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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20240229BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H04M1/02 G
H04R1/02 101Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020046756
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021150730
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽二朗
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】意匠登録第1644529(JP,S)
【文献】特開2008-252576(JP,A)
【文献】特開2000-101698(JP,A)
【文献】特開平07-154459(JP,A)
【文献】特開2003-070085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02
H04R 1/02
H04M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側に配される前ケースと、後側に配される後ケースと、少なくとも前記前ケースの前面下部を覆うように組み付けられるカバー部材とを備えた本体ケース内に、他のインターホン機器との間で通話するためのスピーカが内蔵されたインターホン機器であって、
前記前ケースの前面で、前記カバー部材に覆われる箇所にスピーカ格子が開設され、前記スピーカ格子の後方に前記スピーカが設置されているとともに、前記スピーカ格子の左右両側に、前記前ケースの前面と前記カバー部材との間をシールする第1のシール部材が夫々取り付けられている一方、
前記カバー部材の下端に沿って、前記前ケースの前面側へ折り曲げられた壁が設けられているとともに、前記壁における前記スピーカ格子の下方となる箇所に切り欠きが設けられており、
前記カバー部材の前記前ケースへの組み付けに伴い、前記スピーカ格子の前方に、前記カバー部材と前記第1のシール部材とにより囲まれ、前記切り欠きを介して外部に連通する報音空間が形成されていることを特徴とするインターホン機器。
【請求項2】
前側に配される前ケースと、後側に配される後ケースと、少なくとも前記前ケースの前面上部を覆うように組み付けられるカバー部材とを備えた本体ケース内に、他のインターホン機器との間で通話するためのスピーカが内蔵されたインターホン機器であって、
前記前ケースの前面で、前記カバー部材に覆われる箇所にスピーカ格子が開設され、前記スピーカ格子の後方に前記スピーカが設置されているとともに、前記スピーカ格子の左右両側に、前記前ケースの前面と前記カバー部材との間をシールする第1のシール部材が夫々取り付けられている一方、
前記カバー部材の上端に沿って、前記前ケースの前面側へ折り曲げられた壁が設けられているとともに、前記壁における前記スピーカ格子の上方となる箇所に切り欠きが設けられており、
前記カバー部材の前記前ケースへの組み付けに伴い、前記スピーカ格子の前方に、前記カバー部材と前記第1のシール部材とにより囲まれ、前記切り欠きを介して外部に連通する報音空間が形成されていることを特徴とするインターホン機器。
【請求項3】
前側に配される前ケースと、後側に配される後ケースと、少なくとも前記前ケースの前面における左右何れか一方の側部を覆うように組み付けられるカバー部材とを備えた本体ケース内に、他のインターホン機器との間で通話するためのスピーカが内蔵されたインターホン機器であって、
前記前ケースの前面で、前記カバー部材に覆われる箇所にスピーカ格子が開設され、前記スピーカ格子の後方に前記スピーカが設置されているとともに、前記スピーカ格子の上下両側に、前記前ケースの前面と前記カバー部材との間をシールする第1のシール部材が夫々取り付けられている一方、
前記カバー部材の前記一方側の側端に沿って、前記前ケースの前面側へ折り曲げられた壁が設けられているとともに、前記壁における前記スピーカ格子の側方となる箇所に切り欠きが設けられており、
前記カバー部材の前記前ケースへの組み付けに伴い、前記スピーカ格子の前方に、前記カバー部材と前記第1のシール部材とにより囲まれ、前記切り欠きを介して外部に連通する報音空間が形成されていることを特徴とするインターホン機器。
【請求項4】
前記前ケースの後面に、前記スピーカ格子から後方へ延びる円筒状に形成され、前記スピーカを収納状態で保持するスピーカ保持部が設けられているとともに、
