(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】駐車場監視システム、駐車場監視方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240229BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H04N7/18 D
G08G1/14 A
(21)【出願番号】P 2020011536
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 弦
(72)【発明者】
【氏名】上山 浩行
(72)【発明者】
【氏名】田中 優
(72)【発明者】
【氏名】山本 陽香
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-277420(JP,A)
【文献】特開2011-232877(JP,A)
【文献】特開2003-312447(JP,A)
【文献】特開2010-141822(JP,A)
【文献】特開2016-197314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G08G 1/00
B60R 1/00
B60R 11/00
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場内に設置された複数の場内監視カメラと、
前記場内監視カメラが撮影した前記駐車場内に駐車中の一の車両の駐車状態を含む第1の画像と、1台以上の他の車両の車載カメラが撮影した前記一の車両の駐車状態を含む第2の画像とを受信し、
前記第1の画像と前記第2の画像とを監視画像として表示出力する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記一の車両の車載カメラが少なくとも1台の前記他の車両の駐車状態を撮影した第3の画像を受信し、前記第3の画像を前記他の車両の監視画像として利用することに許諾が与えられているか否かを判断し、前記許諾が与えられている場合に前記一の車両のユーザに対してインセンティブを付与するインセンティブ情報を生成する
駐車場監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車場監視システムであって、
前記複数の場内監視カメラと接続された駐車場管制装置と、
前記駐車場管制装置とインターネットを介して接続された駐車場監視装置とを含み、
前記駐車場監視装置は、前記制御部を含み、前記駐車場管制装置から前記第1の画像と前記第2の画像とを受信する
駐車場監視システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の駐車場監視システムであって、
前記制御部は、前記一の車両の駐車位置に応じて前記監視画像の取得に適した駐車位置を判定し、少なくとも1台の前記他の車両であって駐車中の自動運転車両に、判定された前記駐車位置を指定する情報を送信し、
前記自動運転車両は、前記指定された情報を基に前記駐車位置に自動的に移動して前記車載カメラにより前記第2の画像を取得する
駐車場監視システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の駐車場監視システムであって、
前記制御部は、前記一の車両が前記駐車場に入場する際に、駐車中の非自動運転車両の車載カメラにより駐車状態を撮影可能な位置を推奨駐車位置として、前記一の車両に出力し、
前記駐車中の非自動運転車両は、前記一の車両が前記推奨駐車位置に駐車後、前記車載カメラにより前記第2の画像を取得する
駐車場監視システム。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の駐車場監視システムであって、
前記制御部は、前記他の車両が前記駐車場に入場する際に、駐車中の前記一の車両の駐車状態を撮影可能な位置を推奨駐車位置として、前記他の車両に出力し、
前記他の車両は、前記推奨駐車位置に駐車後、前記車載カメラにより前記第2の画像を取得する
駐車場監視システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の駐車場監視システムであって、
前記制御部は、前記監視画像に含まれる前記一の車両以外のナンバープレート情報の少なくとも一部を視認不可能に加工するととともに、前記監視画像に含まれる人の少なくとも顔画像を個人特定不可能に加工し、加工後の前記監視画像を出力する
駐車場監視システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の駐車場監視システムであって、
前記制御部は、前記一の車両を示す車両情報を含む前記駐車場の利用申し込みを受信し、前記利用申し込みに基づいて前記一の車両の駐車位置を決定し、前記一の車両の前記駐車場への入場後から前記監視画像を記録する
駐車場監視システム。
【請求項8】
請求項
7に記載の駐車場監視システムであって、
前記制御部は、前記一の車両が自動運転車両である場合に、前記一の車両が前記駐車場において前記場内監視カメラの死角になる場所が映るように自動走行時の通過位置を決定し、前記
一の車両の駐車位置を指定する情報とともに前記通過位置を指定する情報を出力する
駐車場監視システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の駐車場監視システムであって、
前記制御部は、前記駐車場の内部を近距離無線通信により送受信された前記第2の画像を受信し、受信した前記第2の画像を暗号化し、前記一の車両のユーザが持つ情報とともに前記監視画像の取得要求を受信した場合に前記第2の画像を復号化し、復号化した前記第2の画像を前記取得要求の要求元に送信する
駐車場監視システム。
【請求項10】
情報処理装置の制御部が、
駐車場内に設置された複数の場内監視カメラが撮影した前記駐車場内に駐車中の一の車両の駐車状態を含む第1の画像を受信し、
1台以上の他の車両の車載カメラが撮影した前記一の車両の駐車状態を含む第2の画像を受信し、
前記第1の画像と前記第2の画像とを監視画像として表示出力し、
前記一の車両の車載カメラが少なくとも1台の前記他の車両の駐車状態を撮影した第3の画像を受信し、
前記第3の画像を前記他の車両の監視画像として利用することに許諾が与えられているか否かを判断し、
前記許諾が与えられている場合に前記一の車両のユーザに対してインセンティブを付与するインセンティブ情報を生成する
駐車場監視方法。
【請求項11】
駐車場内に設置された複数の場内監視カメラが撮影した前記駐車場内に駐車中の一の車両の駐車状態を含む第1の画像を受信するステップと、
1台以上の他の車両の車載カメラが撮影した前記一の車両の駐車状態を含む第2の画像を受信するステップと、
前記第1の画像と前記第2の画像とを監視画像として表示出力するステップと、
前記一の車両の車載カメラが少なくとも1台の前記他の車両の駐車状態を撮影した第3の画像を受信するステップと、
前記第3の画像を前記他の車両の監視画像として利用することに許諾が与えられているか否かを判断するステップと、
前記許諾が与えられている場合に前記一の車両のユーザに対してインセンティブを付与するインセンティブ情報を生成するステップ
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場監視システム、駐車場監視方法、及びプログラムに関するものである。具体的には、自動バレーサービス対応駐車場における、車両の監視方法に関するもので、自動運転車両と非自動運転車両の両方が混在して利用する駐車場において、防犯性が向上し、利用者が安心して車両を駐車することが出来る様に配慮した駐車場監視システム、駐車場監視方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、駐車場に停車中の車両を遠隔の中央監視センタより監視する車両監視システムにおいて、車両が盗難や悪戯などの被害に遭ったこと、または被害に遭うおそれがあることを車両の所有者が容易に知るようにするため、異常発生判断手段は、監視カメラにより撮影された画像データに映し出される像の変化量に応じて、車両に接近した不審者と車両が移動したこととを検知し、車両の異常と判断し、異常発生判断手段が異常と判断した画像データを、画像データ送信手段が通信ネットワークを介して中央監視センタに送信し、中央監視センタは、異常発生判断手段が判断した異常に基づいて、車両の所有者の端末機に警報を発報することにより、車両が危機的な状況にあることを、その車両の所有者が容易に知ることができる技術が開示されている。
【0003】
ところが特許文献1の技術を大規模な駐車場に採用した場合、車両を監視するための監視カメラが相当数必要となり、これらの監視カメラがすべて中央監視センタに接続されている必要もあり、監視カメラの設備費用が嵩み、通信量も膨大となって通信に掛かるランニングコストも嵩むことになり、駐車場を提供する事業者にとってデメリットが大きい。これを駐車場のすべて利用者に駐車料金の増額という形で負担させるとすれば、ほとんどの利用者が他の駐車場を選択してしまい、駐車場の経営問題にも発展しかねない。一方で、駐車場における自車の監視を希望する利用者からのみ、監視に掛かる費用を負担させるとしても、費用負担したうえで被害や悪戯が発生した場合には、駐車場側に賠償責任が問われかねない。
【0004】
また特許文献2では、車両の自動的な駐車の実行の少なくとも1つのビデオ画像が記録され、そのビデオ画像がモバイル端末装置に送信される、車両の自動的な駐車を監視するための方法および対応する装置、対応するシステム及び駐車システムに関する技術が開示されている。また特許文献2では、車両外部のカメラ複数であり、別の車両の車両内部のカメラ、又は、車両外部の監視システムのカメラによって、複数の視点が端末装置のユーザに提供される技術も開示されている。
【0005】
ところが特許文献2では、車両の自動的な駐車のプロセスを監視して記録することに言及しているものの、自動運転車両の駐車後の防犯のための監視や、非自動運転車両の監視には一切言及されておらず、その観点ではなんら有効な解決手段も開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-267679号公報
【文献】特表2017-535991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、防犯性が向上し、利用者が安心して車両を駐車することが出来る、駐車場監視システム、駐車場監視方法、及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の一実施形態は、複数の場内監視カメラと制御部を具備する駐車場監視システムである。
上記複数の場内監視カメラは、駐車場内に設置される。
上記制御部は、上記場内監視カメラが撮影した上記駐車場内に駐車中の一の車両の駐車状態を含む第1の画像と、1台以上の他の車両の車載カメラが撮影した上記一の車両の駐車状態を含む第2の画像とを受信し、上記第1の画像と上記第2の画像とを監視画像として出力する。
