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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】重量物の搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 25/06 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B65G25/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020118716
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022015697
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】591135440
【氏名又は名称】日本通運株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000227216
【氏名又は名称】NX商事株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592182573
【氏名又は名称】オックスジャッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】堤 勝臣
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大樹
(72)【発明者】
【氏名】山形 昭博
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-079608(JP,U)
【文献】実開昭58-196311(JP,U)
【文献】特開2019-073351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 25/06
B66F 3/24
B65G 21/12
B65G 41/00
B65G 35/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一地点から他地点に向かって、重量物を直線的に搬送する重量物の搬送装置であって、
敷板の上面に固定した一対の平行レールを有し、一地点から他地点に向かって連結自在に敷設できる複数の低背の案内レールと、
一対の前記平行レールに跨った状態で配置され、一対の前記平行レールとスライド自在に連結し、重量物を載置できる複数の平板状の台車と、
シリンダ本体とこのシリンダ本体から進退自在なピストンロッドで構成し、前記台車の進行方向に沿って、前記案内レールに配置される推進ジャッキと、
最後尾の前記台車に固定し、前記ピストンロッドの先端部と着脱自在に連結できる連結体と、を備え、
前記案内レールは、一対の前記平行レールが延びる方向と略直交する方向に配置した反力受け部を一方の端部に有し、
前記シリンダ本体は、
後部の底部から突出し、前記反力受け部に当接して、前記推進ジャッキの戻りを阻止する共に、前段の前記案内レールの反力受け部を乗り越えできる、三角体状の爪部と、を有している、重量物の搬送装置。
【請求項2】
前記台車は、一対の前記平行レールとスライド自在な摺動板を底面に固定している、請求項1記載の重量物の搬送装置。
【請求項3】
前記案内レールは、一対の前記平行レールの間に配置されたリンク板を一方の端部に備え、
前記リンク板は、複数の前記案内レールを前後方向に連結している、請求項1又は2記載の重量物の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量物の搬送装置に関する。特に、トレーラーなどの貨物車両で運搬された大型の重量物を、現地の床面又は地面などの平面上で移動するのに好適な、重量物の搬送装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、山間部又は市街地などでは、クレーンなどの重機を設置することが容易でないことから、貨物車両で運搬された大型の重量物をジャッキアップして、地面に敷設したレール上を移動できる台車に重量物を載置し、この台車を移動することで、重量物を現地で据付することが実施されている。
