(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】建材の連結作業方法
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20240229BHJP
E06B 1/60 20060101ALI20240229BHJP
E04G 21/18 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E06B1/56 B
E06B1/60
E04G21/18 C
(21)【出願番号】P 2020045443
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】山上 重雄
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-007749(JP,A)
【文献】特開2019-070285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
E04G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をあけて配設される2個の建材を、これらの建材の間に配置された建材用連結具により連結するための建材の連結作業方法であって、
前記建材用連結具は、前記2個の建材のうち、一方の建材に、この一方の建材の厚さ方向が軸方向となって配置された中心軸と、長さ方向の両端部のうち、前記一方の建材側の一端部が前記中心軸を中心に回動自在となっている少なくとも1個の連結部材と、を有して構成され、前記少なくとも1個の連結部材の長さ方向の両端部のうち、他方の建材側の他端部をこの他方の建材に結合具で結合することにより、前記2個の建材を前記建材用連結具により連結する建材の連結作業方法において、
前記少なくとも1個の連結部材の向きを、操作工具によって前記少なくとも1個の連結部材を前記中心軸を中心に回動操作することにより、前記他方の建材側への向きとするための第1作業工程と、
前記操作工具によって前記少なくとも1個の連結部材を前記他方の建材側へ押圧しながら、前記少なくとも1個の連結部材の前記他端部を前記他方の建材に前記結合具により結合するための第2作業工程と、
を含んで
おり、
前記少なくとも1個の連結部材の個数は、2個であり、前記操作工具により、前記第1作業工程では、前記2個の連結部材を前記中心軸を中心に回動操作し、前記第2作業工程では、前記2個の連結部材を前記他方の建材側へ押圧することを特徴とする建材の連結作業方法。
【請求項2】
請求項1に記載の建材の連結作業方法において、前記建材用連結具には、前記2個の連結部材を前記中心軸を中心に回動操作する以前では、前記2個の建材の間隔方向と前記一方の建材の前記厚さ方向とに直交する方向において、前記2個の連結部材を前記中心軸に対して互いに反対側に配置してこれらの連結部材を平行又は略平行とする平行機能を備えた平行手段が設けられ、前記第1作業工程において、前記操作工具によって前記2個の連結部材を前記中心軸を中心に回動操作することにより、前記平行手段の前記平行機能を消滅させることを特徴とする建材の連結作業方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の建材の連結作業方法において、前記操作工具は、2個の押圧部を備えたものとなっており、前記第1作業工程と前記第2作業工程は、前記2個の押圧部によって前記2個の連結部材を押圧することにより実施されることを特徴とする建材の連結作業方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の建材の連結作業方法において、前記中心軸の個数は、前記2個の連結部材に共通となっている1個であることを特徴とする建材の連結作業方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の建材の連結作業方法において、前記第1作業工程は、
前記2個の連結部材を、前記中心軸から前記2個の建材の間隔方向と前記一方の建材の前記厚さ方向とに直交する方向に離れた箇所において、前記一方の建材側から前記他方の建材側へ押圧することにより、
前記2個の連結部材を前記中心軸を中心に回動操作する作業工程であり、前記第2作業工程は、
前記2個の連結部材の前記箇所を前記他方の建材側へ押圧しながら、
前記2個の連結部材の前記他端部を前記他方の建材に前記結合具により結合する作業工程であり、前記第1作業工程の開始から前記第2作業工程の終了まで、前記操作工具によって
前記2個の連結部材の前記箇所を押圧し続けることを特徴とする建材の連結作業方法。
【請求項6】
請求項1~5に記載の建材の連結作業方法において、前記第2作業工程における前記結合具は、
前記2個の連結部材の前記他端部と、前記他方の建材とのうち、少なくとも前記他方の建材にねじ切り孔加工して、
前記2個の連結部材の前記他端部をこの他方の建材に結合するものとなっていることを特徴とする建材の連結作業方法。
【請求項7】
間隔をあけて配設される2個の建材を、これらの建材の間に配置された建材用連結具により連結するための建材の連結作業方法であって、
前記建材用連結具は、前記2個の建材のうち、一方の建材に、この一方の建材の厚さ方向が軸方向となって配置された中心軸と、長さ方向の両端部のうち、前記一方の建材側の一端部が前記中心軸を中心に回動自在となっている少なくとも1個の連結部材と、を有して構成され、前記少なくとも1個の連結部材の長さ方向の両端部のうち、他方の建材側の他端部をこの他方の建材に結合具で結合することにより、前記2個の建材を前記建材用連結具により連結する建材の連結作業方法において、
前記少なくとも1個の連結部材の向きを、操作工具によって前記少なくとも1個の連結部材を前記中心軸を中心に回動操作することにより、前記他方の建材側への向きとするための第1作業工程と、
前記操作工具によって前記少なくとも1個の連結部材を前記他方の建材側へ押圧しながら、前記少なくとも1個の連結部材の前記他端部を前記他方の建材に前記結合具により結合するための第2作業工程と、
を含んでおり、
前記少なくとも1個の連結部材の個数は、1個であり、前記操作工具により、前記第1作業工程では、前記1個の連結部材を前記中心軸を中心に回動操作し、前記第2作業工程では、前記1個の連結部材を前記他方の建材側へ押圧し、
前記操作工具は、2個の押圧部を備えたものとなっており、前記第1作業工程と前記第2作業工程を、前記2個の押圧部のうち、1個の押圧部によって前記1個の連結部材を押圧することにより実施することを特徴とする建材の連結作業方法。
【請求項8】
請求項7に記載の建材の連結作業方法において、前記第1作業工程は、
前記1個の連結部材を、前記中心軸から前記2個の建材の間隔方向と前記一方の建材の前記厚さ方向とに直交する方向に離れた箇所において、前記一方の建材側から前記他方の建材側へ押圧することにより、
前記1個の連結部材を前記中心軸を中心に回動操作する作業工程であり、前記第2作業工程は、
前記1個の連結部材の前記箇所を前記他方の建材側へ押圧しながら、
前記1個の連結部材の前記他端部を前記他方の建材に前記結合具により結合する作業工程であり、前記第1作業工程の開始から前記第2作業工程の終了まで、前記操作工具によって
前記1個の連結部材の前記箇所を押圧し続けることを特徴とする建材の連結作業方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の建材の連結作業方法において、前記第2作業工程における前記結合具は、
前記1個の連結部材の前記他端部と、前記他方の建材とのうち、少なくとも前記他方の建材にねじ切り孔加工して、
前記1個の連結部材の前記他端部をこの他方の建材に結合するものとなっていることを特徴とする建材の連結作業方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の建材の連結作業方法において、前記操作工具には、切り込みが形成されており、前記第1作業工程と前記第2作業工程を、前記切り込み部のなかに前記中心軸を挿入することにより実施することを特徴とする建材の連結作業方法。
【請求項11】
請求項10に記載の建材の連結作業方法において、前記中心軸は軸受け部材により支持され、この軸受け部材が前記一方の建材に結合されていることにより前記中心軸は前記一方の建材に配置され、前記第1作業工程と前記第2作業工程を、前記切り込み部のなかに前記軸受け部材も挿入することにより実施することを特徴とする建材の連結作業方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の建材の連結作業方法において、前記2個の建材は、開口枠と躯体側の建材とであることを特徴とする建材の連結作業方法。
【請求項13】
請求項12に記載の建材の連結作業方法において、前記開口枠は、内側が戸により開閉されるものとなっていることを特徴とする建材の連結作業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2個の建材を、これらの建材の間に配置された建材用連結具により、操作工具を用いて連結するための連結作業方法に係り、例えば、開き戸装置や引き戸装置等の装置側建材となっているドア枠等の開口枠を躯体に配置するために、この開口枠と躯体側建材を連結する作業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、ドア枠や、このドア枠が連結される躯体側建材等のように、間隔をあけて配設される2個の建材を、これらの建材の間に配置される建材用連結具によって連結することが示されており、この建材用連結具には、2個の建材を連結するための部材となっている連結部材の個数が2個となっている第1建材用連結具と、連結部材の個数が1個となっている第2建材用連結具とがある。第1建材用連結具は、2個の建材のうち、一方の建材に、この一方の建材の厚さ方向が軸方向となって配置された中心軸と、それぞれの長さ方向の両端部のうち、前記一方の建材側のそれぞれの一端部が中心軸を中心に回動自在となった2個の連結部材と、を有して構成されており、中心軸の個数は、特許文献1では、2個の連結部材について共通となった1個となっているが、中心軸の個数を、それぞれの連結部材について個別となった2個とすることも可能である。また、第2建材用連結具は、2個の建材のうち、一方の建材に、この一方の建材の厚さ方向が軸方向となって配置された中心軸と、長さ方向の両端部のうち、前記一方の建材側の一端部が中心軸を中心に回動自在となった1個の連結部材と、を有して構成されている。
【0003】
そして、特許文献1には、このような第1及び第2建材用連結具により2個の建材を連結するために、第1建材用連結具では、2個の建材の間隔方向と前記一方の建材の厚さ方向とに直交する方向に向いていることにより、中心軸に対して互いに反対側に配置されている2個の連結部材を中心軸を中心に回動させることにより、また、第2建材用連結具では、1個の連結部材を中心軸を中心に回動させることにより、これらの連結部材を、2個の建材のうち、他方の建材側へ向け、この後に、これらの連結部材の長さ方向の両端部のうち、前記他方の建材側の他端部をこの他方の建材に結合具により結合することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、以上のように実施される2個の建材の連結作業では、建材用連結具の構成部材となっている連結部材を、2個の建材のうち、一方の建材に配置された中心軸を中心に回動させることによって他方の建材側に向けるための作業と、連結部材を前記他方の建材に結合具により結合するための作業とを、作業性を向上させて実施できるようにすることが求められる。
【0006】
本発明の目的は、建材用連結具の連結部材を、2個の建材のうち、一方の建材に配置された中心軸を中心に回動させることによって他方の建材側に向けるための作業と、連結部材を他方の建材に結合具により結合するための作業とを、作業性を向上させて実施できるようになる建材の連結作業方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る建材の連結作業方法は、間隔をあけて配設される2個の建材を、これらの建材の間に配置された建材用連結具により連結するための建材の連結作業方法であって、前記建材用連結具は、前記2個の建材のうち、一方の建材に、この一方の建材の厚さ方向が軸方向となって配置された中心軸と、長さ方向の両端部のうち、前記一方の建材側の一端部が前記中心軸を中心に回動自在となっている少なくとも1個の連結部材と、を有して構成され、前記少なくとも1個の連結部材の長さ方向の両端部のうち、他方の建材側の他端部をこの他方の建材に結合具で結合することにより、前記2個の建材を前記建材用連結具により連結する建材の連結作業方法において、前記少なくとも1個の連結部材の向きを、操作工具によって前記少なくとも1個の連結部材を前記中心軸を中心に回動操作することにより、前記他方の建材側への向きとするための第1作業工程と、前記操作工具によって前記少なくとも1個の連結部材を前記他方の建材側へ押圧しながら、前記少なくとも1個の連結部材の前記他端部を前記他方の建材に前記結合具により結合するための第2作業工程と、を含んでいることを特徴とするものである。
