IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-プリンタ 図1
  • 特許-プリンタ 図2
  • 特許-プリンタ 図3
  • 特許-プリンタ 図4
  • 特許-プリンタ 図5
  • 特許-プリンタ 図6
  • 特許-プリンタ 図7
  • 特許-プリンタ 図8
  • 特許-プリンタ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B65H 16/08 20060101AFI20240229BHJP
   B41J 11/24 20060101ALI20240229BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20240229BHJP
   B65H 23/182 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B65H16/08
B41J11/24
B41J15/04
B65H23/182
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019142791
(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公開番号】P2021024677
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】今西 勇介
(72)【発明者】
【氏名】伊勢 仁貴
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-222336(JP,A)
【文献】特開平11-130302(JP,A)
【文献】特開2005-305895(JP,A)
【文献】特開平03-162352(JP,A)
【文献】特開2018-158774(JP,A)
【文献】特開2001-348147(JP,A)
【文献】特開2015-189076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 16/00-16/10
B41J 11/00-11/70
B41J 15/00-15/24
B65H 23/182
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙に印字を行うプリンタであって、
前記ロール紙を回転させるローラと、
前記ロール紙を支持する支持部と、
前記ロール紙の一方の側面に設けたガイド部と、を有し、
前記支持部は、
前記ロール紙を前記ガイド部の方向に傾けるように支持し、
前記支持部は、凸部を有し、
前記凸部により、前記ロール紙を前記ガイド部の方向に傾けることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記ローラは、前記ロール紙の外周と接して回転し、
前記支持部は、前記ロール紙を下方から支持し、
前記支持部は、
前記ローラにより前記ロール紙を回転させた状態で、前記ロール紙を前記ガイド部の方向に傾けることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記ロール紙の他方の側面であって前記ガイド部と反対側に、前記ロール紙を目視可能な目視確認部を更に有することを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記目視確認部は、
前記ロール紙の前記他方の側面に対して開閉自在な透明な扉で構成されることを特徴とする請求項に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記目視確認部は、
前記ロール紙の前記他方の側面に対して設けられた開口部で構成されることを特徴とする請求項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記目視確認部は、
前記ロール紙の前記他方の側面に対して設けられた窓部で構成されることを特徴とする請求項に記載のプリンタ。
【請求項7】
請求項1に記載のプリンタを有する現金自動取扱装置。
【請求項8】
ロール紙に印字を行うプリンタであって、
前記ロール紙を回転させるローラと、
前記ロール紙を支持する支持部と、
前記ロール紙の一方の側面に設けたガイド部と、を有し、
前記支持部は、
前記ロール紙を前記ガイド部の方向に傾けるように支持し、
前記支持部は、切欠き部を有し、
前記切欠き部により、前記ロール紙を前記ガイド部の方向に傾けることを特徴とするプリンタ。
【請求項9】
請求項に記載のプリンタを有する現金自動取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙を印字媒体とするプリンタにおいては、用紙の変形や搬送ジャムなどの不具合を引き起こす恐れがある。この原因は、ロール紙の巻き緩みの発生である。
【0003】
このようなロール紙の巻き緩みを防止する機構を有するプリンタが、特許文献1に記載されている。特許文献1では、ロール紙の側面を押圧する押圧部を設けることにより、ロール紙の慣性による回転を抑制して巻き緩みを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-169959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のプリンタでは、ロール紙の両側面を押圧することで、ロール紙の巻き緩みを防止している。
【0006】
しかし、この方法では、ロール紙を側面から押圧するために、ロール紙を両側面から囲う機構が必要となる。このため、部品数が増加してしまい、装置の複雑化及び高コスト化が避けられない。
