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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】粒剤散布車
(51)【国際特許分類】
   A01C 19/00 20060101AFI20240229BHJP
   A01M 7/00 20060101ALI20240229BHJP
   A01M 9/00 20060101ALI20240229BHJP
   A01M 11/00 20060101ALI20240229BHJP
   B05B 17/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A01C19/00
A01M7/00 D
A01M9/00 D
A01M11/00
B05B17/00 101
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020106124
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022001017
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】小山内 悠平
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-28016(JP,A)
【文献】実開昭56-173029(JP,U)
【文献】特開2004-97139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 19/00
A01M 7/00
A01M 9/00
A01M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席(9)と、前記運転席(9)より車両後方に配置された駆動源(7)と、羽根車(26)の回転により空気を圧送する送風機(24)及び前記送風機(24)から圧送される空気により粒剤を散布する粒剤散布部(25)が設けられた粒剤散布装置(3)と、を備え、前記駆動源(7)の駆動により自走しながら、前記粒剤散布装置(3)により前記粒剤を散布する粒剤散布車(100)であって、
前記羽根車(26)、前記送風機(24)及び前記粒剤散布部(25)は、前記運転席(9)より車両前方に配置され、
前記駆動源(7)の動力を、車両前後方向へ延びるフレキシブルシャフト(36)を用いて、前記羽根車(26)へ伝達することを特徴とする粒剤散布車(100)。
【請求項2】
前記駆動源(7)は、エンジンであることを特徴とする請求項1記載の粒剤散布車(100)。
【請求項3】
前記粒剤散布車(100)は、
前記粒剤散布装置(3)より車両前方に配置され車両左右方向に延びるセンターブーム(20)と、
その端部が、前記センターブーム(20)の端部に回動可能に連結され、前記センターブーム(20)と直線状に並ぶ開位置と前記センターブーム(20)に対して回動され車両側方に折り畳まれる閉位置との間を移動するサイドブーム(21)と、
前記センターブーム(20)及び前記サイドブーム(21)に複数が設けられ薬液を散布する噴霧ノズル(23)と、を有するブーム装置(2)を備えたブームスプレーヤであることを特徴とする請求項1又は2記載の粒剤散布車(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒剤散布車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自走しながら粒剤を散布する粒剤散布車が知られている(例えば、特許文献1参照)。この粒剤散布車は、自走式ブームスプレーヤの機能も果たすことができる車両であり、ブーム装置(ブームノズル装置)により薬液を散布することができ、また、粒剤散布装置により粒剤を散布できる。この粒剤散布車では、車両の前部から後部へ亘って、運転席、薬液を貯留する薬液タンク、エンジンや薬液散布用のポンプ等が設けられたエンジンルームが、この順で配置されている。
【0003】
粒剤散布装置は、空気を圧送する送風機(ブロワ)と、送風機から圧送される空気により粒剤を散布する粒剤散布部と、を備えている。送風機は、エンジンルームに配置され、エンジンルームに配置されたエンジンにより駆動される。具体的には、エンジンの駆動力は、エンジン出力軸のプーリ、ベルト、電磁クラッチ側のプーリ、電磁クラッチ、電磁クラッチを入力軸に固定し動力伝達方向を90°変えるベベルギヤボックス、ベベルギヤボックス出力軸のプーリ、ベルト、送風機のプーリに伝達されるようになっている。また、粒剤散布部は、運転席より前方に配置されている。そして、送風機と粒剤散布部とは、車両前後方向に延びる送風パイプにより接続されている。
【0004】
ブーム装置は、粒剤散布部の下に配置され車両左右方向に延びるセンターブームと、その端部が、センターブームの端部に回動可能に連結され、センターブームと直線状に並ぶ開位置とセンターブームに対して回動され車両側方に折り畳まれる閉位置との間を移動するサイドブームと、センターブーム及びサイドブームに複数が設けられ薬液を散布する噴霧ノズルと、を備えている。
【0005】
