(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】内燃エンジン用の排気ハウジング、及び内燃エンジンの排気ガスを案内する方法。
(51)【国際特許分類】
F01N 3/24 20060101AFI20240229BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20240229BHJP
F01N 13/10 20100101ALI20240229BHJP
【FI】
F01N3/24 P
F01N3/08 B
F01N13/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019176394
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-07-20
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515191442
【氏名又は名称】ヴィンタートゥール ガス アンド ディーゼル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ブルッチェ
(72)【発明者】
【氏名】エルトゥグラル カキール
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-513770(JP,A)
【文献】特開平11-324646(JP,A)
【文献】特開2006-307805(JP,A)
【文献】特開2012-246920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/24
F01N 3/08
F01N 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジンの排気ガス用の少なくとも1つの排気ハウジング入口(2)、及び前記排気ガス用の少なくとも1つの排気ハウジング出口(3)を有する前記内燃エンジン用の排気ハウジング(1)であって、前記排気ハウジング(1)は、
排気マニホールド(20)、及び第1の排気ガス処理領域(30)を備え、
前記排気マニホールド(20)は、前記少なくとも1つの排気ハウジング入口(2)、及び前記排気ガスを前記第1の排気ガス処理領域(30)に導くための少なくとも1つのマニホールド出口を含み、
前記第1の排気ガス処理領域(30)は、第1のダクト(5)及び第2のダクト(6)を備え、第1の排気処理セクション(7)が前記第1のダクト(5)に配置され、第2の排気処理セクション(8)が前記第2のダクト(6)に配置され、
少なくとも1つの前記排気マニホールドがマニホールド出口弁(12)を備え、該マニホールド出口弁が閉じているときに、前記第1のダクトと前記第2のダクトの両方が塞がれるように配置され、
前記第1の排気ガス処理領域(30)は、
前記マニホールド出口弁(12)の下流で、且つ、前記第1のダクト(5)及び前記第2のダクト(6)の上流にあり、前記排気ガスを前記第1のダクト(5)用の第1の部分と前記第2のダクト(6)用の第2の部分とに分けるための分岐部(10)を、さらに備え、
前記第1のダクト(5)は、前記第1と前記第2のダクト(5、6)の間で流量分配が最適化されるように、第1の流れ狭窄部(9)を備えていることを特徴とする排気ハウジング(1)。
【請求項2】
前記流れ狭窄部(9)が、
バッフル板、穴あき板、弁、1つ又は複数のフラップ、及び前記第1のダクトの断面の狭窄部のうちの少なくとも1つによって形成される、請求項1に記載の排気ハウジング(1)。
【請求項3】
前記流れ狭窄部(9)が可変であり、好ましくは、可変穴あき板である、請求項1又は2に記載の排気ハウジング(1)。
【請求項4】
前記流れ狭窄部(9)が、乱流を引き起こすように設計される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の排気ハウジング(1)。
【請求項5】
前記第1の流れ狭窄部(9)が、意図された流れ方向に対して垂直に配置された穴あき板である、請求項1から4までのいずれか一項に記載の排気ハウジング(1)。
【請求項6】
前記第1と第2の排気処理セクションを通る流量が実質的に等しくなるように前記第1の流れ狭窄部(9)が設計される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の排気ハウジング(1)。
【請求項7】
前記第1と第2の排気処理セクション(5、6)が、実質的に等しい処理容量を有する、請求項1から6までのいずれか一項に記載の排気ハウジング(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの排気処理セクション(5、6)、好ましくは、すべての排気処理セクション(5、105、6、106)が1つ又は2つ以上の触媒エレメントを備える、請求項1から7までのいずれか一項に記載の排気ハウジング(1)。
【請求項9】
前記
排気ハウジング(1)が第2の排気ガス処理領域(130)を備え、第1の排気ガス処理領域(30)が、前記排気ガスの一部分を処理するように構成され、前記第2の排気ガス処理領域(130)が、前記排気ガスの別の部分を処理するように構成され、前記第2の排気ガス処理領域(130)が、
第3及び第4のダクト(105、106)と、
前記第3及び前記第4のダクト(105、106)の上流にあり、前記排気ガスを前記第3のダクト(105)用の第3の部分と前記第4のダクト(106)用の第4の部分とに分けるための分岐部(110)と、
前記第3及び第4のダクトにそれぞれ配置される第3及び第4の排気処理セクション(107、108)と
を含み、
前記第3と前記第4のダクト(105、106)を通る流量が最適化されるように、第2の流れ狭窄部(109)が前記第3のダクト(105)に配置される、請求項1から8までのいずれか一項に記載の排気ハウジング(1)。
【請求項10】
前記第1と第2の排気ガス処理領域(30、130)が互いに対称に配置された、好ましくは、面対称に配置される、請求項9に記載の排気ハウジング(1)。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項に記載の排気マニホールド(20)を備える、内燃エンジン、好ましくは、大型舶用エンジン。
【請求項12】
排気ハウジング(1)を通して、内燃エンジン、好ましくは、船舶の内燃エンジンの排気ガスを案内する方法であって、
内部燃焼室で燃料を燃焼させるステップと、
