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特許7445427真空ポンプシステムを作動させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】真空ポンプシステムを作動させるための方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20240229BHJP
   F04C 25/02 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F04B49/06 341J
F04B49/06 341E
F04C25/02 A
F04C25/02 K
F04C25/02 M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019528620
(86)(22)【出願日】2017-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2017078852
(87)【国際公開番号】W WO2018099710
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-10-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】102016223782.9
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508206070
【氏名又は名称】レイボルド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ナールワルド,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】パジョン,ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】シラー,ダーク
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルツェル,セバスチャン
【合議体】
【審判長】村上 聡
【審判官】関口 哲生
【審判官】西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0127038(US,A1)
【文献】特開2002-180990(JP,A)
【文献】特開平6-342760(JP,A)
【文献】特表2015-530478(JP,A)
【文献】特表2001-500458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバを真空状態にするための真空ポンプシステムを作動させるための方法であって、
前記真空ポンプシステムは、少なくとも1つの真空ポンプを有する真空ポンプ装置と、前記真空ポンプ装置及び前記チャンバ間に配置されたバルブ装置と、制御部とを備えており、
前記制御部によって、前記バルブ装置の開閉又は前記チャンバの開閉に応じて前記真空ポンプ装置の少なくとも1つの周期的に生じる動作パラメータを決定し、
前記真空ポンプ装置の前記真空ポンプの内の少なくとも1つの回転速度を、前記バルブ装置を開ける前に一時的に減少させ、
動作パラメータの2つの同一の変化の間の時間として周期の長さを決定し
なくとも1つの動作パラメータに基づき、前記周期中の負荷時間を決定し、前記負荷時間中に前記チャンバを所定の真空状態にし、
前記負荷時間後から前記周期の終了までの間に設けられている制動の時点で前記真空ポンプの回転速度を減少させ、前記真空ポンプの回転速度は残りの周期中、減少したままであることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記バルブ装置を開けるときに著しく変化する動作パラメータを、前記動作パラメータとして選択することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記真空ポンプ装置の真空ポンプを駆動するモータのモータ電流を、前記動作パラメータとして決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記真空ポンプ装置の入口圧力、及び/又は前記真空ポンプ装置の前記真空ポンプの内の少なくとも1つの入口圧力、及び/又は前記真空ポンプの内の少なくとも1つの温度、及び/又は前記真空ポンプ装置の前記真空ポンプの内の少なくとも1つの入口と出口との間の圧力逃し弁の弁体の位置を、前記動作パラメータとして決定することを特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