(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】光電変換素子及びこれを含む有機センサ並びに電子装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240229BHJP
H10K 30/60 20230101ALI20240229BHJP
H10K 30/65 20230101ALI20240229BHJP
H10K 30/82 20230101ALI20240229BHJP
H10K 39/32 20230101ALI20240229BHJP
H10K 39/38 20230101ALI20240229BHJP
【FI】
H01L27/146 E
H10K30/60
H10K30/65
H10K30/82
H10K39/32
H10K39/38
(21)【出願番号】P 2019204889
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】10-2018-0139824
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0121679
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朴 敬 培
(72)【発明者】
【氏名】許 哲 準
(72)【発明者】
【氏名】尹 晟 榮
(72)【発明者】
【氏名】李 啓 滉
(72)【発明者】
【氏名】陳 勇 完
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0070183(US,A1)
【文献】特開2016-076567(JP,A)
【文献】特開2007-080936(JP,A)
【文献】国際公開第2011/108609(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0294485(US,A1)
【文献】国際公開第2016/056397(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0315488(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02543508(EP,A1)
【文献】特開2012-023352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H10K 30/60
H10K 30/65
H10K 30/82
H10K 39/32
H10K 39/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、少なくとも一部の波長領域の光を吸収して電気的信号に変換させる光電変換層と、
前記第1電極と前記光電変換層との間に配置され、
ランタン族元素を含む無機ナノ層と、を有
し、
前記ランタン族元素は、イッテルビウム(Yb)を含むことを特徴とする光電変換素子。
【請求項2】
前記無機ナノ層は、前記第1電極に当接していることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項3】
前記無機ナノ層の一面は、前記第1電極に当接しており、
前記無機ナノ層の他の一面は、前記光電変換層に当接していることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項4】
前記第1電極は、光透過度80%以上の透明電極であるか、又は光透過度10%未満の反射電極であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項5】
前記透明電極は、酸化物導電体又は炭素導電体の内の少なくとも一つを含むことを特徴とする
請求項4に記載の光電変換素子。
【請求項6】
前記無機ナノ層の厚さは、5nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項7】
前記無機ナノ層の厚さは、2nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項8】
前記第1電極はカソードであり、前記第2電極はアノードであることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項9】
光透過度80%以上の透明導電体又は光透過度10%未満の反射導電体を含む第1電極と、
前記第1電極の上に配置され、少なくとも一部の波長領域の光を吸収して電気信号に変換させる光電変換層と、
前記光電変換層の上に配置される第2電極と、を有し、
前記光電変換層と対向する前記第1電極の表面は、厚さ5nm以下の無機ナノ層で覆われ、
前記光電変換層と対向する前記第1電極の表面における有効仕事関数は、前記透明導電体又は前記反射導電体の仕事関数より小さ
く、
前記無機ナノ層は、無機物質を含み、
前記無機物質は、ランタン族元素を含み、前記ランタン族元素は、イッテルビウム(Yb)を含むことを特徴とする光電変換素子。
【請求項10】
前記透明導電体又は前記反射導電体の仕事関数と前記光電変換層と対向する前記第1電極の表面における有効仕事関数との差は、0.5eV以上であることを特徴とする
請求項9に記載の光電変換素子。
【請求項11】
前記透明導電体又は前記反射導電体の仕事関数は、4.5eV以上であり、
前記光電変換層と対向する前記第1電極の表面における有効仕事関数は、4.0eV以下であることを特徴とする
請求項9に記載の光電変換素子。
【請求項12】
前記光電変換層と対向する前記第1電極の表面における有効仕事関数は、3.0eV以下であることを特徴とする
請求項11に記載の光電変換素子。
【請求項13】
前記透明導電体は、酸化物導電体又は炭素導電体を含むことを特徴とする
請求項9に記載の光電変換素子。
【請求項14】
前記無機ナノ層は、2nm以下の厚さを有することを特徴とする
請求項9に記載の光電変換素子。
【請求項15】
前記第1電極はカソードであり、前記第2電極はアノードであることを特徴とする
請求項9に記載の光電変換素子。
【請求項16】
請求項1乃至
15のいずれか一項に記載の光電変換素子を有することを特徴とする電子装置。
【請求項17】
請求項1乃至
15のいずれか一項に記載の光電変換素子を有することを特徴とする有機センサ。
【請求項18】
前記有機センサは、有機CMOSイメージセンサであることを特徴とする
請求項17に記載の有機センサ。
【請求項19】
請求項17に記載の有機センサを含むことを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子に関し、特に、電荷抽出効率を改善できる光電変換素子及びこれを含む有機センサ並びに電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換素子は、光を受けて電気信号に変換させる素子であり、光ダイオード及び光トランジスタなどを含み、有機センサ、光検出器又は太陽電池などに適用することができる。
有機センサは、日増しに高い解像度が求められており、これにより、画素の大きさが小さくなっている。
【0003】
現在、主に使うシリコン光ダイオードの場合、画素の大きさが小さくなるに伴い吸収面積が減るので感度低下が発生するという問題がある。
これにより、近年、シリコンを代替できる有機物質が研究されている。
有機物質は、吸光係数が大きく、分子構造に応じて特定波長領域の光を選択的に吸収することができるので、光ダイオードと色フィルタを同時に代替できて高集積に有利である。
【0004】
しかしながら、有機物質は、高い結合エネルギ(binding energy)と再結合(recombination)挙動によりシリコンと異なる特性を現わす可能性があり、有機物質の特性を正確に予測することが難しく、光電変換素子に求められる物性を容易に制御することが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の有機光電変換素子における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、電荷抽出効率を改善できる光電変換素子を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記光電変換素子を含む有機センサ並びに前記光電変換素子を含む電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明による光電変換素子は、互いに対向する第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置され、少なくとも一部の波長領域の光を吸収して電気的信号に変換させる光電変換層と、前記第1電極と前記光電変換層との間に配置され、ランタン族元素を含む無機ナノ層と、を有し、前記ランタン族元素は、イッテルビウム(Yb)を含むことを特徴とする。
