IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱農機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-作業車両 図1
  • 特許-作業車両 図2
  • 特許-作業車両 図3
  • 特許-作業車両 図4
  • 特許-作業車両 図5
  • 特許-作業車両 図6
  • 特許-作業車両 図7
  • 特許-作業車両 図8
  • 特許-作業車両 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 13/02 20060101AFI20240229BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20240229BHJP
   F02M 35/16 20060101ALI20240229BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B60K13/02 A
F02M35/10 101M
F02M35/10 301V
F02M35/16 P
A01C11/02 313A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020143618
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022038904
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鐵見 幸一
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-163512(JP,A)
【文献】特開2019-217811(JP,A)
【文献】実開昭61-125825(JP,U)
【文献】実開昭57-153022(JP,U)
【文献】特開2000-006672(JP,A)
【文献】米国特許第05199522(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0089212(KR,A)
【文献】西独国特許出願公開第2715760(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 13/02
F02M 35/10
F02M 35/16
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の各部を駆動するディーゼルエンジンと、エンジンの冷却水を冷やす電動式のクーリングファンを備えるラジエータと、エンジンに清浄な燃焼用の空気を供給するエアクリーナと、係るエンジンやエアクリーナを覆うボンネットを運転席の前方に設ける作業車両にあって、前記クーリングファンを備えるラジエータの上部寄りをその後方となる運転席側に向けて傾けて立設し、また、そのクーリングファンを備えるラジエータの前方に横置きするエンジンの上部寄りとの間に生ずる空間に、前記エアクリーナをその本体が左右方向となるように設け、更にこのエアクリーナの吸気管に連結するホース或いはパイプで構成する導入管の吸気口を、前記ボンネットの左側壁又は右側壁に形成する通気口の内側に臨ませ、この通気口から取り込んだ外気をエアクリーナによって清浄化してエンジンに供給することを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記導入管をエンジンの上方側からその先端に設ける吸気口にかけて下り傾斜させて設け、係る吸気口から雨水や洗車水が導入管内に入った際にこれを流下させて、エアクリーナ内への水の侵入を防止することを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記導入管の先端部にダクトを設けると共に、このダクトの開口をボンネットの左側壁又は右側壁に形成する通気となる多数の小孔の内側に臨ませて設け、これによりボンネットの外側となる外気のみを導入管の吸気口に取り込むようになすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記導入管と共にダクトをラジエータの支持フレームに金具を介して取付けることを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型の田植機や野菜苗の移植機等の主に農業用の作業車両に関し、詳しくは、機体の各部を駆動するディーゼルエンジンと、エンジンの冷却水を冷やす電動式のクーリングファンを備えるラジエータと、エンジンに清浄な燃焼用の空気を供給するエアクリーナと、係るエンジンやエアクリーナを覆うボンネットを運転席の前方に設ける作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
農業用の作業車両は機体フレームにエンジンを搭載し、このエンジンの動力によって左右の前輪や後輪等を駆動して作業走行を行う。また、作業車両の機体フレームに連結する作業装置はエンジンの動力によって駆動し、ここで作業装置が植付装置であれば田畑に稲苗や野菜苗を植付ける。そして、この場合、機体フレームに搭載するエンジンは、比較的安価で軽量なガソリンエンジンを使用するが、苗の多条植化等に伴ってエンジンの出力が不足する場合は、ガソリンエンジンに替えて大きな出力が得られるディーゼルエンジンを使用する。
【0003】