記バルブ装置を開けた後、前記真空ポンプの内の少なくとも1つの回転速度を増加させることを特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記真空ポンプ装置の真空ポンプの内の少なくとも1つの回転速度を減少させている間に発生する電気制動エネルギーをエネルギー蓄積ユニットに蓄積するか、又はエネルギーフィードバックユニットによって供給網にフィードバックすることを特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記チャンバは、処理チャンバに連結されたロックチャンバであることを特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にロックチャンバを真空状態にする機能を果たす真空ポンプシステムを作動させるための方法に関する。ロックチャンバは、特に処理チャンバに連結されている。同様に真空ポンプシステムは、追加のロックチャンバが設けられないように、処理チャンバに直接連結され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
処理チャンバ内で製品を特に真空処理し、例えば被覆等を行う。特に製品を処理チャンバに供給し得るために、処理チャンバはロックチャンバに連結されている。ロックチャンバを真空状態にするために、ロックチャンバは真空ポンプシステムに連結されている。複数の真空ポンプを通常備えた真空ポンプシステムは、特に主ポンプ又は増圧器及びプレ真空ポンプを備えている。ここで、特にルーツポンプ又はスクリューポンプが主真空ポンプとして適切である。更に真空ポンプシステムは、特に複数の真空ポンプを備えた真空ポンプシステムとロックチャンバとの間にバルブ装置を備えている。更に制御部が設けられており、制御部は、特に真空ポンプ装置の少なくとも1つの真空ポンプを制御する役目を果たす。真空ポンプシステムのこのようなロック用途は、可能な限り短い送出時間を必要とする。加えて、機械的応力及び熱応力の許容可能な値を超過しないことを保証しなければならない。更に、真空ポンプシステムが可能な限り静かに動作することを必要とする。しかしながら、短い送出時間は真空ポンプ装置の高い回転速度を必要とし、高い回転速度は高いノイズレベルの原因となるので、低いノイズ放射は必要な短い送出時間と相容れない。
【0003】
本発明は、短い送出時間でノイズ低減を達成することができる、チャンバ、特にロックチャンバを真空状態にするための真空ポンプシステムを作動させるための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この目的は請求項1に係る方法によって達成される。
【0005】
本発明に従って作動する真空ポンプシステムは、少なくとも1つの真空ポンプを有する真空ポンプ装置を備えている。真空ポンプ装置は、特に直列に連結された少なくとも2つの真空ポンプ、つまり1つの主真空ポンプ又は増圧器及び1つのプレ真空ポンプを有している。ここで、増圧器として特にルーツポンプ又はスクリューポンプが好ましい。真空ポンプ装置はチャンバ、特にロックチャンバに連結されており、バルブ装置が真空ポンプ装置とチャンバとの間に配置されている。更に制御部が設けられており、制御部は、特に少なくとも1つの真空ポンプを作動させる機能を果たし、特に好ましい実施形態によれば、制御部は、少なくとも1つの真空ポンプを駆動する電気モータの回転速度を調節する。
【0006】
本発明によれば、優れた送出性能でノイズを低減するために、まず制御部によって少なくとも1つの動作パラメータを決定する。この少なくとも1つの動作パラメータは、周期的に生じる動作パラメータ又は周期的に変わる動作パラメータである。特に適切な動作パラメータは、他の動作パラメータも適切ではあるが、少なくとも1つの真空ポンプを駆動する電気モータによって受けるモータ電流である。
【0007】
制御部を用いて、周期的に生じる動作パラメータ又は動作パラメータのプロファイルの周期的に生じる変化を評価する。そのため、バルブ装置を開ける前に一時的に、又はまさにバルブ装置を開けている間に、真空ポンプ装置の真空ポンプの内の少なくとも1つの回転速度を減少させることが可能である。真空ポンプ装置の少なくとも1つの真空ポンプ、特に主真空ポンプの回転速度の減少により、バルブ装置を開けるときに相当なノイズ低減が達成され得る。
【0008】
少なくとも主真空ポンプ又は増圧器の回転速度を開放処理中に減少させ、更にプレ真空ポンプの回転速度も減少させ得ることが好ましい。動作中、つまり、ロックチャンバから送出するときのポンプの最大回転速度と比較して、少なくとも50%、特に少なくとも80%の減少率を達成する。回転速度を30Hz、特には50Hz未満に減少させることが好ましい。