【0003】
100~200トン程度の重量物を、クレーンなどの設置が困難な現地で移動するために、平坦な案内レール上をスライドできる複数の昇降ジャッキ付き台車を連結し、複動形の油圧シリンダを用いて、重量物を載置した連結台車をステッピング搬送する、重量物の搬送装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-73351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8は、従来技術による重量物の搬送装置の構成を示す斜視図であり、特許文献1の全体構成図に相当している。
【0006】
図8を参照すると、従来技術による重量物の搬送装置(以下、搬送装置と略称する)9は、長尺で平板状の案内レール91と複数のスライド台車92を備えている。案内レール91は、床面又は地面などの平面上に敷設できる。又、案内レール91は、その上面にスレイドプレート91pを敷設している。案内レール91は、スライド台車92をスライド自在に上面に載置できる。
【0007】
図8を参照すると、案内レール91は、一対の案内壁91w・91wを両端部から立設している。一対の案内壁91w・91wは、案内レール91の長手方向に沿って、スライド台車92が移動できるように、スライド台車92の横移動を規制している。又、一対の案内壁91w・91wは、上面から矩形に切り欠いた複数の溝91dを形成している。これらの溝91dは、等間隔に形成されている。
【0008】
図8を参照すると、複数のスライド台車92は、二組のリンク板を用いて、二山形のクレビス(継手)と二山形のクレビス(継手)で相互に連結されている。複数のスライド台車92は、案内レール91の長手方向に沿って、相互に連結されている。
【0009】
図8を参照して、複数のスライド台車92は、その上面に図示しない重量物を載置できる。スライド台車92は、油圧式の円柱状の昇降ジャッキ91jを底部に備えている。複数の昇降ジャッキ91jに駆動油を一斉に供給することで、スライド台車92は、重量物を持ち上げることができる。又、昇降ジャッキ91jは、その底面にスライド部材を固定している。これにより、案内レール91に対して、スライド台車92を容易にスライドできる。
【0010】
図8を参照すると、搬送装置9は、複動式の油圧シリンダ93、第1連結体94、及び、第2連結体95を更に備えている。油圧シリンダ93は、シリンダ本体93bとピストンロッド93rで構成している。
【0011】
図8を参照して、シリンダ本体93bに設けた一方の供給口から駆動油を供給することで、シリンダ本体93bに対して、ピストンロッド93rを進出できる。シリンダ本体93bに設けた他方の供給口から駆動油を供給することで、シリンダ本体93bに対して、ピストンロッド93rを後退できる。このように、油圧シリンダ93を油圧操作することで、シリンダ本体93bに対して、ピストンロッド93rを進退できる。
【0012】
図8を参照すると、第1連結体94は、油圧シリンダ93の前方に配置されている。第1連結体94は、一対の案内壁91w・91wで規制されると共に、案内レール91上をスライド自在に載置されている。
【0013】
図8を参照すると、第1連結体94は、重量物を載置できる台部94mを一方の端部に備えている。又、第1連結体94は、二山形のクレビス94jを他方の端部に備えている。一方、ピストンロッド93rは、クレビス94jと連結できる一山形のクレビス911を先端部に備えている。
【0014】
図8を参照すると、第2連結体95は、油圧シリンダ93の後方に配置されている。第2連結体95は、一対の案内壁91w・91wで規制されると共に、案内レール91上をスライド自在に載置されている。
【0015】
図8を参照すると、第2連結体95は、二山形のクレビス95jを一方の端部に備えている。一方、シリンダ本体93bは、クレビス95jと連結できる一山形のクレビス912を後端部に備えている。このように、油圧シリンダ93、第1連結体94、及び、第2連結体95は、相互に連結した推進ジャッキ9jを構成している。推進ジャッキ9jは、案内レール91上をスライド自在に移動できる。
【0016】
図8を参照すると、第1連結体94は、その両側面から出没自在な一対のストッパ94s・94sを中間部に備えている。第1連結体94は、一対のストッパ94s・94sを出没させるアクチュエータ(図示せず)を内部に備えている。
