(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/32 20060101AFI20240229BHJP
E06B 1/12 20060101ALI20240229BHJP
E06B 1/18 20060101ALI20240229BHJP
E06B 3/36 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E06B1/32
E06B1/12 Z
E06B1/18 L
E06B3/36
(21)【出願番号】P 2020017458
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】恐田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
(72)【発明者】
【氏名】北島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】杉本 大輝
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-229720(JP,A)
【文献】特開2001-73644(JP,A)
【文献】特開2002-115460(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2287432(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-3/46
E06B 3/50-3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体に対して見付け方向に沿って当接する躯体取付片を有する枠体と、前記枠体内に納められる障子と、前記枠体及び前記障子に亘って機能する機能部品と、を備える建具であって、
前記障子は、互いに異なる見込み寸法を有するものを含む複数種類の障子から、前記建具に要求される性能に応じて選択されており、
前記複数種類の障子及び前記複数種類の枠体に対して前記躯体取付片から一定の距離に、前記機能部品の障子側取付部を有し、
前記枠体は、
互いに異なる見込み寸法を有するものを含む複数種類の枠体から、前記建具に要求される性能に応じて選択されており、前記複数種類の障子
及び前記複数種類の枠体に対して前記躯体取付片から一定の距離に、前記機能部品の枠体側取付部を有する、建具。
【請求項2】
前記障子側取付部は、前記複数種類の障子に対して前記障子の室内側見付け面から一定の距離に設けられる、請求項
1に記載の建具。
【請求項3】
前記枠体は、前記躯体取付片よりも室内側に、室内側に配置される額縁部材に対して見付け方向に沿って当接する額縁取付片を有し、
前記額縁取付片は、前記複数種類の枠体に対して前記躯体取付片から一定の距離に配置される、請求項1
又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記障子の室内側の見付け面は、前記複数種類の障子に対して前記躯体取付片から一定の距離に配置される、請求項1~
3のいずれか1項に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに異なる複数種類の枠体から、要求される性能に応じたものを選択して構成される建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。この建具における枠体は、枠体の内周側と外周側とを仕切るように配置される基枠部を有する。枠体のうちの少なくとも横枠の基枠部の内周側は、互いに共通となる構成を有し、横枠の基枠部の外周側は、個々の要求性能を満たすように互いに異なる構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、建具には、要求される性能に応じて複数種類の障子が用意されている。例えば、建具に断熱性能が要求される場合、ペアガラスを有する障子、トリプルガラスを有する障子、アルミと樹脂との複合構造の框を有する障子等の複数種類の障子が用意されている。これらの複数種類の障子から所望の障子が選択され、枠体に納められることによって、要求性能を満たす建具が構成される。
【0005】
しかし、複数種類の障子は、見込み方向の寸法がそれぞれ異なり、それに伴って、枠体と障子とに亘って機能するステーやロック装置等の機能部品の取付け位置がそれぞれ異なる。そのため、障子は、その障子の種類に対応した専用の枠体に納める必要がある。したがって、従来の建具では、障子の種類毎にそれぞれ専用の枠体及び専用の機能部品を使用しなくてはならず、生産性が悪く、製造コストも掛かるという課題がある。
【0006】
本開示は、生産性を向上させることができ、製造コストを低減可能な建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、建物躯体に対して見付け方向に沿って当接する躯体取付片を有する枠体と、前記枠体内に納められる障子と、前記枠体及び前記障子に亘って機能する機能部品と、を備える建具であって、前記障子は、互いに異なる複数種類の障子から、前記建具に要求される性能に応じて選択されており、前記枠体は、前記複数種類の障子に対して前記躯体取付片から一定の距離に、前記機能部品の枠体側取付部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】建具としての縦辷り出し窓を示す正面図である。
【
図2A】建具の第1実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(i)-(i)線に沿って切断した断面図である。
【
図2B】建具の第1実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(ii)-(ii)線に沿って切断した断面図である。
【