【0008】
このように本発明に係る建材の連結作業方法では、前記少なくとも1個の連結部材の向きを、前記少なくとも1個の連結部材を中心軸を中心に回動操作することにより、他方の建材側への向きとするための第1作業工程と、前記少なくとも1個の連結部材を他方の建材側へ押圧しながら、前記少なくとも1個の連結部材の前記他端部を他方の建材に結合具により結合するための第2作業工程は、同じ操作工具を用いることにより行われ、このため、2個の建材を建材用連結具により連結する作業を、作業性を向上させて実施できるようになる。
【0009】
また、以上の本発明に係る建材の連結作業方法では、第2作業工程が、前記少なくとも1個の連結部材を操作工具により他方の建材側へ押圧しながら、前記少なくとも1個の連結部材の前記他端部を他方の建材に結合具により結合する作業工程となっているため、前記少なくとも1個の連結部材の前記一端部が中心軸を中心に回動自在となっていても、結合具によるこの結合作業を、前記少なくとも一方の連結部材が中心軸を中心に揺動等の微動することを防止して実施できるようになる。
【0010】
また、本発明に係る建材の連結作業方法において、前記第1作業工程を、前記少なくとも1個の連結部材を、前記中心軸から2個の建材の間隔方向と前記一方の建材の厚さ方向とに直交する方向に離れた箇所において、前記一方の建材側から前記他方の建材側へ押圧することにより、前記少なくとも1個の連結部材を前記中心軸を中心に回動操作する作業工程とするとともに、前記第2作業工程を、前記少なくとも1個の連結部材の前記箇所を他方の建材側へ押圧しながら、前記少なくとも1個の連結部材の前記他端部をこの他方の建材に前記結合具により結合する作業工程とし、そして、第1作業工程の開始から第2作業工程の終了まで、前記操作工具によって前記少なくとも1個の連結部材の前記箇所を押圧し続けるようにしてもよく、あるいは、第1作業工程と第2作業工程との間に、例えば、作業者が別の作業を行うための中断作業工程を設けてもよい。
【0011】
これらのうち、前者によると、第1作業工程の開始から第2作業工程の終了まで、操作工具により前記少なくとも1個の連結部材の前記箇所を前記他方の建材側へ押圧し続けることになるため、第1作業工程と第2作業工程とを、連続性を有する一貫した作業として実施できることになり、これによっても、これらの第1作業工程と第2作業工程についての作業を、作業性を向上させて実施できることになる。
【0012】
なお、第2作業工程において、前記少なくとも1個の連結部材の前記他端部を他方の建材に結合するための前記結合具は、前記少なくとも1個の連結部材の前記他端部と他方の建材との両方に設けられている孔に挿入されることにより、前記少なくとも1個の連結部材の前記他端部を他方の建材に結合するものでもよく、あるいは、前記少なくとも1個の連結部材の前記他端部と、他方の建材とのうち、少なくとも前記他方の建材にねじ切り孔加工して、前記少なくとも1個の連結部材の前記他端部を他方の建材に結合するものでもよい。
【0013】
これらのうち、後者によると、前記少なくとも1個の連結部材の前記他端部を、他方の建材における任意の箇所において、この他方の建材をねじ切り孔加工する前記結合具によって結合することができ、また、この結合作業時には、前記少なくとも1個の連結部材は、前記操作工具によって他方の建材側に押圧されているため、他方の建材をねじ切り孔加工しているときに、前記少なくとも一方の連結部材が中心軸を中心に揺動等の微動することを防止して、このねじ切り孔加工を実施することができる。
【0014】
また、以上の本発明に係る建材の連結作業方法において、前記少なくとも1個の連結部材の個数は、2個でもよい。このように連結部材の個数が2個となっている場合には、操作工具により、第1作業工程では、2個の連結部材を中心軸を中心に回動操作し、第2作業工程では、2個の連結部材を他方の建材側へ押圧することになる。
【0015】
また、前記少なくとも1個の連結部材の個数が2個となっている場合には、前記建材用連結具に、2個の連結部材を中心軸を中心に回動操作する以前では、2個の建材の間隔方向と前記一方の建材の前記厚さ方向とに直交する方向において、2個の連結部材を中心軸に対して互いに反対側に配置してこれらの連結部材を平行又は略平行とする平行機能を備えた平行手段が設けられていてもよく、あるいは、このような平行手段が設けられていなくてもよい。
【0016】
これらのうち、前者のように前記建材用連結具に、2個の連結部材を中心軸を中心に回動操作する以前では、2個の建材の間隔方向と前記一方の建材の厚さ方向とに直交する方向において、2個の連結部材を中心軸に対して互いに反対側に配置してこれらの連結部材を平行又は略平行とする平行機能を備えた平行手段が設けられている場合には、第1作業工程において、操作工具によって2個の連結部材を中心軸を中心に回動操作することにより、平行手段の平行機能を消滅させることになる。
【0017】
なお、建材用連結具に設けられる平行手段は、2個の連結部材を中心軸に対して互いに反対側に配置してこれらの連結部材を平行又は略平行とする平行機能を備えていて、第1作業工程において、操作工具によって2個の連結部材を中心軸を中心に回動操作することにより、平行機能が消滅可能となっているものであれば、任意の方式、構造のものでよい。その一例の平行手段は、2個の連結部材のうち、一方の連結部材に他方の連結部材側へ突出して設けられて、この他方の連結部材に当接している突片部によるものであり、この突片部を、2個の連結部材のうち、少なくとも一方の連結部材に作用させた押圧力により曲げ変形可能とし、この曲げ変形により平行機能が消滅するようにすればよい。
【0018】
また、他の例の平行手段は、2個の連結部材の間に介設された摩擦手段であり、この摩擦手段の摩擦力が平行機能となって2個の連結部材を、中心軸に対して互いに反対側に配置してこれらの連結部材を平行又は略平行とさせることができるとともに、摩擦力よりも大きい押圧力を、2個の連結部材のうち、少なくとも一方の連結部材に作用させることにより、平行機能が消滅するようにすればよい。
【0019】
さらに、他の例の平行手段は、2個の連結部材のうちの一方に形成された凹部と、他方の連結部材に形成され、凹部に係脱可能に嵌合する凸部とによる凹凸手段であり、凹部に凸部が嵌合することにより平行機能が生じて、2個の連結部材を、中心軸に対して互いに反対側に配置してこれらの連結部材を平行又は略平行とさせることができるとともに、2個の連結部材のうち、少なくとも一方の連結部材に押圧力を作用させることにより、凹部から凸部が脱出することで平行機能が消滅するようにすればよい。
【0020】
さらに、本発明に係る建材の連結作業方法において、前記少なくとも1個の連結部材の個数が2個となっている場合には、前記操作工具を、2個の押圧部を備えたものとし、第1作業工程と第2作業工程を、2個の押圧部によって2個の連結部材を押圧することにより実施するようにしてもよい。
【0021】
また、前記少なくとも1個の連結部材の個数が2個となっている場合には、前記中心軸の個数は、2個の連結部材について共通となっている1個でもよく、あるいは、2個の連結部材のそれぞれについて個別となっていて、2個の建材の間隔方向と前記一方の建材の厚さ方向とに直交する方向に並設された2個でもよい。中心軸の個数を、2個の連結部材について共通となっている1個とした場合には、中心軸が構成部材となって構成されている前記建材用連結具の部材点数を削減して、この建材用連結具の構造を簡単化することができる。
【0022】
なお、以上のように前記少なくとも1個の連結部材の個数が2個となっている場合においては、2個の連結部材は、2個の建材の間隔方向に対して互いに反対側に傾斜した向きとなって2個の建材を連結するものでもよく、あるいは、2個の建材の間隔方向とそれぞれが平行又は略平行となって2個の建材を連結するものでもよい。
【0023】
また、本発明に係る建材の連結作業方法は、前記少なくとも1個の連結部材の個数が1個である場合にも実施することができる。このように前記少なくとも1個の連結部材の個数が1個である場合には、操作工具により、前記第1作業工程では、1個の連結部材を中心軸を中心に回動操作し、第2作業工程では、1個の連結部材を前記他方の建材側へ押圧することになる。
【0024】
そして、このように前記少なくとも1個の連結部材の個数が1個である場合において、操作工具を、2個の押圧部を備えたものし、第1作業工程と第2作業工程を、2個の押圧部のうち、1個の押圧部によって1個の連結部材を押圧することにより実施してもよい。これによると、前記少なくとも1個の連結部材の個数が2個となっている建材用連結具を操作するために用いる操作工具を、前記少なくとも1個の連結部材の個数が1個となっている建材用連結具を操作するためにも用いることができるようになり、操作工具の兼用化を図ることができる。
【0025】
なお、前記少なくとも1個の連結部材の個数が1個である場合においては、1個の連結部材は、2個の建材の間隔方向に対して傾斜した向きとなって2個の建材を連結するものでもよく、あるいは、2個の建材の間隔方向と平行又は略平行となって2個の建材を連結するものでもよい。
【0026】
また、前記少なくとも1個の連結部材の個数が2個である場合でも、また、前記少なくとも1個の連結部材の個数が1個である場合でも、本発明に係る建材の連結作業方法を実施するために用いる前記操作工具に切り込みを形成し、第1作業工程と第2作業工程を、切り込み部のなかに中心軸を挿入することによって実施してもよい。これによると、第1作業工程と第2作業工程を、中心軸の影響を受けずに又は殆ど受けずに容易に実施することができる。
【0027】
また、中心軸が軸受け部材により支持され、この軸受け部材が前記一方の建材に結合されていることにより、中心軸が前記一方の建材に配置されている場合には、第1作業工程と第2作業工程を、操作工具に形成されている前記切り込みのなかに軸受け部材も挿入することによって実施してもよい。これによると、第1作業工程と第2作業工程を、軸受け部材の影響も受けずに又は殆ど受けずに容易に実施することができる。
【0028】
以上説明した本発明に係る建材の連結作業方法は、建材用連結具によって連結される任意の2個の建材に実施することができる。これらの建材の一例は、壁等の躯体側の建材と、この建材と左右方向に対向して配置される開口枠とであり、この開口枠は、開き戸装置のためのドア枠でもよく、引き戸装置のためのドア枠でもよく、壁に形成される通行用開口部のための開口枠でもよく、また、2個の建材のうち、1個の建材は、通常時は開いている防火扉を収納するために壁に設けられる戸袋等でもよい。また、本発明に係る建材の連結作業方法は、建物の中間柱を含む柱や、梁、横桟、面材等の2個の建材を連結するためにも用いることができ、適用する建材は任意である。
【0029】
さらに、本発明に係る建材の連結作業方法は、建物等の構造物に新設される建材に適用できるとともに、改修される建材にも適用することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、建材用連結具の連結部材を、2個の建材のうち、一方の建材に配置された中心軸を中心に回動させることによって他方の建材側に向けるための作業と、連結部材を他方の建材に結合具により結合するための作業とを、作業性を向上させて実施できるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る建材の連結作業方法のための建材用連結具が適用されている開き戸装置の全体正面図である。
【
図2】
図2は、開き戸装置側の建材となっているドア枠を示す全体正面図である。
【
図3】
図3は、連結部材の個数が2個となっている第1建材用連結具と、連結部材の個数が1個となっている第2建材用連結具とにより、ドア枠と、躯体側の建材となっている補強部材に取り付けられた補助部材とが連結されている構造を示す全体正面図である。
