(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】カートリッジ、カートリッジを操作するための方法、水ノズルインサートおよびアウトレット
(51)【国際特許分類】
B05B 1/18 20060101AFI20240229BHJP
A47K 3/28 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B05B1/18
A47K3/28
(21)【出願番号】P 2020567537
(86)(22)【出願日】2019-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2019064372
(87)【国際公開番号】W WO2019233958
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-20
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520001305
【氏名又は名称】ギョーザ・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】GJOSA SA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モック,エルマール
(72)【発明者】
【氏名】ルッスレ,マックス
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-517203(JP,A)
【文献】実開平07-020405(JP,U)
【文献】国際公開第2011/054120(WO,A2)
【文献】豪国特許出願公開第2011239349(AU,A1)
【文献】特開2008-149984(JP,A)
【文献】国際公開第2017/112842(WO,A1)
【文献】特表2019-508628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-3/18
7/00-9/08
A47K 3/02-4/00
A61H 33/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を分配するためのシャワーヘッドまたは栓において使用するためのカートリッジ(8)であって、前記液体の衝突噴流を生成し、以て、前記液体の液滴の噴霧を生成するように構成された少なくとも2つのノズル(12)のセットと、前記噴霧を誘導するためのスプレーシェーパ(84)とを備え、
前記ノズル(12)の内径は、0.8~1.5ミリメートルであり、
スロート(3)に沿って前記ノズル(12)が一定の直径を有する前記ノズル(12)の各々のスロート(3)は、前記内径の少なくとも3倍である第2の長さ(L2)を有し、
前記ノズル(12)の内面と前記スプレーシェーパ(84)の内面との間の遷移部を形成するエッジの半径(Re)は、2ミリメートル未満である、カートリッジ(8)。
【請求項2】
前記衝突噴流が衝突する衝突点と前記カートリッジ(8)の前面(88)との間の距離は、ノズルアウトレット(6)と前記衝突噴流が衝突する点との間の距離の3~4倍である、請求項1に記載のカートリッジ(8)。
【請求項3】
前記ノズル(12)の内面と前記スプレーシェーパ(84)の内面との間の遷移部を形成するエッジが、鋭角を形成する、請求項1または2に記載のカートリッジ(8)。
【請求項4】
スプレーシェーパ(84)として機能する要素の全体が前記カートリッジ(8)自体の一部である、請求項1~3のいずれか1項に記載のカートリッジ(8)。
【請求項5】
液体を分配するためのシャワーヘッドまたは栓において使用するためのカートリッジ(8)であって、前記液体の衝突噴流を生成し、以て、前記液体の液滴の噴霧を生成するように構成された少なくとも2つのノズル(12)のセットと、前記噴霧を誘導するためのスプレーシェーパ(84)とを備え、
前記ノズル(12)の内径は、0.8~1.5ミリメートルであり、
スロート(3)に沿って前記ノズル(12)が一定の直径を有する前記ノズル(12)の各々のスロート(3)は、前記内径の少なくとも3倍である第2の長さ(L2)を有し、
前記スプレーシェーパ(84)は、前記スプレーシェーパ(84)の後端(85)とは反対の前記スプレーシェーパ(84)の外端において、前記スプレーシェーパ(84)の内面と、隣接する中間表面(89)との間に鋭角(Phi1)を形成する流れ誘導エッジ(86)によって終端する、カートリッジ(8)。
【請求項6】
前記流れ誘導エッジ(86)の半径(Rf)は、2ミリメートル未満または1ミリメートル未満または0.8ミリメートル未満または0.5ミリメートル未満または0.3ミリメートル未満である、請求項5に記載のカートリッジ(8)。
【請求項7】
前記流れ誘導エッジ(86)において始まる前記中間表面(89)は、前記スプレーシェーパ(84)の後端(85)の方向に延在し、次いで再び反対方向に延在し、前記カートリッジ(8)の前面(88)に入る、請求項5または6に記載のカートリッジ(8)。
【請求項8】
前記流れ誘導エッジ(86)と前記中間表面(89)が前記前面(88)に入る点との間の半径方向距離(dR)は、少なくとも3ミリメートルである、請求項7に記載のカートリッジ(8)。
【請求項9】
前記前面(88)は、前記流れ誘導エッジ(86)よりも前記スプレーシェーパ(84)の後端(85)から離れている、請求項7または8に記載のカートリッジ(8)。
【請求項10】
前記流れ誘導エッジ(86)を含む前記スプレーシェーパ(84)が、前記カートリッジ(8)のスカート(83)の一部として一体的に成形されている、請求項5~9のいずれか1項に記載のカートリッジ(8)。
【請求項11】
前記カートリッジ(8)がフィルタを含まない、請求項1~
10のいずれか1項に記載のカートリッジ(8)。
【請求項12】
前記カートリッジ(8)は、前記カートリッジ(8)内の液体の流れを逆転させる要素を含まない、請求項1~
11のいずれか1項に記載のカートリッジ(8)。
【請求項13】
