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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】結束体の製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/16 20060101AFI20240229BHJP
   B65B 13/28 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B65B13/16
B65B13/28
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020147068
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2022041705
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000149505
【氏名又は名称】大同マシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】大原 尚
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-024692(JP,U)
【文献】特開2013-086818(JP,A)
【文献】特開昭62-127138(JP,A)
【文献】特開2020-111359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 13/00
E04G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被結束物(h)を結束材(10)で結束した結束体の製造方法であって、
前記複数の被結束物(h)の周りにループ状に巻き掛けた前記結束材(10)の交差部(10a)を捻じり手段(22)によって捻じって、結束材同士が捻じり合わされる捻じり部(10b)の被結束物(h)から離間する突出端(E)から延出する結束材(10)の両端末部(10c,10d)を、結束材(10)の巻き掛け方向と交差する被結束物(h)の長手方向に延在する状態にしたもとで、当該両端末部(10c,10d)を、曲げ手段(24,86,90,93)によって、前記複数の被結束物(h,h)の間に形成されて被結束物(h)の長手方向に沿うように延在する凹部に押し込むように被結束物(h)に向けて曲げて、
前記両端末部(10c,10d)が、前記捻じり部(10b)を挟んで前記被結束物(h)の長手方向に延在すると共に前記凹部に押し込まれた形態となる結束体(H)を形成する
ことを特徴とする結束体の製造方法。
【請求項2】
複数の被結束物(h)を結束材(10)で結束した結束体の製造方法であって、
前記複数の被結束物(h)の周りにループ状に巻き掛けた前記結束材(10)の交差部(10a)を捻じり手段(22)によって捻じって、結束材同士が捻じり合わされる捻じり部(10b)の被結束物(h)から離間する突出端(E)から延出する結束材(10)の両端末部(10c,10d)を、結束材(10)の巻き掛け方向と交差する被結束物(h)の長手方向に延在する状態にしたもとで、前記捻じり部(10b)が捻じり方向とは逆方向に回転した場合に結束材(10)における複数の被結束物(h)に巻き掛けた巻掛部に当接可能な位置まで曲げ手段(24,86,90,93)によって被結束物(h)に向けて曲げて、
前記両端末部(10c,10d)が、前記捻じり部(10b)を挟んで前記被結束物(h)の長手方向に延在すると共に、前記捻じり部(10b)が捻じり方向とは逆方向に回転した場合に前記巻掛部に当接可能な位置まで曲げられた形態となる結束体(H)を形成する
ことを特徴とする結束体の製造方法。
【請求項3】
前記曲げ手段(93)によって前記端末部(10c,10d)を、当該端末部(10c,10d)の端(e,e)が被結束物(h)の外面を向くように曲げるようにした請求項1または2記載の結束体の製造方法。
【請求項4】
前記曲げ手段(24)は、前記端末部(10c,10d)に曲げ部(60,60)を当接して端末部(10c,10d)を曲げるようにし、
前記曲げ部(60,60)の結束材(10)との接触面は、結束材(10)よりショア硬さが高い耐摩耗性の被覆材で被覆されている請求項1~3の何れか一項に記載の結束体の製造方法。
【請求項5】
複数の被結束物(h)を結束材(10)で結束した結束体の製造装置であって、
前記複数の被結束物(h)の周りにループ状に巻き掛けた前記結束材(10)の交差部(10a)を把持する把持手段(70,70)を備え、該把持手段(70,70)を回転することで交差部(10a)を捻じって、該交差部(10a)が捻じられることで結束材同士が捻じり合わされる捻じり部(10b)の被結束物(h)から離間する突出端(E)から延出する結束材(10)の両端末部(10c,10d)を、結束材(10)の巻き掛け方向と交差する被結束物(h)の長手方向に延在させる捻じり手段(22)と、
記両端末部(10c,10d)を、前記複数の被結束物(h,h)の間に形成されて被結束物(h)の長手方向に沿うように延在する凹部に押し込むように被結束物(h)に向けて曲げる曲げ手段(24,86,90,93)と、を備え、
前記両端末部(10c,10d)が、前記捻じり部(10b)を挟んで前記被結束物(h)の長手方向に延在すると共に前記凹部に押し込まれた形態となる結束体(H)を形成するよう構成した
ことを特徴とする結束体の製造装置。
【請求項6】
複数の被結束物(h)を結束材(10)で結束した結束体の製造装置であって、
前記複数の被結束物(h)の周りにループ状に巻き掛けた前記結束材(10)の交差部(10a)を把持する把持手段(70,70)を備え、該把持手段(70,70)を回転することで交差部(10a)を捻じって、該交差部(10a)が捻じられることで結束材同士が捻じり合わされる捻じり部(10b)の被結束物(h)から離間する突出端(E)から延出する結束材(10)の両端末部(10c,10d)を、結束材(10)の巻き掛け方向と交差する被結束物(h)の長手方向に延在させる捻じり手段(22)と、
記両端末部(10c,10d)を、前記捻じり部(10b)が捻じり方向とは逆方向に回転した場合に、結束材(10)における複数の被結束物(h)に巻き掛けた巻掛部に当接可能な位置まで被結束物(h)に向けて曲げる曲げ手段(24,86,90,93)と、を備え、
前記両端末部(10c,10d)が、前記捻じり部(10b)を挟んで前記被結束物(h)の長手方向に延在すると共に、前記捻じり部(10b)が捻じり方向とは逆方向に回転した場合に前記巻掛部に当接可能な位置まで曲げられた形態となる結束体(H)を形成するよう構成した
ことを特徴とする結束体の製造装置。
【請求項7】
前記曲げ手段(24)は、前記端末部(10c,10d)に当接して該端末部(10c,10d)を曲げる曲げ部(60,60)を備え、該曲げ部(60,60)における前記結束材(10)との接触面は、結束材(10)よりショア硬さが高い耐摩耗性の被覆材で被覆されている請求項5または6記載の結束体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被結束物を結束材で結束した結束体の製造方法および製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
棒鋼や鋼管等の長尺な被結束物を工場から出荷する際には、運搬時の荷崩れを防止すると共に運搬を容易にするため、自動結束装置によって、運搬に適した所定単位数の被結束物をワイヤ(結束材)で結束して荷造りが行われる(例えば、特許文献1参照)。自動結束装置では、長手方向が揃うように纏めた多数の被結束物の外周に、ワイヤをループ状に巻き掛け、該ワイヤの交差部を把持したねじりヘッドを回転して交差部を捻じることで、被結束物を緊縛状態で結束している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-160106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ねじりヘッドの回転によりワイヤの交差部を捻じることにより、ワイヤ同士が捻じり合わされた捻じり部が形成されると共に、該捻じり部からワイヤの端末部が所定長さで延出する。捻じり部から延出するワイヤの端末部は、複数の被結束物をワイヤで結束した結束体の外方に向けて突出するため、該結束体を自動結束装置から搬送する際に、捻じり部から延出するワイヤの端末部が搬送装置等に引っ掛かって搬送を阻害する問題を招く。また、複数の結束体を保管あるいは出荷の際に集積する場合に、捻じり部から延出するワイヤの端末部が、他の結束体の被結束物に接触して該被結束物を傷付ける問題も指摘される。
