(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】位置情報導出システム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/42 20060101AFI20240229BHJP
G01S 7/02 20060101ALI20240229BHJP
G01S 7/03 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G01S13/42
G01S7/02 212
G01S7/03 248
(21)【出願番号】P 2021128838
(22)【出願日】2021-08-05
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 一正
(72)【発明者】
【氏名】中田 真吾
(72)【発明者】
【氏名】谷本 尚生
(72)【発明者】
【氏名】岩川 輝
(72)【発明者】
【氏名】藤井 啓太
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第3007151(US,A)
【文献】特開2000-180540(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0204973(US,A1)
【文献】米国特許第7719458(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0106896(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S13/00-13/95
H01Q 3/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方位角用アンテナ(11)および仰角用アンテナ(12,56,62,63,64,70)を有し、検知対象物へ電波を照射し、前記検知対象物からの反射波を受信するアンテナ装置(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10)と、
前記方位角用アンテナにより検知された反射波に基づいて、前記アンテナ装置から前記検知対象物までの距離と前記検知対象物の方位角とを取得する方位角情報取得部(16)と、
前記仰角用アンテナにより検知された反射波に基づいて、前記アンテナ装置から前記検知対象物までの距離と前記検知対象物の仰角とを取得する仰角情報取得部(17)と、
前記方位角情報取得部により得られた距離と、前記仰角情報取得部により得られた距離との距離比較を実行し、同一の値をとる前記検知対象物を同一検知物と判定する判定部(18)と、
前記同一検知物の方位角、仰角、および距離から、前記同一検知物の位置に関連する位置関連情報を導出する導出部(19)と、
を備え
、
前記アンテナ装置は、前記方位角用アンテナおよび前記仰角用アンテナを、同一の回転軸(35)まわりに方位角方向に回転可能とする方位角用回転機構部(13)を有し、
前記仰角用アンテナは、回転不能に固定された反射器(58)と、前記反射器に対して相対的に移動可能な可動式の放射器(57,65)とを有し、
前記仰角用アンテナは、前記回転軸まわりに方位角方向に回転する際に、前記反射器に対して距離を変えながら移動する前記放射器により放射角度を変えて電波を放射することで前記検知対象物の仰角を検知するものである、位置情報導出システム。
【請求項2】
前記導出部は、前記位置関連情報として、前記同一検知物の緯度、経度、および高度を導出する請求項1に記載の位置情報導出システム。
【請求項3】
前記方位角情報取得部は、前記方位角用アンテナにより検知された反射波に基づいて算出される前記検知対象物の速度を取得し、
前記仰角情報取得部は、前記仰角用アンテナにより検知された反射波に基づいて算出される前記検知対象物の速度を取得し、
前記判定部は、前記距離比較に加えてさらに、前記方位角情報取得部により得られた速度と前記仰角情報取得部により得られた速度との速度比較を実行し、前記距離比較と前記速度比較とのいずれにおいても互いに同一の値をとる前記検知対象物を前記同一検知物と判定する請求項1または請求項2に記載の位置情報導出システム。
【請求項4】
前記アンテナ装置が照射する電波はパルス波である請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の位置情報導出システム。
【請求項5】
前記アンテナ装置は、
前記仰角用アンテナを、仰角方向に回転可能とする仰角用回転機構部(14)と、