前記内部燃焼室の前記排気ガスを、少なくとも1つの排気ハウジング入口(2)を通して前記排気ハウジング(1)の排気マニホールド(20)内に案内し、前記排気ハウジング(1)の排気ガス処理領域(30)に案内する
とともに、少なくとも1つの前記排気マニホールドがマニホールド出口弁(12)を備え、該マニホールド出口弁が閉じているときに、前記第1のダクトと前記第2のダクトの両方が塞がれるように配置されているステップと、
前記排気ハウジングにおいて、特に、
前記マニホールド出口弁の下流の前記排気ガス処理領域(30)において、前記排気ガスを第1の部分と第2の部分とに分けるステップと、
前記排気ガスの前記第1の部分を第1のダクト(5)の第1の排気処理セクション(7)を通るように案内するステップと、
前記排気ガスの前記第2の部分を第2のダクト(6)の第2の排気処理セクション(8)を通るように案内するステップと、
前記第1の部分の流れを流れ狭窄部(9)を用いて、好ましくは、前記第1のダクト(5)の入口で狭窄するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前提部による、内燃エンジン用の排気ハウジング、及び内燃エンジンの排気ガスを案内する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は一般に、内燃エンジンの排気ガスを処理する技術分野に関する。このような燃焼エンジンの実例としては、海洋環境で使用されるような大型舶用エンジンがある。しかしながら、本発明は、エネルギー・プラントと組み合わせて使用することもできる。
【0003】
排出物(例えば、窒素排出物)を低減するために選択的触媒反応(SCR:selective catalytic reaction)を用いることは知られている。この目的のために、触媒エレメントが排気マニホールドに配置され、排気ガスが触媒エレメントを通るように案内される。
【0004】
独国特許出願公開第102016205299(A1)号は、排気処理システムを有する内燃エンジンを示している。複数のシリンダの排気ガスは混合管に集められ、混合管は排気ガスを処理システムに案内する。混合管の流出口では、排気ガスの流れは約180°方向を変えられ、方向を変えられた後、SCR触媒を通るように導かれる。独国特許出願公開第102016205299号に示された配置では、空間の使用が不利になる。提示された配置は込み入っており、したがって高コストで複雑である。
【0005】
欧州特許出願公開第3050615(A1)号は、排気ガスの浄化のためのフロー・ユニットを示している。フロー・ユニットは、案内面及び遮断面を備える。一実施例では、欧州特許出願公開第3050615(A1)号は、排気システムに配置することができるフロー・エレメントを示している(
図8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第102016205299号
【文献】欧州特許出願公開第3050615号
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、排気処理領域の効率を改善することである。任意選択的に、触媒エレメントの寿命を改善することができる。本発明の1つの特定の問題は、異なる触媒エレメント間での排気ガスの分配を改善することである。
【0008】
内燃エンジン用の排気ハウジングを提供することが提案されている。ハウジングは、内燃エンジンの排気ガス用の少なくとも1つの排気ハウジング入口、及び排気ガス用の少なくとも1つのハウジング出口を有する。ハウジングは、排気マニホールド、及び第1の排気処理領域を備える。排気マニホールドは、少なくとも1つのハウジング入口、及び排気ガスを第1の排気処理領域に導くための少なくとも1つのマニホールド出口を含む。第1の排気ガス処理領域は、第1及び第2のダクトを備える。第1の排気処理セクションは第1のダクトに配置され、第2の排気処理セクションは第2のダクトに配置される。第1の排気ガス処理領域は、排気ガスを第1のダクト用の第1の部分と第2のダクト用の第2の部分とに分けるための分岐部をさらに備える。分岐部は、第1のダクト及び第2のダクトの上流に配置される。
【0009】
この発明による排気ハウジングは、排気が集められる、又は排気が流れている任意のハウジングとすることができる。
【0010】
本発明は、第1のダクトが第1の流れ狭窄部を備え、その結果、第1のダクトと第2のダクトの流量分配が最適化されていることを特徴とする。
【0011】
通常の動作状態では、流れ狭窄部がなければ、排気処理セクションの一方に入る流量は、他方に入る流量よりも多い。このことによって、特に、非対称な排気ハウジングになって、特定の触媒セクションの寿命を短くする。
【0012】
流れ狭窄の結果として、第1の排気処理セクションに入る流量は減少し、一方、第2の排気処理セクションに入る流量は増大する。それによって、第1と第2の排気処理セクションの間での流量分配を最適化することができる。例えば、一実施例では、流れ狭窄部は、第1と第2の触媒セクションに入る流量が実質的に等しくなるように配置することができる。
【0013】
排気処理セクションのうちの1つ又はすべてが触媒セクションであってもよい。触媒セクションは、選択的触媒反応(SCR)用の触媒を備える。代替の実施例では、排気処理セクションは、選択的無触媒反応(SNCR:selective non-catalytic reaction)で排気ガスを処理してもよい。触媒セクションは1つ又は複数の層を備える。これらの層は、標準品で、個々に交換可能な構成部品であってもよい。
【0014】
第1と第2のダクトは並行に配置することができる。「並行に」は、排気ガスを2つの流れに分けることとして理解される。特定の実施例では、第1のダクト及び第2のダクトは、流体を実質的に同じ方向に沿って少なくとも部分的に案内する。他の実施例では、第1と第2のダクトは、流体を反対方向に案内する。
【0015】
排気ガス処理領域は、排気ガスを第1のダクト用の第1の部分と第2のダクト用の第2の部分とに分けるための分離領域又は分割部分又は分岐部を含むことができる。
【0016】
分岐部は、排気ガスを2つ又は3つ以上の部分に分けてもよい。第1と第2のダクトは、排気ガスを別々に案内するように構成されることが好ましい。
【0017】
好ましい実施例では、第2のダクトの入口は、第1のダクトの入口の上流に配置される。このような排気ハウジングでは、流れは下流のダクトに集中する傾向があるので、流れを案内して分配することは特に有利である。これらのダクトでは、触媒エレメントは、流速が速いためにより速く消耗する。
【0018】