【0017】
図8を参照して、一対のストッパ94s・94sが第1連結体94の両側面から突出したときは、ストッパ94sが案内壁91wの溝91dに係合することで、案内レール91に対して、第1連結体94を停止できる。一対のストッパ94s・94sが第1連結体94の両側面から後退したときは、ストッパ94sと案内壁91wの溝91dの係合が解除することで、案内レール91に対して、第1連結体94を移動できる。
【0018】
又、図8を参照すると、第2連結体95は、その両側面から出没自在な一対のストッパ95s・95sを備えている。第2連結体95は、一対のストッパ95s・95sを出没させるアクチュエータ(図示せず)を内部に備えている。
【0019】
図8を参照して、一対のストッパ95s・95sが第2連結体95の両側面から突出したときは、ストッパ95sが案内壁91wの溝91dに係合することで、案内レール91に対して、第2連結体95を停止できる。一対のストッパ95s・95sが第2連結体95の両側面から後退したときは、ストッパ95sと案内壁91wの溝91dの係合が解除することで、案内レール91に対して、第2連結体95を移動できる。
【0020】
図8を参照して、複数のスライド台車92を連結した連結台車920、及び第1連結体94の台部94mに重量物を載置した状態で、第2連結体95に設けた一対のストッパ95s・95sを突出すると共に、第1連結体94に設けた一対のストッパ94s・94sを後退し、シリンダ本体93bに対してピストンロッド93rを進出することで、重量物を搬送装置9の前方に移動できる。
【0021】
次に、図8を参照して、重量物が搬送装置9の前方に移動した状態から、第1連結体94に設けた一対のストッパ94s・94sを突出し、第2連結体95に設けた一対のストッパ95s・95sを後退した状態で、シリンダ本体93bに対してピストンロッド93rを後退することで、第1連結体94は移動することなく、第2連結体95に設けた一対のストッパ95s・95sが次の溝91dに係合する位置まで、第2連結体95を移動できる。
【0022】
このように、搬送装置9は、前述した動作を繰り返すことで、重量物を案内レール91の前方にステッピング搬送できる。特許文献1による搬送装置は、大型の重量物を所定の位置まで容易に搬送できる、としている。
【0023】
しかしながら、図8を参照して、従来技術による搬送装置は、例えば、推進ジャッキ9jは、現地での組み立て時間を低減するために、油圧シリンダ93、第1連結体94、及び、第2連結体95を一体にして、貨物車両で運搬していた。このため、現地では、重量物の推進ジャッキ9jを案内レール91に搭載するために、クレーンなどの重機を必要としていたが、山間部又は市街地などの現場では、クレーンなどの重機を設置することが容易でなかった。
【0024】
重量物の搬送装置を現地で組み立てるために、クレーンなどの大型重機を必要としない重量物の搬送装置が求められている。
【0025】
又、図8を参照して、従来技術による搬送装置は、例えば、重量物の現地での搬送距離に対応して、所定長さの案内レール91が複数台用意され、これらの案内レール91を現地で長さ方向に組み立てた後に、スレイドプレート91pを敷設する必要があったので、現地での施工時間を短縮することが容易でないという不具合があった。
【0026】
重量物の搬送装置を構成する構成品を軽量化すると共に、これらの、重量物の搬送装置が求められていた。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0027】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、構成品を軽量化すると共に、これらの構成品を組み立てる施工時間を短縮できる、重量物の搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
