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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】放射線シールド
(51)【国際特許分類】
   G21K 5/08 20060101AFI20240229BHJP
   G21K 5/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G21K5/08 N
G21K5/00 S
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020117621
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022015031
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金岡 耕平
(72)【発明者】
【氏名】仙入 克也
(72)【発明者】
【氏名】井内 宏志
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-283137(JP,A)
【文献】特開2001-350000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 5/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステンを用いて筒状に形成され、荷電粒子が照射されることにより中性子を発生するターゲットを内部に収容する本体部と、
前記本体部の中心軸の軸線方向の一方の端部から前記軸線方向に突出して設けられ、前記軸線方向に沿って突出方向とは反対方向に押圧されることで前記本体部の内側に移動する可動突起部と、
前記可動突起部と対応して前記本体部に設けられ、前記可動突起部が前記本体部の内側に移動する動作に連動して前記本体部の外周面から前記本体部の径方向に突出するチャッキング部と
を備える放射線シールド。
【請求項2】
前記本体部は、前記一方の端部が支持されるように外筒内に収容され、
前記チャッキング部は、前記外周面から突出して前記外筒の内周面に接触可能である
請求項1に記載の放射線シールド。
【請求項3】
前記本体部は、円筒状であり、
前記可動突起部及び前記チャッキング部は、前記中心軸の軸回り方向の対応する位置に3つ以上配置され、
前記チャッキング部は、前記外周面からの突出量がそれぞれ等しい
請求項1又は請求項2に記載の放射線シールド。
【請求項4】
前記チャッキング部に対して前記本体部の内側に戻るように弾性力を作用させる弾性部を更に備える
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線シールド。
【請求項5】
前記可動突起部及び前記チャッキング部は、一体で設けられ、前記可動突起部が押圧されることで回動して前記本体部の内側に移動すると共に前記可動突起部の回動と一体で前記チャッキング部が回動して前記本体部の前記外周面から突出するように所定の回動軸を中心として回動可能に設けられる
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射線シールド。
【請求項6】
前記可動突起部は、前記軸線方向に沿って移動可能に設けられ、
前記チャッキング部は、前記軸線方向に交差する方向に移動可能に設けられ、
前記可動突起部及び前記チャッキング部は、前記本体部の内側に移動する前記可動突起部に押されて前記チャッキング部が前記径方向の外側に移動するように互いに接触する傾斜面を有する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の放射線シールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射線シールドに関する。
【背景技術】
【0002】
中性子照射装置は、荷電粒子をターゲットに照射して核破砕反応を引き起こすことで中性子を発生させる(例えば、特許文献1参照)。このような中性子照射装置では、核破砕反応に伴って生じる放射線を遮蔽するため、例えばタングステン等の放射線吸収特性に優れた材料により形成された筒状の本体部を有する放射線シールド内にターゲットが配置された構成を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-145882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の放射線シールドは、本体部のうち中心軸の軸線方向の一方の端部が支持されるように外筒内に取り付けられ、当該外筒に対して位置決めされる。また、メンテナンス等の場合には、放射線シールドは、外筒に対する位置決めが解除された後に、外筒から取り外される。
【0005】