一実施例では、第1及び第2の排気ダクトは、Z型又はU型のマニホールドとして形成することができる。第1と第2のダクトは、それぞれの端部で合流してもよい。或いは、第1と第2のダクトは、別個の排気ハウジング出口につながってもよい。
【0019】
流れ狭窄部は、第1のダクトの入口に、第1のダクトに沿って、又は第1のダクトの出口に配置することができる。好ましい実施例では、流れ狭窄部は第1のダクトの入口に配置される。流れ狭窄部後の圧力降下の結果として、第1の排気処理セクションの圧力はより低い。
【0020】
好ましい実施例では、排気マニホールドはバイパスをさらに備えることができる。バイパスは、1つ又は複数のバイパス弁で開閉することができる。バイパス弁は、排気マニホールドの出口に配置することができる。バイパスは、排気処理セクションをバイパスする。それによって、排気ガスは、直接、排気マニホールド入口から排気ハウジング出口まで案内される。これによって、排気マニホールドのエネルギー節約配置が可能となる。
【0021】
制御器は、第1の弁配置では、排気ガスが第1及び第2の排気処理セクションを通るように案内され、第2の弁配置では、排気ガスがバイパスを通るように案内されるように弁を制御するように構成することができる。
【0022】
第1及び/又は第2のダクトはダクト出口弁を備えることができる。それによって、選択されたダクトだけが動作することができる。例えば、触媒セクションのうちの1つのセクションの触媒エレメントが不良な場合、この触媒セクションを備えるダクトを閉じることができる。
【0023】
少なくとも1つのダクト出口弁が逆止弁であることが好ましく、それが非戻りフラップを備えることが好ましい。逆止弁、特に、非戻りフラップを有する弁は一般に、費用効果が高く、保守をあまり必要としない。
【0024】
逆止弁は、外部の力によって作動させる必要がない受動的な弁とすることができる。
【0025】
センサは、開度を測定するために、及び排気ガスの流速、好ましくは、質量流量を測定するために、逆止弁の近くに配置することができる。
【0026】
少なくとも1つの反応器入口弁、及び/又は少なくとも1つのダクト出口弁が流量制御弁であり、及び/又は一定の戻り力を有する弁ばねを備えることが好ましい。
【0027】
流量制御弁を作動させることによって、処理領域内の流量全体に影響を与えることができる。例えば、空間条件により、より多くのガスが第1のSCR反応器を通って流れる場合、それぞれの流量制御弁は、より少ないガスを通すように設定することができる。したがって、一様な流量分配を達成することができる。これに加えて、又はこれに代えて、スプリング弁の戻り力は、外部の流れ状態を補償するように選ぶことができる。
【0028】
排気ハウジングはまた、弁のうちの少なくとも1つの開度を決定するための測定ユニットを備えることができる。
【0029】
上記のような排気ハウジングに使用される弁は、第1及び第2の側面要素を少なくとも有するフレームを備えることができる。弁は、フラップ回転軸を有する少なくとも1つのフラップを備えることができ、少なくとも1つのフラップはフレームの内側に配置される。弁は、少なくとも1つのフラップをフラップ回転軸の周りに少なくとも部分的に回転させるための作動要素を備えることができる。作動要素は、排気通路の構造要素が、作動要素と側面要素との間に配置できるように、フレームの外側で、第1の側面要素から距離Dのところに配置することができる。
【0030】
作動要素を排気ハウジングの外側に配置することによって、作動要素はいかなる排気とも接触せず、したがって、弁は耐久性が高い。さらに、弁の断面は、作動要素が排気ハウジングの内側に何ら場所を取らないことにより、最大化される。さらに、フラップ回転軸はフレームに容易に固定され、構造要素はさらに、フレームにフラップ回転軸に容易に接続され、その結果、弁全体は、確実に配置され、排気ハウジングの内側で容易に作動可能となる。距離Dは、側面要素の外縁と作動要素又はリンクとの間の距離として定められる。
【0031】
距離Dは、30mmから300mm、特に50mmから100mmの間の範囲、好ましくは、実質的に70mmとすることができる。
【0032】
この距離では、排気通路の構造要素を、作動要素と側面要素との間に配置することができる。
【0033】
フラップ回転軸は本質的に、フラップの中央に配置され、フラップの長い長手方向軸に延びることができる。
【0034】
このようにして、トルクを下げて、フラップを容易に回転させることができる。
【0035】
弁は、少なくとも2つ、好ましくは3つ、より好ましくは4つ、特に6つを備えることができる。6つより多いフラップを有することもさらに考えることができる。
【0036】
これによって、開口断面積の分布及びフラップ回転軸のトルクが最適になる。
【0037】
フラップ回転軸は、フラップの長さFLの少なくとも105%、好ましくは少なくとも110%、より好ましくは少なくとも120%に相当する長さLRを有することができる。
【0038】
これによって、弁の内側の排気用断面積を減らすことなくフラップを回転するように、排気ハウジングの構造要素と作動要素とを接続することができる。
【0039】
フラップ回転軸は、好ましくは互いに接続可能である2つの部分を備えることができ、ここで第1の部分は本質的にフレームの内側に配置され、第2の部分は本質的にフレームの外側に配置され、好ましくは作動要素に接続される。
【0040】
この設計によって、弁の第1の部分を、フラップ回転軸の第1の部分を備える排気ハウジングの内側に配置し、その後、フラップ回転軸の第1の部分が排気ハウジングにすでに取り付けられているときに、フラップ回転軸の第2の部分をフラップ回転軸の第1の部分に接続することができるので、弁を容易に取り付けることができる。これによって、取付けコストが有意に削減される。
【0041】
フラップ回転軸の第1の部分と第2の部分との間の接続は、六角キー接続とすることができる。
【0042】
六角キー接続を使用することによって、フラップ回転軸の回転運動は、フラップ回転軸の第2の部分から第1の部分に確実に伝達され、さらに、フラップ回転軸全体の取付は極めて容易になる。さらに、六角キー接続は角度のずれを許容するので、例えば、熱膨張による第1の部分に対する第2の部分のいかなる角度のずれも容易に補償することができる。
【0043】
当然のことながら、四角キー、八角キー、又は三角キーなどの六角キー接続と同様の接続は、フラップ回転軸の第1に部分と第2の部分とを接続するために使用することができる。
【0044】
フラップ回転軸の第1の部分の長さは、フラップ回転軸の第2の部分の長さよりも長くすることができる。
【0045】
