(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】照明装置、空間情報取得装置及び空間情報取得方法
(51)【国際特許分類】
G03B 15/02 20210101AFI20240229BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240229BHJP
G03B 15/03 20210101ALI20240229BHJP
G03B 37/00 20210101ALI20240229BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20240229BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20240229BHJP
【FI】
G03B15/02 G
G03B15/02 H
G03B15/00 W
G03B15/03 G
G03B15/03 W
G03B37/00 A
H04N5/222 100
G03B15/05
(21)【出願番号】P 2020039679
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】514172954
【氏名又は名称】川田テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 篤史
(72)【発明者】
【氏名】山岡 千春
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-027142(JP,A)
【文献】特開2014-145646(JP,A)
【文献】特開2019-126032(JP,A)
【文献】特開2020-153687(JP,A)
【文献】特開平04-155211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/00 - 15/05
G03B 37/00
H04N 5/222
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿う光を発する複数の
第1光源と、
基台と、
前記基台に取り付けられ、前記基台から第2方向に沿って延在して
おり、少なくとも1つの撮像装置が取り付けられる支持部材と、
第3方向に沿う光を発する複数の第2光源とを備え、
前記複数の第1光源の各々は、前記第2方向に沿って見た際に、前記基台の外側に配置されており、
前記複数の
第1光源の各々は、前記第1方向が前記第2方向と0°を超えて90°未満の交差角度をなすように前記基台に取り付けられて
おり、
前記複数の第2光源の各々は、前記第3方向が前記第2方向の反対方向をなすように前記基台に取り付けられている、照明装置。
【請求項2】
前記複数の
第1光源の各々は、前記支持部材の中心軸を中心とする円周に沿う周方向において等間隔で配置されている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記複数の
第1光源の各々は、前記交差角度が可変となるように前記基台に取り付けられている、請求項1又は請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記複数の
第1光源の各々は、前記第2方向に直交しており、かつ前記支持部材の中心軸を通る径方向における前記支持部材との距離が可変となるように前記基台に取り付けられている、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の前記照明装置と、
前記支持部材に取り付けられた少なくとも1つの撮影装置とを備え、
前記少なくとも1つの撮影装置には、全天球画像を取得可能に構成された全天球カメラ及び点毎に色データを有する三次元点群データを取得可能に構成されたレーザスキャナの少なくともいずれかが含まれる、空間情報取得装置。
【請求項6】
請求項5に記載の前記空間情報取得装置を用いた空間情報取得方法であって、
前記第1方向に沿う光を発する工程と、
前記光が照射された状態で、
前記少なくとも1つの撮影装置により、全天球画像及び点毎に色データを有する三次元点群データの少なくともいずれかを取得する工程とを備え、
