(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】振れ角度検出装置
(51)【国際特許分類】
B66C 13/22 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B66C13/22 R
(21)【出願番号】P 2020080916
(22)【出願日】2020-05-01
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】塙 裕彰
(72)【発明者】
【氏名】山崎 峻一
(72)【発明者】
【氏名】坂野 肇
(72)【発明者】
【氏名】西川 貴章
(72)【発明者】
【氏名】水崎 紀彦
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-018556(JP,A)
【文献】特開2015-147629(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0008351(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤロープを用いて吊り荷を吊り上げるクレーンに設置され、前記ワイヤロープの振れ角度を検出する振れ角度検出装置であって、
前記クレーンの吊り上げ部に設置される固定部と、
前記吊り上げ部から垂らされた前記ワイヤロープと係合するワイヤ係合部と、
前記固定部に対する姿勢を可変として前記固定部と前記ワイヤ係合部とを連結する連結部と、
前記連結部に設置され、重力方向を基準として第1ロール角及び第1ピッチ角を検出する第1慣性センサと、
前記固定部に設置され、重力方向を基準として第2ロール角及び第2ピッチ角を検出する第2慣性センサと、
前記第1ロール角から前記第2ロール角を差し引いた角度値、及び、前記第1ピッチ角から前記第2ピッチ角を差し引いた角度値の少なくとも一方を用いて前記振れ角度を求める制御部と、
を備える、振れ角度検出装置。
【請求項2】
前記第1ロール角の検出軸である第1ロール軸と、前記第2ロール角の検出軸である第2ロール軸とは、重力方向視で互いに平行であり、
前記第1ピッチ角の検出軸である第1ピッチ軸と、前記第2ピッチ角の検出軸である第2ピッチ軸とは、重力方向視で互いに平行である、請求項1に記載の振れ角度検出装置。
【請求項3】
前記第1慣性センサと前記第2慣性センサとは、互いに同一の仕様である、請求項1又は2に記載の振れ角度検出装置。
【請求項4】
前記ワイヤ係合部は、ローラ同士で前記ワイヤロープをクランプするクランプ部であり、
前記連結部は、
前記固定部に接続される固定接続部と、該固定接続部に対して2軸の連結軸を介して連結する可動接続部とを有するユニバーサルジョイントと、
前記可動接続部に一端が接続され、前記クランプ部に他端が接続されるロッドと、
を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の振れ角度検出装置。
【請求項5】
前記ロッドは、前記可動接続部に接触するフランジを有し、
前記第1慣性センサは、前記フランジに取り付けられる、請求項4に記載の振れ角度検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吊り荷を保持したワイヤロープの振れ角度を検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場や港湾等で使用されるクレーンに設置して、吊り荷を保持したワイヤロープの振れ角度を検出する振れ角度検出装置に関連する技術がある。振れ角度検出装置で検出された振れ角度値は、クレーンにおける振れ止め制御に用いられる。
【0003】
特許文献1は、クレーンに用いられる、ワイヤロープに取り付けられた過巻き検出リミットスイッチ用の重錘にMEMS(Micro electro mechanical system)慣性センサを設けた振れ角度検出装置に関連する技術を開示している。このような振れ角度検出装置は、重錘に設けられた慣性センサの出力に基づいて振れ角度を求めるので、簡単な機構で、高精度かつリアルタイムで振れ止め制御を行うのに有利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている振れ角度検出装置に採用される慣性センサとしては、例えば、重力方向、すなわち、重力加速度がかかる方向を基準として既定の軸周りの角度を検出する加速度センサが挙げられる。しかし、加速度センサでは、クレーンの動作方向に沿って発生する加速度に起因して、基準とする重力方向の認識にずれが生じ、その結果、検出された振れ角度に、実際の振れ角度に対する誤差が含まれる場合があり得る。
【0006】