これは、フラップ回転軸の容易な取付と同時に安定したフラップ回転軸を可能にする。
【0046】
フラップ回転軸は、側面要素にある軸受、好ましくは、セラミック滑り軸受及び/又はグラファイト滑り軸受に配置することができる。
【0047】
側面要素の軸受によって、フラップ回転軸の回転運動は確実に案内される。
【0048】
セラミック又はグラファイト軸受は、排気ハウジングの厳しい排気環境、特に、500℃を超える温度においてさえ、高い耐久性を有する。
【0049】
フラップ回転軸は、側面要素間のフレームの内側に少なくとも1つの追加の軸受、好ましくは、セラミック滑り軸受及び/又はグラファイト滑り軸受に配置することができる。
【0050】
この目的のために、フレームは、少なくとも1つの軸受を備える側面要素に実質的に並行に配置された中間要素をさらに備える。当然のことながら、フラップ回転軸をより安定させる必要がある場合には、フレームの内側に1つより多い中間要素を配置することができる。
【0051】
フレームは、弁の安定性を増大させるために、上部及び底部要素を備えることが好ましい。
【0052】
特に、上記のような排気ハウジングは、弁セクション、及び、前述したような少なくとも1つの弁を備えることができる。
【0053】
排気ハウジングの弁セクションは、弁が位置することができるセクションである。弁セクションは構造要素を備えており、構造要素に回転軸を配置することができ、構造要素は、フラップ回転軸が安定して回転することができるような十分な安定性を備える。したがって、構造要素は、25mmの直径を有する回転軸を構造要素に確実に位置することができるように、少なくとも50mmの幅を有する。
【0054】
弁セクションは、排気ハウジングの構造板とすることができる。
【0055】
このようにして、構造板は同時に、フラップ回転軸用の接続点として使用することができる。
【0056】
作動要素は、排気ハウジングの外側に配置することができる。
【0057】
このようにして、作動要素は排気とは接触せず、したがって耐久性がより高くなる。
【0058】
弁は、エンジンの高圧領域、特に、SCR反応器の上流に配置することができる。
【0059】
排気ハウジングのこの高い要求環境において、弁はその機能を最適に果たすことができ、それでも非常に耐久性が高い。
【0060】
作動要素は、電動モータとすることができる。
【0061】
電動モータは、制御しやすく交換しやすい。さらに、比較的安価で、標準品として購入することができる。
【0062】
構造要素は4つの開口を備えることができ、それぞれの開口は1つのフラップ回転軸を収容する。
【0063】
これは、排気ハウジングに4つのフラップを有する弁を配置できる可能性をもたらす。
【0064】
排気ハウジングは、3つ以上の弁、特に、7つの弁を備えることができる。
【0065】
これによって、排気を1つ又は2つの排気処理装置に導くことができる、又は排気を直接、排気ハウジングの出口に導くことができる。出口を通った後、排気はターボチャージャに導かれることが好ましい。
【0066】
さらに、排気マニホールドは、バイパスが開いているときにダクト出口弁を閉じるように構成された制御器を備えることができる。それによって、バイパスが開いているときに、第1及び/又は第2のダクトへの逆流を防ぐことができる。
【0067】
排気マニホールドはマニホールド出口弁を備えることができる。マニホールド出口弁は、マニホールド出口弁が閉じているときに、排気ガス処理領域、或いは第1及び第2のダクトの一方又は両方への流れを妨げることができるように配置することができる。或いは、第1及び/又は第2のダクトは、個別の入口弁を備えることができる。
【0068】
一実施例では、排気マニホールドは複数の入口を備える。排気マニホールドはまた、複数の出口を備えることができる。好ましい実施例では、排気マニホールドは、内燃エンジンの各シリンダに対して少なくとも1つの入口を備える。
【0069】
排気ガス処理領域は、第1及び第2のダクトの下流に排気ガス集合チャンバを備えることができる。第1及び第2のダクトは、排気ガスをガス集合チャンバに案内することができる。少なくとも1つの排気マニホールド出口は、排気ガス集合チャンバに配置することができる。排気ガス集合チャンバによって、排気ガスを処理した後に排気ガスを混合することができる。
【0070】
各触媒セクションは、少なくとも1つの触媒エレメントを備えることができる。触媒エレメントは交換可能とすることができる。触媒セクション及び/又は触媒エレメントは標準部品とすることができる、及び/又は等しいサイズとすることができる。それによって、単一の触媒セクション及び/又は触媒エレメントの交換は特に簡単になる。触媒エレメントは、触媒層であってもよい。
【0071】
一実施例では、第1及び第2の触媒セクションは、2つ又は3つ以上の触媒エレメントを備えることができる。両方の触媒セクションが2つ又は3つ以上の触媒エレメントを備えることが好ましい。
【0072】
一実施例では、流れ狭窄部は、バッフル板、穴あき板、弁、特に板弁、1つ又は複数のフラップ、及び第1のダクトの断面の狭窄部のうちの少なくとも1つによって形成される。一実施例では、流れ狭窄部は、第1のダクトの断面の一部分を覆う板によって形成される。
【0073】
穴あき板は好ましい実施例である。穴あき板は、特に簡単で作りやすい。さらに、改造、すなわち既存の排気マニホールドに穴あき板を追加することは特に簡単である。
【0074】
本明細書では、穴あき板は、流体が通って流れることができる1つ又は複数の穴を有する板である。穴は、円形、楕円形、方形、三角形、又は任意の他の適切な形状とすることができる。好ましい実施例では、穴は、穴あき板にわたって規則正しく均等に分布されている。一実施例では、穴は細長いスリットによって形成されてもよい。代替の実施例では、穴あき板は、穴を1つだけ備えていてもよい。
【0075】
一実施例では、流れ狭窄部は調節可能である。それによって、流れ狭窄部をそのときの流体の流れに調節して、任意の流量において流れをバランスさせることができる。流れ狭窄部は、特に、可変穴あき板とすることができる。
【0076】
穴あき板は、例えば、2つの穴あき板を重ねて配置することによって可変にすることができる。穴あき板の一方を他方に対して移動させて、穴のいくつか、又はすべてを閉じることができる。穴あき板は、例えば、モータによって、能動的に作動させることができる。或いは、穴あき板は、例えば、穴あき板をばねと接続することによって、受動的に作動させることができる。それによって、穴あき板は、圧力が上昇した場合にさらに開く。
【0077】
