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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】油性組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20240229BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240229BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/02
A61K8/86
A61K8/92
A61Q17/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019239659
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107365
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-10-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 紗希
(72)【発明者】
【氏名】西田 圭太
(72)【発明者】
【氏名】ガン キャンピン
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-107865(JP,A)
【文献】特開2010-150172(JP,A)
【文献】特開昭61-289014(JP,A)
【文献】特開2006-306764(JP,A)
【文献】特開2003-160430(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104771352(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)HLB12以下のポリオキシエチレン(POE)硬化ヒマシ油と、
(B)ジステアルジモニウムヘクトライトと、
(C)極性油と、
(D)油と、
を含む、油性組成物であって、
前記ポリオキシエチレン(POE)硬化ヒマシ油が、POE硬化ヒマシ油エーテル、PO
E硬化ヒマシ油エーテルモノイソステアリン酸エステル、及びPOE硬化ヒマシ油エーテ
ルトリイソステアリン酸エステルからなる群から選択される少なくとも一の物質であり、
前記(C)極性油には、紫外線吸収機能がある極性油が含まれ、前記極性油は前記油性組成物中に5~50%含まれ、かつ、
前記(A)HLB12以下のポリオキシエチレン(POE)硬化ヒマシ油対前記(B)ジステアルジモニウムヘクトライトの割合が質量比で1:1であり、
前記(C)極性油にはメトキシケイヒ酸エチルヘキシルが含まれ、
前記(D)油は、イソドデカン、水添ポリデセン、ジメチコン、又はカプリルルメチコンから選択される1種又は2種以上であり、かつ
前記油性組成物全量に対して、前記(C)極性油の配合量と前記(D)油の配合量の合計の配合量に対する、前記(B)ジステアルジモニウムヘクトライトの配合量の比率((B):((C)+(D)))が、1:10~1:50である、
油性組成物。
【請求項2】
前記(D)油は、(C)極性油以外の油分中に90質量%以上含まれる、請求項1に記載の油性組成物。
【請求項3】
前記(D)油にワックスが含まれる場合、前記ワックスの含有量が前記油性組成物全量の2質量%以下である、請求項1に記載の油性組成物。
【請求項4】
油中水型乳化組成物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の油性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料や医薬部外品等の肌に塗布するクリーム等の成分には極性油が多く配合された油性組成物が用いられる場合が多い(特許文献1)。そのような油性組成物を含む製品においては、製品の安定性を高め、使用感を高めるためにデカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シリコーン油が用いられている。環状シリコーン油には耐熱、耐寒性、化学的安定性、撥水性、表面張力が低いという優れた性質があり、化粧料等多くの産業分野で広く用いられている。
【0003】
ところで、近年の環境問題に対する問題意識から、化粧料等に配合する化学物質やその配合量の多様化を図る動きがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-120525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
油性組成物を化粧料や医薬部外品等に用いる場合に、極性油の配合量をより多くできれば、より好ましい場合がある。
【0006】
そこで、本発明の一態様は、極性油が多く配合された油性組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明の一態様として、(A)HLB12以下のポリオキシエチレン(POE)硬化ヒマシ油と、(B)有機変性粘土鉱物と、(C)極性油と、を含む、油性組成物を見出した。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、極性油が多く配合された油性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様は、(A)HLB12以下のポリオキシエチレン(POE)硬化ヒマシ油と、(B)有機変性粘土鉱物と、(C)極性油と、を含む、油性組成物に関する。以下に本発明の一態様について詳細に説明するが、本発明の実施の形態はこれらに限定されない。
【0010】
<(A)HLB12以下のポリオキシエチレン(POE)硬化ヒマシ油>