そこで、本開示は、検出された振れ角度の正確性を向上させるのに有利となる振れ角度検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、ワイヤロープを用いて吊り荷を吊り上げるクレーンに設置され、ワイヤロープの振れ角度を検出する振れ角度検出装置であって、クレーンの吊り上げ部に設置される固定部と、吊り上げ部から垂らされたワイヤロープと係合するワイヤ係合部と、固定部に対する姿勢を可変として固定部とワイヤ係合部とを連結する連結部と、連結部に設置され、重力方向を基準として第1ロール角及び第1ピッチ角を検出する第1慣性センサと、固定部に設置され、重力方向を基準として第2ロール角及び第2ピッチ角を検出する第2慣性センサと、第1ロール角から第2ロール角を差し引いた角度値、及び、第1ピッチ角から第2ピッチ角を差し引いた角度値の少なくとも一方を用いて振れ角度を求める制御部と、を備える。
【0008】
上記の振れ角度検出装置では、第1ロール角の検出軸である第1ロール軸と、第2ロール角の検出軸である第2ロール軸とは、重力方向視で互いに平行であり、第1ピッチ角の検出軸である第1ピッチ軸と、第2ピッチ角の検出軸である第2ピッチ軸とは、重力方向視で互いに平行であってもよい。第1慣性センサと第2慣性センサとは、互いに同一の仕様であってもよい。ワイヤ係合部は、ローラ同士でワイヤロープをクランプするクランプ部であり、連結部は、固定部に接続される固定接続部と、該固定接続部に対して2軸の連結軸を介して連結する可動接続部とを有するユニバーサルジョイントと、可動接続部に一端が接続され、クランプ部に他端が接続されるロッドと、を有してもよい。また、ロッドは、可動接続部に接触するフランジを有し、第1慣性センサは、フランジに取り付けられてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、検出された振れ角度の正確性を向上させるのに有利となる振れ角度検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る振れ角度検出装置の構成を示す側面図である。
【
図2】一実施形態に係る振れ角度検出装置の構成を示す正面図である。
【
図3】一実施形態に係る振れ角度検出装置の上端部を示す斜視図である。
【
図4】一実施形態に係る振れ角度検出装置の下端部を示す斜視図である。
【
図5】第1慣性センサ及び第2慣性センサの取付構造等を説明するための斜視図である。
【
図6】ワイヤロープの前後方向の振れ角度を求めるための概念図である。
【
図7】ワイヤロープの左右方向の振れ角度を求めるための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、実施形態に示す寸法、材料、その他、具体的な数値等は例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。また、実質的に同一の機能及び構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本開示に直接関係のない要素については図示を省略する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る振れ角度検出装置10の構成を示す側面図である。
図2は、振れ角度検出装置10の構成を示す正面図である。
図3は、振れ角度検出装置10の上端部を拡大した一部斜視図である。
図4は、振れ角度検出装置10の下端部を拡大した一部斜視図である。以下、各図を参照した説明では、「上」又は「下」との表現を用いる。ここで、「上」とは、おおよそ重力方向に沿った方向での上方を示す。一方、「下」とは、おおよそ重力方向に沿った方向での下方を示す。
【0013】
振れ角度検出装置10は、ワイヤロープ2を用いて吊り荷を吊り上げるクレーン1に設置され、吊り荷を保持したワイヤロープ2の振れ角度を検出する。振れ角度検出装置10が適用されるクレーン1は、本実施形態では、ジブ先端部1aからワイヤロープ2を垂らした状態で、ジブの起伏動作と旋回動作とを行うことができるジブクレーンである。振れ角度検出装置10は、クレーンの吊り上げ部としてのジブ先端部1aに設置される。
図1では、クレーン1本体の構成の一部として、綱車(シーブ)3が設置されているジブ先端部1aを概略的に示している。また、
図1では、綱車3に掛かるワイヤロープ2のうち、綱車3から吊り下げられている部分の一部のみが描画されている。
【0014】
また、本実施形態では、ジブの座標系として、XC、YC及びZCの各方向を規定する。ZC方向は、重力方向(鉛直方向)に沿って下から上に向かう方向である。XC方向とYC方向とは、それぞれ水平方向であり、互いに直交する。このうち、XC方向は、ジブの根元側からジブ先端部1aの側に向かう方向である。以下、XC方向を「前後方向」と表現する場合がある。YC方向は、ジブの旋回軸周りに描かれる円軌道に接する接線方向である。つまり、YC方向は、ジブの起伏中心軸と平行となる方向である。以下、YC方向を「左右方向」と表現する場合がある。
【0015】
振れ角度検出装置10は、固定部11と、連結部12と、ワイヤ係合部13と、第1慣性センサ14と、第2慣性センサ15と、制御部16とを備える。