【0007】
本発明の目的は、プリンタにおいて、簡素な機構でロール紙の巻き緩みを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様のプリンタは、ロール紙に印字を行うプリンタであって、前記ロール紙を回転させるローラと、前記ロール紙を支持する支持部と、前記ロール紙の一方の側面に設けたガイド部とを有し、前記支持部は、前記ロール紙を前記ガイド部の方向に傾けるように支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、プリンタにおいて、簡素な機構でロール紙の巻き緩みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】関連技術のプリンタの要部を示した側面断面図である。
図2】関連技術のプリンタのロール紙の姿勢の一例を示した側面断面図である。
図3】巻き緩みが積み重なることでジャムが生じたプリンタの要部を示した側面断面図である。
図4】実施例1に係るプリンタ装置におけるロール紙の支持方法を示す斜視図である。
図5】実施例2に係るプリンタ装置の概形を示す斜視図である。
図6】実施例2に係る他のプリンタ装置の概形を示す斜視図である。
図7】実施例2に係る他のプリンタ装置の概形を示す斜視図である。
図8】実施例1に係る他のプリンタ装置におけるロール紙の支持方法を示す斜視図である。
図9】実施例1に係る他のプリンタ装置におけるロール紙の支持方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、関連技術のプリンタについて説明する。
【0012】
図1は、巻き緩み対策を施していないロール紙を印字媒体とするプリンタの概形を示した側面断面図である。
図1のプリンタは、図示していないアクチュエータにより回転駆動が可能な搬送ローラ2と支持部3とにより、ロール紙1を下方向から支持している。搬送ローラ2を駆動するとロール紙1が回転し、ロール紙1の用紙先端9が支持部3の下にある搬送路4に引き込まれ、下流の搬送ローラ5と従動ローラ6によっても搬送され、サーマルヘッド7とプラテンローラ8に到達し、サーマルヘッド7によりロール紙1の表面に印字をおこなう。その後、ロール紙1はサーマルヘッド7の下流側に設けられたカッタ(図示せず)により指定長に切断され、一枚の伝票等として発行される。
【0013】
尚、搬送路4の形状等により、搬送ローラ5や従動ローラ6のような搬送ローラは無くてもよく、逆に、二組以上のローラ対があってもよい。また、今回はサーマルヘッド7による熱転写による印字方式を採っているが、これに限らず、インクジェット方式やレーザ方式、ドットインパクト方式など、他の印字方式でもよい。
【0014】
ここで、関連技術のプリンタの課題について説明する。課題とは、動作中にロール紙1に巻き緩みが発生してジャム等が生じることである。
【0015】
巻き緩みが生じる主たる原因は二点ある。一点目の原因を図1に沿って説明する。ロール紙1は搬送の開始や終了時の加減速によりロール紙1に慣性力が働くことで、搬送ローラ2や搬送ローラ5、プラテンローラ8などによる搬送量よりも、ロール紙1が回転し過ぎて搬送量が多くなることがある。その結果として巻き緩み10が生じる。以下、この巻き緩み10の発生の仕方を、ロール紙の過回転と呼ぶ。
【0016】
二点目の原因について、図2(a)、(b)に沿って説明する。図2(a)、(b)は単純化のために、ローラ等の機構は除いて、搬送されているロール紙の概略のみを示す。図2(a)はその上面図、図2(b)はその側面図である。
【0017】
ロール紙1の回転軸を軸xとすると、通常は搬送ローラの回転軸と一致しており用紙はy軸方向搬送されるが、ロール紙1がx’に傾くと、用紙がy方向に搬送された場合には、最外の用紙がロール紙1の本体から離れてしまうことになる。その結果として巻き緩み11が生じる。
【0018】
また、ロール紙1の傾きがx軸方向で安定していても、搬送路の左右のガタ等により、y’方向に搬送されると、同じく最外の用紙がロール紙1の本体から離れてしまうことになる。その結果として巻き緩み11が生じる。以下、この巻き緩み11の発生の仕方をロール紙の斜行と呼ぶ。
【0019】
上記の原因により1回の発行で生じる巻き緩みは微小なものであるが、ロール紙1の使用中に積み重なることで巻き緩みが大きくなり不具合が引き起こされる。
【0020】
この不具合について図3に沿って説明する。図3は、図1と同等の、巻き緩み対策を施していないプリンタについて、巻き緩みが生じることにより引き起こされる不具合の状態の概略を示した側面断面図である。
【0021】
過回転や斜行により生じた巻き緩みが用紙を搬送するごとに多くなっていき、図3のように搬送ローラ2を乗り越えた下流側にまで及ぶことがある。その際に、搬送ローラ2と固定部3の間に巻き緩んだ部分12が挟まり、ロール紙1の回転を阻害してしまい、用紙先端9が搬送されないジャム状態に陥る可能性がある。また、このジャム状態にならなくても、巻き緩んだ部分12では、用紙に皺や折れ目が入ってしまう恐れがあり、発行した伝票等にも皺や折れ目が生じてしまう可能性がある。
【0022】
このようなロール紙の巻き緩みを防止するために、ロール紙の両側面を押圧する方法がある。しかし、この方法では、ロール紙を側面から押圧するために、ロール紙を両側面から囲う機構が必要となる。このため、部品数が増加してしまい、装置の複雑化及び高コスト化が避けられない。また、ロール紙の残量の視認性を下げたり、ロール紙の取り出しや装填の方向も限られたりしてしまう。
【0023】