しかし、このようにエンジンをディーゼルエンジンとした場合には、エンジンの冷却水を冷やすクーリングファンを備えるラジエータや、エンジンに清浄な燃焼用の空気を供給する大型のエアクリーナ(遠心式エアクリーナ)等が必要となり、これに伴ってエンジンやエアクリーナ、或いはラジエータ等を収容して覆うボンネットが大きくなって、この大型化したボンネットは運転席からの前方視界を悪化させる。また、エンジンやラジエータ等によって構成する原動部の前後長が長くなると機体の全長も長くなって、枕地での機体の旋回性能等に悪影響を及ぼす。
【0004】
そこで、これらの問題を解決するために先ず、機体フレームにディーゼルエンジンのクランクシャフトが左右方向となるようにエンジンを横置きして搭載し、これによりエンジンの占める前後方向の長さを少なくし、それにより原動部の前後長を短くすることができる。また、エンジンの冷却水を冷やす電動式のクーリングファンを備えるラジエータをエンジンの後方に設け、これによりボンネットの左右幅をエンジンやラジエータ等を収容することができる幅に抑えて、ボンネットの大型化を防ぐことができる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、前述のエンジンを横置きするとともに電動式のクーリングファンを備えるラジエータをエンジンの後方に設ける際に、クーリングファンとともにラジエータの上部寄りをその後方となる運転席側に向けて傾けて設けると、例えばクーリングファンを駆動する電動モータとエンジンとの干渉を避けながら、エンジンの後方にクーリングファンとともにラジエータを近接させて設けることができる。そのため、エンジンやラジエータ等から構成する原動部の前後長をより短くし、延いては機体の全長を短くして機体の旋回性能等を向上させることができる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-261071号公報
【文献】特開2015-85886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように作業車両は搭載するエンジンをディーゼルエンジンになすと、エンジンの冷却水を冷やすクーリングファンを備えるラジエータやエンジンに清浄な燃焼用の空気を供給する大型のエアクリーナが必要となり、これらを収容して覆うボンネットが大型化するため、エンジンの搭載する向きやラジエータ等の配置に工夫をこらしてボンネットの大型化を防止する。しかし、エンジンの更なる出力アップやエンジン性能の向上のためにエンジン自体がより大型化した場合には、ボンネット内にこれらを収容するためにボンネットを大型化して変更しなければならず、前述の前方視界の悪化が再燃したりコストアップが余儀無くされる。
【0008】
そこで、これまで使用していた比較的小型のボンネットを引き続いて使用することが考慮されるが、変更するエンジンが大型化して横置きする際の左右長が長く、或いはエンジンの高さが高くなった場合には、例えば特許文献1に記載された農作業機にあっては、エンジンの上方にその本体を左右方向として設けるエアクリーナの配置高さが高くなり、これまでのボンネット内にエンジンと共にエアクーナを適正に収容するこが出来なくなる。また、特許文献2に記載された田植機にあっては、エンジンの上部寄りの側方にその本体を前後方向として設けるエアクリーナがボンネットの左右幅内に収容するこが出来なくなる。
【0009】
また一方、特許文献1や特許文献2に記載された作業車両にあっては、エンジンに清浄な燃焼用の空気を供給するエアクリーナの吸気管をラジエータの上方を迂回して一旦後方に位置させた状態から下方に延出させて、その吸気口を前車軸の近傍で搭乗ステップの下方に位置させたり、エアクリーナの吸気管に連結する吸気ホースをラジエータの支持フレームに設ける孔を通して、その吸気口をラジエータ後方側の低い位置に設ける。そのため、エアクリーナはラジエータの放熱によって高温となったボンネット内の空気をその吸気口から直接に取り込むことがなく、高温で密度の低い空気の供給に伴うエンジンの出力低下等の影響を減らすことができる。
【0010】
しかし、前述のようにエアクリーナの吸気口の位置を設定することによって、エアクリーナが高温となったボンネット内の空気を取り込まないように工夫したとしても、ボンネット内の高温となった空気が機体の下方から吹き出し、或いは、エンジンの排気音を低減するマフラーから排気される熱い排気ガスが、車両の前進走行に伴って後方側に設けるエアクリーナの吸気口側に回り込んでこれ等をエアクリーナが取り込むと、係る工夫に拘らずエンジンの出力低下等の影響を少なからず受けてしまうという虞がある。
【0011】
そこで、本発明は係る問題点に鑑み、機体の各部を駆動するディーゼルエンジンと、エンジンの冷却水を冷やす電動式のクーリングファンを備えるラジエータと、エンジンに清浄な燃焼用の空気を供給するエアクリーナと、係るエンジンやエアクリーナを覆うボンネットを運転席の前方に設ける作業車両にあって、大型のエンジンをエアクリーナとともにボンネットによって覆う場合であっても、殊更ボンネットを大型化することなく、また、エアクリーナが高温の空気を極力取り込まないようにすることができる作業車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の作業車両は、前述の課題を解決するため第1に、機体の各部を駆動するディーゼルエンジンと、エンジンの冷却水を冷やす電動式のクーリングファンを備えるラジエータと、エンジンに清浄な燃焼用の空気を供給するエアクリーナと、係るエンジンやエアクリーナを覆うボンネットを運転席の前方に設ける作業車両にあって、前記クーリングファンを備えるラジエータの上部寄りをその後方となる運転席側に向けて傾けて立設し、また、そのクーリングファンを備えるラジエータの前方に横置きするエンジンの上部寄りとの間に生ずる空間に、前記エアクリーナをその本体が左右方向となるように設け、更にこのエアクリーナの吸気管に連結するホース或いはパイプで構成する導入管の吸気口を、前記ボンネットの左側壁又は右側壁に形成する通気口の内側に臨ませ、この通気口から取り込んだ外気をエアクリーナによって清浄化してエンジンに供給することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の作業車両は、前述の課題を解決するため第2に、前記導入管をエンジンの上方側からその先端に設ける吸気口にかけて下り傾斜させて設け、係る吸気口から雨水や洗車水が導入管内に入った際にこれを流下させて、エアクリーナ内への水の侵入を防止することを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の作業車両は、前述の課題を解決するため第3に、前記導入管の先端部にダクトを設けると共に、このダクトの開口をボンネットの左側壁又は右側壁に形成する通気となる多数の小孔の内側に臨ませて設け、これによりボンネットの外側となる外気のみを導入管の吸気口に取り込むようになすことを特徴とする。そして、本発明の作業車両は、前述の課題を解決するため第4に、前記導入管と共にダクトをラジエータの支持フレームに金具を介して取付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の作業車両によれば、機体の各部を駆動するディーゼルエンジンと、エンジンの冷却水を冷やす電動式のクーリングファンを備えるラジエータと、エンジンに清浄な燃焼用の空気を供給するエアクリーナと、係るエンジンやエアクリーナを覆うボンネットを運転席の前方に設ける作業車両にあって、前記クーリングファンを備えるラジエータの上部寄りをその後方となる運転席側に向けて傾けて立設し、また、そのクーリングファンを備えるラジエータの前方に横置きするエンジンの上部寄りとの間に生ずる空間に、前記エアクリーナをその本体が左右方向となるように設け、更にこのエアクリーナの吸気管に連結するホース或いはパイプで構成する導入管の吸気口を、前記ボンネットの左側壁又は右側壁に形成する通気口の内側に臨ませ、この通気口から取り込んだ外気をエアクリーナによって清浄化してエンジンに供給する。
【0016】
そのため、クーリングファンを備えるラジエータの上部寄りをその後方となる運転席側に向けて傾けて立設し、そのクーリングファンを備えるラジエータの前方に横置きするエンジンの上部寄りとの間に生ずる空き空間を有効に利用して、エアクリーナをその本体が左右方向となるように横置きして設けることができる。従って、エンジンが大型化してその高さが高くなった場合でもエアクリーナの配置高さを低く抑えることによって、従前のボンネットであってもエンジンと共にエアクリーナをその中にコンパクトに収容することができ、例えばボンネットの高さを高くして運転席からの前方視界を悪化させるといった虞を無くすことができる。
【0017】
なお、エンジンが大型化して横置きする際の左右長が長くなった場合に、エンジンの上部寄りの側方にエアクリーナの本体を前後方向となるように縦置きして設けようとすると、エアクリーナがボンネットの側壁と干渉して、それまでのボンネット内にこれ等を収容することが出来なくなる。しかし、エアクリーナは、前述のように横置きしてクーリングファンを備えるラジエータの前方に横置きするエンジンの上部寄りとの間に設けるから、ボンネットの幅を殊更拡げて運転席からの前方視界を悪化させる必要も無い。
【0018】
さらに、エアクリーナの吸気管に連結するホース或いはパイプで構成する導入管の吸気口を、ボンネットの左側壁又は右側壁に形成する通気口の内側に臨ませ、この通気口から取り込んだ外気をエアクリーナによって清浄化してエンジンに供給するから、ラジエータより前方のエンジンやエアクリーナを覆うボンネット側方の外気をエンジンに清浄な燃焼用の空気として供給することができ、例えばラジエータ後方側の低い位置に設ける吸気口から高温となった空気を取り込んでエンジンに供給する虞がある場合より、エンジンの出力低下等の影響を無くすことを期待できる。
【0019】
また、本発明の作業車両によれば、前記導入管をエンジンの上方側からその先端に設ける吸気口にかけて下り傾斜させて設け、係る吸気口から雨水や洗車水が導入管内に入った際にこれを流下させて、エアクリーナ内への水の侵入を防止する。そのため、雨水や洗車水が誤って導入管内に入った際には、導入管の下り傾斜によって速やかにその吸気口から排水することができ、エアクリーナ内への水の侵入に伴うエアクリーナエレメントの損傷等を未然に防止して、エアクリーナの機能を長期間に亘って発揮させることができる。
【0020】
さらに、本発明の作業車両によれば、前記導入管の先端部にダクトを設けると共に、このダクトの開口をボンネットの左側壁又は右側壁に形成する通気となる多数の小孔の内側に臨ませて設け、これによりボンネットの外側となる外気のみを導入管の吸気口に取り込むようになす。そのため、導入管の吸気口をボンネットの左側壁又は右側壁に形成する通気口の内側に臨ませて設けても、エンジンの冷却水を冷やすために高温となったボンネット内の空気をダクトで遮って導入管の吸気口に取り込まないようにすることができて、エンジンの出力低下等の影響を無くすことができる。
【0021】
また、ボンネットの左側壁又は右側壁に形成する多数の小孔を高温となったボンネット内の空気をボンネット外に吹き出させる排気孔として用いるボンネットにあって、この多数の小孔をボンネットの外側となる外気を導入管の吸気口に取り込む取入孔として利用することができ、例えばラジエータ後方側の低い位置に設ける吸気口から取り込んだ空気をエンジンに供給する際に使用するボンネットであっても、このボンネットに外気の取入孔等を新たに設けることなくそのまま使用することができて、ボンネットのコストアップを防止することができる。