POE硬化ヒマシ油とは、ヒマシ油に水素とポリエチレングリコール(PEG)が結合したものであり、広く界面活性剤に含まれる。本発明の一態様で用いられるPOE硬化ヒマシ油は、HLB12以下のものが用いられる。ここで、用語「HLB」とは、界面活性剤の水と油への親和性の程度を示すHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)値をいう。本発明の一態様に関するHLB値は、以下の
【0011】
【数1】
(ただし、MWは親水基部の分子量を表し、MOは親油基部の分子量を表す)
で表される式により算出される値を用いる。
【0012】
HLB12以下POE硬化ヒマシ油としては、硬化ヒマシ油(HLB=6)、POE(30)硬化ヒマシ油(HLB=11)、POE(20)硬化ヒマシ油モノラウレート(HLB=8)、POE(60)POE(15)硬化ヒマシ油モノイソステアレート(HLB=6)、POE(50)硬化ヒマシ油モノイソステアレート(HLB=12)、POE(30)硬化ヒマシ油トリイソステアレート(HLB=6)、POE(60)硬化ヒマシ油トリイソステアレート(HLB=10)等があげられるが、これらに限定されない。
【0013】
好ましくは、例えば、POE硬化ヒマシ油エーテルとしてはポリプロピレングリコール(PEG)-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-30水添ヒマシ油等があげられる。
POE硬化ヒマシ油エーテルモノイソステアリン酸エステルとしては、イソステアリン酸PEG-5水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-10水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油等があげられる。
【0014】
POE硬化ヒマシ油エーテルトリイソステアリン酸エステルとしては、トリイソステアリン酸PEG-5水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-10水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-30水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-40水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-60水添ヒマシ油等があげられる。
【0015】
さらに好ましくは、POE硬化ヒマシ油エーテル、POE硬化ヒマシ油エーテルモノイソステアリン酸エステル、POE硬化ヒマシ油エーテルトリイソステアリン酸エステル等である。
【0016】
上記物質を、(A)HLB12以下のポリオキシエチレン(POE)硬化ヒマシ油として、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
(A)HLB12以下のポリオキシエチレン(POE)硬化ヒマシ油は、本発明の一態様の油性組成物全量中、0.01~50質量%、0.01~40質量%、さらに好ましくは0.01~30質量%で配合することができる。
【0018】
本発明で用いられる(A)HLB12以下のPOE硬化ヒマシ油により、環状シリコーン油を配合しなくても安定なクリーム製品を供給できる。また、ゲル化能、水洗性、安定性の点においても優れた効果を奏する。
【0019】
<(B)有機変性粘土鉱物>
有機変性粘土鉱物は、乳化助剤として用いられる、層構造を有するコロイド性含水ケイ酸アルミニウムの一種である。本発明の一態様に関する有機変性粘土鉱物としては、例えば、ジステアルジモニウムヘクトライト、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム等があげられる。これらを単独で又は2以上を組み合わせて用いることができる市販品としては、ベントン27(ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト:ナショナルレッド社製、レオックス社製)、ベントン34(化学名:クオタニウム-18ベントナイト:レオックス社製)、ベントン38(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト:ナショナルレッド社製)、ベントン38V(クオタニウム-18ヘクトライト:レオックス社製)、クレイトーン40(サザン・クレイ社製)、クレイトーンSO(サザン・クレイ社製)等があげられる。好ましくは、ヘクトライトを有機変性したベンジルジメチルステアリルアンモウニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト等があげられる。ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライトを用いることが特に好ましい。これらを単独で又は2以上を組み合わせて配合することができる。
【0020】
これらの有機変性粘土鉱物を配合すると、油性組成物の長期的な安定性が向上する。
【0021】
(B)有機変性粘土鉱物は、本発明の一態様の油性組成物の全量中、0.01~30質量%、好ましくは、0.05~15質量%が配合される。これらの配合量では、油性組成物に十分な安定性が付与され、みずみずしい使用感触が得られ、油性組成物の指への取れが良好で、肌上での伸びも軽くなる等の使用性も向上する。
【0022】
本発明の一態様の油性組成物の(A)対(B)の割合は質量比で0.2:1~2:1が好ましい。
【0023】
<(C)極性油>
(C)極性油は、通常、化粧品、医薬品、食品で用いられるものであれば特に限定されない。有機化合物の極性の度合いを示す指標としては、無機性値の有機性値に対する比率を表すIOB値(Inorganic/Organic Balance(無機性値/有機性値))が用いられる。IOB値における「無機性値」、「有機性値」について、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、同水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されている。この「無機性値」及び「有機性値」について、有機化合物中の全ての原子及び官能基の上記値を各々積算することで、当該有機化合物のIOB値を算出することができる(例えば、藤田著、「化学の領域」第11巻、第10号、第719頁~第725頁、1957年参照)。本発明の一態様である極性油のIOB値は、特に限定されないが、0.05~0.80であることが好ましい。
