(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】温度センサ素子
(51)【国際特許分類】
G01K 7/18 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G01K7/18 B
(21)【出願番号】P 2020055483
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鐘ヶ江 敏志
(72)【発明者】
【氏名】三浦 克哉
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-077737(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第110840417(CN,A)
【文献】特開2013-065784(JP,A)
【文献】特開2010-008160(JP,A)
【文献】特開2001-044001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基板と、前記セラミック基板の主面上に形成された蛇行形状の抵抗パターンと、前記抵抗パターンを覆う保護層とを備えた温度センサ素子において、
前記抵抗パターンは、蛇行形状の一端側に等間隔を存して並列配置された複数の円弧状の第1ターン部と、蛇行形状の他端側に等間隔を存して並列配置された複数の円弧状の第2ターン部と、対向する前記第1ターン部と前記第2ターン部
との間を接続する直線状に延びる複数の主パターン部とを有しており、
前記第1ターン部と前記第2ターン部とが位相差をもった配列になっていると共に、隣り合う前記主パターン部の対向間距離が前記第1ターン部および前記第2ターン部の内径寸法を最大幅として徐々に狭くなっていることを特徴とする温度センサ素子。
【請求項2】
請求項1に記載の温度センサ素子において、前記抵抗パターンは、前記第1ターン部および前記第2ターン部のスペース幅を部分的に広くした幅広領域を有していることを特徴とする温度センサ素子。
【請求項3】
請求項2に記載の温度センサ素子において、前記幅広領域に前記第1ターン部と前記第2ターン部を接続する複数の副パターン部が形成されており、隣り合う前記副パターン部は対向間距離を一定にした平行配置になっていることを特徴とする温度センサ素子。
【請求項4】
請求項3に記載の温度センサ素子において、複数の前記主パターン部と複数の前記副パターン部が交互に配置されていることを特徴とする温度センサ素子。
【請求項5】
請求項1に記載の温度センサ素子において、隣り合う前記第1ターン部または前記第2ターン部間を並列に接続するトリミング用ターン部が形成されていることを特徴とする温度センサ素子。
【請求項6】
請求項5に記載の温度センサ素子において、前記トリミング用ターン部は隣り合う前記第1ターン部または前記第2ターン部間の全てに形成されていることを特徴とする温度センサ素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の排気温度測定やボイラの燃料制御等などに使用可能な温度センサ素子に係り、特に、1000℃を超えるような超高温環境に対応可能な温度センサ素子に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の温度センサ素子として、特許文献1に記載されているように、直方体形状のセラミック基板上に白金膜からなる抵抗パターンを形成すると共に、抵抗パターンの両端に接続する一対の電極を形成し、これら電極にそれぞれリード線を接合して外部に導出させ、抵抗パターンを絶縁性の保護層で覆うようにセラミック基板が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の温度センサ素子では、抵抗パターンが蛇行形状(ミアンダ形状)に形成されており、セラミック基板上の限られた有効エリアに全長の長い抵抗パターンを形成することができるため、抵抗パターンの高抵抗化が図られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-65784号公報
【文献】特開平2-281704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の温度センサ素子では、抵抗パターンを構成する感温膜として化学的に極めて安定している白金が用いられているため、高温用途に適したセンサとなっているが、例えば1000℃を超えるような超高温環境に対応可能なセンサとして、抵抗パターンをさらに高抵抗化した感度の高い温度センサ素子が要望されている。
【0006】
抵抗パターンを高抵抗化する一手段として、抵抗パターンのターン部(折り返し部)を増やして全長を長くすることが考えられるが、その場合、セラミック基板上に抵抗パターンの形成エリアを広く確保する必要があるため、温度センサ素子全体が大型化して熱応答性の遅いセンサになってしまう。すなわち、抵抗パターンの高抵抗化を促進していくと、それに伴ってセラミック基板を大きくする必要があるため、温度センサ素子の高感度化と小型化を両立させることが難しいという課題がある。
【0007】