【0022】
そして、本発明の作業車両によれば、前記導入管と共にダクトをラジエータの支持フレームに金具を介して取付ける。そのため、導入管と共にダクトをラジエータの支持フレームに金具を介して確実に取付けることができ、例えばメンテナンスのためにボンネットを上方に向けて開き、その後、再び下方に向けて閉じた際にも、ボンネットの通気口の内側にダクトを確実に臨ませて、ダクト内に設ける導入管の吸気口に外気のみを取り込ませることができる。また、ダクトはラジエータの支持フレームを利用して取付けることができるから、ダクト専用のステー等を不要にしてその取付のためのコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明を適用する乗用型田植機の側面図である。
図2】乗用型田植機の平面図である。
図3】原動部及びステアリングコラム回りの構造を示す側面図である。
図4】原動部の構造を示す平面図である。
図5】エアクリーナ等の配置状態を示す正面図である。
図6】ラジエータやエアクリーナ等の取付状態を説明する斜視図である。
図7】吸気系の構造を示す左側面図である。
図8】同じくその右側面図である。
図9】同じくその正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1乃至図4に示すように本発明を実施する作業車両としての乗用型の田植機1は、左右の前輪2と後輪3を備える走行機体(機体)4の後部に昇降リンク機構5を介して植付装置(作業装置)6をローリング自在に連結する。
【0025】
また、この植付装置6は、走行機体4の後部と昇降リンク機構5の後部に取付ける油圧シリンダ7によって下降させた作業姿勢と上昇させた非作業姿勢に亘って昇降自在に設ける。なお、左右の後輪3と植付装置6との間には、走行機体4の旋回によって荒れた枕地を均す整地ロータ8を設け、この整地ロータ8は植付装置6と共に昇降するように設ける。また、除草剤散布装置や育苗箱施用剤散布装置等を植付装置6に取付け、田植と同時に水田を薬剤処理して省力化を図る場合がある。
【0026】
一方、前述の走行機体4は、左右のサイドメンバーに複数のクロスメンバー等を固着する機体フレーム9に、左右のフロントアクスルケースをその側面に一体に連結するトランスミッションケース10と、左右のリヤアクスルケース11等を取付けて構成する。また、トランスミッションケース10の前方の機体フレーム9にエンジン取付フレーム12を固着して設け、このエンジン取付フレーム12に水冷立形直列3気筒ディーゼルエンジン(エンジン)13を、そのクランクシャフトが左右方向となるように横向きに防振ゴム14を介して搭載する。
【0027】
さらに、このエンジン13の後方に設けるトランスミッションケース10は、その上面にパワーステアリング装置を構成するトルクジェネレータ15を取付ける。また、このトルクジェネレータ15に連結するステアリングシャフトを支持して内包するステアリングコラム16は、トルクジェネレータ15の上面にコラムブラケット17を介して取付け、さらに、ステアリングシャフトの上部には前輪2を操舵するステアリングホイール18を取付ける。
【0028】
そして、このステアリングコラム16回りを覆うパネルカバー19とリヤパネルカバー20をコラムブラケット17等に取付けて設け、その内、パネルカバー19にはその中央にモニタパネル21を取付け、その後方に植付装置6の自動制御に関わるボリュームやスイッチ等のアッシイ22を取付ける他、コラムブラケット17に取付ける走行主変速レバー23や副変速レバー24、或いはエンジンコントロールレバー25等をそのガイド溝から突出させて設ける。また、リヤパネルカバー20は、パネルカバー19の下方にあってステアリングコラム16の左右側方及び後方側を覆う。
【0029】
また、ステアリングコラム16より前方でパネルカバー19とリヤパネルカバー20で囲む空間には、図6に示すようにエンジン13の冷却水を冷やすラジエータ26を機体フレーム9に取付けた支持フレーム27を介して立設する。なお、ラジエータ26を立設する支持フレーム27は、ラジエータ26の下方に設ける底板27aと左右の遮蔽体27b、27cと上方に設けるカバー27dと左右の遮蔽体27b、27cに設けるウエザーストリップ27e等によって略矩形枠状に構成し、ラジエータ26はその下部を底板27aにグロメット28を介して支持し、その上部はコラムブラケット17の前上部に設けるプレート17aに同じくグロメット28を介して支持する。
【0030】
そして、ラジエータ26にはその前方側に電動モータ29によって駆動するクーリングファン30を、また、ラジエータ26の後方側にはコラムブラケット17に取付けるオイルクーラ31を臨ませて設ける。なお、電動モータ29はラジエータ26の支持フレーム27の前面に取付けるファンシュラウド32の前部中央寄りに取付け、この電動モータ29に取付けるクーリングファン30はファンシュラウド32内に設ける。
【0031】
また、電動モータ29によって駆動するクーリングファン30は、リヤパネルカバー20の後壁に設ける多数の取入孔20aから外気(冷却風)を取り込んで、この取り込んだ冷却風はオイルクーラ31とラジエータ26から熱を奪い、更にクーリングファン30から吐き出した冷却風を前方に設けるエンジン13の後部側に当ててエンジン13自体から熱を奪う(冷却する)。なお、ラジエータキャップ33に臨むパネルカバー19にはクーラントカバー34を開閉自在に設け、また、ラジエータ26のリザーブタンク35は左遮蔽体27cの上部寄りに設ける金具36を介して取付けて設ける。
【0032】
