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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】業務支援システムおよび業務支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20240229BHJP
【FI】
G06Q10/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020063262
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021163125
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三木 貴志
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-114153(JP,A)
【文献】特開2006-178718(JP,A)
【文献】特開2011-134217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
依頼元の依頼内容を依頼先に伝える業務を支援する業務支援システムであって、
依頼元のテキストを入力する依頼元端末と、
依頼先の担当者に依頼内容の情報を表示する依頼先端末と、
前記依頼元端末から依頼内容のテキストを受取り、依頼内容の表現を変調したテキストを生成し、前記依頼先端末に出力する業務支援装置とを有し、
前記業務支援装置は、前記担当者に関する業務遂行能力情報を保持し、
前記依頼内容のテキストに基づいて、依頼難易度を算出し、
依頼先となる担当者の業務遂行能力情報と依頼内容の依頼難易度に基づいて、前記依頼内容のテキストの単語を置き換えることにより、前記依頼内容の表現を変調したテキストを生成することを特徴とする業務支援システム。
【請求項2】
前記業務支援装置は、前記依頼難易度から依頼表現レベル調整値を算出し、前記依頼表現レベル調整値に基づいて、前記依頼内容のテキストの単語を置き換えることを特徴とする請求項1記載の業務支援システム。
【請求項3】
前記業務支援装置は、単語表現とその単語表現に関する単語表現レベルと一つ以上のペアと、そのペアに対する依頼比重を一つのレコードに保持する単語辞書テーブルを備え、
前記依頼難易度の算出は、前記単語辞書テーブルを参照し、前記依頼内容のテキストの単語に該当する単語表現の単語表現レベルに対して、その依頼比重との加重平均を取ることにより、求めることを特徴とする請求項1記載の業務支援システム。
【請求項4】
前記業務支援装置は、依頼先の担当者の業務遂行実績情報が入力され、
前記依頼先の担当者の業務遂行実績情報に基づいて、前記担当者の業務遂行能力情報を更新することを特徴とする請求項1記載の業務支援システム。
【請求項5】
前記担当者の業務遂行実績情報として、依頼実績評価を含むことを特徴とする請求項3記載の業務支援システム。
【請求項6】
前記業務支援装置は、依頼期限フォーマット、依頼実施手順フォーマット、補足情報フォーマット、支援者情報フォーマットからなる可変フォーマット部位を含む出力フォーマットに従って、依頼内容の表現を変調したテキストを生成することを特徴とする請求項1記載の業務支援システム。
【請求項7】
前記業務支援装置は、依頼内容の依頼種別を経験した否かの情報を保持し、
前記依頼元の依頼内容と同じ依頼種別を経験したか否かに従って、前記支援者情報フォーマットにあてはめるテキストを生成することを特徴とする請求項6記載の業務支援システム
【請求項8】
前記業務支援装置は、担当者の業務遂行能力に従って、前記依頼期限フォーマットにあてはめるテキストを生成することを特徴とする請求項6記載の業務支援システム
【請求項9】
前記業務支援装置は、依頼内容の依頼経験回数を保持し、
前記依頼元の依頼内容と同じ依頼種別の依頼経験回数に従って、前記補足情報フォーマットにあてはめるテキストを生成することを特徴とする請求項6記載の業務支援システム
【請求項10】
前記業務支援装置は、担当者の依頼業務完了率を保持し、
前記依頼元の依頼内容と同じ依頼内容の依頼業務完了率に従って、前記依頼実施手順フォーマットにあてはめるテキストを生成することを特徴とする請求項6記載の業務支援システム。
【請求項11】
依頼元の依頼内容を依頼先に伝える業務を支援する業務支援システムによる業務支援方法であって、
業務支援システムは、
依頼元のテキストを入力する依頼元端末と、
依頼先の担当者に依頼内容の情報を表示する依頼先端末と、
業務支援装置と、を有し、
前記業務支援装置が、前記依頼元端末から依頼内容のテキストを受取るステップと、
前記業務支援装置が、依頼内容の表現を変調したテキストを生成するステップと、
前記業務支援装置が、前記依頼先端末に出力するステップと、を有し、
前記業務支援装置は、前記担当者に関する業務遂行能力情報を保持し、
依頼内容の表現を変調したテキストを生成するステップは、
前記依頼内容のテキストに基づいて、依頼難易度を算出し、
依頼先となる担当者の業務遂行能力情報と依頼内容の依頼難易度に基づいて、前記依頼内容のテキストの単語を置き換えることにより、前記依頼内容の表現を変調したテキストを生成することを特徴とする業務支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務支援システムおよび業務支援方法に係り、特に、上司から業務の依頼を受けた担当者が、その能力に応じて適切で迅速に業務を遂行することをサポートするのに好適な業務支援システムおよび業務支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス勤務中に、上司が部下へ業務依頼を行う際には、様々な状況化で、口頭や電子メールで業務依頼を行うことになる。
【0003】
特に、近年では、電子メールなどの情報処理装置と通信手段により、業務依頼を行う例が増えてきつつある。このような情報処理技術を用いたコミュニケーションは、迅速に遠方の相手でも行うことができるという特徴があり、業務を依頼した履歴も残る利便もある。
【0004】
例えば、特許文献1には、スケジュール管理と適切な期限管理を行うために、承認者の承認を受けた依頼タスクに関して、業務の依頼側が、依頼通知メールを受信すると、依頼先タスクとして、閲覧・処理ができるようにするシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-180936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