図2C】建具の第1実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(iii)-(iii)線に沿って切断した断面図である。
【
図3A】建具の第2実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(i)-(i)線に沿って切断した断面図である。
【
図3B】建具の第2実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(ii)-(ii)線に沿って切断した断面図である。
【
図3C】建具の第2実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(iii)-(iii)線に沿って切断した断面図である。
【
図4A】建具の第3実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(i)-(i)線に沿って切断した断面図である。
【
図4B】建具の第3実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(ii)-(ii)線に沿って切断した断面図である。
【
図4C】建具の第3実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(iii)-(iii)線に沿って切断した断面図である。
【
図5】複数種類の枠体と複数種類の障子との組み合わせ例を示す説明図である。
【
図6A】建具の第4実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(i)-(i)線に沿って切断した断面図である。
【
図6B】建具の第4実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(ii)-(ii)線に沿って切断した断面図である。
【
図6C】建具の第4実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(iii)-(iii)線に沿って切断した断面図である。
【
図7A】建具の第5実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(i)-(i)線に沿って切断した断面図である。
【
図7B】建具の第5実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(ii)-(ii)線に沿って切断した断面図である。
【
図7C】建具の第5実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(iii)-(iii)線に沿って切断した断面図である。
【
図8A】建具の第6実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(i)-(i)線に沿って切断した断面図である。
【
図8B】建具の第6実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(ii)-(ii)線に沿って切断した断面図である。
【
図8C】建具の第6実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(iii)-(iii)線に沿って切断した断面図である。
【
図9】建具の第7実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(i)-(i)線に沿って切断した断面図である。
【
図10】建具の第8実施形態に係る縦辷り出し窓を
図1中の(i)-(i)線に沿って切断した断面図である。
【
図11】建具としての横辷り出し窓を示す正面図である。
【
図12A】建具の第9実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(iv)-(iv)線に沿って切断した断面図である。
【
図12B】建具の第9実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(v)-(v)線に沿って切断した断面図である。
【
図12C】建具の第9実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(vi)-(vi)線に沿って切断した断面図である。
【
図13A】建具の第10実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(iv)-(iv)線に沿って切断した断面図である。
【
図13B】建具の第10実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(v)-(v)線に沿って切断した断面図である。
【
図13C】建具の第10実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(vi)-(vi)線に沿って切断した断面図である。
【
図14A】建具の第11実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(iv)-(iv)線に沿って切断した断面図である。
【
図14B】建具の第11実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(v)-(v)線に沿って切断した断面図である。
【
図14C】建具の第11実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(vi)-(vi)線に沿って切断した断面図である。
【
図15A】建具の第12実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(iv)-(iv)線に沿って切断した断面図である。
【
図15B】建具の第12実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(v)-(v)線に沿って切断した断面図である。
