
208 アーム
210 区分ピンの第1面
212 区分ピンの案内面
214 ラッチの傾斜面
216 区分ピンばね
218 ラッチばね
220 溝
222 ラグ
224A、224B 近接スイッチ
226 ばね押しタブ
228 リングばね
230 連結スロット
232 連結スロットの開口端
234 連結スロットの閉鎖端
236、238 連結スロットの側壁
240 スタッド
242 連結スロットの側壁の平坦部
244 インターロックピン
246 第1のインターロックスロット
248 第2のインターロックスロット
250 第2のインターロックスロットの停止端
252 接続ピン
300 制御システム
A1 長手方向ブーム軸
A2 回転式アクチュエータ及び連結ピンの回転軸
C アームと区分ピンの第1面との間のクリアランス
D1 回転の第1方向
D2 回転の第2方向
L 固定部の長さ
P1 区分ピンの第1位置
P2 区分ピンの第2位置