オフィス勤務中に、依頼元である上司が依頼先である部下へ何らかの作業依頼を行う際、上司の指示内容が曖昧だったり情報不足だったりして、部下が依頼内容を正しく理解できないケースが散見される。一方、部下が依頼されたことを認知できていたとしても、その依頼期限が本人能力的に困難な設定であったり、実施方法について詳しい説明がなかったり、依頼内容の完成像や作業手順が共有されないために異なる様式で作成してしまったり、不明点に関する相談相手や相談方法についても提示されなかったりする。不明点が明確にならないまま、その状態と部下が放置されることによって、未着手状態で期限を迎えることなり、依頼内容が未完了となってしまう。
【0007】
これは依頼元側の認識(伝えた=送信した)と、依頼先側の認識(伝わった=受信した上で内容を理解した)に乖離があり、お互いの期待がすれ違っていることを意味する。
【0008】
特許文献1に記載された技術では、依頼先の相手にどのように依頼の内容を伝えるかについては、考慮されていない。一般に、業務に未熟練の担当者に対しては、依頼の内容を、詳細かつ丁寧に直訳で遂行の手順などを伝えなければないし、業務に熟練した担当者に対しては、依頼する方からすれば、簡単かつ省略した表現で、職場での暗黙の了解や隠語も前提として、意訳的に指示を与えることが多いと考えられる。特許文献1では、一律に業務内容を表現するのみであり、個々の業務を依頼先の担当者の能力に合わせた表現をすることは記載されていない。また、業務の依頼先となる担当者が、複数のスキルを有していたり、段階的にスキルアップしている場合において、依頼元である上司が、そのスキル状態に応じて依頼内容をその都度検討したり、依頼文を作成することは心理的にも時間的にも負担が大きく業務遂行上、非効率的である。
【0009】
本発明の目的は、依頼元である上司から個々の担当者へ業務依頼を行う場合に、各々の担当者に応じた依頼内容を、依頼元である上司の労力を費やすことなく複数人分をまとめて作成することができ、担当者がその依頼内容を自身が許容可能な範囲にあると理解しやすくすることで、担当者自身が自己の能力に応じて適切かつ迅速に業務に着手し、その目標や期限を遵守することをサポートすることのできる業務支援システムおよび業務支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る業務支援システムは、好ましくは、依頼元の依頼内容を依頼先に伝える業務を支援する業務支援システムであって、依頼元のテキストを入力する依頼元端末と、依頼先の担当者に依頼内容の情報を表示する依頼先端末と、依頼元端末から依頼内容のテキストを受取り、依頼内容の表現を変調したテキストを生成し、依頼先端末に出力する業務支援装置とを有し、業務支援装置は、担当者に関する業務遂行能力情報を保持し、依頼内容のテキストに基づいて、依頼難易度を算出し、依頼先となる担当者の業務遂行能力情報と依頼内容の依頼難易度に基づいて、依頼内容のテキストの単語を置き換えることにより、依頼内容の表現を変調したテキストを生成するようにしたものである。
本発明はまた、上記業務支援システムにおいて実行される業務支援方法として把握される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、依頼元である上司から依頼先である個々の担当者に業務の依頼を行う場合に、その依頼内容を各々の担当者の能力に応じて許容可能な表現に言い換える指示作業を、依頼元である上司の労力を費やすことなく複数人分をまとめて作成することができ、依頼先である担当者が、自己の能力に応じて適切かつ迅速に業務に着手でき、その目標や期限の遵守遂行をサポートすることのできる業務支援システムおよび業務支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】業務支援システムの構成図である。
図2】業務支援装置のハードウェア・ソフトウェア構成図である。
図3】依頼内容を伝えるときの変調の概念を説明する図である。
図4】担当者登録情報テーブルの一例を示す図である。
図5】担当者能力テーブルの一例を示す図である。
図6】ログイン状態テーブルの一例を示す図である。
図7】依頼内容記録テーブルの一例を示す図である。
図8】依頼実行結果記録テーブルの一例を示す図である。
図9】業務遂行能力判断テーブルの一例を示す図である。
図10A】単語辞書テーブルの一例を示す図である(その一)。
図10B】単語辞書テーブルの一例を示す図である(その二)。
図11】補足情報テーブルの一例を示す図である。
図12】休業日テーブルの一例を示す図である。
図13】依頼種別毎の登録単語定義テーブルや補足情報、変調出力フォーマットの一例を示す図である。
図14A】業務支援システムにおいて、依頼元たる上司の依頼内容の発信から、依頼内容の変調と、依頼先の部下の依頼内容の業務の実施、その実施の監視までの一連の流れを示すシーケンス図である(その一)。
図14B】業務支援システムにおいて、依頼元たる上司の依頼内容の発信から、依頼内容の変調と、依頼先の部下の依頼内容の業務の実施、その実施の監視までの一連の流れを示すシーケンス図である(その二)。
図14C】業務支援システムにおいて、依頼元たる上司の依頼内容の発信から、依頼内容の変調と、依頼先の部下の依頼内容の業務の実施、その実施の監視までの一連の流れを示すシーケンス図である(その三)。
図14D】業務支援システムにおいて、依頼元たる上司の依頼内容の発信から、依頼内容の変調と、依頼先の部下の依頼内容の業務の実施、その実施の監視までの一連の流れを示すシーケンス図である(その四)。
図15A】依頼内容変調処理を示すフローチャートである(その一)。
図15B】依頼内容変調処理を示すフローチャートである(その二)。
図15C】依頼内容変調処理を示すフローチャートである(その三)。
図16】変調前テキスト、変調後テキストの一例を示す図である。
図17】依頼内容変調出力フォーマットの一例を示す図である。
図18】依頼内容の難易度を算出する流れを説明する図である。
図19】依頼先相手の業務遂行実績(最新の傾向)を算出する流れを説明する図である。
図20】依頼先の業務遂行実績能力を算出する処理を示すフローチャートである。
図21A】依頼内容の変調における単語変換処理を示すフローチャートである(その一)。
図21B】依頼内容の変調における単語変換処理を示すフローチャートである(その二)。
図21C】依頼内容の変調における単語変換処理を示すフローチャートである(その二)。
図22】依頼内容における単語変換の一例を説明する図である。
図23A】依頼内容入力画面の一例を示す図である(その一)。
図23B】依頼内容入力画面の一例を示す図である(その二)。