【
図15C】建具の第12実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(vi)-(vi)線に沿って切断した断面図である。
【
図16A】建具の第13実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(iv)-(iv)線に沿って切断した断面図である。
【
図16B】建具の第13実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(v)-(v)線に沿って切断した断面図である。
【
図16C】建具の第13実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(vi)-(vi)線に沿って切断した断面図である。
【
図17A】建具の第10実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(iv)-(iv)線に沿って切断した断面図である。
【
図17B】建具の第10実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(v)-(v)線に沿って切断した断面図である。
【
図17C】建具の第10実施形態に係る横辷り出し窓を
図11中の(vi)-(vi)線に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、建具としての縦辷り出し窓1を示している。縦辷り出し窓1は、建物躯体100の開口部101(
図2A等参照)に取り付けられる枠体2と、枠体2の内側に納められる障子3とを有する。枠体2は、縦長矩形状の開口部101の開口形状に対応して、上枠21、下枠22及び一対の縦枠23,24を矩形に枠組みすることによって構成される。
【0010】
図2A、
図2B及び
図2Cは、第1実施形態に係る縦辷り出し窓1Aを示している。本実施形態に示す縦辷り出し窓1Aの枠体2A及び障子3Aは、アルミ等の金属と塩化ビニル等の樹脂との複合構造を有し、断熱性に優れる。
【0011】
建具における見込み方向及び見付け方向について説明する。見込み方向は、建具の奥行に沿う方向であり、
図2A、
図2B及び
図2Cにおいて矢印で示されるD1-D2方向である。D1方向は室外側を示し、D2方向は室内側を示す。以下の各図中に示されるD1-D2方向は上記と同じ見込み方向を示す。見込み方向に沿う面については、見込み面という場合がある。見付け方向は、建具の見込み方向に直交する方向である。例えば、
図1に示す上枠21及び下枠22の場合、見付け方向は
図1の上下方向を示し、縦枠23,24の場合、見付け方向は
図1の左右方向を示す。見付け方向に沿う面については、見付け面という場合がある。
【0012】
以下の各図において、同一符号の部位は同一構成の部位を示す。そのため、それらについての重複する説明は省略する場合がある。各図中に示される距離L及び寸法Sについて、同一の数字を用いて示している部位は、同一の距離及び同一の寸法を表している。
【0013】
図2Aは、枠体2Aの上枠21を示す。上枠21は、金属上枠211と、樹脂カバー212とによって構成される。金属上枠211は、見付け方向に沿って上方に延びる躯体取付片211aを有する。躯体取付片211aは、上側の建物躯体100の室外側の見付け面100bとの当接面211a1を有し、建物躯体100に対して室外側から見込み方向に沿って移動させ、当接面211a1を建物躯体100の室外側の見付け面100bに対して見付け方向に沿って当接させることによって、上枠21を建物躯体100に対して取り付ける取付部位である。躯体取付片211aは、建物躯体100の見込み面100aに対して当接する突起状の当接面211a2を有する。金属上枠211は、躯体取付片211aよりも室外側に、見込み方向に沿って室外側に延びるホロー状の基枠部211bを有する。
【0014】
金属上枠211は、躯体取付片211aよりも室内側に、樹脂製のブリッジ211cを介して、見付け方向に沿って躯体取付片211aとほぼ平行に延びる額縁取付片211dを有する。金属上枠211は、ブリッジ211cによって熱の伝達が抑制されるため、断熱性に優れる。額縁取付片211dは、1点鎖線で示す上側の額縁部材200に対して、室外側から見込み方向に移動させ、額縁部材200の室外側の見付け面200bに対して見付け方向に沿って当接することによって、上枠21を額縁部材200に対して取り付ける取付部位である。額縁取付片211dの上端部の位置は、躯体取付片211aの上端部の位置よりも下方で、基枠部211bの上面211b1の位置よりもやや上方であり、躯体取付片211aの突起状の当接面211a2の見付け方向の位置とほぼ同じ位置に配置されている。額縁取付片211dの上端部は、建物躯体100の見込み面100aに当接している。なお、建物躯体100の見込み面100aと当接面211a2との間にはスペーサが介在してもよい。
【0015】
樹脂カバー212は、金属上枠211の基枠部211bの下方から額縁取付片211dよりも室内側に張り出すように取り付けられている。樹脂カバー212の室内側の端部はアングル部212aを構成し、額縁部材200の見込み面200aに当接している。樹脂カバー212の室外側の端面には、後述する障子3Aと当接することによって封止を行う樹脂製の3つのヒレ212b1,212b2,212b3が取り付けられている。これらの3つのヒレ212b1,212b2,212b3のうち、最も上のヒレ212b1は、後述する障子3Aの樹脂框部312の室内側の見付け面312aから突出する複数の突出部312bに当接し、気密性、断熱性を向上させるものとして機能する。真ん中のヒレ212b2は、先端が外周側へ折れ曲がって樹脂框部312の室内側の見付け面312aに当接し、気密性、断熱性を向上させるものとして機能する。最も下のヒレ212b3は、障子3A側へ向けて突出することによって、断熱性を向上させる。これらの3つのヒレ212b1,212b2,212b3は、軟質樹脂からなる。樹脂框部312の室内側の見付け面312a及び突出部312bは、軟質樹脂からなる。樹脂カバー212には、障子3Aの室内側を覆うように網戸300の上縁部が取り付けられている。