【0005】
本発明は、従来の技術に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、結束材の端末部によって結束体の搬送が阻害されたり被結束物が傷付くのを抑制することができる結束体の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る結束体の製造方法は、
複数の被結束物を結束材で結束した結束体の製造方法であって、
前記複数の被結束物の周りにループ状に巻き掛けた前記結束材の交差部を捻じり手段によって捻じって、結束材同士が捻じり合わされる捻じり部の被結束物から離間する突出端から延出する結束材の両端末部を、結束材の巻き掛け方向と交差する被結束物の長手方向に延在する状態にしたもとで、当該両端末部を、曲げ手段によって、前記複数の被結束物の間に形成されて被結束物の長手方向に沿うように延在する凹部に押し込むように被結束物に向けて曲げて、
前記両端末部が、前記捻じり部を挟んで前記被結束物の長手方向に延在すると共に前記凹部に押し込まれた形態となる結束体を形成することを要旨とする。
これによれば、結束材の交差部を捻じることで形成される捻じり部から延出する結束材の両端末部を、捻じり部を挟んで被結束物の相反する端側に位置すると共に該捻じり部の突出端より被結束物側に近接位置する形態とすることで、両端末部の被結束物からの突出高さを低く抑えることができ、該両端末部を起因として、結束材で結束された結束体の搬送が阻害されたり、被結束物が傷付いたりするのを抑制することができる。また、捻じり部から延出する結束材の両端末部を、被結束物の長手方向に延在した状態で曲げるので、結束材で結束された結束体を長手方向に搬送する際の搬送が阻害されるのをより抑制することができる。
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項2発明に係る結束体の製造方法は、
複数の被結束物を結束材で結束した結束体の製造方法であって、
前記複数の被結束物の周りにループ状に巻き掛けた前記結束材の交差部を捻じり手段によって捻じって、結束材同士が捻じり合わされる捻じり部の被結束物から離間する突出端から延出する結束材の両端末部を、結束材の巻き掛け方向と交差する被結束物の長手方向に延在する状態にしたもとで、前記捻じり部が捻じり方向とは逆方向に回転した場合に結束材における複数の被結束物に巻き掛けた巻掛部に当接可能な位置まで曲げ手段によって被結束物に向けて曲げて、
前記両端末部が、前記捻じり部を挟んで前記被結束物の長手方向に延在すると共に、前記捻じり部が捻じり方向とは逆方向に回転した場合に前記巻掛部に当接可能な位置まで曲げられた形態となる結束体を形成することを要旨とする。
これによれば、結束材の交差部を捻じることで形成される捻じり部から延出する結束材の両端末部を、捻じり部を挟んで被結束物の相反する端側に位置すると共に該捻じり部の突出端より被結束物側に近接位置する形態とすることで、両端末部の被結束物からの突出高さを低く抑えることができ、該両端末部を起因として、結束材で結束された結束体の搬送が阻害されたり、被結束物が傷付いたりするのを抑制することができる。また、捻じり部から延出する結束材の両端末部を、被結束物の長手方向に延在した状態で曲げるので、結束材で結束された結束体を長手方向に搬送する際の搬送が阻害されるのをより抑制することができる。
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記曲げ手段における前記捻じり部の突出側から被結束物に近接移動する曲げ部を前記端末部に当接して、該端末部を被結束物に近接するように曲げるようにしたことを要旨とする。
これによれば、結束材の端末部を簡単な構成で曲げることができる。
【0008】
請求項3に係る発明は、
前記曲げ手段によって前記端末部を、当該端末部の端が被結束物の外面を向くように曲げるようにしたことを要旨とする。
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記両端末部の曲げ形状が形成された凹状の曲げ成形部を有する前記曲げ手段の型材を、前記捻じり部の突出側から被結束物に近接移動して前記端末部に押し付けることで、該端末部を曲げ成形部の曲げ形状に沿うように曲げるようにしたことを要旨とする。
これによれば、凹状の曲げ成形部を形成した型材を用いることで、結束材の端末部を曲げ成形部の形状に沿うように適正に曲げることができる。
【0009】
請求項4に係る発明は、
前記曲げ手段は、前記端末部に曲げ部を当接して端末部を曲げるようにし、
前記曲げ部の結束材との接触面は、結束材よりショア硬さが高い耐摩耗性の被覆材で被覆されていることを要旨とする。
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記端末部に押し付けた前記曲げ手段の回転自在なローラを、前記捻じり部の突出側から被結束物に近接移動しつつ端末部の端に向けて移動することで、該端末部を曲げるようにしたことを要旨とする。
これによれば、結束材の端末部を曲げる際にローラが回転することで、該端末部が傷付くのを抑制でき、傷によって強度が低下するのを防ぐことができる。
【0011】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項の発明に係る結束体の製造装置は、
複数の被結束物を結束材で結束した結束体の製造装置であって、
前記複数の被結束物の周りにループ状に巻き掛けた前記結束材の交差部を把持する把持手段を備え、該把持手段を回転することで交差部を捻じって、該交差部が捻じられることで結束材同士が捻じり合わされる捻じり部の被結束物から離間する突出端から延出する結束材の両端末部を、結束材の巻き掛け方向と交差する被結束物の長手方向に延在させる捻じり手段と、
記両端末部を、前記複数の被結束物の間に形成されて被結束物の長手方向に沿うように延在する凹部に押し込むように被結束物に向けて曲げる曲げ手段と、を備え、
前記両端末部が、前記捻じり部を挟んで前記被結束物の長手方向に延在すると共に前記凹部に押し込まれた形態となる結束体を形成するよう構成したことを要旨とする。
これによれば、結束材の交差部を捻じることで形成される捻じり部から延出する結束材の両端末部を、捻じり部を挟んで被結束物の相反する端側に位置すると共に該捻じり部の突出端より被結束物側に近接位置する形態とすることで、両端末部の被結束物からの突出高さを低く抑えることができ、該両端末部を起因として、結束材で結束された結束体の搬送が阻害されたり、被結束物が傷付いたりするのを抑制することができる。
【0012】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項6の発明に係る結束体の製造装置は、
複数の被結束物を結束材で結束した結束体の製造装置であって、
前記複数の被結束物の周りにループ状に巻き掛けた前記結束材の交差部を把持する把持手段を備え、該把持手段を回転することで交差部を捻じって、該交差部が捻じられることで結束材同士が捻じり合わされる捻じり部の被結束物から離間する突出端から延出する結束材の両端末部を、結束材の巻き掛け方向と交差する被結束物の長手方向に延在させる捻じり手段と、
前記両端末部を、前記捻じり部が捻じり方向とは逆方向に回転した場合に、結束材における複数の被結束物に巻き掛けた巻掛部に当接可能な位置まで被結束物に向けて曲げる曲げ手段と、を備え、