図24A】変調結果確認画面の一例を示す図である(その一)。
図24B】変調結果確認画面の一例を示す図である(その二)。
図25A】依頼内容通知画面の一例を示す図である(その一)。
図25B】依頼内容通知画面の一例を示す図である(その二)。
図26A】依頼内容応答画面の一例を示す図である(その一)。
図26B】依頼内容応答画面の一例を示す図である(その一)。
図27A】依頼結果確認、評価画面の一例を示す図である(その一)。
図27B】依頼結果確認、評価画面の一例を示す図である(その二)。
図28】依頼期限調整値テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る各実施形態を、図1ないし図26Bを用いて説明する。
先ず、図1および図3を用いて業務支援システムの構成について説明する。
【0014】
本実施形態の業務支援システムは、上司が業務に関する依頼を部下に情報処理装置から、依頼内容を音声またはテキストにより伝えるものである。
【0015】
本実施形態の業務支援システムは、図1に示されるように、依頼元端末10、依頼先端末20、業務支援装置100がネットワーク5により接続された形態である。
【0016】
依頼元端末10は、上司が、指示内容を音声やテキストなどによって入力する端末であり、例えば、スマートフォンやPC(Personal Computer)の一般的な情報処理装置である。依頼先端末20は、部下が上司からの依頼を、画面上のテキストや音声により確認するための端末である。
【0017】
業務支援装置100は、依頼元の依頼内容を、依頼先の部下の能力に見合った形で、表現の変更(これを、本明細書中では、「変調」ということにする)を行う装置である。
【0018】
ネットワーク5は、有線通信によるものであってもよいし、無線通信によるものでもよい。また、インターネットのようなグローバルネットワークであってもよいし、構内ネットワーク(LAN:Local Area Network)であってもよい。
【0019】
業務支援装置100は、図1に示されように、機能構成として、依頼入力部101、依頼内容難易度計算部102、担当者業務遂行能力計算部103、依頼文生成部104、テキスト音声合成・認識変換部105、依頼出力部106、依頼期限計算部107、依頼内容確認処理部108、依頼応答監視部109、記憶部110からなる。
【0020】
依頼入力部101は、依頼端末101から送信されてくる依頼内容を入力する機能部である。依頼内容難易度計算部102、依頼内容の難易度を計算する機能部である。担当者業務遂行能力計算部103は、担当者の業務遂行能力を計算する機能部である。依頼文生成部104は、担当者に応じた依頼文を生成する機能部である。テキスト音声合成・認識変換部105は、音声で入力してきたときに、音声認識をしてテキストに変換したり、音声で依頼内容を、依頼先端末20に出力するときに、音声合成を行う機能部である。依頼出力部106は、変調後の依頼内容を依頼先端末20に出力する機能部である。依頼期限計算部107は、担当者に応じた依頼期限を計算する機能部である。依頼内容確認処理部108は、依頼元の上司が、担当者に応じた変調後の依頼内容を確認する処理を行う機能部である。応答監視部109は、担当者が依頼内容を遂行したかを監視する機能部である。記憶部110は、業務支援装置100で使用されるデータを記憶する機能部である。記憶部110には、業務支援情報DB120を記憶する。なお、業務支援情報DB120に含まれるテーブル類については、後に詳説する。
【0021】
次に、図2を用いて業務支援装置のソフトウェア・ハードウェア構成について説明する。
業務支援装置100のハードウェア構成としては、例えば、図2に示されるPCやサーバーコンピューター(Server Computer)のような一般的な情報処理装置で実現される。
【0022】
業務支援装置100は、CPU(Central Processing Unit)202、主記憶装置204、ネットワークI/F(InterFace)206、表示I/F208、入出力I/F210、補助記憶I/F212が、バスにより結合された形態になっている。
【0023】
CPU202は、業務支援装置100の各部を制御し、主記憶装置204に必要なプログラムをロードして実行する。
【0024】
主記憶装置204は、通常、RAMなどの揮発メモリで構成され、CPU202が実行するプログラム、参照するデータが記憶される。
【0025】
ネットワークI/F206は、ネットワーク5と接続するためのインタフェースである。
【0026】
表示I/F208は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置220を接続するためのインタフェースである。
【0027】
入出力I/F210は、入出力装置を接続するためのインタフェースである。図2の例では、キーボード230とポインティングデバイスのマウス232が接続されている。
【0028】
補助記憶I/F212は、HDD(Hard Disk Drive)250やSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を接続するためのインタフェースである。
【0029】
HDD250は、大容量の記憶容量を有しており、本実施形態を実行するためのプログラムが格納されている。業務支援装置100には、依頼入力プログラム261、依頼内容難易度計算プログラム262、担当者業務遂行能力計算プログラム263、依頼文生成プログラム264、テキスト音声合成・認識変換プログラム265、依頼出力プログラム266、依頼期限計算プログラム267、依頼内容確認処理プログラム268、依頼応答監視プログラム269がインストールされている。
【0030】
依頼入力プログラム261、依頼内容難易度計算プログラム262、担当者業務遂行能力計算プログラム263、依頼文生成プログラム264、テキスト音声合成・認識変換プログラム265、依頼出力プログラム266、依頼期限計算プログラム267、依頼内容確認処理プログラム268、依頼応答監視プログラム269は、それぞれ、依頼入力部101、依頼内容難易度計算部102、担当者業務遂行能力計算部103、依頼文生成部104、テキスト音声合成・認識変換部105、依頼出力部106、依頼期限計算部107、依頼内容確認処理部108、依頼応答監視部109の機能を実行するプログラムである。
【0031】
次に、図3を用いて本実施形態の依頼内容を伝えるときの変調の概念について説明する。
例えば、図3に示されるように、依頼者の上司が、依頼内容として「週報を書いて。なるはやで。」、期限「1月20日」を、部下A(ベテラン担当)、部下B(新人)、部下C(業務には直接無関係)、部下D(課長)に発信したとする。