前記方位角用アンテナおよび前記仰角用アンテナを、同一の回転軸(35)まわりに方位角方向に回転可能とする方位角用回転機構部(13)を有する請求項1~請求項4のうちいずれか一項に記載の位置情報導出システム。
【請求項6】
前記仰角用アンテナが一度に検知できる方位角方向の角度を検知角度R°とし、360°を前記検知角度R°で除算した値を回数値Tとすると、
前記仰角用アンテナは、前記方位角用アンテナが方位角方向に360°検知する間に、前記回数値T以上の回数で仰角方向に電磁波を走査する請求項5に記載の位置情報導出システム。
【請求項7】
前記仰角用アンテナおよび前記方位角用アンテナは、指向性が異なるように仰角方向に姿勢変化が可能な単一の兼用アンテナにより構成されている請求項5に記載の位置情報導出システム。
【請求項8】
前記仰角用アンテナの前記反射器は、凹状をなす放物曲面を有する請求項
1から請求項7のうちいずれか一項に記載の位置情報導出システム。
【請求項9】
前記仰角用アンテナの前記反射器は、固定された半球状をなすレンズ(71)であり、
前記放射器は前記レンズの内側に設けられ、
前記放射器から放射される電波は前記レンズを通ることで収束される請求項
1から請求項7のうちいずれか一項に記載の位置情報導出システム。
【請求項10】
前記方位角用アンテナおよび前記仰角用アンテナのうち少なくともいずれかは、放射器(31,32,57,65)と、凹状の放物曲面を有する反射器(32,34)と、を有するパラボラアンテナである請求項1~請求項
9のうちいずれか一項に記載の位置情報導出システム。
【請求項11】
前記仰角用アンテナおよび前記方位角用アンテナの少なくともいずれかは、複数設けられている請求項1~請求項
10のうちいずれか一項に記載の位置情報導出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、位置情報導出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定の監視領域内の飛行物体を検知し、位置情報を得るための種々のレーダシステムが知られている。例えば、特許文献1に記載される航空管制用レーダシステムは、レーダ局から送信される信号に対して、航空機に搭載されたトランスポンダが位置や高度の情報を返すことで、航空機の位置をセンシングする。このシステムでは、飛行中の航空機の距離と方位との2次元のレーダ系座標を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のシステムでは、レーダ局からの受信信号に対して応答を返すトランスポンダを持たない鳥やドローンについては検知することができない。空域に存在する物体のうち、こうしたトランスポンダを持たない物体についても、正確な位置情報を得られる技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、位置情報導出システムが提供される。この位置情報導出システムは、方位角用アンテナ(11)および仰角用アンテナ(12,56,62,63,64,70)を有し、検知対象物へ電波を照射し、前記検知対象物からの反射波を受信するアンテナ装置(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10)と、前記方位角用アンテナにより検知された反射波に基づいて、前記アンテナ装置から前記検知対象物までの距離と前記検知対象物の方位角とを取得する方位角情報取得部(16)と、前記仰角用アンテナにより検知された反射波に基づいて、前記アンテナ装置から前記検知対象物までの距離と前記検知対象物の仰角とを取得する仰角情報取得部(17)と、前記方位角情報取得部により得られた距離と、前記仰角情報取得部により得られた距離との距離比較を実行し、同一の値をとる前記検知対象物を同一検知物と判定する判定部(18)と、前記同一検知物の方位角、仰角、および距離から、前記同一検知物の位置に関連する位置関連情報を導出する導出部(19)と、を備え、前記アンテナ装置は、前記方位角用アンテナおよび前記仰角用アンテナを、同一の回転軸(35)まわりに方位角方向に回転可能とする方位角用回転機構部(13)を有し、前記仰角用アンテナは、回転不能に固定された反射器(58)と、前記反射器に対して相対的に移動可能な可動式の放射器(57,65)とを有し、前記仰角用アンテナは、前記回転軸まわりに方位角方向に回転する際に、前記反射器に対して距離を変えながら移動する前記放射器により放射角度を変えて電波を放射することで前記検知対象物の仰角を検知するものである。
【0007】