前記両端末部が、前記捻じり部を挟んで前記被結束物の長手方向に延在すると共に、前記捻じり部が捻じり方向とは逆方向に回転した場合に前記巻掛部に当接可能な位置まで曲げられた形態となる結束体を形成するよう構成したことを要旨とする。
これによれば、結束材の交差部を捻じることで形成される捻じり部から延出する結束材の両端末部を、捻じり部を挟んで被結束物の相反する端側に位置すると共に該捻じり部の突出端より被結束物側に近接位置する形態とすることで、両端末部の被結束物からの突出高さを低く抑えることができ、該両端末部を起因として、結束材で結束された結束体の搬送が阻害されたり、被結束物が傷付いたりするのを抑制することができる。
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記曲げ手段は、前記端末部に当接可能な曲げ部と、該曲げ部を端末部に対して近接離間移動する駆動手段とを備え、端末部に当接した曲げ部を駆動手段によって前記捻じり部の突出側から被結束物に近接移動して、該端末部を被結束物に近接するように曲げるよう構成したことを要旨とする。
これによれば、結束材の端末部を簡単な構成で曲げることができる。
【0013】
請求項に係る発明は、
前記曲げ手段は、前記端末部に当接して該端末部を曲げる曲げ部を備え、該曲げ部における前記結束材との接触面は、結束材よりショア硬さが高い耐摩耗性の被覆材で被覆されていることを要旨とする。
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記曲げ手段は、前記両端末部の曲げ形状が形成された凹状の曲げ成形部を有する型材と、該型材を端末部に対して近接離間移動する駆動手段とを備え、該駆動手段によって型材を、前記捻じり部の突出側から被結束物に近接移動して前記端末部に押し付けることで、該端末部を曲げ成形部の曲げ形状に沿うように曲げるよう構成したことを要旨とする。
これによれば、型材に形成した凹状の曲げ成形部の形状に沿うように、結束材の端末部を適正に曲げることができる。
【0014】
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記曲げ手段は、回転自在なローラと、該ローラを端末部に対する近接離間方向および該端末部の延在方向に移動する駆動手段とを備え、端末部に当接したローラを駆動手段によって、前記捻じり部の突出側から被結束物に近接移動しつつ端末部の端に向けて移動することで、該端末部を曲げるよう構成したことを要旨とする。
これによれば、結束材の端末部を曲げる際にローラが回転するので、該端末部が傷付くのを抑制でき、傷によって強度が低下するのを防ぐことができる。
【0015】
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記捻じり手段は、前記捻じり部から延出する両端末部が、前記結束材の巻き掛け方向と交差する被結束物の長手方向に延在する状態となるまで、前記交差部を3/4回転以上捻じるよう構成され、
前記曲げ手段は、前記長手方向に延在する状態のまま両端末部を曲げるよう構成したことを要旨とする。
これによれば、捻じり部から延出する結束材の両端末部を、被結束物の長手方向に延在した状態で曲げることができるので、結束材で結束された結束体を長手方向に搬送する際の搬送が阻害されるのをより抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る結束体の製造方法および製造装置によれば、結束材で結束された結束体を搬送する際に、結束材の捻じり部から延出する端末部によって結束体の搬送が阻害されるのを抑制することができる。また、結束体を集積する場合に、捻じり部から延出する端末部によって他の結束体の被結束物が傷付くのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例に係る結束体製造装置の要部を示す概略正面図である。
図2】結束体製造装置の要部拡大正面図である。
図3】ワイヤの交差部とクランピングジョーとの関係を、図2のA矢視方向から見た概略図であって、(a)は、クランピングジョーでワイヤの交差部を把持する前の状態を示し、(b)は、クランピングジョーでワイヤの交差部を把持した状態を示す。
図4】クランピングジョーで把持したワイヤの交差部から延出する端部と曲げ部との関係を示す概略平面図であって、(a)は、ワイヤを捻じる前の状態を示し、(b)は、ワイヤの交差部を捻じって端部の延出方向が90度変化した状態を示す。
図5】(a)は、交差部を捻じる前のワイヤと曲げ部との関係を正面側から視た概略図であり、(b)は、曲げ部によりワイヤの端部を曲げた状態で要部を拡大して正面側から視た概略図である。
図6】ワイヤの捻じり部から延出する端部と曲げ部との関係を示す概略図であって、(a)は端部を曲げる前の状態を示し、(b)は端部を曲げた状態を示す。
図7】ワイヤで結束された結束体を示す説明図である。
図8】第1の別実施例の曲げ手段を示す概略説明図である。
図9】第2の別実施例の曲げ手段を示す概略説明図である。
図10】第3の別実施例の曲げ手段を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る結束体の製造方法および製造装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例
【0019】
図1図2に示す如く、実施例に係る結束体製造装置(結束体の製造装置)は、複数の長尺な鋼材等の被結束物hの周り(外周)に金属製のワイヤ(結束材)10を案内する案内手段12と、この案内手段12にワイヤ10を送り込む供給手段14と、ワイヤ10の先端部(端末部)10cを保持する位置決め手段16とを備えている。結束体製造装置は、案内手段12にワイヤ10を供給手段14で送り込むことで、案内手段12の内部に挿通された所定形状(円形や四角形等)に積層した被結束物群(複数の被結束物h)の外周にワイヤ10をループ状に囲うように巻き掛け、送り込み側のワイヤ10と交差したワイヤ10の先端部10cを位置決め手段16により保持するよう構成される。また結束体製造装置は、ワイヤ10を案内手段12への送り込み方向と反対の引き戻し方向へ引っ張って被結束物群の外周に引き付ける引き締め手段(図示せず)と、ワイヤ10を交差部10aより送り込み側で切断する切断手段20と、被結束物群の外周に巻き掛けられたワイヤ10の交差部10aを保持して該交差部10aを捻じり、ワイヤ同士が捻じり合わされた捻じり部10bを形成する捻じり手段22とを備えている。そして結束体製造装置は、ワイヤ10の先端部10cを位置決め手段16により保持した状態で、引き締め手段により引き戻し方向へワイヤ10を引っ張って被結束物群の外周に引き付けた後、ワイヤ10の交差部10aを捻じり手段22で捻じることで、交差部10aより被結束物群側のワイヤ同士が捻じり合わされて、ワイヤ10で被結束物群を緊縛状態で結束するよう構成される。また結束体製造装置は、ワイヤ10を捻じることで形成された捻じり部10bから外方に延出するワイヤ10の先端部10cおよび終端部(端末部)10dを、被結束物群(被結束物h)に向けて近接するように曲げる曲げ手段24を備える。実施例では、曲げ手段24は、端e,eが被結束物hの端側(長手方向の端部側)を向く姿勢となっているワイヤ10の先端部10cおよび終端部10dを、被結束物群(被結束物h)に向けて曲げるよう構成される。
【0020】
図1図2に示す如く、前記案内手段12、供給手段14、位置決め手段16、切断手段20、捻じり手段22および曲げ手段24は、架台26の一側部に傾動可能に支持された基台28に配設され、該基台28を介して1つのユニットとして構成される。なお、案内手段12、供給手段14、位置決め手段16、切断手段20、捻じり手段22および曲げ手段24は、夫々が独立したユニットであって、基台28に対して夫々の手段12,14,16,20,22,24を個別に着脱し得るよう構成されている。また、基台28は、架台26に配設した駆動手段としての油圧シリンダ30に連結されており、案内手段12に対する被結束物群の供給位置に合わせて、基台28を傾動し得るよう構成される。なお、前記引き締め手段は、ワイヤ10の図示しない供給源と前記供給手段14との間に設けられ、ワイヤ10を引き戻し方向へ引っ張るだけでなく、結束に用いるワイヤ10を供給源から引き出す手段としても機能する。
