(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】ガスセンサ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/409 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G01N27/409 100
(21)【出願番号】P 2020169533
(22)【出願日】2020-10-07
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】下田 昭
(72)【発明者】
【氏名】中島 崇史
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-154774(JP,A)
【文献】特開2002-082086(JP,A)
【文献】特開2017-067734(JP,A)
【文献】特開2016-014615(JP,A)
【文献】特開平08-110319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/409
G01N 27/41
G01N 27/419
G01N 27/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延び、先端側に検知部を有するセンサ素子と、
前記軸線方向に貫通する貫通孔を有する主体金具と、
前記貫通孔の内部に配置され、自身の内部に前記センサ素子が挿通されてなるセラミック部材と、を有し、
前記セラミック部材のアルミナ純度が90質量%を超え
、
前記セラミック部材は、それぞれ環状で素子挿通孔を有するセラミックホルダおよびセラミックスリーブであり、
さらに、環状で素子挿通孔を有する粉末充填層を備え、
前記セラミックホルダ、前記粉末充填層および前記セラミックスリーブは、先端側からこの順で前記主体金具の前記貫通孔に積層されて前記素子挿通孔の内側にセンサ素子を保持し、
前記セラミックスリーブは前記セラミックホルダに向かって所定の押圧部材により押圧され、前記セラミックホルダは前記主体金具の内面に係止され、
質量%で、前記セラミックホルダのアルミナ純度が、前記セラミックスリーブのアルミナ純度より高いことを特徴とするガスセンサ。
【請求項2】
前記セラミックホルダのアルミナ純度が94~98質量%、前記セラミックスリーブのアルミナ純度が90質量%を超え94質量%未満である請求項1記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記センサ素子は板状であり、
前記セラミックホルダ及び前記セラミックスリーブの前記素子挿通孔がそれぞれ角孔である請求項1又は2に記載のガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ素子を備えたガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の内燃機関に用いるガスセンサにおいて、センサ素子を備えると共に、内部部材としてセラミック部材を有するものが知られている。
例えば、このセラミック部材として、センサ素子を保持するインシュレータであって、純度90質量%以上のアルミナを用いる技術が開示されている(特許文献1)。
又、セラミック部材として、アルミナを主成分(50wt%以上)とする技術が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-67734号公報
【文献】特開2012-154774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、セラミック部材は金属に比べて脆く、高い荷重が掛かると破損する恐れがある。例えば、主体金具の内部に配置されてセンサ素子を保持又は位置決めするセラミックホルダは、後端側から押圧されて主体金具の内面に係止されるが、これによってセラミックホルダには高い荷重が掛かる。また、例えば、主体金具の内部に配置されてセンサ素子を保持又は位置決めするセラミックスリーブは、後端側から押圧されるが、これによってセラミックスリーブには高い荷重がかかる。