【
図5】
図5は、
図3で示されている第1建材用連結具の全体を、
図3及び
図4で示されている補助部材を含めて示した斜視図である。
【
図7】
図7は、第1建材用連結具及び第2建材用連結具の構成部材となっている第1連結部材を示し、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は底面図、(D)は背面図である。
【
図8】
図8は、荷重が作用したときの第1連結部材を示し、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は底面図である。
【
図9】
図9は、第1建材用連結具の構成部材となっている第2連結部材を示し、(A)は側面図、(B)は背面図である。
【
図10】
図10は、
図5及び
図6で示されている第1建材用連結具の2個の連結部材となっている第1連結部材と第2連結部材が平行又は略平行となっているときの状態を実線で示した正面図である。
【
図11】
図11は、第1連結部材と第2連結部材が
図10の実線で示した状態になっているときにおける第1建材用連結具を示す側面図である。
【
図13】
図13は、連結部材の個数が第1連結部材だけの1個となっている第2建材用連結具について示す
図12と同様の図である。
【
図14】
図14は、第1建材用連結具の第1連結部材と第2連結部材が
図5及び
図6で示されているくの字状となることにより第1建材用連結具が折り曲げ操作されたときの状態を示す側面図である。
【
図16】
図16は、第1建材用連結具の第1連結部材及び第2連結部材が
図4の補強部材に取り付けられた補助部材に結合具で結合される以前の状態を示す
図4と同様図である。
【
図17】
図17は、第1建材用連結具の第1連結部材及び第2連結部材を二点鎖線で示した補助部材に結合具で結合したときの状態を示す
図14と同様の図である。
【
図19】
図19は、
図17及び
図18の状態のときに第1建材用連結具の第1連結部材が被係止部材となっている中心軸に係止していることを示す拡大断面図である。
【
図20】
図20は、第1建材用連結具の第1連結部材及び第2連結部材を補強部材に取り付けられた補助部材に、中心軸の軸方向における同じ側に配置された結合具により結合したときの状態を示す
図17と同様の図である。
【
図22】
図22は、本発明の一実施形態に係る建材の連結作業方法で用いられる操作工具を示す斜視図である。
【
図26】
図26は、操作工具により第1建材用連結具を折り曲げ操作するための作業を行うときにおける第1作業ステップを示す斜視図である。
【
図27】
図27は、第1作業ステップの次の第2作業ステップを示す斜視図である。
【
図29】
図29は、第2作業ステップの次の第3作業ステップを示す斜視図である。
【
図31】
図31は、第3作業ステップの次に第1建材用連結具の第1及び第2連結部材の補助部材側の端部を結合具であるドリルねじにより補助部材に結合する際に、操作工具の押圧部となっている先部により第1及び第2連結部材を補助部材側に押圧することを示す
図6と同様の図である。
【
図32】
図32は、連結部材の個数が第1連結部材だけの1個となっている第2建材用連結具について示す
図31と同様の図である。
【
図34】
図34は、別実施形態に係る第1連結部材を示し、(A)は側面図、(B)は背面図である。
【
図35】
図35は、
図34の第1連結部材を
図4の補強部材に取り付けられた補助部材に結合具で結合するための荷重がこの第1連結部材に作用したときを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。はじめに、
図22~
図32で示されている操作工具60によって操作されることにより2個の建材を連結する建材用連結具について、
図1~
図21によって説明する。
【0033】
図1には、開き戸装置の全体正面図が示され、この開き戸装置は、開き戸1がドア枠2にヒンジ3を中心に回動自在に取り付けられて構成され、ドア枠2は、建物躯体である壁4に形成された開口部4Aの内側に配置されている。
図2には、開き戸1が取り付けられる以前のドア枠2が示されている。この
図2に示されているように、ドア枠2は、内側が開き戸1により開閉される出入口11となっている開口枠であり、本実施形態のドア枠2は四方枠となっているため、このドア枠2は、左右の側枠部材2A,2Bと、上枠部材2Cと、沓摺部材である下枠部材2Dとからなり、これらの枠部材2A,2B,2C,2Dは予め工場で溶接接合されて、開き装置が設置される建物等の構築物の建築現場に搬送されるものとなっている。
【0034】
なお、ドア枠2は、下枠部材2Dが存在しない三方枠でもよい。
【0035】
図3には、
図1及び
図2で示されている壁4へのドア枠2の配置状態が示されており、
図4は、
図3のS4-S4線断面である。
図1及び
図2で示されている壁4は、
図4に示されているように、芯部材5の表裏両面に石膏ボード等の面材6を止着することにより形成され、建物躯体となっているこの壁4に設けられた
図1及び
図2の開口部4Aの内側にドア枠2が配置されている。
図3には、壁4の内部に多数設けられている芯部材5のうち、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bと左右方向に対向する箇所において、縦方向が長さ方向となって配置されている芯部材5A,5Bと、ドア枠2の上枠部材2Cと上下方向に対向する箇所において、左右方向が長さ方向となって配置されている芯部材5Cとが示されている。
【0036】
壁4の開口部4Aの内側にドア枠2を配置する作業を行う以前において、芯部材5A,5B,5Cには、
図3及び
図4で示す補強部材7が予め結合されており、また、これらの補強部材7ごとに補助部材8が
図4の止着具9により取り付けられている。
【0037】
以上において、芯部材5、補強部材7及び補助部材8は、建物躯体となっている壁4側の部材となっているため、これらの芯部材5、補強部材7及び補助部材8は、躯体側建材である。これに対して開き戸1及びドア枠2は、壁4に設置される開き戸装置側の部材であるため、これらの開き戸1及びドア枠2は、開き戸装置側建材となっている。
【0038】
図3には、壁4の開口部4Aの内側にドア枠2を配置する作業を行った後に、ドア枠2を建材用連結具20により補強部材7に補助部材8を介して連結している状態が示されている。このようにドア枠2を補強部材7に補助部材8を介して連結するための建材用連結具20は、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bと上枠部材2Cのそれぞれについて、複数個設けられている。この建材用連結具20には、第1連結部材21と第2連結部材22とが用いられて構成された複数個の第1建材用連結具20Aと、第1連結部材21は用いられているが、第2連結部材22は用いられていない2個の第2建材用連結具20Bとがある。複数個の第1建材用連結具20Aのそれぞれは、同一形状及び同一構造のものとなっているため、
図5及び
図6には、
図3で示されている複数個の第1建材用連結具20Aのうち、
図4で示されているドア枠2の側枠部材2Aに配置されていて、この側枠部材2Aと、前述の芯部材5Aに結合された補強部材7に取り付けられている補助部材8とを連結している第1建材用連結具20Aが代表例として示されており、これらの
図5及び
図6では、側枠部材2Aは省略されている。
【0039】
なお、
図3で2個示されている第2建材用連結具20Bも、同一形状及び同一構造のものとなっていて、これらの第2建材用連結具20Bは、
図3に示されているように、左右の側枠部材2A,2Bに複数個が上下方向に配置されている第1建材用連結具20Aよりも下側に配置されている。
【0040】
図5には、第1建材用連結具20Aの斜視図が補助部材8を含めて示され、
図6は、
図5の正面図である。第1建材用連結具20Aは、
図4にも示されているように、ハット形状に形成された軸受け部材23と、ドア枠2の厚さ方向が軸方向Nとなっていて、この軸方向Nの両端部が抜け止め部24Aとなって抜け止めされながら軸受け部材23に支持されている中心軸24と、前述の第1連結部材21と、第2連結部材22とにより構成されている。
図4に示されているように、第1及び第2連結部材21,22のそれぞれの長さ方向の両端部となっている壁4側の端部とドア枠2側の端部とのうち、ドア枠2側の一端部には、中心軸24が第1及び第2連結部材21,22に共通の挿通部材となって挿通されている。また、中心軸24を中心に回動自在となっている第1連結部材21の長さ方向の両端部のうち、壁4側の他端部は、ドリルねじによる結合具25により補助部材8に結合され、また、中心軸24を中心に回動自在となっている第2連結部材22の長さ方向の両端部のうち、壁4側の他端部部は、ドリルねじによる結合具34により補助部材8に結合されている。
【0041】
上述したように軸受け部材23はハット形状に形成されているため、
図4に示されているように、この軸受け部材23は、ドア枠2の厚さ方向両側の端部部分23Aと、これらの端部部分23Aにおけるドア枠2の厚さ方向内側の端部からドア枠2の内部方向に平行又は略平行に延出している2個の延出部23Bと、これらの延出部23Bの先端同士を接続している接続部23Cとを有するものとなっている。2個の延出部23Bに、第1及び第2連結部材21,22に共通の挿通軸となって挿通された中心軸24が架け渡されることにより、軸受け部材23によって中心軸24が支持され、また、ドア枠2の厚さ方向両側の端部部分23Aがドア枠2に溶接等で結合されることにより、第1建材用連結具20Aは、予めユニットとして組み立てられた組立体としてドア枠2に取り付けられており、また、中心軸24は、軸受け部材23を介してドア枠2に配置されている。
【0042】
図7には第1連結部材21が示され、
図7(A)(B)(C)(D)は、この第1連結部材21の平面図、側面図、底面図、背面図である。金属板の打ち抜き及び折り曲げ品である第1連結部材21には、中心軸24の軸方向Nに離れている2個の連結部26が互いに対向して設けられ、これらの連結部26における中心軸24の軸方向Nと直交する側の第1連結部材21全体の厚さ方向の端部同士の間には、架け渡し部27が架け渡されているため、2個の連結部26は、中心軸24の軸方向Nを幅方向とする架け渡し部27により結合されている。また、それぞれの連結部26は、中心軸24の軸方向Nと直交しかつ第1連結部材21全体の厚さ方向とも直交する方向の長さ寸法を有し、この長さ寸法は、長さ方向の両端部26A,26Bが、ドア枠2と、壁4の躯体となっている補助部材8とに達する寸法となっている。
【0043】
また、それぞれの連結部26の長さ方向の両端部26A,26Bのうち、補助部材8側の端部26Aには、
図7(A)(C)に示されているように、中心軸24の軸方向Nに対して第1連結部材21の外側への傾斜角度となっているねじり角度αが設けられ、このねじり角度αは、2個の連結部26について互いに逆の向きのねじり角度となっており、また、ドア枠2側の端部26Bには、
図7(A)(C)に示されているように、このようなねじり角度は設けられていない。そして、補助部材8側の端部26Aとドア枠2側の端部26Bとの間は、ねじり角度αを少しずつ消滅するための中間部26Cとなっている。ドア枠2側の端部26Bには、中心軸24を挿通させるための挿通部として大径の第1孔28が設けられているとともに、補助部材8側の端部26Aには、
図4で示した結合具25を挿入するための小径の第2孔29が設けられており、この第2孔29が設けられている補助部材8側の端部26Aは、結合具25により補助部材8に結合される第1連結部材21における結合部となっている。また、それぞれの連結部26には、上述のねじり角度αが存在している補助部材8側の端部26Aの範囲において、
図20及び
図21で後述するタッピングビスとなっている結合具50を挿入するための第3孔30も設けられている。
【0044】
さらに、架け渡し部27には長孔31が設けられ、連結部26の長さ方向に長くなっているこの長孔31は、架け渡し部27の強度を低下させるためにこの架け渡し部27に形成された強度低下部となっている。
【0045】
以上のように第1連結部材21は、2個の連結部26と、これらの連結部26に架け渡された架け渡し部27とにより形成された全体形状が略コの字状のものとなっているが、2個の連結部26におけるそれぞれの補助部材8側の端部26Aでの形状は、上述したねじり角度αのために、第1連結部材21の外側へ開いた、これを言い換えると、中心軸24の軸方向Nの外側へ開いたハの字状となっている。