放射線シールドには、本体部を外筒に位置決めする際、本体部の外周面から突出させて外筒に接触させるためのチャッキング部が設けられる。このチャッキング部は、放射線シールドの取り付け動作の際には本体部の内部に格納させる。従来の放射線シールドでは、このチャッキング部を突出させる場合に、本体部の他方の端部側から手作業で操作する必要があり、当該操作には時間を要していた。このため、放射線シールドの取り付け作業に時間がかかっていた。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、チャッキング部の突出作業を短時間で行うことが可能な放射線シールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る放射線シールドは、タングステンを用いて筒状に形成され、荷電粒子が照射されることにより中性子を発生するターゲットを内部に収容する本体部と、前記本体部の中心軸の軸線方向の一方の端部から前記軸線方向に突出して設けられ、前記軸線方向に沿って突出方向とは反対方向に押圧されることで前記本体部の内側に移動する可動突起部と、前記可動突起部と対応して前記本体部に設けられ、前記可動突起部が前記本体部の内側に移動する動作に連動して前記本体部の外周面から前記本体部の径方向に突出するチャッキング部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、チャッキング部の突出作業を短時間で行うことが可能な放射線シールド及び中性子照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る中性子照射装置の一例を示す模式図である。
図2図2は、本実施形態に係る放射線シールドの配置例を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る放射線シールドを中心軸の軸線方向の一方側から見た一例を示す図である。
図4図4は、図3におけるA-A断面矢視図である。
図5図5は、放射線シールドの取り付け作業の一例を示す図である。
図6図6は、放射線シールドの端面が隣接シールドの端面に接触する際の動作の一例を示す図である。
図7図7は、第2実施形態に係る放射線シールドを中心軸の軸線方向の一方側から見た一例を示す図である。
図8図8は、図7におけるB-B断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る中性子照射装置1の一例を示す模式図である。中性子照射装置1は、被照射体Sに中性子Nを照射する。中性子照射装置1は、例えば、検査用途、医療用途、放射性同位元素生成用途等に用いられる。
【0012】
図1に示すように、中性子照射装置1は、荷電粒子を加速して荷電粒子Pを射出する加速装置2と、加速装置2から射出された荷電粒子Pの照射状態を調整する調整装置3と、荷電粒子Pの照射により中性子Nを発生するターゲット5と、ターゲット5で発生した中性子Nを減速する減速装置6と、減速装置6から射出された中性子Nを平行化するコリメータ7と、を備えている。コリメータ7から射出された中性子Nが被照射体Sに照射される。本実施形態に係る中性子照射装置1は、ターゲット5を収容する放射線シールド100を備える。
【0013】
加速装置2は、円形加速器又は直線加速器を含む。加速装置2は、荷電粒子(陽子、電子、又は重粒子)を加速して、荷電粒子(陽子線、電子線、又は重粒子線)Pを生成して、所定の照射方向に射出する。
【0014】
調整装置3は、複数の電磁石を含み、加速装置2から射出された荷電粒子Pの照射状態を調整する。荷電粒子Pの照射状態は、荷電粒子Pの進行方向の調整及び荷電粒子Pの整形を含む。調整装置3は、荷電粒子Pの発散を抑制し、荷電粒子Pを集束させる。調整装置3は、加速装置2から射出された荷電粒子Pを走査装置4に導く。
【0015】
走査装置4は、荷電粒子Pを走査し、ターゲット5に対する荷電粒子Pの照射位置を調整する。また、走査装置4は、ターゲット5に照射される荷電粒子Pを整形する。なお、走査装置4は無くてもよい。
【0016】
加速装置2から射出され、調整装置3及び走査装置4を通過した荷電粒子Pは、ターゲット5に照射される。ターゲット5は、荷電粒子Pの照射により、中性子Nを発生する。ターゲット5では、中性子Nとして、例えば高エネルギーの高速中性子が発生する。ターゲット5は、中性子を発生する中性子発生部材である。ターゲット5は、例えばベリリウム(Be)、リチウム(Li)、又はそれらを含む化合物で形成された液体又は固体の板状の部材を含む。ターゲット5は、円形又は矩形の板状の固体部材でもよいし、加熱された液体リチウムでもよい。例えば、厚さが一定になるように流し続けられた液体リチウムをターゲット5として使用してもよい。ターゲット5は、後述する放射線シールド100に収容される。
【0017】
減速装置6は、ターゲット5で発生した中性子Nを減速させる。減速装置6は、中性子Nの進路において、ターゲット5と被照射体Sとの間に配置される。減速装置6は、ターゲット5で発生した高速中性子のエネルギーを低減して、低速で低エネルギーの中性子(熱中性子、熱外中性子、又は冷中性子)を生成する。