【0024】
そのような極性油としては、エステル基、ポリオキシアルキレン基を連続的に有する油で、オクタン酸セチルのようなエステル及びポリオキシアルキレン基を有する油、並びに植物油があげられる。
【0025】
<紫外線吸収極性油>
それらのうち、本発明の一態様である(C)極性油は、紫外線吸収機能がある極性油(以下、紫外線吸収極性油ともいう場合がある)を含んでいてもよい。紫外線吸収極性油としては、特に限定されないが、例えば、安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、β,β-ジフェニルアクリラート誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジリデンショウノウ誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェニルベンゾトリアゾール誘導体、アントラニル誘導体、イミダゾリン誘導体、ベンザルマロナート誘導体、4,4-ジアリールブタジエン誘導体等があげられる。具体的には、以下のとおりである。
【0026】
安息香酸誘導体としては、p-アミノ安息香酸(PABA)エチル、エチル-ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル-ジメチルPABA、グリセリルPABA、PEG-25-PABA、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等があげられる。
【0027】
サリチル酸誘導体としては、ホモサレート、エチルヘキシルサリチレート(サリチル酸オクチル)、ジプロピレングリコールサリチレート、TEAサリチレート等があげられる。
【0028】
ケイ皮酸誘導体としては、オクチルメトキシシンナメート又はメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル、シノキセート、DEAメトキシシンナメート、メチルケイ皮酸ジイソプロピル、グリセリル-エチルヘキサノエート-ジメトキシシンナメート、ジ-(2-エチルヘキシル)-4'-メトキシベンザルマロネート等があげられる。
【0029】
ジベンゾイルメタン誘導体としては、ブチルメトキジシベンゾイルメタン(4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン)等があげられる。
β,β-ジフェニルアクリレート誘導体としては、オクトクリレン等があげられる。
【0030】
ベンゾフェノン誘導体としては、ベンゾフェノン-1、ベンゾフェノン-2、ベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、ベンゾフェノン-6、ベンゾフェノン-8、ベンゾフェノン-9、ベンゾフェノン-12等があげられる。
【0031】
トリアジン誘導体としては、アニソトリアジン(ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジイソブチル-4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン等があげられる。
【0032】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体としては、ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)等があげられる。
【0033】
アントラニル誘導体としては、アントラニル酸メンチル等があげられる。
【0034】
イミダゾリン誘導体としては、エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオナート等があげられる。
【0035】
ベンザルマロナート誘導体としては、ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン等があげられる。
【0036】
4,4-ジアリールブタジエン誘導体としては、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン等があげられる。
【0037】
本発明の一態様である(C)極性油には上記の紫外線吸収極性油を、単独で、又は2種以上を組み合わせて配合してよい。例えば、紫外線吸収極性油として、メトキシ桂皮酸エチルヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、オキシベンゾン-3、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ホモサレート、エチルヘキシルサリチレート(サリチル酸オクチル)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、アニソトリアジン(ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)、エチルヘキシルトリアゾンを組み合わせて配合することができる。
【0038】
このように、上記の誘導体のベースとなる化合物が異なる複数の紫外線吸収極性油を組み合わせて用いると、広範囲の紫外線防御作用が得られるため、好ましい。
【0039】
本発明の一態様である(C)極性油が紫外線吸収極性油を含む油性組成物は、日焼け止め作用がある化粧料や医薬部外品に用いられる点で好ましい。
【0040】
上記のように、(C)極性油が紫外線吸収極性油を含む場合とは、紫外線吸収極性油のみが配合される場合、及び紫外線吸収極性油と紫外線吸収機能がない極性油が組み合わされて配合される場合がある。紫外線吸収機能がない極性油としては、例えば、エステル油、ポリアルキレンオキシド誘導体油等があげられる。具体的には、以下のとおりである。
