(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】蒸着マスクの製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/04 20060101AFI20240229BHJP
C23C 14/24 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C23C14/04 A
C23C14/24 G
(21)【出願番号】P 2020019818
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲行
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-094528(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0001631(KR,A)
【文献】特開2004-269968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/04
C23C 14/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板の上に、蒸着パターン
を有する第1メッキ層を形成し、
前記第1メッキ層の上に、接着層を介してマスクフレームを配置し、
前記マスクフレームの上に、スペーサーを配置し、
前記第1メッキ層、前記マスクフレーム、前記スペーサーを覆うようにフィルムを配置し、
前記フィルムが前記スペーサーを押圧するように、前記フィルム
と前記支持基板とで囲まれた空間を減圧し、
前記スペーサーが前記マスクフレームを押圧することによって、前記マスクフレームと前記第1メッキ層とを圧着する蒸着マスクの製造方法。
【請求項2】
前記スペーサーは、前記マスクフレームとの接触面と、前記マスクフレームから最も離れた箇所との間で最大幅を有し、
前記接触面と、前記最大幅を有する箇所との間で、前記最大幅よりも小さい幅を有する請求項1に記載の蒸着マスクの製造方法。
【請求項3】
前記スペーサーは、第1切り欠きを含む第1棒体と、前記第1棒体と交差する第2切り欠きを含む第2棒体とを含み、
前記第1切り欠きと前記第2切り欠きとは嵌合している請求項1に記載の蒸着マスクの製造方法。
【請求項4】
前記第1棒体および前記第2棒体の各々の断面形状は円形である請求項3に記載の蒸着マスクの製造方法。
【請求項5】
前記第1棒体および前記第2棒体の各々の幅は、前記マスクフレームの幅よりも小さい請求項3または請求項4に記載の蒸着マスクの製造方法。
【請求項6】
前記第1棒体および前記第2棒体の各々の材料は有機樹脂である請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の蒸着マスクの製造方法。
【請求項7】
前記スペーサーは井桁構造を有する請求項1に記載の蒸着マスクの製造方法。
【請求項8】
前記マスクフレームと前記第1メッキ層とを圧着するときの真空度は、ゲージ圧で-90kPa以下である請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の蒸着マスクの製造方法。
【請求項9】
マスクフレームを含む対象物を設置するステージと
前記ステージの上方に位置し、前記マスクフレームと接するスペーサーと、
前記スペーサーの上方に位置し、スペーサーを押圧するフィルムと、
前記フィルムを固定するフィルム固定部と、を含み、
前記ステージは、溝部および前記溝部に設けられた排気口を含む
蒸着マスクの製造装置。
【請求項10】
前記スペーサーは、前記マスクフレームとの接触面と、前記マスクフレームから最も離れた箇所との間で最大幅を有し、
前記接触面と、前記最大幅を有する箇所との間で、前記最大幅よりも小さい幅を有する請求項9に記載の
蒸着マスクの製造装置。
【請求項11】
前記スペーサーは、第1切り欠きを含む第1棒体と、前記第1棒体と交差する第2切り欠きを含む第2棒体とを含み、
前記第1切り欠きと前記第2切り欠きとは嵌合している請求項9に記載の
蒸着マスクの製造装置。
【請求項12】
前記第1棒体および前記第2棒体の各々の断面形状は円形である請求項11に記載の
蒸着マスクの製造装置。
【請求項13】
前記第1棒体および前記第2棒体の各々の幅は、前記マスクフレームの幅よりも小さい請求項11または請求項12に記載の
蒸着マスクの製造装置。
【請求項14】
前記第1棒体および前記第2棒体の各々の材料は有機樹脂である請求項11乃至請求項13のいずれか一項に記載の
蒸着マスクの製造装置。
【請求項15】
前記スペーサーは井桁構造を有する請求項9に記載の蒸着マスクの製造装置。
【請求項16】
前記ステージと前記フィルムとが密着し、前記ステージと前記フィルムとの間の空間の真空度が、ゲージ圧で-90kPa以下となるように排気口から真空排気される請求項9乃至請求項15のいずれか一項に記載の蒸着マスクの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着マスクの製造方法および製造装置に関する。特に、本発明は、マスクフレームに薄膜状のマスク本体を備えた蒸着マスクの製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネル型表示装置の一例として、液晶表示装置や有機EL(Electroluminescence)表示装置が挙げられる。これらの表示装置は、絶縁体、半導体、導電体などの様々な材料を含む薄膜が基板上に積層された構造体である。これらの薄膜が適宜パターニングされ、接続されることで、表示装置としての機能が実現される。