そして、パネルカバー19の前方側乃至下方側、また、リヤパネルカバー20の前方側にはボンネット37を設け、このボンネット37は前述のエンジン13やラジエータ26の前方に設ける電動モータ29やクーリングファン30、並びに後述するエアクリーナ等の補器類を覆う。なお、ボンネット37の後上部は、コラムブラケット17のプレート17aの左右端にブラケットを介して回動自在に取付け、そのボンネット37の前部側が後部側を中心に上下動(開閉)自在に設ける。
【0033】
また、機体フレーム9にはフロントステップ38とリヤステップ39とリヤサイドステップ40を取付ける。この内、略々矩形状になすフロントステップ38は、ボンネット37の左右側方に設け、走行機体4の前方側からリヤステップ39側に移動する際の通路となる。また、リヤステップ39は幅広なフロア部39aの後部から立上がる後壁部39bを備え、そのフロア部39aの中央寄り後部から後壁部39bの間にかけて開口を設け、この開口に機体フレーム9から立設するシートフレームを通す。
【0034】
そして、この開口はシートフレームに取付けるフレームカバー41によって塞ぎ、シートフレームの上部には運転席42を取付けて設ける。また、シートフレームには植付装置6を昇降させるコントロールバルブ等を設ける他、後部には昇降リンク機構5や油圧シリンダ7の一端を取付ける。さらに、リヤサイドステップ40は、左右の後壁部39bの上部後方に連なるように左右に分割して設け、このリヤサイドステップ40に作業者は片足を掛けて植付装置6に苗補給を行うことができる。
【0035】
なお、前述のリヤステップ39のフロア部39aの前部中央寄りには株間調節レバーを通す開口を、また、前部右寄りにはブレーキぺダル43を通す開口を設け、このブレーキぺダル43はその踏み込みによってリヤアクスルケース11に設けるブレーキを作動させて前輪2と後輪3を制動する。さらに、リヤステップ39の右後部寄りの下方にはエンジン13の燃料を貯留する燃料タンク44を設け、バッテリ45は図5に示すように右フロントステップ38の下方に、エンジン13の排気音を低減するマフラー46は左フロントステップ38の下方に設ける。
【0036】
ここで、田植機1の動力伝達系について簡単に説明すると、機体フレーム9の前部寄りに設けるエンジン13はその出力軸となるクランクシャフトの左側に出力プーリ47を設け、伝動ベルト48を介してトランスミッションケース10に取付けるHST(静油圧式無段変速装置:主変速装置)49の入力プーリ50を駆動する。また、HST49からトランスミッションケース10内に伝達された動力は、トランスミッションケース10内に設ける副変速装置によって変速し、左右の前輪2は更に差動歯車装置とフロントアクスルケース内に設ける伝動軸を介して駆動する。
【0037】
また、前記副変速装置からブレーキを経由してリヤアクスルケース11内に伝達された動力は、左右の湿式ディスク型のサイドクラッチを介して後輪3を駆動する。一方、植付装置6への伝動は、トランスミッションケース10内に設けるトルクリミッタと植付クラッチを介して株間変速装置を駆動する。そして、株間変速装置からドライブシャフト51を介して植付装置6のドライブケースに設ける植付入力シャフトを駆動する。なお、整地ロータ8は走行系のブレーキと左右のサイドクラッチの間から分岐した動力をロータクラッチとロータドライブシャフト52を介してロータドライブケース内に設ける伝動軸によって駆動する。
【0038】
次に、植付装置6の構造について簡単に説明すると、この植付装置6は6~8条植えとなして走行機体4の後部にローリング自在に連結する植付フレーム53を備える。また、植付フレーム53には前高後低状に傾斜して複数のマット苗を載置する苗載台54、苗載台54の下端から1株分ずつ苗を植付爪により掻き取って田面に植付けるロータリ植付機構55、走行跡や旋回跡を整地しながら植付け箇所を均すフロート56等を備えて構成する。
【0039】
そして、前述のドライブケースに入った動力によってスクリュシャフトを回転させて苗載台54を左右往復スライド移動させる。また、ドライブケースに入った動力によってロータリ植付機構55を構成するプランタケースに動力を伝達し、ロータリケースを回転駆動する。また、ロータリケースに取付けたプランタアームに装着した植付爪が苗載台54の下端から1株分ずつ苗を掻き取ると共に、掻き取った苗をフォークで押出して苗を田面に植付ける。
【0040】
なお、次行程における作業走行の指標を田面に付ける左右のマーカー57は、植付フレーム53の前部寄りの左右に設ける。そして、このマーカー57はその基部を回動自在に支持する支持杆58の先端部に回転自在に取付け、マーカー駆動モータが支持杆58を作動させることによってマーカー57は、田面に接地してマーキングする作用位置と植付装置6の上方側に退避した非作用位置に切換えることができる。
【0041】
また、機体フレーム9の前部中央にはセンターポール59を回動自在に設ける。そのため、植付作業時にマーカー57がマーキングした跡とセンターポール59とが重なるように運転席42に座った作業者がステアリングホイール18によって前輪2を操舵することによって、既に植付けた隣接苗列と適正な作業間隔を保って苗を田面に植付けることができる。また、機体フレーム9の左右にトレースマーカー60を設け、このトレースマーカー60が既に植付けた隣接苗列上に臨むように前輪2を操舵することによっても、隣接苗列と適正な作業間隔を保って苗を田面に植付けることができる。
【0042】
なお、ボンネット37を開いた際に前述のセンターポール59を後方に回動させてボンネット37の前部寄りを下方から支えると、ボンネット37を開いた状態に保持することができる。また、ボンネット37を閉じるとボンネット37はその前部寄りに設けるマグネット式のキャッチャーによって閉じ状態に吸着保持することができる。