【0016】
基枠部211bの下面211b2には、後述する機能部品を取り付けるための枠体側取付部211eが設けられている。枠体側取付部211eはねじ穴によって構成される。上枠21には、縦枠23,24を固定するための3つのタッピングホールh1,h2,h3が設けられている。
【0017】
図2Bは、枠体2Aの下枠22を示す。下枠22は、金属下枠221と、樹脂カバー222とによって構成される。金属下枠221は、見付け方向に沿って下方に延びる躯体取付片221aを有する。躯体取付片221aは、下側の建物躯体100の室外側の見付け面100bとの当接面221a1を有し、建物躯体100に対して室外側から見込み方向に移動させて、建物躯体100の室外側の見付け面100bに対して見付け方向に沿って当接させることによって、下枠22を建物躯体100に対して取り付ける取付部位である。躯体取付片221aは、建物躯体100の見込み面100aに対して当接する突起状の当接面221a2を有する。金属下枠221は、躯体取付片221aよりも室外側に、見込み方向に沿って室外側に延びる基枠部221bを有する。なお、建物躯体100と金属下枠221との間、具体的には、建物躯体100の室外側の見付け面100bと躯体取付片221aの当接面221a1との間、もしくは建物躯体100の見込み面100aと躯体取付片221aの突起状の当接面221a2との間にはスペーサが介在してもよい。
【0018】
金属下枠221は、基枠部221bの上面221b1の室内側の端部から、見付け方向に沿って上方に立ち上がるホロー部221cを有する。ホロー部221cの室外側の端面には、後述する障子3Aの樹脂框部322の室内側の見付け面322aに、室内側に突出する複数の突出部322bと当接することによって封止を行う樹脂製のヒレ221dが取り付けられている。突出部322bは軟質樹脂によって形成されている。
【0019】
金属下枠221は、ホロー部221cよりも室内側に、樹脂製のブリッジ221eを介して、見付け方向に沿って躯体取付片221aとほぼ平行に延びる額縁取付片221fを有する。金属下枠221は、ブリッジ221eによって熱の伝達が抑制されるため、断熱性に優れる。額縁取付片221fは、1点鎖線で示す下側の額縁部材200に対して、室外側から見込み方向に移動させて、額縁部材200の室外側の見付け面200bに対して見付け方向に沿って当接することによって、下枠22を額縁部材200に対して取り付ける取付部位である。額縁取付片221fの下端部の位置は、躯体取付片221aの下端部の位置よりも上方で、基枠部221bの上面221b1の位置よりもやや下方であり、躯体取付片221aの突起状の当接面221a2の見付け方向の位置とほぼ同じ位置に配置されている。額縁取付片221fの下端部は、建物躯体100の見込み面100aに当接している。ブリッジ221eよりも室内側には、見付け方向に沿って上方に延びる立ち上げ片221gが設けられている。
【0020】
基枠部221bの上面221b1には、後述する枠体2A及び障子3Aに亘って機能する機能部品の枠体側取付部221hが設けられている。枠体側取付部221hはねじ穴によって構成される。さらに、下枠22には、縦枠23,24を固定するための3つのタッピングホールh4,h5,h6が設けられている。
【0021】
樹脂カバー222は、立ち上げ片221gの室内側の側面に沿うとともに立ち上げ片221gの上端部から室外側に向けて見込み方向に延びるように取り付けられている。樹脂カバー222はアングル部222aを有する。アングル部222aは、樹脂カバー222の室内側の見付け面222bの下端部から室内側に向けて延出し、額縁部材200の見込み面200aに当接している。樹脂カバー222には、網戸300の下縁部が取り付けられている。
【0022】
樹脂カバー222の室内側の見付け面222bには、障子3Aを開閉操作するオペレータハンドル4が設けられている。オペレータハンドル4は、下枠22から障子3Aに亘って取り付けられる操作アーム41を介して回転力を障子3Aに伝達し、障子3Aが開閉する。オペレータハンドル4は、枠体2A及び障子3Aに亘って機能する機能部品のうちの一つである。
【0023】
図2Cは、
図1に示す枠体2Aのうちの右側に配置される縦枠23を示している。左側の縦枠24は、右側の縦枠23と左右対称構造を有するため、図示及び説明を省略する。
【0024】
縦枠23は、金属縦枠231と、樹脂カバー232とによって構成される。金属縦枠231は、見込み方向に沿って延びる基枠部231aを有する。基枠部231aの見込み方向に沿う中途部には、見付け方向に沿って外側に延びる躯体取付片231bが設けられている。躯体取付片231bは、縦側の建物躯体100の室外側の見付け面100bとの当接面231b1を有し、建物躯体100に対して室外側から見込み方向に移動させ、建物躯体100の室外側の見付け面100bに対して見付け方向に沿って当接させることによって、縦枠23を建物躯体100に対して取り付ける取付部位である。躯体取付片231bは、躯体取付片231bは、建物躯体100の見込み面100aに対して当接する突起状の当接面231b2を有する。基枠部231aの内面側には、室外側から順に、第1突出片231c、第2突出片231d、第3突出片231eが内側に向けて突出している。第3突出片231eは、額縁部材200に対して室外側から見込み方向に移動させ、額縁部材200の室外側の見付け面200bに対して見付け方向に沿って当接することによって、縦枠23を額縁部材200に対して取り付ける額縁取付片を構成している。額縁取付片としての第3突出片231eの外端部は、建物躯体100の見込み面100aに当接している。なお、建物躯体100と金属縦枠231との間、具体的には、縦側の建物躯体100の室外側の見付け面100bと躯体取付片231bの当接面231b1との間、もしくは建物躯体100の見込み面100aと躯体取付片231b、第3突出片231eとのには、スペーサが介在してもよい。