前記衝突噴流が衝突する点と前記スプレーシェーパ(84)の後端(85)との間の距離は、2~7ミリメートルである、請求項1~
12のいずれか1項に記載のカートリッジ(8)。
【請求項14】
前記ノズルが前記スプレーシェーパ(84)の内面に出る角度は、70°を超える、請求項1~
13のいずれか1項に記載のカートリッジ(8)。
【請求項15】
前記スプレーシェーパ(84)の内面が円筒形である、請求項1~
14のいずれか1項に記載のカートリッジ(8)。
【請求項16】
前記カートリッジ(8)は、一体に作製されるか、またはともに不可分に成形または溶接または接着された別個の部品から作製される、請求項1~
15のいずれか1項に記載のカートリッジ(8)。
【請求項17】
前記カートリッジ(8)が、前記カートリッジ(8)をアウトレットに機械的に取り付け、前記カートリッジ(8)を固定するためのカートリッジ接続要素(82)を備える、請求項1~
16のいずれか1項に記載のカートリッジ(8)。
【請求項18】
前記ノズルは各々、非対称断面を有し、前記非対称断面のより狭い部分が前記ノズルの長手方向軸の二等分線に近く、前記非対称断面のより広い部分は前記二等分線からさらに離れている、請求項1~
17のいずれか1項に記載のカートリッジ(8)。
【請求項19】
前記ノズルの前記非対称断面は、三角形または角が丸い三角形である、請求項
18に記載のカートリッジ(8)。
【請求項20】
液体を分配するためのシャワーヘッドまたは栓において、請求項1~
19のいずれか1項に記載のカートリッジ(8)を操作するための方法であって、
1バール~5バールの範囲の圧力で前記液体を前記カートリッジ(8)に供給するステップと、
毎分2リットル~毎分3リットルの流量で、一対のノズル(12)を通して前記液体を誘導するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、例として家庭用配管設備の分野で使用される洗浄設備における、水または水ベースの混合物などの液体を噴霧するためのアウトレットにおいて使用するための、カートリッジ、カートリッジを操作するための方法、水ノズルインサートおよびアウトレットに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2004/101163号は、多数のノズル対を備えたシャワーヘッドであって、各ノズル対が、水の噴霧を生成することを目的として、衝突水噴流を生成するシャワーヘッドを開示している。シャワーヘッドは、さまざまな圧力にわたって十分に機能するとされている。
【0003】
ベルギー特許第514104号は、45°の角度にある、平板内の4つの傾斜した穴によって生成される衝突水噴流を備えた噴霧ヘッドを開示している。プレートの厚さは1~5mmである。穴の直径はノズル12mmよりも小さいと記載されている。
【0004】
米国特許第2744738号は、衝突点後の流れ誘導要素を含む、衝突水噴流を備えたエアレータを開示している。
【0005】
米国特許第7278591号は、水を分配するための複数のチューブを備えたシャワーヘッドを開示している。水によって駆動されるタービンが、チューブが方向を変えるように、また各チューブから分配される水の方向も変えるようにチューブを動かす。
【0006】
JP H01 20405 Uは、蛇口に使用される注ぎ口のためのマウスピースを開示しており、このマウスピースは、蛇口内の流れに対して直角から外れた角度で水を噴霧する。
【0007】
実全平02 91654号は、シャワーヘッド内の噴霧板を開示しており、この板は、多数の水アウトレット開口部の代わりに、衝突水噴流を生成するより少数の開口部を含む。
【0008】
米国特許第8458826号は、オーストラリア特許出願公開第2011/239349号としても公開されており、水が衝突噴流を通じて低流量かつ典型的には10バールを超える高圧で分配されるシャワーまたは栓のアウトレットを開示している。上で引用した国際公開第2004/101163号とは対照的に、シャワーヘッドのアウトレットには1つまたは2つのノズル対だけで十分である。良好な洗浄体験、すなわち、低流量にもかかわらず水流が十分ですすぎの感覚が良好であることは、衝突噴流による水の霧化によって得られ、これは高圧の結果である。
【0009】
国際公開第2011/054120号は、例えば、
図4~
図6および
図20~
図23による実施形態において、衝突噴流から水または水ベースの混合物などの液体の噴霧を生成するためのカートリッジを開示している。そのようなカートリッジは、高圧下で液体の噴流を衝突させることによって、水または水ベースの混合物などの液体を霧化および噴霧するための統合ユニットであり得る。
【0010】
そのような従来技術のカートリッジ8が、
図1に示されている。それは、例えば、溶接および/または成形および/または接着および/またはスナップ接続によって、好ましくは分離不可能な方法でともに接合される別個の部品から組み立てることができる。主ノズルセット本体9またはカートリッジ本体は、プラスチック材料から作られることが好ましい。カートリッジ8は、安全マージンを加えた上で、霧化原理によって要求される高圧に耐えるように設計されている。
【0011】
霧化噴霧は、ノズル29から流れる液体の噴流を衝突させることによって生成される。ノズル29は、カートリッジ本体9内に配置されたノズルインサート10によって画定されるか、またはノズルインサート10内に作られる。他の実施形態では、ノズル29は、別個のノズルインサートなしで、カートリッジ本体9自体の中に成形される。生成される噴霧は、カートリッジ8の内側の初期噴霧13であり、これは閉塞要素24、特にふるいまたはメッシュまたは穿孔プレートを通過することができ、アウトレット開口部においてカートリッジ8を出る外側噴霧23を形成する。
【0012】
カートリッジ入口35から、液体は最初にプレチャンバ5に流れ込み、次に迂回要素38の周りを流れ、迂回路39を通って中間チャンバ12に入り、そこからノズル29に入る。迂回要素38は、液体を最初にノズル29と反対の方向に、また迂回要素38の周りに流れさせ、流れを均一にする。
【0013】