前記第1方向は、鉛直上方に向かう方向と0°を超えて90°未満の交差角度をなしている、空間情報取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、空間情報取得装置及び空間情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2017-68160号公報)には、照明器具が記載されている。特許文献1に記載の照明器具は、支持アームと、本体部とを有している。本体部は、支持アームに取り付けられている。本体部は、光源部を有している。光源部は、支持アームの延在方向と直交している方向に沿って、光を発する。本体部には、撮影装置が取り付けられる。撮影装置は、全方位カメラ(全天球カメラともいう)である。特許文献1に記載の照明器具に撮影装置を取り付けて撮影を行うことにより、撮影対象空間が暗くても、全天球画像を取得することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の照明器具に撮影装置を取り付けて撮影を行う際、特許文献1に記載の照明器具は、支持アームの延在方向が鉛直方向に沿うように保持されるため、光源からの光は、撮影対象空間の壁面に照射されることになる。撮影対象空間が狭い場合、光源からの光は、撮影対象空間の壁面において反射されることにより、撮影対象空間の天井にも照射される。しかしながら、撮影対象空間が広い場合、撮影対象空間の壁面からの反射光が撮影対象空間の天井に十分に照射されない。その結果、撮影された全天球画像は、撮影対象空間の天井側において明るさが不足してしまう。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、撮影対象空間が広い場合であっても撮影対象空間における明るさを確保することが可能な照明装置、空間情報取得装置及び空間情報取得方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る照明装置は、第1方向に沿う光を発する複数の光源と、基台と、基台に取り付けられ、基台から第2方向に沿って延在している支持部材とを備えている。複数の光源の各々は、第1方向が第2方向と0°を超えて90°未満の交差角度をなすように基台に取り付けられている。
【0007】
上記の照明装置において、複数の光源の各々は、支持部材の中心軸を中心とする円周に沿う方向において等間隔で配置されていてもよい。
【0008】
上記の照明装置において、複数の光源の各々は、交差角度が可変となるように基台に取り付けられていてもよい。
【0009】
上記の照明装置において、複数の光源の各々は、第2方向に直交しており、かつ支持部材の中心軸を通る径方向における支持部材との距離が可変となるように基第に取り付けられていてもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る空間情報取得装置は、上記の照明装置と、支持部材に取り付けられた少なくとも1つの撮影装置とを備える。少なくとも1つの撮影装置には、全天球画像を取得可能に構成された全天球カメラ及び点毎に色データを有する三次元点群データを取得可能に構成されたレーザスキャナの少なくともいずれかが含まれる。
【0011】
本発明の一態様に係る空間情報取得方法は、第1方向に沿う光を発する工程と、光が照射された状態で、撮影装置により、全天球画像及び点毎に色データを有する三次元点群データの少なくともいずれかを取得する工程とを備える。第1方向は、鉛直上方に向かう方向と0°を超えて90°未満の交差角度をなしている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様に係る照明装置、空間情報取得装置及び空間情報取得方法によると、撮影対象空間が広い場合であっても撮影対象空間における明るさを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】実施形態に係る空間情報取得方法の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0015】
(実施形態に係る空間情報取得装置の構成)
以下に、実施形態に係る空間情報取得装置(以下「空間情報取得装置100」とする)の構成を説明する。
【0016】
図1は、空間情報取得装置100の正面図である。
図2は、空間情報取得装置100の底面図である。
図1及び
図2に示されるように、空間情報取得装置100は、照明装置10と、撮影装置20とを有している。照明装置10は、基台11と、支持部材12と、複数の第1光源13と、複数の第2光源14と、位置調整機構15と、角度調整機構16とを有している。
【0017】
基台11は、例えば、平板形状を有している。基台11は、第1主面11aと、第2主面11bとを有している。第2主面11bは、第1主面11aの反対面である。第1主面11a及び第2主面11bは、例えば、後述する第2方向DR2に直交している。基台11は、第1主面11aに直交している方向から見た場合に(以下「平面視」という)、例えば、円形形状を有している。
【0018】
図示されていないが、基台11には、貫通穴が形成されていてもよい。貫通穴は、厚さ方向に沿って基台11を貫通している。これにより、基台11の軽量化が図られている。基台11は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により形成されている。これにより、基台11の強度及び剛性を確保しつつ、基台11の軽量化が図られている。なお、基台11は、CFRP以外の材料により形成されていてもよい。基台11は、例えばアルミニウム(Al)合金により形成されていてもよい。
