(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ラビリンスシール及びガスタービン
(51)【国際特許分類】
F16J 15/447 20060101AFI20240229BHJP
F02C 7/28 20060101ALI20240229BHJP
F01D 5/20 20060101ALI20240229BHJP
F01D 11/08 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F16J15/447
F02C7/28 A
F02C7/28 B
F01D5/20
F01D11/08
(21)【出願番号】P 2020064025
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安東 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】下村 章一
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 直哉
(72)【発明者】
【氏名】牧野 真弥
(72)【発明者】
【氏名】山本 将大
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/006678(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/209018(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/447
F02C 7/28
F01D 5/20
F01D 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材に対向する第2部材と、を備え、
前記第1部材は、
軸方向に間隔をおいて配置され、前記第2部材に向かって延びる複数のシールフィンと、
最も下流側のシールフィンよりも下流側に位置し、前記第2部材に向かって延び、最も下流側のシールフィンの先端よりも半径方向において前記第2部材側に先端が位置する下流壁面と、
前記下流壁面の先端から軸方向下流側に向かって延びる第1出口面と、を有し、
前記第2部材は、
前記第1出口面に対向し、前記第1出口面との間に半径方向の隙間が形成される第2出口面と、
前記第2出口面よりも軸方向上流側で前記第2出口面に隣接し、前記第1部材とは反対側の方向に向かって窪んだキャビティ面と、を有する、ラビリンスシール。
【請求項2】
前記キャビティ面は断面視において湾曲している、請求項1に記載のラビリンスシール。
【請求項3】
前記第2出口面と前記キャビティ面との境界は、前記下流壁面と前記第1出口面との境界よりも軸方向下流側に位置している、請求項1又は2に記載のラビリンスシール。
【請求項4】
前記下流壁面と前記第1出口面とがなす角は90°よりも小さい、請求項1乃至3のうちいずれか一の項に記載のラビリンスシール。
【請求項5】
前記第2部材は、各シールフィンに対向する面を有し、
最も下流側のシールフィンに対向する第2部材の面の下流側端部から前記キャビティ面の底部分までの半径方向距離は、最も下流側のシールフィンの半径方向寸法よりも大きい、請求項1乃至4のうちいずれか一の項に記載のラビリンスシール。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか一の項に記載のラビリンスシールを備えたガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラビリンスシール及びガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンなどの回転機械では、回転体と静止体の間を気体が通過して漏れ出さないように、回転体と静止体の間にラビリンスシールが設けられる場合がある。ラビリンスシールは、回転体側の部材及び静止体側の部材のうちの一方に設けられて他方に向かって延びるシールフィンを備えるものがある(特許文献1参照)。シールフィンを用いることで、回転体側の部材と静止体側の部材との間の隙間(以下、「対向隙間」と称する)を小さくできる結果、気体の漏れ量を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シールフィンを備えるラビリンスシールでは、回転体が回転することによって、シールフィンの先端は対向する面に接触し摩耗する。その結果、対向隙間は徐々に拡大してゆき、シールフィンによる気体の漏れ量を抑制する効果が次第に低下してゆく。すなわち、シールフィンを用いて対向間隔を小さくすることによる漏れ量の抑制には限界がある。