カートリッジ8は、カバーピース、迂回要素38を含むピース、ノズルインサート(複数可)10およびスプレーシェーパ14およびメッシュを含むピースを備えることができ、これらはすべてポリマー(プラスチック)から作られ、ともに溶接されている。カートリッジ8の例示的な寸法は以下の通りである。高さ31mm、そのうち14mmは内部スプレーシェーパおよびノズルの寸法であり、17mmは迂回要素およびカバーピースの寸法である。ノズルは互いに90°の角度で立っている。衝突点は、各ノズルのアウトレットまたは流出から、例えば4.7mmなど、少なくとも4mmのところにある。この距離を長くすると、衝突噴流によって生成される雑音が減少する。このため、ノズルのアウトレットは、好ましくは、内部スプレーシェーパの好ましくは別個の凹部に、すなわち、内部スプレーシェーパの表面にではなく、内部スプレーシェーパ14の表面の後ろに各々配置される。その結果、ノズルを出た後、水の噴流が凹部に沿って自由に飛んで、次に内部スプレーシェーパ14の内壁15を出て、次に他の1つまたは複数の噴流に当たるまで内部スプレーシェーパ14の空洞の自由容積内を飛ぶ。内壁15の凹部の内端にノズルアウトレットを配置することによって、自由に飛ぶ噴流の長さが(内壁15のレベルのノズルアウトレットと比較して)増加する。
【0014】
ノズルはセラミックまたはポリマーまたは金属から作られ、カートリッジ本体に接着剤なしで打ち込まれるように挿入されることが好ましい。代替的に、ノズルはノズル挿入成形によってカートリッジ内に配置される。ノズルの直径は、0.4mm~0.8mm、好ましくは0.55mmおよび0.65mmの範囲であり、好ましくは0.58mmまたは0.61mmである。ノズル径を小さくすることで、衝突噴流の騒音を低減することができる。水の所望の流量を維持するために、それに応じて衝突噴流の数を増やすことができる。同じ点に衝突する複数の噴流、または同じ空洞内の異なる点に衝突する噴流の2つ以上のサブセットが存在し得る。
【0015】
特に人体への適用のために、水の噴霧を生成するために衝突水噴流を使用する既存の装置は、節水と見なすには大きすぎる水流を示すか、または水圧を上げるためのポンプを必要とする。
【0016】
特に人体への適用のために、水の噴霧を生成するためのノズル装置の構造および操作を単純化することが必要とされている。
【0017】
以下の用語を使用するものとする。アウトレットは、1つまたは複数の霧化器を含む。霧化器は、例えば、衝突水噴流を生成するための2つ以上のノズルを備えたノズルセットを含む。シャワー内で通常使用される噴霧器とは対照的に、霧化器は、巨視的な液滴ではなく、空気と微視的な水滴との混合物の流れを生成する。アウトレットは、栓の一部とすることができ、または、ハンドルに取り付けられたシャワーヘッドとすることができ、または、管の端に固定的に設置されているかもしくは壁に埋め込まれているシャワーヘッドとすることもできる。したがって、アウトレットは、シャワー設備とは対照的に、単一のユニットとして輸送、取り扱い、および設置することができるユニットである。シャワー設備は、例えば、シャワーキャビンの上部におよび側壁内に配置された複数のシャワーヘッドを含み得、追加の配管がシャワーヘッドに加圧水を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、家庭用配管設備の洗浄装置または可搬式シャワーまたは手洗いユニットにおいて使用するための既存の装置、特に、カートリッジ、カートリッジを操作するための方法、水ノズルインサート、および最初に述べたタイプのアウトレットを改善し、上記の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
これらの目的は、対応する請求項によるカートリッジ、カートリッジを操作するための方法、水ノズルインサートおよびアウトレットによって達成される。
【0020】
シャワーヘッドまたは栓内で使用するカートリッジは、液体、特に水または水ベースの混合物を分配するように設計されている。カートリッジは、液体の衝突噴流を生成し、それによって液滴の噴霧を生成するように構成された少なくとも2つ、特に正確に2つのノズルのセット、および噴霧を誘導するためのスプレーシェーパを備える。
【0021】
その中で、ノズルの内径は0.8~1.5ミリメートルであり、それに沿ってノズルが一定の直径を有する各ノズルのスロートは、この内径の少なくとも3倍である第2の長さを有する。
【0022】
実施形態では、内径は0.8~2ミリメートルである。
実施形態では、ノズルの内面とスプレーシェーパの内面との間の遷移部を形成するエッジの半径(Re)は、2ミリメートル未満または1ミリメートル未満または0.8ミリメートル未満または0.5ミリメートル未満または0.3ミリメートル未満である。
【0023】
このような小さい半径は、ノズルを出る水の噴流が、ノズル壁に付着するのに起因して、ノズルの表面に追従し、広がることを防ぐ。
【0024】
実施形態では、噴流が衝突する衝突点と前面との間の距離は、ノズルアウトレットと噴流が衝突する点との間の距離の3~4倍、または5~9倍、特に6~8倍、特に7倍である。
【0025】
絶対的には、ノズルアウトレットと噴流が衝突する点との間のこの距離は、1~7ミリメートルとすることができる。
【0026】
ノズルアウトレットの中心間の距離は、2~7ミリメートル、特に4~5ミリメートルとすることができる。
【0027】
同出願人による上記の米国特許第8458826号および国際公開第2011/054120号とは対照的に、本出願人は、カートリッジ、特にノズルの設計を適合させることにより、水または水ベースの混合物を分配する前に圧力を上げることなく、良好な洗浄体験に関する同じ結果、すなわち、低流量において水流が十分ですすぎの感覚が良好であることを達成することが可能であるという驚くべき発見に達した。
【0028】
これは、独立クレームの特徴によって可能になる。これらの特徴によって実現されるさまざまな対策は、流路の障害物、非層流、および付着によって引き起こされる可能性がある乱流および迂回による、液体が担持するエネルギーの損失を減らすことを目的としている。
【0029】