【0046】
図8には、
図4の結合具25により連結部26の補助部材8側の端部26Aを補助部材8に結合するために、それぞれの補助部材8側の端部26Aに、中心軸24の軸方向Nにおける互いに逆の向きの荷重Wが作用したときを示している。このような荷重Wがそれぞれの補助部材8側の端部26Aに作用すると、これらの補助部材8側の端部26Aの
図7で示したねじり角度αは減少又は消滅するとともに、架け渡し部27には、荷重Wの影響により、この架け渡し部27の厚さ方向(第1連結部材21全体の厚さ方向)のうち、第1連結部材21の外側へ突出する方向への湾曲等の変形が生じ、また、補助部材8側の端部26Aに中間部26Cを介して接続されているそれぞれのドア枠2側の端部26Bには、荷重Wの影響により、中心軸24の軸方向Nに対して第1連結部材21の内側への傾斜角度となったねじり角度βが生じ、このねじり角度βは、これらのドア枠2側の端部26Bについて、互いに逆の方向へのねじり角度となる。
【0047】
これにより、第1連結部材21の全体では、2個の連結部26におけるそれぞれのドア枠2側の端部26Bの形状が、ねじり角度βのために、第1連結部材21の内側へ閉じた逆ハの字状となる。
【0048】
なお、架け渡し部27には、この架け渡し部27の強度を低下させるための強度低下部となっている長孔31が設けられているため、荷重Wにより架け渡し部27は大きく上述したように湾曲等の変形を行いやすくなっており、このため、補助部材8側の端部26Aのねじり角度αの減少又は消滅と、ドア枠2側の端部26Bにおけるねじり角度βの発生も、一層確実に生ずるようになっている。
【0049】
図9には、第2連結部材22が示され、
図9(A)(B)は、この第2連結部材22の側面図、背面図である。第1連結部材21と同様に、金属板の打ち抜き及び折り曲げ品である第2連結部材22にも、中心軸24の軸方向Nに離れている2個の連結部35が互いに対向して設けられ、これらの連結部35における中心軸24の軸方向Nと直交する側の第2連結部材22全体の厚さ方向の端部同士の間には、架け渡し部36が架け渡されているため、2個の連結部35は、中心軸24の軸方向Nを幅方向とする架け渡し部36により結合され、これにより、第2連結部材22も、2個の連結部35と、これらの連結部35に架け渡された架け渡し部36とにより、全体形状が略コの字状のものとなっている。また、それぞれの連結部35は、中心軸24の軸方向Nと直交しかつ第2連結部材22全体の厚さ方向とも直交する方向の長さ寸法を有し、この長さ寸法は、長さ方向の両端部35A,35Bが、ドア枠2と、壁4の躯体となっている補助部材8とに達する寸法となっている。
【0050】
また、それぞれの連結部35の長さ方向の両端部35A,35Bのうち、補助部材8側の端部35Aは、ドア枠2側の端部35Bに対して第2連結部材22の内側へ少し屈曲しており、これらの端部35A,35Bのうち、ドア枠2側の端部35Bには、中心軸24を挿通させるための挿通部として大径の第1孔37が設けられているとともに、補助部材8側の端部35Aには、
図4で示した結合具34を挿入するための挿通部として小径の第2孔38が設けられているため、この第2孔38が設けられている補助部材8側の端部35Aは、結合具34により補助部材8に結合される第2連結部材22における結合部となっている。また、それぞれの連結部35には、
図20及び
図21で後述するように、タッピングビスとなっている結合具51を挿入するための第3孔39も設けられている。
【0051】
さらに、架け渡し部36における連結部35の長さ方向の両端部のうち、ドア枠2側の端部36Bには、中心軸24側へ、これを言い換えると、第1連結部材21側へ突出する突片部40が形成されている。架け渡し部36の端部36Bには、この突片部40の近接箇所において、切欠部41が設けられ、本実施形態では、この切欠部41は、突片部40の両側において、端部36Bに2個設けられている。なお、本実施形態の突片部40は、
図9(B)に示されているように、架け渡し部36から第2連結部材22の厚さ方向の内側に少し屈曲して形成されている。
【0052】
このようにして第2連結部材22に形成されている突片部40は、この突片部40に第2連結部材22全体の厚さ方向への荷重が作用したときには、この厚さ方向に曲げ変形可能となっており、この曲げ変形は、切欠部41が、突片部40の両側において、架け渡し部36の端部36Bに2個設けられていて、これらの切欠部41が、架け渡し部27における突片部40の基端部分の強度を低下させるための強度低下部となっていることにより、容易に生じ、上記荷重が小さくても突片部40を容易に曲げ変形させることができるようになっている。
【0053】
以上説明した第1連結部材21と、第2連結部材22と、軸受け部材23と、中心軸24とからなる第1建材用連結具20Aは、この第1建材用連結具20Aの正面図を示している
図10と、第1建材用連結具20Aの側面図を示している
図11とに示された構造に、
図3で示したドア枠2を製造する工場において組み立てられる。この組み立ては、第1連結部材21の連結部26に設けられた第1孔28と、第2連結部材22の連結部35に設けられた第1孔37とに、中心軸24を共通の挿通部材として挿通するとともに、この中心軸24を、ハット形状となっている軸受け部材23の
図4でも示されている2個の延出部23Bに形成された孔にも挿通し、中心軸24の両端部を軸受け部材23からの抜け止め部24Aとする加工等によって行われる。そして、軸受け部材23におけるドア枠2の厚さ方向両側の端部部分23Aがドア枠2に溶接等で結合されることにより、第1建材用連結具20Aは、工場においてドア枠2に取り付けられる。
【0054】
なお、本実施形態に係る中心軸24は、表面にねじ山とねじ溝による凹凸が軸方向に交互に多数形成されている雄ねじ棒である。
【0055】
図11のS12-S12線断面図である
図12には、上述のように第1連結部材21と第2連結部材22と軸受け部材23と中心軸24とにより組み立てられた第1建材用連結具20Aの断面図が示されている。工場で組み立てられた第1建材用連結具20Aでは、第2連結部材22に形成されている突片部40が、第1連結部材21に設けられている架け渡し部27の裏面27Aに当接している。このため、中心軸24が共通の挿通部材となっている第1連結部材21と第2連結部材22は、中心軸24で連結されたものとなっているとともに、これらの第1連結部材21と第2連結部材22は、中心軸24に対して互いに反対側に配置されて平行又は略平行となっている。
【0056】
このため、突片部40は、第1連結部材21と第2連結部材22を、中心軸24に対して互いに反対側に配置して、これらの第1連結部材21と第2連結部材22を平行又は略平行とさせるための平行手段45を構成するものとなっている。また、第1建材用連結具20Aが、後述するように、
図3で示されているドア枠2と、壁側の建材となっている補助部材8との間のすき間に挿入されるときには、この平行手段45の平行機能により、第1連結部材21と第2連結部材22を、2個の建材となっているドア枠2と補助部材8との間の間隔の方向と、これらのドア枠2と補助部材8のうち、一方の建材となっているドア枠2の厚さ方向(
図1及び
図2、
図4で示した壁4の厚さ方向でもある。)とに直交する方向(ドア枠2の側枠部材2A,2Bに配置される第1建材用連結具20Aでは上下方向、ドア枠2の上枠部材2Cに配置される第1建材用連結具20Aでは左右方向)に並ばせながら平行又は略平行とさせることができるようになっている。このため、第1建材用連結具20Aによってドア枠2と壁4の補助部材8とが連結される以前では、第1連結部材21と第2連結部材22の全体又は略全体は、平行手段45の平行機能により、
図12から分かるように、ドア枠2の側枠部材2Aの左右方向の幅寸法や、上枠部材2Cの上下方向の幅寸法内に収納されている。
【0057】
なお、
図12において、第1連結部材21の全体の重心位置が中心軸24から側枠部材2Aの幅方向の内側へずれている場合には、第1連結部材21は、二点鎖線で示されているように中心軸24を中心に
図12において時計方向へ回動するが、この回動は、第1連結部材21の架け渡し部27が軸受け部材23の前述した接続部23Cに当接することによって停止するため、第1連結部材21の全体又は略全体が、側枠部材2Aの左右方向の幅寸法内に収納された状態となる。また、ドア枠2の上枠部材2Cに取り付けられた第1建材用連結具20Aについては、第1連結部材21の全体重量による中心軸24回りの重量モーメントが、第2連結部材22の全体重量による中心軸24回りの重量モーメントよりも小さい場合には、第1及び第2連結部材21,22のそれぞれの架け渡し部27,36が軸受け部材23の接続部23Cに当接することにより、第1及び第2連結部材21,22のそれぞれの全体又は略全体は、上枠部材2Cの上下方向の幅寸法内に収納された状態となる。また、第1連結部材21の全体重量による中心軸24回りの重量モーメントが、第2連結部材22の全体重量による中心軸24回りの重量モーメントよりも大きい場合には、第1連結部材21の架け渡し部27が軸受け部材23の接続部23Cに当接し、これによっても第1及び第2連結部材21,22のそれぞれの全体又は略全体は、上枠部材2Cの上下方向の幅寸法内に収納された状態となる。
【0058】
以上の第1建材用連結具20Aは、前述したようにドア枠2を製造した工場において、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2B及び上枠部材2Cに軸受け部材23の前記端部部分23Aが溶接等で結合されることにより、ドア枠2に取り付けられる。また、
図3で示した第2建材用連結具20Bは、第1連結部材21と軸受け部材23と中心軸24とからなり、したがって、第2建材用連結具20Bは、第1建材用連結具20Aから第2連結部材22を取り除いたものと同じ構造になっている。このようなこの第2建材用連結具20Bも、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bに軸受け部材23の前記端部部分23Aが溶接等で結合されることにより、工場でドア枠2に取り付けられる。
【0059】
第1建材用連結具20Aと第2建材用連結具20Bが工場で取り付けられたドア枠2は、
図1の開き戸装置が施工設置される作業現場に運ばれ、この後に、
図2の壁4の
図4で示した面材6が芯部材5に取り付けられる以前において、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bと、
図2の壁4を構成するために
図3の芯部材5A,5Bに結合された補強部材7に取り付けられている補助部材8との間の左右方向の間隔に、側枠部材2A,2Bに取り付けられている第1建材用連結具20A及び第2建材用連結具20Bを挿入するとともに、ドア枠2の上枠部材2Cと、
図3の芯部材5Cに結合された補強部材7に取り付けられている補助部材8との間の上下方向の間隔に、上枠部材2Cに取り付けられている第1建材用連結具20Aを挿入し、これにより、ドア枠2及び第1及び第2建材用連結具20A,20Bを
図1及び
図2に示されている壁4の開口部4Aの内側に配置する。なお、補強部材7に補助部材8を取り付ける作業は、以上のようにしてドア枠2及び第1及び第2建材用連結具20A,20Bを壁4の開口部4Aの内側に配置するための作業を行う直前において行われる。
【0060】
本実施形態では、以上のようにドア枠2及び第1及び第2建材用連結具20A,20Bを壁4の開口部4Aの内側に配置する作業を行う際において、第1建材用連結具20Aの第1連結部材21と第2連結部材22が中心軸24を中心に回動自在となっていても、ドア枠2の側枠部材2A,2Bと、芯部材5A,5Bに結合された補強部材7に取り付けられている補助部材8との間の左右方向の間隔に挿入される第1建材用連結具20Aについては、前述したように平行手段45の平行機能により、又は第1連結部材21の架け渡し部27が軸受け部材23の接続部23Cに当接することにより、第1連結部材21と第2連結部材22とを、側枠部材2A,2Bと補助部材8との間の間隔である左右方向と、ドア枠2の厚さ方向とに直交する方向となっている上下方向において、中心軸24に対して互いに反対側に配置して平行又は略平行とさせ、これにより、これらの第1及び第2連結部材21,22の全体又は略全体を側枠部材2Aの左右方向の幅寸法内に収納された状態にできる。また、ドア枠2の上枠部材2Cと、芯部材5Cに結合された補強部材7に取り付けられている補助部材8との間の上下方向の間隔に挿入される第1建材用連結具20Aについては、平行手段45の平行機能により、又は第1及び第2連結部材21,22の架け渡し部27,36が軸受け部材23の接続部23Cに当接することにより、第1連結部材21と第2連結部材22とを、上枠部材2Cと補助部材8との間の間隔の方向である上下方向と、ドア枠2の厚さ方向とに直交する方向となっている左右方向において、中心軸24に対して互いに反対側に配置して平行又は略平行とさせ、これにより、これらの第1及び第2連結部材21,22の全体又は略全体を上枠部材2Cの上下方向の幅寸法内に収納された状態にできる。