【0021】
図1に示す如く、前記案内手段12は、環状に形成されたガイドフレーム34を主体として、このガイドフレーム34の内部に、図示しないコンベヤ等の搬送手段により長手方向に沿って搬送される被結束物群が挿通される。ガイドフレーム34は、2枚の円盤状の板材36,36を軸方向(ガイドフレーム34に対する被結束物hの挿通方向)に所定間隔離間するように連結して構成されており、両板材間にはワイヤ10が通過可能な案内溝34bが画成されている。また、両板材36,36の間に、図2に示す如く、半径方向に貫通する挿通口34aが設けられると共に、両板材間には、ガイドフレーム34の軸方向の軸回りに自由回転する複数の案内ローラ(図示せず)が、前記挿通口34aの形成部位を除く領域において周方向に並ベて支持されている。そして、前記供給手段14によって送り出されて挿通口34aを介して案内溝34b内に送り込まれたワイヤ10は、複数の案内ローラによってループ状に案内されるよう構成される。
【0022】
前記ガイドフレーム34における挿通口34aの外側(ガイドフレーム34の内部側)には、前記供給手段14によって送り出されたワイヤ10を挿通口34aを介して案内溝34bに案内する第1ガイド部38と、案内溝34bに沿って案内ローラによって誘導されてガイドフレーム34の内部に挿通した被結束物群の外周を囲んだワイヤ10の先端部10cを案内する第2ガイド部40とが、基台28に配設されている。第1ガイド部38および第2ガイド部40は、互いに接離する方向へ揺動可能に支持されると共に、駆動手段としての開閉シリンダ(図示せず)に夫々接続され、対応の開閉シリンダによって互いに近接して挿通口34aを覆った被覆状態(図2の実線参照)と、互いに離間して挿通口34aを開放した退避状態とに変位するよう構成される。そして、前記案内手段12では、第1ガイド部38および挿通口34aを介して案内溝34bに送り込まれるワイヤ10の送り込み側と、挿通口34aおよび第2ガイド部40を介してガイドフレーム34の外側へ突出したワイヤ10の先端部10cとが交差するようになっている(図5(a)参照)。
【0023】
前記供給手段14は、図2に示す如く、主ピンチローラ42と、この主ピンチローラ42に対向配置した従ピンチローラ44と、主ピンチローラ42を回転駆動する駆動手段としての駆動モータ(図示せず)とから構成される。供給手段14は、主ピンチローラ42と従ピンチローラ44との間にワイヤ10を挟持し、主ピンチローラ42を駆動モータにより回転することで、ワイヤ10を前記案内手段12へ向けて送り込むよう構成される。
【0024】
前記供給手段14は、主ピンチローラ42を駆動モータの駆動により回転させると共にワイヤ10の移動に伴う従ピンチローラ44の回転を許容する送り込み状態と、主ピンチローラ42および従ピンチローラ44の回転を規制してワイヤ10の移動を阻む停止状態と、ワイヤ10の移動に伴う主ピンチローラ42および従ピンチローラ44の自由回転を許容する自由状態とに切替え可能に構成される。ここで、供給手段14は、前記案内手段12に対するワイヤ10の送り込み時に前記送り込み状態となり、前記引き締め手段によるワイヤ10の引き戻し時に前記自由状態となり、引き締め手段による供給源からのワイヤ10の引き出し時に前記停止状態となるように切り替えられる。
【0025】
図2に示す如く、前記位置決め手段16は、第1ガイド部38に設けられて該第1ガイド部38の被覆状態において、前記案内手段12におけるガイドフレーム34に送り込まれたワイヤ10の先端部10cが挿通口34aから突出する進路上に位置する位置決め部38aと、この位置決め部38aに対して接離可能に配設され、位置決め部38aとの間でワイヤ10の先端部10cを挟持(保持)する挟持ヘッド56と、この挟持ヘッド56を位置決め部38aに対して進退移動させる駆動手段としての挟持シリンダ58(図5(a)参照)とを備える。位置決め手段16は、位置決め部38aにワイヤ10の先端を突き当てて送り込み方向へのワイヤ10の移動を規制すると共に、位置規制したワイヤ10の先端部10cを位置決め部38aと挟持ヘッド56の挟持部56aとで挟持して、ワイヤ10の引き戻し方向への移動を阻止する。
【0026】
前記切断手段20は、前記案内手段12と供給手段14との間に配置されている。切断手段20は、図2に示す如く、供給手段14から案内手段12に渡るワイヤ10の経路に位置して、該ワイヤ10の挿通を許容する筒状の移動刃64と、この移動刃64におけるワイヤ10の導出側に接して設けられた固定刃66と、移動刃64を移動させる駆動手段としての切断シリンダ(図示せず)とから構成される。切断手段20は、ワイヤ10を挿通した移動刃64を、切断シリンダによって供給手段14と案内手段12とを結ぶ経路から退避するように移動することで、移動刃64と固定刃66との間でワイヤ10を断ち切るよう構成される。
【0027】
図2に示す如く、前記捻じり手段22は、ワイヤ10の交差部10aを把持(保持)する把持手段としての一対のクランピングジョー70,70と、このクランピングジョー70,70を開閉する開閉手段72と、クランピングジョー70,70を回転させる駆動手段としての捻じりモータ(図示せず)と、を備える。開閉手段72は、一対のクランピングジョー70,70を、図3(a)に示す開放状態と、図3(b)に示す交差部10aを把持可能な閉成状態とに変化させる。開閉手段72は、クランピングジョー70,70が支持される保持部材76に配設されて、後述するようにクランピングジョー70,70と一体的に上下方向に移動し得るよう構成される。
【0028】
ここで、前記被結束物群の外周に巻き掛けられたワイヤ10の先端部10cおよび終端部10dは、交差部10aが捻じられる前では、図4(a)、図5(a)に示す如く、被結束物群に対するワイヤ10の巻き掛け方向に沿う方向で交差部10aを挟んで相反する方向に延出している。この状態で前記捻じり手段22は、ワイヤ10の交差部10aを把持しているクランピングジョー70,70を、前記捻じりモータによって3/4回転以上で、ワイヤ10の捻じり部10bから相反する方向に延出する先端部10cおよび終端部10dの各端e,eが被結束物hの長手方向の相反する端側を向き、該先端部10cおよび終端部10dが被結束物hの長手方向(ワイヤ10の巻き掛け方向と交差する方向)に略沿って延在する姿勢となるまで回転するよう設定される。捻じり手段22により交差部10aを捻じる回転量は、3/4回転以上であれば好適であり、1回転以上の1回転と1/4または3/4回転とするのがより好適である。また、実施例では、クランピングジョー70,70で捻じられるワイヤ10の交差部10aの回転中心は、被結束物群の外周側における1本の被結束物hの径方向の外側に位置するよう設定される。
【0029】
前記捻じりモータと保持部材76とは、クランピングジョー70,70および開閉手段72の上下方向(被結束物hに対する近接離間方向)の移動を許容しつつ回転を伝達し得るよう連繋されている。また、クランピングジョー70,70および開閉手段72は、クランピングジョー70,70で交差部10aを把持したまま被結束物群に近接するように移動した後、該クランピングジョー70,70の把持を解放することで、図示しない弾性部材によって自動で初期位置(捻じり工程を開始する前のワイヤ10の交差部10aを把持可能な位置)に戻るよう構成される。
【0030】