【0009】
上記駐車場監視システムによれば、場内監視カメラの画像だけでなく他の車両の車載カメラの画像を監視画像として出力するので、駐車場の防犯性が向上し、利用者が安心して車両を駐車することが出来る。
【0010】
上記駐車場監視システムは、
上記複数の場内監視カメラと接続された駐車場管制装置と、
上記駐車場管制装置とインターネットを介して接続された駐車場監視装置とを含んでもよい。
この場合、上記駐車場監視装置は、上記制御部を含み、上記駐車場管制装置から上記第1の画像と上記第2の画像とを受信してもよい。
【0011】
上記駐車場監視システムによれば、駐車場管制装置と駐車場監視装置を含んで構成されることにより、駐車場の防犯性を向上させ利用者が安心して車両を駐車することの可能な駐車場監視システムが具体的に実現する。
【0012】
上記制御部は、上記一の車両の駐車位置に応じて上記監視画像の取得に適した駐車位置を判定し、少なくとも1台の上記他の車両であって駐車中の自動運転車両に、判定された上記駐車位置を指定する情報を送信し、上記自動運転車両は、上記指定された情報を基に上記駐車位置に自動的に移動して上記車載カメラにより上記第2の画像を取得してもよい。
【0013】
上記駐車場監視システムによれば、駐車状態を監視する対象の一の車両の監視画像の取得に適した位置を、他の車両であって自動運転車両であるものの駐車位置として指定することにより、上記自動運転車両が自動走行により上記一の車両の駐車状態の監視位置に移動するため、上記一の車両の駐車位置がどこであっても上記自動運転車両の車載カメラによる画像が取得できる。そのため、より防犯性が向上し、利用者が安心して車両を駐車することが可能になる。
【0014】
上記制御部は、上記一の車両が上記駐車場に入場する際に、駐車中の非自動運転車両の車載カメラにより駐車状態を撮影可能な位置を推奨駐車位置として、上記一の車両に出力し、上記駐車中の非自動運転車両は、上記一の車両が上記推奨駐車位置に駐車後、上記車載カメラにより上記第2の画像を取得してもよい。
【0015】
上記駐車場監視システムによれば、上記駐車中の非自動運転車両の車載カメラによる上記一の車両の監視画像の取得に適した駐車位置が、上記一の車両の推奨駐車位置として出力されるため、上記一の車両の駐車状態を適切に監視可能になる。そのため、駐車場の防犯性が向上し、利用者が安心して車両を駐車することが出来る。駐車場に入庫中の車両に自動運転車両がなく、非自動運転車両しか入庫していない場合には、本構成は特に有効である。
【0016】
上記制御部は、上記他の車両が上記駐車場に入場する際に、駐車中の上記一の車両の駐車状態を撮影可能な位置を推奨駐車位置として、上記他の車両に出力し、上記他の車両は、上記推奨駐車位置に駐車後、上記車載カメラにより上記第2の画像を取得してもよい。
【0017】
上記駐車場監視システムによれば、車載カメラ画像を提供可能な他の車両が、一の車両の駐車状態の監視に適した駐車位置に誘導されるため、駐車場の防犯性が向上し、利用者が安心して車両を駐車することができる。
【0018】
上記制御部は、上記監視画像に含まれる上記一の車両以外のナンバープレート情報の少なくとも一部を視認不可能に加工するととともに、上記監視画像に含まれる人の少なくとも顔画像を個人特定不可能に加工し、加工後の上記監視画像を出力してもよい。
【0019】
上記駐車場監視システムによれば、他の車両や人の肖像権に配慮しつつ、防犯上有効に画像を確認することができるため、駐車場の防犯性が向上し、利用者が安心して車両を駐車することが出来る。
【0020】
上記制御部は、上記一の車両を示す車両情報を含む上記駐車場の利用申し込みを受信し、上記利用申し込みに基づいて上記一の車両の駐車位置を決定し、上記一の車両の上記駐車場への入場後から上記監視画像を記録してもよい。
【0021】
上記駐車場監視システムによれば、一の車両の駐車場の利用申し込み(利用予約を含む)の受信と同時に監視画像の記録を始めることができるため、利用者にとって利便性がよくなる。
【0022】
上記制御部は、上記一の車両の車載カメラが少なくとも1台の上記他の車両の駐車状態を撮影した第3の画像を受信し、上記第3の画像を上記他の車両の監視画像として利用することに許諾が与えられているか否かを判断し、上記許諾が与えられている場合に上記一の車両のユーザに対してインセンティブを付与するインセンティブ情報を生成してもよい。
【0023】
上記駐車場監視システムによれば、車載カメラ画像を提供するユーザに対してインセンティブを付与することができるため、車載カメラ画像を提供する利用者が増加し、駐車場の防犯性が向上する。
【0024】
上記制御部は、上記一の車両が自動運転車両である場合に、上記一の車両が上記駐車場において上記場内監視カメラの死角になる場所が映るように自動走行時の通過位置を決定し、上記駐車位置を指定する情報とともに上記通過位置を指定する情報を出力してもよい。
【0025】
上記駐車場監視システムによれば、上記場内監視カメラの死角になる場所(例えば、駐車中の車両と車両の間)を車載カメラが撮影するように、上記一の車両が自動走行により駐車場内を走行するため、駐車場の防犯性が向上し、利用者が安心して車両を駐車することができるようになる。
【0026】
上記制御部は、上記駐車場の内部を近距離無線通信により送受信された上記第2の画像を受信し、受信した上記第2の画像を上記一の車両のユーザが持つ情報により暗号化し、上記一の車両のユーザが持つ情報とともに上記監視画像の取得要求を受信した場合に上記第2の画像を復号化し、復号化した上記第2の画像を上記取得要求の要求元に送信してもよい。
【0027】
上記駐車場監視システムによれば、車載カメラ画像を近距離無線通信により逐次収集し、上記一の車両が駐車場を退場したのちも利用者の取得要求に応じて監視画像を提供することができるので、利用者にとって利便性が増加し、駐車場の防犯性が向上し、駐車場監視サービスを普及拡大させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、防犯性が向上し、利用者が安心して車両を駐車することが出来る、駐車場監視システム、駐車場監視方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る駐車場管理システムの構成例を示す概略図である。
【
図2】自動バレー駐車サービス対応の駐車場の構成例を示す模式図である。
【
図3】駐車場管制システムの構成例を示すブロック図である。
【
図4】自動運転機能を有する車両の構成例を示す模式図である。
【
図5】駐車場管制装置の機能的な構成例を示すブロック図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るヒートマップの説明図である
【
図8】本発明の実施形態に係るヒートマップの説明図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る危険度決定フローである。
【
図10】本発明の実施形態に係るヒートマップ生成フローである。
【
図11】本発明の実施形態に係る赤外線カメラ画像の説明図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る管制画面の説明図である。
【
図13】本発明の実施形態に係るカーナビの画面の説明図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る駐車場の照明の状態の説明図である。
【
図15】本発明の実施形態に係るAR技術の説明図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る監視カメラ画像の説明図である。
【
図17】本発明の実施形態に係るドライブレコーダ画像の説明図である。
【
図18】本発明の実施形態に係る非自動運転車両のブロック図である。
【
図19】本発明の実施形態に係る自動運転車両の駐車スペース選択の説明図である。
【
図20】本発明の実施形態に係る駐車監視フロー図である。
【
図21】本発明の実施形態に係る駐車画像提供フロー図である。
【
図22】本発明の実施形態に係る駐車場DBの説明図である。
【
図23】本発明の実施形態に係る駐車監視装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な具体例であって、種々の好ましい技術を開示しているが、本発明の技術範囲はこれらの態様に限定されるものではない。
【0031】
以下ではまず、自動バレーサービス(自動運転車両の自動走行機能を利用したサービス)を実現するための駐車場管制システムを含む駐車場管理システム全体について説明し、その後、駐車場管理システムが提供する防犯機能について(駐車場監視システムとして)説明する。
【0032】
[駐車場管理システムの構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る駐車場管理システムの構成例を示す概略図である。
駐車場管理システム500は、駐車場を利用する利用者から申請される予約の管理、駐車状況の監視、及び駐車場の利用に関する種々の料金の算出等、駐車場に関する種々の処理を実行可能である。
【0033】
駐車場管理システム500は、駐車場管制装置5と、利用者端末6と、駐車場管理装置7と、管理機関端末8と、決済機関9が有する決済サーバ装置(図示せず)と、ETC(Electronic Toll Collection System)管理機関10が有するETC管理サーバ装置(図示せず)とを有する
これらの端末及び装置は、ネットワーク1を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク1は、例えばインターネットや広域通信回線網等により構築される。
その他、任意のWAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)等が用いられてよく、ネットワーク1を構築するためのプロトコルは限定されない。
【0034】
駐車場管制装置5は、各駐車場11に設置される。後に説明するように、本実施形態では、駐車場管制装置5を中心として、本発明に係る駐車場管制システムが構築される。
駐車場管制装置5は、駐車場11内に設置される各装置の動作を包括的に制御することが可能である。
また駐車場管制装置5は、駐車場11内に設置される各装置から種々の情報を集約し、駐車場管理装置7等に送信することが可能である。
また駐車場管制装置5は、駐車場管理装置7や管理機関端末8等から種々の情報を受信し、種々の動作を実行することが可能である。
【0035】
駐車場管制装置5は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等のコンピュータの構成に必要なハードウェアを有する。
また駐車場管制装置5は、ネットワーク1を介して他の装置と通信するための通信部を有する。通信部としては、例えばWiFi等の無線LANモジュールや、モデムやルータ等の通信機器が用いられる。