実施形態では、ノズルの直径は、典型的な主圧力において、最小のノズルセット、特に正確に2つのノズルを有する単一のノズルセットによって所望の流量が得られるようなものである。その結果、主にノズルにおいて発生する流れのエネルギーの総損失は、例えば、同じ流量を達成するより狭いノズルを備えた複数のノズルセットを有するアウトレットと比較して小さく保たれる。したがって、ノズルの入口において液体の圧力に含まれるエネルギーをより多く水噴流の運動エネルギーに変換することができ、これにより水の霧化が改善される。すなわち、水噴流の運動エネルギーが多いほど、衝突によって生成される液滴は小さくなる。これは、洗浄体験を改善することが示されている。
【0030】
最小(主)圧力の給水設備がない状況では、ポンプを使用することができる。ポンプは、所望の低流量において最小の一定圧力を提供するように設計することができる。
【0031】
実施形態では、スプレーシェーパは中空円筒体の形状を有する。実施形態では、スプレーシェーパを構成する中空空間は、ノズルの近くよりも前面の近くの方が広い。実施形態では、中空空間は、その円周のいくつかの点において収縮し、例えば、数字「8」の形状の横断面を与える。
【0032】
実施形態では、スプレーシェーパには、例えばふるい、チャネルなどの障害物がない。
カートリッジは、石鹸などの添加剤を水に加えてまたは加えずに、ヘアケアでの使用に適用することができる。石鹸が加えられる場合、衝突噴流は、水、石鹸、および空気の有利な混合を可能にする。カートリッジは、例えば、台所において、対象物の洗浄およびすすぎの用途に適用することができる。
【0033】
実施形態では、カートリッジはフィルタを含まない。
実施形態では、カートリッジは、カートリッジ内の液体の流れを逆転させる要素を含まない。
【0034】
これにより、水の流れにおけるエネルギーの損失が減少し、衝突噴流の速度およびエネルギーが増加する。これにより、衝突噴流によって生成される噴霧の品質を(例えば、より小さい液滴を生成することによって)向上させることができる。
【0035】
実施形態では、ノズルは、液体の噴流が70°~110°、特に80°~100°、特に90°の角度で衝突するように配置されている。
【0036】
実施形態では、噴流が衝突する点とスプレーシェーパ後端との間の距離は、2~7ミリメートル、特に3~5ミリメートル、特に3~4ミリメートルである。
【0037】
スプレーシェーパ後端は、スプレーシェーパの後方、スプレーシェーパ前端から最大距離のところにある。
【0038】
実施形態では、ノズルがスプレーシェーパの内面(スプレーシェーパ後端)に出る角度は、70°を超え、特に80°を超え、特に90°に等しい。
【0039】
これにより、より小さい角度と比較して、非対称ノズルアウトレットによる流れの乱れが減少する。
【0040】
実施形態では、ノズルの内面とスプレーシェーパの表面との間の遷移部を形成するエッジが、鋭角、特に85°未満または80°未満または75°未満の角度を形成する。
【0041】
実施形態では、スプレーシェーパの内面は円筒形である。
実施形態では、カートリッジは、スプレーシェーパが配置されているスカートを備える。スカートは、管の断面などのリング状にすることができる。スカートは本質的に円筒形の部品とすることができる。「円筒形」とは、一般化されているが直角柱、または直円柱を指し得る。スプレーシェーパの内面を構成するスカートの内側は、直円柱とすることができ、一方、スカートの外側は、直角柱もしくは非円筒形または別の形状とすることができる。
【0042】
実施形態では、スプレーシェーパとして機能する要素全体がカートリッジ自体の一部である。
【0043】
実施形態では、スプレーシェーパは、スプレーシェーパ後端とは反対のスプレーシェーパの外端において、スプレーシェーパの内面と、隣接する中間表面との間に鋭角(Phi1)、特に、85°未満または80°未満または75°未満の角度を形成する流れ誘導エッジによって終端する。
【0044】
実施形態では、流れ誘導エッジの半径(Rf)は、2ミリメートル未満または1ミリメートル未満または0.8ミリメートル未満または0.5ミリメートル未満または0.3ミリメートル未満である。
【0045】
この半径は、少なくともほぼ円形の形状を有するエッジによって実装することができ、この半径は、断面で見たときの平均半径である。断面は、スプレーシェーパの対称長手方向軸を含む平面内にある。この軸を中心としたスプレーシェーパの回転対称性を所与とすると、断面はそのようなすべての平面内で本質的に同じである。この半径はまた、そのような断面において、内面と中間表面との間の平坦な断面によって成形されるエッジによって実装することもでき、この平坦な断面は、この半径に応じた長さにわたって延在する。
【0046】
実施形態では、流れ誘導エッジにおいて始まる中間表面は、スプレーシェーパ後端の方向に延在し、次いで再び反対方向に延在して、カートリッジの前面に入る。
【0047】
実施形態では、流れ誘導エッジと中間表面が前面に入る点との間の半径方向距離(dR)は、少なくとも3ミリメートル、特に少なくとも4ミリメートル、特に少なくとも5ミリメートルである。
【0048】
この距離は、水が毛細管現象によって、中間表面によって画定されるボリュームに流れ込み、そこに蓄積するのを防ぐ。
【0049】
実施形態では、前面は、流れ誘導エッジよりもスプレーシェーパ後端から離れている。
言い換えれば、前面に対して、流れ誘導エッジは凹んでいる。これにより、流れ誘導エッジが機械的損傷から保護される。
【0050】
実施形態では、カートリッジの長手方向断面で見ると、中間表面が前面に向かって延在する領域における中間表面の間の角度は鈍角である。特に、この角度は100°超、特に110°超である。
【0051】
実施形態では、スカートおよび流れ誘導エッジを含むスプレーシェーパは、スカートの一部として一体的に成形される。
【0052】
実施形態では、カートリッジは、一体に作製されるか、またはともに不可分に成形、または溶接もしくは接着された別個の部品から作製される。
【0053】