【0018】
コリメータ7は、減速装置6から射出された中性子線Nを平行化する。コリメータ7により平行化され、そのコリメータ7から射出された中性子線Nが被照射体Sに照射される。
【0019】
次に、放射線シールド100について説明する。図2は、本実施形態に係る放射線シールド100の配置例を示す図である。図2に示すように、放射線シールド100は、円筒状であり、外筒101の内部に収容され、一方の端部が隣接シールド102に支持され、他方の端部が支持装置103に支持された状態で固定される。放射線シールド100は、後述するチャッキング部30により外筒101に位置決めされる。
【0020】
図3は、本実施形態に係る放射線シールド100を中心軸AXの軸線方向の一方側から見た一例を示す図である。図4は、図3におけるA-A断面矢視図である。図3及び図4に示すように、放射線シールド100は、本体部10と、可動突起部20と、チャッキング部30と、弾性部40とを備える。
【0021】
本体部10は、タングステンを用いて円筒状に形成される。本体部10は、上記のターゲット5を内部に収容する。本体部10は、内周面12と、外周面13と、段部14と、端面16、17とを有する。内周面12及び外周面13は、円筒状である。端面16は、本体部10のうち中心軸AXの軸線方向の一方の端部に形成される。端面17は、本体部10のうち中心軸AXの軸線方向の他方の端部に形成される。端面16、17は、それぞれ平面状である。段部14は、本体部10の端面16と外周面13との間に形成される。段部14により、外周面13の一方の端部側には、端部外周面13aが形成される。なお、段部14は、設けられなくてもよい。つまり、外周面13が本体部10の一方の端部まで設けられた構成であってもよい。
【0022】
本体部10は、一方の端部側に格納部11を有する。格納部11は、後述する可動突起部20及びチャッキング部30を格納する。格納部11は、可動突起部20及びチャッキング部30が十分に移動可能となるように設けられる。
【0023】
可動突起部20は、本体部10の端面16から軸線方向に突出して設けられる。可動突起部20は、軸線方向に沿って突出方向とは反対方向に押圧されることで、本体部10の格納部11の内側に移動する。可動突起部20は、中心軸AXの軸回り方向に3つ以上配置される。本実施形態では、可動突起部20が中心軸AXの軸回り方向に4つ配置された構成を例に挙げているが、これに限定されず、3つ又は5つ以上配置された構成であってもよい。可動突起部20は、中心軸AXの軸回り方向に等しい間隔を空けて配置されるが、これに限定されず、中心軸AXの軸回り方向の間隔が異なってもよい。
【0024】
チャッキング部30は、可動突起部20が本体部10の内側に移動する動作に連動して本体部10の端部外周面13aから径方向の外側に突出する。チャッキング部30は、突出状態において外筒101の内周面に接触する。チャッキング部30は、可動突起部20に対応して、中心軸AXの軸回り方向に3つ以上配置される。本実施形態では、チャッキング部30が中心軸AXの軸回り方向に4つ配置された構成を例に挙げているが、これに限定されず、可動突起部20の数に対応して3つ又は5つ以上配置された構成であってもよい。また、チャッキング部30は、可動突起部20の配置に対応して中心軸AXの軸回り方向に等しい間隔を空けて配置されるが、これに限定されず、中心軸AXの軸回り方向の間隔が異なってもよい。
【0025】
本実施形態では、可動突起部20とチャッキング部30とが一部材に含まれる態様で設けられており、両者が一体となっている。以下、可動突起部20及びチャッキング部30が1つの回動部材50を構成するとして説明する。
【0026】
回動部材50は、回動軸15を中心として回動可能に設けられる。回動軸15は、中心軸AX及び本体部10の径方向にそれぞれ直交する方向に設けられる。回動部材50は、可動突起部20が後述する弾性部40の弾性力よりも大きな力で中心軸AXの軸線方向に沿って本体部10側に押圧されることで、本体部10の格納部11の内側に向けて回動する。チャッキング部30は、可動突起部20の回動に伴って一体で回動し、本体部10の端部外周面13aから径方向の外側に突出する。チャッキング部30は、端部外周面13aから突出することにより、外筒101の内周面101aに接触する。より具体的には、可動突起部20を押圧する力により、チャッキング部30が外筒101の内周面101aを押圧する。
【0027】
各チャッキング部30は、それぞれ端部外周面13aからの突出量が等しくなるように設けられる。各チャッキング部30が外筒101の内周面101aに接触して当該内周面101aを押圧することで、本体部10を外筒101に対して位置決めすることができる、つまり、本体部10の中心軸AXと外筒101の中心軸とを一致させることができる。
【0028】