【0061】
また、ドア枠2の側枠部材2A,2Bと、芯部材5A,5Bに結合された補強部材7に取り付けられている補助部材8との間の左右方向の間隔に挿入される第2建材用連結具20Bについては、
図13に示されているように、第1連結部材21の架け渡し部27を軸受け部材23の接続部23Cに当接させることにより、この第1連結部材21の全体又は略全体を側枠部材2Aの左右方向の幅寸法内に収納された状態にできる。
【0062】
このため、上述したように第1建材用連結具20Aの第1連結部材21と第2連結部材22が中心軸24を中心に回動自在となっていて、側枠部材2A,2Bと補助部材8との間の左右方向の間隔や、上枠部材2Cと補助部材8との間の上下方向の間隔が小さくなっていても、これらの間隔にドア枠2に取り付けられた第1建材用連結具20Aを有効に挿入することができるとともに、第2建材用連結具20Bの第1連結部材21が中心軸24を中心に回動自在となっていて、側枠部材2A,2Bと補助部材8との左右方向の間隔が小さくなっていても、この間隔にドア枠2に取り付けられた第2建材用連結具20Bを有効に挿入することができ、この挿入作業を、少ない作業者により作業性を向上させて容易かつ短時間で終了することができる。
【0063】
上述したようにして複数個の第1建材用連結具20Aを側枠部材2A,2Bと補助部材8との間の左右方向の間隔及び上枠部材2Cと補助部材8との間の上下方向の間隔に挿入するとともに、第2建材用連結具20Bを側枠部材2A,2Bと補助部材8との間の左右方向の間隔に挿入した後に、作業者は、
図22~
図25で示されている本発明の一実施形態に係る操作工具60を用いることによって、それぞれの第1建材用連結具20Aについて、中心軸24に対して互いに反対側に配置されて平行又は略平行となっていた第1連結部材21と第2連結部材22を中心軸24を中心に回動させることにより、
図14のS15-S15線断面図である
図15に示されているように、第1建材用連結具20Aをくの字状に折り曲げ操作する作業を行う。この折り曲げ操作作業は、中心軸24を中心とする第1連結部材21と第2連結部材22とがなす角度を、
図12のときの角度よりも小さくすることにより、第1連結部材21と第2連結部材22のそれぞれの向きを壁4の補助部材8側に向ける作業であり、折り曲げ操作作業により、第1連結部材21と第2連結部材22のそれぞれの先端部は、壁4側の建材となっている補助部材8が取り付けられている前述の補強部材7に当接する。
【0064】
なお、操作工具60を用いて第1建材用連結具20Aをくの字状に折り曲げ操作する作業については、後述する。また、第2建材用連結具20Bの第1連結部材21も操作工具60を用いる後述の作業により、中心軸24を中心に回動操作され、この第1連結部材21の向きも、壁4の補助部材8側に向けられることになり(
図32を参照)、この回動操作により、第2建材用連結具20Bの第1連結部材21の先端部も、補助部材8が取り付けられている補強部材7に当接する。
【0065】
第1建材用連結具20Aが、
図15に示されているくの字状に折り曲げ操作されるときには、この
図15に示されているように、第2連結部材22に設けられていて、第1連結部材21の架け渡し部27の裏面27Aに当接していた突片部40は、操作工具60による折り曲げ操作作業による荷重により、第2連結部材22の架け渡し部36との接続箇所から曲がり変形し、これにより、前述した平行手段45の平行機能が消滅する。このため、複数個の第1建材用連結具20Aのうち、側枠部材2A,2Bと補助部材8との間の間隔に挿入されている第1建材用連結具20Aについては、第1連結部材21と第2連結部材22とを、
図10の二点鎖線で示されている第1連結部材21と第2連結部材22から分かるように、側枠部材2A,2Bと補強部材7との間の間隔の方向である左右方向Mに対する傾き角度θ1,θ2が互いに逆の向きの同じ又は略同じ大きさの角度となるように中心軸24を中心に回動させることにより、これらの第1及び第2連結部材21,22における2個の連結部26,35の
図7及び
図9で示した補助部材8側の端部26A同士の間及び端部35A同士の間に補助部材8に挿入することができる(
図16を参照)。また、上枠部材2Cと補助部材8との間の間隔に挿入された第1建材用連結具20Aについては、第1連結部材21と第2連結部材22とを、上枠部材2Cと補強部材7との間の間隔の方向である上下方向に対する傾き角度が互いに逆の向きの角度となるように中心軸24を中心に回動させて、これらの第1及び第2連結部材21,22における2個の連結部26,35の補助部材8側の端部26A同士の間及び端部35A同士の間に補助部材8に挿入することができる。
【0066】
このため、それぞれの第1建材用連結具20Aにおいて、第1連結部材21は、側枠部材2A,2Bと補助部材8との間の間隔の方向や、上枠部材2Cと補助部材8との間の間隔の方向に対して傾き角度をなすとともに、第2連結部材22は、側枠部材2A,2Bと補助部材8との間の間隔の方向や、上枠部材2Cと補助部材8との間の間隔の方向に対する傾き角度が、第1連結部材の傾き角度とは逆向きの傾き角度をなすことになる。
【0067】
なお、これらの第1建材用連結具20Aにおいて、前述したように第2連結部材22には、この第2連結部材22に設けられている突片部40の両側において、強度低下部となっている切欠部41が2個形成されているため、突片部40を、第2連結部材22の架け渡し部36との接続箇所から曲げ変形させるための上述の回動作業の荷重が小さくても、作業者は、突片部40をより確実に曲げ変形させることができる。
【0068】
また、本実施形態では、第1建材用連結具20Aの構成部材となっている中心軸24は、この第1建材用連結具20Aの第1連結部材21と第2連結部材22とを回動自在とするために、これらの第1連結部材21と第2連結部材22とに共通して挿通された挿通部材となっているため、これらの第1連結部材21と第2連結部材22を回動自在とする中心軸を、これらの第1連結部材21と第2連結部材22のそれぞれに個別に設けた場合と比較すると、第1建材用連結具20Aを構成する部材点数の削減を図ることができ、これにより、第1建材用連結具20Aの構造の簡単化及び製造コストの低減を達成できる。
【0069】
図16には、上述したように第1建材用連結具20Aの第1及び第2連結部材21,22における2個の連結部26,35の補助部材8側の端部26A同士の間及び端部35A同士の間に補助部材8が挿入された状態が示されている。
【0070】
また、作業者は、
図3に示されているように、ドア枠2の左右の側枠部材2A,2Bの最下部に配置されている2個の第2建材用連結具20Bのそれぞれについて、前述したように操作工具60を用いる作業により、この第2建材用連結具20Bの1個の連結部材となっている第1連結部材21を中心軸24を中心に回動させて、この第1連結部材21についての前述した左右方向Mに対する傾き角度を、第1建材用連結具20Aの第1連結部材21についての傾き角度θ1と同じ又は略同じにし、この第1連結部材21の2個の連結部26の補助部材8側の端部26A同士の間に補助部材8を挿入する。
【0071】
以上の作業を行ったときには、
図16から分かるように、第1及び第2建材用連結具20A,20Bにおける中心軸24の軸方向の両側部分と、中心軸24を支持している軸受け部材23の前述した2個の延出部23Bとの間には、中心軸24の軸方向のすき間が設けられているため、ドア枠2は、これらのすき間分だけ中心軸24の軸方向に移動可能となっている。このため、作業者は、ドア枠2を、第1及び第2建材用連結具20A,20Bに対し中心軸24に案内させてドア枠2の厚さ方向に移動させることにより、このドア枠2を、壁4側の建材となっている補助部材8に対してドア枠2の厚さ方向の所定の位置に配置する作業を行うことができる。
【0072】
なお、前述したように、第1建材用連結具20Aの第1及び第2連結部材21,22における2個の連結部26,35の補助部材8側の端部26A同士の間及び端部35A同士の間と、第2建材用連結具20Bの第1連結部材21における2個の連結部26の補助部材8側の端部26A同士の間とに、補助部材8を挿入する作業を行う際に、この補助部材8が、補助部材8の長さ方向に正確に直線状となっておらず、補助部材8の長さ方向と直交する補助部材8の幅方向(ドア枠2の厚さ方向)に多少変形していても、この変形を、第1及び第2建材用連結具20A,20Bを中心軸24の軸方向に移動させることによって吸収しながら、上述の補助部材8の挿入作業を実施することができる。
【0073】
そして、この後に作業者は、第1建材用連結具20Aにおける第1連結部材21のそれぞれの補助部材8側の端部を、
図4及び
図14で示されている2個の結合具25を、第1連結部材21の連結部26に設けられた
図7の第2孔29に挿入して補助部材8にねじ込むことにより、
図17及び
図18に示されているように補助部材8に結合する。また、第2連結部材22のそれぞれの補助部材8側の端部も、
図4及び
図14で示されている2個の結合具34を、第2連結部材22の連結部35に設けられた
図9の第2孔38に挿入して補助部材8にねじ込むことにより、
図17及び
図18に示されているように補助部材8に結合する。
【0074】
なお、結合具25,34はドリルねじであるため、結合具25,34による第1及び第2連結部材21,22の補助部材8側の端部を補助部材8に結合する作業は、結合具25,34が補助部材8にねじ切り孔加工を行って実施される。このため、第1及び第2連結部材21,22に第2孔29,38を設けず、結合具25,34により第1及び第2連結部材21,22の補助部材8側の端部を補助部材8に結合する作業を、結合具25,34に、第1及び第2連結部材21,22の補助部材8側の端部と補助部材8とにねじ切り孔加工を行わせて実施してもよい。
【0075】
また、作業者は、第2建材用連結具20Bの1個の連結部材となっている第1連結部材21についても、この第1連結部材21に設けられている2個の連結部26の補助部材8側の端部26Aを、
図4及び
図14で示した2個の結合具25と同様の結合具25により、補助部材8に結合する。
【0076】
この第2建材用連結具20Bに用いられる結合具25もドリルねじであるため、結合具25による第1連結部材21の補助部材8側の端部を補助部材8に結合する作業は、結合具25が補助部材8にねじ切り孔加工を行って実施される。このため、第2建材用連結具20Bについても、第1連結部材21に結合具25が挿入される第2孔29を設けず、結合具25により第1連結部材21の補助部材8側の端部を補助部材8に結合する作業を、結合具25に、第1連結部材21の補助部材8側の端部と補助部材8とにねじ切り孔加工を行わせて実施してもよい。
【0077】
なお、第2建材用連結具20Bを、第1連結部材21だけが用いられていて、第2連結部材22が用いられていないものとしている理由は、第1連結部材21の下側に配置される第2連結部材22を省略することにより、第2建材用連結具20Bを左右の側枠部材2A,2Bの最下部の箇所に、例えば、
図3で示されているドア枠2の下枠部材2Dとの干渉をなくして有効に配置できるようにするためである。
【0078】
前述した結合具25,34による結合作業を行うと、ドア枠2はそれぞれの補助部材8に、複数個の第1建材用連結具20Aでは、第1連結部材21の2個の連結部26と、第2連結部材22の2個の連結部35とを介して、また、2個の第2建材用連結具20Bでは、第1連結部材21の2個の連結部35とを介して、それぞれ連結されたことになる。そして、この連結作業は、側枠部材2A,2Bと補助部材8との間の間隔に挿入された第1建材用連結具20Aについては、第1連結部材21と第2連結部材22とを、側枠部材2A,2Bと補助部材8との間の間隔の方向である左右方向Mに対する傾き角度θ1、θ2が互いに逆の向きの同じ又は略同じ大きさの角度となった姿勢にさせて行っているため、ドア枠2は、補助部材8に対して上下方向に不動状態となって連結されていることになる。また、上記連結作業は、上枠部材2Cと補助部材8との間の間隔に挿入された第1建材用連結具20Aについては、第1連結部材21と第2連結部材22とを、上枠部材2Cと補強部材7との間の間隔の方向である上下方向に対する傾き角度が互いに逆の向きの角度となった姿勢にして行っているため、ドア枠2が、補助部材8に対して左右方向にも不動状態となって連結されていることになる。