そこで、セラミック部材の強度を向上させることが要望される。アルミナ純度を90質量%を超えて高くすると、曲げ強度は低下するが、ヤング率が高くなる傾向がある。そして、セラミックは圧縮応力に対しては強いが、局所的な引っ張り応力が生じると割れ易いことから、曲げ強度よりはヤング率を強度の指標とする方が適している。つまり、アルミナ純度を90質量%を超えて高くすると、セラミック部材の強度が向上することが予想される。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、主体金具の内部に配置されたセラミック部材の強度を向上させて破損を抑制したガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のガスセンサは、軸線方向に延び、先端側に検知部を有するセンサ素子と、前記軸線方向に貫通する貫通孔を有する主体金具と、前記貫通孔の内部に配置され、自身の内部に前記センサ素子が挿通されてなるセラミック部材と、を有し、前記セラミック部材のアルミナ純度が90質量%を超え、前記セラミック部材は、それぞれ環状で素子挿通孔を有するセラミックホルダおよびセラミックスリーブであり、さらに、環状で素子挿通孔を有する粉末充填層を備え、前記セラミックホルダ、前記粉末充填層および前記セラミックスリーブは、先端側からこの順で前記主体金具の前記貫通孔に積層されて前記素子挿通孔の内側にセンサ素子を保持し、前記セラミックスリーブは前記セラミックホルダに向かって所定の押圧部材により押圧され、前記セラミックホルダは前記主体金具の内面に係止され、質量%で、前記セラミックホルダのアルミナ純度が、前記セラミックスリーブのアルミナ純度より高いことを特徴とする。
【0007】
このガスセンサによれば、アルミナ純度を90質量%を超えて高くすることで、セラミックのヤング率が高くなり、ひいてはセラミック部材の強度を向上させ、主体金具の内部に配置されたセラミック部材の破損を抑制することができる。
【0009】
又、このガスセンサによれば、セラミックスリーブよりも高い荷重が掛かるセラミックホルダのアルミナ純度をセラミックスリーブのアルミナ純度より高くすることで、セラミック部材であるセラミックホルダの破損をさらに抑制することができる。
【0010】
本発明のガスセンサにおいて、前記セラミックホルダのアルミナ純度が94~98質量%、前記セラミックスリーブのアルミナ純度が90質量%を超え94質量%未満であってもよい。
このガスセンサによれば、セラミック部材であるセラミックホルダの破損をより一層抑制することができる。又、セラミックスリーブのアルミナ純度を比較的低くすることで、セラミックホルダには及ばないものの破損を抑制できる高い強度を得つつ、さらに、セラミックスリーブの熱伝導率がセラミックホルダより小さくなり、セラミックスリーブよりも後端側に位置するセンサの構成部品に対する先端側からの伝熱が小さくなり、耐熱性が向上する。
【0011】
本発明のガスセンサにおいて、前記センサ素子は板状であり、前記セラミックホルダ及び前記セラミックスリーブの前記素子挿通孔がそれぞれ角孔であってもよい。
このような角孔においては、4隅の角部に引張応力がより集中してセラミック部材が割れ易くなるので、強度を向上させた本発明がさらに有効となる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ガスセンサの構成部材であるセラミック部材の強度を向上させて破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態にかかるガスセンサの断面図である。
【
図2】セラミックホルダの素子挿通孔を示す平面図である。
【
図3】セラミック部材のアルミナ純度による各種特性の変化を示す模式図である。
【
図4】本発明の実施形態にかかるガスセンサの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、
図1~
図3に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかるガスセンサ1の断面図、
図2はセラミックホルダの素子挿通孔を示す平面図、
図3はセラミック部材のアルミナ純度による各種特性の変化を示す模式図である。
【0015】