【0009】
動作パラメータとして、バルブ装置を開けるときに著しく変化する動作パラメータを使用することが好ましい。真空ポンプ装置の少なくとも1つの真空ポンプを駆動する電気モータのモータ電流は、このために特に適している。圧力上昇のため、バルブ装置を開けるときにモータ電流は著しく増加する。モータ電流の推移によってバルブ装置の開放を簡単な方法で決定することが可能である。著しい増加は、特に電流の5倍を超える増加、特に10倍の増加によるものである。特に、動作パラメータの著しい変化、つまりモータ電流の著しい増加は、例えば、特に1~3秒未満の非常に短い時間内で生じる。
【0010】
少なくとも1つの真空ポンプを駆動する電気モータのモータ電流の決定されたプロファイルは、好ましい動作パラメータである。或いは又は更に、
- 真空ポンプ装置の入口圧力、並びに/又は
- 真空ポンプ装置の少なくとも1つの真空ポンプの入口圧力、並びに/又は
- 真空ポンプの温度若しくは真空ポンプシステムの別の有効面積、並びに/又は
- 主真空ポンプの入口側及び/若しくは出口側の間の圧力逃し弁の移動経路、並びに/又は
- プレ真空ポンプの入口側及び/若しくは出口側の間の圧力逃し弁の移動経路
の動作パラメータ又はこれらの動作パラメータの対応する時間プロファイルを決定し、真空ポンプ装置の少なくとも1つの真空ポンプの回転速度を制御するために使用することができる。
【0011】
例えば、圧力センサを用いて、真空ポンプ装置及び/又は真空ポンプ装置の内の1つの入口圧力を測定することができる。圧力の時間プロファイルは、バルブ装置を開ける時点を簡単な方法で推測することを更に可能にする。
【0012】
或いは又は更に、温度センサを用いて時間的な温度プロファイルを決定することができる。ここで、特に2つのポンプの内の一方の出口での温度センサ(ガス温度)が適切である。温度プロファイルは、バルブ装置を開けるための時点を決定することも可能にする。
【0013】
主ポンプ又はプレ真空ポンプとして、入口側と出口側との間に圧力逃し弁を有するポンプを使用する場合、この圧力逃し弁の移動経路、つまり圧力逃し弁の位置の時間的変化を、ロックチャンバと真空ポンプシステムとの間に配置されたバルブ装置を開けるための時点を決定するために使用することができる。
【0014】
特に好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの動作パラメータに基づき周期の長さを決定する。周期の長さは、動作パラメータの2つの本質的に同一の変化の間の時間である。従って、モータ電流を検討するとき、周期の長さは、バルブ装置を開けるときに夫々生じる2つの著しい電流増加の間の時間である。通常の用途ではロックチャンバが周期的に開閉されるので、周期の長さの決定が可能である。例えば、処理又は被覆する新たな製品を一定の間隔でロックチャンバを介して処理チャンバに供給する。本発明によれば、周期的な処理、及びひいては動作パラメータの周期的に生じる変化のこの利点を使用して、バルブ装置を開けるときに低い回転速度で少なくとも1つの真空ポンプ、特に主真空ポンプを作動させてノイズ放射を低減する。バルブ装置を開けた後、低減したノイズ放射で短い送出周期、つまり、所望の値へのロックチャンバ内の圧力の迅速な低下を達成することができるように、ポンプの回転速度を再び増加させることができる。
【0015】
特に複数の動作パラメータを使用するとき、例えば、制御部を用いて複数の動作パラメータを評価して平均値及び/又は対応する重みを得ることにより、周期の長さを更に決定することができる。
【0016】
好ましくは、バルブ装置を開けるときに真空ポンプの回転速度が減少するように、少なくとも1つの真空ポンプの回転速度を、遅くとも周期の終わりで少なくとも一時的に減少させる。送出周期のタイプに応じて、回転速度をより早く減少させてもよい。
【0017】
更に、特に好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの動作パラメータに基づき負荷時間を決定する。ここで負荷時間は、バルブ装置を開けた後にロックチャンバを定められた真空状態にする時間である。例えば、モータ電流を動作パラメータとして使用するとき、負荷時間の決定は、予め定められた限界値へのモータ電流の減少を決定又は確認することによりなされ得る。動作中に負荷時間に達すると、周期がまだ終了していなくても、少なくとも1つの真空ポンプの回転速度を事前に減少させることができる。特に、このため、真空ポンプの回転速度を省エネルギーの方法で減少させるために、負荷時間の終了と周期の終了との間の時間を使用することができるという利点がある。従って、例えば制動を必要としないか、又は僅かな制動のみを必要とするだけである。