(1)本発明による重量物の搬送装置は、一地点から他地点に向かって、重量物を直線的に搬送する重量物の搬送装置であって、敷板の上面に固定した一対の平行レールを有し、一地点から他地点に向かって連結自在に敷設できる複数の低背の案内レールと、一対の前記平行レールに跨った状態で配置され、一対の前記平行レールとスライド自在に連結し、重量物を載置できる複数の平板状の台車と、シリンダ本体とこのシリンダ本体から進退自在なピストンロッドで構成し、前記台車の進行方向に沿って、前記案内レールに配置される推進ジャッキと、最後尾の前記台車に固定し、前記ピストンロッドの先端部と着脱自在に連結できる連結体と、を備え、前記案内レールは、一対の前記平行レールが延びる方向と略直交する方向に配置した反力受け部を一方の端部に有し、前記シリンダ本体は、後部の底部から突出し、前記反力受け部に当接して、前記推進ジャッキの戻りを阻止する共に、前段の前記案内レールの反力受け部を乗り越えできる、三角体状の爪部と、を有している。
【0029】
(2)前記台車は、一対の前記平行レールとスライド自在な摺動板を底面に固定していることが好ましい。
【0030】
(3)前記案内レールは、一対の前記平行レールの間に配置されたリンク板を一方の端部に備え、前記リンク板は、複数の前記案内レールを前後方向に連結していることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明による重量物の搬送装置は、一対の案内壁を案内レールに設けることなく、案内レールを低背化することで、構成品の軽量化を図る共に、推進ジャッキを前進のみが可能な構造に変えることで、構成品を組み立てる施工時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態による重量物の搬送装置の構成を示す斜視図である。
図2】前記実施形態による重量物の搬送装置に備わる案内レールの構成を示す斜視図であり、連結した案内レールの後部に案内レールを連結する前の状態図である。
図3】前記実施形態による重量物の搬送装置に備わる台車の構成を示す斜視図であり、連結した台車の後部に連結体付き台車を連結する前の状態図である。
図4】前記実施形態による重量物の搬送装置に備わる推進ジャッキの構成を示す斜視図であり、推進ジャッキを連結体付き台車に連結する前の状態図である。
図5】前記実施形態による重量物の搬送装置に備わる推進ジャッキの構成を示す図であり、図5(A)は、推進ジャッキの正面図、図5(B)は、推進ジャッキの平面図、図5(C)は、推進ジャッキの右側面図、図5(D)は、推進ジャッキの左側面図であり、ピストンロッドが後退した状態図である。
図6】前記実施形態による重量物の搬送装置に備わる台車の構成を示す図であり、図6(A)は、台車の正面図、図6(B)は、台車の平面図、図6(C)は、台車の右側面図である。
図7】前記実施形態による重量物の搬送装置に備わる案内レールの構成を示す図であり、図7(A)は、案内レールの正面図、図7(B)は、案内レールの平面図、図7(C)は、案内レールの右側面図、図7(D)は、案内レールの左側面図であり、
図8】従来技術による重量物の搬送装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[重量物の搬送装置の構成]
最初に、本発明の一実施形態による重量物の搬送装置の全体構成を説明する。
【0034】
(全体構成)
図1から図4を参照すると、本発明の一実施形態による重量物の搬送装置(以下、搬送装置と略称する)10は、一地点から他地点に向かって、図示しない重量物を直線的に搬送できる。搬送装置10は、複数の低背の案内レール1と複数の平板状の台車2を備えている。又、搬送装置10は、推進ジャッキ3jと連結体4を備えている。
【0035】
図1から図4及び図7を参照すると、案内レール1は、矩形の敷板11と一対の平行レール1r・1rで構成している。一対の平行レール1r・1rは、敷板11の上面に固定されている。複数の案内レール1をそれらの長手方向に連結することで、一地点から他地点に向かって、複数の案内レール1を平面状に敷設できる。
【0036】
図1から図4を参照すると、実施形態では、複数の案内レール1は、長尺のアルミ角バイプからなる搬送用機材8の上面に敷設されている。搬送用機材8は、H型鋼を用いることもできる。
【0037】
図1から図4を参照すると、台車2は、一対の平行レール1r・1rに跨った状態で配置されている。台車2は、一対の平行レール1r・1rとスライド自在に連結している。そして、台車2には、図示しない重量物を載置できる。