【0025】
樹脂カバー232は、第2突出片231dから第3突出片231eにかけて見込み方向に延びるように取り付けられている。樹脂カバー232の室内側の端部は室内側に向けてさらに延出し、アングル部232aを構成している。アングル部232aは、額縁部材200の見込み面200aに当接している。樹脂カバー232の室外側の端面には、後述する障子3の縦框33と当接することによって封止を行う樹脂製の3つのヒレ232b1,232b2,232b3が取り付けられている。この3つのヒレ232b1,232b2,232b3のうち、最も外周側のヒレ232b1は、後述する障子3Aの樹脂框部332の室内側の見付け面332aに当接して、気密性、断熱性を向上させるものとして機能し、前述の樹脂製ヒレ212b1と当接もしくは近接する。真ん中のヒレ232b2は、先端が外周側へ折れ曲がって樹脂框部332の室内側の見付け面332aに当接し、気密性、断熱性を向上させるものとして機能する。最も内周側のヒレ232b3は、障子3A側へ突出することによって断熱性を向上させる。これらの3つのヒレ232b1,232b2,232b3は、軟質樹脂からなる。樹脂カバー232には、網戸300の側縁部が取り付けられている。
【0026】
本実施形態に示す枠体2Aは、断熱性を最も向上させた厚壁対応型の枠体である。この枠体2Aの寸法を
図2Aに代表的に示す。枠体2Aの室外側の端部から室内側の端部に亘る見込み方向の寸法S1は、約98mmに設定されている。躯体取付片211aから額縁取付片211dに亘る見込み方向の寸法S2は約36mmに設定されている。躯体取付片211aから基枠部211bの室外側の端部に亘る見込み方向の寸法S3は約62mmに設定されている。S1、S2及びS3の寸法は、枠体2Aの下枠22及び縦枠23,24についても同じである。
【0027】
本実施形態の障子3Aは、上框31、下框32、左右の縦框33,34を矩形に框組みした框体30の内側に、スペーサ36を挟んで重ね合わせた2枚のガラス板35を納めることによって構成されるペアガラスタイプの障子である。
図1における左側の縦框34は、右側の縦框33と左右対称構造を有するため、図示及び説明を省略する。
【0028】
上框31、下框32及び縦框33は、それぞれ金属框部311,321,331と、樹脂框部312,322,332とによって構成されている。金属框部311,321,331は、障子3Aの外周における室外側の見付け面から見込み面を覆うように設けられている。樹脂框部312,322,332は、障子3Aの外周における室内側の見付け面を覆うように設けられている。樹脂框部312,322,332によって、室外側から室内側への熱の伝達が抑制されるため、障子3Aは断熱性に優れる。障子3Aの室内側の見付け面である樹脂框部312,322,332の見付け面312a,322a,332aは、障子3Aが閉じられた状態において、それぞれヒレ212b1,212b2,221d、232b1,232b2と当接している。詳しくは、樹脂框部312の見付け面312aは、室内側に向けて突出する突出部312bを有し、この突出部312bがヒレ212b1に当接している。樹脂框部322は、室内側に向けて突出する突出部322bを有し、この突出部322bがヒレ221dに当接している。
【0029】
障子3Aの上下には、それぞれ障子3Aの開閉動作を支持するステー5が設けられる。ステー5は、障子3Aと上枠21及び下枠22とにそれぞれ架け渡されることによって、それぞれ枠体2A及び障子3Aに亘って機能する機能部品のうちの一つである。
【0030】
図2Aに示すように、上枠21において、ステー5の枠体側の取付部位は、取付ねじ51によって、上枠21の枠体側取付部211eに取り付けられている。ステー5の障子側の取付部位は、取付ねじ52によって、障子3Aの上框31の見込み面に配置される障子側取付部31aに取り付けられている。
【0031】
図2Bに示すように、下枠22において、ステー5の枠体側の取付部位は、取付ねじ53によって、下枠22の枠体側取付部221hに取り付けられている。ステー5の障子側の取付部位は、取付ねじ54によって、障子3Aの下框32の見込み面に配置される障子側取付部32aに取り付けられている。
【0032】
図2Cに示すように、縦枠23には、障子3Aをロックするロック装置6が設けられている。ロック装置6は、縦枠23から障子3Aに向けて延びるロック板61が、縦框33に取り付けられたロックピン62に対して係止することによって障子3Aの開閉動作を規制する。ロック板61は、縦枠23の基枠部231aに設けられた枠体側取付部231fに取付ねじ63によって取り付けられている。ロックピン62は、障子3Aの見付け面に設けられた障子側取付部33aに取付ねじ64によって取り付けられている。ロック装置6は、枠体2A及び障子3Aに亘って機能する機能部品のうちの一つである。
【0033】
次に、縦辷り出し窓1Aの各構成部位の配置について説明する。