本明細書では、バッフル板は、流体の流れの方向を変えるために使用される板である。
【0078】
一実施例では、流れ狭窄部は、乱流を引き起こすように設計される。乱流は、第1のダクトの断面に対して穴のサイズを変えることによって引き起こすことができる。狭窄部直前の第1のダクトの断面と流れ狭窄部における断面の好ましい比は、5%から60%の間で、10%から40%の間がさらに好ましい。
【0079】
流れ狭窄部のサイズ(すなわち、最小の流れ断面の面積)はまた、排気ガスマニホールドを通る質量流量に対して選ぶことができる。排気ハウジングは、エンジンからの排気ガスの質量流量に関する情報を受け取るためにインターフェースを備えることができる。これに加えて、又はこれに代えて、排気マニホールドは流量センサを備えることができる。流量センサは、排気マニホールド、及び/又はダクトのうちの1つ又は複数又はすべてに配置することができる。この情報にしたがって、流れ狭窄部を調節することができる。
【0080】
一実施例では、流れ狭窄部は、意図された流れ方向に対して垂直に配置された穴あき板である。これは、第1の流れ狭窄部に対して特に簡単な配置である。
【0081】
第1の排気処理セクションは第1の容量を有することができ、第2の排気処理セクションは第2の容量を有することができる。流れ狭窄部は、第2のダクトを通る体積流量で割った第1のダクトを通る体積流量の比が、触媒セクションの容量の比に一致するように設計することができる。それによって、各排気処理セクションは、同じ速度で消耗する。第1と第2の触媒セクションが同じ容量を有することが好ましい。
【0082】
一実施例では、第1の流れ狭窄部は、第1と第2の排気処理セクションを通る流量が実質的に等しくなるように設計される。その結果、排気ガスは均等に分配され、したがって、触媒反応の効率は改善される。
【0083】
一実施例では、第1と第2の排気処理セクションは、実質的に等しい処理能力を有する。処理量は、各排気処理セクションのサイズ及び材料特性、並びに各触媒セクションの触媒エレメントの数によって決まる。
【0084】
好ましい実施例では、排気ハウジングは第2の排気ガス処理領域を備える。第1の排気ガス処理領域は、排気ガスの一部分を処理するように構成され、第2の排気ガス処理領域は、排気ガスの別の部分を処理するように構成される。第2の排気ガス処理領域は第3及び第4のダクトを含む。さらに、第2の排気ガス処理領域は、第3及び第4のダクトの上流にあり、排気ガスを第3のダクト用の第3の部分と第4のダクト用の第4の部分とに分けるための分岐部を含む。第3及び第4の排気処理セクションは、第3及び第4のダクトにそれぞれ配置される。第2の流れ狭窄部は、第3と第4のダクトを通る流量が最適化されるように、第3のダクトに配置される。
【0085】
それによって、排気マニホールドの容量を増大させることができる。さらに、第2の排気ガス処理領域によって、触媒セクションの構造をコンパクトにすることができる。さらに、第3と第4のアクトの間での流量のバランスはとれている。
【0086】
一般に、第3のダクトは、第1のダクトと同様に構成することができる。第1のダクトに関して言及したすべての特徴及び特定の実施例は、第3のダクトにも当てはまる。同じことが、第4と第2のダクトにもそれぞれ当てはまる。
【0087】
好ましい実施例では、第1と第2の排気ガス処理領域は互いに対称に配置される。第1と第2の排気ガス処理領域は面対称であることが好ましい。第1と第2の排気ガス処理領域は、同一の容量を有することができる。
【0088】
上記のような排気マニホールドを備えた内燃エンジンを提供することがさらに提案されている。エンジンは2サイクルエンジンが特に好ましい。エンジンは大型舶用エンジンとすることができる。
【0089】
この発明による大型舶用エンジンは、シリンダが少なくとも200mmの内径を有する内燃エンジンである。エンジンは、2サイクル・クロスヘッド・エンジンが好ましい。エンジンは、ディーゼル・エンジン又は二元燃料エンジンとすることができる。
【0090】
上記のような内燃エンジンを備えた船舶を提供することがさらに提案されている。
【0091】
上記のような排気ハウジング及び大型舶用エンジンは、少なくとも1つの弁、好ましくはフラップを有する弁を備えることができる。
【0092】
弁は、可動弁体、及び固定して取り付けられた弁座を備えることができる。弁はフラップを備えてもよく、或いはディスク弁、スライド弁、シート弁、及び/又はポペット弁であってもよい。
【0093】
弁は、1つの流れ方向だけが可能で、対抗圧によって開閉する受動的な弁が好ましい。例えば、弁は、フラップにかかる重力によって、及び/又は、ばねの復元力によって閉じ、排気ガスによる圧力によって開く。
【0094】
弁は、SCR反応器の下流に配置されることが好ましい。
【0095】
排気ハウジング及び大型舶用エンジンは、弁の開度を測定するための測定装置を備えることができる。
【0096】
例えば、測定装置は、可動弁体と固定して配置された弁座との間の距離を検出してもよい。測定装置が、少なくとも1つの弁フラップの角度位置、例えば、排気ガス・ダンパの角度位置を測定するためのセンサを備えることが好ましい。
【0097】
弁が大きく開けば開くほど、弁を通って流れるガスは多くなる。したがって、弁の開度は、弁を通って流れるガスの体積に対する尺度として使用することができる。
【0098】
弁が受動的な弁、又は少なくとも部分的に受動的な弁である場合、開度は、ガス流による弁への圧力に対する尺度として、したがって、ガス流速に対する尺度として使用することができる。
【0099】
システムの有利な実施例では、排気ハウジング及び大型舶用エンジンは、弁の開度に基づいて、好ましくは、少なくとも1つの弁フラップの角度位置に基づいて、排気ガスの流速を決定するための制御ユニットを備える。
【0100】
制御ユニットの記憶装置に記憶することができ、測定された開度とガス流速との間の相関を推測することができる規則又はマップを制御ユニットは備えることができる。
【0101】
また、フラップの開口面積は、開度から決定することができるので、体積流量を決定することができる。通常、排気ガス温度及びその温度の圧力は、燃焼エンジンで測定される。したがって、排気の密度及び質量流量もまた計算することができる。
【0102】
質量流量は、その他の方法では、非常に高価な超音波装置によって、或いはピトー管又はインペラを使用して決定することができるが、これらは連続測定で使用するのは困難である。特に、粒子の質量流量が多い環境では、汚染が引き起こされる場合があって、それは、保守に多くの労力をかけることによってのみ除くことができる。