前記後ケースに、前記スピーカ保持部における少なくとも一部の後端と前記後ケースとの間をシールする第2のシール部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばインターホン親機等のスピーカが内蔵されたインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インターホン親機等の一般的なインターホン機器には、音声を報音するためのスピーカが設けられている。また、該スピーカからの報音構造としては、たとえば特許文献1に記載されているように、本体ケースの前面に格子状の報音口を設けるとともに、報音口の後側にスピーカを設置して、音声を本体ケースの前側へ向けて報音させるようにしたものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-8468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、インターホン機器におけるデザインの多様化等の理由から、一目見てそれと分かるような報音口をインターホン機器の前面に露出させたくないという要望がある。そして、そのような要望に応えるべくインターホン機器の前面以外に報音口を設けるとなると、スピーカから発せられた音声を効率よく報音口へ導かなければならないという課題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、スピーカから発せられた音声を効率よく報音口へ導くことができ、音声の聞き取りやすいインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、前側に配される前ケースと、後側に配される後ケースと、少なくとも前ケースの前面下部を覆うように組み付けられるカバー部材とを備えた本体ケース内に、他のインターホン機器との間で通話するためのスピーカが内蔵されたインターホン機器であって、前ケースの前面で、カバー部材に覆われる箇所にスピーカ格子が開設され、スピーカ格子の後方にスピーカが設置されているとともに、スピーカ格子の左右両側に、前ケースの前面とカバー部材との間をシールする第1のシール部材が夫々取り付けられている一方、カバー部材の下端に沿って、前ケースの前面側へ折り曲げられた壁が設けられているとともに、壁におけるスピーカ格子の下方となる箇所に切り欠きが設けられており、カバー部材の前ケースへの組み付けに伴い、スピーカ格子の前方に、カバー部材と第1のシール部材とにより囲まれ、切り欠きを介して外部に連通する報音空間が形成されていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明のうち請求項2に記載の発明は、前側に配される前ケースと、後側に配される後ケースと、少なくとも前ケースの前面上部を覆うように組み付けられるカバー部材とを備えた本体ケース内に、他のインターホン機器との間で通話するためのスピーカが内蔵されたインターホン機器であって、前ケースの前面で、カバー部材に覆われる箇所にスピーカ格子が開設され、スピーカ格子の後方にスピーカが設置されているとともに、スピーカ格子の左右両側に、前ケースの前面とカバー部材との間をシールする第1のシール部材が夫々取り付けられている一方、カバー部材の上端に沿って、前ケースの前面側へ折り曲げられた壁が設けられているとともに、壁におけるスピーカ格子の上方となる箇所に切り欠きが設けられており、カバー部材の前ケースへの組み付けに伴い、スピーカ格子の前方に、カバー部材と第1のシール部材とにより囲まれ、切り欠きを介して外部に連通する報音空間が形成されていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明のうち請求項3に記載の発明は、前側に配される前ケースと、後側に配される後ケースと、少なくとも前ケースの前面における左右何れか一方の側部を覆うように組み付けられるカバー部材とを備えた本体ケース内に、他のインターホン機器との間で通話するためのスピーカが内蔵されたインターホン機器であって、前ケースの前面で、カバー部材に覆われる箇所にスピーカ格子が開設され、スピーカ格子の後方にスピーカが設置されているとともに、スピーカ格子の上下両側に、前ケースの前面とカバー部材との間をシールする第1のシール部材が夫々取り付けられている一方、カバー部材の一方側の側端に沿って、前ケースの前面側へ折り曲げられた壁が設けられているとともに、壁におけるスピーカ格子の側方となる箇所に切り欠きが設けられており、カバー部材の前ケースへの組み付けに伴い、スピーカ格子の前方に、カバー部材と第1のシール部材とにより