図2Aに示すように、上枠21の枠体側取付部211eは、躯体取付片211aの建物躯体100に対する当接面211a1から、見込み方向に沿って室外側に一定の距離L11だけ離れて配置され、額縁取付片211dの上端部から、見付け方向に沿って下方に一定の距離L12だけ離れて配置されている。この距離L12は、上側の建物躯体100の見込み面100aからの距離でもある。障子3Aの障子側取付部31aは、上枠21の枠体側取付部211eから、見付け方向に沿って下方に一定の距離L13だけ離れて配置されている。したがって、障子3Aの障子側取付部31aは、上側の建物躯体100の見込み面100aから、一定の距離L12+L13だけ離れて配置されている。障子側取付部31aは、上框31の室内側の見付け面、すなわち、樹脂框部312の室内側の見付け面312aから、見込み方向に沿って室外側に一定の距離L14だけ離れて配置されている。樹脂框部312の室内側の見付け面312aは、上枠21の躯体取付片211aの建物躯体100に対する当接面211a1から、見込み方向に沿って室外側に一定の距離L15だけ離れて配置されている。したがって、障子側取付部31aは、上枠21の躯体取付片211aの当接面211a1から、見込み方向に沿って室外側に一定の距離L14+L15だけ離れて配置されている。樹脂框部312の室内側の見付け面312aは、上枠21の額縁取付片211dから、見込み方向に沿って室外側に一定の距離L16だけ離れて配置されている。
【0034】
図2Bに示すように、下枠22の枠体側取付部221hは、躯体取付片221aの建物躯体100に対する当接面221a1から、見込み方向に沿って室外側に一定の距離L11だけ離れて配置され、額縁取付片211fの下端部から、見付け方向に沿って上方に一定の距離L21だけ離れて配置されている。この距離L21は、下側の建物躯体100の見込み面100a、つまり、躯体取付片221aの突起状の当接面221a2からの距離でもある。障子3Aの障子側取付部32aは、下枠22の枠体側取付部221hから、見付け方向に沿って上方に一定の距離L22だけ離れて配置されている。したがって、障子3Aの障子側取付部32aは、下側の建物躯体100の見込み面100aから、一定の距離L21+L22だけ離れて配置されている。障子側取付部32aは、下框32の室内側の見付け面、すなわち、樹脂框部322の室内側の見付け面322aから、見込み方向に沿って室外側に一定の距離L14だけ離れて配置されている。樹脂框部322の室内側の見付け面322aは、下枠22の躯体取付片221aの当接面221a1から、見込み方向に沿って室外側に一定の距離L15だけ離れて配置されている。したがって、障子側取付部32aは、下枠22の躯体取付片221aの当接面221a1から、見込み方向に沿って室外側に一定の距離L14+L15だけ離れて配置されている。樹脂框部322の室内側の見付け面322aは、下枠22の額縁取付片221fから、見込み方向に沿って室外側に一定の距離L16だけ離れて配置されている。オペレータハンドル4が取り付けられる樹脂カバー222の室内側の見付け面222bは、樹脂框部322の室内側の見付け面322aから、一定の距離L17だけ離れて配置されている。
【0035】
図2Cに示すように、ロック装置6を縦枠23に取り付ける枠体側取付部231fは、躯体取付片231bの縦側の建物躯体100に対する当接面231b1から見込み方向に沿って室内側に一定の距離L31だけ離れた位置に配置されている。ロックピン62を障子3Aに対して取り付ける障子側取付部33aは、躯体取付片231bの当接面231b1から見込み方向に沿って室外側に一定の距離L32だけ離れた位置に配置されている。したがって、障子側取付部33aは、枠体側取付部231fから、見付け方向に沿って内側に一定の距離L31+L32だけ離れた位置に配置されている。障子側取付部33aは、縦框33の室内側の見付け面、すなわち樹脂框部332の室内側の見付け面332aから見込み方向に沿って室外側に一定の距離L33だけ離れた位置に配置されている。樹脂框部332の室内側の見付け面322aは、縦枠23の額縁取付片である第3突出片231eに対して、見込み方向に沿って室外側に一定の距離L16だけ離れた位置に配置されている。障子側取付部33aは、縦枠23の枠体側取付部231fから、見付け方向に沿って内側に一定の距離L34だけ離れた位置に配置されている。また、図示していないが、障子側取付部33aは、躯体取付片231bの突起状の当接面231b2から見付け方向に沿って内側に一定の距離だけ離れた位置に配置されている。
【0036】
つまり、枠体2Aの上枠21及び下枠22における枠体取付部211e,221h、障子側取付部31a,32aのそれぞれの位置は、躯体取付片211a,221aにおける建物躯体100の室外側の見付け面100bとの当接面211a1,221a1からの見込み方向の距離が同じであり、躯体取付片211a,221aにおける建物躯体100の見込み面100aとの当接面211a2,221a2からの見付け方向の距離が同じである。躯体取付片211a,221a,231bと建物躯体100とは、面で当接していなくてもよく、点で当接していてもよい。
【0037】
次に、
図2A、
図2B及び
図2Cに示した枠体2Aと同一の枠体を使用して、障子3Aとは種類の異なる障子3Bを納めて構成した第2実施形態に係る縦辷り出し窓1Bについて、
図3A、
図3B及び
図3Cを用いて説明する。
【0038】
障子3Bは、框体30の内側に、スペーサ36を挟んで重ね合わせた3枚のガラス板35を納めることによって構成されるトリプルガラスタイプの障子である。障子3Bは、障子3Aに比べて見込み方向の寸法が大きい。その他の構成は、障子3Aと同一であるため説明を省略する。
【0039】
図3A、
図3B及び
図3Cに示すように、枠体2Aに障子3Bを納めた場合の各距離L11~L17、L21~L22、L31~L34は、
図2A、
図2B及び
図2Cに示したように、枠体2Aに障子3Aを納めた場合の各距離L11~L17、L21~L22、L31~L34と同一である。すなわち、枠体2Aには、障子3Aに代えて異なる種類の障子3Bを納めることができる。枠体2Aと障子3Aとの組み合わせに対して、枠体2Aと障子3Bの組み合わせにおいても、各距離L11~L17、L21~L22、L31~L34は変わらないため、機能部品であるオペレータハンドル4、ステー5及びロック装置6の取り付け位置も変わらない。したがって、互いに異なる複数種類の障子3A,3Bに対して、枠体2Aを共通化することができる。これによって、種類の異なる障子3A,3Bに対して枠体2Aの製造ラインを共通化でき、生産性の向上を図ることが可能である。機能部品としてのオペレータハンドル4、ステー5及びロック装置6も共通化することができるため、製造コストを削減できる。