図1において、ガスセンサ(全領域空燃比ガスセンサ)1は、センサ素子21と、軸線O方向に貫通してセンサ素子21を挿通させる素子挿通孔32を有するホルダ(セラミックホルダ)30と、セラミックホルダ30の径方向周囲を取り囲む主体金具11と、を備えている。
センサ素子21のうち、検知部22が形成された先端寄り部位が、セラミックホルダ30より先端に突出している。このように素子挿通孔32を通されたセンサ素子21は、セラミックホルダ30の後端面側(図示上側)に配置される環状で素子挿通孔を有する粉末充填層(本例では滑石)41を、絶縁材からなるセラミックスリーブ43、リングワッシャ45を介してカシメ用円筒部36により先後方向に圧縮することによって、主体金具11の内側において先後方向に気密を保持して固定されている。
なお、セラミックスリーブ43にもセンサ素子21を挿通させる素子挿通孔44が形成されている。
セラミックホルダ30、セラミックスリーブ43がそれぞれ特許請求の範囲の「セラミック部材」に相当する。
【0016】
なお、センサ素子21の後端21eを含む後端寄り部位はスリーブ43及び主体金具11より後方に突出しており、その後端寄り部位に形成された各電極パッド部13~17に、ゴム製のシール材85を通して外部に引き出された各リード線71の先端に設けられた端子金具75が圧接され、電気的に接続されている。また、この電極パッド部13~17を含むセンサ素子21の後端寄り部位は、外筒81でカバーされている。以下、さらに詳細に説明する。
【0017】
センサ素子21は軸線O方向に延びると共に、測定対象に向けられる先端側(図示下側)に、被検出ガス中の特定ガス成分を検出する検知部22を備えた帯板状(板状)をなしている。センサ素子21の横断面は、先後において一定の大きさの長方形(矩形)をなし、セラミック(固体電解質等)を主体として細長いものとして形成されている。
このセンサ素子21は、固体電解質(部材)の先端寄り部位に検知部22が配置され、後端寄り部位には、電極パッド部13~17が露出形成されている。
さらに、センサ素子21の検知部22に、アルミナ又はスピネル等からなる多孔質の保護層23が被覆されている。
【0018】
主体金具11は、先後において同心異径の筒状をなし、先端側が小径で、後述するプロテクタ51、61を外嵌して固定するための円筒状の円環状部(以下、円筒部ともいう)12を有し、その後方(図示上方)の外周面には、それより大径をなす、エンジンの排気管への固定用のネジ33が設けられている。そして、その後方には、このネジ33によってセンサ1をねじ込むための多角形部14を備えている。また、この多角形部14の後方には、ガスセンサ1の後方をカバーする保護筒(外筒)81を外嵌して溶接する円筒部11eが連設され、その後方には外径がそれより小さく薄肉のカシメ用円筒部36を備えている。なお、このカシメ用円筒部36は、
図1では、カシメ後のために内側に曲げられている。なお、多角形部14の下面には、ねじ込み時におけるシール用のガスケット19が取着されている。
一方、主体金具11は、軸線O方向に貫通する貫通孔18を有している。貫通孔18の内周面は後端側から先端側に向かって径方向内側に先細るテーパ状の段部11dを有している。
【0019】
主体金具11の内側には、絶縁性セラミック(例えばアルミナ)からなり、概略短円筒状に形成されたセラミックホルダ30が配置されている。セラミックホルダ30は、先端に向かって先細りのテーパ状に形成された先端向き面30aを有している。そして、先端向き面30aの外周寄りの部位が段部11dに係止されつつ、セラミックホルダ30が後端側から粉末充填層41で押圧されることで主体金具11内にセラミックホルダ30が位置決めされ、かつ隙間嵌めされている。
一方、
図2に示すように、素子挿通孔32は、セラミックホルダ30の中心に設けられると共に、センサ素子21が略隙間なく通るように、センサ素子21の横断面とほぼ同一の寸法の矩形の開口とされている。又、図示はしないが、素子挿通孔44は素子挿通孔32と同一形状、同一寸法とされている。
【0020】
センサ素子21は、セラミックホルダ30の素子挿通孔32に通され、センサ素子21の先端をセラミックホルダ30及び主体金具11の先端12aよりも先方に突出させている。