なお、特許文献2に記載されているように、セラミック基板の表裏両面に蛇行形状の抵抗パターンを形成し、これら抵抗パターンどうしをセラミック基板に設けたスルーホールにて導通させると共に、各々の抵抗パターンの端部に電極を設けた温度センサ素子も提案されている。
【0008】
しかし、特許文献2に記載の温度センサ素子では、セラミック基板の両面に抵抗パターンと電極をそれぞれ設けているため、放熱性の悪いセンサとなってしまい、TCR変化に起因する測定誤差が発生しやすくなるという問題がある。
【0009】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、高感度化と小型化を両立させることができる温度センサ素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の温度センサ素子は、セラミック基板と、前記セラミック基板の主面上に形成された蛇行形状の抵抗パターンと、前記抵抗パターンを覆う保護層とを備えた温度センサ素子において、前記抵抗パターンは、蛇行形状の一端側に等間隔を存して並列配置された複数の円弧状の第1ターン部と、蛇行形状の他端側に等間隔を存して並列配置された複数の円弧状の第2ターン部と、対向する前記第1ターン部と前記第2ターン部との間を接続する直線状に延びる複数の主パターン部とを有しており、前記第1ターン部と前記第2ターン部とが位相差をもった配列になっていると共に、隣り合う前記主パターン部の対向間距離が前記第1ターン部および前記第2ターン部の内径寸法を最大幅として徐々に狭くなっていることを特徴としている。
【0011】
このように構成された温度センサ素子では、蛇行形状の抵抗パターンの両端側に交互に折り返し形成された第1ターン部と第2ターン部とが位相差をもった配列になっていると共に、第1ターン部と第2ターン部間を直線状に接続する主パターン部の対向する隣接間距離が、第1ターン部および第2ターン部の内径寸法を最大幅として徐々に狭くなるように設定されているため、第1ターン部と第2ターン部をそれぞれ自身の内径寸法よりも狭いスペース幅で並列配置することができる。したがって、主パターン部の対向間距離を一定にした従来の温度センサ素子に比べると、セラミック基板上の抵抗形成エリア内に配列可能な抵抗パターンのターン部(折り返し部)を増やすことができ、換言すると、セラミック基板を大きくしなくても抵抗パターンの全長を長くすることが可能となるため、温度センサ素子の高感度化と小型化を両立させることができる。
【0012】
上記構成の温度センサ素子において、抵抗パターンは、第1ターン部および第2ターン部のそれぞれのスペース幅を全ての領域で幅狭に設定しても良いが、第1ターン部および第2ターン部のスペース幅を部分的に広くした幅広領域を有していると、幅広領域によって抵抗パターン全体の放熱性を高めることができる。
【0013】
この場合において、幅広領域に第1ターン部と第2ターン部を接続する複数の副パターン部が形成されており、隣り合う副パターン部が対向間距離を一定にした平行配置になっていると、幅広領域に形成された副パターン部とそれ以外の領域に形成された主パターン部とが、延出方向の角度を異にするだけでほぼ同様の配列形態となるため、セラミック基板上の限られた有効エリア内に数多くの主パターン部と副パターン部を形成することができる。
【0014】
その際、複数の主パターン部と複数の副パターン部が交互に配置されていると、主パターン部からの発熱が副パターン部の幅広領域を介して分散されるため、抵抗パターン全体の放熱性を効果的に高めることができる。
【0015】
また、上記構成の温度センサ素子において、隣り合う第1ターン部または第2ターン部間を並列に接続するトリミング用ターン部が形成されていると、抵抗パターンの抵抗値を調整することができて好ましい。
【0016】
この場合において、トリミング用ターン部は隣り合う第1ターン部または第2ターン部間の一部に形成されていても良いが、隣り合う第1ターン部または第2ターン部間の全てにトリミング用ターン部が形成されていると、抵抗値調整の範囲を広げることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高感度化と小型化を両立させることが可能な温度センサ素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る温度センサ素子の外観斜視図である。
【
図3】該温度センサ素子に備えられる抵抗パターンの配列状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1~
図3に示すように、本発明の実施形態に係る温度センサ素子1は、直方体形状のセラミック基板2と、セラミック基板2の主面(表面)に形成された抵抗パターン3と、抵抗パターン3の両端部に接続するようにセラミック基板2の主面に形成された一対の電極4と、抵抗パターン3を覆う絶縁性の保護層5と、一対の電極上に接合されてセラミック基板2の外部へ突出するリード線6とを備えて構成されている。
【0020】
セラミック基板2はアルミナ純度96%以上のアルミナ基板であり、このセラミック基板(アルミナ基板)2には、主成分であるアルミナ(Al2O3)にSiO2やMgO等の焼結助剤が添加されている。
【0021】