【0079】
なお、第1建材用連結具20Aの第1連結部材21と第2連結部材22についての傾き角度θ1,θ2と、第2建材用連結具20Bの第1連結部材21についての傾き角度θ1は、ドア枠2と補助部材4との間の間隔の大きさに応じたものとなる。このため、結合具25,34によって第1及び第2建材用連結具20A,20Bを補助部材8に結合する以前において、
図3に示されているように、ドア枠2を、このドア枠2の左右両側に2個配置されている補助部材8に対して左右方向の適正の位置に配置するとともに、ドア枠2の上側に配置されている補助部材8に対しても上下方向の適正の位置に配置した後に、結合具25,34によって第1及び第2建材用連結具20A,20Bを補助部材8に結合することにより、ドア枠2の配置位置を、それぞれの補助部材8に対して適正の位置とすることができる。
【0080】
このため、ドア枠2の左右両側の側枠部材2A,2Bのうち、左側の側枠部材2Aとこの側枠部材2Aと左右方向に対向している補助部材8との間の間隔の大きさと、右側の側枠部材2Bとこの側枠部材2Bと左右方向に対向している補助部材8との間の間隔の大きさとが異なっている場合には、左側の側枠部材2Aに配置されている第1及び第2建材用連結具20A,20Bについての傾き角度θ1,θ2の大きさと、右側の側枠部材2Bに配置されている第1及び第2建材用連結具20A,20Bについての傾き角度θ1,θ2の大きさとが異なることになる。
【0081】
また、
図17及び
図18に示されているように、第1建材用連結具20Aにおける第1連結部材21のそれぞれの補助部材8側の端部を、
図4及び
図14で示されている2個の結合具25を、第1連結部材21のそれぞれの連結部26に設けられた
図7の第2孔29に挿入することにより、補助部材8に結合したときには、
図8で説明したように、それぞれの連結部26の補助部材8側の端部26Aには、結合具25からの荷重Wが作用する。このため、これらの補助部材8側の端部26Aに存在していたねじり角度αが、荷重Wのために減少又は消滅するとともに、補助部材8側の端部26Aとは反対側の端部であるドア枠2側の端部26Bには、前述したようにねじり角度βが生ずることになる。
【0082】
図19には、このようなねじり角度βが第1連結部材21のそれぞれの連結部26のドア枠2側の端部26Bに生ずることを示したこの端部26Bの拡大断面図である。この
図19に示されているように、第1連結部材21の連結部26のドア枠2側の端部26Bにねじり角度βが生ずると、このねじり角度βは、中心軸24の軸方向Nに対して傾斜した角度となるため、この中心軸24を挿通させるためにドア枠2側に端部26Bに設けられた挿通部となっている第1孔28も、中心軸24の軸方向Nに対して傾斜することになる。このため、第1孔28の角部28Aは、中心軸24の表面に係止することになり、これを言い換えると、中心軸24は、孔28の角部28Aが係止する被係止部材となり、この被係止部材への孔28の係止により、第1連結部材21が構成部材となっている第1建材用連結具20Aは、中心軸24の軸方向Nであるドア枠2の厚さ方向に不動状態となる。このため、前述したように、壁4側の建材となっている補助部材8に対してドア枠2の厚さ方向の所定の位置に配置されていたドア枠2は、この補助部材8に、ドア枠2の厚さ方向に不動状態となって連結されることになる。
【0083】
特に、本実施形態の被係止部材となっている中心軸24は、前述したように、表面にねじ山とねじ溝による凹凸が軸方向に交互に多数形成されている雄ねじ棒であるため、孔28の角部28Aは、中心軸24の表面に一層確実に係止することになり、これにより、ドア枠2を、補助部材8に対してドア枠2の厚さ方向に一層確実に不動状態となって連結することができる。
【0084】
また、本実施形態では、第2建材用連結具20Bは、第1建材用連結具20Aの構成要素となっている第1連結部材21がドア枠2の側枠部材2A,2Bと壁4の補助部材8とを連結するための連結部材として用いられた構成となっているとともに、この第1連結部材21にも雄ねじ棒となっている中心軸24が挿通されているため、第2建材用連結具20Bの第1連結部材21を結合具25により補助部材8に結合することによっても、ドア枠2は、躯体側建材となっている補助部材8に、ドア枠2の厚さ方向に不動状態となって連結されることになる。
【0085】
また、本実施形態では、上述したように第1連結部材21の2個の連結部26のそれぞれの補助部材8側の端部26Aに、
図4の結合具25による
図8の荷重Wが作用したときには、第1連結部材21に設けられている架け渡し部27に、
図8で説明したように、この架け渡し部27の厚さ方向のうち、第1連結部材21の外側へ突出する方向への湾曲等の変形が生じるとともに、第1連結部材21のそれぞれのドア枠2側の端部26Bにねじり角度βが生ずることになる。本実施形態では、架け渡し部27には、架け渡し部27の強度を低下させるための強度低下部となっている長孔31が設けられているため、荷重Wにより、架け渡し部27の湾曲等の変形は一層確実に生じることになり、これにより、ドア枠2側の端部26Bのねじり角度βも一層確実に生じることになる。
【0086】
以上説明した実施形態では、第1建材用連結具20Aの第1及び第2連結部材21,22の2個の連結部26,35における補助部材8側の端部26A,35Aを補助部材8に結合するためのそれぞれ2個ずつとなっている結合具25,34は、
図17及び
図18に示されているように、互いに中心軸24の軸方向Nにおける反対側に配置されていて、これらの補助部材8側の端部26A,35Aを補助部材8に結合するために、中心軸24の軸方向Nにおける互いに逆の向きとなっていた。
【0087】
図20及び
図21で示した実施形態では、第1建材用連結具20Aの第1連結部材21の2個の連結部26における補助部材8側の端部26Aを補助部材8に結合するために、上述の1個の結合具25と、別の1個の結合具50とが用いられている。これらの結合具25,50は、中心軸24の軸方向Nにおける同じ側に配置されて、この軸方向Nにおける同じ向きとなっているとともに、これらの結合具25,50のうち、結合具50は、
図20に示されているように、2個の連結部26D,26Eのうち、中心軸24の軸方向Nにおける結合具25,50が配置されている上記同じ側とは反対側に配置されている連結部26Dを、上記同じ側に配置されている連結部26Eの側へ引き寄せるための結合具となっている。また、第2連結部材22の2個の連結部35における補助部材8側の端部35Aを補助部材8に結合するために、上述の1個の結合具34と、別の1個の結合具51とが用いられており、これらの結合具34,51も、中心軸24の軸方向Nにおける同じ側に配置されて、この軸方向Nにおける同じ向きとなっているとともに、これらの結合具34,51のうち、結合具51は、2個の連結部35のうち、中心軸24の軸方向Nにおける結合具34,51が配置されている上記同じ側とは反対側に配置されている連結部35Dを、上記同じ側に配置されている連結部35Eの側へ引き寄せるための結合具となっている。
【0088】
これらの結合具50,51は、
図20に示されているように、頭部50A,51Aと、これらの頭部50A,51Aから前方へ延びる小径軸部50B,51Bと、これらの小径軸部50B,51Bから前方へ延びる大径雄ねじ部50C,51Cとからなるタッピングビスである。
図7及び
図9に示されている第1及び第2連結部材21,22に設けられている第3孔30,39の直径は、大径雄ねじ部50C,51Cの直径よりも小さく、かつ小径軸部50B,51Bの直径よりも大きくなっている。
【0089】
このため、工具により結合具50,51を回転させながら、第1及び第2連結部材21,22におけるそれぞれの2個の連結部26D,26E,35D,35Eのうち、中心軸24の軸方向Nにおける結合具25,34,50,51が配置される側と同じ側の連結部26E,35Eの第3孔30,39に結合具50,51を挿入させて前進させると、これらの第3孔30,39の内面に大径雄ねじ部50C,51Cによる雌ねじがねじ切り加工される。さらに、工具により結合具50,51を回転させながら前進させると、中心軸24の軸方向Nにおける結合具25,34,50,51が配置されている側とは反対側の連結部26D,35Dの第3孔30,39にも大径雄ねじ部50C,51Cによる雌ねじがねじ切り加工されることになり、そして、このときには、結合具25,34,50,51が配置されている側と同じ側の連結部26E,35Eの第3孔30,39に、結合具50,51の小径軸部50B,51Bが達していて、これらの第3孔30,39では小径軸部50B,51Bが空回転するため、結合具25,34,50,51が配置されている側とは反対側の連結部26D,35Dは、大径雄ねじ部50C、51Cにより、結合具25,34,50,51が配置されている側と同じ側の連結部26E,35Eの側へ引き寄せられることになる。
【0090】
このため、第1及び第2連結部材21,22のそれぞれ2個の連結部26,35における補助部材8側の端部26A,35Aのうち、結合具25,34,50,51が配置されている側とは反対側の端部26A,35Aは補助部材8に強く押圧される。これにより、これらの端部26A,35Aが補助部材8に結合されたと同様の状態になる。
【0091】
この実施形態によると、第1建材用連結具20Aの第1及び第2連結部材21,22のそれぞれ2個の連結部26,35における補助部材8側の端部26A,35Aを補助部材8に結合するための全部の結合具25,34,50,51を、中心軸24の軸方向Nにおける同じ側に配置することができるため、これらの結合具25,34,50,51を工具で回転させて前進させるための作業も、中心軸24の軸方向Nにおける同じ側に居る作業者により行うことができ、このため、この作業の作業性が向上して、作業の容易化、短時間化を達成することができる。
【0092】
なお、
図20及び
図21の実施形態においては、第2建材用連結具20Bの第1連結部材21の2個の連結部26における補助部材8側の端部26Aを補助部材8に結合するために、結合具25,50と同様の結合具を用いることができる。
【0093】
本実施形態では、第1及び第2建材用連結具20A,20Bにおける第1連結部材21の2個の連結部26D,26Eのそれぞれに第3孔30が設けられ、また、第1建材用連結具20Aにおける第2連結部材22の2個の連結部35D,35Eのそれぞれに第3孔39が設けられているため、結合具25,34,50,51を、
図20及び
図21の図示例とは異なり、第1連結部材21の連結部26Dの側、第2連結部材22の連結部35Dの側に配置することも実施することができて、結合具25,34,50,51を配置する側を開き戸装置のそれぞれの設置現場の状態に応じて任意に選択できる。
【0094】
次に、
図22~
図25に示されている本発明の一実施形態に係る操作工具60について説明する。
図22~
図25は、操作工具60の斜視図、側面図、平面図、正面図である。操作工具60は、金属製厚板の打ち抜き及び折り曲げ加工により形成された板状の本体61に、木製又は合成樹脂等による把持部材62が取り付けられたものとなっており、本体61は、把持部材62が接着又はビス等の結合具により結合されたベース部61Aを有しており、このベース部61Aにおける把持部材62が取り付けられた部分が、作業者が操作工具60を把持して操作するための操作部60Aとなっている。ベース部61Aのうち、把持部材62から突出している部分からは、ベース部61Aよりも大きな幅寸法を有する延出部61Bが延出しており、本体61に設けられているこの延出部61Bは、
図23から分かるように、ベース部61Aに対して第1屈曲部63により本体61の厚さ方向に屈曲して延出している。延出部61Bは、
図22に示されているように、ベース部61A側の基部61Cと、ベース部61A側とは反対側の二股部61Dとからなり、互いに幅寸法が同じになっている基部61Cと二股部61Dとの間には、屈曲方向が、本体61の厚さ方向のうち、第1屈曲部63とは反対側となっている第2屈曲部64が設けられている。
【0095】