【0041】
エステル油としては、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリエチルヘキサノイン)、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル、安息香酸(炭素数12~15)アルキル、セテアリルイソノナノエート、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、(ジカプリル酸/カプリン酸)ブチレングリコール、トリミリスチン酸グリセリル、トリ2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、セトステアリルアルコールアセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、ジピバリン酸トリプロピレングリコール等があげられる。特に、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルが好ましい。
【0042】
特に、脂肪酸エステル油としては、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、イソパルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ミリスチル、オクタン酸イソセチル、イソオクタン酸セチル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸オレイル、エルカ酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、セバシン酸ジオクチル、12-ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、アジピン酸ジオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸オクチルドデシル、乳酸イソステアリル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等があげられる。
【0043】
ポリアルキレンオキシド誘導体油としては、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル等があげられる。
【0044】
上記のエステル油、ポリアルキレンオキシド誘導体油等は、本発明の一態様である(C)極性油として、単独で、又は2種以上を組み合わせて配合してよい。エステル油を含有する極性油を紫外線吸収極性油と組み合わせて用いると、固体状の紫外線吸収極性油の溶解が促進される。
【0045】
(C)極性油の配合量は、本発明の一態様の油性組成物の全量中、0.01~90質量%、好ましくは1~70質量%、さらに好ましくは5~50質量%である。
【0046】
<(D)油>
本発明の一態様である油性組成物の油相には、(C)極性油以外の油が配合されてもよい。そのような油分としては、一般の油性組成物に用いられる、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、環状シリコーン油を除くシリコーン油、植物油、動物性油分、液体油脂、固体油脂、ロウ、香料等があげられる。
【0047】
具体的には、炭化水素油としては、ウンデカン、トリデカン、水添ポリデセン、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソパラフィン、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、流動パラフィン、イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等があげられる。このうち、粉体、特に酸化チタンを良好に分散させることができ、また触感を向上させることができることから、ウンデカン、トリデカン、水添ポリデセン、イソドデカンが好ましい。
【0048】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等があげられる。このうち、イソステアリン酸が好ましい。
【0049】
高級アルコールとしては、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等)、及び分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)-2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等があげられる。
【0050】
シリコーン油としては、ジメチコン、カプリリルメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、高重合メチルポリシロキサン、アミノ酸変性シリコーン等があげられる。特に、ジメチコン、カプリリルメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンが好ましい。
【0051】
シリコーン油のなかで、環状シリコーン油は配合しないことが好ましい。本発明の一態様では、環状シリコーンを含まない油性組成物を提供することができる。
【0052】
本発明の一態様である油性組成物は環状シリコーンが配合されなくても、安定性が高く、使用感にも優れた、極性油が多く配合された油性組成物を提供できる。
【0053】
植物油としては、アボガド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、マ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、及び胚芽油等があげられる。
【0054】
動物性油分としては、スクワラン、タートル油、ミンク油、及び卵黄油等があげられる。