駐車場管制装置5として、例えばPC(Personal Computer)等の任意のコンピュータが用いられる。
【0036】
図1に示す例では、各駐車場11にゲート装置28が設置されている。
ゲート装置28は、車両の入場/出場を規制することが可能である。ゲート装置28に代えて、未精算での駐車スペースからの出庫を規制するフラップ装置(ロック装置)等が設置されてもよい。
なお、ゲート装置やフラップ装置が設置されない所謂フラップレス式駐車場に対しても、本発明を適用することが可能である。
【0037】
利用者端末6は、駐車場11を利用する利用者により使用される端末である。
利用者端末6として、スマートフォン、タブレット端末、種々のPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末や、ノートPC(Personal Computer)等の、任意のコンピュータが用いられてよい。
【0038】
駐車場管理装置7は、本実施形態に係る駐車場管理サービスをWebサービスとして提供可能である。
本実施形態では、複数のサーバ装置12と、データベース(DB)13とにより駐車場管理装置7が構成される。
【0039】
各サーバ装置12は、CPU、ROM、RAM、HDD等のコンピュータの構成に必要なハードウェアを有する。
また各サーバ装置12は、ネットワーク1を介して他の装置と通信するための通信部を有する。通信部としては、例えばWiFi等の無線LANモジュールや、モデムやルータ等の通信機器が用いられる。
サーバ装置12として、例えばPC等の任意のコンピュータが用いられる。
【0040】
DB13は記憶部として機能し、本駐車場管理サービスに関する種々の情報を記憶する。
例えばDB13内には、会員登録DB、予約情報DB、在車DB、及び超過情報DBが構築される。
その他、例えば駐車場DB、提携店舗DB、割引DB、出庫情報DB、オーナー情報DB、種々の履歴DB、管理情報DB等の、種々のDBが構築されてもよい。
各種のDBは、駐車場管理装置7内のDBサーバにより包括的に管理され、例えば駐車場管理サービスを利用する利用者の会員登録及び退会、各利用者から受付けた予約情報の登録、変更及び削除、各駐車場11のオーナー情報の登録及び保管、運営収支情報の記録及び保管等が実行される。
【0041】
また駐車場管理装置7内のWebサーバにより、例えばWWW(World Wide Web)システムを用いて、本実施形態に係る駐車場管理サービスが提供される。
例えばWebサーバは、HTML文書でなる種々のWebページを作成する。Webページには、他のWebページへのハイパーリンクや、種々の処理を実行するためのリンク情報(例えば実行ファイル名、URL等)が埋め込まれる。
また駐車場管理装置7内のWeb/APIサーバにより、種々のリクエストに応じた種々の処理が実行される。例えばWeb/APIサーバにより、各駐車場11の満空車情報の収集及び出力、管理機関端末8からの遠隔操作の中継等が実行される。
駐車場管理装置7内により生成されたWebページは、図_1に示す各装置に備えられるWebブラウザにより画面上に表示される。
例えば駐車場11を利用する利用者は、利用者端末6を操作することで、種々のWebページを閲覧したり、種々のWebアプリケーションを利用することが可能である。
【0042】
管理機関端末8は、駐車場オーナーから駐車場11の管理業務を委託された管理機関のオペレーターにより使用される。
オペレーターにより、例えば日常の問い合わせ対応、ユーザ対応、駐車場管制装置5の故障時の保守メンテ作業の情報提供等が行われる。
管理機関端末8としては、PCやタブレット端末等が用いられる。
なお駐車場11を所有するオーナー自身で、駐車場11の管理業務を行う場合もある。この場合、オーナーが所有する端末が管理機関端末8として機能し得る。
また管理業務を委託された管理機関が駐車場管理装置7を保有し、本実施形態に係る駐車場管理サービスを提供することもあり得る。
【0043】
決済機関9は、例えば銀行や信販会社等であり、銀行振り込みやクレジットカード決済等により駐車料金の決済(精算)を実行する。
駐車場管理装置7は、決済機関9の決済サーバ装置に対して、駐車料金の精算の指示や、精算が済んでいるか否か等の精算情報の問い合わせ等を実行する。
【0044】
ETC管理機関10は、ETCシステムを実現するための機関であり、ETCシステムを利用する利用者の情報、ETCカード情報、決済情報、及び車両情報等を管理する。
例えば、車両に搭載されたETC車載器にETCカードを挿入する。これにより、ETCアンテナが設置されたETC対応の駐車場11に対して、ETC決済による駐車場11の利用が可能となる。
【0045】
[自動バレー駐車システム]
本発明は、自動バレー駐車システムが構築された駐車場11に対して適用可能である。
自動バレー駐車システムは、自動運転機能(自律運転機能)を有する車両による自動バレー運転(自動バレー駐車すなわち自動バレー入庫運転と、自動バレー出庫運転)が実行可能なシステムである。自動バレー駐車システムが構築された駐車場11は、自動バレー駐車サービス対応の駐車場11とも言える。
例えば利用者は、利用者端末6を操作して、自動バレー駐車サービスを提供するアプリケーションにアクセスする。そして必要な情報を入力して会員登録等を行うことで、自動バレー駐車サービスを利用することが可能となる。
本実施形態では、
図1に示す駐車場管理システム500に含まれるシステムとして、自動バレー駐車システムが構築される。すなわち駐車場管理装置7により提供される駐車場管理サービスに含まれるサービスとして、自動バレー駐車サービスが提供される。DB13には、自動バレー駐車システムに関する種々のDBが構築される。
これに限定されず、駐車場管理システム500とは別のシステムとして、自動バレー駐車システムが構築されてもよい。例えば、
図1には図示していない別の管理装置等により自動バレー駐車システムが構築され、駐車場11と個別に契約等が行われてもよい。
その他、自動バレー駐車システムを構築するための構成や方法等は限定されない。
【0046】
例えば利用者は、利用者端末6を操作して、自動バレー駐車の予約を行う。そして予約時間に合わせて、自動運転機能を有する車両を手動で運転(手動運転モード)して、駐車場11内に入場する。もちろん自動運転でも構わない。
利用者は、駐車場11内の所定の位置に設けられた自動バレー駐車サービス対応の駐車スペース(以下、自動バレー乗降スペースと記載する)に車両を駐車する。そして、車両から降りた利用者により、自動バレー駐車の実行が指示される。自動バレー駐車の実行の指示は、例えば利用者端末6を介して実行される。あるいは、駐車場11内に設定された専用の端末等が操作されてもよい。
当該指示に応じて、車両は無人による自動運転(自動運転モード)により、駐車場11内の所定の駐車スペースに移動し、車両を駐車させる(自動バレー入庫運転)。なお予約をすることなく、好きな時間に駐車場11内に入場して、自動バレー駐車を実行させることも可能である。
利用者が駐車場に戻ってくる際には、例えば何分後に駐車場内の自動バレー乗降スペースに、自動運転機能を有する車両を移動させる旨等の指示が入力される。当該指示に応じて、車両は無人による自動運転(自動運転モード)により、駐車スペースから自動バレー乗降スペースに車両を移動させ駐車させる(自動バレー出庫運転)。
以下、自動バレー駐車サービス対応の駐車場11を例に挙げて、本発明を説明する。
【0047】
[駐車場の構成例]
図2は、自動バレー駐車サービス対応の駐車場の構成例を示す模式図である。
駐車場11は、入場口15、出場口16、構内通路17、複数の駐車スペース18、自動バレー乗降スペース19、階段20、エレベータ21(エレベータホール)、事前精算機22、案内装置23、監視システム24、バンプ25、及び照明装置26を有する。
【0048】
入場口15から駐車場11の内部に向かって入場レーンが構成される。入場レーンには、には、入口ループコイル27a、入場ゲート装置28a、入口カメラ29a、及び入口スピーカ30aが設けられる。
入口ループコイル27aから出力される信号に基づいて、入場レーンへの車両3の進入が検出される。
入場ゲート装置28aにより、入場レーンから駐車場11内部への車両3の入場が適宜規制される。
入口カメラ29aにより、入場レーンに進入した車両3を撮影することが可能である。
入口スピーカ30aにより、入場レーンに進入した車両3を運転する運転手や同乗者に向かって、音声を通知することが可能である。
各デバイスの具体的な構成は限定されず、任意の構成が採用されてよい。
【0049】
駐車場11内部から出場口16に向かって出場レーンが構成される。出場レーンには、出口ループコイル27b、出場ゲート装置28b、出口カメラ29b、及び出口スピーカ30bが設けられる。
出口ループコイル27bから出力される信号に基づいて、出場レーンへの車両3の進入が検出される。
出口ゲート装置28bにより、出場レーンから駐車場11外部への車両3の出場が適宜規制される。
出口カメラ29bにより、出場レーンに進入した車両3を撮影することが可能である。
出口スピーカ30bにより、出場レーンに進入した車両3を運転する運転手や同乗者に向かって、音声を通知することが可能である。
各デバイスの具体的な構成は限定されず、任意の構成が採用されてよい。
【0050】
また図示は省略しているが、入場レーン及び出場レーンには、ETC車載器を搭載した車両3を検出する、ETCアンテナがそれぞれ設置されている。
【0051】
構内通路17は、駐車場11に入場した車両3が走行する通路である。また構内通路17は、駐車車両から降りた運転手等が歩行する通路である。
以下、構内通路17を歩行する人物や、走る人物、立ち止まる人物等を、総称して歩行者4と記載する。すなわち歩行者4は、駐車場11内において車両3に乗っていない人物を意味する。
また本開示において、自動運転モードで走行している自動運転機能を有する車両3を、自動運転車両3aとする。一方、運転手が手動で運転している車両3を、非自動運転車両3bとする。例えば、手動運転モードで走行している自動運転機能を有する車両3も、非自動運転車両3bとなる。なお非自動運転車両3bは、手動運転車両とも言える。
図2では、頭部と肩の部分を表現する図により、歩行者4が図示されている。二重の略長方形状により、自動運転車両3aが図示されている。一重の略長方形状により、非自動運転車両3bが図示されている。
図2に示すように、構内通路17に対して、車両3の走行方向を規定する標識(矢印等)が設けられてもよい。また、歩行者4が歩くための通路が規定されてもよい。
【0052】
複数の駐車スペース18は、駐車場11内に設けられる。図_2に示す例では、スペースナンバーがA1~A9、B1~B9、C1~C9、D1~D9、E1~E9、F1~F9、G1~G9、H1~H9、J1~J15、K1~K24となる、複数の駐車スペース18が配置される。
駐車スペース18は、自動バレー駐車を実行する自動運転車両3a、及び非自動運転車両3bの両方が駐車可能なスペースである。すなわち本実施形態では、構内通路17を、自動運転車両3a、及び非自動運転車両3bの両方が、混在して走行することになる。