【0016】
固定部11は、振れ角度検出装置10をジブ先端部1aに設置するに際して、ジブ先端部1aに固定される。また、固定部11は、連結部12を介してワイヤ係合部13を支持する。固定部11は、例えば、
図3に示すように、基板20と取付枠21とを有する。基板20は、例えば、ジブ先端部1aに固定部11が固定されたときに、ジブ先端部1aに予め設けられている歩廊の平面とおおよそ平行となる、金属製の平板部材である。この場合、基板20は、上方に向かう表面部20aと、下方に向かう裏面部20bとを含む。表面部20aには、取付枠21が連結される。裏面部20bには、連結部12が連結される。取付枠21は、固定部11をジブ先端部1aに固定するときに、直接的にジブ先端部1aに取り付けられる、金属製の構造体である。取付枠21は、例えば、それぞれ山形鋼で形成される2つの支持柱22と、取付板23とを含む。2つの支持柱22は、互いに間隔を空けて並列に配置される。支持柱22の一方の端部は、支持柱22が基板20の表面部20aに対して垂直方向に延伸するように、例えば溶接により表面部20aに連結される。支持柱22の他方の端部は、例えば溶接により取付板23の一表面に連結される。取付板23には、不図示であるが、予め複数の貫通穴が形成されている。一方、ジブ先端部1aには、不図示であるが、取付板23に形成されている複数の貫通穴に対応する位置に複数の貫通穴が形成されている。作業者は、これらの貫通穴のそれぞれにボルト24を貫通させてナット等を用いて締結することで、固定部11をジブ先端部1aに固定することができる。
【0017】
連結部12は、固定部11から吊り下げられ、固定部11に対する姿勢を可変として、固定部11とワイヤ係合部13とを連結する。本実施形態では、連結部12は、金属製のロッド30と、ユニバーサルジョイント33とを含む。
【0018】
ロッド30の上方側にある一端には、上端フランジ31が連結されている。一方、ロッド30の下方側にある他端には、下端フランジ32が連結されている。上端フランジ31及び下端フランジ32は、それぞれ、ロッド30の延伸方向に対して垂直な接続面を含む金属板である。上端フランジ31は、ユニバーサルジョイント33の一方の接続部である可動接続部33bに接続される。下端フランジ32は、ワイヤ係合部13の第2支持板46に接続される。
【0019】
ユニバーサルジョイント33は、固定部11に対してロッド30を一定範囲内での動きを許容しながら連結する自在継手である。ユニバーサルジョイント33は、
図3に示すように、固定接続部33aと、可動接続部33bと、連結軸33cとを含む。固定接続部33aは、固定部11の一部である基板20の裏面部20b(
図1参照)に接続される。可動接続部33bは、上記のとおり、ロッド30の一部である上端フランジ31に接続される。本実施形態では、ロッド30の姿勢は、
図1に示すように、ワイヤロープ2からおおよそ一定の距離で離間している裏面部20bから、ワイヤロープ2に向かって延伸する形となる。そのため、ワイヤロープ2が綱車3から重力方向に垂れ下がっているとき、可動接続部33b及び上端フランジ31の姿勢は、基板20の裏面部20bの垂線に対して一定角度で傾斜している形となる。連結軸33cは、ジブの起伏中心軸と平行である第1軸と、第1軸に直交する第2軸との2つの軸を有する。例えば、固定接続部33aが連結軸33cの第1軸を回転自在に支持し、可動接続部33bが連結軸33cの第2軸を回転自在に支持することで、可動接続部33bは、連結軸33cが有する2つの軸を基準として振れ動くことができる。この場合、可動接続部33bが、連結軸33cが有する2つの軸を含む平面に対して垂直な軸周りに回転する動作、すなわち、固定接続部33aに対するねじれは、予め抑止される。
【0020】
ワイヤ係合部13は、綱車3から垂らされたワイヤロープ2の一部と係合してワイヤロープ2の動きに追従し、ワイヤロープ2の姿勢の変化を連結部12に伝達する。本実施形態におけるワイヤ係合部13は、ローラ同士でワイヤロープ2をクランプするクランプ部である。クランプ部としてのワイヤ係合部13は、
図4に示すように、押えローラ機構40と、ベース41とを有する。
【0021】
押えローラ機構40は、それぞれ、おおよそ水平な回転軸を中心として回転する、固定ローラ42と、押えローラ43とを有する。固定ローラ42は、V溝ローラであり、ワイヤロープ2をV溝内でガイドしながら摺動させることができる。押えローラ43は、スプリングユニット44により、固定ローラ42の側に向かって付勢力を与えることができる。ワイヤロープ2は、固定ローラ42のV溝に係合しつつ、固定ローラ42と押えローラ43とに挟み込まれた状態に維持されるため、上下方向に摺動しても、押えローラ機構40から脱落しづらい。
【0022】