【0032】
業務支援装置100は、依頼先相手の能力や仕事の実績に応じて、依頼内容を、図3に示されるように、能力の高くて、経験のあるものには、省略された表現で、逆に新人などの能力が低くて、経験のないものは、分かりやすい表現にする。また、能力や経験に応じて、実施期限も変更する。
【0033】
次に、図4ないし図13を用いて業務支援情報DBのテーブルについて説明する。
担当者登録情報テーブルは、担当者の情報を登録するテーブルであり、図4に示されるように、社員ID、氏名、フリガナ、年齢、性別、所属、部署、役職、連絡先1、Eメールアドレスの各項目からなる。
【0034】
担当者能力テーブルは、担当者の業務能力を保持するテーブルであり、図5に示されように、社員ID、勤務年数、業務遂行能力(最新)、業務遂行実績(最新)、更新日、基礎学力、処理速度、英語力、製品知識の各項目からなる。
【0035】
ログイン状態テーブルは、担当者のネットワークへのログイン状態を保持するテーブルであり、図7に示されるように、社員ID、状態、状態更新日時の各項目からなる。
依頼内容記録テーブルは、依頼元が依頼した内容をイベントごとに保持するテーブルであり、図7に示されるように、イベント番号、依頼種別、依頼日時、依頼期限、応答者(人数)、イベント状態、依頼先、依頼難易度、依頼内容原文、依頼内容変調結果、画面メッセージ通知、音声通知、Eメール通知の各項目からなる。
【0036】
依頼実行結果記録テーブルは、担当者が依頼内容を実施した結果の情報を保持するテーブルであり、図8に示されるように、実行結果記録番号、イベント番号、実施担当者、依頼種別、依頼難易度、依頼受信日、依頼応答日、依頼再送回数、依頼応答反応時間、依頼応答有無、依頼完了有無、依頼実施評価の各項目からなる。担当者が依頼内容を実施した結果の情報として、単に依頼の実施の有無だけではなく、依頼実施評価として、上司の評価を入れて、これを担当者の能力の評価情報としてもよい。
【0037】
業務遂行能力判断テーブルは、変調時に担当の業務遂行を判断するためのテーブルであり、図9に示されるように、業務遂行レベル、業務遂行能力基準、依頼表現レベル基準、依頼難易度基準の各項目からなる。
【0038】
単語辞書テーブルは、変調時に依頼内容にかかわる単語の処理のための情報を保持するテーブルであり、図10Aに示されるように、行動No、行動、行動区分、依頼比重、単語表現1、単語表現1レベル、単語表現2、単語表現2レベル、単語表現3、単語表現3レベル、単語表現4、単語表現4レベルと続く複数(N個)の単語登録ペア各項目列からなる。
【0039】
補足情報テーブルは、変調時に補足情報として付け加えられるテキストを保持するテーブルであり、図11に示されるように、補足情報No、補足区分、依頼種別コード、補足情報適用条件、補足情報の各項目からなる。
【0040】
休業日テーブルは、依頼期限の計算のために用いられる業務の休業日や非推奨日の情報を保持するテーブルであり、図12に示されるように、日付、時間帯、業務扱い、該当依頼種別コード,休業理由の各項目からなる。
【0041】
依頼種別毎の登録単語定義テーブルは、依頼種別ごとに変調時に使用される単語や補足付与条件や出力フォーマット条件を保持するテーブルであり、図13に示されるように、依頼種別、依頼種別コード、登録行動No、登録単語数、登録補足情報No、変調出力フォーマットNo、依頼期限調整テーブルNoの各項目からなる。
【0042】
依頼期限調整値テーブルは、依頼種別毎に依頼期限を調整するため日付や時間の調整値を保持するテーブルであり、図28に示されるように、依頼期限調整テーブルNo、業務遂行レベル、業務遂行能力基準、実施期限調整値(X日)、実施期限調整値(Y時間)、実施期限催促周期(Z時間)の各項目からなる。
【0043】
次に、図14Aないし図22を用いて業務支援システムで行われる処理について説明する。
先ず、図14Aないし図14Dを用いて業務支援システムにおいて、依頼元たる上司の依頼内容の発信から、依頼内容の変調と、依頼先の部下の依頼内容の業務の実施、その実施の監視までの一連の流れについて説明する。
【0044】
図14Aないし図14Dにおいては、詳細な各コンポーネントのやり取りが記載されているが、ここでは、その内で主要な処理とおおまかな流れのみ説明する。
【0045】
先ず、依頼者たる上司Zが、依頼Aを開始する(図14A、S01)。そして、依頼内容が依頼元端末10から、業務支援装置100に送られ、依頼内容変調処理(図14B、S02)が行われ、依頼先端末20に発信される(図14C、S03)。
【0046】
依頼先たる部下B、部下Dは、各々その変調された依頼内容を確認し、その依頼内容を遂行する(図14C)。
【0047】
そして、業務支援装置100は、必要ならば、依頼先の業務遂行能力を再計算する(図14D、S04)。
【0048】
また、業務支援装置100は、依頼先応答監視処理を行っており(図14D、S05)、一定の監視インタバルの後に、依頼先へ、依頼内容を発信する(図14D)。
【0049】
次に、図15Aないし図15Cを用いて依頼内容変調処理について説明する。
依頼先の担当者が複数人(N人)であるとする。先ず、依頼原文を読み込む(S100)。
【0050】
次に、依頼内容の難易度算出する(S101)。なお、この処理は、後に、図18を用いて詳細に説明する。
【0051】
次に、依頼先の業務遂行能力を算出する(S102)。なお、この処理は、後に、図20を用いて詳細に説明する。
【0052】
次に、図8に示した依頼先の変調実行結果テーブルの依頼内容の依頼種別に関する経験有無を検索し、フラグ(W)にセットする(S103)。
【0053】
次に、依頼先の業務遂行能力はS101で算出した依頼難易度より高いか、否かを判定する(S104)。
【0054】
依頼先の業務遂行能力が依頼難易度より高いときには、依頼表現レベル調整値を設定し(S105)、依頼先の業務遂行能力が依頼難易度より高くないときには、依頼先への依頼表現レベルはそのまま(±0)とする(S106)。
【0055】
次に、依頼先は過去に依頼内容と同じ依頼種別を経験しているか(W=1か)、否かを判定し(S107)、過去に依頼内容と同じ依頼種別を経験していないときには、依頼先の支援者情報を要(1)に設定し(S108)、過去に依頼内容と同じ依頼種別を経験しているときには、依頼先の支援者情報を無(0)に設定する(S109)。
【0056】