この形態の位置情報導出システムは、方位角用アンテナおよび仰角用アンテナにより検知された反射波に基づいて取得された距離を比較することで、距離が同一である検知対象物を同一検知物であると判定する。そして、同一検知物の方位角、仰角、および距離から、同一検知物の位置関連情報を導出する。これにより、空域に存在する物体のうち、トランスポンダを持たない物体についても、正確な位置情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1実施形態における位置情報導出システムの機能的構成を示す概略ブロック図である。
【
図2】第1実施形態によるアンテナ装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態によるアンテナ装置を模式的に示す平面図である。
【
図4】第1実施形態によるアンテナ装置を模式的に示す正面図である。
【
図5】第1実施形態によるアンテナ装置を模式的に示す側面図である。
【
図6】情報処理部が実行する、位置関連情報の検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態によるアンテナ装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図8】第2実施形態によるアンテナ装置を模式的に示す平面図である。
【
図9】第2実施形態によるアンテナ装置を模式的に示す正面図である。
【
図10】第2実施形態によるアンテナ装置を模式的に示す側面図である。
【
図11】第3実施形態によるアンテナ装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図12】第4実施形態によるアンテナ装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図13】第4実施形態によるアンテナ装置を模式的に示す平面図である。
【
図14】第4実施形態によるアンテナ装置を模式的に示す側面図である。
【
図15】第4実施形態によるアンテナ装置を模式的に示す正面図であり、
図10とは兼用アンテナの姿勢が異なる態様を示す図である。
【
図16】第5実施形態によるアンテナ装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図17】放射器可動制御板を模式的に示す平面図である。
【
図18】放射器の位置における垂直指向性の変化をグラフに示す図である。
【
図19】第6実施形態によるアンテナ装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図20】第7実施形態によるアンテナ装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図21】第8実施形態によるアンテナ装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図22】第9実施形態によるアンテナ装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図23】第10実施形態によるアンテナ装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図24】第11実施形態の位置情報導出システムにおいて、情報処理部が実行する、位置関連情報の検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図25】他の実施形態によるアンテナ装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図26】他の実施形態によるアンテナ装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の複数の実施形態について図面に基づいて説明する。
A.第1実施形態:
A1.位置情報導出システムの構成:
第1実施形態の構成について、
図1~
図6を参照しつつ説明する。第1実施形態の位置情報導出システム100は、例えば、上空の飛行物体を検知するためのレーダシステムである。この位置情報導出システム100は、特に、トランスポンダを持たない鳥やドローンなどの検知対象物(以下、単に「物標」ともいう)についての、位置に関連する位置関連情報を正確に得るためのシステムである。本実施形態では、「位置関連情報」として、物標の「緯度」「経度」「高度」を導出する。
【0010】
図1に示すように、位置情報導出システム100は、アンテナ装置1と、情報処理部20と、を備えている。なお、