【0040】
障子の種類が変わっても距離L11,L14,L15,L16及びL17は一定であるため、障子3Aの室内側の見付け面の位置と障子3Bの室内側の見付け面の位置とは変わらない。障子3Aから、障子3Aよりも見込み方向の寸法が大きい障子3Bに変更された場合は、障子3Bは、障子3Aに比べて枠体2Aに対して室外側に張り出すため、室内側に影響を与えることはない。
【0041】
以上の実施形態では、共通の枠体2Aに対して、互いに異なる種類の障子3A,3Bのうちから、要求される性能に応じて選択されるいずれかの障子を納める場合について説明した。しかし、縦辷り出し窓1の枠体も互いに異なる複数種類の枠体から、縦辷り出し窓1に要求される性能に応じて適宜選択することができる。なお、以上の実施形態では、枠体2Aについて樹脂製のブリッジ221cを用いた。しかし、枠体にブリッジ221cを用いない場合でも、各距離L11~L17、L21~L22、L31~L34を同じに設定することによって、機能部品の取付位置の加工を枠体毎に変更する必要がなく、機能部品の取付けを効率的に行うことができる。
【0042】
図4A、
図4B及び
図4Cは、枠体として、断熱性能を省いて低コスト化を図った枠体2Bを使用した第3実施形態に係る縦辷り出し窓1Cを示している。この枠体2Bは、上枠21及び下枠22に、樹脂製のブリッジが設けられていない。躯体取付片211aから枠体2Bの室外側の端部に亘る見込み方向の寸法S5は約52mmに縮小されている。しかし、躯体取付片211aから額縁取付片211dに亘る見込み方向の寸法S2は約36mmであり、枠体2Aと変わらない。枠体2Bの室外側の端部から室内側の端部に亘る見込み方向の寸法S4は、約88mmに縮小されている。見込み方向の寸法が縮小されたことによって、上枠21のタッピングホールの数も、タッピングホールh7,h8の2つに制限されている。
【0043】
枠体2Bに納められている障子3Cは、障子3Aと同じくペアガラスタイプの障子である。しかし、障子3Cの框体30は、金属框部のみによって、障子3Cの外周における室外側の見付け面、見込み面及び室内側の見付け面を覆うように構成され、樹脂框部を有していない。障子3Cの見込み方向の寸法は、障子3Aに比べて縮小されている。障子3Cの上框31、下框32、縦框33のそれぞれの室内側の見付け面31b,32b,33bは、それぞれヒレ212b1,212b2,221d、232b1,232b2に当接している。詳しくは、上框31の見付け面31bは、室内側に向けて突出する突出部31cを有し、この突出部31cがヒレ212b1に当接している。下框32の見付け面32bは、室内側に向けて突出する突出部32cを有し、この突出部32cがヒレ221dに当接している。
【0044】
このように、枠体が枠体2Aから枠体2Bに変更され、障子が障子3Aから障子3Cに変更されても、各距離L11~L17、L21~L22、L31~L34は、
図2A、
図2B及び
図2Cに示したように、枠体2Aに障子3Aを納めた場合の各距離L11~L17、L21~L22、L31~L34と同一である。したがって、
図5に示すように、要求される性能に応じて、互いに異なる複数種類の枠体2A、2B、さらには後述する枠体2Cもしくは樹脂を使用しない金属のみの枠体2Dのうちのいずれかの枠体と、互いに異なる複数種類の障子3A、3B、3Cのうちのいずれかの障子とを任意に選択して組み合わせることによって、要求性能を満足する縦辷り出し窓1を、生産性良く、低コストに構築することが可能である。
【0045】
なお、基本的には、枠体は、上枠に準ずる下枠と縦枠、例えば、金属のみの上枠には、樹脂カバー212,222,232が無い金属のみの下枠と縦枠とを用いて組み合わされ、樹脂カバー212が用いられる上枠の場合には、それに準ずる
図4B、
図4Cに示す枠体2Bの下枠22と縦枠23とを用いて組み合わされる。しかし、枠体の組み合わせは、このような組み合わせに限定されない。枠体は、
図5に示すように様々な上枠、下枠、縦枠から任意に組み合わせて四方組することによって構成することができる。すなわち、枠体及び障子は、以上説明したものに限定されず、建具に要求される性能に応じて様々な構成を有する枠体及び障子を選択して組み合わせることができる。以下に、枠体と障子との他の組み合わせ例について説明する。以下に示す各図においては、前述の各距離L11~L17、L21~L22、L31~L34を図示しないが、
図2Aから
図4Cに示した各枠体2A,2B及び障子3A,3B,3Cと同一の符号で示す同一の構成部位については、同一の距離を有する。
【0046】
図6A、
図6B及び
図6Cは、
図4A、
図4B及び
図4Cに示した縦辷り出し窓1Cに対して、さらに低コスト化を図った第4実施形態に係る縦辷り出し窓1Dを示している。枠体2Cにおいて、アングル部212a,222a,232aを除く樹脂カバーと網戸とは設けられていない。したがって、上枠21には、障子3Cの上框31の室内側の見付け面31bの突出部31cと当接する1つのヒレ21aのみが設けられ、縦枠23には、障子3Cの縦框33の室内側の見付け面33bと当接する1つのヒレ23aのみが設けられている。
図6Bに示すように、オペレータハンドル4は、立ち上げ片221gの室内側の見付け面221g1に取り付けられている。
【0047】
図7A、
図7B及び
図7Cは、
図4A、
図4B及び
図4Cに示した縦辷り出し窓1Cに対して、オペレータハンドルの代わりにカムラッチ7を使用した第5実施形態に係る縦辷り出し窓1Eを示している。障子には障子3Aが使用されている。縦辷り出し窓1Cに対して網戸は設けられていない。オペレータハンドルを有しないため、立ち上げ片も設けられていない。カムラッチ7は、障子3Aの縦框33の室内側の見付け面に取り付けられた操作ハンドル71と、縦枠23の樹脂カバーの見込み面に取り付けられた受け部材72とによって構成されている。操作ハンドル71を受け部材72に対して嵌合及び解除することによって、障子3Aの開閉操作を行う。したがって、カムラッチ7は、枠体2B及び障子3Aに亘って機能する機能部品のうちの一つである。上枠21には、障子3Aの上框31の室内側の見付け面312aの突出部312bと当接する1つのヒレ212bのみが設けられている。