次に、今回の依頼種別における依頼先の業務遂行能力は担当者全体の閾値以上か、否かを判定し、依頼先の業務遂行能力が閾値未満のときには、依頼期限(入力データ)から営業日を抽出する(S110)。このとき、図12の休業日テーブルを参照し、システム設定に基づき、休業日を除外する。また、依頼期限として集中しやすい日時(年度末や繁忙期など)を事前に避けたり、依頼種別に負荷分散を促したりするために、システム設定に基づき、非推奨日も除外する。
【0057】
次に、図29に示した実施期限調整値テーブルを参照し、依頼種別および依頼先の業務遂行能力に応じた実施期限に調整値を設定する(X日,Y時間)(S112)。
【0058】
依頼先の業務遂行能力が閾値以上のときには、依頼先の実施期限はそのまま(±0)とする(S113)。
【0059】
次に、今回の依頼種別における依頼先の依頼経験回数は担当者全体の閾値以上か、否かを判定し(S114)、依頼経験回数が閾値未満のときには、依頼先に補足情報を要(1)に設定し(S115)、依頼経験回数が閾値以上のときには、依頼先に補足情報を無(0)に設定する(S116)。
【0060】
次に、依頼先の依頼完了率は、本依頼内容の対象担当者全員平均と比較して高いか、否かを判定し(S117)、依頼先の依頼完了率が高くないときには、依頼先に実施手順情報を要(1)に設定し(S118)、依頼先の依頼完了率が高いときには、依頼先に実施手順情報を無(0)に設定する(S119)。
【0061】
次に、依頼内容の原文の単語置き換えを行う(依頼本文の言い換え生成)(S120)。なお、この処理は、後に、図21A図21C図22を用いて詳細に説明する。
【0062】
次に、S120の判定フラグの値に基づいて、該当情報を変調出力フォーマットに当てはめて、依頼内容の変調結果として出力する(S121)。
【0063】
次に、出力された依頼内容の変調結果を、図7の依頼内容記録テーブルに、格納する。
【0064】
次に、図16を用いて変調前テキスト、変調後テキストの一例について説明する。
図16に示されるように、変調前テキストは、「週報を書いて。なるはやで。」であったとする。
【0065】
変調後のテキストは、前提条件がなく、デフォルトの場合には、「週報を書いて。なるはやで。実施期限は、1月20日15時までです。」である。
【0066】
部下B(新人)の場合には、業務の経験が乏しいので、変調後のテキストは、「業務状況(週報)を記入して。今日中に。実施期限は、1月18日17時までです。実施方法は、共通ドライブの表計算ファイルに文字を追記することです。不明点は、Aさんに相談してみてください。」のように、業務遂行のための支援者情報が示され、依頼先である担当者が助言を請うことのできる担当者の氏名や窓口や連絡先などが示唆される。
【0067】
部下D(新人)の場合には、「週報を書いて。なるはやで。実施期限は、1月19日15時までです。[補足]周囲に該当メンバがいたら声掛けしてください。」のように、依頼元の依頼内容原文に近いが、職責に応じた補足情報が付加される。
【0068】
次に、図17を用いて依頼内容変調出力フォーマットの一例について説明する。
依頼内容変調出力フォーマット300は、依頼内容の変調時にテキストを当てはめるテンプレートであり、基本出力フォーマット310、部分出力フォーマット320A~320Eからなる。
【0069】
基本出力フォーマット310は、<依頼本文>欄310a、<依頼期限>欄310b、<依頼実施手順>欄310c、<補足>欄310d、<支援者情報>欄310eに、それぞれ部分出力フォーマット320A~320Eを当てはめる仕組みを有する。
【0070】
部分出力フォーマット320Aには、依頼本文として、依頼元の原文に基づき、変調実施後の依頼内容の文字列を当てはめる。
【0071】
部分出力フォーマット320Bには、実施期限として、依頼元の指定期限に対して、依頼先の担当者の業務遂行能力や業務種別に準じた調整値(日付X,時間Y)を加えたものを当てはめる。
【0072】
部分出力フォーマット320Cには、実施手順として、要否フラグに応じて、実施手順情報を当てはめる。
【0073】
部分出力フォーマット320Dには、補足情報として、要否フラグに応じて、該当する補足情報を当てはめる。
【0074】
部分出力フォーマット320Eには、支援者情報として、要否フラグに応じて、該当する補足情報を当てはめる。
【0075】
依頼内容変調出力フォーマットは、システム設定により可変である。例えば、基本出力フォーマット内における部分出力フォーマットの表示順序(A,B,C,D,E)を入れ替えたり、部分出力フォーマットで表示する項目内容(長方形で示される当てはめ項目欄の部分)やその前後にある定型文章を任意に編集、変更することが可能である。
なお、データと処理の詳細については後に説明する。
【0076】
次に、図18を用いて依頼内容の難易度を算出する流れについて説明する。
依頼内容が、「週報を書いて。なるはやで。」であったとする。
【0077】
次の依頼単語内容抽出処理では、図10Bに示される単語辞書テーブルの単語表現とマッチングする依頼内容の単語を抽出する。
抽出される単語は、「週報」単語a1、「書いて」単語a2、「なるはや」単語a3である(図10Bの太枠)。
【0078】
次に、図18に示されるように、各々単語表現レベルに、単語辞書テーブルの行動と対象の加重平均の和にさらに、指針の比重合計をかけた加重平均をとる。
【0079】
すなわち、加重平均を行うことによって、依頼難易度をより利用者目線の現実に近付けることができ、加重平均により、依頼内容の難易度(達成に必要な業務遂行能力の量)が最適化される。
【0080】
このように、行動ごとに、依頼比重をかけるのは、対象物(週報)に対する行動(読む/書く)が異なれば、相手への要求能力が変わるためであり、この行動に対する要求能力の重み付けを、技術的に反映するためである。
【0081】
例えば、「週報を読んで」の場合は、文章を読み取って、意味を理解するだけなので、作業として容易と考えられるが、「週報を書いて」は、ある目的に沿って用語や表現を取捨選択し、文章を考案するため、作業として難解と考えられるためである。
【0082】
なお、依頼難易度とは別個に、依頼内容として、例えば、「2020年1月20日15時まで」のような「依頼期限」が設定される。「依頼期限」は、該当組織の営業日(例えば平日日中のみ。土曜/日曜/祝日および特別休業を除く)が期限設定対象日として扱われる。ただし、依頼期限に対して、依頼通知当日および依頼回答受付日を、営業日に含めるか含めないかについては、システム設定により可変である。例えば、依頼者が1月14日(月曜)に依頼期限1月20日(月曜)で依頼内容を発信したとする。このとき、依頼回答受付日を営業日に含める条件であれば、依頼期限はそのまま1月20日(月曜)として設定される。しかし、依頼回答受付日を営業日に含めない条件であったなら、1月20日(月曜)の直前の営業日を選択することになる。ここで、もし1月18日(土曜)と1月19日(日曜)が休業日テーブルにおいて休業日と設定されていた場合、直前の営業日は1月17日(金曜)として設定される。このように、依頼元が希望する依頼期限と、依頼内容の種類(依頼種別に同じ)と、組織の休業日や非推奨日などとの組合せにより、依頼先となる担当者に与えられる依頼内容の実施猶予時間は変動する。
