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特許7445451病院内におけるアメニティーサービスシステム及び患者用端末
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  • 特許-病院内におけるアメニティーサービスシステム及び患者用端末 図1
  • 特許-病院内におけるアメニティーサービスシステム及び患者用端末 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】病院内におけるアメニティーサービスシステム及び患者用端末
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20240229BHJP
【FI】
G16H20/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020021466
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021128417
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】506206878
【氏名又は名称】護所野 均
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】護所野 均
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3097401(JP,U)
【文献】特開2015-097066(JP,A)
【文献】登録実用新案第3226336(JP,U)
【文献】特開2007-156787(JP,A)
【文献】特開2008-272063(JP,A)
【文献】特開2019-146899(JP,A)
【文献】特開2014-057180(JP,A)
【文献】特開2007-172436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者用端末、管理サーバ、及びスタッフ用端末を備え、前記管理サーバが前記患者用端末及びスタッフ用端末とネットワークを通じて接続されている、病院内におけるアメニティーサービスシステムであって、
前記患者用端末は、アメニティーサービスを申し込むための申込ボタン、スタッフを呼び出すための呼出ボタン、及びアメニティーサービスに対する対価を支払うための支払ボタンを有し、各ボタンが押下されたときに各ボタン別の信号を前記管理サーバへ送信するものであり、
前記管理サーバは、前記患者用端末から前記信号を受信したときに、各ボタン別の通知を前記スタッフ用端末へ送信する
アメニティーサービスシステム。
【請求項2】
前記患者用端末は、各ボタン別の信号とともに自己端末の識別情報を前記管理サーバへ送信するものであり、
前記管理サーバは、前記患者用端末の前記識別情報に関連付けて、当該患者用端末を操作する患者、又は当該患者用端末が備え付けられた病室もしくは病床に関する患者関連情報を記憶したデータベースを有し、前記患者用端末から前記信号を受信したときに、各ボタン別の通知とともに、前記患者関連情報を前記スタッフ用端末へ送信する
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記患者用端末は、各ボタンが押下されたときに、その旨を表示するための受付表示部をさらに有する
請求項1又は2に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院内で患者に対してアメニティーサービスを提供する際に利用されるシステム及び患者端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、病室又は病床に設置されたにナースコールボタンを利用して、患者が看護師を呼び出すためのシステムが知られている(特許文献1)。特許文献1に記載のナースコールシステムは、患者が看護師を呼び出すためのナースコール子機と、ナースコール子機による呼出をナースステーションにおいて報知するナースコール親機と、ナースコール子機からの呼出に応答するために看護師が携行する複数の携帯端末と、呼出および応答を制御する制御機と備えている。また、この制御機は、外部機器から呼出情報テーブルを取得し、ナースコール子機から呼出に関連付けられた呼出信号を受信した場合には、複数の携帯端末のうち、呼出情報テーブルに関連付けられた特定の看護師に関連付けられた特定の携帯端末に呼出信号を送信するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-005011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現在、病院では医療従事者が医療本体業務で多忙であることから、患者のアメニティ満足度を向上させるための施策はハード面の整備だけで手一杯の状態にあり、ソフトサービスが十分な状況ではない。つまり、医療従事者のマンパワーだけではソフトサービスにまで十分に手が廻らないというのが現状である。また、医療従事者にソフトサービスの提供を業務して負担させると、ソフトサービスの受付や、提供、料金回収の業務負担が増大するだけでなく、患者からのクレーム等についても医療従事者が対応しなければならなくなるため、医療本体業務と並行してソフトサービスの提供を行うことは困難である。このような状況を鑑みると、病院内において新しいソフトサービスを提供しようとしても、人的ソースが圧倒的に不足しているといえる。また、患者の院内移動が多頻度にある場合その管理が大変になることや、サービス料金の回収作リスクを病院本体が負担することが事実上困難であるという状況も、新しいソフトサービスの導入の大きな障害となっている。
【0005】