【0003】
薄膜を形成する方法は、大別すると気相法、液相法、固相法に分類される。気相法は物理的気相法と化学的気相法に分類される。物理的気相法の代表的な例として蒸着法が知られている。蒸着法のうち最も簡便な方法が真空蒸着法である。真空蒸着法は、高真空下において材料を加熱することで、材料を昇華または蒸発させて材料の蒸気を生成する(以下、これらを総じて気化という)。この材料を堆積させるための領域(以下、蒸着領域)において、気化していた材料が固化し、堆積することで材料の薄膜が得られる。蒸着領域に対して選択的に薄膜が形成され、それ以外の領域(以下、非蒸着領域)には材料が堆積しないようにするために、マスク(蒸着マスク)を用いて真空蒸着が行われる(特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-87840号公報
【文献】特開2013-209710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蒸着マスクは、蒸着パターンが形成されたマスク本体に、マスク本体を固定するためのマスクフレームが接合されている。マスク本体とマスクフレームとの接合が不均一であると、応力が集中する接合部分ができ、その部分でマスク本体がマスクフレームから剥離しやすくなる。とくに、蒸着工程では、蒸着装置からの輻射熱によって蒸着マスクの温度が高くなるため、接合が不均一な蒸着マスクでは剥離不良が生じやすく、蒸着マスクを繰り返し、または長期間使用することが難しかった。マスク本体とマスクフレームとが均一に接合された蒸着マスクが求められていた。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、剥離不良が低減された蒸着マスクの製造方法を提供することを課題の1つとする。また、剥離不良が低減された蒸着マスクの製造方法で用いる製造装置を提供することを課題の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造方法は、蒸着パターンが形成された第1メッキ層の上に、接着層を介してマスクフレームを配置し、マスクフレームの上に、スペーサーを配置し、第1メッキ層、マスクフレーム、スペーサーを覆うようにフィルムを配置し、フィルムが前記スペーサーを押圧するように、フィルムの下方側の空間を減圧し、スペーサーがマスクフレームを押圧することによって、マスクフレームと前記メッキ層とを圧着する。
【0008】
本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造装置は、マスクフレームを含む対象物を設置するステージと、ステージの上方に位置し、マスクフレームと接するスペーサーと、スペーサーの上方に位置し、スペーサーを押圧するフィルムと、ステージにフィルムを密着させて固定するフィルム固定部と、を含み、ステージは、溝部および溝部に設けられた排気口を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの平面図である。
【
図1B】本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの断面図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造方法を示す断面図である。
【
図2B】本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造方法を示す断面図である。
【
図2C】本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造方法を示す断面図である。
【
図2D】本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造方法を示す断面図である。
【
図2E】本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造方法を示す断面図である。
【
図2F】本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造方法を示す断面図である。
【
図2G】本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造方法を示す断面図である。
【
図3A】本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造装置の断面模式図である。
【
図3B】本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造装置の利用態様を示す図である。
【
図3C】本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造装置のステージの平面模式図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造装置の利用態様を示す図である。
【