【0005】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであって、出口部分で気体の漏れ量を効果的に抑制できるラビリンスシール及びガスタービンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るラビリンスシールは、第1部材と、前記第1部材に対向する第2部材と、を備え、前記第1部材は、軸方向に間隔をおいて配置され、前記第2部材に向かって延びる複数のシールフィンと、最も下流側のシールフィンよりも下流側に位置し、前記第2部材に向かって延び、最も下流側のシールフィンの先端よりも半径方向において前記第2部材側に先端が位置する下流壁面と、前記下流壁面の先端から軸方向下流側に向かって延びる第1出口面と、を有し、前記第2部材は、前記第1出口面に対向し、前記第1出口面との間に半径方向の隙間が形成される第2出口面と、前記第2出口面よりも軸方向上流側で前記第2出口面に隣接し、前記第1部材とは反対側の方向に向かって窪んだキャビティ面と、を有する。
【0007】
この構成によれば、最も下流側のシールフィンを通過した気体は、下流壁面に衝突した後、下流壁面に沿って流れ、さらにキャビティ面に沿って流れる。これにより、最も下流側のシールフィン、下流壁面、及び、キャビティ面で囲まれた下流空間に渦が発生する。その結果、下流空間の出口にあたる第1下流面と第2下流面との間の隙間寸法が多少大きくとも、第1下流面と第2下流面との隙間から気体が流れ出るのを抑制することができる。したがって、上記のラビリンスシールによれば、出口部分で気体の漏れ量を効果的に抑制することができる。
【0008】
本発明の一態様に係るガスタービンは、上記のラビリンスシールを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、出口部分で気体の漏れ量を効果的に抑制できるラビリンスシール及びガスタービンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るラビリンスシールの断面図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態に係るラビリンスシールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について説明する。はじめに、第1実施形態に係るラビリンスシール100について説明する。
【0012】
図1は、第1実施形態に係るラビリンスシール100の断面図である。ラビリンスシール100は、ガスタービンなどの回転機械に設けられる。より具体的には、ラビリンスシール100は、ケーシングなどの静止体とシャフトなどの回転体との間に設けられる。したがって、ラビリンスシール100は環状に形成されている。
【0013】
図1の紙面左右方向がラビリンスシール100の軸方向であり、紙面上下方向がラビリンスシール100の半径方向である。また、紙面上方がラビリンスシール100の半径方向外方であり、紙面下方がラビリンスシール100の半径方向内方である。さらに、
図1において、紙面左側が高圧側であり、紙面右側が低圧側である。すなわち、気体は紙面左側から紙面右側に向かって流れようとし、紙面左側が気体の上流側となり、紙面右側が気体の下流側となる。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係るラビリンスシール100は、第1部材10と、第2部材20と、を備えている。本実施形態では、第1部材10は回転体の外周部分に設けられており、第2部材20は静止体の内周部分に設けられている。以下、第1部材10及び第2部材20について順に説明する。
【0015】
<第1部材>
第1部材10は、前述のとおり回転体の外周部分に設けられており、円筒状の形状を有している。第1部材10は、入口面11と、傾斜面12と、下流壁面13と、第1出口面14と、複数のシールフィン15とを有している。
【0016】
入口面11は、第1部材10の最も上流側に位置する部分であって、最も上流側のシールフィン15よりもさらに上流側に位置している。本実施形態の入口面11は、軸方向に対して平行に延びている。つまり、入口面11は、軸方向において半径方向位置が一定となるように形成されている。