図1では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を一部省略している。換言すれば、
図1に図示される各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散、統合して構成することが可能である。
【0011】
アンテナ装置1は、物標へ電波を照射するとともに、物標からの反射波を受信する装置である。アンテナ装置1は、方位角用アンテナ11と、仰角用アンテナ12と、方位角用回転機構部13と、仰角用回転機構部14と、信号生成部15と、を有している。各アンテナ11,12および各回転機構部13,14の詳細構成については、後述する。信号生成部15は、各アンテナ11,12により得られた受信波を受信信号へ変換して信号を生成し、情報処理部20へ出力する。
【0012】
情報処理部20は、方位角情報取得部16と、仰角情報取得部17と、判定部18と、導出部19と、を備えている。情報処理部20は、例えば、CPU、ROM,RAM、その他の入出力ポート等を含むマイクロコンピュータであり、システム100全体を制御する。かかるマイクロコンピュータのCPUが、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、方位角情報取得部16、仰角情報取得部17、判定部18、および導出部19として機能する。
【0013】
方位角情報取得部16は、方位角用アンテナ11により検知された反射波に基づいて、アンテナ装置1から物標までの距離と物標の方位角とを取得する。仰角情報取得部17は、仰角用アンテナ12により検知された反射波に基づいて、アンテナ装置1から物標までの距離と物標の仰角とを取得する。判定部18は、方位角情報取得部16により得られた距離と、仰角情報取得部17により得られた距離との距離比較を実行し、同一の値をとる検知対象物を同一検知物と判定する。導出部19は、同一検知物の方位角、仰角、および距離から、同一検知物の位置に関連する位置関連情報を導出する。本実施形態では、位置関連情報として、物標の「経度、緯度、高度」を導出する。
【0014】
次に、アンテナ装置1の具体的な機械的構成について、
図2~
図5を参照しつつ説明する。なお、本実施形態における「仰角」(
図2に示す矢印A)とは、アンテナ装置1の設置面に対する垂直方向の向きをいい、「方位角」(
図2に示す矢印B)とは、アンテナ装置1の設置面に対する水平方向の向きをいう。
【0015】
図2~
図5の各図に示すように、方位角用アンテナ11は、放射器31(
図4,5参照)と、反射器32と、を有して構成されている。同様に、仰角用アンテナ12は、放射器33(
図3,4,5参照)と、反射器34と、を有して構成されている。反射器32,34は、凹状の放物曲面を有し、放射方向に指向性を付与する。電波受信時には、反射器32,34は、電波を集めて放射器に向けて反射し、放射器31,33は、集められた電波を図示しないコンバータに送る。なお、
図2、および以下の
図7,
図11においては、放射器の図示を省略している。
【0016】
方位角用アンテナ11および仰角用アンテナ12は、方位角方向の回転中心となる同一の回転軸35に、図示しない支持アームやアジャスター、および固定具等を介して取り付けられている。方位角用アンテナ11は、反射器32の放物曲面をおおよそ水平方向に向けた状態で、回転軸に固定されている。仰角用アンテナ12は、回転軸35において、方位角用アンテナ11よりも垂直方向の上方に設けられている。仰角用アンテナ12は、回転軸35の上端部に設けられた仰角用回転機構部14に接続されている。
【0017】
仰角用回転機構部14は、仰角用アンテナ12の仰角を、モータ駆動により制御するユニットである。仰角用回転機構部14の駆動により、仰角用アンテナ12は、反射面がおおよそ水平方向に向いた水平状態と、反射面がおおよそ鉛直方向上向きとなった鉛直状態と、の間で姿勢変化が可能となっている。換言すると、仰角用アンテナ12は、仰角が0度から90度の範囲で首振り動作が可能である。
【0018】
方位角用回転機構部13は、回転軸35の方位角方向への回転(各アンテナ11,12の方位角)を、モータ駆動により制御するユニットである。方位角用回転機構部13は、例えば360度回転可能な図示しない回転台を有する。モータ駆動により、回転台および回転軸35が方位角方向に回転する。
【0019】
各回転機構部13,14は、同軸ケーブル等からなる図示しない制御ケーブルを介して情報処理部20(