【0103】
排気ハウジング又は大型舶用エンジンは、温度センサ及び圧力センサを備えることが好ましい。
【0104】
排気ハウジング又は大型舶用エンジンは、温度、圧力、及びフラップの開度、好ましくは、フラップの角度位置に基づいて排気ガスの質量流量を決定するために制御ユニットをさらに備えることが好ましい。
【0105】
好ましい実施例では、排気ハウジング又は大型舶用エンジンは、還元剤用の投与ユニットを備える。排気ハウジング又は大型舶用エンジンは、開度に基づいて、好ましくは、角度位置に基づいて、還元剤の量を決定するための制御ユニットをさらに備える。
【0106】
制御ユニットはまた、温度、圧力、及び開度に基づいて排気ガスの質量流量を決定することができる。
【0107】
投与ユニットは、還元剤を収める貯槽を備えることができる、又はそれに接続することができる。
【0108】
還元剤が、投与ユニットのノズルによって排気ガス入口内に噴射可能であることが好ましい。
【0109】
弁の開度、排気ガス後処理システムでの圧力及び温度に応じて、質量流量を決定することができる。
【0110】
法令は、排気ガス後処理システムによって送出された、SCR反応器の下流、又はターボチャージャの下流で測定された、特に、船舶の煙突の下流で測定されたg/kWhでのNOxの確定値を要求する。NOxを正しい量にするために、SCR反応器の上流のNOxの量を知って、還元剤を適切に投与する必要がある。
【0111】
投与すべき量は、排気ガスの質量流量、エンジン負荷、及び後処理システムに入る排気ガスのppm/m3で測定されたNOxの相対含有量に依存する。相対NOx含有量は、燃焼エンジンのそのときの運転状態に応じたモデルにしたがって、又は経験的なマップにしたがって、測定及び/又は決定することができる。
【0112】
モデル又はマップは、制御ユニットに記憶することができる、又は制御ユニットに利用することができる。
【0113】
測定されたNOx含有量と法令によって決められた制限値との間の差によって、投与すべき還元剤の量が決められる。
【0114】
有利な実施例では、排気ハウジング又は大型舶用エンジンは、少なくとも一組の弁フラップ、好ましくは、少なくとも一組の弁フラップを有する少なくとも1つの弁を備える。排気ハウジング又は大型舶用エンジンは、一組の弁フラップのうちの弁フラップの少なくとも1つの角度位置を測定するための少なくとも1つセンサをさらに備える。
【0115】
一組の弁フラップがSCR反応器の下流に配置されることが好ましい。
【0116】
排気ハウジング又は大型舶用エンジンが、少なくとも一組の弁フラップを備えることが有利であり、それをSCR反応器の下流に配置することが好ましく、その組の弁フラップは、互いに接続される、好ましくは、コネクタで接続される。フラップは、すべての弁フラップが同じ角度位置になるように接続されることが好ましい。
【0117】
フラップは連動して動き、すべてが同時に同じ開度を有することが好ましい。したがって、すべてのフラップを通る流量は均等に分配される。
【0118】
センサは、弁の開度を決定するためにフラップのうちの1つのフラップの開度を検出することだけが必要である。
【0119】
有益な実施例では、排気ハウジング又は大型舶用エンジンは、予め張力をかけられた弁、特に、少なくとも1つの弁フラップを備え、弁フラップは、例えば、ばね、特に、ねじりばねによって予め張力がかけられている。
【0120】
したがって、弁は、流れの乱れによるシェイキング又はフラッタリングを起こさないようにされ、開度は、排気ハウジングを通って流れる排気ガスの量に対して信頼できる尺度となる。
【0121】
測定装置はセンサを備えてもよい。
【0122】
センサは、弁の2つの要素間、好ましくは、2つの閉止要素間の距離を検出してもよい。センサはまた、弁閉止要素の開口角度を検出してもよい。センサはまた、固定された弁要素に対する弁作動要素の距離又は角度を検出してもよい。
【0123】
センサは、排気ハウジング内に配置されてもよく、又は外部に配置されてもよい。
【0124】
弁は、フラップ回転軸を有する少なくとも1つのフラップを備えてもよく、少なくとも1つのフラップはフレームの内側に配置される。弁は外側要素をさらに備えてもよく、外側要素は、例えば、少なくとも1つのフラップをフラップ回転軸の周りに少なくとも部分的に回転させるために、フラップの軸に接続され、ハウジングの外側に配置される。センサは、外側要素の位置を検出してもよい。したがって、測定装置及び/又はセンサは冷態領域に配置することができ、測定は排気ガスによって乱されることがない。
【0125】
センサは、光学センサ、音響センサ、磁気センサ、又は電磁センサであってもよい。
【0126】
測定装置は、ビデオ装置、及びビデオ信号を解析するための評価ユニットを備えてもよい。
【0127】
排気ハウジング又は大型舶用エンジンは、少なくとも1つの弁フラップ、及び少なくとも1つの弁フラップの運動量を測定するためのセンサを備えることができる。特に、弁に予め張力をかけるばね力によって生じる運動量を測定することができる。運動量は、弁にかかる動的圧力に相関し、したがって開度に相関する。したがって、運動量を測定するためのセンサは、開度を測定するためのセンサとみなすこともできる。
【0128】
流速は、運動量の測定から推測することができる。
【0129】
排気ハウジング又は大型舶用エンジンの少なくとも1つの弁が、少なくとも1つの弁フラップを備え、少なくとも1つの弁フラップが重力により閉じることが好ましい。
【0130】
したがって、弁フラップは、強力な作動システムを必要としない。完全な閉止運動、又は閉止運動の少なくとも関連する部分は、フラップの重量によって生じる。
【0131】
特に、排気ガス後処理システムは、完璧に方向づけられた位置を絶えず保つことはできないので、弁は、作動システムに接続されて完全に閉止することができる。
【0132】
理想的な位置では、例えば、排気ハウジングが搭載された船舶が港にいるときには、全くガス圧力がないときにはフラップは完全な閉止位置にあり、排気ガス圧力があるときだけフラップが開くように、排気ハウジングを方向づけることができる。
【0133】
しかしながら、船舶が動いているとき、又は船舶の積荷が最適に搭載されていないとき、ハウジングの向きは、最適な向きからずれている。
【0134】
この場合、復元力の方向は変わることがあり、弁フラップの開度は、ガス流による圧力によって影響されるだけでなく、重力に対する弁の向きによっても影響され得る。
【0135】
したがって、システムの好ましい実施例では、排気ハウジング又は大型舶用エンジンは、重力ベクトルの方向に対する弁の空間的な向きを決定するための測定装置を備える。