回動部材50には、弾性部40が取り付けられている。弾性部40は、チャッキング部30に対して本体部10の内側に戻るように回動部材50に弾性力を作用させる。つまり、可動突起部20に対する押圧力が解除された場合、弾性部40の弾性力により、チャッキング部30が格納部11に格納されるように回動部材50が回動する。この回動により、可動突起部20が端面16から突出した状態に復帰する。
【0029】
次に、上記のように構成された放射線シールド100を外筒101に取り付ける場合について説明する。図5は、放射線シールド100の取り付け作業の一例を示す図である。図5に示すように、放射線シールド100は、支持装置103によって他方の端部側(端面17側)が支持された状態で、端面16側から外筒101内に挿入される。放射線シールド100は、支持装置103により、予め外筒101に対応する高さ位置に調整される。この場合、例えば、端面17における中心軸AXの高さ位置と、外筒101の中心軸の高さ位置とが一致するように調整する。放射線シールド100は、端面16が隣接シールド102の端面102aに接触するまで外筒101内に挿入される。このように、放射線シールド100は、支持装置103によって端面17側の端部が支持された片持ち状態で外筒101内に挿入される。
【0030】
図6は、放射線シールド100の端面16が隣接シールド102の端面102aに接触する際の動作の一例を示す図である。図6の上側の図に示すように、放射線シールド100は、端面16から可動突起部20が突出した状態で隣接シールド102の端面102aに向けて移動する。放射線シールド100は、例えば外筒101との間にクリアランスを確保しつつ移動する。
【0031】
この状態から、図6の下側の図に示すように、放射線シールド100の端面16が隣接シールド102の端面102aに接触する際、端面102aにより可動突起部20が相対的に本体部10の内側、つまり格納部11の内側に向けて回動する。また、チャッキング部30は、可動突起部20の回動に伴って一体で回動し、本体部10の端部外周面13aから径方向の外側に突出する。チャッキング部30が本体部10の端部外周面13aから突出することにより、外筒101の内周面101aに接触し、内周面101aを外側に向けて押圧する。チャッキング部30が内周面101aに接触して押圧することにより、放射線シールド100と外筒101との間の位置決めが行われる。この場合、放射線シールド100は、チャッキング部30を介して内周面101aに支持されることになる。つまり、放射線シールド100は、端面17側が支持装置103に支持され、端面16側がチャッキング部30を介して外筒101の内周面に支持された状態となる。このため、放射線シールド100は、安定した状態で支持されることになる。また、本実施形態では、各チャッキング部30の端部外周面13aからの突出量が等しいため、本体部10の中心軸AXと、外筒101の中心軸とを一致させることができる。
【0032】
また、放射線シールド100を外筒101に取り付けた状態で中性子Nの照射動作を行った後、例えばメンテナンス等において放射線シールド100を外筒101から取り外す場合がある。この場合、放射線シールド100は、支持装置103によって支持された状態で、取り付け時とは逆方向に引き出される。これにより、例えば図6の下側の図に示す状態から、放射線シールド100の端面16が隣接シールド102の端面102aから離れる。放射線シールド100の端面16が隣接シールド102の端面102aから離れる際、端面102aにより可動突起部20を本体部10の内側に押圧する力が解除される。そのため、弾性部40の弾性力により、チャッキング部30が格納部11に格納されるように回動部材50が回動する。この回動により、放射線シールド100の位置決めが解消され、可動突起部20が端面16から突出した状態に復帰する。
【0033】
このように、放射線シールド100の移動を行うことで、作業者が直接回動部材50を操作することなく、放射線シールド100の位置決め及び位置決めの解除が行われることになる。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る放射線シールド100は、タングステンを用いて筒状に形成され、荷電粒子Pが照射されることにより中性子Nを発生するターゲット5を内部に収容する本体部10と、本体部10の中心軸AXの軸線方向の一方の端部に軸線方向に突出して設けられ、軸線方向に沿って突出方向とは反対方向に押圧されることで本体部10の内側に移動する可動突起部20と、本体部10に設けられ、可動突起部20が本体部10の内側に移動する動作に連動して本体部10の端部外周面13aから径方向に突出するチャッキング部30とを備える。
【0035】
従って、本体部10を移動させ、当該本体部10の一方の端部を外部の支持部等に接触させることにより、可動突起部20を突出方向とは反対方向に押圧することができ、可動突起部20の動作に連動してチャッキング部30を端部外周面13aから突出させることができる。これにより、チャッキング部30を直接操作することなく、本体部10の端部外周面13aから突出させることができるため、チャッキング部30の突出作業を短時間で行うことが可能となる。