【0017】
傾斜面12は、入口面11よりも下流側で入口面11と隣接する部分である。本実施形態では、傾斜面12は下流側の部分が上流側の部分よりも半径方向外方側に位置するように傾斜している。なお、本実施形態の傾斜面12は断面視において一直線状に傾斜しているが、階段状に傾斜していてもよい。また、傾斜面12は断面視において曲線形状であってもよく、直線形状と組み合わせた形状であってもよい。
【0018】
下流壁面13は、傾斜面12よりも下流側で傾斜面12と隣接する部分である。本実施形態の下流壁面13は、傾斜面12から続く基端部分が湾曲しており、先端部分は第2部材20に向かって延びている。また、下流壁面13の先端は、最も下流側のシールフィン15の先端よりも半径方向において第2部材20側(本実施形態では半径方向外方側)に位置している。さらに、下流壁面13と最も下流側のシールフィン15との間の軸方向距離は、隣り合うシールフィン15の間の軸方向距離に等しい。
【0019】
第1出口面14は、下流壁面13よりも下流側で下流壁面13と隣接する部分である。第1出口面14は、第1部材10の最も下流側に位置している。本実施形態の第1出口面14は、軸方向において半径方向位置が一定となるように形成されている。つまり、第1出口面14は、下流壁面13の先端から軸方向下流側に向かって延びている。ただし、第1出口面14は、軸方向において半径方向位置が一定でなくてもよい。また、本実施形態では、下流壁面13と第1出口面14とがなす角は90°よりも小さい。
【0020】
シールフィン15は、第1部材10から第2部材20に向かって延び、第2部材20との間には半径方向の隙間が形成されている。各シールフィン15は、傾斜面12に設けられており、軸方向に等間隔に配置されている。シールフィン15は半径方向に延びていてもよく、半径方向に対して傾斜する方向に延びていてもよい。
【0021】
シールフィン15の先端は断面視において鋭角に形成されているが、シールフィン15の先端の形状はこれに限定されない。また、本実施形態の各シールフィン15は、互いに同じ形状で、かつ、同じ大きさに形成されている。ただし、シールフィン15の形状及び大きさは特に限定されない。さらに、本実施形態の第1部材10は4つのシールフィン15を有しているが、第1部材10が有するシールフィン15の数は特に限定されない。
【0022】
なお、シールフィン15と第2部材20との間の半径方向における隙間寸法に比べて、第1出口面14と第2部材20(第2出口面22)との間の半径方向における隙間寸法は大きい。
【0023】
<第2部材>
第2部材20は、第1部材10と対向する部材である。第2部材20は、静止体の内周部分に設けられており、円筒状の形状を有している。第2部材20は、複数のステップ面21と、第2出口面22と、キャビティ面23と、を有している。
【0024】
ステップ面21は、前述したシールフィン15に対応して配置されている。そのため、各ステップ面21は、各シールフィン15に対向している。各ステップ面21は、シールフィン15との間に半径方向の隙間が形成されている。また、本実施形態の第2部材20は、シールフィン15と同じ数である4つのステップ面21を有している。ただし、第2部材20が有するステップ面21の数は特に限定されない。
【0025】
また、各ステップ面21は、軸方向に対して平行に延びている。つまり、各ステップ面21は、軸方向において半径方向位置が一定となるように形成されている。さらに、各ステップ面21は、配置されている位置が下流側であるほど半径方向外方側に位置している。したがって、複数のステップ面21全体としては、下流側に向かうにしたがって半径方向外方側に位置するように傾斜している。
【0026】
第2出口面22は、第2部材20の最も下流側に位置している。第2出口面22は、第1出口面14と対向している。また、第1出口面14と第2出口面22との間には隙間が形成されている。ただし、前述のとおり、シールフィン15と第2部材20との間の半径方向における隙間寸法に比べて、第1出口面14と第2出口面22との間の半径方向における隙間寸法は大きい。
【0027】
本実施形態の第2出口面22は、軸方向において半径方向位置が一定となるように形成されている。そのため、第1部材10と第2部材20の軸方向における相対位置が多少ずれたとしても、第1出口面14と第2出口面22との間の半径方向の隙間寸法は変動せずに一定のまま維持される。