図4に示す如く、前記挟持ヘッド56には、前記位置決め部38aとの間でワイヤ10の先端部10cを挟持する挟持部56aからワイヤ10の案内手段12に対する引き戻し方向に延出する一対の曲げ部60,60が、前記捻じり部10bから延出する先端部10cおよび終端部10dに当接可能なように、前記ガイドフレーム34に挿通された被結束物hの長手方向に離間して設けられる。実施例では、端e,eが被結束物hの長手方向の端側を向く端部10c,10dの端側に、曲げ部60,60が当接するよう設定される(図4(b),図6(b)参照)。前記クランピングジョー70,70は、両曲げ部60,60の間を上下方向に移動可能に配設され、該クランピングジョー70,70および曲げ部60,60は、相互に干渉することなく相対的に移動し得るよう構成される。前記挟持シリンダ58は、挟持ヘッド56を、前記被覆状態の第1ガイド部38から離間する退避位置と、該第1ガイド部38の位置決め部38aとの間でワイヤ10の先端部10cを挟持する挟持位置と、該挟持位置より被結束物群側に近接する曲げ位置とに移動するよう構成される。そして、第1ガイド部38および第2ガイド部40が挿通口34aから退避した退避状態のもとで、挟持シリンダ58により挟持ヘッド56を曲げ位置に向けて移動することで、捻じり合わせが完了したワイヤ10における捻じり部10bの被結束物群から離間する突出端Eから延出する先端部10cおよび終端部10dに曲げ部60,60を押し付けて、両端部10c,10dを被結束物hに近接するように曲げるよう構成される(図5(b)、図6(b)参照)。また、挟持ヘッド56を曲げ位置まで移動することで、端e,eが被結束物hの長手方向の端側を向く姿勢の先端部10cおよび終端部10dは、捻じり部10bの突出端Eより被結束物hに近接する位置まで曲げられるようになっている。先端部10cおよび終端部10dは、少なくとも端e,eが突出端Eより被結束物hに近接する位置まで曲げられるのが好適であるが、両端部10c,10dの全体が突出端Eより被結束物hに近接する位置まで曲げられるのがより好適である。実施例では、曲げ部60,60と、挟持シリンダ58とから、ワイヤ10の先端部10cおよび終端部10dを曲げる曲げ手段24が構成される。
【0031】
前記挟持ヘッド56における挟持部56aおよび曲げ部60,60の表面(ワイヤ10との接触面)は、耐摩耗性の高い被覆材62で被覆されている。この被覆材62としては、JIS Z 2246に順じて測定したショア硬さが、ワイヤ10のショア硬さより高く、かつHs75以上の材料が好適に用いられ、当該挟持部56aおよび曲げ部60,60の耐摩耗性を向上するよう構成される。また、被覆材62の厚みは、挟持部56aでは1.5mm以上で、曲げ部60,60では0.5mm以上に設定されるのが好ましい。なお、実施例では、挟持部56aにおけるワイヤ10の先端部10cを挟持する部分(幅方向の中央)にのみ被覆材62が設けられている。
【0032】
〔実施例の作用〕
次に、前述のように構成された実施例の結束体製造装置の作用につき、製造方法との関係で説明する。
【0033】
結束体製造装置では、前記案内手段12におけるガイドフレーム34の内部に向けて、複数の被結束物hを所定形状で積層した被結束物群が、その長手方向に沿って搬送手段によって送り込まれる。結束体製造装置では、搬送手段によってガイドフレーム34の内部に向けて送り込まれる被結束物hの先端が、該ガイドフレーム34に衝突しないように、前記油圧シリンダ30によって前記基台28を下方に傾動する。この状態で、搬送手段によって搬送される被結束物群は、ガイドフレーム34に衝突することなく該ガイドフレーム34に挿通される。被結束物hの先端がガイドフレーム34を通過すると、図1に示す如く、油圧シリンダ30によって基台28が上方に傾動し、前記ガイドフレーム34の挿通口34aを被結束物群に近接する位置に位置付ける。
【0034】
結束体製造装置では、前記ガイドフレーム34に挿通された被結束物群のワイヤ結束予定位置が、ガイドフレーム34の内部に位置付けられて停止すると、ガイドフレーム34に前記供給手段14でワイヤ10を送り込む送り込み工程が行われる。送り込み工程では、供給手段14の駆動モータが駆動され、前記主ピンチローラ42の回転につれて従ピンチローラ44との間で挟持されているワイヤ10が第1ガイド部38およびガイドフレーム34の挿通口34aを介して案内溝34bに沿って送り込まれる。送り込み工程は、ワイヤ10がガイドフレーム34の案内溝34bに誘導されて被結束物群の外周をループ状に囲って、ワイヤ10の先端がガイドフレーム34の挿通口34aおよび第2ガイド部40から突出して送り込み側のワイヤ10と交差して前記位置決め部38aに突き当たった状態で終了される。
【0035】
前記ガイドフレーム34の案内溝34bに送り込まれたワイヤ10は、前記複数の案内ローラに接触しつつループ状に案内されるようになっており、該案内ローラはワイヤ10の接触時に回転して該ワイヤ10を案内する。すなわち、ワイヤ10と案内ローラとの接触抵抗は小さく、該ワイヤ10が擦れて傷付くのは抑制される。
【0036】
結束体製造装置は、前記挟持シリンダ58で作動した挟持ヘッド56の挟持部56aと位置決め部38aとの間にワイヤ10の先端部10cを挟持することで、ワイヤ10の先端を位置決めする位置決め工程を行った後、ワイヤ10を引き戻し方向へ引っ張る引き締め工程を行う。引き締め工程では、前記供給手段14における主ピンチローラ42および従ピンチローラ44の自由回転が許容されたもとで、引き締め手段によってワイヤ10が引き戻し方向へ引っ張られる。ワイヤ10は、位置決め手段16によって先端部10cが保持されているので、ループ状のワイヤ10は被結束物群の外周に当接するように引き絞られる。そして、結束体製造装置は、被結束物群の外周に当接したワイヤ10の引き戻し抵抗を検知する図示しない検知手段が、ワイヤ10が所要の引き締め状態となる値を検知した条件で引き締め工程を終了する。
【0037】
次に、図3(a)に示す開放状態の一対のクランピングジョー70,70を、前記開閉手段72によって閉成状態に変化することで、図3(b)に示す如く、ワイヤ10の交差部10aが一対のクランピングジョー70,70で把持される。その後、前記切断手段20の切断シリンダによって移動刃64を作動することで、該移動刃64と固定刃66とによりワイヤ10の送り込み側が切断され、交差部10aから送り込み側に所定長さで終端部10dが延出する状態となる(図5(a)参照)。ここで、切断工程では、ワイヤ10の交差部10aがクランピングジョー70,70で把持されているので、引き締め工程において被結束物群の外周に引き締めたワイヤ10が緩むことはなく、引き締め状態を保ったまま、切断および切断後の捻じり合わせ工程に移行できる。
【0038】
前記開閉シリンダを駆動し、前記第1ガイド部38および第2ガイド部40を互いに離間させて退避状態とすることで前記位置決め手段16によるワイヤ10の先端部10cの保持を解除した後、前記クランピングジョー70,70を捻じりモータで回転することで、クランピングジョー70,70で把持したワイヤ10の交差部10aが捻じられる。ワイヤ10の交差部10aが捻じられることで、ワイヤ10におけるクランピングジョー70,70での把持部位から被結束物群の外周に延在する部分が捻じり合わされ(図6(a)参照)、被結束物群がワイヤ10により緊縛される。クランピングジョー70,70および開閉手段72は、捻じりモータからの回転が伝達されつつ上下方向の移動が許容されるよう構成されているので、捻じり合わせ工程において、ワイヤ10が捻じり合わされることでワイヤ10におけるクランピングジョー70,70での把持部位から被結束物群の外周までの距離が短かくなるの従って、クランピングジョー70,70および開閉手段72が被結束物群に近接するように引き寄せられる。すなわち、クランピングジョー70,70でワイヤ10の交差部10aを把持したままワイヤ10を被結束物群の外周に近接する位置まで捻じり合わせることができ、被結束物群を確実に緊縛できると共に、クランピングジョー70,70の回転により形成される捻じり部10bの被結束物群からの突出寸法を小さくすることができる。
【0039】