【0036】
本実施形態に係る放射線シールド100において、本体部10は、一方の端部が支持されるように外筒101内に収容され、チャッキング部30は、端部外周面13aから突出して外筒101の内周面101aに接触可能である。従って、チャッキング部30を突出させて外筒101の内周面101aとの間で位置決めを行う作業を短時間で行うことができる。
【0037】
本実施形態に係る放射線シールド100において、本体部10は、円筒状であり、可動突起部20及びチャッキング部30は、中心軸AXの軸回り方向の対応する位置に3つ以上配置され、チャッキング部30は、端部外周面13aからの突出量がそれぞれ等しい。従って、本体部10を円筒内に配置した状態で複数のチャッキング部30を突出させることにより、本体部10の中心軸AXと円筒の中心軸とを一致させる位置決め作業を短時間で行うことができる。例えば、本実施形態のように円筒状の外筒101内に収容する場合、本体部10の中心軸AXと外筒101の中心軸とを一致させる位置決め作業を短時間で行うことができる。
【0038】
本実施形態に係る放射線シールド100は、チャッキング部30に対して本体部10の内側に戻るように弾性力を作用させる弾性部40を更に備える。従って、可動突起部20に対する押圧力を解除することで、弾性部40の弾性力により、チャッキング部30を本体部10の内側に戻すことができる。これにより、チャッキング部30を直接操作することなく、チャッキング部30の突出状態を解除することができる。
【0039】
本実施形態に係る放射線シールド100において、可動突起部20及びチャッキング部30は、一体で設けられ、可動突起部20が押圧されることで回動して本体部10の内側に移動すると共に可動突起部20の回動と一体でチャッキング部30が回動して本体部10の端部外周面13aから突出するように所定の回動軸15を中心として回動可能に設けられる。従って、簡単な構成でチャッキング部30の突出作業を短時間で行うことができる。
【0040】
本実施形態に係る放射線シールド100は、荷電粒子Pを加速して射出する加速装置と、加速装置から射出された荷電粒子Pが照射され、中性子Nを発生するターゲット5と、ターゲット5を内部に収容する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の放射線シールド100と、放射線シールド100を内部に着脱可能であり、装着時において一方の端部を支持する外筒とを備え、チャッキング部30は、突出状態において外筒101の内周面101aの一部に接続される。従って、放射線シールド100を外筒101に装着する場合に、外筒101との間の接続作業を短時間で行うことが可能となる。これにより、放射線シールド100の取り付け作業を短時間で行うことが可能となる。また、弾性部40が設けられる場合、外筒101との間の接続を解除する作業を短時間で行うことが可能となる。これにより、放射線シールド100の取り出し作業を短時間で行うことが可能となる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。図7は、第2実施形態に係る放射線シールド200を中心軸AXの軸線方向の一方側から見た一例を示す図である。図8は、図7におけるB-B断面矢視図である。図7及び図8に示すように、放射線シールド200は、本体部110と、可動突起部120と、チャッキング部130と、弾性部140とを備える。本実施形態に係る放射線シールド200は、可動突起部120及びチャッキング部130の構成が第1実施形態とは異なっている。したがって、以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0042】
本体部110は、内周面112と、外周面113と、段部114と、端面116とを有する。また、本体部110は、第1実施形態に記載の本体部10の端面17に対応する不図示の端面を有する。段部114により、外周面113の一方の端部側には、端部外周面113aが形成される。
【0043】
本体部110は、一方の端部側に格納部111を有する。格納部111は、後述する可動突起部120及びチャッキング部130を格納する。格納部111は、可動突起部120及びチャッキング部130が十分に移動可能となるように設けられる。格納部111は、可動突起部120を案内する案内面111aと、チャッキング部130を案内する案内面111bとを有する。案内面111aは、端面16から格納部111の内側にかけて中心軸AXの軸線方向に沿って形成される。案内面111bは、端部外周面13aから格納部111の内側にかけて中心軸AXに交差する方向に形成される。本実施形態において、案内面111bは、例えば中心軸AXに直交する方向に形成されるが、これに限定されず、中心軸AXに直交する方向に対して傾いた方向に形成されてもよい。また、格納部111には、後述する可動突起部120の移動位置を決めるストッパ115が設けられる。