【0008】
前記無機ナノ層は、前記第1電極に当接していることが好ましい。
前記無機ナノ層の一面は、前記第1電極に当接しており、前記無機ナノ層の他の一面は、前記光電変換層に当接していることが好ましい。
前記第1電極は、光透過度約80%以上の透明電極であるか、又は光透過度約10%未満の反射電極であることが好ましい。
前記透明電極は、酸化物導電体及び炭素導電体の内の少なくとも一つを含むことが好ましい。
前記無機ナノ層の厚さは、約5nm以下であることが好ましい。
前記無機ナノ層の厚さは、約2nm以下であることが好ましい。
前記第1電極はカソードであり、前記第2電極はアノードであることが好ましい。
【0009】
また、上記目的を達成するためになされた本発明による光電変換素子は、光透過度80%以上の透明導電体又は光透過度10%未満の反射導電体を含む第1電極と、前記第1電極の上に配置され、少なくとも一部の波長領域の光を吸収して電気信号に変換させる光電変換層と、前記光電変換層の上に配置される第2電極と、を有し、前記光電変換層と対向する前記第1電極の表面は、厚さ5nm以下の無機ナノ層で覆われ、前記光電変換層と対向する前記第1電極の表面における有効仕事関数は、前記透明導電体又は前記反射導電体の仕事関数より小さく、前記無機ナノ層は、無機物質を含み、前記無機物質は、ランタン族元素を含み、前記ランタン族元素は、イッテルビウム(Yb)を含むことことを特徴とする。
【0010】
前記透明導電体又は前記反射導電体の仕事関数と前記光電変換層と対向する前記第1電極の表面における有効仕事関数との差は、0.5eV以上であることが好ましい。
前記透明導電体又は前記反射導電体の仕事関数は、4.5eV以上であり、前記光電変換層と対向する前記第1電極の表面における有効仕事関数は、4.0eV以下であることが好ましい。
前記光電変換層と対向する前記第1電極の表面における有効仕事関数は、3.0eV以下であることが好ましい。
前記透明導電体は、酸化物導電体又は炭素導電体を含むことが好ましい。
前記無機ナノ層は、約2nm以下の厚さを有することが好ましい。
前記第1電極はカソードであり、前記第2電極はアノードであることが好ましい。
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明による電子装置は、上記光電変換素子を有することを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するためになされた本発明による有機センサは、上記光電変換素子を有することを特徴とする。
【0013】
前記有機センサは、有機CMOSイメージセンサであることが好ましい。
【0014】
上記目的を達成するためになされた本発明による電子装置は、上記有機センサを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る光電変換素子及びこれを含む有機センサ並びに電子装置によれば、電荷移動性を改善して残留電荷を減らすことによって光電変換素子の電荷抽出効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態による光電変換素子の概略構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の他の実施形態による光電変換素子の概略構成を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による有機CMOSイメージセンサの概略構成を示す断面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態による有機CMOSイメージセンサの概略構成を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による有機CMOSイメージセンサを概略的に示す平面図である。
【
図6】
図5の有機CMOSイメージセンサの概略構成を示す断面図である。
【
図7】
図5の有機CMOSイメージセンサの他の例の概略構成を示す断面図である。
【
図8】
図5の有機CMOSイメージセンサのさらに他の例の概略構成を示す断面図である。
【
図9】
図5の有機CMOSイメージセンサのさらに他の例の概略構成を示す断面図である。
【
図10】本発明のさらに他の実施形態による有機CMOSイメージセンサを概略的に示す平面図である。
【
図11】
図10の有機CMOSイメージセンサの概略構成の一例を示す断面図である。
【
図12】
図10の有機CMOSイメージセンサの概略構成の他の例を示す断面図である。
【
図13】本発明のさらに他の実施形態による有機CMOSイメージセンサを概略的に示す平面図である。
【
図14】
図13の有機CMOSイメージセンサの概略構成の一例を示す断面図である。
【
図15】本発明の実施形態による有機CMOSイメージセンサの概略構成の他の例を示す断面図である。
【
図16】本発明の実施形態による有機CMOSイメージセンサの概略構成のさらに他の例を示す断面図である。
【
図17】本発明の一実施形態による電子装置の概略的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る光電変換素子及びこれを含む有機センサ並びに電子装置を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0018】
以下、実施形態について該当技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。
しかし、実際適用される構造は様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
図面で複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。
層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるというとき、これは他の部分の「真上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆にある部分が他の部分の「真上に」あるというときには中間に他の部分がないことを意味する。
【0019】
以下で別途の定義がない限り、「置換された」とは、化合物中の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、シリル基、C1~C20アルキル基、C2~C20アルケニル基、C2~C20アルキニル基、C6~C30アリール基、C7~C30アリールアルキル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C20ヘテロアルキル基、C3~C20ヘテロアリール基、C3~C20ヘテロアリールアルキル基、C3~C30シクロアルキル基、C3~C15シクロアルケニル基、C6~C15シクロアルキニル基、C3~C30ヘテロシクロアルキル基及びこれらの組み合わせより選ばれた置換基に置換されたものを意味する。
【0020】
以下で別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N、O、S、Se、Te、Si、及びPより選ばれたヘテロ原子を1個~4個含有するものを意味する。
以下で「組み合わせ」とは、混合及び二つ以上の積層構造を含む。
以下で「金属」は、金属、半金属又はこれらの組み合わせを含む。
以下で「エネルギー準位(energy level)」とは、最高占有分子軌道(highest occupied molecular orbital:HOMO)エネルギー準位又は最低非占有分子軌道(lowest unoccupied molecular orbital:LUMO)エネルギー準位である。