【0043】
さらに、田植機1は載置板式の予備苗台61やスライド式予備苗台を設ける取付フレーム62を左右のフロントステップ38の外側方に設ける。従って、この取付フレーム62の上部に予備苗台61の取付け支柱63を取付けると、苗載台54にマット苗が少なくなった際に予め予備苗台61に載置しておいた苗箱からマット苗を取出して苗載台54に補給することができる。また、田植機1は詳細な説明を省くがペースト施肥機64や粒状施肥機を機体に搭載して苗の植付と同時に施肥を行うこともできる。
【0044】
以上、エンジン13やラジエータ26等によって構成する原動部を中心に乗用型田植機1の概要について説明したが、次に、原動部に設けるエアクリーナ65について説明すると、エンジン13に清浄な燃焼用の空気を供給するエアクリーナ65は遠心式のエアクリーナを採用する。そして、この遠心式エアクリーナ65は、乾式のエアクリーナエレメントを収容する円筒状のケース65aの一端部にアンローダーバルブ65bを備えるカバー65cを蝶ボルトで着脱自在に設け、エアクリーナ65に吸い込まれた空気がケース65aの中で渦流を起こし質量のある大きな塵埃が遠心分離されて、その溜まった塵埃はアンローダーバルブ65bから排出することができる。
【0045】
また、係るエアクリーナ65は、そのケース65aとカバー65cで構成する本体が左右方向を向きアンローダーバルブ65bが下方を向くように横置きとして、同じく横置きするエンジン13と電動式のクーリングファン30を備えるラジエータ26の間に設ける。より詳細に説明すると、クーリングファン30を備えるラジエータ26は、後方に設けるステアリングコラム16が運転席42側に向けてその上部が下部より後方となるように後傾させて設ける。そして、これに倣ってラジエータ26もその上部寄りをその後方となる運転席42側に向けて数度傾けて立設する。
【0046】
そのため、ラジエータ26の前方に備えるクーリングファン30及びファンシュラウド32、並びに電動モータ29も後方となる運転席42側に向けて傾けて設けることになり、特にエンジン13に最も接近する電動モータ29をその後傾によってエンジン13から遠ざけて両者の当接を防ぐことができる。また、このようにクーリングファン30を備えるラジエータ26の上部寄りを、その後方となる運転席42側に向けて傾けて立設すると、ラジエータ26の機体フレーム9に対する取付位置をエンジン13側に可能な限り近付け、原動部全体の前後長を短く、延いては機体の全長を短くして機体の旋回性能等を向上させることができる。
【0047】
さらに、クーリングファン30を備えるラジエータ26の上部寄りを、その後方となる運転席42側に向けて傾けて立設すると、その前方に横置きするエンジン13の上部寄りの後面と、電動モータ29の上方となるファンシュラウド32の前面との間に空き空間が生じ、この空き空間を有効に利用して大型となるエアクリーナ65を、その取付バンド65dを用いてエンジン13の上部寄りに設けるステー13aに取付けて設けることができる。なお、この場合にエアクリーナ65の本体は、エンジン13の後上部寄りの中央から右側寄りに設け、これによりアンローダーバルブ65bを備えるカバー65cはボンネット37を開いた際に、機体の右側から着脱することができる。
【0048】
ところで、前述のように電動モータ29によって駆動するクーリングファン30は、リヤパネルカバー20の後壁に設ける多数の取入孔20aから外気(冷却風)を取り込んで、この取り込んだ冷却風はオイルクーラ31とラジエータ26から熱を奪い、更にクーリングファン30から吐き出した冷却風を前方に設けるエンジン13の後面側に当ててエンジン13自体から熱を奪う(冷却する)。そのため、パネルカバー19、リヤパネルカバー20、及びボンネット37で囲まれるエンジンルーム内は高温・高圧となる。
【0049】
一方、ポリプロピレン等の合成樹脂によって後方および下方が開放した略箱状に一体成形するボンネット37は、その前壁に設ける左右前照灯間に格子状に仕切って前後方向となる複数の通気37aを、また、天井壁の中央左右部に格子状に仕切って前後方向となる複数の通気37bを、さらに、前壁と左右側壁の上部に跨る前後方向となるスリット状の複数の通気37cを設ける他、左右側壁の上部寄りと下部寄りの前後に多数の小孔を連ねて纏めた通気37d、37e、37fを設ける。
【0050】
また、前述のように左フロントステップ38の下方に設けるマフラー46は、エンジン13の上部中央寄り前面に設けるエキゾーストマニホールド13bから排気管66を介してその排気ガスを導入し、また、マフラー46のテールパイプ67はその後端側を折曲させて排気ガスを前下方に向けて排出する。そのため、エンジンルーム内の高温・高圧となる空気は、ボンネット37に形成する通気37a~37fとボンネット37の開放する下方から専ら吹き出し、また、エンジン13によって高温となって排出される排気ガスは、マフラー46を介してボンネット37より下方となる左フロントステップ38の下方から排気される。
【0051】
そこで、エアクリーナ65はこれらの高温となった空気を取り込まないように例えば、エアクリーナ65の吸気管65eに連結する吸気ホースをラジエータ26の支持フレーム27に設ける孔を通して、その吸気口をラジエータ26の後方側の低い位置に設け、これにより、エンジン13への高温で密度の低い空気の供給に伴うエンジン13の出力低下等の影響を減らすといった工夫を凝らしていた。
【0052】