実施形態では、カートリッジ(8)は、カートリッジをアウトレットに機械的に取り付けて、カートリッジを固定するためのカートリッジ接続要素を備える。
【0054】
特に、これらの接続要素は、カートリッジまたはアウトレットをともに保持するために必要なカートリッジまたはアウトレットの一部ではないさらなる要素を使用せずに、カートリッジをアウトレットに接続することができる。
【0055】
要約すると、カートリッジは、単一の部品としての、すなわち、一体に作製されるか、またはともに不可分に成形または溶接もしくは接着された別個の部品から作製される、接続要素、スプレーシェーパ、およびスカートを備えることができる。
【0056】
実施形態では、接続要素はねじ山を含む。
ねじ山は雄ねじまたは雌ねじとすることができ、アウトレットの対応するねじ山はそれぞれ雌ねじまたは雄ねじである。
【0057】
他の実施形態では、カートリッジは、アウトレットに溶接または接着されるように設計されている。
【0058】
カートリッジはスカートによって保持し、アウトレットにねじ込むことができる。これを容易にするために、スカートは、ローレット切り、リブ、多面体断面など、スカートの外面に対する摩擦を増加させるための要素を含むことができる。
【0059】
実施形態では、ノズルは、カートリッジのノズルセット本体内に成形される。他の実施形態では、ノズルは、ノズルセット本体に挿入される別個のノズルインサートの一部である。
【0060】
実施形態では、各ノズル入口は、ノズルセット本体の対応する外面に配置され、外面は本質的に平面であり、それぞれのノズルの長手方向軸に対して直角である。
【0061】
実施形態では、各ノズル入口の近くの領域は、流れを均質化して均一にし、それによってエネルギーを損失させるように構成された迂回または流れ方向転換要素がない。
【0062】
実施形態では、少なくともスプレーシェーパおよびノズルは、ISO粗さ等級N6に対応する0.8マイクロメートル未満、特にISO粗さ等級N4に対応する0.2マイクロメートル未満の粗さRaを有する表面を含む。
【0063】
これにより、ノズルを通る液体の流れおよびスプレーシェーパ内での液体の反射が改善され、流れのエネルギー損失が減少する。
【0064】
粗さパラメータRaは、その中心線を中心とした偏差から決定される粗さプロファイルの算術平均値である。
【0065】
実施形態では、ノズルは、カートリッジまたはノズルインサートが、例えば射出成形によって成形される成形プロセスの一部として製造される。成形プロセスは、青銅などの金属合金、またはPOM(ポリオキシメチレン)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PA(ポリアミド)などのプラスチック材料からカートリッジまたはノズルインサートを作製することができる。実施形態では、ノズルは、カートリッジ内、すなわちそのノズルセット本体内にノズルを機械加工することによって製造され、カートリッジは、最初に成形プロセスによって製造することができる。そのような機械加工は、穿孔または放電加工または切断、特にレーザ切断とすることができる。いずれの場合も、ノズルアウトレットは面取りまたはバリ取り工程によって機械加工することができる。
【0066】
実施形態では、ノズルは各々、非対称断面を有し、断面のより狭い部分がノズルの長手方向軸の二等分線に近く、断面のより広い部分は二等分線からさらに離れている。
【0067】
ノズルの長手方向軸の二等分線は、通常、カートリッジの中心長手方向軸と一致する。
このようなノズルの形状は、水噴流の運動エネルギーをアウトレットの方向に集中させることができる。これにより、噴霧へのエネルギーの伝達が増加し、噴霧の品質(小さい液滴)が向上する。
【0068】
ノズルの断面が円形ではなく、このような非対称断面の場合、水力直径を使用してノズルが特性化される。
【0069】
実施形態では、ノズル断面は、三角形または角が丸い三角形である。
実施形態では、以下のパラメータの組み合わせが実現される。
【0070】
・ノズル径:0.8~1.5ミリメートル。
・一定の直径を有するノズルの区画の長さ:少なくとも2.4または4または6または8ミリメートル。
【0071】
・ノズル内部および/またはスプレーシェーパ内部の表面粗さ:ISO粗さ等級N6に対応する0.8マイクロメートル未満、特にISO粗さ等級N4に対応する0.2マイクロメートル未満。
【0072】
・スプレーシェーパの内面とエッジ保護区画の隣接する表面との間の角度:35°~72°、特に55°~65°。
【0073】
実施形態では、さらに、以下のパラメータが実現される。
・不連続部またはノズルアウトレットにおけるエッジの半径:1ミリメートル未満、特に0.8ミリメートル未満、特に0.5ミリメートル未満、特に0.3ミリメートル未満。
【0074】
実施形態では、さらに、以下のパラメータが実現される。
・スプレーシェーパの内面とエッジ保護区画の隣接する表面との間の角度における流れ誘導エッジの半径:1ミリメートル未満、特に0.8ミリメートル未満、特に0.5ミリメートル未満、特に0.3ミリメートル未満。
【0075】
実施形態では、さらに、以下のパラメータが実現される。
・流れ誘導エッジと中間表面が前面に入る点との間の半径方向距離:少なくとも3ミリメートル、少なくとも4ミリメートル、特に少なくとも5ミリメートル。
【0076】
実施形態では、さらに、以下のパラメータが実現される。
・衝突点と前面との間の距離(スプレーシェーパの長さにほぼ等しい):12または14または17または20ミリメートル超。特に30または25または22ミリメートル未満。
【0077】
液体、特に水または水ベースの混合物を分配するためのシャワーヘッドまたは栓において前述の請求項の1つのカートリッジを操作するための方法は、以下のステップを含む。
【0078】
・1バール~5バール、特に1バール~3バール、さらに特には1.5バール~3バールの範囲の圧力をもって液体をカートリッジに供給するステップ。
【0079】
・毎分2リットル~毎分3リットルの間の流量、特に毎分2.5リットルの流量をもって、一対のノズルを通じて液体を誘導するステップ。
【0080】