【0021】
以下で、仕事関数(workfunction)又はエネルギー準位の値は、真空レベル(vacuum level)からの絶対値で表される。
また、仕事関数又はエネルギー準位が深い、高い又は大きいとは、真空レベルを「0eV」にして絶対値が大きいことを意味し、仕事関数又はエネルギー準位が浅い、低い又は小さいとは、真空レベルを「0eV」にして絶対値が小さいことを意味する。
以下、本発明の一実施形態による光電変換素子を説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による光電変換素子の概略構成を示す断面図である。
図1を参照すると、本発明の一実施形態による光電変換素子100は、第1電極10、第2電極20、光電変換層30、及び無機ナノ層40を含む。
基板(図示せず)は、第1電極10側に配置されてもよく、第2電極20側に配置されてもよい。
【0023】
基板は、例えばガラスのような無機物質、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、又はこれらの組み合わせのような有機物質又はシリコンウェハなどで作られる。
基板は、省略することもできる。
【0024】
第1電極10と第2電極20は、互いに対向している。
第1電極10と第2電極20の内のいずれか一つはアノード(anode)であり、他の一つはカソード(cathode)である。
例えば、第1電極10はカソードであり、第2電極20はアノードであり得る。
一例として、第1電極10はアノードであり、第2電極20はカソードである。
一例として、第1電極10はカソードであり、第2電極20はアノードである。
【0025】
第1電極10と第2電極20の内の少なくとも一つは透明電極であり得る。
ここで透明電極は、光透過度約80%以上の高い透過率を有している透明電極であり得、例えばマイクロキャビティ(microcavity)のための半透明電極を含まなくてもよい。
透明電極は、例えば、酸化物導電体及び炭素導電体の内の少なくとも一つを含み得、酸化物導電体は、例えばインジウムスズ酸化物(indium tin oxide:ITO)、インジウム亜鉛酸化物(indium zinc oxide:IZO)、亜鉛スズ酸化物(zinc tin oxide:ZTO)、アルミニウムスズ酸化物(Aluminum tin oxide:AlTO)及びアルミニウム亜鉛酸化物(Aluminum zinc oxide:AZO)より選択される一つ以上であり得、炭素導電体は、グラフェン及び炭素ナノ体より選ばれた一つ以上であり得る。
【0026】
第1電極10と第2電極20の内のいずれか一つは反射電極であり得る。
ここで反射電極は、例えば、約10%未満の光透過度又は約5%以上の高い反射率を有する反射電極であり得る。
反射電極は、金属のような反射導電体を含み得、例えばアルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)又はこれらの合金を含み得る。
一例として、第1電極10は、光透過度80%以上の透明電極であるか、又は光透過度約10%未満の反射電極であり得る。
【0027】
光電変換層30は、第1電極10と第2電極20との間に配置される。
光電変換層30は、少なくとも一部の波長領域の光を吸収して電気的信号に変換し、例えば、緑波長領域の光(以下、「緑光」という)、青波長領域の光(以下、「青光」という)、赤波長領域の光(以下、「赤光」という)及び赤外線波長領域の光(以下、「赤外光」という)の内の一部を電気的信号に変換する。
一例として、光電変換層30は、緑光、青光、赤光、及び赤外光の内のいずれか一つを選択的に吸収する。
ここで、緑光、青光、赤光、及び赤外光の内のいずれか一つを選択的に吸収するとは、吸光スペクトルのピーク吸収波長(λmax)が、約500~600nm、約380nm以上500nm未満、約600nm超700nm以下、及び約700nm超の内のいずれか一つに存在し、該当波長領域内の吸光スペクトルがその他波長領域の吸光スペクトルより顕著に高いことを意味する。
【0028】
光電変換層30は、少なくとも一つのp型半導体と、少なくとも一つのn型半導体がpn接合(pn junction)を形成して、外部から光を受けて励起子(エキシトン:exciton)を生成した後、生成された励起子を正孔と電子に分離する。
p型半導体とn型半導体は、それぞれ吸光物質であり得、例えばp型半導体とn型半導体の内の少なくとも一つは有機吸光物質であり得る。
一例として、p型半導体とn型半導体の内の少なくとも一つは、所定波長領域の光を選択的に吸収する波長選択性吸光物質であり得、例えばp型半導体とn型半導体の内の少なくとも一つは波長選択性有機吸光物質であり得る。
p型半導体とn型半導体は、互いに同じであるか又は他の波長領域でピーク吸収波長(λmax)を有する。
一例として、p型半導体は電子供与モイエティ、パイ共役連結基及び電子収容モイエティを含むコア構造を有する有機物質であり得る。
【0029】
p型半導体は、例えば下記に示す化学式1で表されるが、これに限定されるものではない。
(化1)
EDG-HA-EAG ・・・化学式1
上記化学式1において、
HAは、S、Se、Te、及びSiの内の少なくとも一つを有するC2~C30ヘテロ環基であり得、
EDGは、電子供与モイエティであり得、
EAGは、電子収容モイエティであり得る。
【0030】
一例として、化学式1で表されるp型半導体は、例えば、下記に示す化学式1Aで表される。
【化1A】
上記化学式1Aにおいて、
Xは、S、Se、Te、SO、SO
2、又はSiR
aR
bであり得、
Arは、置換又は非置換されたC6~C30アリーレン基、置換又は非置換されたC3~C30ヘテロ環基又はこれらより選ばれた二つ以上の融合環であり得、
Ar
1a及びAr
2aは、それぞれ独立して置換又は非置換されたC6~C30アリール基又は置換又は非置換されたC3~C30ヘテロアリール基であり得、
Ar
1a及びAr
2aは、それぞれ独立して存在するか互いに結合して融合環を形成し得、
R
1a~R
3a、R
a及びR
bは、それぞれ独立して水素、重水素、置換又は非置換されたC1~C30アルキル基、置換又は非置換されたC6~C30アリール基、置換又は非置換されたC3~C30ヘテロアリール基、置換又は非置換されたC1~C6アルコキシ基、ハロゲン又はシアノ基であり得る。
【0031】
一例として、化学式1Aにおいて、Ar1a及びAr2aは、それぞれ独立して置換又は非置換されたフェニル基、置換又は非置換されたナフチル基、置換又は非置換されたアントラセニル基、置換又は非置換されたフェナントレニル基、置換又は非置換されたピリジニル(pyridinyl)基、置換又は非置換されたピラジニル(pyridazinyl)基、置換又は非置換されたピリミジニル(pyrimidinyl)基、置換又は非置換されたピラジニル(pyrazinyl)基、置換又は非置換されたキノリニル(quinolinyl)基、置換又は非置換されたイソキノリニル(isoquinolinyl)基、置換又は非置換されたナフチリジニル(naphthyridinyl)基、置換又は非置換されたシノリニル(cinnolinyl)基、置換又は非置換されたキナゾリニル(quinazolinyl)基、置換又は非置換されたフタラジニル(phthalazinyl)基、置換又は非置換されたベンゾトリアジニル(benzotriazinyl)基、置換又は非置換されたピリドピラジニル(pyridopyrazinyl)基、置換又は非置換されたピリドピリミジニル(pyridopyrimidinyl)基及び置換又は非置換されたピリドピリダジニル(pyridopyridazinyl)基より選ばれ得る。
【0032】
一例として、化学式1AのAr1a及びAr2aは、互いに融合して環を形成し、Ar1a及びAr2aは、例えば単結合、-(CRgRh)n2-(n2は1又は2)、-O-、-S-、-Se-、-N=、-NRi-、-SiRjRk-及び-GeRlRm-より選ばれた一つで連結されて環を形成し得る。
ここで、Rg~Rmは、それぞれ独立して水素、置換又は非置換されたC1~C30アルキル基、置換又は非置換されたC6~C30アリール基、置換又は非置換されたC3~C30ヘテロアリール基、置換又は非置換されたC1~C6アルコキシ基、ハロゲン又はシアノ基であり得る。
【0033】