【0044】
可動突起部120は、本体部110の端面116から軸線方向に突出して設けられる。可動突起部120は、中心軸AXの軸線方向に沿って突出方向とは反対方向に押圧されることで、本体部110の格納部111の内側に移動する。可動突起部120は、格納部111の案内面111aに沿って軸線方向に沿って移動可能である。第1実施形態と同様、可動突起部120は、中心軸AXの軸回り方向に3つ以上配置され、本実施形態では例えば4つ配置される。可動突起部120は、中心軸AXの軸回り方向に等しい間隔を空けて配置されるが、これに限定されず、中心軸AXの軸回り方向の間隔が異なってもよい。
【0045】
可動突起部120は、傾斜面121を有する。傾斜面121は、可動突起部120のうち格納部111の内部に配置される部分の外周面113側(端部外周面113a側)の角部に設けられる。傾斜面121は、後述するチャッキング部130の傾斜面131と接触する。可動突起部120は、凹部122を有する。凹部122は、格納部111の内部に配置される弾性部140と干渉しないように設けられる。
【0046】
チャッキング部130は、可動突起部120とは別個に設けられる。チャッキング部130は、可動突起部120が本体部110の内側に移動する動作に連動して本体部110の端部外周面113aから突出する。チャッキング部130は、格納部111の案内面111bに沿って軸線方向に直交する方向に移動可能である。チャッキング部130は、突出状態において外筒101の内周面101aに接触する。チャッキング部130は、可動突起部120に対応して、中心軸AXの軸回り方向に3つ以上配置され、本実施形態では例えば4つ配置される。チャッキング部130は、可動突起部120の配置に対応して中心軸AXの軸回り方向に等しい間隔を空けて配置される。
【0047】
チャッキング部130は、傾斜面131を有する。傾斜面131は、チャッキング部130のうち格納部111の内部に配置される部分の端面16側の角部に設けられる。傾斜面131は、上記の可動突起部120の傾斜面121と接触する。
【0048】
可動突起部120は、中心軸AXの軸線方向に沿って本体部10側に押圧されることで案内面111aに沿って格納部111内に移動する。このとき、可動突起部120は、傾斜面121によりチャッキング部130の傾斜面131を上方に押しながらストッパ115の位置まで移動する。この力により、チャッキング部130は、案内面111bに沿って本体部110の径方向の外側に向けて移動し、端部外周面113aから突出する。
【0049】
弾性部140は、チャッキング部130に対して本体部110の内側に戻るように弾性力を作用させる。可動突起部120に対する押圧力が解除された場合、弾性部140の弾性力により、チャッキング部130が格納部111に格納されるように移動する。この移動により、可動突起部120が端面16から突出した状態に復帰する。
【0050】
以上のように、第2実施形態に係る放射線シールド200において、可動突起部120は、中心軸AXの軸線方向に沿って移動可能に設けられ、チャッキング部130は、軸線方向に交差する方向に移動可能に設けられ、可動突起部120及びチャッキング部130は、本体部110の内側に移動する可動突起部120に押されてチャッキング部130が本体部110の径方向外側に移動するように互いに接触する傾斜面121、131を有する。従って、可動突起部120とチャッキング部130とを別個に形成した場合においても、チャッキング部130を直接操作することなく、本体部110の端部外周面113aから突出させることができるため、チャッキング部130の突出作業を短時間で行うことが可能となる。
【0051】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、本体部10が円筒状である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本体部10は、多角筒状であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 中性子照射装置
2 加速装置
3 調整装置
4 走査装置
5 ターゲット
6 減速装置
7 コリメータ
10,110 本体部
11,111 格納部
12,101a,112 内周面
13,113 外周面
13a,113a 端部外周面
14,114 段部
15 回動軸
16,17,102a,116 端面
20,120 可動突起部
30,130 チャッキング部
40,140 弾性部
50 回動部材
100,200 放射線シールド
101 外筒
102 隣接シールド
103 支持装置
111a,111b 案内面
115 ストッパ
121,131 傾斜面
122 凹部
AX 中心軸
N 中性子
P 荷電粒子
S 被照射体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8