【0028】
キャビティ面23は、最も下流側のステップ面21に接続されている。また、キャビティ面23は、第2出口面22よりも上流側で第2出口面22に隣接している。つまり、キャビティ面23は、最も下流側のステップ面21と第2出口面22の間に位置している。キャビティ面23は、第1部材10とは反対側の方向(本実施形態では半径方向外方)に向かって窪んでいる。つまり、キャビティ面23の底部分は、第1部材10から見て第2出口面22よりも遠くに位置している。
【0029】
本実施形態のキャビティ面23は断面視において湾曲しているが、断面視において直線の辺をつなげたような形状など、他の形状を有していてもよい。また、最も下流側のステップ面21の下流側端部からキャビティ面23の底部分までの半径方向距離は、最も下流側のシールフィン15の半径方向寸法よりも大きい。さらに、第2出口面22とキャビティ面23との境界は、下流壁面13と第1出口面14との境界よりも軸方向下流側に位置している。
【0030】
なお、第2部材20は、各シールフィン15をそれぞれ基準としたとき、そのシールフィン15よりも下流側に位置する第2部材20の部分が、そのシールフィン15と軸方向視において重複しないように形成されている。例えば、最も上流側のシールフィン15を基準としたとき、最も上流側のシールフィン15よりも下流側に位置する第2部材20の部分は、最も上流側に位置するシールフィン15よりも半径方向外方側に位置しており、軸方向視において最も上流側のシールフィン15とその下流側に位置する第2部材20の部分は重複していない。そのため、第1部材10を構成する部分と第2部材20を構成する部分を接触させることなく、軸方向に回転体を静止体に挿入して両者を組み付けることができる。
【0031】
<気体の流れ>
次に、第1部材10と第2部材20の間を通過しようとする気体の流れについて説明する。ここで、最も下流側のシールフィン15、下流壁面13、及び、キャビティ面23で囲まれた空間30を「下流空間」と呼ぶとする。そうすると、下流空間30の入口である下流側のシールフィン15と第2部材20の間の隙間を通過した空気は軸方向に沿って流れた後、下流壁面13に衝突する。その後、気体は、半径方向外方に向かう流れと、半径方向内方に向かう流れに分かれる。
【0032】
半径方向下方に向かって流れた気体は、最も下流側のシールフィン15の先端よりも半径方向内方側の領域で第1渦V1を形成する。一方、半径方向上方に向かって流れた気体は、下流壁面13に沿って流れた後、下流空間30の出口である第1出口面14と第2出口面22の間を越えて、キャビティ面23に沿って流れる。これにより、気体は、最も下流側のシールフィン15の先端よりも半径方向外方側の領域で大きな第2渦V2を形成する。その結果、下流空間30の出口を通過する空気の流れ(
図1の破線の矢印)が抑制され、ラビリンスシール100の出口部分で気体の漏れ量を効果的に抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態では、第2出口面22とキャビティ面23との境界は、下流壁面13と第1出口面14との境界よりも軸方向下流側に位置している。さらに、下流壁面13と第1出口面14とがなす角は90°よりも小さい。そのため、下流壁面13に沿って、半径方向外方に向かって流れた気体は、第1出口面14から剥離しやすくなる。その結果、下流空間30の出口における流路面積は実質的に小さくなり、下流空間30の出口を通過する空気の流れが一層抑制される。
【0034】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るラビリンスシール200について説明する。
図2は、第2実施形態に係るラビリンスシール200の断面図であり、第1実施形態の
図1に相当する。なお、
図2に示す構成要素のうち、
図1に示す構成要素と同じ又は対応するものには同じ符号を付し、既に説明した構成要素については説明を省略する。
【0035】
第1実施形態に係るラビリンスシール100は、第1部材10が回転体の外周部分に設けられ、第2部材20が静止体の内周部分に設けられていたのに対し、第2実施形態に係るラビリンスシール200は、第1部材10が静止体の内周部分に設けられており、第2部材20が回転体の外周部分に設けられている点で、両者は相違する。