【0018】
本発明の特に好ましい態様では、回転速度を減少させるときに発生する電気制動エネルギーをエネルギー蓄積部に蓄積するか、又は供給網にフィードバックする。従って、本発明によれば、この好ましい実施形態では、通常設けられる制動処理中に著しく加熱される制動抵抗器の代わりに、エネルギー蓄積部又はフィードバックユニットが使用される。蓄積されたエネルギーは、例えばポンプを作動させるか、又は加速するために再使用され得る。そのため、ポンプ装置のエネルギー効率が大幅に高められる。制動エネルギーを蓄積するためのエネルギー蓄積部又は制動エネルギーをフィードバックするためのフィードバックユニットを設けることは独立発明である。エネルギー蓄積部又はフィードバックユニットを設けることは、上述したポンプの周期的な動作から独立している。エネルギー蓄積部又はフィードバックユニットを設けることは、他の処理にも適しているが、上述した発明と組み合わせると特に有利である。
【0019】
従って、この独立発明は、特にポンプハウジングに配置されたロータのような従来の部品を有する真空ポンプに関する。真空ポンプのタイプに応じて、複数のロータ、又は更にステータがポンプハウジングに配置されてもよい。更に真空ポンプは、特に電気モータの形態の駆動手段を有している。本発明によれば、更にエネルギー蓄積部又はフィードバックユニットが設けられている。エネルギー蓄積部又はフィードバックユニットは、制動中に発生する電気エネルギーを蓄積するか、又は供給網にフィードバックし、電気エネルギーは真空ポンプ又は他の部品を駆動するために使用され得る。従って、エネルギー蓄積部又はフィードバックユニットは、特に周波数変換器を介して電気モータに連結されている。真空ポンプの制動中、電気モータは発電機としての機能を果たす。
【0020】
以下に、本発明を、図面及びグラフを参照して例示的な実施形態に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】真空ポンプシステム及びロックチャンバを概略的に示す図である。
図2】既知の処理における時間に対するモータ電流及びモータ回転速度を示すグラフである。
図3】本発明に係る方法における時間に対するモータ電流及びモータ回転速度を示すグラフである。
図4】エネルギーフィードバックユニットを備えた真空ポンプを概略的に示す図である。
図5】エネルギーフィードバックユニットを備えた真空ポンプを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
概略的に示された処理チャンバ10内で製品を処理する、例えば被覆する。このために、処理チャンバ10内で真空を生成する。処理する製品、材料などを処理チャンバ内に供給するために、ロックチャンバ12が処理チャンバ10に連結されている。ロックチャンバ12は、製品などをロックチャンバ12内に供給するためのロック入口14と、製品などをロックチャンバ12から処理チャンバ10内に移すためのロック出口16とを有している。
【0023】
ロックチャンバ12を真空状態にするために、ロックチャンバ12は真空ポンプシステムに連結されている。真空ポンプシステムは真空ポンプ装置18を備えている。図示された例示的な実施形態では、真空ポンプ装置18は、主真空ポンプ20と主真空ポンプ20の下流側に直列に配置されたプレ真空ポンプ22とを有している。主真空ポンプ20は特にはルーツポンプ又はスクリューポンプである。主真空ポンプ20はパイプ24を介してロックチャンバ12に連結されており、パイプ24にバルブ装置26が配置されている。主真空ポンプ20の出口はパイプ28を介してプレ真空ポンプ22の入口に連結されている。
【0024】
更に真空ポンプシステムは制御部30を備えている。図示された例示的な実施形態では、制御部30は、電気線32, 34を介して主真空ポンプ20及びプレ真空ポンプ22に連結されている。電気線32, 34を介して、一方では対応するポンプを駆動する電気モータを制御することができ、他方では対応するポンプ内で又は対応するポンプで測定される動作パラメータを制御部30に送信することができる。
【0025】
測定される動作パラメータは特にはモータ電流である。更に、矢印36によって図示されているように、更なるデータを制御部30に送信することができ、言うまでもなく、制御部30は他の制御タスクを更に行うことができる。特に制御部30はバルブ装置26を開閉することができる。
【0026】
以下に図2及び図3を参照して、特に主真空ポンプ20の電気モータのモータ電流の可能な評価に基づき本発明を説明する。
【0027】