図4B】本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造装置のスペーサーの分解斜視図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造装置20のスペーサーの断面図である。
【
図5B】本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造装置20のスペーサーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0011】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし図面に示す例は、あくまで一例であって、図示の態様について特段の記載をしない限りにおいては、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の構成には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0012】
本発明において、ある一つの膜に対してエッチングや光照射を行うことで複数の膜を形成した場合、これら複数の膜は異なる機能、役割を有することがある。しかしながら、これら複数の膜は同一の工程で同一層として形成された膜に由来し、同一の層構造、同一の材料を有する。したがって、これら複数の膜は同一層に存在しているものと定義する。
【0013】
本明細書および特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体が配置された態様を表現する際に、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、その構造体の直上に他の構造体が配置される場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体が配置される場合と、の両方を含むものと定義される。
【0014】
<第1実施形態>
図1Aおよび
図1Bを参照して、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の構成について説明する。
【0015】
図1Aは、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の平面図である。また、
図1Bは、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の断面図である。具体的には、
図1Bは、
図1に示すA-A’線に沿って切断した蒸着マスク10の断面図である。
【0016】
蒸着マスク10は、マスク本体110、マスクフレーム120、および接続部材130を含む。マスク本体110は、接続部材130を介して、マスクフレーム120に接続されている。
【0017】
マスクフレーム120は開口部を有し、マスクフレーム120の開口部と重畳するようにマスク本体110が設けられている。
図1Aでは、マスクフレーム120は、12個の開口部を有し、各開口部と重畳してマスク本体110が設けられている。なお、マスクフレーム120に設けられる開口部の数は、これに限られない。マスクフレーム120に設けられる開口部の数は、被蒸着基板の大きさや蒸着パターンに合わせて適宜決定することができる。
【0018】
マスク本体110には、マスク本体110を貫通する複数の開口113が設けられている。以下では、便宜上、マスク本体110に開口113が設けられている領域を開口領域111とし、マスク本体に開口113が設けられていない領域を非開口領域112として説明する。開口領域111と非開口領域112との境界は必ずしも明確ではないが、少なくとも非開口領域112には開口113が設けられていない点で区別をすることができる。
【0019】
蒸着時には、蒸着対象の被蒸着基板における蒸着領域と開口領域111が重なり、被蒸着基板における非蒸着領域と非開口領域112が重なるように、蒸着マスク10と被蒸着基板が位置合わせされる。蒸着材料の蒸気が開口領域111の開口113を通過し、被蒸着基板の蒸着領域に蒸着材料が堆積する。
【0020】
被蒸着基板が表示装置の基板である場合、表示装置の画素の配列と対応して開口領域111の開口113を配列することができる。開口113の配列は、例えば、マトリクス状である。
【0021】
マスクフレーム120は、マスク本体110を支持することができる。上述したように、マスクフレーム120は開口部を含むが、言い換えると、マスクフレーム120は、外側に位置する枠部と内側に位置する桟部とを含むということもできる。桟部は、枠部に剛性を与え、枠部が反ることを防止することができる。桟部は、複数の部材が組み合わされて構成されていてもよい。例えば、桟部の1つの部材は、枠部の一方の辺から対向する他方の辺に向かって延伸している。また、桟部の部材は、縦方向(蒸着マスク10の短辺方向)および横方向(蒸着マスク10の長辺方向)に設けられることが好ましい。すなわち、桟部は、縦方向に延伸する部材と横方向に延伸する部材とが交差している井桁構造であることが好ましい。ただし、桟部の構成は、これに限られない。桟部の部材は、縦方向または横方向にのみ設けられていてもよい。また、枠部の幅および桟部(または桟部の部材)の幅は、蒸着マスク10の大きさに合わせて適宜決定することができる。なお、蒸着パターンの領域をできる限り広くするためには、桟部の幅が枠部の幅よりも小さいことが好ましい。