実施例は、上記関連技術の課題を解決するものであり、簡素な機構でロール紙の巻き緩みを防止する。このため、実施例では、ロール紙の側面のうち片方の側面にガイド部を設け、ロール紙をガイド部の方向に傾くことができるように支持する。これにより、ロール紙がガイド部に接触しながら搬送ローラにより回転するようにし、ロール紙の姿勢を安定に保ちながら用紙を搬送する。
【0024】
以下、図面を用いて実施例のプリンタについて説明する。
【実施例1】
【0025】
図4を参照して、実施例1のプリンタの構成について説明する。尚、図4はロール紙の支持方法を示している。
実施例1においては、支持部3は、ロール紙1をガイド部13の方向に傾けるように支持する。
図4に示すように、支持部3は、凸部3aを有する。この凸部3aにより、ロール紙1をガイド部13の方向に傾ける。具体的には、ロール紙1は、搬送ローラ2と支持部3により下側から支持されている。この際、支持部3の一部に凸部3aを設ける。また、ロール紙1の側面方向にガイド13を設ける。凸部3aによって、ロール紙1はガイド部13の方向、つまり矢印zの方向に傾けられる。
【0026】
上述したロール紙1の巻き緩みに対して、実施例1における防止メカニズムについて説明する。
図4に示した支持の方法で搬送ローラ2を回すと、ロール紙1は、ガイド部13に傾きながら回転するため、ガイド部13の方向に少しずつ移動していく。ロール紙1の一部がガイド部13と接触しても尚ガイド部13方向への力は働き続けるため、最終的にガイド部13とロール紙1の側面がぴったりと接触し、ロール紙1をガイド部13へ押し付けたようになる。
【0027】
ロール紙1がガイド部13に密着した状態で搬送ローラ2により回転及び搬送されることになる。これにより、ロール紙1にその回転方向とは逆向きにガイド部13からの摩擦力が加えられ、この力によってロール紙1の回転に抵抗が生じる。その結果、ロール紙1における過回転を生じにくくすることができる。
【0028】
また、ロール紙1が側面のガイド部13に押し付くことで、ロール紙1の側面がガイド部13に倣い、用紙の端を揃えるだけでなく、ロール紙1が搬送方向以外に傾きにくくなる。その結果、ロール紙1における斜行も生じにくくすることができる。このように、ロール紙1の過回転と斜行を生じにくくすることで、ロール紙1の巻き緩みを防止し、巻き緩みによる不具合の発生を防止することができる。
【0029】
尚、ガイド部13の形状は、ロール紙1が押しついた際にロール紙1の側面が平らに揃えられるように、ロール紙1の直径程度にも高さや幅が大きくなければならないが、一部に穴や切り欠き等の形状があっても良い。
【0030】
尚、実施例1における巻き緩み防止のためのロール紙1の支持方法は、図4に示すような、支持部3のうちガイド部13と反対側の一部を凸形状とする方法に限られない。図8図9に他の支持方法を示す。
【0031】
図8に示す支持方法は、ガイド部13の側の支持部3の一部を除去して切欠き部3bを設ける。このように、支持部3は、切欠き部3bを有する。この切欠き部3bにより、ロール紙1をガイド部13の方向に傾ける。
【0032】
また、図9に示す支持方法は、支持部3の全体を、水平かつガイド部13に平行な軸sに対して、矢印tの方向へ傾斜する方法である。この際に、必要な傾斜量は、水平面に対して0度から45度までの間が好ましい。このように、支持部3は、ガイド部13の方向に傾斜された傾斜面を有する。この傾斜面により、ロール紙1をガイド部13の方向に傾ける
いずれの支持方法においても、搬送ローラ2によりロール紙1を回転できるようにしながら、ガイド部13の方向にロール紙1を傾けて支持可能である。
【実施例2】
【0033】
図5を参照して、実施例2のプリンタの構成について説明する。
実施例2においては、ロール紙1の他方の側面であってガイド部13と反対側に、ロール紙1を目視可能な目視確認部を有する。この目視確認部により、ロール紙1が巻き緩んでいないかを確認したり、ロール紙1の残量を把握したりすることができる。
【0034】
図5に示すように、目視確認部は、ロール紙1の他方の側面に対して開閉自在な透明な扉50で構成される。この透明な扉50によりロール紙1の視認性が向上する。また、扉50を設けることで、万が一ジャムが生じた際にも、ロール紙1を側面から取り出すことが可能であり、利便性が向上する。
【0035】
尚、目視確認部は、図5の扉50のような機構に限らない。図6図7に他の目視確認部を示す。
図6においては、目視確認部は、ロール紙1の他方の側面に対して設けられた開口部51で構成される。
図7においては、目視確認部は、ロール紙1の他方の側面に対して設けられた窓部52で構成される。
【0036】
上記実施例によれば、ロール紙の巻き緩み防止が、ロール紙を支持する機構と、片方の側面のガイドとの簡素な構成で実現できる。このため、小型化が容易で、部品数も少なく安価で製造できる。さらに、ロール紙の他方の側面に、巻き緩み防止と関係の無い扉のような開閉機構または開口等の機構を実装できる。
【0037】
尚、ロール紙を印字媒体とするプリンタは、例えば、現金自動取扱装置に搭載される。そして、ロール紙には、例えば、明細表等が印字される。
【0038】
また、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 ロール紙
2 搬送ローラ
3 支持部
3a 凸部
3b 切欠き部
4 搬送路
5 搬送ローラ
6 従動ローラ
7 サーマルヘッド
8 プラテンローラ
9 用紙先端
13 ガイド部
50 扉
51 開口部
52 窓部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9