ベース41は、押えローラ機構40を支持し、かつ、ロッド30に支持される。ベース41は、例えば、金属板を加工して製作される金具である。ベース41は、押えローラ機構40を支持する第1支持板45と、第1支持板45に連続し、ロッド30の一部である下端フランジ32と接続される第2支持板46とを含む。第1支持板45は、固定ローラ42及び押えローラ43の各回転軸を支持することから、水平面に対して垂直となる面とおおよそ平行な主平面を有する。第2支持板46は、下端フランジ32を接続されることから、下端フランジ32のフランジ面とおおよそ平行な主平面を有する。なお、ワイヤ係合部13は、ワイヤロープ2に対して安定的に接触するために、重り47を設置してもよい。
【0023】
第1慣性センサ14及び第2慣性センサ15は、それぞれ、重力方向に対するピッチとロールとの2軸の角度を検出する。第1慣性センサ14及び第2慣性センサ15として採用し得るセンサは、例えばMEMS加速度センサを挙げることができるが、少なくとも2軸の角度を検出することができるものであれば、特に限定するものではない。ただし、第1慣性センサ14と第2慣性センサ15とは、互いに同一の仕様であることが望ましく、例えば、市販の慣性センサを採用する場合には、互いに同一の製品であることが望ましい。
【0024】
図5は、第1慣性センサ14及び第2慣性センサ15の取付構造と、そのように取り付けられた場合の座標系とを説明するための斜視図である。
【0025】
第1慣性センサ14は、連結部12に設置される。連結部12は、ワイヤロープ2の振れに合わせて動くので、第1慣性センサ14は、ワイヤロープ2の振れに合わせて姿勢を変化させる。本実施形態では、第1慣性センサ14は、連結部12のうちロッド30の上端フランジ31に、第1取付金具50を介して取り付けられる。例えば、第1慣性センサ14が、連結部12のうちワイヤ係合部13の近傍に取り付けられるとすると、ワイヤロープ2の表面の凹凸に起因した振動を受けやすくなったり、ワイヤロープ2の接触に伴って第1慣性センサ14の位置ずれが大きくなったりする。このような事象は、最終的に第1慣性センサ14の検出に基づく角度値に誤差を生じさせやすい。これに対して、本実施形態によれば、第1慣性センサ14は、ワイヤ係合部13から可能な限り離間した位置に取り付けられるので、このような角度誤差を予め生じづらくさせることができる。
【0026】
第1取付金具50は、第1センサ設置部50aと、第1接続部50bと、支持部50cとを有する。第1センサ設置部50aは、第1慣性センサ14を設置する平板部である。例えば、基板20の表面部20aにおいて第2慣性センサ15が設置される面が水平面であり、かつ、ワイヤロープ2に振れが発生していないとき、第1センサ設置部50aにおいて第1慣性センサ14が設置される面は水平面となってもよい。第1接続部50bは、例えば複数のボルトを用いた締結により、上端フランジ31と接続される平板部である。支持部50cは、第1接続部50bに対して第1センサ設置部50aを支持させる平板部である。
【0027】
第1慣性センサ14の座標系は、
図5に示すように、第1ロール軸X
S1と、第1ピッチ軸Y
S1との2軸で規定される。
【0028】
第1ロール軸XS1は、クレーンの座標系におけるYC方向に対応した方向に延伸する。第1センサ設置部50aにおいて第1慣性センサ14が設置される面が水平面であり、かつ、ワイヤロープ2に振れが発生していないとき、第1ロール軸XS1は、YC方向と平行となってもよい。本実施形態では、第1ロール軸XS1を検出軸とした回転方向が第1ロール方向D1rである。つまり、第1慣性センサ14は、第1ロール方向D1rでの傾斜角、すなわち第1ロール角S1rを検出することができる。例えば、第1慣性センサ14は、ジブの対地角度であるジブ角度が45°で、かつ、ワイヤロープ2に振れが発生していないときに、第1ロール角S1rが0°となるように設定されていてもよい。
【0029】
第1ピッチ軸YS1は、クレーンの座標系におけるXC方向に対応した方向に延伸する。第1センサ設置部50aにおいて第1慣性センサ14が設置される面が水平面であり、かつ、ワイヤロープ2に振れが発生していないとき、第1ピッチ軸YS1は、XC方向と平行となってもよい。本実施形態では、第1ピッチ軸YS1を検出軸とした回転方向が第1ピッチ方向D1pである。つまり、第1慣性センサ14は、第1ピッチ方向D1pでの傾斜角、すなわち第1ピッチ角S1pを検出することができる。
【0030】
第2慣性センサ15は、固定部11に設置される。固定部11は、ワイヤ係合部13とは、ユニバーサルジョイント33を含む連結部12を介して連結されているので、ワイヤロープ2の振れを受けにくい。そのため、第2慣性センサ15は、ワイヤロープ2の振れのみでは、姿勢を変化させにくい。本実施形態では、第2慣性センサ15は、固定部11のうち基板20の表面部20aに、第2取付金具51を介して取り付けられる。
【0031】