【0022】
図1Bに示すように、接続部材130は、マスク本体110とマスクフレーム120の開口部の間隙に設けられ、マスク本体110の側面およびマスクフレーム120の開口部の側面に接する。すなわち、平面視において、マスク本体110とマスクフレーム120とは重畳していない。なお、平面視において、マスク本体110とマスクフレーム120とが重畳することもできる。
【0023】
接続部材130は、マスク本体110とマスクフレーム120とを接続すればよいため、接続部材130は、マスクフレーム120の開口部の側面の全面に設けられなくてもよい。接続部材130は、マスクフレーム120の開口部の側面の少なくとも一部に設けられていればよい。一方、マスク本体110の厚さは、マスクフレームの厚さに比べて非常に小さい。例えば、マスク本体110の厚さは1μm以上20μm以下であり、マスクフレーム120の厚さは0.5mm以上2.0mm以下である。そのため、マスク本体110とマスクフレーム120との接着強度を大きくするため、接続部材130は、マスク本体110の側面の全面に設けられていることが好ましい。
【0024】
また、接続部材130は、マスク本体110とマスクフレーム120との間で階段状に形成されていてもよい。
【0025】
本実施形態に係る蒸着マスク10によれば、マスク本体110とマスクフレーム120とが、接続部材130を介して接続されている。そのため、蒸着マスク10面内の接続部材130を均質に形成することで、マスク本体110とマスクフレーム120との接合強度を均一化することができる。したがって、マスク本体110とマスクフレーム120との剥離不良が低減する。
【0026】
<第2実施形態>
図2A~
図2Gを参照して、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造方法について説明する。
【0027】
図2A~
図2Gは、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造方法を示す断面図である。
【0028】
まず、
図2Aに示すように、支持基板210上に金属層220を形成し、金属層220上に所定のパターンを有するフォトレジスト層230を形成する。
【0029】
支持基板210は、蒸着マスク10の製造工程において、各層を支持する基板である。そのため、支持基板210は剛性基板であることが好ましい。また、蒸着マスク10は、熱膨張係数が小さいことが好ましい。蒸着マスク10の製造工程では、支持基板210が加熱される。加熱処理によって支持基板210が膨張または縮小すると、蒸着マスク10の蒸着パターンにズレが生じることになる。そのため、蒸着マスク10の製造工程を安定化させるためにも、支持基板210は、熱膨張係数が小さい剛性基板であることが好ましい。支持基板210の材料としては、例えば、ステンレス(SUS304またはSUS430など)、42アロイ、インバー、スーパーインバー、またはステンレスインバーなどである。
【0030】
金属層220は、後述する電鋳(または電解メッキ)の下地金属として機能することができる。金属層220の材料としては、例えば、ニッケル(Ni)またはニッケル合金である。金属層220は、スパッタリングなどによって形成することができる。
【0031】
蒸着マスク10は、電鋳ではなく、無電解メッキを用いて製造することもできる。この場合、金属層220の代わりに、絶縁層を用いることもできる。
【0032】
フォトレジスト層230は、後述する電鋳の母型として機能することができる。一例として、フォトレジスト層230は、所定の膜厚を有するように、金属層220上に1つまたは複数の感光性ドライフィルムレジストを配置し、熱圧着によって形成される。感光性ドライフィルムレジストは、ポジ型またはネガ型のいずれであってもよい。なお、以下では、感光性ドライフィルムがネガ型であるとして説明する。
【0033】
フォトレジスト層230は、蒸着マスク10の蒸着パターンが形成されるための所定のパターンを有する。フォトレジスト層230の所定のパターンは、フォトリソグラフィーにより形成することができる。すなわち、所定のパターンは、ドライフィルムレジストにマスクを密着させ、紫外線を照射してドライフィルムを露光し、未露光部分を溶解除去することによって形成することができる。
【0034】
次に、
図2Bに示すように、フォトレジスト層230をマスクとして、第1メッキ層240を形成する。第1メッキ層240は、蒸着マスク10のマスク本体110に対応するものである。第1メッキ層240は、電鋳により形成することができる。具体的には、金属層220およびフォトレジスト層230を所定の条件に建浴した電鋳漕に入れ、フォトレジスト層230に覆われていない金属層220の表面から、フォトレジスト層230の高さまで金属メッキを形成する。第1メッキ層240の材料としては、例えば、ニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)-コバルト(Co)合金などである。
【0035】
次に、
図2Cに示すように、フォトレジスト層230を剥離(除去)する。フォトレジスト層230は、例えば、アミン系の剥離液によって剥離することができる。フォトレジスト層230を剥離することによって、蒸着パターンを有する第1メッキ層240が形成される。