しかし、このような工夫を凝らしても、ボンネット37内の高温となった空気が機体の下方から吹き出し、或いは、エンジン13の排気音を低減するマフラー46から機体の下方へ向けて熱い排気ガスが放出され、そして、これらの空気が車両の前進走行に伴って後方側に設ける吸気ホースの吸気口側に回り込んで吸気ホースが取り込むと、係る工夫に拘らずエンジン13の出力低下等の影響を少なからず受けてしまうという虞がある。
【0053】
そこで、本発明においては、エアクリーナ65の吸気管65eに連結するホース或いはパイプで構成する導入管68の吸気口68aを、ボンネット37の左側壁又は右側壁に形成する通気口37fの内側に臨ませ、この通気口37fから取り込んだ外気をエアクリーナ65によって清浄化してエンジン13に供給する。そして、このようになすことによってラジエータ26の後方側の低い位置に設ける吸気口から高温の空気をエンジン13に供給する虞がある場合より、極力エアクリーナ65が高温の空気を取り込まないように工夫する。
【0054】
より詳細には、図3乃至図9に示すようにエアクリーナ65はそのケース65aの左端から突出させて設ける排気管65gにクランプによって排気ホース69の先端を連結して、この排気ホース69の後端をクランプによってエンジン13の上部中央寄り後面に設けるインテークマニホールドの吸気管13cに連結する。また、エアクリーナ65の吸気管65eはケース65aから前方に向けて突出させて設け、この吸気管65eの先端にクランプによって導入管68を構成するホース70の後端を連結し、さらに、ホース70の先端はクランプによって導入管68を構成するパイプ71の後端に連結する。
【0055】
そして、前記ホース70は略L字状に折曲形成して、その先端側はエンジン13の上方に沿って横向きとなし、また、ホース70の先端に連結するパイプ71はエンジン13の左側上方において折り曲げ、そのパイプ71の先端側がエンジン13の左側面に沿って後方に向かうように下り傾斜させて設ける。そのため、導入管68の先端となるパイプ71の先端はボンネット37の左側壁に形成する小孔を多数連ねて纏めた通気37fの内側に臨み、ボンネット37の外側の外気はこの通気口37fを通って導入管68(パイプ71)の先端に設ける吸気口68aに取り込むことができる。
【0056】
なお、ここで用いる導入管68はゴム等の柔らかい素材で形成するホース70と鋼管等の硬質素材で形成するパイプ71を連結して構成するが、ホース70の先端がボンネット37の左側壁又は右側壁に形成する通気口37fの内側に臨むようにホース70を延ばして、パイプ71を不要にすることもできる。また、パイプ71の後端を延ばしてエアクリーナ65の吸気管65eに連結してもよいが、その場合は鋼管どおしの連結となるため別途、両者の連結手段を考慮する必要がある。
【0057】
さらに、エアクリーナ65の本体に収容する乾式のエアクリーナエレメントは、多量の水が掛かると変形して仮に乾燥させても使用に耐えられないまでに損傷する場合がある。そこで、エアクリーナ65の本体に水が入らないように、導入管68(パイプ71)をエンジン13の上方側からその先端に設ける吸気口68aにかけて積極的に下り傾斜させて設ける。そのため、雨水や洗車水が誤って吸気口68aから導入管68内に入った際には、導入管68の下り傾斜によって速やかにその吸気口68aから排水することができる。
【0058】
また、実施形態において前述の導入管68の先端部、より具体的には導入管68を構成するパイプ71の先端部にダクト72を設けると共に、このダクト72の開口72aをボンネット37の左側壁に形成する通気37fとなる多数の小孔の内側に臨ませて設け、これによりボンネット37の外側となる外気のみを導入管68の吸気口68aに取り込むようになす。より詳細に説明すると、パイプ71の先端部に設けるダクト72は、略直方体を形成するように開口72aを除く5面をプレートで囲ってその内部を吸気室72bに形成する。
【0059】
そして、このダクト72の前面にパイプ71の先端部を嵌め入れて、ダクト72をパイプ71の先端部に溶接して固着する。そのため、導入管68の吸気口68aはダクト72の吸気室72b内において開放する。また、ダクト72の左面は開口72aとなって、この開口72aはボンネット37の左側壁に形成する通気37fとなる多数の小孔の内側に臨む。さらに、ダクト72の開口72aを取り囲むフランジ72cには図9に示すようにスポンジ73を貼り付けて設け、多数の小孔の内側となるボンネット37の左側壁の内面とダクト72のフランジ72cとの間に生じる隙間は係るスポンジ73の伸縮性によって塞ぐ。
【0060】
即ち、導入管68の吸気口68aをボンネット37の左側壁又は右側壁に形成する通気口37fの内側に臨ませても、その通気口37fと吸気口68aが完全に密着して連通しない限り、導入管68には通気口37fを通って外気が取り込まれる他、エンジン13の冷却水を冷やすために高温となったボンネット37内の空気が取り込まれることになって、エンジン13の出力低下等の影響を無くすことができない。
【0061】
しかし、ダクト72並びに完全を期してスポンジ73を設けると、ダクト72を形成する5面のプレートはボンネット37内の高温となる空気を遮断する遮蔽体となり、また、スポンジ73は隙間塞ぎとなるから、これ等を介在させることによってボンネット37の通気口37fと導入管68の吸気口68aを完全に密着させて連通する状態を得ることができて、これによりボンネット37の外側となる外気のみを導入管68の吸気口68aに取り込むことができる。
【0062】
また、ダクト72の吸気室72bには、通気37fの小孔から少量ずつではあるが、これを多数の小孔として全体とすれば多量の外気を、ダクト72の開口72aを介してその開口面の前面から分散して取り込むことができ、そして、導入管68の吸気口68aはこの吸気室72b内に導入した空気を取り込むから、導入管68の吸気口68aをそのままボンネット37外に出して外気を直接取り込むと同様に、その吸気抵抗を殆ど無くした状態で外気を取り込むことができる。