そこで、本発明は、病院内におけるアメニティーサービスの提供に役立つ新規なシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面は、病院内におけるアメニティーサービス提供のためのシステム(アメニティーサービスシステム)に関する。このアメニティーサービスシステムは、基本的に既存のナースコールシステムとは別に構築される。本発明に係るシステムは、患者用端末、管理サーバ、及びスタッフ用端末を備える。管理サーバは、患者用端末及びスタッフ用端末とインターネット等のネットワークを通じて接続されている。患者用端末は、アメニティーサービスを申し込むための申込ボタン、スタッフを呼び出すための呼出ボタン、及びアメニティーサービスに対する対価を支払うための支払ボタンを有しており、各ボタンが押下されたときに各ボタン別の信号を管理サーバへ送信する。なお、各ボタンは物理的なボタンに限られず、例えばタッチパネルディスプレイ上に表示される電子的なボタンであってもよい。また、管理サーバは、患者用端末から各種信号を受信したときに、各ボタン別の通知をスタッフ用端末へ送信する。
【0007】
本発明において、スタッフ用端末は、医療従事者ではなく、アメニティーサービスの専門スタッフによって利用されることが想定されている。このように、既存のナースコールシステムとは別に、アメニティーサービスシステムを構築しておき、アメニティーサービスの申し込みがあったときには専門スタッフが対応するようにすることで、医療従事者の負担を増大させることなく、患者に対して手厚いアメニティーサービスを提供することが可能となる。また、患者用端末に申込ボタン、呼出ボタン、支払ボタンを設けることで、専門スタッフに事前に患者の要望を伝達することができるため、効率的なサービス対応ができるようになる。また、ナースコールシステムは、病院内のイントラネット(ローカルネットワーク)によって構築されることが一般的であるが、本発明に係るアメニティーサービスシステムは、インターネットを介したクラウドシステムとして構築することが好ましい。これにより、病院内に新しいネットワークを構築する必要がなくなることから、アメニティーサービスシステムの導入が容易になる。
【0008】
本発明に係るシステムにおいて、患者用端末は、各ボタン別の信号とともに自己端末の識別情報を管理サーバへ送信することが好ましい。この場合、管理サーバは、患者用端末の識別情報に関連付けて、当該患者用端末を操作する患者、又は当該患者用端末が備え付けられた病室もしくは病床に関する患者関連情報を記憶したデータベースを有する。そして、管理サーバは、患者用端末から信号を受信したときに、各ボタン別の通知とともに、患者関連情報をスタッフ用端末へ送信する。このように構成することで、専門スタッフがスタッフ用端末を利用してアメニティーサービスを求める患者の所在を迅速に把握することができる。
【0009】
本発明に係るシステムにおいて、スタッフ用端末は、アメニティーサービスの申し込みに対応するための第1のスタッフ用端末、スタッフの呼び出しに対応するための第2のスタッフ用端末、及び支払いに対応するための第3のスタッフ用端末を含むこととしてもよい。この場合、管理サーバは、申込ボタンの信号を受信した場合には第1のスタッフ用端末へ通知を送信し、呼出ボタンの信号を受信した場合には第2のスタッフ用端末へ通知を送信し、支払ボタンの信号を受信した場合には第3のスタッフ用端末へ通知を送信することが好ましい。これにより、専門スタッフの業務分担が容易になる。例えば、アメニティーサービスに申し込みに対応する専門スタッフ、呼び出しに対応する専門スタッフ、及び支払に対応する専門スタッフをそれぞれ準備しておくことで、業務効率を向上させることができる。
【0010】
本発明に係るシステムにおいて、患者用端末は、各ボタンが押下されたときに、その旨を表示するための受付表示部をさらに有することが好ましい。これにより、患者自身でボタンの押下の有無を確認することができるため、例えばサービスの申込ボタンが繰り返し押下されるような事態を抑制できる。
【0011】
本発明の第2の側面は、ネットワークを通じて管理サーバに接続可能な患者用端末に関する。本発明に係る患者用端末は、アメニティーサービスを申し込むための申込ボタンと、スタッフを呼び出すための呼出ボタンと、アメニティーサービスに対する対価を支払うための支払ボタンと、各ボタンが押下されたときに各ボタン別の信号を管理サーバへ送信する通信部とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、病院内におけるアメニティーサービスの提供に役立つ新規なシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、アメニティーサービスシステムの概要を模式的に示している。
図2図2は、患者用端末、管理サーバ、及びスタッフ用端末の機能構成例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
【0015】
図1及び図2に示されるように、アメニティーサービスシステム100は、患者用端末10、管理サーバ20、及びスタッフ用端末30を含む。患者用端末10は、患者自身が保持したり、患者の病室又は病床に設置される。管理サーバ20は、患者用端末10及びスタッフ用端末30とインターネットを介して接続されている。管理サーバ20は、アメニティーサービス事業を運営する事業者によって運用される。スタッフ用端末30は、アメニティーサービスを実際に提供する専門スタッフによって利用される。スタッフ用端末30は、同じ端末で申込通知、呼出通知、及び支払通知をそれぞれ受け取ることとしてもよいし、アメニティーサービスの申込通知を受け取るための第1端末30(a)、呼出通知を受け取るための第2端末30(b)、支払通知を受け取るための第3端末(b)をそれぞれ別に設けることとしてもよい。
【0016】