また、本体61の一部となっていて、延出部61Bの一部ともなっている二股部61Dは、基部61C側の幹部61Eと、切り込み部61Fにより分割されていて、幹部61Eにより連結されている2個の枝部61Gとからなり、幹部61Eから平行又は略平行となって延出しているそれぞれの枝部61Gは、幹部61E側の基礎部61Hと、この基礎部61Hに対して第3屈曲部65により屈曲している先部61Iとからなり、第3屈曲部65の屈曲方向は、
図23に示されているように、本体61の厚さ方向のうち、第1屈曲部63の屈曲方向と同じ方向になっている。このため、延出部61Bのうちの基部61Cと、枝部61Gのうちの先部61Iは、互いに平行又は略平行となっている。
【0096】
また、
図23に示されているように、延出部61Bのうちの基部61Cの下面には、ゴムや多孔質弾性材、軟質合成樹脂等によって形成されている板状の緩衝部材66が接着等により固定され、この緩衝部材66は、
図22に示されているように、基部61Cと同じ面積又は略同じ面積を有するものになっている。
【0097】
図26~
図30には、操作工具60により第1建材用連結具20Aをくの字状に折り曲げ操作することにより、第1連結部材21と第2連結部材22の向きを、前述したように壁4の補助部材8側への向きとする作業が示されている。この作業が開始されるときには、
図26に示されているように、第1建材用連結具20Aの2個の連結部材となっている第1連結部材21と第2連結部材22は、中心軸24に対して互いに反対側に配置されていて、これらの第1及び第2連結部材21,22は互いに平行又は略平行となっており、このため、これらの第1及び第2連結部材21,22の向きは、ドア枠2と壁4の補助部材8との間の間隔方向と、ドア枠2の厚さ方向とに直交する方向の向きとなっている。このような形状になっている第1建材用連結具20Aに対し、作業者は、操作工具60の本体61のうち、最も先端側となっている先部61Iを第1連結部材21と第2連結部材22の背後に差し入れ、この差し入れ作業は、本体61に設けられている切り込み部61Fの中に、中心軸24と、この中心軸24を支持している軸受け部材23とを挿入しながら行う。
【0098】
上述の差し入れ作業を行った後に、作業者が操作工具60の操作部60Aをドア枠2側に寄せる作業を行うことにより、操作工具60を
図27で示した姿勢の状態にすることができ、
図28は、
図27の平面図である。
図27及び
図28で示すこのときの操作工具60は、本体61に2個設けられている先部61Iのそれぞれが第1及び第2連結部材21,22と平行又は略平行であって、本体61の延出部61Bのうち、緩衝部材66が取り付けられている基部61Cがドア枠2と平行又は略平行となった状態になっており、基部61Cは、緩衝部材66を介してドア枠2に接触している。
【0099】
次いで、作業者が、操作工具60の操作部60Aに
図27及び
図28で示す矢印Aの方向への操作力を付与すると、操作工具60は、緩衝部材66を介してドア枠2に接触している基部61Cを中心に回動するため、それぞれの先部61Iには、操作力とは反対方向への押圧力が作用する。このときにおけるそれぞれの先部61Iは、第1連結部材21及び第2連結部材22を、
図29と、この
図29の平面図である
図30とから分かるように、中心軸24からドア枠2と壁4の補助部材8との間の間隔方向とドア枠2の厚さ方向とに直交する方向(ドア枠2の側枠部材2A、2Bに取り付けられた第1建材用連結具20Aについては上下方向、ドア枠2の上枠部材2Cに取り付けられた第1建材用連結具20Aについては左右方向)に離れた箇所において、上記押圧力により押圧するため、これらの第1連結部材21と第2連結部材22は、
図12及び
図15で説明した平行手段45の平行機能を消滅させながら、中心軸24を中心に回動して、中心軸24を中心とする角度が小さくなり、第1建材用連結具20Aはくの字状に折り曲げ操作される。
【0100】
このように第1建材用連結具20Aがくの字状に折り曲げ操作されると、前述したように、第1連結部材21の2個の連結部26の補助部材8側の端部26A同士の間に補助部材8が挿入されるとともに、第2連結部材22の2個の連結部35の補助部材8側の端部35A同士の間にも補助部材8が挿入される。このため、第1連結部材21を補助部材8に
図4等で示した2個の結合具25で結合し、また、第2連結部材21を補助部材8に
図4等で示した2個の結合具34で結合する場合には、操作工具60の操作部60Aに、第1建材用連結具20Aがくの字状に折り曲げ操作された後も操作力を継続して付与し続けることにより、
図31に示されているように、操作工具60のそれぞれの先部61Iにより、第1連結部材21と第2連結部材22を補助部材8側に押圧し続け、これにより、これらの第1連結部材21と第2連結部材22の先端を補助部材8が取り付けられている補強部材7に当接させる。そして、この状態を維持しながら、作業者は、ドリルねじとなっている結合具25,34により、第1及び第2連結部材21,22の連結部26,35の補助部材8側の端部26A,35Aを補助部材8に結合するための作業を行う。
【0101】
このようにドリルねじとなっている結合具25,34により、第1及び第2連結部材21,22の連結部26、35の補助部材8側の端部26A,35Aを補助部材8に結合するための作業を行うときに、第1連結部材21と第2連結部材22を、中心軸24からドア枠2と補助部材8との間の間隔方向とドア枠2の厚さ方向とに直交する方向に離れた箇所において、操作工具60の先部61Iからの押圧力により押圧し続けると、結合具25,34が、第1及び第2連結部材21,22に設けられた第2孔29,38に挿入されて、補助部材8をねじ切り孔加工するものになっていても、また、前述したように、第1及び第2連結部材21,22に第2孔29,38が設けられておらず、結合具25,34が、第1及び第2連結部材21,22と補助部材8とをねじ切り孔加工するものになっていても、ドリルねじとなっている結合具25,34により第1及び第2連結部材21,22と補助部材8とを結合する作業を、第1及び第2連結部材21,22が補強部材7に当接しているため、これらの第1及び第2連結部材21,22が中心軸24を中心に揺動等の微動することを防止して行え、これにより、この結合作業を有効に実施できる。
【0102】
なお、操作工具60のそれぞれの先部61Iにより第1連結部材21と第2連結部材22を補助部材8側に押圧したときに、これらの第1連結部材21と第2連結部材22が当接する部材を、補強部材7ではなく、補助部材8とし、この当接を行わせるために、補助部材8に第1連結部材21と第2連結部材22の前述した架け渡し部27,36を当接させてもよい。
【0103】
また、操作工具60は、第1建材用連結具20Aをくの字状に折り曲げ操作するときから、結合具25,34により、第1及び第2連結部材21,22の連結部26,35の補助部材8側の端部26A,35Aを補助部材8に結合する作業が終了するまで、2個の先部61Iによって継続して第1及び第2連結部材21,22を押圧し続ける工具となっているため、これらの作業を、同じ操作工具60を用いて、連続性を有する一貫した作業として実施できることになり、このため、これらの作業を、短時間のうちに作業性を向上させて実施できる。
【0104】
また、第1建材用連結具20Aは、この第1建材用連結具20Aの2個の連結部材となっている第1及び第2連結部材21,22について共通の軸となっている1個の中心軸24を有するものとなっており、このため、上述の作業を行う際に操作工具60の切り込み部61Fのなかに軸受け部材23と共に挿入する中心軸24の個数は1個でよく、このため、操作工具60に設ける切り込み部61Fの大きさを小さくできる。
【0105】
また、以上の説明から分かるように本実施形態に係る操作工具60では、
図28等に示されているように、この操作工具60の長さ方向の一方の端部側において、第1及び第2連結部材21,22を押圧するための2個の先部61Iが設けられているため、これらの先部61Iは、操作工具60の長さ方向の一方の端部側に設けられた押圧部60Cとなっており、また、操作工具60の長さ方向の他方の端部側には、押圧部60Cでの押圧力を生じさせるために操作される前述した操作部60Aが設けられている。そして、操作工具60の長さ方向の途中部には、緩衝部材66を介してドア枠2に接触することにより、操作部60Aでの操作力の方向に対して押圧部60Cでの押圧力の方向を逆の方向に反転させるための支点部60Bとなっている基部61Cが設けられている。このため、操作部60Aと支点部60Bの間の距離を、支点部60Bと押圧部60Cの間の距離よりも大きくすることにより、てこの原理によって操作部60Aでの操作力よりも押圧部60Cでの押圧力を大きくすることができることになり、これより、
図12及び
図15で説明した平行手段45の平行機能を一層確実に消滅させながら、第1建材用連結具20Aをくの字状に折り曲げ操作することができる。
【0106】
さらに、操作工具60の本体61のうち、支点部60Bとなっている基部61Cには、この基部61Cがドア枠2に直接接触することを防止するための緩衝部材66が取り付けられているため、操作部60Aに大きな操作力を付与しても、ドア枠2が損傷することを緩衝部材66により有効に防止できる。
【0107】
また、本実施形態に係る操作工具60の本体61は、切り込み部61Fによって形成された二股部61Dが設けられたものとなっていて、先部61Iによる押圧部60Cの個数は、この切り込み部61Fによって二股部61Dに2個設けられている枝部61Gのそれぞれに1個ずつの2個となっているため、第1建材用連結具20Aに2個の連結部材として設けられている第1及び第2連結部材21,22を、本実施形態に係る操作工具60では、2個の押圧部60Cによって同時に押圧することができ、これにより、この第1建材用連結具20Aをくの字状に瞬時に折り曲げ操作することができる。
【0108】
以上の説明は、2個の連結部材が第1及び第2連結部材21,22として設けられている第1建材用連結具20Aについてであったが、第1連結部材21だけが1個の連結部材として設けられている第2建材用連結具20Bについても、本実施形態に係る操作工具60が用いられる。
【0109】
すなわち、第2建材用連結具20Bについて本実施形態に係る操作工具60を用いる場合には、第1建材用連結具20Aの場合と同様に、この第2建材用連結具20Bの中心軸24と、この中心軸24を支持している軸受け部材23とを、操作工具60の切り込み部61Fのなかに挿入しながら、2個の先部61Iのうち、一方の先部61Iを、第1連結部材21の背後に差し入れる。この後に、操作部60Aに、第1建材用連結具20Aのときと同様の操作力を付与することにより、押圧部60Cとなっているこの先部61Iからの押圧力により、第1連結部材21を中心軸24を中心に回動させ、これにより、向きが、ドア枠2と壁4の補助部材8との間の間隔方向と、ドア枠2の厚さ方向とに直交する方向の向きとなっていた第1連結部材21の向きを、壁4の補助部材8側へ傾いた向きとし、第1連結部材21における2個の連結部26の補助部材8側の端部26A同士の間に補助部材8を挿入する。
【0110】
そして、第1連結部材21を補助部材8に
図4等で示した2個の結合具25で結合するときには、第1連結部材21の向きが壁4の補助部材8側へ傾いた向きとなった後も、操作工具60の操作部60Aに操作力を継続して付与し続けることにより、
図32に示されているように、1個の先部61Iによる押圧部60Cにより、第1連結部材21を補助部材8側に押圧し続け、これにより、この第1連結部材21の先端を補助部材8が取り付けられている補強部材7に当接させる。そして、ドリルねじとなっている結合具25により、第1連結部材21の連結部26の補助部材8側の端部26Aを補助部材8に結合するための作業を行う。
【0111】
これによると、第1建材用連結具20Aの場合と同様に、結合具25が、第1連結部材21に設けられた第2孔29に挿入されて、補助部材8をねじ切り孔加工するものになっていても、また、前述したように、第1連結部材21に第2孔29が設けられておらず、結合具25が、第1連結部材21と補助部材8とをねじ切り孔加工するものになっていても、ドリルねじとなっている結合具25により第1連結部材21と補助部材8とを結合する作業を、第1連結部材21が補強部材7に当接しているため、この第1連結部材21が中心軸24を中心に揺動等の微動することを防止して行え、これにより、この結合作業を有効に実施できる。
【0112】