囲まれ、切り欠きを介して外部に連通する報音空間が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、スピーカ格子の左右両側(請求項1、2)や上下両側(請求項3)に第1のシール部材を配し、カバー部材の前ケースへの組み付けに伴い、スピーカ格子の前方に、カバー部材と第1のシール部材とにより囲まれ、切り欠きを介して外部に連通する報音空間が形成されるようにしているため、インターホン機器の前面以外から報音させる構造としているにも拘わらず、スピーカから発せられた音声を効率よく切り欠き(すなわち報音口)へ導くことができ、ひいては音声の聞き取りやすいインターホン機器とすることができる。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3の何れかに記載の発明において、前ケースの後面に、スピーカ格子から後方へ延びる円筒状に形成され、スピーカを収納状態で保持するスピーカ保持部が設けられているとともに、後ケースに、スピーカ保持部における少なくとも一部の後端と後ケースとの間をシールする第2のシール部材が取り付けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、スピーカから後方へ発せられた音声が前ケースの前面側へ回り込む事態を抑制することができ、音声の聞き取りやすさを更に向上することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スピーカ格子の左右両側(請求項1、2)や上下両側(請求項3)に第1のシール部材を配し、カバー部材の前ケースへの組み付けに伴い、スピーカ格子の前方に、カバー部材と第1のシール部材とにより囲まれ、切り欠きを介して外部に連通する報音空間が形成されるようにしているため、インターホン機器の前面以外から報音させる構造としているにも拘わらず、スピーカから発せられた音声を効率よく切り欠き(すなわち報音口)へ導くことができ、ひいては音声の聞き取りやすいインターホン機器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】インターホン親機の前面側を示した説明図である。
図2】インターホン親機の下面側を示した斜視説明図である。
図3】カバー部材が取り外されたインターホン親機の前面側を示した説明図である。
図4】後ケースの前面側を示した説明図である。
図5】分解状態にあるインターホン親機を前面側から示した斜視説明図である。
図6】分解状態にあるインターホン親機を後面側から示した斜視説明図である。
図7図6におけるスピーカ保持部部分を拡大して示した説明図である。
図8図1中のA-A線断面のうちスピーカ周りを拡大して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン親機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0011】
図1は、インターホン親機1の前面側を示した説明図である。図2は、インターホン親機1の下面側を示した斜視説明図である。図3は、カバー部材4が取り外されたインターホン親機1の前面側を示した説明図である。図4は、後ケース3の前面側を示した説明図である。図5は、分解状態にあるインターホン親機1を前面側から示した斜視説明図である。図6は、分解状態にあるインターホン親機1を後面側から示した斜視説明図である。図7は、図6におけるスピーカ保持部30部分を拡大して示した説明図である。図8は、図1中のA-A線断面のうちスピーカ9周りを拡大して示した説明図である。
【0012】
インターホン親機1は、前側に配置される前ケース2と、前ケース2の後側に組み付けられる後ケース3と、前ケース2の前面に組み付けられ、前ケース2の前面下部を覆うカバー部材4とで構成される本体ケースを有しており、本体ケースの前面中央から上部にかけては、インターホン子機(図示せず)で撮像された映像等を表示する表示部としての機能と、インターホン子機からの呼び出しに対する応答時等に操作する操作部としての機能とを兼ね備えたタッチパネル式の表示操作部5が設けられている。また、表示操作部5の上側には、インターホン子機との間で通話するためのマイク部6が設けられている。さらに、表示操作部5の下側には、自身の設定等のための設定ボタンや非常時に操作する非常報知ボタン等の各種操作ボタン7、7・・が設けられているとともに、インターホン子機との間で通話するためのスピーカ部8が設けられている。そして、このようなインターホン親機1は、居室内の壁面等に設置されており、インターホン子機からの呼び出しに応じて表示操作部5に映像を表示するとともに、表示操作部5において所定の応答操作がなされたことをもって、インターホン子機との間での通話を可能な状態とする。