第2取付金具51は、第2センサ設置部51aと、第2接続部51bとを有する。第2センサ設置部51aは、第2慣性センサ15を設置する平板部である。例えば、第2センサ設置部51aにおいて第2慣性センサ15が設置される面は、ジブ角度が45°であるときに水平面となるように、基板20の表面部20aから傾斜角θS分、傾斜していてもよい。一般に、ジブクレーンでは、ジブは、水平に対して10°~80°程度の角度範囲で起伏する。そこで、本実施形態では、制御部16で実行される計算処理の簡易化の観点から、ジブ角度が当該角度範囲のおおよそ中間としての45°であるときに水平面となるように、第2慣性センサ15が設置される面を規定している。すなわち、第2慣性センサ15が設置される面の傾斜角θSは、ここでの例以外の角度であってもよい。第2接続部51bは、例えば溶接により、基板20の表面部20aと接続される平板部である。なお、第2センサ設置部51aと第2接続部51bとは、直接的に連結されている。
【0032】
第2慣性センサ15の座標系は、
図5に示すように、第2ロール軸X
S2と、第2ピッチ軸Y
S2との2軸で規定される。
【0033】
第2ロール軸XS2は、クレーンの座標系におけるYC方向と平行である。本実施形態では、第2ロール軸XS2を検出軸とした回転方向が第2ロール方向D2rである。つまり、第2慣性センサ15は、第2ロール方向D2rでの傾斜角、すなわち第2ロール角S2rを検出することができる。ここで、第2慣性センサ15は、ジブ角度が45°のときに、第2ロール角S2rが0°となるように設定されていてもよい。
【0034】
第2ピッチ軸YS2は、クレーンの座標系におけるXC方向に対応した方向に延伸する。例えば、ジブ角度が45°となったとき、第2ピッチ軸YS2は、XC方向と平行となってもよい。本実施形態では、第2ピッチ軸YS2を検出軸とした回転方向が第2ピッチ方向D2pである。つまり、第2慣性センサ15は、第2ピッチ方向D2pでの傾斜角、すなわち第2ピッチ角S2pを検出することができる。
【0035】
また、第1慣性センサ14及び第2慣性センサ15は、第1ロール軸X
S1と第2ロール軸X
S2とが重力方向視で互いに平行となり、かつ、第1ピッチ軸Y
S1と第2ピッチ軸Y
S2とが重力方向視で互いに平行となるように取り付けられている。また、第1慣性センサ14と第2慣性センサ15とは、X
C方向視では、
図2に示すように、おおよそZ
C方向に沿って並んでいる。
【0036】
制御部16は、第1慣性センサ14及び第2慣性センサ15から取得した検出信号を受信し、これらの検出信号に基づいて、ワイヤロープ2の振れ角度を算出する。制御部16は、振れ角度検出装置10ごとに備えられるものであってもよいし、又は、ジブクレーンの主制御部に含まれるものであってもよい。
【0037】
次に、振れ角度検出装置10の作用について説明する。
【0038】
図6は、X
C方向に相当する前後方向の振れに関して、重力方向に対するワイヤロープ2の振れ角度θを求めるための概念図である。
図6は、
図1に示す振れ角度検出装置10の構成を示す側面図に対応している。また、
図6では、ワイヤロープ2の一部と綱車3とが、二点鎖線で概略的に描画されている。
図6(a)は、ワイヤロープ2に振れが生じていないときの振れ角度検出装置10の状態を示す。
図6(b)は、ワイヤロープ2に振れ角度θで表される振れが生じているときの振れ角度検出装置10の状態を示す。制御部16は、例えば、以下のような計算処理により、前後方向に関するワイヤロープ2の振れ角度θを求める。
【0039】
この計算処理の例では、
図1及び
図6に示すように、振れ角度θを求めるための系を構成する3つの点が以下のように規定される。点P
Aは、ワイヤ係合部13の固定ローラ42とワイヤロープ2との接触点である。点P
Bは、綱車3上のワイヤロープ2の揺動支点である。点P
Cは、振れ角度検出装置10の回転中心に相当する、ユニバーサルジョイント33の連結軸33cの回動中心点である。また、本実施形態では、振れ角度θを求める際の基準位置となる原点Oは、綱車3の回転中心に設定されるものとする。
【0040】
まず、制御部16は、原点Oに対する点PBのXC座標と、点PCのXC座標及びYC座標とを求める。本実施形態では、第2慣性センサ15は、ジブ角度が45°のときに第2ロール角S2rが0°となるように設定されている。この場合、制御部16は、ジブ角度が45°のときを基準として、第2慣性センサ15の出力値である第2ロール角S2rに基づいて、検出時点でのジブ角度を算出する。そして、制御部16は、算出されたジブ角度に基づいて、点PBのXC座標を算出することができる。一方、制御部16は、原点Oを基準として、点PCまでの長さと、ジブ角度及び幾何配置を参照して求められた原点Oを通る水平面に対する点PCの傾斜角度とに基づいて、点PCのXC座標及びYC座標を算出することができる。
【0041】
次に、制御部16は、点PBと点PCとの間の直線La1と、点PAと点PCとの間の直線Lb1とのなす角度αCを求める。制御部16は、算出された点PBのXC座標並びに点PCのXC座標及びYC座標と、第1慣性センサ14の出力値である第1ロール角S1rに基づいて、角度αCを算出することができる。
【0042】