【0038】
図1又は図4及び図5を参照すると、推進ジャッキ3jは、シリンダ本体3bとピストンロッド3rで構成している。ピストンロッド3rは、シリンダ本体3bから進退できる。図5に示した状態では、ピストンロッド3rは、シリンダ本体3bから後退している。シリンダ本体3bを駆動することで、図5の想像線で示すように、ピストンロッド3rをシリンダ本体3bから進出できる。推進ジャッキ3jは、実態として、複動式の油圧シリンダである。
【0039】
図1又は図4を参照すると、推進ジャッキ3jは、台車2の進行方向に沿って、案内レール1に配置されている。図1又は図4に示した状態では、推進ジャッキ3jは、最後尾の案内レール1に配置されている。
【0040】
図1又は図4を参照すると、連結体4は、最後尾の台車2mに固定している。連結体4は、ピストンロッド3rの先端部と着脱自在に連結できる。なお、最後尾の台車2mと台車2は、同じものであるが、説明の便宜上符号を変えて区別した。又、連結体4は、最後尾の台車2mと着脱自在に固定することもできるが、実施形態では、連結体4を最後尾の台車2mに溶接などで接合して、連結体4と最後尾の台車2mを一体化している。
【0041】
図1から図4及び図7を参照すると、案内レール1は、矩形のリンク板12を一方の端部に備えている。リンク板12は、一対の平行レール1r・1rの間に配置されている。図2又は図7を参照すると、案内レール1は、側面方向から貫通する一対の連結穴11h・11hを両端部に開口している。又、リンク板12は、側面方向から貫通する一対の連結穴12h・12hを両端部に開口している。
【0042】
図2又は図7を参照して、案内レール1に形成した一方の連結穴11hと、リンク板12に形成した他方の連結穴12hを一致させて、連結ピン12pを挿入することで、案内レール1に対して、リンク板12を揺動自在に連結できる。
【0043】
図2又は図7を参照して、リンク板12に形成した一方の連結穴12hと、他の案内レール1に形成した他方の連結穴11hを一致させて、連結ピン12pを挿入することで、多の案内レール1に対して、リンク板12を揺動自在に連結できる。リンク板12は、他の案内レール1及びリンク板12から連結ピン12pが容易に脱落しないように、ノブ付き固定ネジ12sを備えている。
【0044】
このように、図2又は図7を参照すると、リンク板12は、複数の案内レール1を前後方向に搖動自在に連結している。又、案内レール1及びリンク板12から連結ピン12pが容易に脱落しないように、先端面が連結ピン12pに当接できる、ノブ付き固定ネジ12sをリンク板12に取り付けている。
【0045】
図5(A)又は図7(A)を参照すると、リンク板12は、鋭角に形成した反力受け部12aを一方の端部に形成している。図2又は図7を参照すると、案内レール1は、一対の平行レール1r・1rが延びる方向と略直交する方向に、反力受け部12aを配置している。
【0046】
図1又は図4及び図5を参照すると、シリンダ本体3bは、一対の耳部3e・3eと三角体状の爪部3nを後部に有している。一対の耳部3e・3eは、シリンダ本体3bの外周方向に相反する向きに突出している。又、一対の耳部3e・3eは、推進ジャッキ3jを片持ち支持すると共に、一対の平行レール1r・1rの上面をスライドできる。
【0047】
図5(A)を参照すると、爪部3nは、シリンダ本体3bの底部から突出している。爪部3nの短辺は、リンク板12の反力受け部12aに当接して、推進ジャッキ3jの戻りを阻止できる。又、爪部3nの斜辺は、前段の案内レール1に取り付けたリンク板12の反力受け部12aを乗り越えできる。
【0048】
図1又は図5を参照して、シリンダ本体3bを駆動して、シリンダ本体3bからピストンロッド3rを進出すると、連結体4を介して、重量物を載置した複数の台車2を前方に押し出すことができる。この場合、シリンダ本体3bの爪部3nは、案内レール1の反力受け部12aに当接しているので、案内レール1に対して、推進ジャッキ3jが後退することが阻止される。つまり、推進ジャッキ3jの戻りを阻止できる。
【0049】
図1又は図5を参照して、前述した状態から、シリンダ本体3bを駆動して、シリンダ本体3bからピストンロッド3rを後退すると、重量物を載置した複数の台車2に牽引されて、推進ジャッキ3jを前進できる。推進ジャッキ3jが前進する過程では、一対の耳部3e・3eは、一対の平行レール1r・1rの上面を脱線することなく、スライドできる。