前記クランピングジョー70,70を3/4回転以上回転し、図4(b)に示す如く、ワイヤ10の捻じり合わせにより形成された捻じり部10bから外方に延出する先端部10cおよび終端部10dが、その端e,eが被結束物hの端側を向くと共に、被結束物hの長手方向に略沿って延在する姿勢となったときに、前記捻じりモータを停止すると共に、クランピングジョー70,70による交差部10aの把持を解放する。そして、前記挟持シリンダ58によって挟持ヘッド56を挟持位置から曲げ位置に向けて移動することで、前記挟持ヘッド56に設けた曲げ部60,60が、捻じり部10bの突出側から被結束物群に近接するように移動して、捻じり部10bから延出して該捻じり部10bを挟んで被結束物hの相反する端側に位置する先端部10cおよび終端部10dに押し付けられて、図6(b)に示す如く、該先端部10cおよび終端部10dは、被結束物群の外周に近接するように曲げられて前記突出端Eより被結束物側に近接位置する形態となる。具体的には、先端部10cおよび終端部10dの端側が曲げ部60,60で押されることで、該先端部10cおよび終端部10dは、捻じり部10bの突出端Eに近接する基部側が被結束物hに向けて湾曲するように曲げられ、更に先端部10cおよび終端部10dの端側が曲げ部60,60によって被結束物hに押し付けられることで、該先端部10cおよび終端部10dは端e,eに近接する部分が基部側とは反対側に湾曲するように曲げられる。すなわち、両端部10c,10dは、その延在方向の2箇所で湾曲するように曲げられて、端e,eに近接する部分の湾曲部から端e,eまでの部分が被結束物hの長手方向に略沿う形状に形成される。なお、ワイヤ10の交差部10aの把持を解放したクランピングジョー70,70は、図示しない弾性部材によって自動で初期位置に戻る。
【0040】
前記曲げ手段24によりワイヤ10の先端部10cおよび終端部10dを曲げる曲げ工程が完了すると、前記挟持シリンダ58により挟持ヘッド56が退避位置に移動される。そして、前記搬送手段によって被結束物群が搬送され、次のワイヤ結束予定位置がガイドフレーム34の内部に位置付けられて停止すると、前述した、送り込み工程、位置決め工程、引き締め工程、切断工程、捻じり合わせ工程および曲げ工程が実行されて、被結束物群がワイヤ10で結束される。このようにして、被結束物群を、長手方向に離間した複数箇所でワイヤ結束した結束体H(図7参照)は、搬送手段によって結束体製造装置から搬出される。
【0041】
実施例の結束体製造装置では、ワイヤ10の交差部10aを捻じることで形成された捻じり部10bから延出するワイヤ10の先端部10cおよび終端部10dが、捻じり部10bを挟んで被結束物hの相反する端側に位置すると共に突出端Eより被結束物側に近接位置する形態となる結束体Hを形成することができる。すなわち、ワイヤ10の先端部10cおよび終端部10dを、その端e,eが被結束物hの端側を向く姿勢で、捻じり部10bの突出端Eより被結束物群の外周に近接する位置まで曲げ手段24によって曲げるので、該先端部10cおよび終端部10dの被結束物群(被結束物h)からの突出高さを低く抑えることができ、該先端部10cおよび終端部10dを起因として、ワイヤ結束された結束体Hの搬送が阻害されるのを抑制することができる。また、複数の結束体Hを保管あるいは出荷の際に集積する場合に、捻じり部10bから延出する先端部10cや終端部10dが、他の結束体Hの被結束物hに接触して該被結束物hを傷付けるのを抑制することができる。また、ワイヤ10の先端部10cおよび終端部10dに、曲げ手段24の曲げ部60,60を押し付けて曲げるので、両端部10c,10dの曲げに関する構成を簡単化することができる。なお、曲げ部60,60によって押し曲げる先端部10cおよび終端部10dの端側を、被結束物hに当接するまで押すことで、両端部10c,10dの端e,eが、捻じり部10bの突出端Eより被結束物群の外周に近接する位置まで両端部10c,10dを確実に曲げることができる。
【0042】
実施例の結束体製造装置では、ワイヤ10における捻じり部10bから延出して該捻じり部10bを挟んで被結束物hの相反する端側に位置する先端部10cおよび終端部10dを、被結束物hの長手方向に沿って延在するようにして曲げるので、結束された結束体Hを長手方向に搬送する際には、該先端部10cおよび終端部10dによって搬送が阻害されるのをより抑制することができる。また、前記挟持ヘッド56における挟持部56aおよび曲げ部60,60の表面を、耐摩耗性に優れた被覆材62で被覆したので、ワイヤ10との接触によって挟持ヘッド56(挟持部56aおよび曲げ部60,60)が短期間で摩耗するのを抑制でき、使用寿命を延ばすことができる。また、実施例の結束体製造装置では、ワイヤ10の先端部10cを位置決めする挟持ヘッド56に、ワイヤ10の先端部10cおよび終端部10dを曲げる曲げ部60,60を設け、挟持シリンダ58によって曲げ部60,60を作動して先端部10cおよび終端部10dを曲げるよう構成したので、部品点数を低減することができる。
【0043】
ここで、ワイヤ10の先端部10cおよび終端部10dの各端eは、前記移動刃64と固定刃66とで切断される際に鋭利となる場合があり、結束体Hを集積する際には隣接する結束体Hの被結束物hを両端部10c,10dの端e,eで傷付け易くなる。しかるに、実施例の結束体製造装置では、ワイヤ10の先端部10cおよび終端部10dを、その端e,eが捻じり部10bの突出端Eより被結束物hに近接するように曲げるので、結束体Hの集積に際して他の結束体Hの被結束物hに両端部10c,10dの端e,eが接触し難くなり、被結束物hを傷付けるのを抑制することができる。実施例の結束体製造装置では、捻じり部10bを形成した後に、該捻じり部10bから延出する先端部10cおよび終端部10dを曲げる工程順となっている。実施例とは逆に、ワイヤ10の先端部10cおよび終端部10dを曲げた後に捻じり部10bを形成する工程順の場合は、曲げた端部10c,10dが、捻じり部10bの形成中にワイヤ10における被結束物群に巻き掛けられている巻掛部に当接しない位置までしか曲げることができない。これに対し、実施例の工程順であれば、捻じり部10bの形成中に端部10c,10dがワイヤ10の巻掛部に当接するのを気にすることなく、捻じり部10bの形成後に、端部10c,10dを被結束物群により近接する位置まで曲げることができる。従って、端部10c,10dを曲げる際に、曲げた端部10c,10dが、捻じり部10bが捻じり方向とは逆方向に戻って緩むことに伴い回転した場合にワイヤ10の巻掛部に当接可能な位置まで曲げることができる。すなわち、巻掛部に当接可能な位置まで端部10c,10dを曲げるよう構成すれば、結束体Hを搬送したり集積したりする際に、被結束物群等から加わる力によって捻じり部10bが捻じり方向とは逆方向に戻って緩む場合に、該捻じり部10bの緩みに伴って回転する先端部10cおよび終端部10dがワイヤ10の巻掛部に当接して回転が規制され、結束が解けてしまうのを防ぐことができる。また、実施例の結束体製造装置は、前記基台28に対して案内手段12、供給手段14、位置決め手段16、切断手段20、捻じり手段22および曲げ手段24の夫々を個別に着脱し得るよう構成してあるので、何れかの手段12,14,16,20,22,24が故障した場合は、故障した手段のみを交換するだけで復旧させることができ、復旧に伴うロスタイムを短かくし得る。更に、各手段12,14,16,20,22,24の予備品を用意しておけば、ロスタイムを更に縮めることができる。
【0044】
(別実施例について)
図8図10は、別実施例の結束体製造装置の要部を示すものであって、該別実施例では、実施例とは曲げ手段の構成が異なるので、該曲げ手段について説明する。なお、実施例で既出の同一部材には同じ符号を付すものとする。
【0045】
図8に示す第1の別実施例に係る曲げ手段86は、凹状の曲げ成形部87,87を形成した金型等の型材88と、該型材88を曲げ成形部87,87に先端部10cおよび終端部10dが挿入可能な曲げ準備位置および先端部10cおよび終端部10dから側方に離間した退避位置との間で移動させる油圧シリンダ等の第1駆動手段(図示せず)と、曲げ準備位置の型材88を先端部10cおよび終端部10dに対して近接離間移動する油圧シリンダ等の第2駆動手段(図示せず)と、を備える。曲げ成形部87,87は、ワイヤ10の先端部10cに対応する曲げ成形部87と、終端部10dに対応する曲げ成形部87とからなり、型材88には、両曲げ成形部87,87の間に、ワイヤ10の捻じり部10bを収容可能な収容凹部89が設けられる。両曲げ成形部87,87における対応する先端部10cおよび終端部10dに押し付けられる底をなす成形面87a,87aは、先端部10cおよび終端部10dを、その全体が捻じり部10bの突出端Eより被結束物hに近接する位置まで曲げられるか、少なくとも両端部10c,10dの端e,eが、捻じり部10bの突出端Eより被結束物hに近接する位置まで曲げる曲げ形状(例えば、実施例の曲げ手段24で端部10c,10dが曲げられる形状と同一形状)に形成される。また、曲げ成形部87,87の幅は、ワイヤ10の直径より僅かに大きく設定され、先端部10cおよび終端部10dが幅方向に変位するのを抑制し得るよう構成される。なお、型材88を退避位置に位置することで、前記クランピングジョー70,70と型材88とが干渉しないようになっている。