【0053】
自動バレー乗降スペース19は、自動バレー駐車サービス対応の駐車スペースである。すなわち自動バレー乗降スペース19は、運転手や同乗者が自動バレー駐車場を実行する車両3から降りたり、乗ったりするためのスペースである。
図2に示す例では、入場口15及び出場口16に近い位置に、スペースナンバーがV1及びV2となる2つの自動バレー乗降スペース19が設けられる。
例えば、自動バレー駐車サービスを利用する利用者は、入場口15から駐車場11に入場した後、右折して自動バレー乗降スペース19に車両3を駐車させる。そして自動バレー乗降スペース19にて、車両3から降り、自動バレー駐車の実行を指示する。当該指示に応じて、自動運転車両3aが、自動バレー乗降スペース19から、いずれかの駐車スペース18に移動する。
自動運転車両3aが駐車される駐車スペース18は、予め決められていていてもよいし、その都度選択されてもよい。例えば、駐車場11内の最も隅にあり、あまり便がよくない駐車スペース18が優先的に自動バレー駐車のために割り当てられてもよい。
自動バレー駐車サービスを利用する利用者が駐車場11に戻ってきた場合には、そのタイミングに合わせて、駐車スペース18から自動バレー乗降スペース19に、自動運転車両3aが移動する。ユーザは、車両3に乗り込み、手動運転にて、出場口16から外部に車両3を出場させる。
【0054】
階段20、及びエレベータ21は、例えば駐車場11の利用者により利用される。階段20、及びエレベータ21の近辺のエリアは、歩行者4が通行する可能性が高いエリアとなる。
【0055】
事前精算機22は、駐車場11の利用者が駐車場11から車両3を出場させる前に事前精算を実行することが可能な装置である。例えば、タッチパネル等を有する装置が、事前精算機22として設置される。
案内装置23は、駐車場11及び本駐車場管理システム500(自動バレー駐車システムを含む)に関する種々の情報を案内するための装置である。例えばディスプレイ装置等を有し案内情報を表示可能な装置等が、案内装置23として用いられる。
【0056】
監視システム24は、駐車場11を監視可能なシステムである。
図2に示す例では、以下のデバイスが、監視システム24として設置される。
入口カメラ29a及び入口スピーカ30a
出口カメラ29b及び出口スピーカ30b
主に構内通路17を撮影する場内カメラ32(図中の白丸)
主に駐車スペース18を撮影する駐車スペースカメラ33(図中の黒丸)
構内に設けられた複数の場内スピーカ34
構内に設けられた複数の場内マイク35
本開示にて説明するカメラとして、例えばCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサやCCD(Charge Coupled Device)センサ等のイメージセンサを備えるデジタルカメラが用いられる。その他、赤外線カメラ等が用いられてもよい。
監視システム24は、駐車場11の監視結果として、監視情報を出力することが可能である。本実施形態では、各種カメラにより撮影された撮影画像や、各種マイクにより取得された音声が監視情報として出力される。
なお本開示において、画像は、静止画像及び動画像(映像)の両方を含む。
場内カメラ32や駐車スペースカメラ33は、駐車場11の全体を極力カバーできるように配置される。すなわち可能な限り死角が存在しないように、複数の場内カメラ32及び複数の駐車スペースカメラ33が適宜配置される。
【0057】
バンプ25は、構内通路17の所定の位置に、複数設置される。
バンプ25は、例えば比較的見通しの悪い通路の出口や、場内カメラ32の画角に入りにくい箇所の路面等に設置される。
バンプ25は、例えば構内通路17の進行方向を横断する方向に設置される単数か複数の凸稜部により構成され、本来の目的は一部を隆起させた路面を通過する車両に上下の振動を生じさせることで、運転車に減速を促すことである。典型的には、蒲鉾上の凸稜線形状であるが、短い凸部や半球状の凸部が一定間隔で並んでいてもよい。その場合は、車両3のタイヤ幅よりも狭い間隔であることが望ましい。また横断本数は、3本程度が良い。
またバンプ25は、通行速度を強制的に低減させるために視覚的に牽制効果のある奥行き幅の長く凸高さの高い大型のバンプと併用することで構成されてもよい。
またバンプ25は、それ自体が場内カメラ32で撮像した画像の中で像認識しやすいように、路面とのコントラストが大きい色で着色するのが良い。例えば、赤外線発光塗料で塗装されていると、運転者には視認しにくく、カメラ画像では認識しやすくなり、様々な応用性がある。
【0058】
バンプ25の近辺(例えば天井)には、監視システム24に含まれる複数の場内マイク35が設置される。複数の場内マイク35により、車両3(自動運転車両3a、非自動運転車両3b)がバンプ25を通過した際の音声を検出することが可能である。
例えば、車両3がバンプ25を通過する際のタイヤの上下音が「ガタンガタン」といった音声として検出可能である。
【0059】
[駐車場管制システム]
図3は、駐車場管制システム100の構成例を示すブロック図である。
駐車場管制システム100は、駐車場11に対して構築されるシステムである。
図3に例示する駐車場管制システム100は、駐車場管制装置5、監視システム24、事前精算機22、案内装置23、自動バレー管理装置37、照明装置26、及び駐車場DB38を有する。
図3に示す各ブロックは、例えば駐車場11の構内に設置された図示しない構内LANを介して、互いに通信可能に接続されている。その他、無線/有線を介した任意の通信技術が用いられてもよい。
【0060】
監視システム24は、
図2で例示した、入口カメラ29a、入口スピーカ30a、出口カメラ29b、出口スピーカ30b、場内カメラ32、駐車スペースカメラ33、場内スピーカ34、及び場内マイク35を含む。
図3に示す例では、これらのデバイスに加えて、複数の赤外線カメラ(サーモグラフィ)39も設置される。
赤外線カメラ39は、赤外線画像を撮影可能である。本実施形態では、駐車スペースカメラ33と同じ画角となるように、赤外線カメラ39が設置される。従って、主に駐車スペース18に駐車された車両3や、車両3に乗降する歩行者4についての、赤外線画像を撮影することが可能である。
【0061】
自動バレー管理装置37は、自動バレー駐車システムを構築するための装置である。本実施形態では、自動バレー管理装置37が、駐車場管理装置7や駐車場管制装置5と協働することで、自動運転車両3aによる自動バレー運転が管理される。
例えば、自動バレー管理装置37により、自動運転車両3aによる自動運転動作が制御される。例えば、自動バレー乗降スペース19から所定の駐車スペース18への自動運転が指示される。あるいは、所定の駐車スペース18からの自動バレー乗降スペース19への自動運転が指示される。
その他、自動バレー駐車場の予約管理等、種々の処理が実行される。
本実施形態では、自動バレー管理装置37により、自動運転車両3aに対して、後に説明するヒートマップが送信される。
自動バレー管理装置37は、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD等のコンピュータの構成に必要なハードウェアを有する。また自動バレー管理装置37に、図_1に示すネットワーク1を介して他の装置と通信するための通信部が備えられる。通信部としては、例えばWiFi等の無線LANモジュールや、モデムやルータ等の通信機器が用いられる。
自動バレー管理装置37として、例えばPC等の任意のコンピュータが用いられる。
【0062】
駐車場DB38には、駐車場11に関する種々のデータが格納され、例えば在車DBや履歴DB等の任意のDBが構築される。もちろん
図1に示す駐車場管理装置7のDB13に格納されたデータが共有される場合もあり得る。
本実施形態では、後に説明するヒートマップに関する情報や、ヒートマップに基づいて生成される駐車場情報が駐車場DB38に記憶され、駐車場管制装置5や自動バレー管理装置37により適宜参照される。また自動バレー駐車に関する種々の情報が駐車場DB38に記憶される。
【0063】
[自動運転車両]
図4は、自動運転機能を有する車両の構成例を示す模式図である。ここでは、自動運転モードが選択された状態である自動運転車両3aとして説明を行う。
自動運転車両3aは、通信部41と、車載カメラ42と、認識装置43と、ETCアンテナ44と、ETC車載器45と、制御部46とを有する。
通信部41は、他の装置と通信するためのデバイスである。本実施形態では、通信部41を介して、自動バレー管理装置37からの指示等を含む種々の情報が取得される。
通信部41としては、例えばWiFi等の無線LANモジュールや、モデムやルータ等の通信機器が用いられる。その他任意の通信デバイスが用いられてよい。
【0064】
車載カメラ42は、自動運転車両3aの周囲を撮影可能である。
車載カメラ42としては、CCDカメラ等のデジタルカメラが用いられる。その他、ToFカメラやステレオカメラ等の測距デバイスが用いられてもよい。また赤外線カメラ等が用いられてもよい。
認識装置43は、車載カメラ42により撮影された画像に基づいて、自動運転車両3aの周囲の状況を認識する。状況認識のためのアルゴリズムは限定されない。
ETCアンテナ44、及びETC車載器45により、ETC決済による駐車場11の利用が可能である。
【0065】
制御部46は、CPU、ROM、RAM、HDD等のコンピュータの構成に必要なハードウェアを有する。
図3に示す例では、制御部46により、ソフトウェアブロックとして、走行ルート決定部47、及び走行制御部48が実現される。
走行ルート決定部47は、自動バレー管理装置37からの指示、認識装置43による認識結果、駐車場11の地図情報等に基づいて、自動運転を行う走行ルートを決定する。
走行制御部48は、決定された走行ルートに沿った自動運転を実現するために、自動運転車両3aが備える駆動系(図示は省略)等を適宜制御する。
例えば
図3に例示するように、走行制御部48により、エンジン・モータ制御装置49、ブレーキ制御装置50、ヘッドライト制御装置51、ハザードランプ(ウィンカー)制御装置52、及びクラクション制御装置53等に制御信号が出力される。これにより走行ルートに沿った自動運転や、危機回避運動等が実現される。
その他、自動運転を実現するための周知の技術が適宜されてよい。
【0066】
本駐車場管制システム100では、自動運転車両3aに、後に説明するヒートマップが送信される。制御部46は、受信したヒートマップを用いて、自動運転を自律的に制御することが可能である。例えば、ヒートマップに基づいた走行ルートの決定や、ヒートマップに基づいた走行制御等を実行することが可能である。
その他、自動運転車両3aは、ヒートマップに基づいた種々の車両制御(車速制限やルート変更等)を実行することが可能である。
【0067】
図5は、駐車場管制装置5の機能的な構成例を示すブロック図である。
駐車場管制装置5は、監視情報取得部55、状況認識部56、ヒートマップ生成部57、駐車場情報生成部58、情報出力部59、デバイス制御部60、及び管制処理部61を有する。