そして、運転手の運転により走行しながら、薬液散布用のポンプが駆動されることにより、直線状に並ぶセンターブーム及びサイドブームの複数の噴霧ノズルから薬液を散布でき、また、送風機が駆動されることによって、粒剤散布部に空気が圧送され粒剤を散布できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許3871633号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上記引用文献1にあっては、車両前方に粒剤散布部が配置され、車両後方に送風機が配置されているため、送風パイプによる送風経路が長く、圧力損失を軽減することが望まれている。また、配置部品が多いエンジンルームに送風機が配置されると共に、当該エンジンルームにベベルギヤボックスを配置しエンジンから送風機への動力伝達方向を変える構成のため、動力伝達の接続元と接続先の位置関係の自由度が低いと共に、動力伝達のためのプーリ、ベルト等多数の部品が必要で、構成の簡素化が求められている。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、送風経路を短くし圧力損失を軽減できると共に、動力伝達の接続元と接続先の位置関係の自由度が高く、且つ、部品点数を少なくし構成を簡素化できる粒剤散布車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による粒剤散布車(100)は、運転席(9)と、運転席(9)より車両後方に配置された駆動源(7)と、羽根車(26)の回転により空気を圧送する送風機(24)及び送風機(24)から圧送される空気により粒剤を散布する粒剤散布部(25)が設けられた粒剤散布装置(3)と、を備え、駆動源(7)の駆動により自走しながら、粒剤散布装置(3)により粒剤を散布する粒剤散布車(100)であって、送風機(24)及び粒剤散布部(25)は、運転席(9)より車両前方に配置され、駆動源(7)の動力を、車両前後方向へ延びるフレキシブルシャフト(36)を用いて、羽根車(26)へ伝達することを特徴としている。
【0010】
このような粒剤散布車(100)によれば、羽根車(26)の回転により空気を圧送する送風機(24)及び送風機(24)から圧送される空気により粒剤を散布する粒剤散布部(25)はともに、運転席(9)より車両前方に配置されるため、送風機を運転席より車両後方のエンジンルームに配置していた従来技術に比して、送風経路が短くなり、圧力損失が軽減される。また、運転席(9)より車両後方に配置される駆動源(7)の動力が、車両前後方向へ延びるフレキシブルシャフト(36)を介して、運転席(9)より車両前方に配置される羽根車(26)に伝達されるため、エンジンルームにベベルギヤボックスを配置しエンジンからの動力伝達方向を変えて送風機に伝達している従来技術に比して、動力伝達の接続元と接続先の位置関係の自由度が高くされ、且つ、動力伝達に用いられるプーリ、ベルト等の部品点数を低減でき、構成が簡素化される。
【0011】
ここで、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、駆動源(7)を、エンジンとする構成が挙げられる。
【0012】
また、粒剤散布車(100)は、粒剤散布装置(3)より車両前方に配置され車両左右方向に延びるセンターブーム(20)と、その端部が、センターブーム(20)の端部に回動可能に連結され、センターブーム(20)と直線状に並ぶ開位置とセンターブーム(20)に対して回動され車両側方に折り畳まれる閉位置との間を移動するサイドブーム(21)と、センターブーム(20)及びサイドブーム(21)に複数が設けられ薬液を散布する噴霧ノズル(23)と、を有するブーム装置(2)を備えたブームスプレーヤであると、走行しながら粒剤及び薬液の両方を散布できる。また、走行しながら何れか一方のみの散布もできる。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば、送風経路を短くし圧力損失を軽減できると共に、動力伝達の接続元と接続先の位置関係の自由度が高く、且つ、部品点数が少なく、構成を簡素化できる粒剤散布車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る粒剤散布車を左斜め前方且つ上方から見た斜視図である。
図2図1に示す粒剤散布車の右側面図である。
図3図1及び図2中の薬液タンク下に配置されるエンジンから電磁クラッチ部への動力伝達機構を示す拡大斜視図である。
図4】電磁クラッチ部から送風機への動力伝達機構を示す斜視図である。
図5図4中の動力伝達機構の接続元の電磁クラッチ部を示す断面図である。
図6図4中の動力伝達機構の接続先の羽根車部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る粒剤散布車の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る粒剤散布車を左斜め前方且つ上方から見た斜視図、図2は、粒剤散布車の右側面図、図3は、薬液タンク下に配置されるエンジンから電磁クラッチ部への動力伝達機構を示す拡大斜視図、図4は、電磁クラッチ部から送風機への動力伝達機構を示す斜視図、図5は、動力伝達機構の接続元の電磁クラッチ部を示す断面図、図6は、動力伝達機構の接続先の羽根車部を示す断面図である。