一例として、化学式1で表されるp型半導体は、例えば、下記に示す化学式1B-1又は1B-2で表される。
【化1B-1】
【化1B-2】
【0034】
上記化学式1B-1又は1B-2において、
X1は、Se、Te、O、S、SO、又はSO2であり得、
Ar3は、置換又は非置換されたC6~C30アリーレン基、置換又は非置換されたC3~C30ヘテロ環基又はこれらより選ばれた二つ以上の融合環であり得、
R1~R3は、それぞれ独立して水素、重水素、置換又は非置換されたC1~C30アルキル基、置換又は非置換されたC1~C30アルコキシ基、置換又は非置換されたC6~C30アリール基、置換又は非置換されたC3~C30ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、シアノ含有基、及びこれらの組み合わせより選ばれ得、
Gは、単結合、-O-、-S-、-Se-、-N=、-(CRfRg)k-、-NRh-、-SiRiRj-、-GeRkRl-、-(C(Rm)=C(Rn))-、及びSnRoRpより選ばれ、
ここでRf、Rg、Rh、Ri、Rj、Rk、Rl、Rm、Rn、Ro及びRpは、それぞれ独立して水素、ハロゲン、置換又は非置換されたC1~C10アルキル基、置換又は非置換されたC1~C10アルコキシ基及び置換又は非置換されたC6~C12アリール基より選ばれ得、
RfとRg、RiとRj、RkとRl、RmとRn及びRoとRpは、それぞれ独立して存在するか、互いに連結されて環を形成し、
kは1又は2であり得、
Y2は、O、S、Se、Te、及びC(Rq)(CN)(ここでRqは水素、シアノ基(-CN)及びC1~C10アルキル基から選択される)より選ばれ得、
R6a~R6d、R7a~R7d、R16、及びR17は、それぞれ独立して水素、置換又は非置換されたC1~C30アルキル基、置換又は非置換されたC6~C30アリール基、置換又は非置換されたC3~C30ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、シアノ含有基、及びこれらの組み合わせより選ばれ得、
R6a~R6dは、それぞれ独立して存在するか互いに隣接する2個が互いに連結されて融合環を形成し得、
R7a~R7dは、それぞれ独立して存在するか互いに隣接する2個が互いに連結されて融合環を形成し得る。
【0035】
一例として、化学式1B-1又は1B-2のAr3は、ベンゼン、ナフチレン、アントラセン、チオフェン、セレノフェン、テルロフェン、ピリジン、ピリミジン、又はこれらより選ばれた二つ以上の融合環であり得る。
n型半導体は、例えば、フラーレン又はフラーレン誘導体であり得るが、これに限定されるものではない。
【0036】
光電変換層30は、p型半導体とn型半導体が、バルクヘテロ接合(bulk heterojunction)形態で混合された真性層(intrinsic layer,I層)であり得る。
この時、p型半導体とn型半導体は、約1:9~9:1の体積比で混合され得、前記範囲内で例えば約2:8~8:2の体積比で混合され得、前記範囲内で例えば約3:7~7:3の体積比で混合され得、前記範囲内で例えば約4:6~6:4の体積比で混合され得、前記範囲内で例えば約5:5の体積比で混合され得る。
光電変換層30は、前述したp型半導体を含むp型層と前述したn型半導体を含むn型層を含む二重層を含み得る。
この時、p型層とn型層の厚さ比は約1:9~9:1であり得、前記範囲内で例えば約2:8~8:2、約3:7~7:3、約4:6~6:4又は約5:5であり得る。
光電変換層30は、真性層の他に、p型層及び/又はn型層をさらに含み得る。
p型層は前述したp型半導体を含み得、n型層は前述したn型半導体を含み得る。
例えば、p型層/I層、I層/n型層、p型層/I層/n型層など多様な組み合わせで含まれ得る。
【0037】
無機ナノ層40は、第1電極10と光電変換層30との間に配置され、例えば、第1電極10に当接している。
一例として、無機ナノ層40の一面は、第1電極10に当接しており、無機ナノ層40の他の一面は光電変換層30に当接している。
無機ナノ層40は、数ナノメートル厚さの非常に薄い薄膜であり得、例えば約5nm以下、例えば約3nm以下、例えば約2nm以下の厚さを有し得る。
無機ナノ層40は、例えば約1nm~5nm、約1nm~3nm、約1nm~2nmの厚さを有し得る。
【0038】
無機ナノ層40は、第1電極10より低い仕事関数を有する無機物質を含み得る。
例えば、無機ナノ層40の仕事関数は、第1電極10の仕事関数より約0.5eV以上小さくてもよい。
例えば、第1電極10の仕事関数は、約4.5eV以上であり得、無機ナノ層40の仕事関数は、約4.0eV以下であり得る。
例えば、第1電極10の仕事関数は、約4.5eV以上であり得、無機ナノ層40の仕事関数は、約3.5eV以下であり得る。
例えば、第1電極10の仕事関数は、約4.5eV以上であり得、無機ナノ層40の仕事関数は、約3.0eV以下であり得る。
例えば、第1電極10の仕事関数は、約4.5eV以上であり得、無機ナノ層40の仕事関数は、約2.8eV以下であり得る。
例えば、第1電極10の仕事関数は、約4.5eV~5.0eVであり得、無機ナノ層40の仕事関数は、約1.5eV~4.0eV、約1.5eV~3.5eV、約1.5eV~3.0eV、約1.5eV~2.8eVであり得る。
【0039】
一方、無機ナノ層40は、上述した仕事関数を満足すると同時に熱蒸着(thermal evaporation)により形成される物質で作られる。
このように、無機ナノ層40が熱蒸着によって形成されることによって無機ナノ層40の形成段階及び/又は後続工程で光電変換層30が熱的物理的損傷を受けることを防止することによって、光電変換層30の劣化による性能低下を防止することができる。
このような特性を満足できる無機物質として、例えばランタン族元素、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、アルミニウム(Al)又はこれらの合金を含み得る。
ランタン族元素は、例えばイッテルビウム(Yb)を含み得る。
【0040】
上述したように無機ナノ層40は、第1電極10と光電変換層30との間で第1電極10の表面に当接しており、第1電極10に比べて非常に薄い厚さを有し得る。
これにより、無機ナノ層40は、光電変換層30に対向する第1電極10の表面で第1電極10の表面処理層と同じ役割をすることができ、例えば、光電変換層30に対向する第1電極10の表面で第1電極10の有効仕事関数(effective workfunction)を調整する役割をすることができる。
ここで、有効仕事関数は、電気的特性が相違する二つの層が当接する構造で二つの層の界面における仕事関数であり得る。
第1電極10と光電変換層30との界面における第1電極10の有効仕事関数は、上述した非常に薄い厚さの無機ナノ層40により調整され得、例えば第1電極10と無機ナノ層40の複合仕事関数であり得る。
【0041】
一例として、光電変換層30に対向する第1電極10の表面における有効仕事関数は、無機ナノ層40の影響によって第1電極10をなす透明導電体又は反射導電体の仕事関数と異なってもよく、例えば光電変換層30に対向する第1電極10の表面における有効仕事関数は、第1電極10をなす透明導電体又は反射導電体の仕事関数より小さくてもよい。
例えば、光電変換層30に対向する第1電極10の表面における有効仕事関数は、無機ナノ層40の仕事関数と同じであるか、無機ナノ層40の仕事関数と第1電極10の仕事関数の中間値であり得る。
【0042】
一例として、第1電極10をなす透明導電体又は反射導電体の仕事関数と光電変換層30に対向する第1電極10の表面における有効仕事関数の差は、約0.5eV以上であり得る。
一例として、第1電極10をなす透明導電体又は反射導電体の仕事関数は、約4.5eV以上であり得、第1電極10の表面における有効仕事関数は、約4.0eV以下であり得る。
例えば、第1電極10をなす透明導電体又は反射導電体の仕事関数は、約4.5eV以上であり得、第1電極10の表面における有効仕事関数は、約3.5eV以下であり得る。
例えば、第1電極10をなす透明導電体又は反射導電体の仕事関数は、約4.5eV以上であり得、第1電極10の表面における有効仕事関数は、約3.0eV以下であり得る。
例えば、第1電極10をなす透明導電体又は反射導電体の仕事関数は、約4.5eV以上であり得、第1電極10の表面における有効仕事関数は、約2.8eV以下であり得る。