【0036】
本実施形態に係るラビリンスシール200では、第1実施形態の場合とは異なり、傾斜面12は下流側の部分が上流側の部分よりも半径方向下方側に位置するように傾斜している。また、複数のステップ面21は、全体として下流側に向かうにしたがって半径方向外方側に位置するように傾斜している。
【0037】
ただし、本実施形態においても、第1部材10は下流壁面13を有し、第2部材20はキャビティ面23を有している。そのため、気体は、下流空間30において、最も下流側のシールフィン15の先端よりも半径方向内方側の領域で大きな第2渦V2を形成する。その結果、下流空間30の出口を通過する空気の流れ(
図2の破線の矢印)が抑制され、ラビリンスシール100の出口部分で気体の漏れ量を効果的に抑制することができる。
【0038】
(作用効果)
以上、第1実施形態及び第2実施形態に係るラビリンスシールについて説明した。上記のとおり、実施形態に係るラビリンスシールは、第1部材と、前記第1部材に対向する第2部材と、を備え、前記第1部材は、軸方向に間隔をおいて配置され、前記第2部材に向かって延びる複数のシールフィンと、最も下流側のシールフィンよりも下流側に位置し、前記第2部材に向かって延び、最も下流側のシールフィンの先端よりも半径方向において第2部材側に先端が位置する下流壁面と、前記下流壁面の先端から軸方向下流側に向かって延びる第1出口面と、を有し、前記第2部材は、前記第1出口面に対向し、前記第1出口面との間に半径方向の隙間が形成される第2出口面と、前記第2出口面よりも軸方向上流側で前記第2出口面に隣接し、前記第1部材とは反対側の方向に向かって窪んだキャビティ面と、を有する。
【0039】
この構成によれば、最も下流側のシールフィンを通過した気体は、下流壁面に衝突した後、下流壁面に沿って流れ、さらにキャビティ面に沿って流れる。これにより、最も下流側のシールフィン、下流壁面、及び、キャビティ面で囲まれた下流空間に渦が発生する。その結果、下流空間の出口にあたる第1下流面と第2下流面との間の隙間寸法が多少大きくとも、第1下流面と第2下流面との隙間から気体が流れ出るのを抑制することができる。したがって、上記のラビリンスシールによれば、出口部分で気体の漏れ量を効果的に抑制することができる。
【0040】
また、実施形態に係るラビリンスシールでは、前記キャビティ面は断面視において湾曲している。
【0041】
この構成によれば、キャビティ面に沿って気体が滑らかに流れるため、上記の下流空間においてより強い渦を発生することができ、ひいてはラビリンスシールの出口部分で気体の漏れ量をより効果的に抑制することができる。
【0042】
また、実施形態に係るラビリンスシールでは、前記第2出口面と前記キャビティ面との境界は、前記下流壁面と前記第1出口面との境界よりも軸方向下流側に位置している。
【0043】
この構成によれば、下流壁面に沿って、半径方向外方に向かって流れた気体は、第1出口面から剥離しやすくなる。その結果、下流空間の出口を通過する空気の流れを一層抑制することができ、ラビリンスシールの出口部分で気体の漏れ量をより効果的に抑制することができる。
【0044】
また、実施形態に係るラビリンスシールでは、前記下流壁面と前記第1出口面とがなす角は90°よりも小さい。
【0045】
この構成の場合も、下流壁面に沿って、半径方向外方に向かって流れた気体は、第1出口面から剥離しやすくなる。その結果、下流空間の出口を通過する空気の流れを一層抑制することができ、ラビリンスシールの出口部分で気体の漏れ量をより効果的に抑制することができる。
【0046】
また、実施形態に係るラビリンスシールでは、前記第2部材は、各シールフィンに対向する面を有し、最も下流側のシールフィンに対向する第2部材の面の下流側端部から前記キャビティ面の底部分までの半径方向距離は、最も下流側のシールフィンの半径方向寸法よりも大きい。
【0047】
この構成によれば、気体の流れがキャビティ面によって大きく偏向されるため、下流空間においてより強い渦を発生することができ、ひいてはラビリンスシールの出口部分で気体の漏れ量をより効果的に抑制することができる。
【0048】
また、実施形態に係るガスタービンは、上述したラビリンスシールを備えている。
【符号の説明】
【0049】
10 第1部材
13 下流壁面
14 第1出口面
15 シールフィン
20 第2部材
22 第2出口面
23 キャビティ面
100、200 ラビリンスシール