【0050】
図1又は図5を参照して、重量物を載置した複数の台車2に相対的に牽引されて、推進ジャッキ3jが前進する過程では、前段の案内レール1に取り付けたリンク板12の反力受け部12aを乗り越えて、爪部3nの短辺を前段のリンク板12の反力受け部12aに対向できる。
【0051】
このように、実施形態による搬送装置10は、推進ジャッキ3jに備えたピストンロッド3rが前進と後退を繰り返すことで、重量物を案内レール1の前方にステッピング搬送できる。実施形態による搬送装置10は、従来による搬送装置9と異なり、推進ジャッキを前進のみが可能な構造に変えている。
【0052】
(案内レールの構成)
次に、実施形態による案内レール1の構成を説明する。図2又は図7を参照すると、案内レール1は、U字状の取っ手11g・11gを両側面に取り付けている。一方の取っ手11g又は両方の取っ手11g・11gを把持して、案内レール1を搬送できる。敷板11には、軽量化するための一組の抜き穴111・111を開口している。又、敷板11には、アイボルト1iを螺合するためのネジ穴を中央部に螺設している。
【0053】
図7を参照すると、実施形態による案内レール1は、従来技術のように、一対の案内壁91w・91wを両端部に形成していないので(図8参照)、軽量化でき、作業員による搬送も可能である。又、実施形態による案内レール1は、従来技術の案内レール91と比べて、レール長さを短かくしたので、単位重量を軽くでき、作業員による搬送も可能である。更に、実施形態による案内レール1は、アイボルト1iを取り付けることもでき、チェーンブロックなどを用いて、引き上げ又は引き下ろしすることもできる。
【0054】
図2又は図7を参照すると、従来技術による案内レール91は、ボルト部材及びナット部材を用いて、複数の案内レール91を長さ方向に結合していたのに対し(図8参照)、実施形態による案内レール1は、連結ピン12pを用いて、複数の案内レール1を長さ方向に連結している。これにより、複数の案内レール1の組立時間を短縮できる。
【0055】
(台車の構成)
次に、実施形態による台車2の構成を説明する。図3又は図6を参照すると、台車2は、矩形の載置板21と一対の角柱状の案内壁22・22で構成している。載置板21には、図示しない重量物を載置できる。
【0056】
図3又は図6を参照すると、一対の案内壁22・22は、載置板21の底面に溶接などで接合されている。一対の案内壁22・22は、一対の平行レール1r・1rの外側から一対の平行レール1r・1rを案内できるように、対向配置されている。
【0057】
図6を参照すると、一対の案内壁22・22は、それらの端面から嵌合穴22hを穿設している。一対の嵌合ピン21p・21pを両端部から相反する向きに突出した接続ピン2pを用いて(図3参照)、嵌合ピン21pを嵌合穴22hに嵌合することで、複数の台車2を長さ方向に接続できる。
【0058】
図6を参照すると、載置板21は、一対の摺動板23・23を離隔した状態で、底面に取り付けている。摺動板23は、平行レール1rの上面とスライドできる(図6参照)。台車2の底面と平行レール1rの上面の間に、摺動板23を介在させることで、一対の平行レール1r・1rと台車2の摩擦抵抗を低減できる。これにより、複数の台車2に載置された重量物を容易に移動できる。
【0059】
(推進ジャッキの構成)
次に、実施形態による推進ジャッキ3jの構成を説明する。図5を参照すると、ピストンロッド3rは、一山形のクレビス3cを先端部に備えている。一方、図4を参照すると、連結体4は、二山形のクレビス41jを後端部に備えている。クレビス3cに開口した連結穴とクレビス41jcに開口した連結穴を一致させ、これらの連結穴にコッタ41pを挿通すると共に、コッタ41pの先端部にアイボルト41bを締結することで、連結体4に対して、推進ジャッキ3jを揺動自在に連結できる(図1参照)。
【0060】
図5を参照すると、シリンダ本体3bは、U字状の取っ手31g・31gを両端部に取り付けている。これらの取っ手31g・31gを把持して、推進ジャッキ3jを人力で搬送することもできる。
【0061】