一方、センサ素子21の先端部位は、本形態では、2層構造からなり、共にそれぞれ通気孔(穴)56、67を有する有底円筒状のプロテクタ(保護カバー)51,61で覆われている。このうち内側のプロテクタ51の後端が、主体金具11の円筒部12に外嵌され、溶接されている。なお、通気孔56はプロテクタ51の後端側で周方向において例えば8箇所設けられている。一方プロテクタ51の先端側にも、周方向において例えば4箇所、排出穴53が設けられている。
また、外側のプロテクタ61は、内側のプロテクタ51に外嵌して、同時に円筒部12に溶接されている。外側のプロテクタ61の通気孔67は、先端寄り部位に、周方向において例えば8箇所設けられており、また、プロテクタ61先端の底部中央にも排出孔69が設けられている。
【0021】
又、
図1に示すように、センサ素子21の後端寄り部位に形成された各電極パッド部13~17には、外部にシール材85を通して引き出された各リード線71の先端に設けられた各端子金具75がそのバネ性により圧接され、電気的に接続されている。そして、この圧接部を含む各端子金具75は、本例ガスセンサ1では、外筒81内に配置された絶縁性のセパレータ91内に設けられた各収容部内に、それぞれ対向配置で設けられている。なお、セパレータ91は、外筒81内にカシメ固定された保持部材82を介して径方向及び先端側への動きが規制されている。そして、この外筒81の先端部を、主体金具11の後端寄り部位の円筒部11eに外嵌して溶接することで、ガスセンサ1の後方が気密状にカバーされている。
なお、リード線71は外筒81の後端部の内側に配置されたシール材(例えばゴム)85を通されて外部に引き出されており、外筒81の小径筒部83を縮径カシメしてこのシール材85を圧縮することにより、この部位の気密が保持されている。
【0022】
因みに、外筒81の軸線O方向の中央よりやや後端側には、先端側が径大の段部81dが形成され、この段部81dの内面がセパレータ91の後端を先方に押すように支持する。一方、セパレータ91はその外周に形成されたフランジ93を外筒81の内側に固定された保持部材82の上に支持させられており、段部81dと保持部材82とによってセパレータ91が軸線O方向に保持されている。
【0023】
次に、
図3を参照し、本発明の特徴部分について説明する。
図3に示すように、セラミック部材のアルミナ純度を90質量%を超えて高くすると、曲げ強度は低下するが、ヤング率が高くなる傾向がある。そして、セラミックは圧縮応力に対しては強いが、局所的な引っ張り応力が生じると割れ易いことから、曲げ強度よりはヤング率を強度の指標とする方が適している。つまり、アルミナ純度を90質量%を超えて高くすると、セラミック部材の強度が向上する。
このようなことから、本発明では、セラミック部材(セラミックホルダ30、セラミックスリーブ43など)のアルミナ純度が90質量%を超えることで強度を向上させ、セラミック部材の破損を抑制することができる。つまり、セラミック部材は主体金具11の内部に配置されるため、金属製の主体金具11と接して荷重を受け、又はリングワッシャ45を介して荷重を受けて破損するおそれがある、この破損を抑制する。
【0024】
特に、本実施形態では、セラミック部材がセラミックホルダ30及びセラミックスリーブ43であるが、セラミックスリーブ43はセラミックホルダ30に向かってカシメ用円筒部(押圧部材)36により押圧されている。そして、セラミックホルダ30の先端向き面30aは、主体金具11の内面の段部11dに係止され、先端向き面30aに高い荷重が掛かる。
そこで、セラミックスリーブ43よりも高い荷重が掛かるセラミックホルダ30のアルミナ純度をセラミックスリーブ43のアルミナ純度より高くすることで、セラミック部材であるセラミックホルダ30の破損をさらに抑制することができる。
【0025】
なお、セラミック部材は、センサ素子21を保持又は位置決めしていればよい。例えば本実施形態では、セラミックホルダ30自身はセンサ素子21を保持しておらず、位置決めしているだけであり、実
際に保持している部位は滑石41となっている。
【0026】
セラミックホルダ30のアルミナ純度をセラミックスリーブ43のアルミナ純度より高くする具体的な方法として、セラミックホルダ30のアルミナ純度を94~98質量%、セラミックスリーブ43のアルミナ純度を90質量%を超え94質量%未満にするとよい。