【0036】
なお、フォトレジスト層230を剥離する前に、電鋳によって形成された第1メッキ層240を研磨してよい。第1メッキ層240を研磨することにより、第1メッキ層240の表面を平坦化することができる。
【0037】
次に、
図2Dに示すように、第1メッキ層240上に、接着層250が設けられたマスクフレーム260を配置する。すなわち、接着層250を介して、第1メッキ層240とマスクフレーム260とが接着される。なお、ここでの工程では、第1メッキ層240とマスクフレーム260とを完全に接着する必要はない。そのため、接着層250は、完全に硬化されていなくてもよい。
【0038】
マスクフレーム260は開口を有する。マスクフレーム260は、第1メッキ層240の蒸着パターンの開口と重畳しないように位置を合わせて接着される。言い換えると、マスクフレーム260の開口は、第1メッキ層240の蒸着パターンの開口と重畳する。
【0039】
接着層250は、後の工程において除去されるため、除去しやすい材料であることが好ましい。接着層250の材料としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シアノアクリレート樹脂、またはアクリル樹脂などを用いることができる。また、接着層250の材料としては、ドライフィルムレジストを用いることもできる。接着層250の材料としてドライフィルムレジストを用いる場合、ドライフィルムレジストを、その表面に弱粘着性が残る程度に弱く露光しておいてもよい。ドライフィルムレジストを露光しておくことで、後の工程においてドライフィルムレジストを除去しやすくなる。
【0040】
なお、この後の工程において、第1メッキ層240の蒸着パターンを保護する(例えば、工程によって発生するパーティクルによって蒸着パターンの開口が塞がれないように保護する)ため、第1メッキ層240の蒸着パターンの領域にドライフィルムレジストを設けてもよい。
【0041】
次に、マスクフレーム260上に、スペーサー270を配置する。また、支持基板210、金属層220、第1メッキ層240、接着層250、マスクフレーム260、およびスペーサー270を覆うように、スペーサー270の上方にフィルム280を配置する。続いて、支持基板210とフィルム280との間の空気を排気(真空排気)し、フィルム280の下方側の圧力を下げる。すなわち、フィルム280の下方側の空間を、フィルム280の上方側の空間に対して陰圧にする。フィルム280の上方側と下方側との圧力差により、フィルム280は支持基板210側に引き付けられる(
図2E)。フィルム280の下方側の圧力をさらに下げると、フィルム280がスペーサー270を押圧する。スペーサー270からの押圧を受けて、マスクフレーム260は、接着層250を介して、第1メッキ層240とより強く接着する。この工程は、いわゆる真空圧着と呼ばれる工程である。
【0042】
スペーサー270は、マスクフレーム260の桟部上に配置される。スペーサー270がマスクフレーム260の桟部上に配置されることによって、スペーサー270がマスクフレーム260に均一に力を加えることができるようになる。また、スペーサー270は、マスクフレーム260の複数の桟部の全てに配置してもよく、複数の桟部の一部に配置してもよい。さらに、スペーサー270は、マスクフレーム260の枠部に配置することもできる。
【0043】
スペーサー270の断面形状は、円形である。スペーサー270の断面形状が円形であると、マスクフレーム260とスペーサー270との接触面積が小さくなるため、真空圧着の際に、均一にマスクフレーム260に力を加えることができる。ただし、スペーサー270の断面形状の構成は、これに限られない。スペーサー270の断面形状は、例えば、楕円形であってもよく、多角形であってもよい。
【0044】
スペーサー270の幅は、マスクフレーム260の桟部の幅よりも小さいことが好ましい。スペーサー270の幅がマスクフレーム260の桟部の幅より小さいと、真空圧着によって、フィルム280がマスクフレーム260の桟部の側面に押し付けられるため、マスクフレーム260の桟部上のスペーサー270の位置が自動的に調整される。そのため、真空圧着の際に、均一にマスクフレーム260に力を加えることができる。ただし、スペーサー270の幅は、これに限られない。スペーサー270の幅は、マスクフレームの桟部の幅よりも大きくてもよい。
【0045】
スペーサー270の材料は、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、またはポリエチレンテレフタラートなどの有機樹脂であってもよく、金属であってもよい。なお、スペーサー270の材料は、成形加工が容易であり、軽量である有機樹脂が好ましい。
【0046】
フィルム280の下方側の真空度は、大気圧を0kPaとしたゲージ圧において、-50kPa以下であり、好ましくは-70kPa以下であり、さらに好ましくは-90kPaである。
【0047】
スペーサー270を設けない場合、真空排気が完了する前に、排気口近傍でマスクフレーム260とフィルム280が密着して排気経路を塞いでしまい、真空度が低下しない場合がある。その場合、マスクフレーム260面内で真空度が異なることとなり、その結果、圧力差にばらつきが生じる。したがって、フィルム280がマスクフレーム260を押圧する力がばらつき、第1メッキ層240とマスクフレーム260との接着が不均一となる。