図1参照)に接続されている。情報処理部20は、各アンテナ11,12への電流の供給や、各回転機構部13,14への制御信号の送信なども行う。
【0020】
方位角用アンテナ11および仰角用アンテナ12は、方位角用回転機構部13の駆動により、反射器32,34の方位角方向の送受信角度を調整することが可能とされている。方位角方向に360°回転することで、機械的に電磁波を走査して方位角方向の全周囲を検知可能である。
【0021】
また、仰角用アンテナ12は、上記したように仰角用回転機構部14により仰角方向に0°~90°の範囲で回転可能であり、かつ、方位角用回転機構部13により方位角方向に360°回転可能である。これにより、仰角用アンテナ12は、機械的に電磁波を走査して全天を検知可能である。
【0022】
方位角用アンテナ11および仰角用アンテナ12は、指向性アンテナであるパラボラアンテナで構成されている。例として、方位角用アンテナ11は、一度に検知可能な方位角Ampは例えば30°~60°であり、一度に検知可能な仰角Eleは例えば90°である。方位角用アンテナ11および仰角用アンテナ12は、絶対利得が20dBi以上の高利得アンテナであり、パルス波を照射する。パルス波としては、例えば、パルス幅1μS、繰り返し周波数360Hz等である。約1秒間で各アンテナ11,12が方位角方向に1周し、1°ごとに360回パルス波を照射する。方位角用アンテナ11および仰角用アンテナ12は、図示しない発振器からの送信信号を送信波へ変換し、物標へ電波を照射し、物標からの反射波を受信波として受信する。
【0023】
なお、方位角用アンテナ11は、システム100から物標までの距離と方位角とを得るための受信波を検知する。仰角用アンテナ12は、システム100から物標までの距離と仰角とを得るための受信波を検知する。すなわち、本システム100では、方位角と、仰角とを、別個のアンテナ11,12により個別に検知する。
【0024】
A2.物標の位置関連情報の検出について:
次に、上記位置情報導出システム100の情報処理部20が実行する、物標の位置関連情報の検出処理の処理手順について、
図6を参照して説明する。
図6に示すように、まず、ステップ1(以下、ステップを「S」と省略する)において、方位角情報取得部16により、方位角用アンテナ11が受信した受信波から、物標の方位角と距離が取得される。
【0025】
次いで、S2において、仰角情報取得部17により、仰角用アンテナ12が受信した受信波から、物標の仰角と距離とが取得される。なお、
図6のフローチャートでは、便宜状、方位角取得ステップS1と仰角取得ステップS2とを分けて記載した。しかし、実際には、同一の回転軸35まわりの方位角方向の回転と、仰角用回転機構部14による仰角用アンテナ12の首振り動作が同期して行われるため、回転軸35が方位角方向に1回転する間に、方位角検知と仰角検知との両方が略同時に行われる。
【0026】
仰角用アンテナ12が一度に検知できる方位角方向の角度を検知角度R°とし、全方位角360°を検知角度R°で除算した値を回数値Tとする。一例として本実施形態では、検知角度R°は90°であり、回数値Tは4である。仰角用アンテナ12は、方位角用アンテナ11が方位角方向に360°検知する間に、回数値T以上の回数で仰角方向に電磁波を走査する。一例として、仰角用アンテナ12の仰角が、0°(水平状態)から90°(鉛直状態)へ向かう上方への首振り動作による仰角検知が1回目の電磁波走査であり、次に90°から0°へ戻る下方への首振り動作による仰角検知が2回目の電磁波走査である。少なくとも4回以上、首振り動作による仰角検知を行う。
【0027】
なお、一例として、本実施形態では、回転軸35が1回転する間に、この仰角方向の首振り動作が余裕をもって3往復行われる。これにより、回転軸35が1回転する間に、すなわち、方位角情報取得部16が方位角方向に360°を検知する間に、仰角情報取得部17により全天が検知される。
【0028】
S2の後は、S3において、判定部18により、方位角情報取得部16のデータを基に得られた距離と、仰角情報取得部17のデータを基に得られた距離とが比較され、同一の値をとる物標が同一物標と判定される。つまり、このS3において、2つ以上の複数の物標情報から、同一距離の物標が探し出される。次いで、S4において、導出部19により、同一物標の方位角、仰角、および距離から、同一物標の経度、緯度、高度が導出される。以上で、処理を終了する。
【0029】
[効果]