これらのブロックは、駐車場管制装置5のCPUが所定のプログラムを実行し、装置内のハードウェア資源と協働することで構成され、本実施形態に係る駐車場管制方法が実現される。
駐車場管制装置5にプログラムをインストールする方法は限定されない。
【0068】
監視情報取得部55は、監視システム24により検出された監視情報を取得する。
本実施形態では、
図3等に示す入口カメラ29a、出口カメラ29b、場内カメラ32、駐車スペースカメラ33、赤外線カメラ39により撮影された撮影画像が取得される。また場内マイク35により取得された音声が取得される。
【0069】
駐車場管制装置5の状況認識部56が提供する危険度決定機能と、ヒートマップ生成部57が提供するヒートマップ生成機能はフローチャートにて詳細に説明する。ヒートマップ生成機能により生成されたヒートマップ情報は情報出量部59により、上記の自動運手車両3aの通信部に送信される。
【0070】
図6は、本発明の実施形態に係る場内カメラ画像の説明図である。図中には駐車スペース18に駐車中の車両3が示されている。場内カメラの画像は、あらかじめ設置位置と撮影した画像の画角が記憶されていて、場内カメラの画像に映った物体は、射影変換することで駐車場内のいずれの位置に存在しているかが判断できる。図中左下の車両3は、構内通路17上に射影変換されて示されている。
【0071】
図7、
図8は、本発明の実施形態に係るヒートマップの説明図である。図では簡単のためハッチングの濃淡により危険度のレベルを5段階で表示している。また、危険度レベルに応じて、自動運転車両の通行条件(最高速度、停止有無)が設定されている。
【0072】
図9は、本発明の実施形態に係る危険度決定フローである。駐車場管制装置5は、画像や音声の認識をし、認識された情報から、S11で新規車両が検出されればS13に移行するが、そうでなければS12に移行し、新規歩行者が検出されれば、S13に移行するが、そうでなければS14に移行し、新規事象が検出されたかが判断される。S13では、新規の車両もしくは歩行者について、危険度の初期のレベルが決定され、処理を終える。また、S14で新規事象が検出された場合は、S16に移行して、その事象を検索する。駐車場管制装置5は、事象検索の処理後、S17で走行危険度を設定し(危険度レベルの推定)、処理を終える。なお、S11~S14において、新規でない、既知の車両、歩行者、事象の検出の場合は、S15で走行危険度の更新処理をおこない、処理を終える。
【0073】
危険度更新処理は、車両か、歩行者か、他の事象かにより、その当初の検出からの経過時間によって、危険度を変化させる処理である。例えば、駐車した車両の危険度レベルは当初はレベル2であり、レベル2のエリア内は自動運転車両の走行速度は最高3Km/hである。そのレベルは駐車した当初から経過時間が3分まで維持し、画像等変化ない場合はその後レベル1に変化する。レベル1のエリア内は自動運転車両の走行速度は制限ないが、接触禁止である。
【0074】
このように、危険度として、各場内カメラ画像から認識される、車両、歩行者(乗降者)の位置座標を総合し、また、車両、歩行者(乗降者)の挙動から次の動作(行動)を予測した「車両発進の可能性」、「車両から降車の可能性」、「歩行者(子供)の在否」を表現した危険度マップとして、ヒートマップ情報を作成する。また、予測される動作(行動)の種別毎に、危険度、持続時間等が割り振られ、時間経過と共に常時変化することも重要である。
【0075】
図10は、本発明の実施形態に係るヒートマップ生成フローである。駐車場管制装置5は、画像もしくは音声の情報を取得した場合、新規の移動体かどうかを判断し(ST21)、YESであればS23に移行して、前述の射影変換技術等を用いて位置を推定する。NOであれば、S22に移行し、既知の移動体であれば、同様にS23で位置の推定をするが、NOであればS24に移行し危険度決定のフローの通りで危険度を決定する。S25では位置情報と危険度を組み合わせてヒートマップ情報を生成する。
【0076】
このように、本発明の実施例の駐車場管理装置の制御部において、場内カメラで画像を物体認識し、車両、歩行者(乗降者)を捕捉し、駐車場平面図にあらかじめ設定した危険度に対応して夫々の位置座標を紐づけしたヒートマップ情報を生成する。ヒートマップ情報は、車両、歩行者(乗降者)の移動に応じて逐次更新され、最新の位置情報とともに更新され、自動運転車両等に対してヒートマップ情報をリアルタイムに送信する。
【0077】
以上のように本実施形態の駐車場管制装置は、制御部と、通信部と、取得部とを備え、駐車場内の車両の駐車及び通行と人の往来とを監視する監視手段から前記取得部が監視情報を取得し、駐車及び通行する車両は自動運転車両及び非自動運転車両(乗車する運転者により運転される車両)であり、前記制御部は前記取得部による取得した監視手段からの監視情報に含まれる画像から駐車場内の車両の駐車及び通行の情報と、人の往来の情報を駐車場内の位置に対応して危険度を段階的にマッピングしたヒートマップ情報を生成し、前記通信部は、自動運転車両に対して当該ヒートマップ情報を送信することを特徴とする。
【0078】
よって本実施形態の駐車場管制装置によれば、自動運転車両に対して駐車場内の危険な位置を認識させることができるので、走行ルートの決定や変更が判断でき、また、危険な位置の近辺での走行速度の制限をかける等の安全の配慮が可能となり、結果的に自動運転車両と非自動運転車両の両方が混在して利用する駐車場において、安全性が担保されつつ、利用効率が向上する。
【0079】
また、本実施形態の駐車場管制装置は、前記ヒートマップ情報に、非自動運転車両や歩行者の予測される行動(動作)の種別毎に危険度や危険度の時間の経過に伴う低減度合いが決定され、時間の経過に応じて生成された前記ヒートマップ情報が変化することを特徴とする。
【0080】
よって、本実施形態の駐車場管制装置によれば、ヒートマップ情報が適切で正確になるので、結果的に自動運転車両と非自動運転車両の両方が混在して利用する駐車場において、安全性が担保されつつ、利用効率が向上する。
【0081】
また、本実施形態の駐車場管制装置は、前記ヒートマップ情報に、歩行者が非自動運転車両から降車する可能性を含むことを特徴とする。
【0082】
よって本実施形態の駐車場管制装置によれば、あらかじめ監視対象となっている歩行者以外に、新規の歩行者を検知しやすくなり、結果的に自動運転車両と非自動運転車両の両方が混在して利用する駐車場において、安全性が担保されつつ、利用効率が向上する。
【0083】
また、本実施形態の駐車場管制装置は、前記ヒートマップ情報には、危険度に応じて自動運転車両の制限速度が設定され、前記通信部により送信する前記ヒートマップ情報には制限速度情報が直接含まれることを特徴とする。
【0084】
よって本実施形態の駐車場管制装置によれば、非自動運転車両の走行速度を直接制限するので、安全性が向上する。
【0085】
[駐車場管制システムの変形例1]
駐車場入口で車両が入場する際、車両ナンバーの読み取りとは別に、車両の乗車人数を撮像した画像から認識して記憶する。例えば、車両画像から、乗員が運転車1名であるか、助手席にも乗員がいて、2名以上であるか、などが認識されて記憶される。例えば乗員が2名と記憶された車両が駐車スペースに駐車した後、1名が降車して歩行者として検出された後に、危険度は再度レベル2で時間経過の監視を繰り返すことで、他の乗員が降車する可能性を鑑みた危険度レベルの決定が出来るようになる。
【0086】
このように、本変形実施形態の駐車場管制装置は、前記取得部により取得する情報には非自動運転車両の運転者以外の乗車人数の情報を含むことを特徴とする。
【0087】
よって、新規の歩行者の出現の予想がつきやすくなり、結果的に自動運転車両と非自動運転車両の両方が混在して利用する駐車場において、安全性が担保されつつ、利用効率が向上する。
【0088】
[駐車場管制システムの変形例2]
駐車場内には、バンプを設置している。バンプは比較的見通しの悪い通路の出口や、場内カメラの画角に入りにくい箇所の路面に設置する。バンプとは通路の進行方向を横断する方向に設置される単数か複数の凸稜部である。典型的には、蒲鉾上の凸稜線形状であるが、短い凸部や半球状の凸部が一定間隔で並んでいてもよい。その場合はタイヤ幅よりも狭い間隔であることが望ましい。横断本数は、3本程度が良い。なお、通行速度を強制的に低減させるために視覚的に牽制効果のある奥行き幅の長く凸高さの高い大型のバンプと併用してもよい。また、バンプはそれ自体が場内カメラで撮像した画像中で、制御部により画像認識しやすいように路面とのコントラストが大きい色で着色するのが良い。赤外線発光塗料で塗装されていると、運転者には視認しにくく、カメラ画像で認識しやすいのも様々な応用性がある。
【0089】
また、駐車場内のバンプの近辺に、マイクを設置して、場内の音を検出する。そうすると、車両がバンプを通過する際のタイヤの上下音が「ガタンガタン」と検出できる。さらに、マイクは他の音も検出するので、例えば、「危ない!」といった警告の発話や、「キャー!」といった悲鳴を検出することもできる。これらの音声情報は、新規事象として検出され、どのような事象かは事象検索によって、危険度レベルの推定がなされる。事象検索は、具体的には、AI,機械学習による音声解析で、人の悲鳴や警報クラクションや、その他には、車両の衝突音なども認識することができる。
【0090】
このように、本変形実施形態の駐車場管制装置は、前記取得部により取得する情報には監視カメラ画像情報および音声マイクからの音声情報を含むことを特徴とする。
【0091】
よって本変形実施形態の駐車場管制装置によれば、画像から駐車した非自動運転車両や人の移動情報に加えて、音声情報によるエンジンの動作音や、非自動運転車両によるクラクション音や、人の悲鳴なども検出が可能となり、ヒートマップ情報が詳細で正確になる。
【0092】
[駐車場管制システムの変形例3]
図11は、本変形実施形態に係る赤外線カメラ画像の説明図である。
場内カメラの画像を認識する際、監視カメラ画像に含まれる赤外線成分を抽出する機能を有するカメラが実現している。これを用いて、監視カメラ画像に含まれる駐車中の車両のエンジンの周辺のボンネットやマフラー周辺が、まだ高温状態であるか、温度が徐々に下がってきたのかを判断することが出来る。また、車の中に人が乗車していた場合など、場内カメラ画像からは通常は識別できない位置にある場合も、赤外線の情報の有無とその移動状態などで、車中に人が乗車しているなどを判断することも可能である。
【0093】
このように、本発明の駐車場管制装置は、前記取得部により取得すカメラ画像情報には監視カメラ画像から生成する赤外線発光状態を示す赤外線画像情報を含むことを特徴とする。
よって、画像から駐車した非自動運転車両のエンジンの動作有無や、乗車している人の動きの有無等の検出が可能となり、ヒートマップ情報が詳細で正確になる。
【0094】
[駐車場管理システムの構成のまとめ]