次に、制御部16は、直線La1と、点PAと点PBとの間の直線Lc1との角度αBを求める。直線La1の長さは、点PBのXC座標並びに点PCのXC座標及びYC座標を三平方の定理に適用することで求められる。直線Lb1の長さは、既定である。そこで、制御部16は、直線La1の長さ、直線Lb1の長さ、及び、算出された角度αCを余弦定理に適用することで、直線Lc1の長さを算出することができる。そして、制御部16は、直線La1、直線Lb1及び直線Lc1のそれぞれの長さをさらに余弦定理に適用することで、角度αBを算出することができる。
【0043】
そして、制御部16は、算出された角度αBと、点PBのXC座標並びに点PCのXC座標及びYC座標とに基づいて、重力方向に対する振れ角度θを算出することができる。
【0044】
図7は、Y
C方向に相当する左右方向の振れに関して、重力方向に対するワイヤロープ2の振れ角度ψを求めるための概念図である。
図7は、
図2に示す振れ角度検出装置10の構成を示す側面図に対応している。また、
図7では、ワイヤロープ2の一部と綱車3とが、二点鎖線で概略的に描画されている。
図7(a)は、ワイヤロープ2に振れが生じていないときの振れ角度検出装置10の状態を示す。
図7(b)は、ワイヤロープ2に振れ角度ψで表される振れが生じているときの振れ角度検出装置10の状態を示す。制御部16は、例えば、以下のような計算処理により、ジブの左右方向に関するワイヤロープ2の振れ角度ψを求める。
【0045】
図7を用いて説明する計算処理の例においても、振れ角度ψを求めるための系を構成する3つの点として、
図1及び
図6で示したものと同じく、点P
A、点P
B及び点P
Cを規定する。また、ここでも、振れ角度ψを求める際の基準位置となる原点Oは、綱車3の回転中心に設定される。
【0046】
まず、制御部16は、点PAと点PCとの間の直線Lb2の長さを求める。直線Lb2の長さは、前後方向の振れ角度θを算出する際に参照した直線Lb1をXC方向に沿って投影した長さに相当する。そこで、制御部16は、直線Lb1の長さと、前後方向の振れ角度θを算出する際に参照した特定箇所の角度とに基づいて、直線Lb2の長さを算出することができる。
【0047】
次に、制御部16は、算出された直線Lb2と重力方向とのなす角度βを求める。角度βは、ジブが旋回していない状態では、第1慣性センサ14が検出した第1ピッチ角S1pに相当する。ここで、重力方向を基準として検出値を特定する第1慣性センサ14及び第2慣性センサ15は、重力方向とは異なる方向の加速度を受けると、重力方向を正確に認識することができない場合がある。このような重力方向の誤認は、例えば、ジブが旋回している状態では、第1慣性センサ14が検出した第1ピッチ角S1pに、旋回移動に係る「加速度×時間」に比例した角度誤差を含ませる場合もあり得る。そこで、本実施形態では、制御部16は、第1慣性センサ14が検出した第1ピッチ角S1pから、第2慣性センサ15が検出した第2ピッチ角S2pを差し引いた角度値を、ここでの角度βと推定する。
【0048】
ここで、第2慣性センサ15は、ワイヤロープ2の振れの影響を受けない又は受けづらい固定部11に設置されている。したがって、ジブが旋回していない状態では、ワイヤロープ2に振れが発生したとしても、第2ロール角S2r及び第2ピッチ角S2pは、基本的には変化しない。そのため、ジブが旋回している状態で第2ピッチ角S2pに変化が生じたとすれば、第2ピッチ角S2pの変化分の角度値は、旋回移動に係る「加速度×時間」に比例した誤差値であると推定される。
【0049】
一方で、第2慣性センサ15は、ジブの旋回動作に合わせて、第1慣性センサ14とともに同一方向に旋回移動する。ここで、第1慣性センサ14と第2慣性センサ15とは、互いに同一の仕様であるので、同一の外的要因を受ければ、基本的には同一の検出値を出力する。すなわち、ジブが旋回している状態で第2慣性センサ15が検出した第2ピッチ角S2pは、ジブが旋回している状態で第1慣性センサ14が検出した第1ピッチ角S1pに含まれる角度誤差分の角度値と同じである。つまり、第1慣性センサ14が検出した第1ピッチ角S1pから、第2慣性センサ15が検出した第2ピッチ角S2pを差し引いた角度値は、ジブの旋回動作に伴う角度誤差が排除された、より実際の値に近い角度βである。
【0050】
次に、制御部16は、点PAのYC座標とZC座標とを求める。制御部16は、算出された直線Lb2の長さ、角度β、及び、点PCのYC座標に基づいて、点PAのYC座標を算出することができる。また、制御部16は、算出された直線Lb2の長さ及び角度βに基づいて、点PAのZC座標を算出することができる。
【0051】
そして、制御部16は、算出された点PAのYC座標及びZC座標に基づいて、重力方向に対する振れ角度ψを算出することができる。
【0052】
なお、実際には、ワイヤロープ2の振れ方に伴って、例えば、上記規定した点PAや点PBの位置にずれが生じる場合もあり得る。しかし、これらの位置ずれは、実際のジブクレーンの規模と比較すれば微小である。したがって、制御部16は、実際の計算処理においては、簡単化のために、これらの位置ずれを考慮しなくてもよい。