(1)以上説明した第1実施形態の位置情報導出システム100によれば、レーダ局からの受信信号に対して応答を返すトランスポンダを持たない鳥やドローンについての位置関連情報を導出ことができる。すなわち、所定の空域に存在する物体のうち、上記のようにトランスポンダを持たない物標についても、正確な緯度、経度、高度を把握することができる。
【0030】
(2)また、方位角用アンテナ11と仰角用アンテナ12とが、方位角方向の回転中心軸である同一の回転軸35に設けられている。このため、アンテナ装置1をコンパクトかつ簡易に構成することができる。ひいては、システム100全体の構成をコンパクトかつ簡易にできる。
【0031】
(3)上記第1実施形態では、仰角用アンテナ12は、方位角用アンテナ11が方位角方向に360度検知する間に、360°を検知角度R°で除算した回数値T以上の回数で仰角方向に電磁波を走査する。このため、回転軸35が1回転する間に、すなわち、方位角情報取得部16が方位角方向に360°を検知する間に、仰角情報取得部17においても全天を検知することができる。したがって、方位角検知と仰角検知とを、回転軸35が1回転する間に同時に行うことができ、検知時間を短縮できる。また、放射する電磁波としてパルス波を用いているため、さらに、短時間で検知が可能である。
【0032】
(4)上記第1実施形態では、方位角用アンテナ11および仰角用アンテナ12としてパラボラアンテナを採用している。パラボラアンテナは指向性アンテナの中でも利得が高く、より正確に物標を検知することができる。また、パラボラアンテナを機械的に動かして電磁波を走査する簡易な構成であり、電子的に走査する場合と比べて装置構成を簡単にでき、また、検知時間を短縮できる。
【0033】
B.第2実施形態:
次に、本開示の第2実施形態の位置情報導出システムについて、
図7~
図10を参照して説明する。なお、第2実施形態を含む以下説明する各実施形態において、第1実施形態と実質的に同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。また、以下、第2実施形態から第10実施形態までは、アンテナ装置1の変形例であり、アンテナ装置の構成が第1実施形態とは異なる。
【0034】
図7に示すように、第2実施形態のアンテナ装置2は、複数(本実施形態では4つ)の仰角用アンテナを有している。アンテナ装置2は、仰角用アンテナとして、第1アンテナ41、第2アンテナ42、第3アンテナ43、および第4アンテナ44の4つを有している。第1アンテナ41、第2アンテナ42、第3アンテナ43、および第4アンテナ44は、この順で放物曲面を外側に向けた状態で周方向に、かつ、回転軸35の略同一高さ位置に設けられている。第1~第4アンテナ41,42,43,44は、第1実施形態の方位角用アンテナ11と同様の構成であり、放射器33および反射器34をそれぞれ有している。
【0035】
なお、物標の方位角や距離の取得、および、位置関連情報の導出については、上記第1実施形態と同様である。仰角と距離を検知する際における仰角用アンテナの首振り動作は、各アンテナ41,42,43,44の仰角が同じになるように動作させてもよいし、隣り合うアンテナの一方のアンテナの仰角が0°~90°となるように動作するときに、他方のアンテナの仰角が90°~0°となるように交互に動作させてもよい。また、対面する二つのアンテナ(例えば第1アンテナ41と第3アンテナ43、第2アンテナ42と第4アンテナ44)を同期させるなど、種々の形態で実施できる。
【0036】
第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、仰角用アンテナを複数設けることで、一度に検知できる方位角方向の角度を大きく確保できるため、回転軸35が1回転する間における各アンテナ41,42,43,44の首振り動作回数を少なくできる。
【0037】
C.第3実施形態:
次に、本開示の第3実施形態の位置情報導出システムについて、
図11を参照して説明する。
図11に示すように、第3実施形態のアンテナ装置3は、複数(本実施形態では4つ)の仰角用アンテナを有している。アンテナ装置3は、仰角用アンテナとして、第1アンテナ51、第2アンテナ52、第3アンテナ53、および第4アンテナ54の4つを有している。
【0038】
第1アンテナ51、第2アンテナ52、第3アンテナ53、および第4アンテナ54は、この順で反射器34の放物曲面を外側に向けた状態で、仰角方向に接続されて、全体として略矩形状をなす一つの枠状に組み合わせて構成されている。4つのアンテナ51,52,53,54が一体化されたアンテナ体50は、水平方向に延びて設けられる第2回転軸37を中心に、仰角方向に360°回転可能である。第2回転軸37は、鉛直方向に延びて形成される第1回転軸36と直交した状態で第1回転軸36に連結されており、第1回転軸36とは別個に仰角方向へ回転可能である。