図1に示す通り、駐車場管理システム500は、主に駐車場管理装置7とインターネット等ネットワーク1で接続された、各駐車場の駐車場管制装置5と、複数の利用者携帯端末6によって構成され、自動バレー駐車場の利用に関しては、利用者携帯端末6によって駐車場管理装置7に対して、利用駐車場の予約を行い、または自動バレー駐車の予約を行うことが出来る。また、予約せずに駐車場11に入場し、自動バレーサービス対応の駐車スペース18に一旦駐車し、降車後に利用者携帯端末6から自動バレー駐車の実行を指示することで、駐車場管制装置5と自動バレー管理装置が協働して、自動運転車両3aを適宜駐車スペース18に移動させて駐車させる。その過程で、前述の通り、非自動運転車両や歩行者の危険度を含むヒートマップ情報を受信し、自動走行を自律的に制御する。すなわち自動運転車両は、ヒートマップに基づいた車両制御(車速制限やルート変更など)を実施する。
【0095】
このように、本実施形態の駐車場管理システムは、駐車場管制装置と、自動運転車両の自動バレー駐車管理装置と、複数の場内カメラと、駐車場の料金精算機と、インターネットで外部の利用者端末との情報を管理できる駐車場管理装置によって構成されることを特徴とする。
【0096】
よって、自動運転車両の自動バレー駐車を実現し、自動運転車両に対して駐車場内の危険な位置を認識させることができるので、走行ルートの決定や変更が判断でき、また、危険な位置の近辺での走行速度の制限をかける等の安全の配慮が可能となり、結果的に自動運転車両と非自動運転車両の両方が混在して利用する駐車場において、安全性が担保されつつ、利用効率が向上した駐車場が運用できる。
【0097】
さらに、本実施形態の駐車場管理システムは、駐車場内の路面の要所にバンプを形成し、自動運転車両や非自動運転車両が通過する際のタイヤの通過音を、前記音声情報として取得し、制御部により危険度を設定してヒートマップ情報に反映させることを特徴とする。
【0098】
よって本実施形態の駐車場管理システムによれば、バンプ通過音の情報が追加されるために、ヒートマップ情報が詳細で正確になり、安全性が担保されつつ、利用効率が向上した駐車場が運用できる。
【0099】
その他、本実施形態の駐車場管制装置や駐車場管理システムを応用すれば、車両の位置座標を用いて「車両の密度」を表現した混雑度マップや安全度マップを作成し、車路の混雑具合や安全度すなわち推奨誘導エリアや、空き車室の目安として利用することも可能となる。
【0100】
また、駐車場管制装置は、このヒートマップに基づいて駐車場内の照明や警報ブザーやスピーカによる音声警告、マニュアル車両のナビゲーションシステムへの通知、駐車場案内板、事前精算機への表示などを実施することも可能となる。
【0101】
[管制画面の表示出力]
図12は、本発明の実施形態に係る管制画面の説明図である。
管制画面は、駐車場係員が場内の事故や不審者の監視等の目的で、管制室の監視カメラのライブ画像を目視で監視するものと、駐車スペースの空き/占有状態の全体を視覚的に表示する管制画面がある。図は後者の例で、駐車場レイアウト図にヒートマップ情報が可視化されて表示されているので、駐車場係員はこの画面上で、自動運転車両と非自動運転車両を識別することもでき、さらに、見分けにくい歩行者状態も可視化されて表示できるので、駐車場係員にとって有用である。
【0102】
またヒートマップHMに加えてそれに関連する情報として、自動運転車両3aの走行予定進路と、非自動運転車両3bの走行軌跡を管制画面のレイアウト図に表示することができる。これは、自動運転車両3aの走行予定進路は、駐車場管制装置5が生成して自動運転車両3aに送信する場合と、自動運転車両3aには目的地を送信し、自動運転車両3aが走行経路を生成して決定する場合があるが、その双方とも、走行予定進路は駐車場管制装置5によって容易に可視化して出力することができる。非自動運転車両3bの走行軌跡についても、監視カメラからの情報を蓄積しており、その走行軌跡を可視化して出力する。
【0103】
図13は、本発明の実施形態に係るカーナビの画面の説明図である。本発明の駐車場管制装置5は、管制画面の可視化情報として、ヒートマップ情報HMまたはそれに関連する情報(予定進行方向や走行軌跡の情報)を、歩行者が所持する利用者端末6や、非自動運転車両3bに搭載されたカーナビゲーション装置461に対して、通信部を介して出力することができる。
【0104】
このような駐車場管制装置5によれば、自動運転車両3aの走行予定進路は非自動運転車両3bの運転者と歩行者にとって安全面で有用であり、非自動運転車両3bの走行軌跡は、駐車場係員にとって管理上有用であり、結果的に自動運転車両3aと非自動運転車両3bの両方が混在して利用する駐車場11において、安全性が担保されつつ、利用効率が向上する
【0105】
図14は、本発明の実施形態に係る駐車場の照明の状態の説明図である。駐車場管制装置5は、駐車場11内の照明装置の点灯状態として、ヒートマップ情報で危険な位置を含むエリアに歩行者または非自動運転車3bが進行した場合には、明暗状態を明るくすることができる。
また、駐車場11内の照明装置の点灯状態は、ヒートマップ情報で危険な位置を含むエリアごとに明暗状態を変化させ、危険レベルに応じて明暗状態を変化させ、危険度の高さに応じて明暗状態を暗くする。
より具体的には、駐車場11内の照明装置の点灯状態は、ヒートマップ情報で危険な位置を含むエリアごとに明暗状態を変化させ、危険レベルに応じて明暗状態を変化させ、危険度の高さに応じて明暗状態を暗くする。
【0106】
このような駐車場管制装置5によれば、歩行者や非自動運転車両3bの運転者に危険な位置の予想がつきやすくなり、また、歩行者や非自動運転車両3bの運転者に危険な位置に進行しにくくなる印象を与えるため、結果的に自動運転車両3aと非自動運転車両3bの両方が混在して利用する駐車場において、安全性が担保されつつ、利用効率が向上する。
【0107】
さらに、駐車場管制装置5は、駐車場11内の照明装置の点灯状態として、ヒートマップ情報で危険な位置を含むエリアに歩行者または非自動運転車3bが進行した場合には、明暗状態を明るくする。このような駐車場管制装置5によれば、歩行者や非自動運転車両3bの運転者が危険な位置に進行した場合には明暗状態を明るくするので、安全性が担保される
【0108】
図15は、駐車場情報として生成される画像情報の一例を説明するための図である。
図15Aは、歩行者4が駐車場11の構内を目視している場合の視界を示す模式図である。
図15Bは、歩行者4が利用者端末6(例えば、スマートフォン等)により、同じ視界をカメラで撮影している場合のディスプレイを示す模式図である。
図15Bに示すように、ディスプレイには、現実世界に対して、AR(Augmented Reality)画像(拡張現実画像)70が重畳されて表示される。具体的には、手前の3台の車両3の向こう側を走行する車両3の仮想画像71を含むAR画像70が表示される。またAR画像70には、「車が移動中」というテキストも含まれる。
このように画像情報として、AR画像70が生成され、利用者端末6に送信されてもよい。AR画像70は、AR技術により認識可能な画像情報とも言える。
利用者端末6、カーナビゲーション装置461、管制画面等に、AR画像70を表示することで、歩行者4、非自動運転車両3bの運転手、駐車場11の係員等は、危険な位置(領域)等を予め認識することが容易となる。この結果、高い安全性を発揮することが可能となる。
AR画像70に、自動運転車両3aの予定進行方向や、非自動運転車両3bの走行軌跡等が含まれてもよい。
なお、
図15に示すAR画像70は、駐車場11の構内の状況を示す画像であり、マップ画像MIに含まれる。
【0109】
マップ画像MIとして、2次元マップや3次元マップが生成されてもよい。すなわち2次元のマップ画像MIや、3次元のマップ画像MIを生成することが可能である。
またマップ画像MIとして、重畳画像が生成されてもよい。重畳画像は、他の画像と重畳して表示することが可能な画像である。例えば、管制画面に表示されるレイアウト画像に、マップ画像MIを重畳して表示することも可能である。これにより、より詳細に駐車場11の状況を把握することが可能となる。
【0110】
また、ヒートマップ情報として車両駐車スペースの占有度を表現した混雑度マップを作成し、車路の混雑具合や、空き車室の目安として利用してもよい。
また、ヒートマップ情報の画像を、危険度の表示と反転して、推奨する安全エリアとして表示してもよい。
【0111】
また、ヒートマップ情報またはそれに関連する情報には、歩行者や非自動運転車両3bの運転者が認識できる可聴化情報(音声情報)を含んでもよい。このような駐車場管制装置5によれば、歩行者や非自動運転車両3bの運転者に対する安全性が担保される。
【0112】
例えば、自動運転車両3aの予定進行方向を、駐車場11内の複数のスピーカのうち、非自動運転車両3bや歩行者に最も近いスピーカによって、音声案内情報として出力してもよい。「自動運転車両が停止しています。」といった案内を出力することで、歩行者は安心して自動運転車両3aの前を横断することができる。また、このような案内機能を有していない自動運転車両3aであっても、駐車場管制装置5がそれに代わって案内することができる。
【0113】
音声案内を歩行者の近いスピーカで案内する機能では、例えば駐車した非自動運転車両3bのハザードランプが付きっぱなし、ヘッドライトが付きっぱなしの時に監視カメラ画像から判断し、場内から出るまでに「〇〇〇〇のお車のハザードが付いています。」といった案内をすることも可能である。
【0114】
[駐車場監視システムが提供する防犯機能]
以下では、本実施形態に係る駐車場監視システム(駐車場管理システム500)が提供する防犯(監視)機能について説明する。この場合、駐車場監視システム500aと呼ぶ。
【0115】
<監視画像記録機能の説明>
図16は本発明の実施形態に係る監視カメラ画像の説明図である。図のように、駐車場監視カメラ、特に駐車スペースカメラ33の1機あたりの担当車室数を前述の実施例では3台分だったが、このように5台分に増やすと、駐車場監視カメラの設置台数が減って、設備投資額が減少するが、監視カメラから見えない死角が増えることになる。D2の駐車スペースには車両の奥に人が立っているが、車両の陰に隠れて監視カメラ画像には映っていない。
【0116】
図17は本発明の実施形態に係るドライブレコーダ画像の説明図である。この図は
図16のD2の駐車エリアの対面の駐車エリアに駐車された車両の車載カメラ42(前面用)の画像である。図のように、D2の駐車スペースの横の人が映っている。このようにすれば、駐車場11内の監視カメラの死角で発生する盗難や悪戯等を撮影できる状態にして、これらの行為を抑制するため、車載カメラ画像を防犯目的に活用することができる。
【0117】
図16に示す監視カメラ画像は場内カメラ32(駐車スペースカメラ33を含む)により撮像される。監視カメラ画像は「第1の画像」の一例である。
図17に示すドライブレコーダ画像(車載カメラ画像)は車載カメラ42により撮像される。車載カメラ画像は「第2の画像」の一例である。
【0118】
<自動運転車両の車載カメラの画像の送信>
このように、車載カメラ42が撮影した他の車両の画像を場内カメラ32の死角を補完するのが、本実施形態の特徴であるが、まずこの場合の他の車両とは、自動運転車両が好適である。自動運転車両の車載カメラ42から駐車場管制装置5へ監視カメラ画像を送信するための通信手段は、自動運転車両制御用の無線通信手段(通信部41)を利用する。