ここで図2は、先行技術に係るモータ電流及び真空ポンプの回転速度の周期的なプロファイルを示し、図3は本発明に係る対応するグラフを示す。
【0028】
従来の用途では、太線によって示されているモータ電流I の曲線は、バルブが開いた時点t1でIminからImaxへの著しい電流増加を示す。同一の電流増加が、周期tzの後、別の時点t1で再度生じる。従って、制御部30は、グラフ、つまり電流プロファイルから、時点t1で周期的な間隔で生じる電流増加に基づき、周期の長さtzを決定することができる。この決定は、バルブ26を実際に開けるときの情報とは無関係である。この決定は、バルブを開けること又はバルブを開けるときを制御部に知らせる信号が生成されない、又は生じないことが多いので価値がある。本発明に係る制御部は、変化処理の場合であっても、新しい周期の長さを自動的に決定することができるので、自己学習タイプである。
【0029】
太線によって示されている電流プロファイルの曲線は、時点t1での電流増加後、モータ電流がまず徐々に減少し、その後、電気モータが時点t2で最小の電流Iminを再度受けるように比較的急速に減少することを更に示している。
【0030】
時点t1から時点t2への時間は負荷時間、つまりロックチャンバ12を真空状態にする時間である。
【0031】
その後、時点t2後の更なる電流プロファイルは、次の時点t1でバルブを再度開けるまで常に低い電流Iminである。
【0032】
細線は、対応する真空ポンプの回転速度プロファイルを示す。時点t1で、つまり、バルブ26を開けるとき、真空ポンプの回転速度が減少するように、ポンプ入口での圧力は急に上昇する。その後、負荷時間tL中、真空ポンプの回転速度は最大値に増加し、バルブ26を更なる時点t1で再度開けるまで、この最大回転速度に保たれる。
【0033】
本発明に係る制御部を用いると、バルブ26を開けるときを実際に知らなくても、バルブ26を開けるための時点を決定することが可能である。従って、本発明によれば、真空ポンプの回転速度を、バルブ26を開ける前、又は遅くともバルブ26を開けるときに減少させることができる。そのため、相当なノイズ低減を達成することができる。
【0034】
図3に示されているように、モータの回転速度は、バルブ26を開ける時点t1の前に既に大幅に減少している。時点t3で、モータの回転速度は、ロックチャンバ12を真空状態にする間に達する最大回転速度から、大幅に低い回転速度に減少する。ここで時点t3は時点t2より遅く、時点t3でロックチャンバを真空状態にする処理が既に行われたか、又は負荷時間tLが終了している。
【0035】
再度、制御部30を用いて時点t4までの定められた制動を行うことが好ましい。時点t3と時点t4との間の制動中、電流は短時間で増加し、時点t4で再度、最小値に減少する。
【0036】
従って、時点t4から、モータの回転速度は最大回転速度より大幅に低い。バルブをその後の時点t1で開けるとき、モータの回転速度は、先行技術のように最大ではなく、大幅に低い。従って、バルブを(時点t1で)開けた後、図3から分かるように、回転速度をほんの僅かだけ更に減少させる。
【0037】
時点t3と時点t4との間の制動中に放出される運動エネルギーは、フィードバックユニットを介して供給網にフィードバックされ得る。そのため、真空ポンプのエネルギー効率を高めることができ、操作員側でのコストが節約される。
【0038】
図4及び図5には、エネルギーフィードバックユニットの例が示されている。特に好ましい実施形態では、エネルギーフィードバックユニットは、上述した方法で使用されるポンプに使用される。しかしながら、このようなエネルギーフィードバックユニットを他の方法で使用される真空ポンプのために使用することが更に可能である。
【0039】
図4は、例えば、真空ポンプ20又は真空ポンプ22(図1)であってもよい真空ポンプ40を概略的に示す。真空ポンプ40は電気モータ42を有しており、電気モータ42によってポンプロータ44を駆動する。図示された例示的な実施形態では、電気モータ42は周波数変換器46を介して駆動又は制御される。周波数変換器46は供給網48に連結されている。
【0040】
真空ポンプ40のポンプロータ44を制動するとき、電気モータ42は相当な運動エネルギーにより発電機として使用される。発生した電気エネルギーは、周波数変換器46を介してエネルギーフィードバックユニット50に供給され、その後、図示された線を介して供給網48に再度、供給され得る。
【0041】
図5に係る代替的な実施形態では、エネルギーフィードバックユニット50を介した供給網48への周波数変換器46の連結が提供されている。従って、エネルギーフィードバックユニット50はフィードユニットとしての機能も果たす。
図1
図2
図3
図4
図5