【0039】
このアンテナ装置3では、仰角と距離を検知する際に、第1回転軸36の方位角方向への回転に伴い、第2回転軸37の仰角方向への回転によって、全天の仰角が検知される。本実施形態においても二つの回転軸36,37を同期させることで、第1回転軸36が方位角方向に1回転することで、方位角および仰角を検知できる。第3実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0040】
D.第4実施形態:
次に、本開示の第4実施形態の位置情報導出システムについて、
図12~
図15を参照して説明する。
図12~
図15の各図に示すように、第4実施形態の位置情報導出システムが有するアンテナ装置4は、方位角用アンテナと仰角用アンテナとの機能を兼用する単一の兼用アンテナ55を有している。第4実施形態では、第1実施形態におけるアンテナ装置1の方位角用アンテナ11を有さず、第1実施形態と略同様の仰角用アンテナ12が方位角を検知する方位角用アンテナとしても機能するものである。その他の構成については、第1実施形態と同様である。
【0041】
アンテナ装置4は、一つの兼用アンテナ55と、方位角用回転機構部13と、仰角用回転機構部14と、を備えている。このアンテナ装置4では、まず
図13、
図14に示すように、兼用アンテナ55の反射面を略水平方向に向けた状態で、回転軸35を1回転させる。これにより方位角が検知される。次に、
図15に示すように、兼用アンテナ55の反射面を略鉛直方向上に向けた状態から、仰角方向に首振り動作をさせながら回転軸35を1回転させる。これにより、仰角が検知される。
【0042】
すなわち、本実施形態では、指向性が異なるように仰角方向に姿勢変化が可能な一つの兼用アンテナ55を有している。そして、この兼用アンテナ55を、回転軸35まわりに方位角方向に回転する際に仰角方向の姿勢を変化させて電磁波を走査することにより仰角および距離を検知する。
【0043】
第4実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、方位角用アンテナと仰角用アンテナとを別個に設ける必要がなく、兼用アンテナ55が一つで済むため、装置構成を簡単にできる。
【0044】
E.第5実施形態:
次に、本開示の第5実施形態の位置情報導出システムについて、
図16~
図18を参照して説明する。第5実施形態の位置情報導出システムが有するアンテナ装置5は、仰角用アンテナがパラボラアンテナではなく、また、放射器可動制御板59を有している点が上記各実施形態とは異なっている。方位角用アンテナ11の構成については同様である。
【0045】
図16に示すように、第5実施形態のアンテナ装置5が備える仰角用アンテナ56は、可動式の放射器57と、回転不能に固定された反射器58と、を有して構成されている。反射器58は、側面視において、略逆円錐形状をなしており、円形状をなす上面の周縁から、下方先端に向けて徐々に径が小さくなっている。さらに、具体的には、反射器58は、側面視において、側面部位が直線ではなく内側に凹となる曲線形状をなしている。この曲面形状をなす反射器58の側面部位が反射面として機能する。反射器58の中心軸は鉛直上下方向および回転軸35の軸方向と一致している。
【0046】
放射器可動制御板59は、円盤状部材であり、その中心点Cを反射器58の下端と一致させた状態で水平に固定されている。
図17に示すように、放射器可動制御板59には、放射器57の可動ルートとなる溝61が形成されている。本実施形態では、溝61は、平面視において中心点Cの周りに環状にかつ、概ね点対象に形成されている。溝61は、平面視における形状において、4つの頂点を有し、任意の一つの頂点から隣の頂点に至るまでに、径方向内側へ一旦入り込んだのち、再び径方向外側へ向かっている。すなわち、頂点と頂点との間は、中心点C側へ凹んだ形状をなしている。
【0047】
放射器57は、図示しない駆動機構により、回転軸35の回転による方位角方向の回転と同期して、溝61内を移動可能となっている。すなわち、放射器57は、反射器58に対して相対的に移動可能である。方位角用アンテナ11が1回転するとき、放射器57は溝61を1周する。
図18において、放射器57が溝61内の任意の位置P1(
図16において実線で示す放射器57の位置)にあるときの指向性利得を実線で示し、放射器57が位置P1とは異なる位置P2(
図16において破線で示す放射器57の位置)にあるときの指向性利得を破線で示している。