例えば、第1電極10をなす透明導電体又は反射導電体の仕事関数は、約4.5eV~5.0eVであり得、第1電極10の表面における有効仕事関数は、約1.5eV~4.0eV、約1.5eV~3.5eV、約1.5eV~3.0eV、約1.5eV~2.8eVであり得る。
【0043】
このように光電変換層30に対向する第1電極10の表面における仕事関数を低くすることによって、光電変換層30から第1電極10に移動する電荷(例えば電子)の抽出を容易にして残留電荷(remaining charge carriers)を減らし、高い電荷抽出効率を示し得る。
【0044】
光電変換素子100は、第1電極10又は第2電極20の一面に反射防止層(図示せず)をさらに含み得る。
反射防止層は、光が入射する側に配置され、入射光の反射度を低くすることによって光吸水度をさらに改善することができる。
例えば、第1電極10側に光が入射する場合、反射防止層は、第1電極10の一面に配置され得、第2電極20側に光が入射する場合、反射防止層は第2電極20の一面に配置され得る。
反射防止層は、例えば、約1.6~2.5の屈折率を有する物質を含み得、例えば前記範囲の屈折率を有する金属酸化物、金属硫化物及び有機物のうち少なくとも一つを含み得る。
【0045】
反射防止層は、例えば、アルミニウム含有酸化物、モリブデン含有酸化物、タングステン含有酸化物、バナジウム含有酸化物、レニウム含有酸化物、ニオビウム含有酸化物、タンタル含有酸化物、チタニウム含有酸化物、ニッケル含有酸化物、銅含有酸化物、コバルト含有酸化物、マンガン含有酸化物、クロム含有酸化物、テルリウム含有酸化物、又はこれらの組み合わせのような金属酸化物、亜鉛スルフィドのような金属硫化物、又はアミン誘導体のような有機物を含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0046】
光電変換素子100は、第1電極10又は第2電極20側から光が入射し、光電変換層30が所定波長領域の光を吸収すると内部で励起子(エキシトン)が生成される。
励起子(エキシトン)は、光電変換層30で正孔と電子に分離し、分離した正孔は第1電極10と第2電極20の内の一つであるアノード側に移動し、分離した電子は第1電極10と第2電極20の内の他の一つのカソード側に移動して電流が流れるようになる。
以下、本発明の他の実施形態による光電変換素子を説明する。
【0047】
図2は、本発明の他の実施形態による光電変換素子の概略構成を示す断面図である。
図2を参照すると、本発明の実施形態による光電変換素子200は、前述した実施形態と同様に第1電極10、第2電極20、光電変換層30、及び無機ナノ層40を含む。
しかし、本実施形態による光電変換素子200は、前述した実施形態とは異なり、第2電極20と光電変換層30との間に電荷補助層45をさらに含む。
電荷補助層45は、光電変換層30から分離した電荷(例えば正孔)の移動を容易にして効率を上げることができる。
【0048】
電荷補助層45は、例えば有機物、無機物、又は有無機物を含み得る。
有機物は、正孔又は電子特性を有する有機化合物であり得、無機物は、例えば、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、ニッケル酸化物のような金属酸化物であり得る。
電荷補助層45は、例えば、可視光線領域の光を実質的に吸収しない可視光非吸収物質を含み得、例えば可視光非吸収有機物質であり得る。
【0049】
一例として、可視光非吸収物質は、下記に示す化学式2A又は2Bで表される化合物であり得るが、これに限定されるものではない。
【化2A】
【化2B】
【0050】
化学式2A又は2Bにおいて、
M1及びM2は、それぞれ独立してCRnRo、SiRpRq、NRr、O、S、Se、又はTeであり、
Ar1b、Ar2b、Ar3b、及びAr4bは、それぞれ独立して置換又は非置換されたC6~C30アリール基又は置換又は非置換されたC3~C30ヘテロアリール基であり、
G2及びG3は、それぞれ独立して単結合、-(CRsRt)n3-、-O-、-S-、-Se-、-N=、-NRu-、-SiRvRw-、又は-GeRxRy-であり、ここでn3は、1又は2であり、
R30~R37及びRn~Ryは、それぞれ独立して水素、置換又は非置換されたC1~C30アルキル基、置換又は非置換されたC6~C30アリール基、置換又は非置換されたC3~C30ヘテロ環基、置換又は非置換されたC1~C6アルコキシ基、ハロゲン又はシアノ基である。
【0051】
一例として、可視光非吸収物質は、下記に示す化学式2A-1又は2B-1で表される化合物であり得るが、これに限定されるものではない。
【化2A-1】
【化2B-1】
【0052】
化学式2A-1又は2B-1において、
M1、M2、G2、G3、R30~R37は、前述したとおりであり、
R38~R45は、それぞれ独立して水素、置換又は非置換されたC1~C30アルキル基、置換又は非置換されたC6~C30アリール基、置換又は非置換されたC3~C30ヘテロアリール基、置換又は非置換されたC1~C6アルコキシ基、ハロゲン又はシアノ基であり得る。
【0053】
一例として、可視光非吸収物質は、下記に示す化学式2A-1a又は2B-1aで表される化合物であり得るが、これに限定されるものではない。
【化2A-1a】
【化2B-1a】
化学式2A-1a又は2B-1aにおいて、R
38~R
45及びR
o及びR
nは、前述したとおりである。
【0054】
前述した光電変換素子(100、200)は、多様な電子装置に適用し得、例えば太陽電池、有機センサ、光検出器及び光センサなどに適用できるが、これに限定されるものではない。
光電変換素子(100、200)は、例えば、有機センサに適用し得、例えば、有機センサの一例であるイメージセンサに適用することができる。
以下、上述した光電変換素子を適用したイメージセンサの一例について図面を参照して説明する。
ここではイメージセンサの一例として有機CMOSイメージセンサについて説明する。
【0055】
図3は、本発明の一実施形態による有機CMOSイメージセンサの概略構成を示す断面図である。
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるイメージセンサ300は、半導体基板110、絶縁層80、光電変換素子100、及び色フィルタ層70を含む。
【0056】
半導体基板110は、シリコン基板であり得、転送トランジスタ(図示せず)及び電荷ストレージ55が集積されている。
転送トランジスタ及び/又は電荷ストレージ55は、各画素ごとに集積されている。
電荷ストレージ55は、光電変換素子100と電気的に接続される。
半導体基板110の上には、また、金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成される。
金属配線及びパッドは、信号遅延を減らすために低い比抵抗を有する金属、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、及びこれらの合金で作られるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
金属配線及びパッドの上には絶縁層80が形成される。
絶縁層80は、酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素のような無機絶縁物質、又はSiC、SiCOH、SiCO、及びSiOFのような低誘電率(low K)物質で作られる。
絶縁層80は、電荷ストレージ55を露出するトレンチ85を有する。
トレンチ85は、充電材で満たされている。
【0058】
絶縁層80の上には前述した光電変換素子100が形成される。
光電変換素子100は、前述したように第1電極10、第2電極20、光電変換層30、及び無機ナノ層40を含む。
第2電極20は、受光電極(light-receiving electrode)であり、第1電極10は電荷ストレージ55と接続される。
図3では
図1に示す光電変換素子100を例示したが、
図2に示す光電変換素子200も同様に適用することができる。
光電変換素子(100、200)に対する説明は前述したとおりである。
【0059】
光電変換素子100の上には色フィルタ層70が形成される。