【0016】
本実施形態の粒剤散布車は、薬液散布車としてのブームスプレーヤが粒剤散布装置を搭載し粒剤散布の機能を併せ持つものであり、以降、単にブームスプレーヤと呼ぶ。このブームスプレーヤは、例えば圃場において走行しながら例えば肥料等の粒剤を散布すると共に、例えば農薬等の薬液を散布するものである。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」は、ブームスプレーヤを基準とした方向とする。
【0017】
図1及び図2に示すように、ブームスプレーヤ100は自走式であり、走行可能な車両1と、車両1の前方で車両左右方向に沿って薬液を散布するためのブーム装置2と、車両1の前方へ粒剤を散布する粒剤散布装置3と、を備えている。
【0018】
車両1は、車両前後方向に長い平面視略矩形状の車体フレーム4を備えている(図2参照)。車体フレーム4の車両左右方向両側下方で前後には、一対の前輪5及び一対の後輪6がそれぞれ設けられている。前輪5、後輪6は、駆動源としてのエンジン7(図2参照)の駆動により回転する。本実施形態では4輪駆動のため、前輪5及び後輪6が回転するが、前輪駆動、後輪駆動であっても良い。
【0019】
車体フレーム4の前部上には、運転手が着座する空間を形成しハンドル8による運転操作や、粒剤散布操作、薬液散布操作、レバー操作等を行うための運転席9が設けられている。運転席9は屋根10により上方から覆われている。屋根10は、車体フレーム4の車両左右方向両側で運転席9の側方からそれぞれ立設された屋根柱11により支持されている。運転席9の左側方には、下方へ延びる階段状のステップ12が、運転席9に対して上り下りするためのものとして設けられている。
【0020】
車体フレーム4の後部上には、エンジン7や薬液圧送ポンプ(不図示)等を収容するエンジンルーム13が設けられている。エンジンルーム13は、蓋となるボンネット(エンジンルームカバー)14により開閉可能に覆われている。ボンネット14は、エンジンルーム13を上方から覆う上部を備える共に、車両左右方向側方から覆う側部をそれぞれ備え、後方へは開放されている。ボンネット14の側部は、エンジンルーム13の前部側より後方側を覆い、エンジン7等が車両左右方向外側へ露出するように構成されている(図2参照)。
【0021】
車体フレーム4上で運転席9とエンジンルーム13との間には、ブーム装置2から散布される薬液を収容する薬液タンク15が搭載され、薬液タンク15の前端中央上部を凹設することにより、上記運転席9が形成されている。薬液タンク15は、その後部の上下方向中程から下部に亘って前方へ向かって凹設され、その凹設部55が、エンジンルーム13に連通する空間とされ、この空間下に、エンジン7からの動力を伝達する動力伝達機構33の一部(図3参照)が配置されている。
【0022】
車体フレーム4の前端部には、車両左右方向に対をなす4節リンク機構16が前方に延びるようにそれぞれ配設されている。上記ブーム装置2は、4節リンク機構16を介して車体フレーム4に支持されている。この4節リンク機構16が、アクチュエータとしての電動油圧シリンダ17の伸縮動作により作動することによって、4節リンク機構16の上下方向に延びる前側リンク18が昇降(上下動)し、後述する水平方向に延びる水平制御フレーム19及びセンターブーム20が昇降する。
【0023】
ブーム装置2は、車両左右方向に延び上記前側リンク18に固定された水平制御フレーム19と、水平制御フレーム19の下方に平行に配置され水平制御フレーム19より車両左右方向に長い形状に構成されると共に、水平制御フレーム19に対して車両左右方向に振り子状に揺動可能に支持され重力による水平制御により水平となるセンターブーム20と、センターブーム20の両端部に回動可能に連結された一対のサイドブーム21と、を備えている。
【0024】
センターブーム20及びサイドブーム21には、それぞれノズルパイプ22が取り付けられており、各ノズルパイプ22には、薬液散布用の噴霧ノズル23が、長手方向に沿って複数設けられている。サイドブーム21は、薬液散布を行うときには、図示の閉位置から回動移動しセンターブーム20に対して一直線状となる開位置に広げられる。
【0025】
そして、エンジン7の駆動により走行しながら薬液圧送ポンプが駆動され、薬液タンク15の薬液は、センターブーム20及びサイドブーム21のノズルパイプ22を介して噴霧ノズル23から下方へ散布される。サイドブーム21は、薬液散布を行わないときには図示の閉位置に回動移動して折り畳まれ、車体フレーム4の側方において斜め後ろ上がりの状態で格納されている。
【0026】
粒剤散布装置3は、運転席9の前方でハンドル8より前側に設けられている。この粒剤散布装置3は、図1及び図4に示すように、送風機24と、送風機24から圧送される空気により粒剤を散布する粒剤散布部25と、を備えている。送風機24は、図4に示すように、羽根車26が回転することにより空気を圧送する。粒剤散布部25は、粒剤を収容する粒剤タンク27を送風機24の上部に備え、送風機24の羽根車26の回転による送風により、粒剤タンク27内の粒剤を送り管28を介して先端の散布口29から前方へ散布する(図1及び図2も参照)。
【0027】
図1及び図2に示すように、粒剤タンク27は、ハンドル8の前方に配置され、その上部には、粒剤を内部に投入するための粒剤投入口を開閉可能に閉じるタンク蓋30が設けられている。