【0048】
図8A、
図8B及び
図8Cは、
図7A、
図7B及び
図7Cに示した縦辷り出し窓1Eに対して、さらに低コスト化を図った第6実施形態に係る縦辷り出し窓1Fを示している。障子には障子3Cが使用されている。アングル部212a,222a,232aを除いて樹脂カバー212、222、232は省かれている。カムラッチ7の受け部材72は、縦枠23の第2突出片231dに設けられている。
【0049】
カムラッチ7を有する縦辷り出し窓1Bにおいても、枠体及び障子には、
図9に示す縦辷り出し窓1Gのように、断熱性能を向上させた枠体2A及び障子3Aを使用することができる。断熱性能をさらに向上させるために、障子には、
図10に示す縦辷り出し窓1Hのように、トリプルガラスタイプの障子3Bを使用することもできる。但し、いずれの場合も網戸は設けられない。
【0050】
建具は、縦辷り出し窓に限らず、横辷り出し窓であってもよい。
図11建具としての横辷り出し窓10を示している。横辷り出し窓10は、縦辷り出し窓1と同様に、枠体2と、枠体2の内側に納められる障子3とを有する。枠体2は、横長矩形状の開口部101の開口形状に対応して、上枠21、下枠22及び一対の縦枠23,24を矩形に枠組みすることによって構成される。
【0051】
図12A、
図12B及び
図12Cは、第9実施形態に係る横辷り出し窓10Aを示している。本実施形態に示す横辷り出し窓10Aの枠体及び障子には、断熱性能を向上させた枠体2A及び障子3Aが使用されている。下枠22にはオペレータハンドル4が設けられ、縦枠23には、ロック装置6が設けられている。ロック装置6は、縦枠24にも設けられる。
【0052】
図12Aに示すように、上枠21及び障子3Aの上框31には、反り防止金具81,82が設けられている。反り防止金具81は、上枠21の基枠部211bの枠体側取付部211eに、下方に突出するように取付ねじ81aによって取り付けられている。反り防止金具82は、上框31の見込み面の障子側取付部31aに、上方に突出するように取付ねじ82aによって取り付けられている。上枠21の反り防止金具81は、反り防止金具82に対して室外側に僅かに離れて配置されている。反り防止金具81,82は、障子3Aが風圧等の外力によって室外側に向けて変形した際に、互いに衝突して干渉することによって、障子3Aが室外側に飛び出すことを防止する。この反り防止金具81,82は、枠体及び障子に亘って機能する機能部品のうちの一つである。
【0053】
図13A、
図13B及び
図13Cは、
図12A、
図12B及び
図12Cに示した横辷り出し窓10Aに対して、さらに断熱性能の向上を図った第10実施形態に係る横辷り出し窓10Bを示している。障子には、トリプルガラスタイプの障子3Bが使用されている。枠体側取付部211e及び障子側取付部31aの位置関係は変わらないため、反り防止金具81,82の取付位置にも変わりはない。
【0054】
図14A、
図14B及び
図14Cは、
図12A、
図12B及び
図12Cに示した横辷り出し窓10Aに対して、低コスト化を図った第11実施形態に係る横辷り出し窓10Cを示している。枠体には、ブリッジがない枠体2Bが使用され、障子には樹脂框部がない障子3Cが使用されている。
【0055】
【0056】
図16A、
図16B及び
図16Cは、
図14A、
図14B及び
図14Cに示した横辷り出し窓10Cに対して、オペレータハンドルの代わりにカムラッチ7を使用した第13実施形態に係る横辷り出し窓10Eを示している。カムラッチ7の操作ハンドル71は下枠22に取り付けられている。カムラッチ7の受け部材72は、下枠22の樹脂カバー222に取り付けられている。
【0057】
図17A、
図17B及び
図17Cは、
図16A、
図16B及び
図16Cに示した横辷り出し窓10Eに対して、さらに低コスト化を図った第14実施形態に係る横辷り出し窓10Fを示している。枠体には、アングル部212a,222a,232aを除いて樹脂カバーが省かれた枠体2Cが使用されている。カムラッチ7の受け部材72は、下枠22に取り付けられている。
【0058】
以上の実施形態では、建物躯体と枠体とが当接しているが、建物躯体と枠体との間にスペーサを介在させてもよい。また、建具として縦辷り出し窓及び横辷り出し窓を例示したが、建具は、開き窓、引違い窓等の他の建具であってもよい。しかし、特に、以上説明した辷り出し窓は、一般的な引違い窓等と異なり、窓を操作するための機能部品が多く設けられるため、複数種類の枠体及び障子に対して機能部品を共通化しにくい。そのため、本開示の建具によれば、複数種類の枠体及び障子に対して機能部品を共通化する効果を顕著に得ることができる。
【0059】
建具に使用される枠体及び障子の框体は、アルミ等の金属のみによって構成されるもの、アルミ等の金属と樹脂との複合構造によって構成されるものに限定されず、樹脂のみによって構成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H 縦辷り出し窓
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F 横辷り出し窓
2、2A、2B、2C 枠体
211a、221a、231b 躯体取付片
211e、221h、231f 枠体側取付部
211d、221f、231e 額縁取付片
3、3A、3B、3C 障子
31a、32a、33a 障子側取付部
31b、32b、33b、312a、322a、332a 障子の室内側の見付け面
4 オペレータハンドル
5 ステー
6 ロック装置
7 カムラッチ
100 建物躯体
200 額縁部材