色フィルタ層70は、青画素に形成される青フィルタ70a、赤画素に形成される赤フィルタ70b、及び緑画素に形成される緑フィルタ70cを含む。
しかし、これに限定されず、シアンフィルタ、マゼンタフィルタ、及び/又はイエローフィルタを青フィルタ70a、赤フィルタ70b、及び緑フィルタ70cの内の少なくとも一つに代わって含むか、青フィルタ70a、赤フィルタ70b、及び緑フィルタ70cに追加してさらに含み得る。
光電変換素子100と色フィルタ層70との間には絶縁膜(図示せず)が追加で形成される。
【0060】
色フィルタ層70の上には集光レンズ(図示せず)がさらに形成される。
集光レンズは、入射光の方向を制御して光を一つの地点に集める。
集光レンズは、例えば、シリンダ形又は半球形であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0061】
図4は、本発明の他の実施形態による有機CMOSイメージセンサの概略構成を示す断面図である。
図4を参照すると、本発明の一実施形態によるイメージセンサ400は、前述した実施形態と同様に、半導体基板110、絶縁層80、光電変換素子100、及び色フィルタ層70を含む。
具体的な説明は前述したとおりである。
【0062】
しかし、本実施形態によるイメージセンサ400は、前述した実施形態とは異なり、第1電極10と第2電極20の配置が変わっている。
すなわち、第1電極10は受光電極であり、第2電極20は電荷ストレージ55と接続される。
図4では
図1の光電変換素子100が積層された構造を例示的に示すが、
図2の光電変換素子200が積層された構造も同様に適用することができる。
光電変換素子(100、200)に対する説明は前述したとおりである。
【0063】
図5は、本発明の一実施形態による有機CMOSイメージセンサを概略的に示す平面図であり、
図6は、
図5の有機CMOSイメージセンサの概略構成を示す断面図である。
図5及び
図6を参照すると、本発明の一実施形態によるイメージセンサ500は、光感知素子(50a、50b)、転送トランジスタ(図示せず)、及び電荷ストレージ55が集積されている半導体基板110、下部絶縁層60、色フィルタ層70、上部絶縁層80及び、前述した光電変換素子100を含む。
【0064】
半導体基板110は、シリコン基板であり、光感知素子(50a、50b)、転送トランジスタ(図示せず)、及び電荷ストレージ55が集積される。
光感知素子(50a、50b)は、光ダイオード(photodiode)であり得る。
光感知素子(50a、50b)、転送トランジスタ、及び/又は電荷ストレージ55は、各画素ごとに集積されてもよく、一例として、図に示すように光感知素子(50a、50b)は、青画素及び赤画素にそれぞれ含まれ、電荷ストレージ55は緑画素に含まれ得る。
光感知素子(50a、50b)は、光をセンシングし、センシングした情報は転送トランジスタによって伝達され、電荷ストレージ55は光電変換素子100の第1電極10に電気的に接続されており、電荷ストレージ55の情報は転送トランジスタによって伝達される。
【0065】
半導体基板110の上には、また、金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成される。
金属配線及びパッドは、信号遅延を減らすために低い比抵抗を有する金属、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、及びこれらの合金で作られるが、これらに限定されるものではない。
しかし、上記構造に限定されず、金属配線及びパッドが光感知素子(50a、50b)の下部に配置されてもよい。
【0066】
金属配線及びパッドの上には、下部絶縁層60が形成される。
下部絶縁層60は、酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素のような無機絶縁物質、又はSiC、SiCOH、SiCO、及びSiOFのような低誘電率(low K)物質で作られる。
下部絶縁層60は、電荷ストレージ55を露出するトレンチ85を有する。
トレンチ85は、充電材で満たされている。
【0067】
下部絶縁層60の上には、色フィルタ層70が形成される。
色フィルタ層70は、青画素に形成されている青フィルタ70aと赤画素に形成されている赤フィルタ70bを含む。
本実施形態では緑フィルタを備えていない例を説明しているが、場合によっては緑フィルタを備えることもできる。
また、シアンフィルタ、マゼンタフィルタ、及び/又はイエローフィルタを、青フィルタ70a及び/又は赤フィルタ70bに代えて含むか、青フィルタ70a及び赤フィルタ70bに追加してさらに含み得る。
【0068】
色フィルタ層70の上には、上部絶縁層80が形成される。
上部絶縁層80は、色フィルタ層70による段差をなくして平坦化する。
上部絶縁層80及び下部絶縁層60は、パッドを露出する接触口(図示せず)と緑画素の電荷ストレージ55を露出するトレンチ85を有する。
【0069】
上部絶縁層80の上には、前述した光電変換素子100が形成される。
光電変換素子100は、前述したように第1電極10、第2電極20、光電変換層30、及び無機ナノ層40を含む。
第2電極20は受光電極であり、第1電極10は電荷ストレージ55と接続される。
【0070】
図6では
図1の光電変換素子100が積層された構造を例示的に示すが、
図2の光電変換素子200が積層された構造も同様に適用することができる。
光電変換素子(100、200)に対する説明は前述したとおりである。
光電変換素子100の上には集光レンズ(図示せず)がさらに形成される。
集光レンズは、入射光の方向を制御して光を一つの地点で集める。
集光レンズは、例えば、シリンダ形又は半球形であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0071】
図7は、
図5の有機CMOSイメージセンサの他の例の概略構成を示す断面図である。
図7を参照すると、本実施形態によるイメージセンサ600は前述した実施形態と同様に光感知素子(50a、50b)、転送トランジスタ(図示せず)及び電荷ストレージ55が集積されている半導体基板110、下部絶縁層60、色フィルタ層70、上部絶縁層80及び光電変換素子100を含む。
【0072】
しかし、本実施形態によるイメージセンサ600は、前述した実施形態とは異なり、第1電極10と第2電極20の位置が変わっている。
すなわち第1電極10は受光電極であり、第2電極20は電荷ストレージ55と接続される。
図7では
図1の光電変換素子100が積層された構造を例示的に示すが、
図2の光電変換素子200が積層された構造も同様に適用することができる。
【0073】
図8は、
図5の有機CMOSイメージセンサのさらに他の例の概略構成を示す断面図である。
本実施形態によるイメージセンサ700は、前述した実施形態と同様に光感知素子(50a、50b)、転送トランジスタ(図示せず)及び電荷ストレージ55が集積されている半導体基板110、トレンチ85を有する上部絶縁層80、及び光電変換素子100を含む。
【0074】
しかし、本実施形態によるイメージセンサ700は、前述した実施形態とは異なり、光感知素子(50a、50b)が垂直方向に積層されており、色フィルタ層70が省略されている。
光感知素子(50a、50b)は、電荷ストレージ(図示せず)と電気的に接続されており、転送トランジスタによって伝達される。
光感知素子(50a、50b)は、積層深さに応じて各波長領域の光を選択的に吸収することができる。
図8では
図1の光電変換素子100が積層された構造を例示的に示すが、
図2の光電変換素子200が積層された構造も同様に適用することができる。
【0075】
図9は、
図5の有機CMOSイメージセンサのさらに他の例の概略構成を示す断面図である。
図9を参照すると、本実施形態によるイメージセンサ800は、前述した実施形態と同様に光感知素子(50a、50b)、転送トランジスタ(図示せず)及び電荷ストレージ55が集積されている半導体基板110、トレンチ85を有する上部絶縁層80、及び光電変換素子100を含む。
【0076】
しかし、本実施形態によるイメージセンサ800は、前述した実施形態とは異なり、第1電極10と第2電極20の位置が変わっている。
すなわち第1電極10は受光電極であり、第2電極20は電荷ストレージ55と接続される。
図9では