【0048】
一方、スペーサー270を設ける場合、マスクフレーム260の上部においてスペーサー270による間隙が生成される。そのため、マスクフレーム260とフィルム280との密着を防止することができる。したがって、フィルム280の下方側の真空度が均一となるため、第1メッキ層240とマスクフレーム260とは均一に接着される。
【0049】
すなわち、スペーサー270がマスクフレーム260と接する面の幅は、スペーサー270の幅よりも小さいことが好ましい。このような形状とすることで、スペーサー270の裾部近傍に、フィルム280が密着せずに、空隙を残すことができる。
【0050】
真空圧着後は、スペーサー270およびフィルム280を除去する。
【0051】
次に、
図2Fに示すように、第1メッキ層240とマスクフレーム260とを接続する第2メッキ層290を形成する。第2メッキ層290は、金属層220または第1メッキ層240に通電する電鋳によって形成することができる。第2メッキ層290は、蒸着マスク10の接続部材130に対応するものである。第2メッキ層290は、金属層220、第1メッキ層240、接着層250、およびマスクフレーム260と接している。具体的には、第2メッキ層290は、第1メッキ層240の溝部の一部およびマスクフレーム260の側面(蒸着マスク10の枠部および桟部の側面)と接するように形成されている。
【0052】
第2メッキ層290は、第1メッキ層240と同様の方法で形成することができる。
【0053】
第2メッキ層290は、第1メッキ層240の開口領域111に対応する領域には設けられていない。第1メッキ層240の開口領域111に対応する領域上に、例えば、ドライフィルムレジストを形成し、第1メッキ層240の開口領域111に対応する領域にメッキされることを防止することができる。ドライフィルムレジストは、第2メッキ層290の形成後に剥離することができる。
【0054】
次に、
図2Gに示すように、支持基板210、金属層220、および接着層250を剥離することにより、マスク本体110とマスクフレーム120とが、接続部材130によって接続された蒸着マスク10が製造される。接着層250を剥離することで、接着層250と接着していた第1メッキ層240の一部(マスクフレーム260と重畳した第1メッキ層240の溝部の間の部分)も剥離される。すなわち、
図2Gに示すように、マスクフレーム120の下方には、マスク本体110が設けられていない。なお、支持基板210、金属層220、および接着層250は、一度に全ての基板および層を剥離してもよく、基板および層の各々を個別に剥離してもよい。マスク本体110は、支持基板210に比べて膜厚が非常に薄いため、マスク本体の剥離の際、変形ストレスがマスク本体110側に一方的にかかりやすく、マスク本体110の破損につながる場合がある。したがって、始めに支持基板210と金属層220との間で剥離し、続いて、金属層220とマスク本体110との間で剥離することにより、マスク本体110へのストレスを軽減することができる。
【0055】
本実施形態に係る蒸着マスク10の製造方法によれば、マスクフレーム260とフィルム280との間にスペーサー270を設けて真空圧着を行う。フィルム280は、直接マスクフレーム260を押圧するのではなく、スペーサー270を介してマスクフレーム260を押圧する。そのため、常に同じ位置、すなわち、マスクフレーム260の上面から圧力を加えることができる。また、真空圧着において、マスクフレーム260とフィルム280との間に配置されたスペーサー270によって間隙が増加するため、マスクフレーム260とフィルム280との密着を防止することができる。そのため、マスクフレーム260面内でいずれの場所においても真空排気が容易となり、フィルム280の下方側の真空度が一定に保たれる。
【0056】
以上より、マスクフレーム260への圧力が均一化されるため、第2メッキ層290の接合強度を均一化することができる。したがって、マスク本体110とマスクフレーム120とを接続する接続部材130の接合強度が均一化されるため、マスク本体110とマスクフレーム120との剥離不良が低減された蒸着マスク10を製造することができる。
【0057】
<第3実施形態>
図3A~
図4Bを参照して、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造装置20について説明する。
【0058】
図3Aは、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造装置20の断面模式図である。具体的には、
図3Aは、第2実施形態で説明した真空圧着で用いる装置の断面模式図である。
【0059】
図3Aに示すように、製造装置20は、ステージ310、スペーサー320、フィルム330、およびフィルム固定部340を含む。スペーサー320、フィルム330、およびフィルム固定部340は、ステージ310の上方に設けられている。フィルム330は、フィルム固定部340に固定されている。
【0060】
真空圧着される対象物(被対象物)は、ステージ310に配置される。そのため、ステージ310の表面は平坦であることが好ましい。ステージ310の表面には、溝部311が設けられている。また、溝部311には、真空排気を行うための排気口312が設けられている。排気口312には、配管を介して真空ポンプ(図示せず)が接続されており、排気口から真空排気を行うことができる。