上述のように、セラミックホルダ30のアルミナ純度をセラミックスリーブ43のアルミナ純度より高くすることで、セラミックホルダ30の破損をさらに抑制することができる。
又、セラミックスリーブ43のアルミナ純度を低くすることで、
図3に示すように線膨張係数と熱伝導率が小さくなる。熱伝導率が小さいと、端子金具75やシール材85等、セラミックスリーブ43よりも後端側に位置するセンサの構成部品に対する先端側からの伝熱が小さくなり、耐熱性が向上するという利点がある。つまり、セラミックホルダ30より後端側に位置するセラミックスリーブ43のアルミナ純度を低くすることで、先端側からの被測定ガスの熱伝達を抑制できる。
なお、セラミックホルダ30のアルミナ純度を98質量%を超えて高くすることはコスト上困難で、かつ強度の向上効果が飽和する。
【0027】
さらに、
図2に示すように本実施形態では、セラミックホルダ30及びセラミックスリーブ43の素子挿通孔32、44がそれぞれ角孔である。このような角孔においては、4隅の角部に引張応力がより集中して割れ易くなるので、強度を向上させた本発明がさらに有効となる。
【0028】
セラミック部材のアルミナ純度の測定方法としては、表面分析(電子線マイクロアナライザ(EPMA))や、元素・成分分析(蛍光X線(XRF))を用いることができる。
【0029】
本発明のガスセンサは、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜にその構造、構成を設計変更して具体化できる。
例えば、センサ素子としては、酸素の濃度を測定するものに限定されず、窒素酸化物(NOx)又は炭化水素(HC)等の濃度を測定するものを用いてもよい。
【0030】
又、
図4に示すように、セラミック部材としては、セラミックホルダやセラミックスリーブに限られず、センサ素子21x本体が挙げられる。
ここで、
図4に示すガスセンサ1Bは、センサ素子21xとしていわゆる筒型素子を用いること以外は、
図1のガスセンサ1と大きく変わるところはないが、若干の形状や構造が違う部分を符号に「x」を付してガスセンサ1と区別し、説明を適宜省略する。例えば、
図4の符号11xは、ガスセンサ1の「主体金具11」に対応し、両主体金具11、11xはほぼ同様の構成、機能を有しているが、寸法や形状が若干異なることを意味する。
以下、ガスセンサ1Bがガスセンサ1と異なる部分を主に説明する。
【0031】
センサ素子21xは、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサになっていて、酸素イオン伝導性の固体電解質体からなる素子本体に一対の電極5,6を積層した酸素濃淡電池を構成し、酸素量に応じた検出値を出力する。
センサ素子21xの素子本体は、先端が閉じた略円筒状(中空軸状)であり、中央側に鍔部21pが設けられている。そして、素子本体の外面及び内面にそれぞれ外側電極5及び内側電極6が形成され、さらに、外側電極5を多孔質の保護層7が覆っている。
【0032】
そして、センサ素子21xを主体金具11xの内側に挿通し、鍔部21pの後端側におけるセンサ素子21xと主体金具11xとの径方向の隙間に、粉末充填層41x、セラミックスリーブ43xを配置し、ガスセンサ1と同様、カシメ用円筒部36xにより先後方向に圧縮する。これにより、主体金具11xの段部11dxに、ワッシャ8及びプロテクタ60xの後端部を介して鍔部21pを押し当て、主体金具11xの内側にセンサ素子21xを固定する。
このとき、セラミックスリーブ43xには高い荷重が掛かるので、セラミックスリーブ43xをセラミック部材としてアルミナ純度を90質量%を超えて高くすることで、強度を向上させ、セラミック部材の破損を抑制することができる。
なお、ガスセンサ1Bにおいては、外筒81xの後端側に、保護外筒86が外嵌され、外筒81xと保護外筒86との間に通気フィルタ87が配置されている。
【符号の説明】
【0033】
1、1B ガスセンサ
11,11x 主体金具
18 貫通孔
21,21x センサ素子
22,22x 検知部
30 セラミック部材(セラミックホルダ)
32、44 素子挿通孔
36,36x 押圧部材(カシメ用円筒部)
41 粉末充填層
43、43x セラミック部材(セラミックスリーブ)
O 軸線