図1の光電変換素子100が積層された構造を例示的に示すが、
図2の光電変換素子200が積層された構造も同様に適用することができる。
【0077】
図10は、さらに他の実施形態による有機CMOSイメージセンサを概略的に示す平面図であり、
図11は、
図10の有機CMOSイメージセンサの概略構成の一例を示す断面図である。
本実施形態による有機CMOSイメージセンサ900は、緑波長領域の光を選択的に吸収する緑光電変換素子、青波長領域の光を選択的に吸収する青光電変換素子、及び赤波長領域の光を選択的に吸収する赤光電変換素子が積層される構造である。
【0078】
本実施形態による有機CMOSイメージセンサ900は、半導体基板110、下部絶縁層60、中間絶縁層65、上部絶縁層80、第1光電変換素子100a、第2光電変換素子100b、及び第3光電変換素子100cを含む。
半導体基板110は、シリコン基板であり得、転送トランジスタ(図示せず)及び電荷ストレージ(55a、55b、55c)が集積される。
半導体基板110の上には金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成され、金属配線及びパッドの上には下部絶縁層60が形成される。
下部絶縁層60の上には第1光電変換素子100aが形成される。
【0079】
第1光電変換素子100aは、互いに対向する第1電極10aと第2電極20a、第1電極10aと第2電極20aとの間に配置される光電変換層30a及び無機ナノ層40aを含む。
第1電極10a、第2電極20a、光電変換層30a、及び無機ナノ層40aは、前述したとおりであり、光電変換層30aは、赤、青、及び緑の内のいずれか一つの波長領域の光を選択的に吸収することができる。
例えば、第1光電変換素子100aは赤光電変換素子である。
第2電極20aは受光電極であり、第1電極10aは電荷ストレージ55aと接続される。
【0080】
第1光電変換素子100aの上には中間絶縁層65が形成される。
中間絶縁層65の上には第2光電変換素子100bが形成されている。
第2光電変換素子100bは、互いに対向する第1電極10bと第2電極20b、第1電極10bと第2電極20bとの間に配置される光電変換層30b、及び無機ナノ層40bを含む。
第1電極10b、第2電極20b、光電変換層30b、及び無機ナノ層40bは前述したとおりであり、光電変換層30bは、赤、青、及び緑の内のいずれか一つの波長領域の光を選択的に吸収することができる。
例えば、第2光電変換素子100bは青光電変換素子である。
第2電極20bは受光電極であり、第1電極10bは電荷ストレージ55bと接続される。
【0081】
第2光電変換素子100bの上には上部絶縁層80が形成される。
下部絶縁層60、中間絶縁層65、及び上部絶縁層80は、電荷ストレージ(55a、55b、55c)を露出する複数の貫通口を有する。
【0082】
上部絶縁層80の上には第3光電変換素子100cが形成される。
第3光電変換素子100cは、互いに対向する第1電極10cと第2電極20c、第1電極10cと第2電極20cとの間に配置される光電変換層30c、及び無機ナノ層40cを含む。
第1電極10c、第2電極20c、光電変換層30c、及び無機ナノ層40cは前述したとおりであり、光電変換層30cは、赤、青、及び緑の内のいずれか一つの波長領域の光を選択的に吸収することができる。
例えば、第3光電変換素子100cは緑光電変換素子であり、前述した光電変換素子100を適用することができる。
第2電極20cは、受光電極であり、第1電極10cは電荷ストレージ55cと接続される。
【0083】
光電変換素子100cの上には集光レンズ(図示せず)がさらに形成され得る。
集光レンズは、入射光の方向を制御して光を一つの地点に集める。
集光レンズは、例えば、シリンダ形又は半球形であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0084】
図では、第1光電変換素子100a、第2光電変換素子100b、及び第3光電変換素子100cとして
図1の光電変換素子100を例示的に示すが、
図2に示す光電変換素子200も同様に適用することができる。
図では、第1光電変換素子100a、第2光電変換素子100b、及び第3光電変換素子100cが順次に積層された構造を示すが、これに限定されず積層順序は多様に変更することができる。
上記のように、互いに異なる波長領域の光を吸収する第1光電変換素子100a、第2光電変換素子100b、及び第3光電変換素子100cが積層された構造を有することによって、イメージセンサの大きさをさらに減らして小型化イメージセンサを実現することができる。
【0085】
図12は、
図10の有機CMOSイメージセンサの概略構成の他の例を示す断面図である。
図12を参照すると、本実施形態による有機CMOSイメージセンサ1000は、前述した実施形態と同様に半導体基板110、下部絶縁層60、中間絶縁層65、上部絶縁層80、第1光電変換素子100a、第2光電変換素子100b、及び第3光電変換素子100cを含む。
しかし、前述した実施形態とは異なり、第1光電変換素子100a、第2光電変換素子100b、及び第3光電変換素子100cの第1電極10と第2電極20の位置が変わっている。
すなわち第1電極(10a、10b、10c)は受光電極であり、第2電極(20a、20b、20c)は、電荷ストレージ(55a、55b、55c)と接続される。
【0086】
図13は、本発明のさらに他の実施形態による有機CMOSイメージセンサを概略的に示す平面図であり、
図14は、
図13の有機CMOSイメージセンサの概略構成の一例を示す断面図である。
図13及び14を参照すると、有機CMOSイメージセンサ1100は、半導体基板110の上に配置される光電変換素子90を含み、光電変換素子90は複数の光電変換素子(90-1、90-2、90-3)を含む。
【0087】
複数の光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は、互いに異なる波長領域の光(例えば青光、緑光、又は赤光)を電気的信号に変換し得る。
図14を参照すると、複数の光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は、半導体基板110の上で水平方向に並んで配列され、半導体基板110の表面110aに並んでいるように延長した方向に互いに部分的に又は全体的に重なっている。
各光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は、トレンチ85を介して半導体基板110内に集積された電荷ストレージ55に接続される。
各光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は、前述した光電変換素子(100、200)の内の一つであり得る。
【0088】
一例として、二つ以上の光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は、光電変換素子(90-1、90-2、90-3)の間で連続して延長する共通の連続層の相違する部分を含む。
一例として、複数の光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は、共通の第1電極10及び/又は共通の第2電極20を共有する。
一例として、二つ以上の光電変換素子(90-2、90-2、90-3)は、入射光の相違する波長領域の光を吸収できる相違する光電変換層30を有する。
一例として、二つ以上の光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は、相違する構成の無機ナノ層40を含む。
有機CMOSイメージセンサ1100のその他の構造は、
図3~12で説明した有機CMOSイメージの内の一つ以上と同じであり得る。
【0089】
図15は、本発明の実施形態による有機CMOSイメージセンサの概略構成の他の例を示す断面図である。
図15を参照すると、有機CMOSイメージセンサ1200は、半導体基板110と半導体基板110の上に積層されている光電変換素子(90-1、91)を含む。
光電変換素子91は、複数の光電変換素子(90-2、90-3)を含み、複数の光電変換素子(90-2、90-3)は、半導体基板110の表面110aに並んでいるように延長する方向に重なるように配列される。