図5を参照すると、シリンダ本体3bは、一組の接続配管31c・32cを備えている。一方の接続配管31cは、ヘッド側に開口した供給口に接続している。他方の接続配管32cは、ロッド側に開口した供給口に接続している。
【0062】
図4又は図5を参照して、一方の接続配管31cを介して、一方の供給口から駆動油を供給することで、シリンダ本体3bに対して、ピストンロッド3rを進出できる。他方の接続配管32cを介して、他方の供給口から駆動油を供給することで、シリンダ本体3bに対して、ピストンロッド3rを後退できる。
【0063】
[重量物の搬送装置の作用]
次に、実施形態による搬送装置10の組立手順及び動作を説明しながら、搬送装置10の作用及び効果を説明する。
【0064】
最初に、重量物を搭載したトレーラーなどの貨物車両の停車位置に搬送用機材8を敷設する(図2から図4参照)。次に、複数の円柱状の複動型油圧ジャッキ(図示せず)を用いて、重量物を地面から持ち上げる。次に、重量物の底面と土面の間に、二連に配置した一組の搬送装置10・10の案内レール1及び台車2を挿入する。次に、複動型油圧ジャッキ(図示せず)を下降して、重量物を複数の台車2上に載置する。
【0065】
次に、貨物車両の停車位置(一地点)から重量物を設置する場所(他地点)まで、搬送用機材8及び案内レール1を増設し、搬送装置10を駆動することで、一地点から他地点に向かって、重量物を直線的に搬送できる。
【0066】
(重量物の搬送装置の組立手順)
次に、実施形態による搬送装置10の組立て手順を説明する。最初に、図4又は図5を参照して、コッタ41p及びアイボルト41bを用いて、連結体4と推進ジャッキ3jを連結する。
【0067】
図8を参照すると、従来技術による推進ジャッキ9jは、推進ジャッキ9jの前後に第1連結体94及び第2連結体95を取り付けていたので、総重量が重く、クレーンなどを用いて、昇降していた。一方、図4又は図5を参照すると、実施形態による推進ジャッキ3jは、シリンダ本体3bのみで構成しているので、総重量を低減できる。そして、連結体4と推進ジャッキ3jを人力で容易に連結できる。
【0068】
次に、図2又は図7を参照して、連結ピン12pを用いて、隣接する案内レール1同士を連結する。従来技術による案内レール91は、ボルト部材及びナット部材を用いて、複数の案内レール91を長さ方向に結合していたのに対し(図8参照)、実施形態による案内レール1は、連結ピン12pを用いて、複数の案内レール1を長さ方向に連結している。これにより、1つの案内レール1の重量を軽くできると共に、複数の案内レール1の組立時間を短縮できる。
【0069】
次に、図3又は図6を参照して、接続ピン2pを用いて、隣接する台車2同士を連結する。図8を参照すると、従来技術による搬送装置9は、二組のリンク板を用いて、隣接するスライド台車92同士を連結していた。一方、実施形態による搬送装置10は、接続ピン2pを用いて、隣接する台車2同士を側面方向から連結できるので、台車2同士を組み立てる施工時間を短縮できる。
【0070】
又、図6を参照すると、台車2は、摺動板23を底面に予め取り付けているので、従来技術のように、案内レール91の上面にスレイドプレート91pを敷設する作業を省略できる。
【0071】
図示しない操作盤付き油圧ポンプ装置を用いて、以上のように組み立てた搬送装置10の推進ジャッキ3jを操作することで、一地点から他地点に向かって、重量物を直線的に搬送できる。図8を参照すると、従来技術による搬送装置9は、推進ジャッキ9jと連結体に内蔵したアクチュエータ(図示せず)の操作が必要であったが、実施形態による搬送装置10は、推進ジャッキ3jを操作するだけでよく、搬送装置の操作が容易になった利点がある。
【0072】
本発明による重量物の搬送装置は、一対の案内壁を案内レールに設けることなく、案内レールを低背化することで、構成品の軽量化を図る共に、推進ジャッキを前進のみが可能な構造に変えることで、構成品を組み立てる施工時間を短縮できる。
【符号の説明】
【0073】
1 案内レール
1r・1r 一対の平行レール
2 台車
3j 推進ジャッキ
3b シリンダ本体
3e 耳部
3n 爪部
3r ピストンロッド
4 連結体
10 搬送装置(重量物の搬送装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8