【0028】
送風機24は、運転席床の前において、一対の4節リンク機構16,16同士間に配置され、送風機24の背面が車体フレーム4の前端部にボルト結合により固定されている。
【0029】
図3に示すように、エンジン7の動力は、エンジン7の出力軸に固定されたVプーリ31、Vプーリ31に掛け回されたVベルト32へ伝達され、図3及び図4に示す動力伝達機構33を介して羽根車26へ伝達される。この動力伝達機構33は、接続元となる電磁クラッチ部34と、図4に示すように、接続先となる羽根車部35と、車両前後方向に延び、電磁クラッチ部34と羽根車部35とを連結するフレキシブルシャフト36と、を備えている。
【0030】
図3図5に示すように、電磁クラッチ部34は、上記Vベルト32(図3参照)が掛け回されたVプーリ37と、Vプーリ37に伝達された動力の連結、切り離しを行うための電磁クラッチ38と、図5に示すように、電磁クラッチ38に固定された電磁クラッチ側のシャフト39と、電磁クラッチ側のシャフト39に内輪が固定されると共にVプーリ37に外輪が固定された玉軸受40,40と、Vプーリ37よりフレキシブルシャフト36側へ配置され、電磁クラッチ側のシャフト39を玉軸受41,41を介して回転自在に支持する玉軸受固定用のボス42(図4も参照)と、を備え、電磁クラッチ側のシャフト39とフレキシブルシャフト36の一端とは、電磁クラッチ側の連結用金具43を介して連結されている。なお、玉軸受40,41は、玉軸受位置決め用止め輪44により軸線方向に位置決めされ、電磁クラッチ側のシャフト39は、シャフト位置決め用止め輪45により軸線方向に位置決めされている。
【0031】
図4に示す羽根車部35は、図6に示すように、羽根車26と、羽根車26にボス46を介して固定される羽根車側のシャフト47と、羽根車側のシャフト47を玉軸受48,48を介して回転自在に支持する玉軸受固定用のボス49(図4も参照)と、を備え、羽根車側のシャフト47とフレキシブルシャフト36の他端とは、羽根車側の連結用金具50を介して連結されている。なお、玉軸受48は、玉軸受位置決め用止め輪51により軸線方向に位置決めされ、羽根車側のシャフト47は、シャフト位置決め用止め輪52により軸線方向に位置決めされている。
【0032】
このように構成されたブームスプレーヤ100によれば、運転手は、図1及び図2に示すように、ステップ12を上がって運転席9に着席し、エンジン7を駆動させ、ブームスプレーヤ100を走行させながら、薬液圧送用ポンプを駆動させて、センターブーム20及び開位置に位置するサイドブーム21の噴霧ノズル23から薬液を下向きに散布する。
【0033】
また、図3に示すように、エンジン7の動力を、Vプーリ31、Vベルト32、図4に示すように、通電により動力伝達可能とされた電磁クラッチ部34、フレキシブルシャフト36を介して、羽根車部35の羽根車26へ伝達し、羽根車26を回転させることにより、粒剤タンク27の粒剤を散布口29から前向き(前方)に散布する。
【0034】
このようなブームスプレーヤ100にあっては、図1及び図2に示すように、粒剤散布装置3を構成する送風機24及び粒剤散布部25はともに、運転席9より車両前方に配置されているため、送風機を運転席より車両後方のエンジンルームに配置していた従来技術に比して、送風経路を短くでき、圧力損失を軽減できる。また、運転席9より車両後方に配置されるエンジン7の動力を、図4に示すように、車両前後方向へ延びるフレキシブルシャフト36を介して、運転席9より車両前方に配置される送風機24の羽根車26に伝達するため、エンジンルームにベベルギヤボックスを配置しエンジンからの動力伝達方向を変えて送風機に伝達している従来技術に比して、動力伝達の接続元となる電磁クラッチ部34と接続先となる羽根車部35の位置関係の自由度を高めることができ、且つ、動力伝達に用いられるプーリ、ベルト等の部品点数を低減でき、構成を簡素化できる。
【0035】
また、ブームスプレーヤ100によれば、走行しながら粒剤及び薬液の両方を散布できる。また、走行しながら何れか一方のみの散布もできる。
【0036】
また、例えば、粒剤を肥料とし、薬液を農薬とすることにより、農薬を下向きに散布し、肥料を前向きに散布できるため、農薬の散布箇所より前方へ肥料を散布できることになり、肥料の農薬への溶け込みを防ぐことができ、農薬の無効化や薬害の発生を防止できる。
【0037】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好適であるとして、駆動源をエンジン7としているが、モータ等であっても良い。
【0038】
また、上記実施形態においては、特に好適であるとして、ブームスプレーヤ100に対する適用を述べているが、粒剤を散布する粒剤散布装置を備えた自走式車両(粒剤散布車)全てに対して適用できる。
【符号の説明】
【0039】
2…ブーム装置、3…粒剤散布装置、7…エンジン、9…運転席、20…センターブーム、21…サイドブーム、23…噴霧ノズル、24…送風機、25…粒剤散布部、26…羽根車、36…フレキシブルシャフト、100…ブームスプレーヤ(粒剤散布車)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6