【0119】
なお、自動運転車両とは、自動バレーサービス対応の駐車場等に乗り入れて、自動で駐車スペースと乗降スペースとの間を自動運転する、利用者が保有する車両の場合もあるが、最も普及しているのは、カーシェア用の自動運転車両であって、車両の保管用の駐車スペースから、カーシェア貸し出し、戻し用のスペースの間を自動運転する車両であり、駐車場またはカーシェア運営会社が保有するものであり、駐車場内をいつどのように走行させるかは、運営会社側の自由である。
【0120】
<非自動運転車両の車載カメラ画像の取得>
図18は、本発明の実施形態に係る非自動運転車両のブロック図である。本実施形態の駐車場監視システム500aが監視画像として利用する画像を撮像する車載カメラ42を搭載する車両3は、自動運転車両に限定されない。車両3は非自動運転車両であってもよい。図に示す非自動運転車両3bは、車載カメラ42とメモリ464を装備し、さらに図のようなカーナビゲーション装置(通信装置)461を搭載している。非自動運転車両3bはほかに車速パルス発生装置465、パーキングブレーキ検出装置467、GPSアンテナ468を有してもよい。画像はメモリに逐次記録され、メモリ容量がオーバーした場合には、古いデータに順次上書きされるようになっている。
【0121】
カーナビゲーション装置461には、駐車中に車載カメラ42によって監視対象の車両3の画像を撮影し、駐車場管理装置7へ送信するためのソフトウェア(アプリケーション)がインストールされており、制御部46は、当該ソフトウェアと協働して上記画像の撮影および送信処理を実行する。なお、当該ソフトウェアは自動運転車両3aにもインストールされている。
【0122】
<非自動運転車両の車載カメラ画像の逐次送信または一括送信>
図18のカーナビゲーション装置461は少なくとも近距離無線通信機能を備える通信部41を有する。近距離無線通信機能としては、典型的には利用者端末6(スマホ)等と通信し、地図データや音楽データをダウンロードするのに使用され、WifiやBluetooth(登録商標)といった無線技術が採用されている。特にBluetooth(登録商標)はスマホとカーナビゲーション装置を無線通信するのに適した規格であるが、近距離無線として車内もしくは車外の数メートルから数十メートルの範囲の通信距離に限定されている。例えば、近距離通信機能付き車両3の車載カメラ42の画像を一旦近距離無線通信手段付き自動運転車両3aが受信して、車両管制装置5に自動運転車両3aの制御用通信(近距離でない・広域無線通信でもよい)により送信すれば、非自動運転車両3bの車載カメラ画像が容易に取得できる。
【0123】
または、駐車場出場口に近距離無線通信手段(例えばBluetooth(登録商標)ビーコンアンテナ)を設置し、非自動運転車両3bが出場する際に画像を収集するようにしてもよい。または、利用者が車両3に乗った際に、利用者端末6と近距離無線通信し、利用者端末6の広域無線通信手段(4G、5G通信等)を介して送信してもよい。出場口の近距離無線通信で送信済でない場合は、送信中止して画像取得をしないか、または広域無線通信により送信継続してもよい。
【0124】
駐車場管制システム100は、このように駐車場内の非自動運転車両3bから近距離無線通信により車載カメラ42の画像を取得する。取得のタイミングは上述のように、他の車両3の近距離無線通信機能を介して逐次取得であってもよいし、あるいは、非自動運転車両3bの退場時に一括取得であってもよい。駐車場管制システム100は、非自動運転車両3bから取得した車載カメラ42の画像を暗号化して駐車場管理装置7に、インターネットなどのネットワーク1を介して、送信する。駐車場管理装置7が車載カメラ42の画像を暗号化してもよい。暗号化の対象は、自動運転車両3aの車載カメラ42の画像も含む。
【0125】
<自動運転車両の巡回機能>
図19は、本発明の実施形態に係る自動運転車両の駐車スペース選択の説明図である。図では、自動バレーサービスのように乗降スペース(V1)に停車していた自動運転車両3aが、駐車場管制装置5の自動バレー制御機能によって、駐車スペース(D9)を指定される。その際に、駐車場管制装置5は、場内カメラ32(図中黒丸で示されている)の死角の情報を自動運転車両3aに送信し、死角を敢えて通らせるようにする。巡回監視の意味では有用であるし、巡回移動中に近距離無線通信手段により、非自動運転車両3bの車載カメラ42の画像を、中継して駐車場管制装置5経由で駐車場管理装置7(サーバ)に画像を保存することもできる。
【0126】
さらに本実施形態では、駐車場管理装置7の指示を受けた駐車場管制システム100は、場内カメラ32の死角になる場所の情報とともに、この場所を映すことができる場所を自動運転車両3aの通過地点として、自動運転車両3aに送信する。
場内カメラ32の死角になる場所としては、例えば、「D1とD2の間」がある。この場所を映すことができる場所としては、この場合、例えば、「D1とD2の中点から図中の太い破線におろした垂線の足」になる。この場合、駐車場管制システム100は、「D1とD2の中点から図中の太い破線におろした垂線の足」を示す情報を通過地点に設定する。
上述のように本実施形態によれば、自動運転車両3aが駐車位置あるいは通過地点を示す情報を受け取り、これらの地点を通るようにあるいは、そこに駐車することができる。
【0127】
<非自動運転車両の車載カメラ画像提供の申し込み>
利用者の車載カメラ42の画像の提供の申し込みは、利用者端末6から駐車場管理装置7にアクセスしておこなう。駐車場内の発券機または事前精算機に、車載カメラ42の画像の提供の申し込みの機能持たせることも可能である。
【0128】
<自動運転車両の車載カメラ画像提供の申し込み>
駐車場が保有していない自動運転車両3aが駐車場に入場する場合は、自動バレー駐車を制御する駐車場管制システム100や、他の駐車場端末装置(図示せず)から、車載カメラ42の画像の送信を申し込みしてもよい。
【0129】
<監視画像の記録の申し込み>
非自動運転車両3bは入場時か駐車場予約時に、監視カメラ画像および他車両の車載カメラでの監視を希望するか申し込みの入力を受け付ける。駐車料金に加えて監視料金を追加してもよいし、自分の車両の車載カメラの画像をバーターで提供する場合は無料とするのもよい。
【0130】
<監視画像の閲覧>
駐車場管理装置7のWebサーバ上で、車両管制装置5により収集された駐車中の監視カメラ画像を適宜加工し(モザイク処理等)、公開して閲覧できるようにしてもよい。または、会員ID事にアクセスできるWebページを分けて、会員IDに紐づいたナンバー情報が含まれる画像のみを閲覧できるようにして提供してもよい。Webページでの公開画像では、プライバシーに配慮して、ナンバープレートの詳細情報の全てを公開せず、一連番号の4桁数字のみにすることや、人の顔画像にはモザイクをかけるなどの加工を施すとよい。
図17に示した画像は、すでに加工済みの画像を示している。
対象駐車スペースを記憶し、ナンバー情報と紐づけて駐車場管理装置7が記憶していると、Webサーバにアクセスして駐車スペースナンバーから検索することも可能となる。
また、ライブ画像の閲覧要求を受け付けるようにしてもよい。
【0131】
<情報処理の流れ>
以下、上述した駐車状態の監視を具体的に実現する駐車場管理装置7の情報処理の流れを説明する。なお、本実施形態では情報処理を駐車場管理装置7が実行するものとするが、これら情報処理を駐車場管制装置5が一部ないし全部実行してもよい。
【0132】
図20は、本発明の実施形態に係る駐車監視フロー図である。
図20では、監視対象の車両3(以下「一の車両」と呼ぶ)が駐車場11に入場(入庫)してから退場(出庫)するまでに駐車場管理装置7が実行する情報処理の流れを示している。
【0133】
「一の車両」を特定するために用いる会員IDは予め登録されているナンバー情報またはETC情報に紐づいているので、一の車両の入場時に駐車場管制装置5が取得する。会員IDの取得時には駐車場の利用申し込みも取得される。駐車場の利用申し込みには、駐車状態の監視の申し込み、および、他の車両3を映した車載カメラ42の画像の提供の許諾も含まれるものとする。駐車場管制装置5は会員IDと駐車場の利用申し込みを駐車場管理装置7に送信し、駐車場管理装置7はこれを受信する(ST31)。
【0134】
駐車場入場口に予約済の車両3が進入すると、駐車場管理装置7は、駐車中の車両3の中で車載カメラ42の画像の監視画像としての提供に許諾を与えている車両(以下「他の車両」と呼ぶ)であって自動運転車両3aであるものの有無を判断する(ST32)。言い換えれば、車載カメラ画像を提供可能な自動運転車両3aが駐車中であるか否かを判断する(ST32)。
【0135】
車載カメラ画像を提供可能な自動運転車両3aが駐車中である場合(ST32:YES)、駐車場管理装置7は、「場内カメラ32の死角でない」、「他の車両の車載カメラの撮影に適した駐車位置(典型的には、当該他の車両の対面)である」といった条件に可能な限り多く当てはまる駐車位置を検索し、検索結果の駐車スペースを一の車両の駐車位置として、一の車両に対して指定する(ST38)。なお、条件に当てはまる駐車スペースが発見されなかったとしても、この場合(ST32:YES)は、自動運転車両の監視移動(ST39で後述)により一の車両が監視可能になるので問題ない。
【0136】
他方で、車載カメラ画像を提供可能な自動運転車両3aが駐車中でない場合(ST32:NO)、駐車場管理装置7は、「場内カメラ32の死角でない」、「他の車両の車載カメラの撮影に適した駐車位置(典型的には、当該他の車両の対面)である」といった条件に可能な限り多く当てはまる駐車スペースを推奨駐車位置として選定する(ST33)。この場合(ST32:NO)、「他の車両」はすべて非自動運転車両3bであるから、一の車両は、車載カメラ画像を提供可能な非自動運転車両3bにより監視可能な駐車位置(典型的には、当該他の車両の対面)が利用可能であればそこに駐車することになる。
【0137】
駐車場管理装置7は、一の車両に選定した推奨駐車位置を指定する情報を送信する。一の車両が自動運転車両3aであれば、一の車両は当該情報に基づいて当該駐車位置まで自動走行する。駐車場管理装置7は、一の車両が駐車を完了するまで待機する(ST34)。
【0138】
続いて駐車場管理装置7は、一の車両の定点監視を開始する(ST35)。駐車場11には絶えず車両3が出入りする可能性があるため、一の車両が車載カメラ画像による監視が、他の車両の移動や出庫により不可能になる場合がある。駐車場管理装置7は、このような場合、場内カメラ32による監視のみでは不十分として、定点監視可能でないと判断する(ST35:NO)。
【0139】
定点監視可能でない場合(ST35:NO)、駐車場管理装置7は、任意の他の自動運転車両3aを選び、その車載カメラ42により一の車両の駐車状態を監視可能な駐車位置に駐車するよう、当該他の自動運転車両3aを自動走行させる(ST39)。これを監視移動指示という。