【0055】
これらの物質を本発明の一態様に関する油分として、単独で、又は2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0056】
このような(D)油は、本発明の一態様である油性組成物のうち、(C)極性油以外の油分中に90%以上含まれてよい。
【0057】
なお、前記(C)極性油の配合量と前記(D)油の配合量の合計の配合量に対する、前記(B)有機変性粘土鉱物の配合量の比率((B)有機変性粘土鉱物の配合量:((C)極性油の配合量+(D)油の配合量))は、1:3~1:100、好ましくは、1:10~1:50であってよい。
【0058】
<(E)シリコーン界面活性剤>
本発明の一態様である油性組成物は、シリコーン界面活性剤をさらに配合してよい。シリコーン界面活性剤とは、界面活性作用を有する有機ケイ素化合物のポリマーをいい、撥水性が高く、化粧料では皮膜形成剤としてファンデーションや日焼け止め、化粧下地、ヘアトリートメントのコンディショニング剤などにも広く用いられている。
【0059】
本発明の一態様に適するシリコーン界面活性剤としては、例えば、(PEG-10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、PEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-11メチルエーテルジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-9ジメチコン、PEG-9メチルエーテルジメチコン、ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンなどがあげられるが、これらに限定されない。
【0060】
<ワックス>
本発明の一態様に関する油分として、ワックスが配合されてもよい。本発明の一態様に適するワックスとしては、油性組成物を含む化粧料等に用いられるワックスを用いることができる。具体的には、例えば、ロウ・パラフィンワックス類として、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、カポックロウ、サトウキビロウ、ジョジョバロウ、セラックロウ、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、パラフィンがあげられる。
【0061】
高級アルコール類として、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、バチルアルコール、オクチルドデカノール等があげられる。
【0062】
高級脂肪酸類として、ベヘニン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸等があげられる。
【0063】
固形油分として、カカオ油、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、ラウリン酸ヘキシル、デキストリンパルミチン酸エステル、ワセリン、ポリエチレン、バチルアルコール等があげられる。
【0064】
コレステロールエステルとして、コレステロール、フィトステロール、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、リシノール酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル等があげられる。
【0065】
フィトステロールエステルとして、12-ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、ラノリン脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、リシノール酸フィトステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル等があげられる。
【0066】
また、ラノリン、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル等のジペンタエリトリット、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル又はフィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル又はフィトステリル/オクチルドデシル)等があげられる。
【0067】
これらのワックスを単独で又は2以上を組み合わせて配合することができる。
【0068】
ワックスを油性の化粧料等に配合すると、使用性が重くなり、水性タイプの製品に比べて使用感が悪くなる。すなわち、ワックスの配合量は極力少ないことが好ましい。そこで、本発明の一態様に関する油性組成物にワックスが配合される場合、その含有量は本発明の一態様に関する油性組成物全量の5質量%以下、好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
【0069】
<油中水型乳化組成物>
本発明の一態様に関する油性組成物は油中水型乳化組成物の構造でありうる。油中水型乳化組成物を化粧料として用いる場合には、水性化粧料よりも塗布後の潤い感が持続し、保水性にも優れる。そこで、そのような油中水型乳化組成物は、人間や動物の外皮に塗布等により用いることで、塗布後の潤い感が持続し、保水性にも優れる化粧料や医薬部外品としての用途、例えば、日焼け止め乳液や日焼け止めクリームとして好適に利用される。また、メーキャップ製品やヘア製品等、日焼け止め効果を必要とする種々の化粧料に広く適用することができる。
【0070】
本発明の一態様に関する油性組成物を油中水型乳化組成物として用いる場合、乳化粒子の大きさを、平均粒径を1.0~20.0μm、粒径分布を0.1~30.0μm、好ましくは、平均粒径を1.0~10.0μm、粒径分布を0.1~20.0μmとすることが好ましい。乳化粒子の大きさがこれらの数値であれば、みずみずしさといった使用感が高まり、良好な安定性が保持される。