【0083】
次に、図19を用いて依頼先相手の業務遂行実績(最新の傾向)を算出する流れについて説明する。
先ず、図8に示した依頼実行結果記録テーブルの情報より、図19(a)に示されるような業務遂行実績テーブルを作成する。なお、業務遂行実績テーブル内の数値(業務遂行実績)は、各々のタスク区分によって異なる。具体的には、依頼内容の成否(0/1)、依頼内容の上長評価(点数:0~100)、依頼内容の応答時間(日数/時間)、経験回数成績(件数,有無)などがある。
【0084】
次に、各々のタスク区分において、一定期間(下記例では1ヶ月単位)における業務遂行結果を集計し、区間小計を導き、図19(b)に示されるような「タスク区分001」における業務遂行実績の区間集計を得る。
【0085】
次に、図19(c)に示されるような「タスク区分001」における業務遂行実績の移動平均(MA:Moving Average)のテーブルを作成する。
すなわち、月ごとに、直前3要素を計算対象値とする移動平均(3MA)をとる。なお、前提となる計測値がなく、算出できない場合はN/A(Not Available)と表記する。このような移動平均(直前3個の平均値)により、実績の変動が平滑化され、未実施(0)や異常値(直前の実績が、偶発的に過去の何倍も高いあるいは低い場合)などの特異点が現れにくくなり、業務遂行能力を客観的かつ機械的に推定できるようになる。
【0086】
次に、図20を用いて依頼先の業務遂行実績を算出する処理について説明する。
この処理では、依頼先相手Xの業務遂行能力算出するものとする。
先ず、依頼元の依頼内容入力データから依頼種別(A)を読込む(S200)。
次に、図5の担当者能力テーブルより、依頼先相手Xの業務遂行能力x(直近の最新)を読込む(S201)。
次に、依頼種別Aにおける依頼先相手Xの業務遂行実績yを計算する(S202)。
【0087】
次に、図8の依頼実行結果記録テーブルを参照し、依頼種別Aにおける依頼先相手Xの実施結果評価wを読込む(S203)。これは、図19で示した例である。
次に、図8の依頼実行結果記録テーブルを参照し、依頼種別Aにおける依頼先相手Xの依頼応答反応時間vを読込む(S204)。
【0088】
次に、読み出した数値(x,y,v,w)から依頼種別Aにおける依頼先相手Xの最新の業務遂行能力(α)を、以下の(式1)に基づいて算出する(S205)。
【0089】
依頼先相手Xの依頼種別(A)における業務遂行能力(α)=基礎となる業務遂行能力(x)+Σ{業務遂行実績(y)×(基準時間-依頼実行反応時間(v))×依頼結果評価(w)} …(式1)
ここで、Σは、業務支援情報DB(図5図7図8に格納されている過去の依頼実施記録)から該当するすべての要素を抽出した合算値を算出することを意味する。
【0090】
次に、算出結果αを、対象担当者Xの最新の業務遂行能力として、図5の担当者能力テーブルに保存する(S206)。
【0091】
次に、図21Aないし図21Cを用いて依頼内容の変調における単語変換処理について説明する。なお、この単語変換処理の説明において、便宜上、ソフトウェアプログラムにおける配列変数の概念と記載表現を用いることをあらかじめ宣言する。
【0092】
先ず、単語変換処理を行う前処理として、作業変数の初期化を行う(S300)。
次に、依頼元の依頼内容原文を読み込む(S301)。
次に、単語辞書テーブル(図10A)を用いて、依頼原文に含まれる単語eを検出し、その検出単語合計数をEとして、作業メモリに設定する。また、単語eが所属する行動Noの単語登録件数N(最大値)を作業メモリに設定する(S302)。
次に、担当者能力テーブル(図5)を用いて、依頼先担当者Xの業務遂行能力xを読込む(S303)。
次に、業務遂行能力判断テーブル(図9)を用いて、依頼担当者Xの業務遂行能力xに該当する単語表現レベル基準値yを設定する(S304)。
【0093】
この後、S305からS319に至るまでをループ1の処理として、S305からS318で示される各処理ステップを繰り返し行う。ループ1においてはループ変数としてiを用いる。ループ1の最大処理回数は依頼原文の検出単語合計数Eである。
【0094】
先ず、単語辞書テーブル(図10A)を用いて、単語e(i)に対応する単語表現レベルm(i)を読込む(S306)。
【0095】
次に、単語表現レベルm(i)の値を、単語表現レベル調整値Y(i)に設定する。ここで単語表現レベル調整値Y(i)は、単語表現レベルの調整を行うための一時変数である。(S307)。
【0096】
次に、単語表現レベル調整値Y(i)は、依頼先担当者の単語表現レベル基準値yと比較して数値が低いか否かを判定し(S308)、単語表現レベル調整値Y(i)が低いときにはS309へ移行し、単語表現レベル調整値Y(i)が同等もしくは高いときにはS310へ移行する。
【0097】
単語表現レベル調整値Y(i)が単語表現レベル基準値yよりも低いときには、依頼先担当者の業務遂行能力に対して依頼内容の単語表現は易しいと見なして、単語の置き換えは不要と判定し、単語置き換え結果M(i)に対し、単語e(i)をそのまま設定する(S309)。
【0098】
次に、依頼原文の検出単語(E個)をすべてを処理したか否かを判定し、依頼原文の検出単語(E個)をすべてを処理したときには、ループ1の処理を終了し、次の単語へ移行する(ループ変数iのインクリメント)(S318)。
【0099】
単語表現レベル調整値 Y(i)が単語表現レベル基準値yと同等もしくは高いときには、単語表現レベル調整値 Y(i)に対して、単語表現調整値Gに従って数値の加減算を行う(S310)。すなわち、Y(i)=Y(i)±Gとする。これは、依頼先担当者の業務遂行能力を基準として、単語表現レベルの比較調整幅を加減するという意図である。ここで、単語表現調整値Gは、システム設定により可変である。
【0100】
次に、S311からS317に至るまでをループ2の処理として、S312~S316で示される各処理ステップを繰り返し行う。ループ2においてはループ変数としてjを用いる。ループ2の最大処理回数は、単語登録テーブルで単語e(i)が所属する行動Noの単語登録件数Nである。
【0101】
先ず、単語辞書テーブル(図10A)を用いて、単語e(i)が所属する行動Noレコードの単語登録内容から、1番目の単語表現レベルを検索し、k(j)とする。(S312)。