抵抗パターン3は白金(Pt)を主成分とする薄膜抵抗膜であり、この抵抗パターン3はPtをスパッタしてパターニングすることにより、セラミック基板2の主面上に蛇行形状(ミアンダ形状)に形成されている。また、抵抗パターン3は、蛇行形状に形成された本体部3aの他に、梯子形状にパターニングされた微調整用のトリミング部3bを有している。詳細については後述するが、本体部3aには粗調整用のトリミング用ターン部3cが形成されており、これらトリミング部3bとトリミング用ターン部3cを用いて、抵抗パターン3の抵抗値を高精度に調整できるようになっている。
【0022】
一対の電極4は白金を主成分とする電極ペーストをスクリーン印刷して乾燥・焼成させたものであり、一方の電極4は本体部3aの端部に接続され、他方の電極4はトリミング部3bの端部に接続されている。また、一対のリード線6は例えば白金を主とするリード線等であり、これらリード線6は対応する電極4上に溶接により接合されている。
【0023】
保護層5は、抵抗パターン3を覆うようにセラミック基板2上に順次形成されたアンダーコート層5aと中間層5bおよびオーバーコート層5cの3層構造からなる。アンダーコート層5aと中間層5bは、白金を含有するアルミナペーストをスクリーン印刷して乾燥・焼成させたものであり、中間層5bよりアンダーコート層5aの方が白金の含有率は高めに設定されている。オーバーコート層5cはアルミナペーストをスクリーン印刷して乾燥・焼成させたものであり、オーバーコート層5cに白金は含有されていない。
【0024】
このようにアルミナを材料とする3層構造の保護層5は高温用途に適した保護層となっているが、これに限定されず、例えばアルミナ材料からなる2層構造の保護層としたり、ガラス材料とアルミナ材料を用いた保護層であっても良い。
【0025】
次に、
図3~
図6に基づいて、抵抗パターン3の構成について詳細に説明する。
図4は抵抗パターン3に形成された本体部3aの要部を示す説明図であり、
図4に示すように、抵抗パターン3の本体部3aは、蛇行形状の一端側(X2側)に配置された複数の円弧状の第1ターン部10aと、蛇行形状の他端側(X1側)に配置された複数の円弧状の第2ターン部10bと、対向する第1ターン部10aと第2ターン部10b間を接続する複数の主パターン部10cとを有している。なお、理解を容易にするために、
図4において、主パターン部10cの長さはX1-X2方向に短縮した状態で示してある。
【0026】
複数の第1ターン部10aは、Y1-Y2方向に沿って一定のスペース幅S1を存して並列配置されており、複数の第2ターン部10bも、Y1-Y2方向に沿って一定のスペース幅S1を存して並列配置されている。これら第1ターン部10aと第2ターン部10bの内径は全て寸法L1に設定されているが、第1ターン部10aと第2ターン部10bは、Y1-Y2方向に位相差をもった配列となっている。
【0027】
このような第1ターン部10aと第2ターン部10bの位相差をもった配列により、第1ターン部10aと第2ターン部10b間を接続する複数の主パターン部10cは平行配列とならず、延出方向を交互に逆向きにした傾斜配列となっている。具体的に説明すると、
図4の上から5番目と6番目で隣り合う2本の主パターン部10cの対向間距離は、X2方向の端部において第1ターン部10aと第2ターン部10bの内径寸法L1である最大幅となり、そこからX1方向に向かって徐々に狭くなり、X1方向の端部において第1ターン部10aと第2ターン部10bのスペース幅S1である最小幅となる。また、
図4の上から6番目と7番目で隣り合う2本の主パターン部10cの対向間距離は、X1方向の端部において第1ターン部10aと第2ターン部10bの内径寸法L1である最大幅となり、そこからX2方向に向かって徐々に狭くなり、X2方向の端部において第1ターン部10aと第2ターン部10bのスペース幅S1である最小幅となる。
【0028】
したがって、主パターン部10cの対向間距離を一定にした平行配列に比べると、セラミック基板2上の抵抗形成エリア内に配列可能な抵抗パターン3の折り返し部(第1ターン部10aと第2ターン部10b)の数を増やすことができ、換言すると、セラミック基板2を大きくしなくても抵抗パターン3の全長を長くすることが可能になる。
【0029】
図5に示すように、本実施形態に係る温度センサ素子1では、抵抗パターン3の本体部3aが第1ターン部10aと第2ターン部10bのスペース幅S1を部分的に広くした幅広領域W1を有している。この幅広領域W1内には、第1ターン部10aと第2ターン部10bを接続する複数の副パターン部10dが形成されており、Y1-Y2方向に沿って隣り合う2本の副パターン部10dは対向間距離を一定にした平行配置になっている。すなわち、副パターン部10dはX1-X2方向に沿って平行に延びるパターンであり、隣り合う副パターン部10dの対向間距離は第1ターン部10aや第2ターン部10bの内径寸法L1と同じになっている。
【0030】
図3に示すように、本実施形態に係る抵抗パターン3の本体部3aでは、幅広領域W1に形成された副パターン部10dとそれ以外の領域に形成された主パターン部10cとをY1-Y2方向に沿って交互に配列した構成になっている。これにより、集約的に配置された主パターン部10cからの発熱が副パターン部10dの幅広領域W1によって放熱されるため、抵抗パターン全体の放熱性を効果的に高めることができる。ただし、必ずしも主パターン部10cと副パターン部10dを交互に配列しなくても良く、蛇行形状に形成された抵抗パターン3の一部に、第1ターン部10aと第2ターン部10bのスペース幅S1を部分的に広くした幅広領域W1が形成されていれば、抵抗パターン3全体の放熱性を高めることができる。また、幅広領域W1に形成される副パターン部10dは、X1-X2方向に沿って平行に延びる複数本の平行パターンに限らず、斜め方向に延びる1本の副パターン部10dであっても良い。