【0071】
本発明の一態様に関する油性組成物を油中水型乳化組成物として用いる場合、上記の成分(A)~(C)に加えて水相が構成される。水相の水性成分は、化粧料、医薬部外品等の外用組成物において通常用いられる水性成分であれば、特に限定されない。水性成分としては、水、水溶性アルコール、増粘剤、保湿剤、キレート剤、防腐剤、色素等を用いることができる。
【0072】
水としては、精製水、イオン交換水、水道水等を用いることができる。水の含有量は油中水型乳化組成物を含む化粧料や医薬部外品の用途等に応じて適宜選択することができる。
【0073】
界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等であってよい。このうち、ノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤成分は、乳化剤やゲル化剤として機能し、油中水型の安定性を向上させることができる。特に、乳化界面活性剤としては、PEG-10ジメチコンが、ゲル化界面活性剤としては、PEG-10水添ヒマシ油などが好ましい。
【0074】
界面活性剤の含有量は、油中水型組成物の全量に対し、0.5~10質量%であると好ましく、1~5質量%であるとより好ましい。
【0075】
本発明の一態様に関する油中水型乳化組成物の構造としては、当該油性組成物に水相が乳化粒子として安定して存在する。このような構造の化粧料等は、肌上での伸びが良好な使用感触を付与することができる。以下に説明するように、水相にはその他、水と相溶性がある物質、水に溶解するような物質等からなる水相成分が含有されていてもよい。
【0076】
本発明の一態様としては、油性組成物及び油中水型乳化組成物を含む外用組成物であってもよい。このような外用組成物は、例えば、人間や動物の外皮において、塗布等により使用することができる、日焼け止め剤や頭皮頭髪化粧品等の化粧料や、皮膚外用剤としても用いることができる。外用組成物はいかなる製品形態をもとることができるが、例えば、化粧水、乳液、クリーム、パック等の、顔面、身体又は頭皮頭髪用の外用組成物として用いることができる。
【0077】
<その他の成分>
本発明の一態様に関する油性組成物及び/又は油中水型乳化組成物には、上記の成分(A)~(E)等に加えて、その他の成分として、保湿剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、酸化防止剤、抗菌防腐剤、ビタミン類、ホルモン類、アルギニン、アミノ酸類、抗炎症剤、抗菌剤、美白剤、収斂剤、清涼剤、増粘剤、ステロール類、アルコール類、高分子系物質、水、水性アルコール等で抽出した天然エキス、色素、中和剤、pH調整剤等を配合することができる。
具体的には、保湿剤として、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシレトール、マルチトール等があげられる。
【0078】
上記の極性油としての紫外線極性油のほかに、汎用されているいかなる紫外線吸収剤をも用いることができる。具体的には、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、フェルラ酸、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ベンジリデンショウノウスルホン酸等である。
【0079】
本発明の一態様である油性組成物を日焼け止め剤に用いる場合には、上記の紫外線吸収剤のほかに、紫外線散乱剤が含有されてもよい。紫外線散乱剤とは、紫外線散乱作用を有する粉体粒子であればいかなる粒子を用いることができるが、例えば、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等があげられる。
【0080】
美白剤としては、トラネキサム酸、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、ニコチン酸アミドなどがあげられる。
【0081】
酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、フィチン酸、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等があげられる。
【0082】
抗菌防腐剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル(エチルパラベン、ブチルパラベン等)、メチルパラベン、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノール、ヘキサクロロフェン等があげられる。
【0083】
キレート剤としては、サリチル酸、エデト酸、メタリン酸等があげられる。
【0084】
各種有効成分として、ビタミン類、ホルモン類、アルギニン、アミノ酸類、抗炎症剤、抗菌剤、収斂剤、清涼剤、ステロール類等を配合することができる。また、動植物又は微生物由来の抽出物を含有させることもできる。
【0085】
具体的には、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸硫酸エステル(塩)、アスコルビン酸リン酸エステル(塩)、アスコルビン酸ジパルミテート等のビタミンC類、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、ビタミンE-アセテ-ト、ビタミンE-ニコチネート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パントテチン等のビタミン類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ-オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ムシジン、ビサボロール、ユーカリプトール、チモールイノシトール、パントテルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、セファランジン、プラセンタエキス等があげられる。