実施形態では、2つまたは3つのカートリッジが単一のアウトレットと組み合わされる。このようなアウトレットの総流量は、カートリッジの流量の合計である。例えば、カートリッジが3つある場合、総流量は最大で毎分6または7または8リットルになり得る。
【0081】
実施形態では、各ノズル内の液体の速度は、毎秒10メートルまたは毎秒20メートルまたは毎秒30メートルよりも大きい。
【0082】
実施形態では、ノズル内の液体の速度は、毎秒10メートルまたは毎秒20メートルまたは毎秒30メートルよりも大きい。通常、速度は毎秒70メートルまたは毎秒60メートルまたは毎秒50メートル未満である。
【0083】
本明細書に記載のカートリッジで使用するための水ノズルインサートは、例えば、ノズルを備え、ノズルの内径は0.8~1.5ミリメートルであり、それに沿ってノズルが一定の直径を有するノズルのスロートは、この内径の少なくとも3倍であり、特に、少なくとも2.4または少なくとも3ミリメートルである第2の長さを有する。
【0084】
アウトレットは、以下を備える。
・アウトレットをカートリッジに接続するためのアウトレット接続要素を備えたカートリッジ接続区画。
【0085】
・アウトレットをホースなどの液体供給源に接続するためのアウトレット供給コネクタを備えたアウトレット供給区画。
【0086】
・アウトレット供給区画は、アウトレット接続要素をアウトレット供給コネクタに接続するアウトレット本体を通る導管を介してカートリッジ接続区画と液体通連通している。
【0087】
・アウトレット供給コネクタは、アウトレットに取り付けられたカートリッジを固定するように設計されている。
【0088】
アウトレット供給コネクタは、アウトレットおよびカートリッジ自体の一部でないさらなる機械的要素が一切ない状態でカートリッジを固定するように設計されている。
【0089】
アウトレットはシャワーヘッドまたは栓とすることができる。
実施形態では、アウトレットは、一体に作製されるか、またはともに不可分に成形または溶接または接着された別個の部品から作製される。
【0090】
実施形態では、アウトレット供給区画内の任意選択のフィルタを除いて、導管はフィルタを含まず、任意選択的にまた、導管内の液体の流れを逆転させる要素も含まない。
【0091】
実施形態では、アウトレットは、アウトレット本体を構成する直管区画と、カートリッジ接続区画を構成する角度付き区画とを含み、カートリッジ接続区画は、カートリッジが60°~120°、特に80°から100°の角度、特に90°の角度でアウトレットに接続されるように配置される。
【0092】
直管区画は、アウトレットを通る層流を可能にし、流れのエネルギー損失を減らすことができる。実施形態では、直管区画は、円形断面を有する円筒管であり、管区画の長さに沿って一定の外径および内径を有する。
【0093】
これにより、アウトレットおよびカートリッジは、必要な要素および材料が最小限であるコンパクトなユニットを形成することができ、したがって、非常に軽量な構造が可能になる。これにより、よりかさばるアウトレットと比較して、アウトレットの取り扱いがより容易になる。
【0094】
実施形態では、カートリッジは、ねじ接続またはねじ接合、スナップ接合、溶接接合、接着接合のうちの1つによってアウトレットに取り付けられる。
【0095】
実施形態では、カートリッジは、組み合わされたアウトレットおよびカートリッジを対応する形状のフックまたはレセプタクルに懸架するすための溝を有するように成形される。
【0096】
実施形態では、カートリッジは、組み合わされたアウトレットおよびカートリッジをレセプタクルに取り付けるための磁石を備える。
【0097】
組み合わされたアウトレットおよびカートリッジをカートリッジの一部として取り付けるためのそのような手段を有することにより、カートリッジを選択された要素(溝もしくは磁石またはその両方)と交換し、またはそれらとともに構成することによって、異なる取り付けモードを提供することが可能である。
【0098】
上記の水ノズルインサート、ノズル装置、カートリッジおよびアウトレットは、好ましくは、以下の減少した流量で動作するように設計された1つまたは複数の霧化器を備えた洗浄装置に適用される。
【0099】
-シャワーのアウトレットについては霧化器あたり(特にノズルセットあたり)6 l/minまたは4l/minまたは2l/min未満の流量。
【0100】
-栓のアウトレットについては霧化器あたり(特にノズルセットあたり)2 l/minまたは1 l/minまたは0.5 l/min未満の流量。
【0101】
アウトレットは、そのような減少した流量と組み合わせて、典型的な主水圧、すなわち、1バール~5バールの範囲、特に1バール~3バール、さらに特には1.5バール~3バールの範囲の圧力で作動するように設計されている。
【0102】
さらなる実施形態は、従属請求項から明らかである。
本発明の主題は、以下を概略的に示す、添付の図面に例示される例示的な実施形態を参照して、以下の本文においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【
図1】従来技術のノズルセットユニットまたはカートリッジの図である。
【
図8】スプレーシェーパ後端内のノズルアウトレットにあるエッジの図である。
【
図9】スプレーシェーパ後端内のノズルアウトレットにあるエッジの図である。
【
図10】スプレーシェーパ後端内のノズルアウトレットにあるエッジの図である。
【
図12】カートリッジとともに使用するためのアウトレットの図である。
【
図13】カートリッジとともに使用するためのアウトレットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0104】
原則的に、図面において同一または機能的に類似の部品には同じ参照符号が付されている。
【0105】
図1は、従来技術のノズルセットユニットまたはカートリッジ8を概略的に示している。その詳細は上に記載されている。このようなカートリッジ8は、以下に説明するノズルインサート10とともに使用するように適合させることができる。
【0106】