【0102】
次に、単語表現レベルY(i)に最も近い単語表現レベルk(j)は存在するか否かを判定し(S313)、最も近い単語表現レベルk(j)が存在するときには、単語置き換え結果M(i)に対し、単語表現レベルk(j)と紐付く単語K(j)を設定する。これは、依頼先担当者の業務遂行能力により適した依頼表現になるように単語の置き換えを行うという意図である。この置き換え処理は、単語辞書テーブルで単語e(i)が所属する行動Noの単語登録件数Nになるまで繰り返される。すなわち、最良の単語選択が行われる(S314)。
【0103】
一方、最も近い単語表現レベルk(j)が存在しないときには、単語置き換え結果M(i)に対し、単語表現レベルk(i)と紐付く単語m(i)を設定する。これは、依頼先担当者の業務遂行能力に適した依頼表現が単語辞書テーブル上になく、単語の置き換えができないため該当単語はそのままにするという意図である。この場合、ループ2は途中で離脱となり(S315)ループ1へ復帰し、次の単語へ移行する(S318)。
【0104】
ループ1の処理の終了後、作業メモリから単語置き換え結果M(1)~M(E)を順次読出し(S320)、単語置き換え結果M(1)~M(N)を確定メモリに出力保存する(S321)。
【0105】
次に、図22を用いて依頼内容における単語置き換えの一例について説明する。
依頼元からの依頼内容原文が、「週報を書いて。なるはやで。」であったとする。この原文の意味するところは「あなた(依頼先担当者)が担当している業務の今週の実施内容を指定フォーマットに沿って期限内に報告してください。なるべく早く対応してください」である。
【0106】
依頼単語内容の抽出処理では、先ず、図10Bに示されるように単語辞書テーブルの「単語表現」登録項目と合致する依頼内容の単語を個々に抽出する。
【0107】
すなわち、依頼元の依頼内容の原文(A)から、単語辞書テーブルに登録された単語表現のワード(名詞,動詞,副詞)を用いて特定の単語(a)を抽出する。
【0108】
次に、その特定の単語(a)の単語表現レベル(a′)と依頼先相手(担当者X)の業務遂行能力(x)に基づく業務遂行能力判断テーブルの依頼表現レベル基準(y)とを比較し、依頼先相手の依頼表現レベル基準(y)の方が低かった場合、単語(a)と同じ「行動No」「行動区分」「行動名」レコードから、依頼先相手の依頼表現レベル基準と同等以下となる単語表現レベル(b′)の単語表現の中で、単語表現レベルが最上位となる単語表現を選択し、その単語(b)を原文の単語(a)と置き換える。
【0109】
具体例を示すと、図8の依頼実行結果記録テーブルの解析の結果、部下Eの業務遂行能力が、150、行動実績が、業務経験値ありの場合は、単語の置き換えは発生しない。
【0110】
部下Fの業務遂行能力が、80、行動実績が、業務経験値あり、支援ありの場合は、単語a3「なるはや」を、単語b3「なるべく早く」(単語表現レベル:70)に変換する。
【0111】
部下Gの業務遂行能力が、100、行動実績が、業務経験値なし、支援ありの場合は、単語a1「週報」を、単語b1「業務報告書」(単語表現レベル:90)、単語a2「書いて」を、単語b2「記入して」(単語表現レベル:90)、単語a3「なるはや」を、単語b3「できる限り早く」(単語表現レベル:100)に変換する。
【0112】
次に、図23Aないし図26Bを用いて業務支援システムのユーザインタフェースについて説明する。
先ず、図23Aおよび図23Bを用いて依頼元の依頼内容入力画面の一例について説明する。
【0113】
図23Aの依頼内容入力画面500、図23Bの依頼内容入力画面510は、依頼元端末10に表示される画面であり、依頼元が依頼内容を入力する画面である。依頼内容入力画面500は、スマートフォンにおける専用アプリやWebブラウザによる画面であり、依頼内容入力画面510は、PCにおけるWebブラウザによる画面である。
【0114】
図23Aの依頼内容入力画面500は、依頼者メニュー501、依頼種別メニュー502、依頼先メニュー503、依頼内容入力欄504、依頼内容音声入力ボタン505、依頼期限入力欄506、依頼手順入力欄507、イメージ図メニュー509、入力ボタン520が表示される。
【0115】
依頼種別メニュー502、イメージ図メニュー509は、例えば、図23A左側にそれぞれ示したような項目(プルダウンメニュー)から選択する。
【0116】
依頼内容入力欄504は、実際の依頼内容をテキストで入力する欄であり、音声で入力するときには、依頼内容音声入力ボタン505をクリックする。イメージ図メニュー509は、後に説明するイメージ図を選択するメニューである。
図23Bの依頼内容入力画面510の表示要素も、同様である。
【0117】
次に、図24Aおよび図24Bを用いて変調結果確認画面の一例について説明する。
図24Aの変調結果確認画面700、図24Bの変調結果確認画面710は、依頼元端末10に表示される画面であり、依頼元が変調した結果を確認する画面である。変調結果確認画面700は、スマートフォンにおける専用アプリやWebブラウザによる画面であり、変調結果確認画面710は、PCにおけるWebブラウザによる画面である。
【0118】
図24Aの変調結果確認画面700は、依頼先メニュー701、原文表示欄702、変調結果表示欄703、修正ボタン704、依頼ボタン705、キャンセルボタン706が表示される。
【0119】
変調結果表示欄703は、原文表示欄702のテキストを変調した結果であり、依頼元が、それをカスタマイズしたいときには、修正ボタン704をタップする。
図24Bの変調結果確認画面710の表示要素も同様である。
【0120】
次に、図25Aおよび図25Bを用いて依頼内容通知画面の一例について説明する。
図25Aの依頼内容通知画面800、図25Bの依頼内容通知画面810は、依頼先端末20(20A,20Bまたは20C)に表示される画面であり、依頼元からの依頼内容を原文のまま、または、必要に応じて変調したテキストを、依頼先に通知する画面である。依頼内容通知画面800は、スマートフォンにおける専用アプリやWebブラウザによる画面であり、依頼内容通知画面810は、PCにおけるWebブラウザによる画面である。
【0121】
図25Aの依頼内容通知画面800には、依頼内容のポップアップ通知(バナー)801が表示される。
【0122】
図25Bの依頼内容通知画面810の表示要素も同様である。なお、依頼内容の通知動作や表示方法は依頼先端末に搭載されたOS(Operating System)やアプリケーションなどの環境によって個々に異なる。
【0123】
次に、図26Aおよび図26Bを用いて依頼内容応答画面の一例について説明する。