【0086】
1価アルコールを含むアルコールとして、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等があげられる。
【0087】
高分子系物質として、多価アルコール、アラビアガム、トラガントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、ジェランガム、カラギーナン等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン、バイオヒアルロン酸ナトリウム等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物系高分子;カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンとビニルアセテート共重合物、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリル酸アルカノールアミン、アルキルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレート共重合物、ポリ2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリメタクリロイルオキシトリメチルアンモニウム等のアクリル系高分子;2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンをモノマーとして含む高分子等があげられる。
【0088】
その他、ラウロイルコシンナトリウム等のアシルサルコシン酸、グルタチオン;アミノカプロン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、酒石酸等の有機酸等のα-ヒドロキシ酸及びこれらのナトリウム、カリウム等の塩や、ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリ草、ゼニアオイ、センキュウ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、ヒオウギ、カミツレ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラ、ローヤルゼリー、胎盤抽出物、パントテニールエチルエーテル、グリチルリチン酸ジカリウム、ビオチン、ピリドキシン塩酸塩、アデノシン三リン酸、α-リポ酸、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アルブチン、グルコシルヘスペリジン、グルコシルルチン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン等のジメチルポリシロキサン類;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン等の環状ポリシロキサン類があげられる。
【0089】
これらの物質を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で配合することができる。
【0090】
<油性組成物の製造方法>
本発明の一態様に関する油性組成物は公知の方法により製造することができる。例えば、製造方法の一例としては、上記であげた水分等の水性成分と上記の適当な油性成分とを乳化装置等を用いて調製することができるが、これらに限定されず、目的とする製品の性質等に応じた製法を用いて製造できる。
【0091】
本発明の一態様に関する油性組成物は、極性油が多く配合された化粧料、医薬部外品等の用途に適している。
【実施例
【0092】
以下は本発明の一態様に関する油性組成物に関する実施例である。当業者であれば、本実施例で用いる物質、処方、比率、方法等は本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更できることを理解できる。また、本実施例の記載は本発明を実施例の範囲に限定することを意図しない。以下の実施例等における配合量「%」は特段の断りがない限りは「質量%」を表す。
【0093】
実施例及び比較例に用いた油性組成物の組成は表1~5に示した。このうち、実施例1~16及び比較例1~10では、油性組成物を用いた。実施例17~19及び比較例11では、この油性組成物を含む乳化組成物用いた。
【0094】
実施例1~16及び比較例1~~10
以下の各表に掲げた組成を有する油性組成物を常法に従って調製し、当該油性組成物の安定性をゲル化形成能として、以下のように評価した。
【0095】
油性組成物の安定性は、油性組成物に含まれる界面活性剤と粘土鉱物を組み合わせることにより粘土のゲル化が促進されることにより得られる。そこで、粘土鉱物のゲル化を効率よく形成する界面活性剤と粘土鉱物の比率の組み合わせを以下の実施例で検討した。
【0096】
〔ゲル化形成能試験〕
この油性組成物50mlをスクリュー管(50ml)に入れて、傾けたときの油性組成物の状態を目視で観察する。このとき、スクリュー管を傾けても油性組成物が流れない場合に、ゲル化がおこり、ゲルが形成されたと判断した。スクリュー管を傾けたときに、油性組成物が流動した場合には、ゲル化がおこらず、ゲルが形成されなかったと判断した。
A:ゲル化が形成された
B:ゲル化が形成されなかった
その結果を以下の表1~5に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
実施例17~19及び比較例11
以下の表に掲げた組成を有する油性組成物を含む乳化組成物を常法に従って調製して、その乳化組成物の安定性を以下のように評価した。
【0102】
〔安定性試験〕
上記で得られた乳化組成物を室温で1カ月保存した後、目視により外観変化の有無を確認し、以下の基準で判断した。
A:外観が変化しなかった
B:外観が変化した
【0103】
【表5】