【0061】
被対象物は、例えば、第2実施形態で説明した
図2Dに示す、支持基板210、金属層220、第1メッキ層240、接着層250、およびマスクフレーム260を含む構造体である。なお、以下では、便宜上、マスクフレーム260を含む構造体を被対象物として説明する場合がある。
【0062】
図3Bは、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造装置20の利用態様を示す模式図である。
【0063】
図3Bに示すように、ステージ310上にマスクフレーム260を含む被対象物350を配置し、被対象物350のマスクフレーム260の枠部および桟部と重畳してスペーサー320を配置する。次に、フィルム固定部340をステージ310側に移動させて、ステージ310、フィルム330、およびフィルム固定部340によって、被対象物350およびスペーサーが配置されている空間を密閉する。その後、排気口312を介して空間内を減圧にする。
【0064】
図3Cは、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造装置20のステージ310の平面模式図である。
【0065】
図3Cに示すように、溝部311は、ステージ310の外周に沿って環状に設けられている。被対象物は、溝部311の内側に配置され、溝部311と重畳しないことが好ましい。溝部311が被対象物で覆われてしまうと真空排気されにくくなるため、溝部311の内径は被対象物よりも大きいことが好ましい。
【0066】
図3Cに示すように、排気口312は、溝部311の四隅に設けられている。ただし、排気口312の構成は、これに限られない。排気口312は、溝部311の四隅の間に設けることもできる。また、排気口312の数も4つに限られず、ステージの大きさに応じて適宜設けることができる。
【0067】
スペーサー320は、ステージ310の上方に位置し、ステージ310に被対象物が配置されると、被対象物と接するようにスペーサー320とステージ310との距離が制御される。被対象物とスペーサー320との接触においては、位置合わせを行ってもよい。位置合わせは、被対象物の形状一部とスペーサー320の形状とを合わせるように調整することができる。また、位置合わせは、マーカーを用いて調整することもできる。なお、位置合わせは、カメラで撮影した画像解析を行うことによって行うことができる。
【0068】
図4Aは、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造装置20の利用態様を示す図である。
【0069】
ステージ310上にマスクフレーム260を含む被対象物が配置され、マスクフレーム260上にスペーサー320がマスクフレーム260と接するように配置されている。スペーサー320は井桁構造を有する。すなわち、横方向に延伸する第1棒体320-1と縦方向に延伸する第2棒体320-2とが交差している。第1棒体320-1および第2棒体320-2は、マスクフレーム260の桟部と重畳している。また、第1棒体320-1および第2棒体320-2の各々の端部は、マスクフレーム260の枠部と重畳している。なお、第1棒体320-1および第2棒体320-2の各々の端部は、マスクフレーム260の端部よりも内側に位置することが好ましい。第1棒体320-1および第2棒体320-2の各々の端部が、マスクフレーム260の端部よりも突出すると、第1棒体320-1および第2棒体320-2の各々の端部が固定されていない状態となる。その状態において真空圧着を行うと、スペーサー320の中央部が浮き上がる(スペーサー320の中央部がマスクフレーム260から離れる)ため、被対象物に対して均一に圧力をかけることができなくなる。そのため、スペーサー320の端部が固定されるように、第1棒体320-1および第2棒体320-2の各々の端部は、マスクフレーム260の端部よりも内側に位置し、マスクフレーム260と接していることが好ましい。
【0070】
第1棒体320-1および第2棒体の各々は、直線状に延伸していることが好ましい。第1棒体320-1および第2棒体の各々は、曲線部分を含むように延伸することもできるが、その場合、曲線部分はマスクフレーム260の桟部よりも外側に突出しないことが好ましい。
【0071】
図4Bは、本発明の一実施形態に係る蒸着マスクの製造装置20のスペーサー320の分解斜視図である。具体的には、
図4Bは、第1棒体320-1と第2棒体320-2とが交差する部分を示す。
【0072】
図4Bに示すように、第1棒体320-1と第2棒体320-2とが交差する部分において、第1棒体320-1は第1切り欠き321-1を含み、第2棒体320-2は第2切り欠き321-2を含む。また、第1切り欠き321-1と第2切り欠き321-2とは嵌合している。
【0073】
第1棒体320-1および第2棒体320-2の各々の断面形状は、円形である。第1棒体320-1および第2棒体320-2の各々の断面形状が円形であると、マスクフレーム260とスペーサー320との接触面積が小さくなるため、真空圧着の際に、均一にマスクフレーム260に力を加えることができる。ただし、第1棒体320-1および第2棒体320-2の各々の断面形状の構成は、これに限られない。第1棒体320-1および第2棒体320-2の各々の断面形状は、例えば、楕円形であってもよく、多角形であってもよい。なお、第1棒体320-1の断面形状と第2棒体320-2の断面形状とが異なっていてもよい。