【0140】
定点監視可能である場合(ST35:YES)、駐車場管理装置7は、一の車両が駐車場を出場(出庫)するまで、その駐車状態を監視する(ST36,ST37)。なお、ここでいう駐車状態の監視は、場内カメラ32、もしくは、車載カメラ42の画像提供を許諾した他の車両3の当該車載カメラ42が撮影する画像を駐車場画像データベース(後述)に記録することを意味する。
【0141】
以上の本実施形態の駐車場監視システム500aの情報処理によれば、駐車場に駐車する車両3の駐車状態を場内カメラ32のみならず、他の車両3の車載カメラ42の画像も使用して監視することができ、駐車場の防犯性が向上する。
【0142】
図21は、本発明の実施形態に係る駐車画像提供フロー図である。
図21では、「一の車両」を監視する車両3、すなわち「他の車両」の1台が駐車場11に入場(入庫)してから退場(出庫)するまでに駐車場管理装置7が実行する情報処理の流れを示している。ただし「一の車両」が出場(出庫)する場合にも、本フローは終了する。
【0143】
当該「他の車両」は、駐車場への入場前に、会員ID、駐車状態の監視の申し込み、および、他の車両3を映した車載カメラ42の画像の提供の許諾を含む駐車場の利用申し込みを駐車場管理装置7に送信し、駐車場管理装置7はこれを受信する(ST41)。
【0144】
駐車場入場口に当該「他の車両」が進入すると、駐車場管理装置7は、駐車中の車両3の中に自動運転車両3aの有無を判断する(ST42)。本実施形態では、自動運転車両3aがすべて監視対象の「一の車両」であるものとする。
【0145】
自動運転車両3aが駐車中である場合(ST42:YES)、駐車場管理装置7は、自動運転車両3aの監視に適した駐車位置を検索し、検索結果の駐車スペースを駐車位置として、進入してきた「他の車両」に対して指定する(ST50)。
【0146】
他方で、自動運転車両3aが駐車中でない場合(ST42:NO)、駐車場管理装置7は、「場内カメラ32の死角でない」、「他の車両の車載カメラの撮影に適した駐車位置(典型的には、当該他の車両の対面)である」といった条件に可能な限り多く当てはまる駐車スペースを推奨駐車位置として選定する(ST43)。
【0147】
駐車場管理装置7は、選定した推奨駐車位置を指定する情報を「他の車両」に送信する。「他の車両」が自動運転車両3aであれば、「他の車両」は当該情報に基づいて当該駐車位置まで自動走行する。駐車場管理装置7は、「他の車両」が駐車を完了するまで待機する(ST44)。
【0148】
駐車場管理装置7は、監視対象である駐車状態の一の車両が出庫するか否かを判断し(ST45)、出庫しない場合は(ST45:NO)「他の車両」は画像記録を続ける(ST46)。「他の車両」は駐車場管理装置7と通信可能であるか否かを判断する(ST47)。
【0149】
通信可能であれば(ST47:YES)、「他の車両」は記録していた車載カメラ42の画像を送信する(ST48)。ここで送受信された画像は、駐車場データベース38の駐車画像データベースに格納される。
【0150】
画像記録から画像送受信までの一連の情報処理は、「一の車両」の出庫(ST45:YES)、あるいは、車載カメラ42の画像を提供している「他の車両」の出庫まで(ST49:YES)継続される。
【0151】
「一の車両」が出庫する場合(ST45:YES)、「他の車両」は駐車場管理装置7と通信可能であるか否かを判断する(ST51)。通信可能であれば(ST51:YES)、「他の車両」は車載カメラ42の画像を送信する(ST52)。
【0152】
なお、ST47とST51における通信は、近距離無線通信による通信である。駐車場管制システム100の近距離無線通信手段と、車両3側の通信部41を構成する近距離無線通信手段の間の距離が所定の距離以上離れていると通信不能と判断される。
【0153】
図22は、本発明の実施形態に係る駐車場DBの説明図である。図に示すように駐車場データベース38は、少なくとも駐車画像データベース(
図22(A)と駐車画像検索データベース(
図22(B))を有する。
【0154】
駐車画像データベース(
図22(A))は、「駐車画像ID」をキーにして、「提供会員ID」と、「対象車両ナンバー」と、「開始日時」と、「終了日時」と、「画像」とが紐づいたレコードを複数格納する。ここで、「画像」は車載カメラ42の画像であり、「開始日時」と「終了日時」はそれぞれ駐車状態の記録の開始日時と終了日時を示す。「提供会員ID」はこの画像を提供した車両3のユーザの会員IDを示す。「対象車両ナンバー」は、駐車状態を監視する対象の車両3を特定するための情報である。本実施形態ではナンバープレートにより一つに決まる車両ナンバーを使用しているが、対象車両のユーザの会員IDなどの情報でもよい。
【0155】
駐車画像検索データベース(
図22(B))は、「対象車両ナンバー」をキーにして、複数の「駐車画像ID」が紐づいたレコードを複数格納する。駐車場管理装置7は、対象車両ナンバーを使って駐車画像検索データベースを検索すると、監視対象の車両の駐車画像を複数取得することができる。
【0156】
図23は、本発明の実施形態に係る駐車監視装置7aの機能ブロック図である。駐車場管理装置7は、上述した情報処理のフローにより「駐車監視装置」としての機能を実現する。以下、このような駐車場管理装置7を「駐車監視装置7a」と呼び、駐車監視装置7aがさらにどのような機能を具備するかを説明する。図に示すように、駐車監視装置7aは、画像監視受付機能2301、画像送信機能2302、近距離無線検知機能2303、画像提供受付機能2304、監視対象検索機能2305、画像公開機能2306を有するように、構成される。
【0157】
画像監視受付機能2301は、会員IDと駐車場の利用申し込みの受信時(ST31)などに当該会員IDに紐づいたナンバープレートの車両3の駐車状態の監視の申し込みを受け付ける。画像送信機能2302は、駐車状態の監視の申し込みをしたユーザの利用者端末6、あるいは、当該ユーザの車両3の通信部41に、場内カメラ32と他の車両3の車載カメラ42の画像を監視画像として送信する(ST52)。
【0158】
近距離無線検知機能2303は、車両3の近距離無線通信手段を検知する機能である。画像提供受付機能2304は、駐車状態の監視の申し込みと同時に、申し込んだユーザの車両3の車載カメラ42の撮像する画像を、他の車両3の駐車状態の監視に利用することを許諾することを示す情報を受け付ける機能である。
【0159】
監視対象検索機能2305は、車両3あるいは利用者端末6から「対象車両ナンバー」や「会員ID」を検索条件にした検索要求を受信すると、これらに基づいて駐車画像検索データベースを検索する機能である。画像公開機能2306は、利用者端末6から「会員ID」とともに当該会員IDに紐づいた車両3の駐車状態を示す監視画像の公開を要求された場合に、当該監視画像にプライバシー保護のための画像処理を施したうえで公開するウェブサーバの機能である。ここでいう公開はパスワード等で保護された限定公開も含まれる。画像公開機能2306の機能について、以下の「駐車場管理サービス」で説明する。
【0160】
<駐車場監視サービス>
車載カメラ画像の記録の送信に同意した車両3の利用者に対して、他の車両3が利用者の車両を撮影した画像を提供(サーバで閲覧可能)してもよい。この駐車場監視サービスによれば、自動バレーサービス対応駐車場等の自動運転車両と非自動運転車両の両方が混在して利用する駐車場において、防犯性が向上し、利用者が安心して車両を駐車することができる。さらに、画像と同時に対象車両の近隣のマイクで取得した音声情報を記録して提供してもよい。
【0161】
この駐車場監視サービスにおいては、駐車場管理装置7は、車両3から車載カメラ42の画像を受信する場合、その車両3のユーザが、その画像を他の車両の監視画像として利用することへの許諾を与えているか否かを判断する。ユーザが許諾を与えている場合、駐車場管理装置7は、そのユーザに対して、インセンティブを付与するインセンティブ情報を生成する。ここでいうインセンティブ情報は、例えば、次回の駐車場利用時の利用料金が割引になるクーポンや、利用料金に充当することのできるポイントなどである。クーポンの画像情報でもよい。駐車場管理装置7は、生成したインセンティブ情報を利用者端末6に送信する。
【0162】
このような情報処理が行われる駐車場監視システム500aによれば、車載カメラ画像を提供するユーザに対してインセンティブを付与することができるため、車載カメラ画像を提供する利用者が増加し、駐車場の防犯性が向上する。
【0163】
<監視を申し込んだ車両の出場時>
監視を申し込んだ車両3が出庫した場合、駐車場管理装置7は、それまで出庫した車両3の駐車状態を示す画像を撮影していた自動運転車両3aを、他の駐車スペースに移動させてもよい。この場合、自動運転車両3aのユーザによる車載カメラ42の画像の提供許諾を無駄なく有効利用することができる。
【0164】
<その他の事項>
なお、画像の提供を申し込んだ利用者が駐車している自車両に戻って特に問題がなければ、その時点で自身の画像の提供をやめてもよい。駐車場利用料金の割引や利用ポイントの割り増し付与などは、監視画像の取得時間に応じて決定してもよいし、被撮影側の車両の台数に応じてもよい。さらに、何か事件等があって実際に証拠映像として採用された場合には、別途ボーナスポイント等が付与されるのも有効である。
【0165】
非自動運転車両3bは、直接、駐車場管制装置5と近距離通信してもよい。将来的に実現される可能性のある近距離無線通信規格、Bluetooth(登録商標)5.0の最大到達距離は400mである。自動運転車両3aと非自動運転車両3bを含む車両3は、このような近距離無線通信の通信手段を通信部41として備え、駐車場管制装置5と通信してもよい。
【0166】
上述の実施形態では、駐車場管理装置7が「制御部」として機能する例を開示したが、「制御部」の各機能が駐車場管制システム100や駐車場管制装置5により実現されてもよい。
なお、上述の駐車場監視システム500aが提供する防犯機能は、駐車場監視システム500aが提供する他の機能、例えば、ヒートマップ生成機能や、自動運転車両3aの自動走行時の歩行者や非自動運転車両3bの安全確保機能との組み合わせが必須の要素ではない。
【0167】
以上説明した本発明に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。
【0168】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う駐車場監視システム、駐車場監視サービスシステムおよび通信装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明の技術は、カーシェア等に利用される自動運転車両や、一般の車両に利用される駐車場を統合的に管制する駐車場監視システムにおいて、好適に利用できるものである。
【符号の説明】
【0170】
500…駐車場管理システム
500a…駐車場監視システム
7…駐車場管理装置(サーバ)
5…駐車場管制装置
6…利用者携帯端末
461…カーナビゲーション装置(通信装置)