【0019】
支持部材12は、第1端12a(図示せず)と、第2端12bとを有している。第1端12a及び第2端12bは、支持部材12の長手方向における両端である。支持部材12は、第1端12aにおいて、基台11(より具体的には、第1主面11a)に取り付けられている。第2端12bは、第1端12aの反対側の端である。支持部材12は、中心軸Aを有している。支持部材12は、第2方向DR2に沿って延在している。
【0020】
第1光源13は、例えば、LED(Light Emitting Diode)ライトである。但し、第1光源13は、これに限られるものではない。第1光源13は、発光面13aと、背面13bとを有している。第1光源13は、発光面13aから第1方向DR1に沿う光を発する。発光面13aは、支持部材12とは反対側を向いている。第1方向DR1は、第2方向DR2と交差角度θをなしている。交差角度θは、0℃を超えて90℃未満である。第2方向DR2が鉛直上方に向かう方向に一致している場合、第1方向DR1は、空間情報取得装置100から離れるにつれて鉛直上方に向かうように水平方向に対して傾斜する。
【0021】
第1光源13の数は、4であることが好ましい。この場合、均一な照明が可能になるととともに、消費電力の増大を抑えることができる。但し、第1光源13の数は、2つ又は3つであってもよく、5つ以上であってもよい。平面視において中心軸Aを中心とする円周に沿う方向を、周方向とする。第1光源13は、平面視において、円周方向に沿って等間隔で配置されていることが好ましい。
【0022】
第2光源14は、例えば、LEDライトである。但し、第2光源14は、これに限られるものではない。第2光源14の数は、例えば、第1光源13の数に等しい。第2光源14は、発光面14aと、背面14bとを有している。
【0023】
第2光源14は、発光面14aから第3方向DR3に沿う光を発する。第3方向DR3は、第2方向DR2の反対方向である。このことを別の観点から言えば、第3方向DR3は、第2端12bから第1端12aに向かう方向である。第2方向DR2が鉛直上方に向かう方向に一致している場合、第3方向DR3は、鉛直下方に向かっている。第2光源14は、背面14bが背面13bと対向するように配置されている。第2光源14は、位置調整機構15により基台11に取り付けられている。なお、第2光源14は、発光面14aから発せられる光の方向が可変となるように取り付けられていてもよい。
【0024】
位置調整機構15は、径方向における基台11と第2光源14との間の距離を調整可能に構成されている。径方向は、第2方向DR2(第3方向DR3)に直交し、かつ中心軸Aを通る方向である。位置調整機構15は、例えば、軸15aと、台座15bとを有している。
【0025】
軸15aは、一方端側において第2光源14に取り付けられている。台座15bは、基台11(より具体的には、第2主面11b)に取り付けられている。軸15aは、他方端側において台座15bに径方向に沿ってスライド可能に保持されている。軸15aを径方向に沿ってスライドさせることにより、位置調整機構15は、径方向における支持部材12と第2光源14との間の距離を調整できる。
【0026】
なお、位置調整機構15により径方向における支持部材12と第2光源14との間の距離が調整される結果、径方向における支持部材12と第1光源13との間の距離も調整される。後述のように、支持部材12には撮影装置20が取り付けられるため、径方向における支持部材12と第1光源13との間の距離が調整される結果、径方向における撮影装置20と第1光源13との間の距離が調整される。
【0027】
第1光源13は、角度調整機構16により第2光源14に取り付けられている。すなわち、第1光源13は、第2光源14、位置調整機構15及び角度調整機構16を介して、基台11に取り付けられている。
【0028】
角度調整機構16は、交差角度θを調整可能に構成されている。角度調整機構16は、例えば、板部材16aと、ネジ16bと、ネジ16cとを有している。板部材16aは、一方端側においてネジ16bにより第2光源14に取り付けられており、他方端側においてネジ16cにより第1光源13に取り付けられている。
【0029】
ネジ16bが緩められることにより板部材16aがネジ16b周りに回転可能になるとともに、ネジ16cが緩められることにより第1光源13がネジ16c周りに回転可能になる。このようにして、角度調整機構16は、交差角度θを調整できる。
【0030】