【0063】
さらに、本実施形態のようにボンネット37の左側壁又は右側壁に形成する多数の小孔を高温となったボンネット37内の空気をボンネット37外に吹き出させる排気孔として用いるボンネット37にあって、この多数の小孔をボンネット37の外側となる外気を導入管68の吸気口68aに取り込む取入孔として利用することができ、例えばラジエータ26の後方側の低い位置に設ける吸気口から取り込んだ空気をエンジン13に供給する際に使用するボンネット37であっても、このボンネット37に外気の取入孔等を新たに設けることなくそのまま使用することができる。
【0064】
そして、係る導入管68を構成するパイプ71と共にダクト72は、後方となるラジエータ26の支持フレーム27に金具74を介して取付ける。そのため、パイプ71と共にダクト72をラジエータ26の支持フレーム27に金具74を介して確実に取付けることができ、例えばメンテナンスのためにボンネット37を上方に向けて開き、その後、再び下方に向けて閉じた際にも、ボンネット37の通気口37fの内側にダクト72を確実に臨ませて、ダクト72内に設ける導入管68の吸気口68aに外気のみを取り込ませることができる。また、ダクト72はラジエータ26の支持フレーム27を利用して取付けることができるから、ダクト72専用のステー等を不要にしてその取付のためのコストダウンを図ることができる。
【0065】
なお、導入管68を構成するパイプ71の先端はボンネット37の左側壁に形成する小孔を多数連ねて纏めた通気37fの内側に臨ませて設けるが、ボンネット37の左側壁に形成する小孔を多数連ねて纏めた通気37fの位置は、ボンネット37を閉じた際にファンシュラウド32の側方で、且つリザーブタンク35の下方側となるので、導入管68と共にダクト72を当該箇所の空き空間を利用して設けることができる。但し、ボンネット37の右側壁の当該箇所にリレーボックス75等を設けていなければ、右側壁の当該箇所に導入管68と共にダクト72を設けてもよい。
【0066】
また、ボンネット37の左側壁に形成する通気37fはボンネット37の後部下方寄りに設けるから、その前方に設ける通気37d、37eから吹き出した高温の空気が前進走行に伴って後方の通気37fに回り込んでダクト72内に取り込まれる虞を否定できない。そこで、例えば通気37fより前上方に設ける通気37dに臨ませてダクト72を設けてもよく、これによって他の通気から吹き出した高温の空気が前進走行に伴って後方に流れても、係る高温の空気をボンネット37の前部寄りに設ける通気37dからダクト72内に取り込まないようにすることができる。
【0067】
さらに、ボンネット37の左側壁に形成する通気37fは小孔を多数連ねて纏めたものであるが、この通気37fを導入管68を構成するパイプ71の管径と同等の丸孔で形成し、そして、この丸孔の通気にパイプ71の先端を近接させて臨ませて、外気を丸穴の通気を通して直接、パイプ71内に取り込むようにしてもよい。
【0068】
そして、以上のようにエンジン13とエアクリーナ65等をボンネット37内に収容する田植機1は、前述のように水冷立形直列3気筒ディーゼルエンジン13を、そのクランクシャフトが左右方向となるように横向きに搭載する。即ち、係るエンジン13はクランクシャフト方向の長さがそれに直交する方向の幅より長いために、横置きすることによって機体におけるエンジン13の占める前後長を短くすることができる。
【0069】
また、横置きするエンジン13の後方に電動式のクーリングファン30を備えるラジエータ26を横置きして設けると、エンジン13やラジエータ26等から構成する原動部の幅をエンジン13、或いはラジエータ26の左右方向となる幅に抑えることができる。さらに、クーリングファン30を備えるラジエータ26の上部寄りをその後方となる運転席42側に向けて傾けて立設すると、ラジエータ26の機体フレーム9に対する取付位置をエンジン13側に可能な限り近付け、原動部全体の前後長を短く、延いては機体の全長を短くして機体の旋回性能等を向上させることができる。
【0070】
そして、クーリングファン30を備えるラジエータ26を前述のように後傾させて、前方に横置きするエンジン13の上部寄りとの間に生ずる空間にエアクリーナ65をその本体が左右方向となるように横置きして高さを抑えながら設けると、エンジン13がその出力アップや性能向上のために多少大型化しても、エンジン13やエアクリーナ65等を比較的小型のボンネット37であってもそのまま収容して覆うことができ、殊更ボンネット37の幅や前後長を拡げたり、或いは高さを高くして大型化する必要が無く、運転席47からの前方視界を良好に確保することができる。
【0071】
なお、前述の横置きするディーゼルエンジン13は、その右側面側にウォーターポンプ76やオルタネータ77を、また、その左側面側にフライホイール78やスターティングモータ79を備えるフライホイールカバー80を設け、さらに、その後中央側にギヤケースを介して植付装置6を昇降させる油圧ポンプ81を設けることを付け加える。そして、本発明は、その技術的思想に基づいて様々な形態に変更して実施することができ、必ずしも前述の実施形態に限定するものではない。
【符号の説明】
【0072】
1 乗用型田植機(作業車両)
2 前輪
3 後輪
4 走行機体(機体)
6 植付装置(作業装置)
13 エンジン
26 ラジエータ
30 クーリングファン
37 ボンネット
65 エアクリーナ
68 導入管
72 ダクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9