【0031】
図6は
図3のA部の拡大図であり、
図6に示すように、抵抗パターン3の本体部3aには、Y1-Y2方向に沿って隣り合う第1ターン部10a間を並列に接続するトリミング用ターン部3cが形成されている。本実施形態において抵抗パターン3の抵抗値を調整する場合、
図3に示すトリミング用ターン部3cにレーザ光を照射して切断することにより、目標抵抗値よりも低い抵抗値に粗調整した後、梯子形状のトリミング部3bにレーザ光を照射して切断することにより、抵抗値を切り上げて目標抵抗値に一致するように微調整するようになっている。
【0032】
すなわち、
図6の矢印αで示すように、トリミング用ターン部3cの切断前において、電流は所定の第1ターン部10aからトリミング用ターン部3cを通って隣の第1ターン部10aまで短経路で流れるが、
図6の矢印βで示すように、トリミング用ターン部3cが切断されると、電流は所定の第1ターン部10aから副パターン部10dに流れた後、第2ターン部10bで折り返してから隣の第1ターン部10aに至るため、その分だけ電気長が長くなって抵抗パターン3の抵抗値を上昇させることができる。なお、
図3に示すように、本実施形態では、トリミング用ターン部3cが隣り合う副パターン部10d間に形成されているが、このようなトリミング用ターン部3cを隣り合う主パターン部10c間に形成しても良く、あるいは、隣り合う主パターン部10c間と副パターン部10d間の全てに形成しても良い。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る温度センサ素子1では、蛇行形状の抵抗パターン3の両端側に交互に折り返し形成された円弧状の第1ターン部10aと第2ターン部10bとが位相差をもった配列になっていると共に、これら第1ターン部10aと第2ターン部10b間を接続する主パターン部10cの対向する隣接間距離が、第1ターン部10aや第2ターン部10bの内径寸法L1を最大幅として徐々に狭くなるように設定されているため、第1ターン部10aと第2ターン部10bをそれぞれ自身の内径寸法L1よりも狭いスペース幅S1で並列配置することができる。
【0034】
したがって、主パターン部10cの対向間距離を一定にした温度センサ素子に比べると、セラミック基板2上の抵抗形成エリア内に配列可能な抵抗パターン3のターン部(折り返し部)を増やすことができ、換言すると、セラミック基板2を大きくしなくても抵抗パターン3の全長を長くすることが可能となり、温度センサ素子1の高感度化と小型化を両立させることができる。しかも、第1ターン部10aと第2ターン部10bの内径寸法L1を大きく維持したまま抵抗パターン3の高抵抗化を実現でき、第1ターン部10aと第2ターン部10bの小径化に伴う電流密度の上昇もないため、エレクトロマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る温度センサ素子1では、抵抗パターン3が第1ターン部10aと第2ターン部10bのスペース幅S1を部分的に広くした幅広領域W1を有しているため、幅広領域W1によって抵抗パターン3全体の放熱性を高めることができる。しかも、この幅広領域W1に第1ターン部10aと第2ターン部10bを接続する複数の副パターン部10dが形成されており、隣り合う2本の副パターン部10dが対向間距離を一定にした平行配置になっているため、幅広領域W1に形成された副パターン部10dとそれ以外の領域に形成された主パターン部10cとが、延出方向の角度を異にするだけでほぼ同様の配列形態となり、セラミック基板2上の限られた有効エリア内に数多くの主パターン部10cと副パターン部10dを集約的に形成することができる。
【0036】
また、本実施形態に係る温度センサ素子1では、隣り合う第1ターン部10a間を並列に接続するトリミング用ターン部3cが形成されているため、このトリミング用ターン部3cを切断することによって、抵抗パターン3の抵抗値を調整することができる。しかも、抵抗パターン3は、トリミング用ターン部3cだけでなく粗調整用のトリミング部3bを有しているため、これらトリミング部3bとトリミング用ターン部3cを用いて抵抗パターン3の抵抗値を高精度に調整することができる。
【0037】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、幅広領域S1を省略し、第1ターン部10aと第2ターン部10bのスペース幅S1を全ての領域で幅狭に設定しても良く、また、トリミング用ターン部3cを第1ターン部10a側の代わりに第2ターン部10b側に形成しても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 温度センサ素子
2 セラミック基板
3 抵抗パターン
3a 本体部
3b トリミング
3c トリミング用ターン部
4 電極
5 保護層
6 リード線
10a 第1ターン部
10b 第2ターン部
10c 主パターン部
10d 副パターン部
S1 スペース幅
W1 幅広領域