【0136】
特に、測定装置は、重力ベクトルに対する、排気ハウジング又はエンジンに固定して接続された弁要素、例えば、弁フラップの閉止面のそのときの向きのずれを決定することができる。
【0137】
測定装置はジャイロスコープであってもよい。
【0138】
開度はガスによって影響されるだけではないので、ガス圧力による開弁力の計算のためには、センサは、弁の開度だけでなく、重力センサに対する弁の位置もまた考慮すべきである。
【0139】
制御ユニットは、排気ガスの流速の計算を補正するために、及び/又は質量流量の計算を補正するために、空間的な向きの測定値を使用することができる。
【0140】
本発明の別の態様は、排気ハウジングを通じて、内燃エンジンの排気ガスを案内する方法に関する。内燃エンジンは船舶のエンジンであることが好ましい。本方法は、以下のステップを含む。
【0141】
燃料は内部燃焼室で燃焼される。内部燃焼室の排気ガスは、少なくとも1つの排気ハウジング入口を通って排気ハウジングの排気マニホールド内に案内される。排気ガスは、排気マニホールドを通って排気ハウジングの排気処理領域に案内される。排気ガスは、排気ハウジングにおいて、特に、排気ガス処理領域において、第1の部分と第2の部分とに分けられる。排気ガスの第1の部分は、第1のダクトの第1の排気処理セクションを通るように案内され、排気ガスの第2の部分は、第2のダクトの第2の排気処理セクションを通るように案内される。第1の部分の流れは、流れ狭窄部を用いて狭窄される。流れ狭窄部は、第1のダクトの入口に配置されることが好ましい。
【0142】
本発明のさらなる態様によれば、排気ハウジング、好ましくは、上記のように、少なくとも2つのSCR反応器を備えることができる。
【0143】
少なくとも1つの反応器入口弁は、各SCR反応器の上流に配置することができ、少なくとも1つの反応器出口弁が、各SCR反応器の下流に配置されることが好ましい。
【0144】
好ましい実施例では、第1のSCR反応器の上流に配置される少なくとも反応器入口弁は第1の流量制御弁であり、第1のSCR反応器の下流に配置される反応器出口弁が第2の流量制御弁であることが好ましい。
【0145】
排気ハウジングは、制御ユニットをさらに備えることができ、制御ユニットは、第1の流量制御弁、及び、好ましくは、第2の流量制御弁を閉じることができる。特に、制御ユニットは、加熱中、第1の流量制御弁、及び、好ましくは、第2の流量制御弁を閉じたままにする。
【0146】
第2のSCR反応器の上流及び下流に配置された弁は、流れの圧力がかかったときに開くことができる受動的な弁、例えば、フラップ逆止弁とすることができる。したがって、ガスは、加熱中、第2のSCR反応器のみを通ることができる。
【0147】
舶用の排気ガス後処理システムは、NOx排出を制御するように設計される。場所、環境区域、及び船舶の出力に応じて、異なる排出制限に従う必要がある。
【0148】
性能は、温度に大きく依存している。しかしながら、排出規制は、排気ガス温度がいつもSCRプロセスにとって困難なレベルにある低負荷であっても、十分な後処理効率を要求する。
【0149】
したがって、後処理システム、特にSCR反応器を最低限の作動温度に加熱するために必要な時間をできるだけ短くして、システムをできるだけ速く十分な後処理効率になるように準備すべきである。
【0150】
後処理システムが2つ以上の流路を備えると、起動時間を短くすることができる。したがって、この排気ハウジングによって、システムの特定の部分、及びわずかな数のSCR反応器を選択的に動作させることができる。全SCR容積の一部分だけを排気ガス流が通るように、排気ガスを制御することができる。したがって、排気ガスの全熱エネルギーは、使用される容積を、すべての容積を加熱する場合よりも速く加熱する。
【0151】
排気ハウジングは、排気マニホールド、並びに少なくとも第1と少なくとも第2の処理セクションを有する少なくとも1つの排気処理領域を備えることができる。SRC反応器のそれぞれは、互いから空間的に離れた各処理セクションに配置することができる。
【0152】
各領域は、反応器入口弁、及び、好ましくは、少なくとも1つの反応器出口弁、好ましくは、SCR反応器当たり少なくとも1つの反応器出口弁を備えることができる。
【0153】
各セクションは、反応器入口弁、及び、好ましくは、少なくとも1つの反応器出口弁を備えることができる。
【0154】
後処理システムが、温度センサ、並びに、より好ましくは、必要な温度が達成されるとすぐに、第1の流量制御弁、及び、好ましくは、第2の流量制御弁を開く制御ユニットを備えることが好ましい。
【0155】
本発明の非限定的な実施例を、添付の図に関して単なる実例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【
図1】本発明による排気マニホールドの断面図である。
【
図3】第2の配置にある、
図1の断面の第3の図である。
【0157】
図1及び2は、排気ハウジング1の断面を示す。
図1では、排気ハウジング1の断面が示され、一方、
図2では、さらに排気ガスの流れが矢印によって示されている。
【0158】
排気ハウジング1は2つの部分を備える。まず、排気ガスは、排気マニホールド20に受け入れられる。排気ガスは、排気マニホールド20を通って排気ガス処理領域30内に案内される。排気ガス処理領域30は、2つの排気ハウジング出口3を備える。
【0159】
排気マニホールド20は、内燃エンジン(図示せず)のシリンダの排気ガスを集める。各シリンダの排気ガスは、それぞれの管を通り、排気ハウジング入口2を経て排気ハウジング1内に案内される。排気ハウジングにおいて、排気ガスは、排気マニホールド20によって受け入れられる。排気マニホールド20は、排気ガスを排気マニホールド20の出口に案内する(
図2の矢印51を参照のこと)。排気マニホールドのマニホールド出口には、マニホールド出口弁12が配置されている。排気マニホールド20において、異なるシリンダからの排気ガスが混合し、マニホールド出口弁12に案内される。マニホールド出口弁12の下流では、排気ガスは、排気ガス処理領域30の分岐部10で、第1のダクト5と第2のダクト6に分けられる。ダクト5、6のそれぞれは、触媒セクションとして具現化された排気処理セクション7、8を備える。排気処理セクション7、8は、個別の触媒エレメントから成る。第1の排気処理セクション7と第2の排気処理セクション8は互いに対して並行している。
【0160】