なお、この第2建材用連結具20Bについても、操作工具60の1個の先部61Iにより第1連結部材21を補助部材8側に押圧したときに、この第1連結部材21が当接する部材を、補強部材7ではなく、補助部材8とし、この当接を行わせるために、補助部材8に第1連結部材21の架け渡し部27,36を当接させてもよい。
【0113】
そして、このときの操作工具60も、第1連結部材21の向きを壁4の補助部材8側へ傾いた向きとさせるときから、結合具25により、第1連結部材21の連結部26の補助部材8側の端部26Aを補助部材8に結合する作業が終了するまで、押圧部60Cによって継続して第1連結部材21を押圧し続ける工具となっているため、これらの作業を連続性を有する一貫した作業として実施できることになり、このため、これらの作業も、短時間のうちに作業性を向上させて実施できることになる。
【0114】
なお、以上のように連結部材が1個の第1連結部材21だけとなっている第2建材用連結具20Bについては、中心軸24を中心とする第1連結部材21の回動によってこの第1連結部材21の向きを壁4の補助部材8側へ傾いた向きとする作業を、作業者は操作工具60を用いずに行い、作業者はこの作業を自身の指やドライバ等の工具を用いて行い、第1連結部材21の向きが壁4の補助部材8側へ傾いた向きとなった後に、作業者が操作工具60を用い、この操作工具60の操作部60Aに操作力を付与することにより、1個の先部61Iによる押圧部60Cによって第1連結部材21を補助部材8側に押圧し続け、これにより、この第1連結部材21の先端を補助部材8が取り付けられている補強部材7又は補助部材8に当接させながら、第1連結部材21を補助部材8に結合具25で結合するようにしてもよい。
【0115】
また、本実施形態に係る操作工具60は、
図28及び
図30に示されているように、ドア枠2の厚さ方向の成分を有する長さ寸法を有するものとなっているとともに、操作工具60の長さ方向の一方の端部側に前述した押圧部60Cが設けられ、長さ方向の他方の端部側に操作部60Aが設けられ、この操作部60Aは、第1建材用連結具20Aについての操作作業を行うときも、また、第2建材用連結具20Bについての操作作業を行うときも、ドア枠2の厚さ方向において、このドア枠2の外部に突出した位置に配置されているため、操作部60Aの操作により、第1建材用連結具20Aについての操作作業を行うときも、また、第2建材用連結具20Bについての操作作業を行うときも、この操作作業をドア枠2の影響を受けずに又は殆ど受けずに容易に実施することができる。
【0116】
さらに、本実施形態に係る操作工具60の本体61には、前述したように
図22及び
図23の第1~第3屈曲部63~65が設けられ、これらの第1~第3屈曲部63~65のうち、第1及び第3屈曲63,65は、
図28及び
図30に示されているように、ドア枠2に対する操作部60Aの位置を、ドア枠2からドア枠2と壁4の補助部材8との間の間隔方向へ遠ざける位置とするための屈曲部となっている。このため、操作部60Aの操作により、第1建材用連結具20Aについての操作作業を行うときも、また、第2建材用連結具20Bについての操作作業を行うときも、操作部60Aを操作するために必要となる充分に大きな操作ストロークを確保することができる。
【0117】
また、本実施形態に係る操作工具60は、前述したように先部61Iによる押圧部60Cの個数が2個のものとなっているため、ドア枠2と壁4の補助部材8とを連結するための連結部材の個数が第1連結部材21と第2連結部材22の2個となっている第1建材用連結具20Aについての操作作業も、また、この連結部材の個数が第1連結部材21だけ1個となっている第2建材用連結具20Bについての操作作業も、操作工具60によってそれぞれ実施することができ、この操作工具60の兼用化を図ることができる。
【0118】
さらに、本実施形態に係る操作工具60の本体61には、中心軸24と、この中心軸24を支持している軸受け部材23との両方を挿入することができる切り込み部61Fが設けられているため、第1建材用連結具20Aについての操作作業も、また、第2建材用連結具20Bについての操作作業も、この切り込み部61Fのなかに中心軸24と軸受け部材23とを挿入しながら行うことができ、このため、これらの操作作業を容易に実施することができる。
【0119】
以上説明した操作工具60を用いる作業は、第1建材用連結具20Aの第1及び第2連結部材21,22を壁4の補助部材8に
図4等で示したそれぞれ2個の結合具25,34により、また、第2建材用連結具20Bの第1連結部材21を壁4の補助部材8に
図4等で示した2個の結合具25により、それぞれ結合する場合であったが、
図20及び
図21で説明したように、第1建材用連結具20Aの第1及び第2連結部材21,22については、それぞれ1個ずつの結合具25,34,50,51により、また、第2建材用連結具20Bの第1連結部材21については、それぞれ1個ずつの結合具25,50により、それぞれ壁4の補助部材8に結合する場合にも、本実施形態に係る操作工具60を用いることができる。
【0120】
そして、本実施形態に係る操作工具60を用いることにより、第1建材用連結具20Aの第1及び第2連結部材21,22については、それぞれ1個ずつの結合具25,34,50,51により、また、第2建材用連結具20Bの第1連結部材21については、それぞれ1個ずつの結合具25,50により、それぞれ壁4の補助部材8に結合する場合には、これらの結合具25,34,50,51の配置位置を、ドア枠2の厚さ方向の両側の位置のうち、操作工具60を操作するために作業者が配置される側と同じ位置とすることにより、これを言い換えると、第1及び第2建材用連結具20A,20Bに対する結合具25,34,50,51の挿入向きを、前述した操作工具60の差し入れ方向とを同じ方向とすることにより、操作工具60によって第1建材用連結具20A及び第2建材用連結具20Bを操作する作業と、結合具25,34,50,51によって第1建材用連結具20Aの第1及び第2連結部材21,22と第2建材用連結具20Bの第1連結部材21を補助部材8に結合する作業とを、同じ作業者が、作業のために居る位置を変えることなく、同じ位置において、効率的に実施することができる。
【0121】
図33には、
図20及び
図21で説明したように、結合具25,34,50,51を中心軸24の軸方向Nにおける同じ側に配置することが有効となる建物等の構造が平断面として示されている。この構造は、通常時はドア枠72の内側の出入口70を開いている防火扉71が、ヒンジ73を中心に、ドア枠72と、閉じたときの防火扉71を収納するための戸袋75との間において、開閉自在となっているものであり、この戸袋75は、大きな厚さ寸法を有する背後の壁74に連結されている。戸袋75を背後の壁74に連結するために、第1建材用連結具20A及び第2建材用連結具20Bと、
図20及び
図21で示した結合具25,34,50,51とが用いられ、これにより、戸袋75の厚さ方向における一方の面が壁74により覆われている構造となっていても、戸袋75を背後の壁74に連結する作業を、これらの第1建材用連結具20A及び第2建材用連結具20Bと、結合具25,34,50,51とにより有効に実施することができる。
【0122】
図34には、別実施形態に係る第1連結部材121が示され、
図34(A)(B)は、この第1連結部材121の側面図と背面図である。金属板の打ち抜き及び折り曲げ品である第1連結部材121には、
図7で示した第1連結部材21と同様に、中心軸24の軸方向Nに離れている2個の連結部126が互いに対向して設けられ、これらの連結部126における中心軸24の軸方向Nと直交する側の第1連結部材121全体の厚さ方向の端部同士の間には、架け渡し部127が架け渡されているため、2個の連結部126は、中心軸24の軸方向Nを幅寸法とする架け渡し部127により結合されている。また、それぞれの連結部126は、中心軸24の軸方向Nと直交しかつ第1連結部材121全体の厚さ方向とも直交する方向の長さ寸法を有し、この長さ寸法は、長さ方向の両端部126A,126Bが、ドア枠2と、壁4の躯体となっている補助部材8とに達する寸法となっている。
【0123】
また、この実施形態の第1連結部材121では、それぞれの連結部126の長さ方向の両端部126A,126Bのうち、補助部材8側の端部126Aは、
図34(A)に示されているように、連結部126の長さ方向外側へ延出しながら中心軸24の軸方向Nの外側へ延びており、このため、2個の補助部材8側の端部126Aは、連結部126の長さ方向外側へ開いたハの字状となっている。これに対してそれぞれの連結部126の長さ方向の両端部126A,126Bのうち、ドア枠2側の端部126Bは、連結部126の長さ方向外側へ延出しながら中心軸24の軸方向Nと直交する方向に延びているため、2個のドア枠2の端部126Bは互いに平行となっている。
【0124】
また、それぞれの連結部126において、ドア枠2側の端部126Bには、中心軸24を挿通させるための挿通部として大径の第1孔128が設けられているとともに、補助部材8側の端部126Aには、
図4で示した結合具25を挿入するための小径の第2孔129が設けられている。また、それぞれの連結部126には、連結部126の長さ方向外側へ開いたハの字状となっている端部126A
からずれた位置において、
図20及び図21で説明したタッピングビスとなっている結合具50を挿入するための第3孔130も設けられている。
【0125】
さらに、架け渡し部127には、この架け渡し部127における連結部126の長さ方向の両端部127A,127Bから連結部126の長さ方向内側へ切り込まれた切り込み部131,132が形成されており、これらの切り込み部131,132は、架け渡し部127の強度を低下させるためにこの架け渡し部127に形成された強度低下部となっている。
【0126】
図35には、
図4の結合具25又は
図19及び
図20の結合具50により連結部126の補助部材8側の端部126Aを補助部材8に結合するために、それぞれの補助部材8側の端部126Aに、中心軸24の軸方向Nにおける互いに逆の向きの荷重Wが作用したときを示している。このような荷重Wがそれぞれの補助部材8側の端部126Aに作用すると、これらの補助部材8側の端部126Aは互いに平行になるとともに、それぞれのドア枠2の端部126Bは、荷重Wの影響により、連結部126の長さ方向外側へ開いたハの字状となる。これにより、それぞれのドア枠2の端部126B及びこれらの端部126Bに設けられている第1孔128は、中心軸24の軸方向Nに対して傾斜角度γをなすことになる。
【0127】
このため、この実施形態の第1連結部材121でも、第1孔128の角部が、
図19で示されていると同様に、中心軸24の表面に形成されているねじ山とねじ溝による凹凸に係止することになり、これにより、第1連結部材121は、中心軸24の軸方向Nであるドア枠2の厚さ方向に不動状態となる。
【0128】
また、この実施形態の第1連結部材121では、架け渡し部127には強度低下部となっている切り込み部131,132が形成されているため、それぞれの補助部材8側の端部126Aに上述の荷重Wが作用すると、それぞれのドア枠2の端部126B及びこれらの端部126Bに設けられている第1孔128が中心軸24の軸方向Nに対して一層確実に傾斜角度γをなすことになり、これにより、第1孔128の角部が中心軸24の表面に形成されているねじ山とねじ溝による凹凸に係止することを、一層確実に生じさせることができる。
【0129】
以上説明した実施形態に係る第1連結部材121は、前述した第1連結部材21に代わるものとして、第1建材用連結具20A及び第2建材用連結具20Bの連結部材として用いることができ、このため、第2連結部材22に設けられている突片部40による平行手段45も、
図34及び
図35で示した第1連結部材121に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、間隔をあけて配設される2個の建材を、これらの建材の間に配置された建材用連結具によって連結する作業のために利用することができる。
【符号の説明】
【0131】
1 開き戸
2 開き戸装置側の建材であるドア枠
2A,2B ドア枠の側枠部材
2C ドア枠の上枠部材
4 躯体である壁
7 躯体側建材である補強部材
8 躯体側建材である補助部材
20 建材用連結具
20A 連結部材の個数が2個となっている第1建材用連結具
20B 連結部材の個数が1個となっている第2建材用連結具
21,121 第1連結部材
22 第2連結部材
23 軸受け部材
24 中心軸
25,34,50,51 結合具
45 平行手段
60 操作工具
60A 操作部
60C 押圧部
61F 切り込み部