【0053】
次に、振れ角度検出装置10の効果について説明する。
【0054】
本実施形態に係る振れ角度検出装置10は、ワイヤロープ2を用いて吊り荷を吊り上げるクレーンに設置され、ワイヤロープ2の振れ角度ψを検出する。振れ角度検出装置10は、クレーンの吊り上げ部に設置される固定部11と、吊り上げ部から垂らされたワイヤロープ2と係合するワイヤ係合部13と、固定部11に対する姿勢を可変として固定部11とワイヤ係合部13とを連結する連結部12とを備える。振れ角度検出装置10は、連結部12に設置され、重力方向を基準として第1ロール角S1r及び第1ピッチ角S1pを検出する第1慣性センサ14を備える。振れ角度検出装置10は、固定部11に設置され、重力方向を基準として第2ロール角S2r及び第2ピッチ角S2pを検出する第2慣性センサ15を備える。また、振れ角度検出装置10は、第1ロール角S1rから第2ロール角S2rを差し引いた角度値を用いて振れ角度ψを求める制御部16を備える。
【0055】
ここで、クレーンが上記例示したようなジブクレーンである場合、クレーンの吊り上げ部は、ジブ先端部1aに相当する。この場合、ワイヤロープ2がジブの起伏動作に伴って前後方向に振れたとする。まず、振れ角度検出装置10によれば、連結部12は、固定部11を基準として、ワイヤロープ2の振れに合わせて姿勢を変化させる。連結部12には、第1慣性センサ14が設置されているので、制御部16は、第1慣性センサ14が検出した第1ロール角S1rに基づいて、前後方向に関しての重力方向に対する振れ角度θを求めることができる。同様に、ワイヤロープ2がジブの旋回動作に伴って左右方向に振れたときには、制御部16は、第1慣性センサ14が検出した第1ピッチ角S1pに基づいて、左右方向に関しての重力方向に対する振れ角度ψを求めることができる。
【0056】
しかし、第1慣性センサ14が重力方向を基準として検出値を特定するセンサである場合、重力方向とは異なる例えば旋回方向の加速度を受けたときには、上記のとおり、正確な検出値を出力することができないこともあり得る。つまり、制御部16は、第1慣性センサ14からの出力値のみを参照したのでは、正確な振れ角度ψを求めることが難しい場合もあり得る。
【0057】
これに対して、振れ角度検出装置10は、連結部12に設置される第1慣性センサ14とは別に、固定部11に設置される第2慣性センサ15を備える。第2慣性センサ15は、ジブの旋回動作に合わせて、第1慣性センサ14とともに同一方向に旋回移動することができる。また、第2慣性センサ15は、固定部11に設置されているので、ジブが旋回していない状態では、ワイヤロープ2に振れが発生したとしても、第2ロール角S2r及び第2ピッチ角S2pには、基本的には変化が生じない。これらの条件に基づけば、ジブが旋回している状態で第2ピッチ角S2pに変化が生じたとすれば、第2ピッチ角S2pの変化分の角度値は、旋回移動に係る「加速度×時間」に比例した誤差値であると推定することができる。そして、制御部16は、第1ピッチ角S1pから第2ピッチ角S2pを差し引いた角度値を用いて振れ角度ψを求めるので、特定された振れ角度ψは、予めジブの旋回動作に伴う角度誤差が排除された、より実際の振れ角度に近い値となる。
【0058】
このように、本実施形態によれば、検出された振れ角度ψの正確性を向上させるのに有利となる振れ角度検出装置10を提供することができる。
【0059】
なお、振れ角度検出装置10が適用されるクレーンは、上記の説明ではジブクレーンであるものとしたが、ワイヤロープを用いて荷を吊り上げて移動させるものであれば、ジブクレーンに限らず、他の駆動方式のクレーンであってもよい。例えば、旋回動作に代えて、水平面に対して2軸方向に平行移動するような、いわゆる天井クレーン等においても、本開示に係る振れ角度検出装置を適用することができる。
【0060】
例えば、本開示に係る振れ角度検出装置が適用されるクレーンが、クレーンの吊り上げ部が水平面上で互いに直交するX軸とY軸との2軸方向に移動する天井クレーンであるとする。この場合、例えば、X軸に沿った方向をロール軸、Y軸に沿った方向をピッチ軸と規定すると、制御部16は、第1ピッチ角から第2ピッチ角を差し引いた角度値を用いて、X軸方向に沿って振れるワイヤロープの振れ角度を求めることができる。同様に、制御部16は、第1ロール角から第2ロール角を差し引いた角度値を用いて、Y軸方向に沿って振れるワイヤロープの振れ角度を求めることができる。このように求められた振れ角度は、上記説明したジブクレーンに適用される振れ角度検出装置10により求められた振れ角度と同様に、より実際の振れ角度に近い値となる。
【0061】
また、振れ角度検出装置10では、第1ロール角S1rの検出軸である第1ロール軸XS1と、第2ロール角S2rの検出軸である第2ロール軸XS2とは、重力方向視で互いに平行であってもよい。また、第1ピッチ角S1pの検出軸である第1ピッチ軸YS1と、第2ピッチ角S2pの検出軸である第2ピッチ軸YS2とは、重力方向視で互いに平行であってもよい。