図2は、ノズルインサート10を概略的に示している。ノズルインサートは、上記のようにノズルセット本体9に配置または挿入することができる。ノズルセット本体9の輪郭は破線で描かれている。
【0107】
ノズルインサート10は、液体、典型的には水または水ベースの混合物が、入口1から収束区画2、スロート3、発散区画4およびアウトレット6を通ってこの順序において流れるように、ノズルセット本体9内に配置される。アウトレット6を出た後、液体は、第1の液体噴流として、凹部11を通ってスプレーシェーパへと流れることができる。そこで、第1の液体噴流は、第2の液体噴流と衝突し、噴霧を形成することができる。
【0108】
収束区画2において、ノズルの直径は、第1の直径D1から第2の直径D2に減少する。表面は、収束区画2とスロート3との間の滑らかな遷移を呈することができる。
【0109】
D1の典型的な値は、D2の値の2~3倍とすることができる。
収束区画2は、第1の長さL1を有する。
【0110】
L1の典型的な値は、D2の値の1~3倍とすることができる。
スロート3は、第2の長さL2を有する。スロート3では、この長さにわたって、直径は一定のままであり、第2の直径D2に等しい。
【0111】
L2の典型的な値は、D2の値の少なくとも3倍、特にD2の値の少なくとも4倍または少なくとも5倍である。
【0112】
一般にノズルの直径または水力直径と呼ばれるスロート3の直径D2は、理想的な条件下で、すなわち、層流があり、例えば、付着によって引き起こされる、不連続部5およびノズルアウトレット6を出た後の液体の発散がない状態で、ノズル12を出た後の水噴流の直径に対応する。
【0113】
D2の典型的な値は、0.8ミリメートル~1.5ミリメートルとすることができる。
発散区画4は、第3の長さL3を有する。スロート3と発散区画4との間には、不連続部5がある。ここで、ノズルの直径は、第2の直径D2から第3の直径D3まで階段状に増加する。
【0114】
D3の典型的な値は、D2の1.5~2倍または3~4倍とすることができる。
L3の典型的な値は、D2の0~1.5倍、および2~3~4倍とすることができる。
【0115】
不連続部5は、正確に製造されたエッジとして実装することができ、エッジの半径は、例えば、2または1または0.8または0.5または0.3ミリメートルよりも小さい。エッジは、バリがないように製造されることが好ましい。バリは、材料の機械加工時に発生する、典型的には隆起したエッジの形態の材料の変形である。
【0116】
不連続部5は、ノズルアウトレット6と一致することができる。この場合、発散区画4の長さL3はゼロである。
【0117】
ノズルインサート10の一部ではない凹部11は、第4の長さL4および第4の直径D4を有する。
【0118】
D4の典型的な値は、D3の1倍または2倍または3倍とすることができる。
L4の典型的な値は、0ミリメートル~D2の1.5倍および2倍または3倍または4倍以上とすることができる。
【0119】
ノズルインサート10は、金属もしくはセラミック材料、またはノズルセット本体9の材料とは異なるプラスチック材料から製造することができる。金属は、真ちゅう、銅、または銅ベースの合金とすることができる。
【0120】
図3は、カートリッジを長手方向断面において示す。
図4~
図6はその詳細を示し、
図5および
図6は同じ詳細を示しており、
図5は参照符号を示し、
図6はパラメータを示している。
【0121】
カートリッジ8は、ノズルセット本体9を備え、ノズルセット本体9は、ノズル12を備える。この実施形態では、ノズル12は、カートリッジ本体9自体の中に成形されている。ノズルセット本体9は、(図に示されるように)円錐台形として、または(完全な)円錐形として成形することができる。
【0122】
他の実施形態では、ノズル12は、例えば、
図2に示すように、または別の方法でノズルインサート内に成形される。ノズルインサートは、セラミックまたはポリマーまたは金属から作製することができ、ノズルセット本体9に挿入することができ、例えば、圧入、接着または溶接、または、挿入成形によってカートリッジ内に配置されることなどによって、不可分に固定することができる。
【0123】
各ノズル12は、ノズルセット本体9の外側のノズル入口1から上記の不連続部5と一致し得るノズルアウトレット6まで延伸する。ノズル12の長手方向軸が交差する点が、ノズル12によって生成される液体噴流の衝突点である。
【0124】
衝突噴流は噴霧を生成し、噴霧はスプレーシェーパ84によって成形されるように誘導される。スプレーシェーパ84は、円筒形ボリュームとすることができ、典型的には、ふるいまたはガイドベーンなどの障害物がない。
【0125】
スプレーシェーパ84の外端において、スプレーシェーパは円形の流れ誘導エッジ86において終端する。長手方向断面で見ると、流れ誘導エッジ86は、環状エッジ保護区画87に対して鋭角Phi1を有する。エッジ保護区画87において、流れ誘導エッジ86において始まるカートリッジ8の表面は、後方に延在し、環状の凹部を形成し、次いで、カートリッジ8の前面88に向かって前方に延在する。エッジ保護区画87が前面88まで延在する場合、それらは互いに180°~Phi2の角度にある。流れ誘導エッジ86は、前面88に対して凹んでいる。
【0126】
スプレーシェーパ84は、スカート83内に配置されている。スカート83はリング状のボディであり、ノズルセット本体9と一体成形される。スカートは、例えば、カートリッジをアウトレット7に取り付けるときに、カートリッジ8を保持および回転させるための要素を備えることができる。これは、ねじ山82を使用して実行することができる。
【0127】
アウトレット7とカートリッジ8との間に液体が出るのを防ぐように配置された、Oリングなどの図示されていないシール要素があり得る。ねじ山82とノズルセット本体9の上側部分との間で、第1の溝90内に配置された第1のOリングがあり得る。代替的にまたは加えて、スカート83の円周の周りで、第2の溝90’内に配置された第2のOリングがあり得る。
【0128】
図8~