【0046】
第1の別実施例の曲げ手段86では、前記捻じり手段22によるワイヤ10の交差部10aの捻じりが完了した後、前記クランピングジョー70,70をワイヤ10の交差部10aから離間移動し、前記退避位置の型材88を第1駆動手段により曲げ準備位置まで移動する(図8(a)参照)。次に、第2駆動手段によって型材88を、前記捻じり部10bの突出側から被結束物hに向けて近接移動することで、先端部10cおよび終端部10dが型材88における対応する曲げ成形部87,87に入り込み、該曲げ成形部87,87の成形面87a,87aで先端部10cおよび終端部10dが押されると共に、該先端部10cおよび終端部10dの端側が型材88によって被結束物hに押し付けられることで、該先端部10cおよび終端部10dは成形面87a,87aに沿うように曲げられる(図8(b)参照)。
【0047】
第1の別実施例の曲げ手段86によれば、前記実施例が奏する作用効果の他に、以下の作用効果を奏する。すなわち、第1の別実施例の曲げ手段86は、型材88に形成した凹状の曲げ成形部87,87の成形面87a,87aをワイヤ10の先端部10cおよび終端部10dに押し付けて曲げるので、両端部10c,10dは幅方向(径方向)への変位が規制されつつ被結束物hに近接するように適正に曲げられる。従って、端e,eが被結束物hの長手方向の端側を向くと共に、被結束物hの長手方向に沿って延在する先端部10cおよび終端部10dは、長手方向と交差する方向に大きく変位することなく曲げられる。これにより、先端部10cおよび終端部10dは、被結束物hの長手方向に沿って被結束物群に近接して延在し、ワイヤ結束された結束体Hが長手方向に搬送される際に、先端部10cおよび終端部10dによって搬送が阻害されるのをより抑制することができる。
【0048】
図9に示す第2の別実施例に係る曲げ手段90は、一対の移動部材91,91に回転自在に支持されたローラ92,92と、該移動部材91,91に連繋されてローラ92,92を、先端部10cおよび終端部10dに対する近接離間方向および先端部10cおよび終端部10dの延在方向に移動する油圧シリンダ等の駆動手段(図示せず)と、を備える。なお、一対のローラ92,92は、前記近接離間方向へは一体的に移動すると共に、前記延在方向には相互に近接離間するように移動する。すなわち、先端部10cに対応するローラ92が前記捻じり部10bの突出端E側から該先端部10cの端eに向けて移動する際には、終端部10dに対応するローラ92が捻じり部10bの突出端E側から該終端部10dの端eに向けて移動する(図9(b)参照)。駆動手段は、ローラ92,92を、前記近接離間方向および延在方向の夫々に独立して移動する手段で構成したものや、または駆動手段によってローラ92,92を近接離間方向に移動するのに伴って、カム機構によって該ローラ92,92を延在方向に移動する構成を採用することができる。なお、先端部10cおよび終端部10dから離間する退避位置のローラ92,92は、前記クランピングジョー70,70と干渉しなように離間している(図9(a)参照)。
【0049】
第2の別実施例の曲げ手段90では、前記捻じり手段22によるワイヤ10の交差部10aの捻じりが完了した後、前記クランピングジョー70,70をワイヤ10の交差部10aから離間移動し、図9(b)に示す如く、前記先端部10cおよび終端部10dから離間する一対のローラ92,92を、駆動手段により前記捻じり部10bの突出側から被結束物hに近接移動しつつ各端部10c,10dの端e,eに向けて相互に離間移動する。これにより、先端部10cおよび終端部10dは、捻じり部10bの突出端Eより被結束物群の外周に近接するように対応するローラ92,92で夫々曲げられる。具体的には、先端部10cおよび終端部10dの延在方向の略中間に当接したローラ92,92を被結束物hに近接移動することで、該先端部10cおよび終端部10dは、捻じり部10bの突出端Eに近接する基部側が被結束物hに向けて湾曲するように曲げられ、その後にローラ92,92で先端部10cおよび終端部10dの端側を被結束物hに押し付けつつ該ローラ92,92を端e,eに向けて移動することで、先端部10cおよび終端部10dは、端e,eに近接する部分が基部側とは反対側に湾曲するように曲げられる。すなわち、第2の別実施例の曲げ手段90においても、先端部10cおよび終端部10dは、実施例と同様の形状に形成される。
【0050】
第2の別実施例の曲げ手段90によれば、前記実施例が奏する作用効果の他に、以下の作用効果を奏する。すなわち、第2の別実施例の曲げ手段90では、ワイヤ10の先端部10cおよび終端部10dを曲げる際にローラ92,92が自由回転するので、該先端部10cおよび終端部10dが傷付くのを抑制できる。従って、ワイヤ10が傷付くことによって強度が低下するのを防ぐことができると共に、傷付いた部分からワイヤ10が破断等するのを防ぐことができる。
【0051】
図10に示す第3の別実施例に係る曲げ手段93は、被結束物hの長手方向に離間する一対の曲げ部材94,94と、該曲げ部材94,94を、先端部10cおよび終端部10dに対する近接離間方向に移動する油圧シリンダ等の駆動手段(図示せず)と、を備える。一対の曲げ部材94,94の離間間隔は、被結束物hに近接移動する途中で、該被結束物hを向く曲げ部材94,94の端面が各端部10c,10dの端側に夫々当接すると共に、該曲げ部材94,94が被結束物hに当接する前に、各端部10c,10dの端e,eが前記端面から離脱して該曲げ部材94,94の側面(両曲げ部材94,94の対向する面)で位置規制されるよう設定される。そして、曲げ部材94,94によって曲げられた両端部10c,10dの端e,eが、被結束物hの外周側を向くよう構成される。なお、先端部10cおよび終端部10dから離間する退避位置の曲げ部材94,94は、前記クランピングジョー70,70と干渉しなように離間している。
【0052】
第3の別実施例の曲げ手段93では、前記捻じり手段22によるワイヤ10の交差部10aの捻じりが完了した後、前記クランピングジョー70,70をワイヤ10の交差部10aから離間移動し、前記先端部10cおよび終端部10dから離間する一対の曲げ部材94,94(図10(a)参照)を、駆動手段により前記捻じり部10bの突出側から被結束物hに近接移動する。一対の曲げ部材94,94が端側に当接して被結束物hに向けて押される先端部10cおよび終端部10dは、各端部10c,10dの端e,eが被結束物hに近接するように押されることで、捻じり部10bの突出端Eに近接する基部側が被結束物hに向けて湾曲するように曲げられる。曲げ部材94,94を更に被結束物hに向けて近接移動すると、各端部10c,10dの端e,eが曲げ部材94,94の端面から離脱して側面で位置規制され、先端部10cおよび終端部10dは、各端部10c,10dの端e,eが被結束物hの外周側を向くように曲げられる(図10(b)参照)。
【0053】
第3の別実施例の曲げ手段93では、前記実施例と同様に、ワイヤ10の先端部10cおよび終端部10dを、捻じり部10bの突出端Eより被結束物群の外周に近接する位置まで曲げるので、該先端部10cおよび終端部10dを起因として、ワイヤ結束された結束体Hの搬送が阻害されるのを抑制することができる。また、ワイヤ10の先端部10cおよび終端部10dを、端e,eが被結束物hの外周側を向くまで曲げているので、結束体Hの集積に際して他の結束体Hの被結束物hに両端部10c,10dの端e,eがより接触し難くなり、被結束物hを傷付けるのを抑制することができる。
【0054】
〔変更例〕
本願は、前述した実施例の構成に限定されるものでなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