図26Aの依頼内容確認応答画面900、図26Bの依頼内容確認応答画面910は、依頼先端末20(20A,20Bまたは20C)に表示される画面であり、依頼先である担当者が、依頼内容を確認したり、依頼元に対して応答を返す画面である。依頼内容応答画面900は、スマートフォンにおける専用アプリやWebブラウザによる画面であり、依頼内容応答画面910は、PCにおけるWebブラウザによる画面である。
【0124】
図26Aの依頼内容応答画面900には、依頼内容表示欄901、スケジュール設定ラジオボタン902、イメージ図表示欄903、了解ボタン904、質問/相談ボタン905が表示される。
【0125】
依頼内容表示欄901には、依頼元からの依頼内容を原文のまま、または、必要に応じて変調したテキストが表示される。
【0126】
イメージ図表示欄903には、その依頼内容に関するイメージ図が表示される。イメージ図とは、依頼内容の実施像を表す図解であり、依頼先となる担当者が依頼内容を想像したり、作業に着手することを促すための情報である。
【0127】
依頼先の担当者が、依頼内容を確認し、了解したときには、了解ボタン904をタップする。依頼先の担当者が、通知された依頼内容について質問や相談を行うときには、質問/相談ボタン905をタップする。質問/相談を行う相手先は、依頼元の上司である場合もあるし、変調したテキストで示唆された支援者(アドバイザー)の場合もある。また、特定の相談窓口(コールセンターやヘルプデスク)であってもよい。
【0128】
図26Bの依頼内容確認応答画面910の表示要素も同様である。
次に、図27Aおよび図27Bを用いて依頼内容に対する依頼結果の確認および評価方法の一例について説明する。
【0129】
図27Aの依頼結果確認画面2000、図27Bの依頼結果確認画面2100は、依頼元端末10に表示される画面であり、依頼元が依頼した依頼内容の結果を確認および評価する画面である。依頼結果確認画面2000は、スマートフォンにおける専用アプリやWebブラウザによる画面であり、依頼結果確認画面2100は、PCにおけるWebブラウザによる画面である。
【0130】
図27Aの依頼結果確認画面には、依頼内容2001、イベント番号2002、依頼期限2003、ステータス2004、依頼先の担当者名2005、依頼先の担当者の個別ステータス2006、依頼先の担当者へ個別に連絡を行うボタン2007、依頼先の担当者の個別応答情報表示欄2008、依頼先の担当者の個別評価欄2009、OKボタン2010、キャンセルボタン2011が表示される。
図26Bの依頼結果確認画面2100の表示要素も同様である。
【0131】
業務支援装置100は、依頼Aで指定された依頼期限を経過すると、業務支援DBの依頼内容記録テーブル(図7)および依頼実行結果記録テーブル(図8)に格納されているログデータから依頼Aに関する応答時間や完了有無を読み出し、該当データの再集計や整形処理を行った上で、依頼実施結果として依頼元端末10へ通知する(図14D、S08)。
【0132】
依頼元の上司Zは、依頼元端末10に表示された依頼結果確認画面(図27A図27B)を通じて、依頼Aの実施結果を客観的に確認する。依頼元の上司Zは、依頼先である担当者の個別ステータス(完了/未完了)や応答時間(早い/遅い)や期限(遵守/超過)の結果を見比べることで、依頼内容に対する各担当者の行動や成果を査定し、担当者ごとに評価や採点を行う(図27A、2009)。ここで、上司Zは事実確認のため、必要に応じて依頼先である担当者へ個別に連絡を行うこともできる(図27A、2007)。採点後、依頼者の上司ZがOKボタンをタップすると、採点数値が業務支援装置100へ送信され、業務支援DBの依頼実行結果記録テーブル(図8)に格納される。
【0133】
依頼実行結果記録テーブル(図8)に依頼Aの採点数値が格納されることにより、次回以降の新たな依頼(依頼B、依頼Cなど)において、依頼先となる担当者の最新の業務遂行実績(図19)を算出するための対象データとして利用される。また、算出された業務遂行実績は担当者能力テーブル(図5)の更新にも用いられる。つまり、依頼Aの採点数値が、依頼先となる担当者の業務遂行実績に繋がり、次回以降の依頼内容の変調(単語の置き換えや依頼期限の調整)の根拠として反映され、変調処理の精度向上が行われる。この働きにより、依頼先の担当者の行動結果および依頼元の評価結果を根拠として、最新の業務実態に即した、個々の担当者に応じた適切な依頼表現を自動的かつ複数同時に行うことができる。
【0134】
以上説明してきたように、本実施形態によれば、依頼元の依頼内容である依頼本文および依頼期限を、依頼先となる各々の担当者の能力に応じて、変調することが可能である。
【0135】
そのため、依頼元の上司としては、一種類の依頼内容(依頼本文および依頼期限)を作成すれば、個々の依頼先の担当者の能力に応じて、その依頼内容を遂行するために適切な依頼表現を複数同時に、複数種類自動的に生成することができる。
【0136】
その結果、依頼元と依頼先、すなわち当事者間で認識相違を埋めるためにこれまで行われていた、依頼元が個々の担当者に応じて依頼内容を複数回言い換えるための説明回数や説明時間、あるいは依頼内容の不明点や関連情報を補足するための確認時間、あるいは相手先の応答や返信を待つことで発生する待機時間(不活動時間)、あるいは依頼に対して未応答の相手を追跡したり調査したり催促したりする管理時間(フォローアップ)の発生回数、発生頻度、発生作業量を低減することによって、業務コミュニケーション全体のコストを最小化することにより、依頼元と依頼先の双方が依頼内容である作業に早期着手することで、業務効率向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0137】
5…ネットワーク、10…依頼元端末、20…依頼先端末、100…業務支援装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図16
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図21B
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図22
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図24A
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図25A
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図26A
図26B
図27A
図27B
図28