【0013】
ここで、本発明の要部となるスピーカ部8について説明する。
本体ケースの前面では、前ケース2の前面に表示操作部5が設けられているとともに、表示操作部5の下側に隣接してカバー部材4が取り付けられている。そして、スピーカ部8は、カバー部材4で覆われている箇所(カバー部材4も含む)に設けられている。カバー部材4は、左右長さが前ケース2の左右長さと略同じで、且つ、上下長さが前ケース2における表示操作部5よりも下側の上下長さと略同じとされた正面視矩形の合成樹脂製部材である。該カバー部材4の左右両側縁及び下縁は、それぞれ後方へ折り曲げられており、側壁4a、4a及び下壁4bとされている。また、下壁4bの左右方向で略中央となる箇所は所定の左右幅にわたって切り欠かれており、後述するスピーカ9から発せられた音声をインターホン親機1外へ報音するための報音口11とされている。さらに、カバー部材4の後面下縁で、報音口11の左右両外側に隣接する位置には、上下方向へ延びるリブ13、13が後方へ突設されているとともに、各リブ13の左右方向で外側に隣接した位置、及び左右両端部には、カバー部材4を前ケース2の前面に組み付けるための係止爪14、14・・が後方へ突設されている。なお、15は、操作ボタン7を露出させるための切り欠きである。
【0014】
また、前ケース2の前面におけるカバー部材4に覆われる箇所であって、左右方向で略中央となる位置(カバー部材4の組み付け時に報音口11の上方となる位置)には、スピーカ格子16が開設されている。さらに、スピーカ格子16の下側には、スピーカ格子16から前ケース2の下縁にわたって、下方へ向かうにつれて後方へ傾斜する傾斜面17が設けられている。さらにまた、前ケース2の前面下縁で、傾斜面17の左右両外側(後述する報音空間20の左右両外側に隣接した位置)と前ケース2の左右両端部とには、係止爪14、14・・が夫々係止可能な係止孔18、18・・が設けられている。加えて、前ケース2の前面で、スピーカ格子16の左右両外側となる箇所には、上下方向へ長い帯状に形成された合成樹脂製のパッキン19が夫々貼着されており、カバー部材4の組み付け時に前ケース2の前面とカバー部材4の後面との間をシールするようになっている。なお、前ケース2の後面で、スピーカ格子16の後方となる箇所にスピーカ9が設置されている。
【0015】
上記カバー部材4は、係止爪14、14・・を係止孔18、18・・に係止させることによって、前ケース2の前面に組み付けられる。そして、カバー部材4を前ケース2の前面に組み付けた状態にあっては、側壁4a、4a及び下壁4bの先端が前ケース2に近接し、カバー部材4の表面と表示操作部5の表面とが略面一となる。また、スピーカ格子16の前方には、カバー部材4とパッキン19、19とにより前方、上方、及び左右側方を囲まれているとともに、報音口11を介して外部と連通する報音空間20が形成されることになる。したがって、スピーカ9から発せられた音声は、スピーカ格子16を介して報音空間20へ到達し、報音口11を介してインターホン親機1外へ報音される。
【0016】
一方、前ケース2の後面には、スピーカ9を収納状態で保持するためのスピーカ保持部30が設けられている。該スピーカ保持部30は、スピーカ格子16部分から後方へ延びる円筒状のリブとして形成されている。さらに、スピーカ保持部30における下半円部30aの左右両側から左右外側へ、後方へ突出する防音リブ31が夫々延びており、各防音リブ31の先端(後端)と下半円部30aの先端(後端)とは同一鉛直面内に位置している(すなわち、防音リブ31、31の後方への突出高さと、スピーカ保持部30における下半円部30aの後方への突出高さとは同じとされている)。
【0017】
また、後ケース3の下縁には、スピーカ9を設置するための設置面23が設けられている。さらに、該設置面23において、前ケース2の組み付け時に、スピーカ保持部30の下半円部30a及び防音リブ31、31の先端が対向する箇所22には、合成樹脂製のシール部材21が貼着されており、シール部材21によって、スピーカ保持部30の下半円部30a及び防音リブ31、31の先端と後ケース3の設置面23との間をシールし、スピーカ9から後方へ発せられた音声が前ケース2の前面側へ回り込む事態を抑制している。
【0018】