1.実施例や第2および第3の別実施例では、クランピングジョーでのワイヤの交差部の把持を解放した状態で、曲げ手段によってワイヤの先端部および終端部を曲げるよう構成したが、クランピングジョーでワイヤの交差部を把持したまま、曲げ手段によってワイヤの先端部および終端部を曲げる構成を採用することができる。
2.実施例では、曲げ手段の曲げ部を、先端部および終端部の端側に当接して曲げるよう構成したが、該先端部および終端部を、捻じり部の突出端より被結束物に近接する位置まで曲げることができる構成であれば、各端部の延在方向の中間に曲げ部を当接するようにしてもよい。
3.実施例では、曲げ手段の曲げ部によって先端部および終端部の端側の部分を被結束物に押し付けるよう構成したが、先端部および終端部の端側の部分を曲げ部で被結束物に押し付ける前に曲げ工程を完了するようにしてもよい。すなわち、各端部を、基部側の一箇所で湾曲するように曲げるものであってもよい。なお、第1および第2の別実施例においても、先端部および終端部の端側の部分を、型材やローラで被結束物に押し付ける前に曲げ工程を完了するようにしてもよい。
4.結束体製造装置において、各手段を駆動する各種の駆動手段は、油圧シリンダ、空圧シリンダ、油空圧シリンダおよび電動モータの何れも採用することができるが、全ての駆動手段を電動モータとすることで、メンテナンス性や安全性を向上することができるので好適である。
5.実施例では、ワイヤの先端部を位置決めする位置決め手段と、ワイヤの先端部および終端部を曲げる曲げ手段とを一部兼用する構成で説明したが、位置決め手段と曲げ手段とを独立した別々の手段で構成することができる。すなわち、挟持部のみを有する挟持ヘッドを挟持シリンダで作動するよう構成すると共に、一対の曲げ部を備える曲げヘッドを曲げシリンダで作動する構成を採用することができる。
6.結束体製造装置において、ワイヤで結束する被結束物群の外形形状は、円形、三角形、四角形等、各種形状に適用することができるが、三角形や四角形等のように角部が存在する形状では、該角部に対応する位置にワイヤの交差部を位置付けて捻じり合わせる構成を採用するのが好適である。すなわち、被結束物群の外形における角部の位置でワイヤを捻じることで、該角部を挟む辺側のワイヤを好適に引き寄せて捻じり合わせることができ、被結束物群を緊密に結束することができる。
【0055】
7.第1の別実施例では、ワイヤの先端部および終端部を曲げる2つの曲げ成形部が形成された型材を用いたが、先端部および終端部を曲げる曲げ成形部を別々に設けた2つの型材によって、先端部および終端部を曲げる構成を採用することができる。また、例えば、実施例における挟持ヘッドに設けた曲げ部に代えて、先端部または終端部の延在方向に延びる曲げ成形部を形成した型材を、挟持ヘッドに設ける構成を採用することもできる。
8.第1の別実施例において、曲げ手段の型材を着脱交換可能に構成することができる。型材を交換可能な構成では、成形面の形状が異る複数種類の型材を容易しておけば、ユーザーの仕様等に合わせて先端部および終端部を任意の形状に曲げることが簡単にできる。
9.第2の別実施例では、ローラによって先端部および終端部を曲げるよう構成したが、捻じり部を押し倒すことで、端が被結束物の長手方向の端側を向く姿勢の先端部および終端部を被結束物に近接するように曲げる構成を採用することができる。例えば、被結束物に対する捻じり部の突出方向と交差する方向に移動する移動部材にローラを回転自在に支持し、該ローラを駆動手段によって被結束物の長手方向と交差する方向で移動して捻じり部を押し倒すようにすればよい。
10.第3の別実施例では、曲げ部材を各端部(被結束物)に対する近接離間方向にのみ移動するよう構成したが、一対の曲げ部材を更に駆動手段によって相互に近接離間移動するよう構成し、側面で位置規制するように両端部を挟んだ一対の曲げ部材を相互に近接移動して、両端部を、各端が被結束物の外周に対向するまで曲げる構成を採用することができる。また、曲げ部材に回転自在に支持したローラを、端部に当てて曲げる構成を採用することができる。
11.移動部材(第2の別実施例)や曲げ部材(第3の別実施例)に支持するローラは、端部の径方向の変位を規制し得る溝付きローラを採用することができる。
12.実施例や別実施例では、ワイヤの交差部における捻じり手段による回転中心を、1本の被結束物の径方向の外側に対応する位置に位置付けて、該交差部を捻じる構成としたが、被結束物群の外周側における周方向に隣り合う被結束物の間に、ワイヤの交差部の回転中心を位置付けた状態で該交差部を回転して捻じり部を形成する構成を採用することができる。ワイヤの交差部の回転中心を、周方向に隣り合う被結束物の間に位置付けて捻じる構成では、捻じり部から被結束物の長手方向に沿うように延出する両端部を、被結束物の間に形成されて被結束物の長手方向に延在する凹部に押し込むように曲げることができ、両端部の押し込みによって捻じり部自体も被結束物群側に変形し、該捻じり部の突出寸法をより小さくすることができる。なお、両端部を凹部に押し込む構成を採用する場合は、両端部を曲げる曲げ部を、隣り合う被結束物に干渉することなく両端部を凹部に押し込み得る形状とすることで対応し得る。
13.実施例や別実施例において、例えば、捻じり手段の回転する部材に曲げ手段を設け、ワイヤの交差部を捻じりながら結束材の両端部を被結束物に向けて近接するように曲げる構成を採用することができる。
14.実施例や別実施例では、ワイヤの交差部を、ワイヤの先端部および終端部が被結束物の長手方向に沿う姿勢となるまで捻じった(回転した)後に、両端部を被結束物に向けて近接するように曲げるよう構成したが、捻じり手段による交差部の捻じりを、ワイヤの先端部および終端部が被結束物の長手方向と交差する姿勢で止め、両端部を被結束物に向けて近接するように曲げた後に、該両端部が被結束物の長手方向に沿う姿勢となるまで捻じり手段または別の手段によって捻じる構成を採用することができる。
15.捻じり手段により交差部を捻じる回転量については、3/4回転未満の回転量とすることができ、例えば1/2回転以上の回転量とすることで、捻じりにより形成された捻じり部に対する捻じり手段の把持を解除した際にワイヤの弾性によって捻じり部が捻じり方向とは逆方向に戻っても、該捻じり部が解けることなく被結束物の結束状態を維持し得るので、前記回転量を1/2回転以上とすることができる。また、形成された結束体において、該結束体を長手方向に搬送する際の搬送装置等に対するワイヤの端部の引っ掛かりを低減するには、ワイヤの先端部および終端部が、被結束物の長手方向に沿う姿勢となっていることが最も好ましい。但し、先端部および終端部を、被結束物の長手方向に対して直交する角度より小さな角度で交差するように傾く姿勢とすれば、先端部および終端部が被結束物の長手方向に対して直交する姿勢となっている場合より、捻じり部から長手方向と直交する方向への先端部および終端部の延出長さを短かくできて、搬送装置等に対する引っ掛かりを低減可能であることから、先端部および終端部は、前記傾く姿勢であってもよい。なお、捻じり部に対する捻じり手段の把持を解除した際に、ワイヤの弾性によって捻じり部が捻じり方向とは逆方向に戻る場合において、ワイヤの先端部および終端部が被結束物に対して前記長手方向に沿う姿勢または前記傾く姿勢となるように、捻じり部の戻りを考慮して前記回転量を設定すればよい。
16.実施例や別実施例では、被結束物を結束する結束材として、金属製のワイヤ(線材)を挙げて説明したが、ワイヤの表面を合成樹脂製の被覆材で被覆したワイヤを用いることができる。
【符号の説明】
【0056】
10 ワイヤ(結束材)
10a 交差部
10b 捻じり部
10c 先端部(端末部)
10d 終端部(端末部)
22 捻じり手段
24 曲げ手段
58 挟持シリンダ(駆動手段)
60 曲げ部
70 クランピングジョー(把持手段)
86 曲げ手段
87 曲げ成形部
88 型材
90 曲げ手段
92 ローラ
93 曲げ手段
E 捻じり部の突出端
e 先端部および終端部の端
H 結束体
h 被結束物

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10