撮影装置20は、第2端12bに取り付けられている。撮影装置20は、第2方向DR2において、第1光源13よりも基台11から離れた位置にある。撮影装置20には、レーザスキャナ21及び全天球カメラ22が含まれている。但し、撮影装置20には、レーザスキャナ21及び全天球カメラ22のいずれか一方が含まれていなくてもよい。全天球カメラ22は、第2方向DR2においてレーザスキャナ21よりも基台11から離れた位置にある。
【0031】
レーザスキャナ21は、撮影対象空間の形状を示す三次元点群データを取得可能に構成されている。この三次元点群データは、点毎に、X方向位置、Y方向位置及びZ方向位置に関する位置データ並びに色データを有している。全天球カメラ22は、撮影対象空間の全天球画像を取得可能に構成されている。
【0032】
(実施形態に係る空間情報取得方法)
以下に、実施形態に係る空間情報取得方法を説明する。
【0033】
図3は、実施形態に係る空間情報取得方法の工程図である。
図3に示されるように、実施形態に係る空間情報取得方法は、準備工程S1と、照明工程S2と、空間情報取得工程S3とを有している。
【0034】
準備工程S1においては、空間情報取得装置100が準備される。また、準備工程S1においては、撮影対象空間において、第2方向DR2が鉛直上方に向かう方向に一致するように空間情報取得装置100が配置される。なお、空間情報取得装置100の配置は、例えば、三脚(図示せず)を用いて行われる。この三脚は、基台11(第2主面11b)に取り付けられる。
【0035】
照明工程S2においては、第1光源13から第1方向DR1に沿う光が発せられるとともに、第2光源14から第3方向DR3に沿う光が発せられる。上記のとおり、第2方向DR2が鉛直上方に向かう方向に一致するように空間情報取得装置100が撮影対象空間内に配置されているため、第1光源13から発せられた光は、撮影装置20から離れるにつれて鉛直情報に向かうように水平方向に対して傾斜する。また、第2方向DR2が鉛直方向に一致している結果、第2光源14から発せられた光は、鉛直下方に向かう。
【0036】
空間情報取得工程S3においては、撮影装置20(レーザスキャナ21及び全天球カメラ22)が動作される。これにより、撮影対象空間における空間情報、より具体的には、点毎に色データ及び位置データを含む三次元点群データ及び全天球画像が取得される。なお、撮影装置20により取得された三次元点群データ及び全天球画像に対しては、適宜のデータ処理が行われることにより、撮影対象空間の三次元モデリングが行われる。
【0037】
(実施形態に係る空間情報取得装置の効果)
以下に、空間情報取得装置100の効果を説明する。
【0038】
光源から発せられた光が撮影対象空間の壁面において反射されることにより撮影対象空間の天井に照射される場合、撮影対象空間が広くなると(すなわち、撮影対象空間の壁面と光源との距離が大きくなると)、撮影対象空間の天井に対する光の照射が不十分になりやすい(撮影対象空間の天井における明るさが不足しやすい)。
【0039】
しかしながら、空間情報取得装置100は、第1方向DR1に沿う光を発する第1光源13を含む照明装置10を有している。この光は、第2方向DR2が鉛直上方に向かう方向に一致していれば、撮影対象空間の壁面のみならず、撮影対象空間の天井にも直接照射される。そのため、照明装置10を有する空間情報取得装置100によると、撮影対象空間が広い場合であっても、撮影対象空間の天井における明るさを確保することができる。
【0040】
照明装置10が第3方向DR3に沿う光を発する第2光源14を有しているため、空間情報取得装置100によると、撮影対象空間の床面における明るさを確保することができる。空間情報取得装置100においては、第1光源13から発せられた光が全天球カメラ22に直接入射しにくい。そのため、照明装置10を有する空間情報取得装置によると、全天球画像にフレア、ゴースト等が発生しにくくなる。
【0041】
さらに、空間情報取得装置100においては、交差角度θ及び第1光源13と支持部材12(撮影装置20)との間の距離が調整可能になっているため、撮影対象空間にあわせて照明の状況を最適化することができる。
【0042】
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
上記の実施形態は、相応の広さがある暗所(例えば橋梁桁内の空間)を撮影対象空間とする照明装置、空間情報取得装置及び空間情報取得方法に特に有利に適用される。
【符号の説明】
【0044】
100 空間情報取得装置、10 照明装置、11 基台、11a 第1主面、11b 第2主面、12 支持部材、12a 第1端、12b 第2端、13 第1光源、13a 発光面、13b 背面、14 第2光源、14a 発光面、14b 背面、15 位置調整機構、15a 軸、15b 台座、16 角度調整機構、16a 板部材、16b ネジ、16c ネジ、20 撮影装置、21 レーザスキャナ、22 全天球カメラ、A 中心軸、S1 準備工程、S2 照明工程、S3 空間情報取得工程、DR1 第1方向、DR2 第2方向、DR3 第3方向。