患者用端末10は、アメニティーサービスを申し込むための申込ボタン11と、専門スタッフを呼び出すための呼出ボタン12と、アメニティーサービスに対する対価を支払うための支払ボタン13を有する。図1に示した例において、各ボタン11~13は、手足の不自由な患者でも扱いやすいように物理ボタンで構成されている。各ボタン11~13が押下されると、患者用端末10の制御部14は、各ボタンに対応した制御信号を生成し、その制御信号を通信部15によりインターネットを通じて管理サーバ20へと送信する。制御部14は、信号生成用の制御回路であってもよいし、CPUなどの一般的なプロセッサであってもよい。また、制御部14は、患者用端末10ごとに設定された固有の識別情報(端末ID)をメモリなどの記憶部に記憶しており、各ボタンが押下されたときに自身の識別情報を読み出して、ボタンに対応した制御信号とともに識別情報を通信部15によって管理サーバ20に送信する。通信部15は、SIMカードなどを備え、3Gや4Gといったセルラー回線に接続可能な構成を有していてもよいし、Wi-Fi(登録商標)などの無線LANに接続可能な構成を有していてもよい。
【0017】
また、患者用端末10には、受付表示部16が設けられており、各ボタン11~13が押下されたときに患者が視認可能な態様でその旨が端末上に表示される。例えば、図1に示した例の受付表示部16は、ボタンの押下に連動してLED等の光源が発光し、「お伺いいたします/少々お待ちください」といった文字が点灯する。また、患者用端末10には、あわせてエラー表示部17が設けられており、制御信号の送信に何らかの問題が生じたと制御部14によって判断された場合に、その旨が端末上に表示される。図1に示した例のエラー表示部17は、何らかの問題が生じた場合にLED等の光源が発光し、「エラー」といった文字が点灯する。
【0018】
また、患者用端末10の筐体にはQRコード(登録商標)などの二次元コードやその他バーコードなどの一次元コードなどが印刷されたコード部18を設けられている。このコード部18に設けられた一次元コード又は二次元コードには、制御部14内に記憶された識別情報と同じ情報がパラメータとして埋め込まれている。このコード部18に埋め込まれた情報は、患者用端末10の識別情報を患者、病室、又は病床などを特定するための情報(以下「患者関連情報」)と関連付ける際に利用される。すなわち、スタッフ用端末又はその他の携帯端末(スマートフォンなど)でコード部18を読み取り、そこに埋め込まれた患者用端末10の識別情報を抽出した上で、この識別情報と患者関連情報を関連付けて管理サーバ20に登録しておくことができる。患者関連情報の例としては、患者、病室、もしくは病床固有のID(患者ID、病室ID、病床ID)や、患者の氏名、患者番号、病室番号、又は病床番号などが挙げられる。
【0019】
管理サーバ20は、通信部21によって患者用端末10から各ボタン別の制御信号と端末固有の識別情報(端末ID)を受信する。管理サーバ20の制御部22は、各ボタン別の制御信号に基づいて、スタッフ用端末30へ送信するための通知情報を生成する。具体的には、制御部22は、申込ボタン11が押下されている場合には申込通知、呼出ボタン12が押下されている場合には呼出通知、支払ボタン13が押下されている場合には支払通知を生成すればよい。また、データベース23には、患者用端末10の端末IDを主キー項目として前述の患者関連情報が登録されている。制御部22は、ボタンが押下された患者用端末10の端末IDを参照して、このデータベース23から、当該端末IDに関連付けられている患者関連情報を読み出す。そして、制御部23は、上記のようにして生成した通知情報とデータベース23から読み出した患者関連情報を、通信部21によってインターネットを介してスタッフ用端末30へ送信する。
【0020】
また、前述のように、アメニティーサービスの申込通知を受け取るための第1端末30(a)、呼出通知を受け取るための第2端末30(b)、支払通知を受け取るための第3端末(b)をそれぞれ別に設けることも可能である。この場合、管理サーバ20の制御部23は、各ボタン13に対応した通知情報を、第1端末30(a)、第2端末30(b)、第3端末(b)にそれぞれ分けて送信する。つまり、管理サーバ20は、申込ボタン11の信号を受信した場合にはアメニティーサービスの申し込みに関する通知情報を第1端末30(a)へ送信し、呼出ボタン12の信号を受信した場合にはスタッフの呼び出しに関する通知情報を第2用端末30(b)へ送信し、支払ボタン13の信号を受信した場合にはアメニティーサービスに対する対価の支払いに関する通知情報を第3端末30(c)へ送信することとなる。
【0021】
スタッフ用端末30としては、一般的なスマートフォンやタブレット端末などの携帯型情報端末を用いることができる。スタッフ用端末30は、通信部31によって管理サーバ20から各ボタンに対応した通知情報と患者関連情報を受信する。スタッフ用端末30の制御部32は、通知情報と患者関連情報を表示部33に表示する。表示部33の例は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイである。また、スタッフ用端末30は、操作部34を有し、通知情報の受け取り確認のための操作など入力できる。なお、操作部34の例は、タッチパネルであり、表示部33ととともにタッチパネルディスプレイを構成していてもよい。
【0022】
以上の通り、既存のナースコールシステムとは別に、本発明に係るアメニティーサービスシステム100を構築しておくことで、アメニティーサービスの申し込みがあったときには専門スタッフが対応しやすくなる。これにより、医療従事者の負担を増大させることなく、患者に対して手厚いアメニティーサービスを提供することが可能となる。
【0023】
以上、本願明細書では、本発明の内容を表現するために、図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、病院内で患者に対してアメニティーサービスを提供する際に利用されるシステム及び患者端末に関する。従って、本発明は、医療業において好適に利用し得る。
【符号の説明】
【0025】
10…患者用端末 11…申込ボタン
12…呼出ボタン 13…支払ボタン
14…制御部 15…通信部
16…受付表示部 17…エラー表示部
18…コード部 20…管理サーバ
21…通信部 22…制御部
23…データベース 30…スタッフ用端末
31…通信部 32…制御部
33…表示部 34…操作部
図1
図2