【0090】
複数の光電変換素子(90-1、90-2、90-3)は、互いに異なる波長領域の光(例えば青光、緑光、又は赤光)を電気的信号に光電変換し得る。
一例として、光電変換素子(91)は、互いに異なる波長領域の光を吸収できる水平配列された複数の光電変換素子(90-2、90-3)を含む。
一例として、光電変換素子91は、青光、緑光、及び赤光より選ばれた一つの波長領域の光を光電変換する。
一例として、光電変換素子91は、光電変換素子(90-1)と全体的に、又は部分的に重畳している。
有機CMOSイメージセンサ1200のその他の構造は、
図3~12で説明した有機CMOSイメージの内の一つ以上と同じであり得る。
【0091】
図16は、本発明の実施形態による有機CMOSイメージセンサの概略構成のさらに他の例を示す断面図である。
図16を参照すると、有機CMOSイメージセンサ1300は、光感知素子(50a、50b)、転送トランジスタ(図示せず)及び電荷ストレージ55が集積されている半導体基板110、半導体基板110の上部に配置される上部絶縁層80、及び色フィルタ層70、半導体基板110の下部に位置する下部絶縁層60及び光電変換素子90を含む。
光電変換素子90は前述した光電変換素子(100、200)であり得る。
【0092】
図16において、光電変換素子90は、半導体基板110の下部に位置することによって光感知素子(50a、50b)に対して光電変換素子90と色フィルタ層70は分離して配置される。
有機CMOSイメージセンサ1300のその他の構造は、
図3~12で説明した有機CMOSイメージのうち一つ以上と同じであり得る。
上述した光電変換素子及びイメージセンサを含む有機センサは、それぞれ多様な電子装置に適用され得、例えば、モバイルフォン、デジタルカメラなどに適用できるが、これらに限定されるものではない。
【0093】
図17は、本発明の一実施形態による電子装置の概略的な構成を示す図である。
図17を参照すると、電子装置1700は、バス(bus)1710を介して電気的に接続されたプロセッサ1720、メモリ1730、及び有機CMOSイメージセンサ1740を含む。
有機CMOSイメージセンサ1740は、前述した実施形態によるものの内のいずれか一つであり得る。
非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体であるメモリ1730は、指示プログラムを保存する。
プロセッサ1720は、一つ以上の機能を実行するために保存された指示プログラムを実行する。
一例として、プロセッサ1720は、有機CMOSイメージセンサ1740により生成された電気的信号を処理する。
プロセッサ1720は、このような処理に基づいて、出力(例えば、ディスプレイインターフェース上に表示されるイメージ)を生成する。
【0094】
以下、下記に示す実施例により上述した実施形態をより詳細に説明する。
ただし、下記の実施例は、単に説明の目的のためのものであり、権利範囲を制限するものではない。
【0095】
<実施例1>
ガラス基板の上にITOをスパッタリングで積層して150nm厚さのアノードを形成する。
次いで、アノードの上に下記に示す化学式Aで表される化合物を蒸着して5nm厚さの電荷補助層を形成する。
次いで、電荷補助層の上に下記に示す化学式B-1で表されるp型半導体(λ
max:545nm)とフラーレン(C60)であるn型半導体を1:1体積比で共蒸着して100nm厚さの光電変換層を形成する。
次いで、光電変換層の上にYb(WF:2.6eV)を熱蒸着して1.5nm厚さの無機ナノ層を形成する。
次いで、無機ナノ層の上にITO(WF:4.7eV)をスパッタリングして7nm厚さのカソードを形成する。
次いで、カソードの上に酸化アルミニウム(Al
2O
3)を蒸着して50nm厚さの反射防止層を形成してガラス板で封止して光電変換素子を製作する。
【化A】
【化B-1】
【0096】
<比較例1>
無機ナノ層を形成しないことを除いては、実施例1と同様の方法により光電変換素子を製作する。
【0097】
<実施例2>
p型半導体とn型半導体を1.2:1の体積比で共蒸着して90nm厚さの光電変換層を形成したことを除いては実施例1と同様の方法により光電変換素子を製作する。
【0098】
<比較例2>
無機ナノ層を形成しないことを除いては実施例2と同様の方法により光電変換素子を製作する。
【0099】
<実施例3>
p型半導体とn型半導体を2.5:1の体積比で共蒸着して80nm厚さの光電変換層を形成したことを除いては実施例1と同様の方法により光電変換素子を製作する。
【0100】
<比較例3>
無機ナノ層を形成しないことを除いては実施例3と同様の方法により光電変換素子を製作する。
【0101】
≪評価I≫
実施例と比較例による光電変換素子の残留電子(remaining electrons)の特性を評価する。
残留電子の特性は、1フレーム(frame)で光電変換された電荷が信号処理に用いられず残っており、次のフレームで以前のフレームの電荷が読まれる電荷の量をいい、実施例と比較例による光電変換素子に光電変換が起き得る波長領域の光を一定時間照射し、光を消した後、「Keithley 2400」装置で、10-6秒単位で測定される電流量から評価する。
【0102】
その結果は、表1~3のとおりである。
【表1】
【表2】
【表3】
表1~3を参照すると、無機ナノ層を含む実施例による光電変換素子は、無機ナノ層を含まなかった比較例による光電変換素子と比較して残留電子の特性が改善されたことを確認することができる。
【0103】
≪評価II≫
実施例と比較例による光電変換素子の光電変換効率を評価する。
光電変換効率(EQE)は、400nm~720nm波長領域で「Incident Photon to Current Efficiency」(IPCE)方法で評価する。
【0104】
その結果は、表4及び5のとおりである。
【表4】
【表5】
表4、5を参照すると、実施例による光電変換素子は比較例による光電変換素子と比較して等しいか改善された光電変換効率を示すことを確認することができる。
【0105】
≪評価III≫
実施例と比較例による光電変換素子を適用した有機CMOSイメージセンサを設計して有機CMOSイメージセンサのYSNR10を評価する。
有機CMOSイメージセンサのYSNR10は、信号とノイズの比率(signal/noise)が10になる照度(単位:lux)であり、ここで信号はFDTD(finite difference time domainmethod)方法で計算されたRGB源信号(RGB raw signal)を色補正マトリックス(color correctionmatrix:CCM)による色補正段階を経て得た信号の感度であり、ノイズは有機CMOSイメージセンサで信号を測定するとき発生するノイズである。
色補正段階は、有機CMOSイメージセンサから得たRGB源信号に対しイメージプロセッシングを行って実際の色との差を減らす工程である。
YSNR10値が小さいほど低い照度でイメージ特性が良好であることを意味する。
【0106】
その結果は、表6のとおりである。
【表6】
表6を参照すると、実施例による光電変換素子は比較例による光電変換素子と比較してYSNR10が低くなることを確認することができ、これから有機CMOSイメージセンサの感度が改善される可能性があることを予想することができる。
【0107】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0108】
10、10a、10b、10c 第1電極
20、20a、20b、20c 第2電極
30、30a、30b、30c 光電変換層
40、40a、40b、40c 無機ナノ層
45 電荷補助層
50a、50b、50c 光感知素子
55、55a、55b、55c 電荷ストレージ
60 下部絶縁層
65 中間絶縁層
70 色フィルタ層
70a、70b、70c (青、赤、緑)フィルタ
80 (上部)絶縁層
85 トレンチ
90、91、100、200 光電変換素子
100a、100b、100c (第1~第3)光電変換素子
110 半導体基板
300、400、500、600、700、800 イメージセンサ
900、1000、1100、1200、1300、1740 有機CMOSイメージセンサ
1700 電子装置
1710 バス(bus)
1720 プロセッサ
1730 メモリ