【0074】
スペーサー320は、第1棒体320-1と第2棒体320-2とに分離されていなくてもよい。スペーサー320は、第1棒体320-1と第2棒体320-2とが一体化されていてもよい。
【0075】
スペーサー320が被対象物と接すると、フィルム330がスペーサー320と接するようにフィルム330とステージ310との距離が制御される。また、フィルム固定部340は、フィルム330の外周をステージ310に密着させ、ステージ310とフィルム330との間が密閉空間を有するようにフィルム330を固定する。この状態において、排気口312から真空排気が行われると、密閉空間の真空度が低下する。すなわち、密閉空間が減圧される。密閉空間の真空度は、大気圧を0kPaとしたゲージ圧において、-50kPa以下であり、好ましくは-70kPa以下であり、さらに好ましくは-90kPaである。
【0076】
真空圧着後は、密閉空間の真空度を大気圧に戻し、被対象物を取り出す。
【0077】
本実施形態に係る蒸着マスク10の製造装置20によれば、フィルム330が、スペーサー320を介して被対象物に対して真空圧着を行うことができる。すなわち、フィルム330は、直接被対象物を押圧するのではなく、スペーサー320を介して被対象物を押圧する。被対象物がマスクフレーム260を含む場合、マスクフレーム260の上面に均一な圧力を加えることができる。また、真空圧着において、マスクフレーム260とフィルム330との間に配置されたスペーサー320によって間隙が増加するため、マスクフレーム260とフィルム330との密着を防止することができる。そのため、製造装置20は、ステージ310上の密閉空間のいずれの場所においても真空排気が容易となり、真空圧着における密閉空間の真空度を一定に保つことができる。したがって、マスク本体110とマスクフレーム120とを接続する接続部材130の接合強度が均一化されるため、マスク本体110とマスクフレーム120との剥離不良が低減された蒸着マスク10を製造することができる。
【0078】
<変形例>
図5Aおよび
図5Bを参照して、スペーサー320の形状の変形例について説明する。
【0079】
図5Aおよび
図5Bは、それぞれ、本発明の一実施形態に係る蒸着マスク10の製造装置20のスペーサー320Aおよびスペーサー320Bの断面図である。
図5Aおよび
図5Bにおいて、スペーサー320Aおよびスペーサー320Bは、マスクフレーム260上に配置されている。
【0080】
本実施形態で説明したスペーサー320は、フィルムと被対象物との間を減圧する際に、真空排気を良好に行うための排気流路を確保することを機能の一つとしている。上述したように、スペーサー320の断面形状を円形、楕円形もしくは多角形とし、被対象物との接触面の幅が、スペーサー320の最大幅よりも小さくなるようにすることで排気流路を確保することができる。ただし、スペーサー320の断面形状はこれに限定されず、例えば、
図5Aに示すスペーサー320Aまたは
図5Bに示すスペーサー320Bのような断面形状を有していてもよい。
【0081】
図5Aおよび
図5Bにおいて、スペーサー320Aおよびスペーサー320Bは、被対象物との接触面における幅W1と、接触面から離れた箇所における最大幅W2と、最大幅W2を有する箇所と接触面との間で、最大幅W1よりも小さい幅W3とを有する。減圧時、フィルム330は、スペーサー320の頂部、最大幅W2を有する箇所、および被対象物の形状に沿うようにして接する。しかしながら、幅W3を有する箇所(窪み部分)が接触面とスペーサー320の頂部との間に存在すると、幅W3を有する箇所に空隙ができ、排気流路として機能することができる。さらに、接触面の幅W1が、最大幅W2よりも小さくなることが好ましい。
【0082】
なお、断面形状が円形などのスペーサー320である場合、厳密には接触面ではなく、接触点と表現すべきではあるものの、最大幅W2を有する箇所と幅W3を有する箇所との関係はスペーサー320Aおよびスペーサ320Bと同様である。ただし、スペーサー320による被対象物への均一な押圧を考えると、接触部分はある程度の面積を有する接触面となるように、スペーサー320の断面形状を決定することが好ましい。
【0083】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0084】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0085】
10:蒸着マスク、 20:製造装置、 110:マスク本体、 111:開口領域、 112:非開口領域、 113:開口、 120:マスクフレーム、 130:接続部材、 210:支持基板、 220:金属層、 230:フォトレジスト層、 240:第1メッキ層、 250:接着層、 260:マスクフレーム、 270:スペーサー、 280:フィルム、 290:第2メッキ層、 310:ステージ、 311:溝部、 312:排気口、 320、320A、320B:スペーサー、 320-1:第1棒体、 320-2:第2棒体、 330:フィルム、 340:フィルム固定部、 350:被対象物