図10は、スプレーシェーパ後端85においてノズルアウトレット6にある、すなわち、スプレーシェーパ後端85の領域においてノズル12の内面とスプレーシェーパ84の内面との間の遷移部にあるエッジを示している。この遷移部を形成するエッジの半径はReである。ノズルアウトレット6および不連続部5を出るときに液体が表面に付着しないようにするために、この直径は小さくなければならない。図において、半径Reは、ノズル12の直径に対して誇張されている。
【0129】
付着によって引き起こされるこの効果は、少なくともエッジに疎水性コーティングを与えるか、または疎水性材料からノズルセット本体9を製造することによって減少させることができる。
【0130】
図8は、スプレーシェーパ後端85の内面に対して直角であるノズル12の長手方向軸を示している。
【0131】
図9は、スプレーシェーパ後端85の内面に対して傾斜している、すなわち90°未満の角度にあるノズル12の長手方向軸を示している。
【0132】
図10は、スプレーシェーパ後端85の内面上に突出または延在する、ノズル12の端部にあるエッジを示している。ノズル12は傾斜しているように示されているが、スプレーシェーパ後端85の内面に対して直角に配置することもできる(図示せず)。
【0133】
典型的なパラメータは以下の通りとすることができる。
・Dn-ノズル径:0.8~1.5または2ミリメートル、好ましくは約1.3ミリメートル。
【0134】
・L2-ノズル12の直径が一定である区画の長さ:Dnの値の少なくとも3倍、特にDnの値の少なくとも4倍または少なくとも5倍。例えば、少なくとも2.4または4または6または8ミリメートル。
【0135】
・Phi_n-ノズルの長手方向軸間の角度:90°+/-20°
・Phi_b-ノズルが出る表面間の角度:90°~130°、特に少なくとも約120°。
【0136】
・Hs-衝突点と前面88との間の距離(スプレーシェーパ84の長さにほぼ等しい):10または12または14または17または20ミリメートル超。特に30または25または22ミリメートル未満。
【0137】
・Hb-スプレーシェーパ後端85と前面88との間の最大距離:14または16または18または21または24ミリメートル超。特に33または28または25ミリメートル未満。
【0138】
・HbとHsとの間の差:2~7ミリメートル、特に3~5ミリメートル、特に3~4ミリメートル。
【0139】
・Ds-スプレーシェーパ84の内径:10~18ミリメートル、好ましくは14ミリメートル。
【0140】
・Dp-エッジ保護区画87の直径:Ds+7~15ミリメートル、特に+9~13ミリメートル、特に+11ミリメートル。
【0141】
・dR-流れ誘導エッジ86と中間表面89が前面88に入る点との間の半径方向距離:少なくとも3ミリメートルまたは少なくとも4ミリメートル、特に少なくとも5ミリメートル。典型的には、dR=(Dp-Ds)/2である。
【0142】
・H1-流れ誘導エッジ86から前面88までの距離:0.3または0.5または1ミリメートル超。特に4または3または2ミリメートル未満。
【0143】
・H2-エッジ保護区画87の凹部から前面88までの最大距離:1または1.5または2ミリメートル超。特に、5または3または2ミリメートル以下。
【0144】
・Phi1-スプレーシェーパ84の内面とエッジ保護区画87の隣接する表面との間の角度:10°~85°、特に35°~72°、特に55°~65°。
【0145】
・Phi2-前面88とエッジ保護区画87の隣接する表面との間の角度の補角:60°+/-20°
・Rf-スプレーシェーパ84の内面とエッジ保護区画87の隣接する表面との間の角度における流れ誘導エッジ86の半径:2ミリメートル未満、特に1ミリメートル未満、特に0.8ミリメートル未満、特に0.5ミリメートル未満、特に0.3ミリメートル未満。
【0146】
・Re-不連続部5またはノズルアウトレット6におけるエッジの半径:2ミリメートル未満、特に1ミリメートル未満、特に0.8ミリメートル未満、特に0.5ミリメートル未満、特に0.3ミリメートル未満。
【0147】
・ノズル内部および/またはスプレーシェーパ内部の表面粗さ:ISO粗さ等級N6に対応する0.8マイクロメートル未満、特にISO粗さ等級N4に対応する0.2マイクロメートル未満。
【0148】
典型的な実施形態は、上記のパラメータ値のうちの1つまたは複数を呈する。
図7は、溝90、90’のない実施形態におけるカートリッジ8の斜視図を示す。
【0149】
図11は、ノズルによって生成される水噴流の断面に対応するノズル断面、および、ノズルセット本体9内のそれらの相対位置を示している(サイズは各対間の距離に対して誇張されている)。断面の各対について、それらの相対位置の結果として、液体噴流のより狭い部分は、スプレーシェーパの後端85のより高い点で、後端のより近くで合流し、より広い部分は、前端またはスプレーシェーパ84のアウトレットのより近くで合流する。これにより、前端の方向に結果として生じる噴霧の運動エネルギーが増加する。
【0150】
図12および
図13は、特に上記のように、カートリッジ8とともに使用するためのアウトレット7を示している。アウトレット7は、アウトレット供給コネクタ71を備えたアウトレット供給区画71bから、アウトレット7をカートリッジ8に接続するためのアウトレット接続要素72を備えたカートリッジ接続区画72bにつながる導管75を備えたアウトレット本体73を備える。
【0151】
図14は、アウトレット7およびカートリッジ8を対応する形状のフックに懸架するための、カートリッジ8に成形された溝78を有する、
図13の詳細を示している。アウトレット7およびカートリッジ8をレセプタクルに取り付けるための代替または追加の手段として、磁石79を、例えば挿入成形によって、カートリッジ8に埋め込むことができる。
【0152】
アウトレットを操作するための典型的な水圧範囲は、2バール以上である。家庭用配管設備は通常、3.5または4バールに制限されている。したがって、可能な圧力範囲は1.5~3バールである。
【0153】
本発明を本実施形態において説明したが、本発明はそれに限定されず、特許請求の範囲内で他の様態でさまざまに具体化および実践されてもよいことを明確に理解されたい。