以上のような構成を有するインターホン親機1によれば、前ケース2の前面におけるカバー部材4に覆われる箇所にスピーカ格子16を開設するとともに、スピーカ格子16の左右両外側となる箇所に、上下方向へ長い帯状に形成された合成樹脂製のパッキン19を夫々貼着している一方、カバー部材4の下端に沿って、前ケース2の前面側へ折り曲げられた下壁4bを設け、該下壁4bにおけるスピーカ格子16の下方となる箇所に切り欠き状の報音口11を設けており、カバー部材4の前ケース2への組み付けに伴い、スピーカ格子16の前方に、カバー部材4とパッキン19、19とにより囲まれ、報音口11を介して外部に連通する報音空間20が形成されるようにした。したがって、インターホン親機1の下面から報音させる構造としているにも拘わらず、スピーカ9から発せられた音声を効率よく報音口11へ導くことができ、ひいては音声の聞き取りやすいインターホン親機1とすることができる。
【0019】
また、前ケース2の後面に、スピーカ9を収納状態で保持する円筒状のスピーカ保持部30が設けられているとともに、スピーカ保持部30における下半円部30aの左右両側から左右外側へ後方へ突出する防音リブ31、31が夫々延びている一方、後ケース3において、前ケース2の組み付け時に、スピーカ保持部30の下半円部30a及び防音リブ31、31の先端が対向する箇所22に、合成樹脂製のシール部材21を貼着しており、シール部材21によって、スピーカ保持部30の下半円部30a及び防音リブ31、31の先端と後ケース3の設置面23との間がシールされるようになっている。したがって、スピーカ9から後方へ発せられた音声が前ケース2の前面側へ回り込む事態を抑制することができ、ひいては音声の聞き取りやすさの更なる向上を図ることができる。
【0020】
さらに、前ケース2の前面においてカバー部材4により覆われている箇所であって、且つ、スピーカ格子16の下側に、下方へ向かって後方へ傾斜する傾斜面17が、スピーカ格子16から前ケース2の下端(すなわち報音口11内)にかけて設けられているため、本体ケースの下面に報音口11が開設されているにも拘わらず、スピーカ9から発せられた音声を一層効率よく外部へ報音させることができる。
【0021】
加えて、前ケース2の前面における報音空間20の左右両外側に隣接した位置に、カバー部材4の係止爪14、14が係止する係止孔18、18・・が開設されているため、スピーカ9から音声が発せられた際に、カバー部材4に生じる振動を抑制することができる。
【0022】
なお、本発明に係るインターホン機器は、インターホン機器の全体的な構成は勿論、スピーカ部に係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更することができる。
【0023】
たとえば、上記実施形態では、インターホン機器の下面に報音口を設けるとしているが、インターホン機器の上面や側面に報音口を設けるとしても何ら問題はなく、報音口の位置に応じて第1のシール部材の取付位置についても適宜設計変更することができる。すなわち、インターホン機器の上面に報音口を設けるのであれば、上記実施形態同様、スピーカ格子の左右両側に第1のシール部材を取り付ければよいし、インターホン機器の左右何れか一方の側面に報音口を設けるのであれば、スピーカ格子の上下両側に第1のシール部材を取り付ければよい。
【0024】
また、上記実施形態では、カバー部材が前ケースの前面下部のみを覆うとしているが、前ケースの外周部を覆うような矩形フレーム状のカバー部材を採用することも可能であり、カバー部材の形状は上記実施形態のものに何ら限定されることはないし、カバー部材が前ケースの前面のどこを覆うかについても、報音口を設ける位置に応じて適宜変更することができる。
【0025】
さらに、上記実施形態では、スピーカ保持部の下半分が第2のシール部材によってシールされるとしているが、円環状の第2のシール部材を採用することでスピーカ保持部の上半分についても第2のシール部材によってシールするように構成することは可能であるし、反対にスピーカ保持部の左右一部分ずつしか第2のシール部材によってシールされないように構成することも可能であり、スピーカ保持部のどの程度の範囲をシールするかについては適宜設計変更可能である。なお、防音リブの有無については、言うまでもなく設計変更することができる。
【0026】
加えて、上記実施形態ではインターホン親機について説明しているが、本発明は、スピーカ部さえ備えていれば、インターホン子機や集合玄関機等の他のインターホン機器についても好適に採用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1・・インターホン親機(インターホン機器)、2・・前ケース、3・・後ケース、4・・カバー部材、8・・スピーカ部、9・・スピーカ、11・・報音口(切り欠き)、16・・スピーカ格子、19・・パッキン(第1のシール部材)、20・・報音空間、21・・シール部材(第2のシール部材)、30・・スピーカ保持部、31・・防音リブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8