このように分割した排気処理領域では、ダクト間で流速が異なることがある。その結果、第1と第2のダクトは、排気処理領域の形状によって異なる流量になる。
【0161】
排気処理セクション7、8はそれぞれ触媒エレメントを備える。これらの触媒エレメントは、交換可能であり、互いに同一である。その結果、これらの触媒セクションは同じ容量を有するが、第1のダクトはより多い流量になる。したがって、第1のダクト5に配置された第1の触媒セクションはより早く消耗する。
【0162】
排気処理セクション7、8を通る流量のバランスをとるために、排気ハウジング1は、穴あき板として形成された第1の流れ狭窄部9をさらに備える。第1の流れ狭窄部9は、第1のダクト5の入口に位置される。排気ガスは、部分的に、第1の流れ狭窄部9によって妨げられ、それによって、第2のダクト6の入口の圧力が上昇する。その結果、第2のダクト6を通る流れの流速及び流量が増大する。ダクト5、6の各出口には、各ダクト用のダクト出口弁13、15が配置される。
【0163】
出口弁13及び15の下流では、浄化された排気ガスが集合チャンバ16内に導かれる。集合チャンバ16は2つの排気ハウジング出口3を含み、排気ガスはそれらを通って排気ハウジング1を出る。
【0164】
さらに、排気ハウジング1はバイパス弁14を含む。バイパス弁14は、排気マニホールド20を直接、集合チャンバ16及び排気ハウジング出口3に接続する。
図1に示された配置では、バイパス弁14は閉じている。この配置では、排気ガスは、第1の排気ガス処理領域30又は第2の排気ガス処理領域130のどちらかを通るように案内される。第2の排気ガス処理領域130は、第1の排気ガス処理領域30と同様に設計される。
【0165】
排気マニホールド20は、排気ガスを排気ハウジング入口2から第2のマニホールド出口弁112を通して第2の排気ガス処理領域130に案内する。第2の排気ガス処理領域130は、第3のダクト105及び第4のダクト106を含む。第2の排気ガス処理領域130を通る排気ガスの流れは、分岐部110によって第3と第4のダクト105、106に分けられる。触媒セクションとして具現化された第3の排気処理セクション107は、第3のダクト105に配置される。一方、第4のダクト106には、触媒セクションとして具現化された第4の排気処理セクション108が配置される。原則的には、第2の排気ガス処理領域130は、第1の排気ガス処理領域30の鏡像領域である。
【0166】
第1のダクト5と同様に、第3のダクト105は、第3のダクト105の入口に配置された流れ狭窄部109を含む。流れ狭窄部109は、穴あき板として具現化され、第3と第4のダクトを通る流量が実質的に等しくなるように両方のダクトを通る流量を最適化する。
【0167】
第1の排気ガス処理領域30及び第2の排気ガス処理領域130はそれぞれ、触媒セクションとして具現化された2つの排気処理セクション7、8、107、108を備えているように示されている。第1及び/又は第2の排気処理領域はまた、2つより多い処理領域を備えてもよい。例えば、第1の処理領域は、3つ、4つ、又はそれより多い個別のダクトを備えることができ、各ダクトは、少なくとも1つの処理領域を備える。
【0168】
第3のダクト105及び第4のダクト106の両方は、ダクト出口弁113、115を含む。ダクト出口弁13、15、113、及び115は、ダクト3、5、105、106のうちの1つを個別に封止するように閉じることができる。これは、触媒セクションのうちの1つが消耗した場合、又は不良となった場合に、特に有利になり得る。別の利点は、これによって、特に、低負荷、又はエンジン起動時に、触媒セクションに対してより効率的な動作モードにすることができることである。エンジンは、出口弁を制御するように構成された制御器(図示せず)を含むことができる。
【0169】
第2のマニホールド出口弁112が閉じているとき、第3及び第4のダクト105、106(すなわち、第2の排気処理領域)は作動していない。低エンジン負荷では、第1及び第2の触媒セクションだけが必要なことがある。
【0170】
同様に、第2のマニホールド出口弁112に対して、第1の出口弁が閉じていることがある。特に低エンジン負荷のとき、第1のマニホールド出口弁12を閉じることによって、第1のダクト5及び第2のダクト6を閉じることができる。
【0171】
排気ガスの流れが
図2によって強調されている。上記のように、排気ガスは、排気ハウジング入口2を通って排気ハウジング1に入る。次いで、矢印51によって強調されているように、排気ガスは、マニホールド出口弁12に向かって流れ、矢印52によって示されているように、マニホールド出口弁12を通った後に第1のダクト5に流入する。矢印53によって示されているように、排気ガスの一部分は第2のダクト6に流入する。矢印54及び55は、排気ガスが触媒セクションを出て、排気ハウジング出口3を通って排気ハウジング1を出る経路を示している。
【0172】
図2から分かるように、第2の排気ガス処理領域130、並びに対応する第3及び第4のダクトを通る排気ガスの流路は、第1の排気処理領域30を通る流路に対応する。次いで、矢印151によって強調されているように、排気ガスは、マニホールド出口弁112に向かって流れ、矢印152によって示されているように、マニホールド出口弁112を通った後に第3のダクト105に流入する。矢印153によって示されているように、排気ガスの一部分は第4のダクト106に流入する。矢印154及び155は、排気ガスが触媒セクションを出て、排気ハウジング出口3を通って排気ハウジング1を出る経路を示している。
【0173】
図3は、第2の構成の、
図1及び
図2の排気ハウジング1を示す。
図3に示された構成では、マニホールド出口弁12及び112は閉じている。バイパス弁14は開いている。この構成では、排気ガスは、排気ハウジング入口2からバイパス弁14を通って排気ハウジング出口3を有する出口チャンバ内に直接、案内される。このモードでは、排気ガスは、触媒セクションを通るようには案内されていない。それによって、排気ガスは、例えば、ターボチャージャで使用することができるエネルギーの量をより多く運ぶ。他方では、内燃エンジンによる排出物はより高くなり得る。
【0174】
図3で分かるように、マニホールド出口弁12及び112は、第1又は第2のダクトにいかなる排気ガスも入らないように閉じている。さらに、ダクト出口弁13、15、113、115は閉じている。これによって、集合チャンバ16から触媒セクションへの逆流が防がれる。
【0175】
図4は、流れ狭窄部の実施例を示す。第1の流れ狭窄部9及び/又は第2の流れ狭窄部109は、円形の穴を含む。円形の穴は、矩形内に均等に分布している。