【0062】
例えば、第1慣性センサ14の座標系と第2慣性センサ15の座標系とで互いにずれがあったとしても、制御部16での計算処理において座標のずれ分を考慮することで、制御部16は、所望の振れ角度を求めることができる。これに対して、このような振れ角度検出装置10によれば、第1慣性センサ14の連結部12への取付姿勢と、第2慣性センサ15の固定部11への取付姿勢とが合う。したがって、第1慣性センサ14の出力値と第2慣性センサ15の出力値との比較が容易となることから、制御部16での計算処理の負担を軽減させることができ、又は、最終的に求められる振れ角度の正確性をより向上させることができる。
【0063】
また、振れ角度検出装置10では、第1慣性センサ14と第2慣性センサ15とは、互いに同一の仕様であってもよい。
【0064】
第1慣性センサ14と第2慣性センサ15とは、少なくとも、互いに類似する仕様であれば、同一の外的要因を受けたときには類似の検出値を出力する。そのため、ジブが旋回している状態で第2慣性センサ15が検出した第2ピッチ角S2pは、ジブが旋回している状態で第1慣性センサ14が検出した第1ピッチ角S1pに含まれる角度誤差分の角度値と類似である推定することができる。つまり、このような場合であっても、振れ角度検出装置10は、最終的に求められる振れ角度の正確性を向上させることができる。
【0065】
これに対して、第1慣性センサ14と第2慣性センサ15とが互いに同一の仕様であれば、同一の外的要因を受けたとき、基本的には同一の検出値を出力する。すなわち、この場合には、ジブが旋回している状態で第2慣性センサ15が検出した第2ピッチ角S2pは、ジブが旋回している状態で第1慣性センサ14が検出した第1ピッチ角S1pに含まれる角度誤差分の角度値と同じであると推定することができる。したがって、最終的に求められる振れ角度の正確性をより向上させることができる。
【0066】
また、振れ角度検出装置10では、ワイヤ係合部13は、ローラ同士でワイヤロープ2をクランプするクランプ部であってもよい。この場合、連結部12は、固定部11に接続される固定接続部33aと、該固定接続部33aに対して2軸の連結軸33cを介して連結する可動接続部33bとを有するユニバーサルジョイント33を有してもよい。また、連結部12は、可動接続部33bに一端が接続され、クランプ部に他端が接続されるロッド30を有してもよい。
【0067】
このような振れ角度検出装置10によれば、上記のように、検出された振れ角度の正確性を向上させることができる構成の例として、より簡易的な構成で実現させることができる。
【0068】
また、振れ角度検出装置10では、ロッド30は、可動接続部33bに接触するフランジを有してもよい。この場合、第1慣性センサ14は、フランジに取り付けられてもよい。例えば、可動接続部33bに接触するフランジは、上記説明した上端フランジ31に相当する。
【0069】
上記のとおり、仮に、第1慣性センサ14がワイヤ係合部13の近傍に取り付けられるとすると、ワイヤロープ2の表面の凹凸に起因した振動を受けやすくなるなど、最終的に第1慣性センサ14の検出に基づく角度値に誤差を生じさせやすい原因となり得る。これに対して、このような振れ角度検出装置10によれば、第1慣性センサ14は、ワイヤ係合部13から可能な限り離間した位置に取り付けられることになるので、このような原因に基づく角度誤差を予め生じづらくさせることができる。
【0070】
なお、他の実施形態として、ワイヤ係合部13は、上記説明したようなローラ同士でワイヤロープ2をクランプするクランプ部に代えて、不図示であるが、例えば、2本の非自転性ワイヤロープを用いたものであってもよい。非自転性ワイヤロープの上端は、固定部11に支持され、下端は、重錘を介してワイヤロープ2に係合する。この場合、第1慣性センサ14は、少なくとも一方の非自転性ワイヤロープの上方に設置され、第2慣性センサ15は、固定部11に設置される。このような振れ角度検出装置によっても、上記説明した振れ角度検出装置10による効果と同様の効果を奏することができる場合がある。
【0071】
いくつかの実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正又は変形をすることが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1a ジブ先端部
2 ワイヤロープ
10 振れ角度検出装置
11 固定部
12 連結部
13 ワイヤ係合部
14 第1慣性センサ
15 第2慣性センサ
16 制御部
30 ロッド
33 ユニバーサルジョイント
33a 固定接続部
33b 可動接続部
33c 連結軸
S1r 第1ロール角
S1p 第1ピッチ角
S2r 第2ロール角
S2p 第2ピッチ角
XS1 第1ロール軸
XS2 第2ロール軸
YS1 第1ピッチ軸
YS2 第2ピッチ軸
ψ 振れ角度