【0048】
図18に示すように、例えば、放射器57が位置P1にあるときと、位置P2にあるときとでは、指向性利得が高い位置が異なっている。すなわち、上記各実施形態に用いた仰角用アンテナ12自体を仰角方向に首振り動作させる構成に代えて、放射器57の位置を反射器58に対して変えることで、電波の放射角度を可変し電波を走査できる。
【0049】
第5実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、仰角用アンテナ56の首振り動作が不要であるため、首振り動作によって仰角方向に電波を走査する構成と比べて、電波の走査時間を例えば半分程度まで短縮でき、同一物標検知までの時間を短縮できる。また、放射器57の駆動を方位角用回転機構部13(第1実施形態の
図4参照)と同一にすれば、仰角用回転機構部14が不要であるため、駆動部を一つ削減でき、システム全体としての耐久性を向上させることができる。
【0050】
F.第6実施形態:
次に、本開示の第6実施形態の位置情報導出システムについて、
図19を参照して説明する。
図19に示すように、第6実施形態の位置情報導出システムが有するアンテナ装置6は、上記第5実施形態のアンテナ装置5に対して、方位角用アンテナ11を複数(本実施形態では2つ)有するとともに、仰角用アンテナ62を構成する可動の放射器57を複数(本実施形態では2つ)有する点が異なる。
【0051】
第6実施形態によれば、上記第5実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、より好適に電波の走査時間を短縮できる。
【0052】
G.第7実施形態:
次に、本開示の第7実施形態の位置情報導出システムについて、
図20を参照して説明する。
図20に示すように、第7実施形態の位置情報導出システムが有するアンテナ装置7は、上記第5実施形態のアンテナ装置5に対して、仰角用アンテナ63の反射器34としてパラボラアンテナを適用した点が異なっている。仰角用アンテナ63の反射器34は、方位角用アンテナ11と同期して方位角方向に回転する。放射器57の可動は、仰角用アンテナ63の反射器34の方位角方向の回転と同期する。
【0053】
第7実施形態によれば、反射器34をパラボラアンテナにより構成した場合でも、第5実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0054】
H.第8実施形態:
次に、本開示の第8実施形態の位置情報導出システムについて、
図21を参照して説明する。
図21に示すように、第8実施形態の位置情報導出システムが有するアンテナ装置8は、第7実施形態のアンテナ装置7に対して、方位角用アンテナ11および仰角用アンテナ63を複数(本実施形態では2つ)有している点が異なっている。仰角用アンテナ63の反射器34は、方位角用アンテナ11と同期して方位角方向に回転する。なお、仰角用アンテナ63の反射器34を、方位角方向の360°をカバーできるように複数配置した場合には、反射器34は回転させなくてもよい。
【0055】
第8実施形態によれば、上記第7実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、反射器34をパラボラアンテナにより構成した場合でも、方位角用アンテナ11および仰角用アンテナ63を複数設けることで、さらに電波の走査時間を短縮することができる。
【0056】
I.第9実施形態:
次に、本開示の第9実施形態の位置情報導出システムについて、
図22を参照して説明する。
図22に示すように、第9実施形態の位置情報導出システムが有するアンテナ装置9は、第8実施形態のアンテナ装置8に対して、パラボラアンテナで構成される2つの仰角用アンテナ63,64が回転軸35に対して非対称に配置されている点が異なっている。例えば、一方の仰角用アンテナ63を構成する放射器57は、放射器可動制御板59により可動を制御し、他方の仰角用アンテナ64を構成する放射器65は図示しない駆動手段により適宜可動ルートを制御する。
【0057】
第9実施形態によれば、上記第8実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、複数の可動する放射器57,65の可動ルートを変えることで、電波の指向性を所望に設定することができる。つまり、高分解能に検知できる角度を変えることができ、システムとしての分解能を向上させることができる。
【0058】
J.第10実施形態:
次に、本開示の第10実施形態の位置情報導出システムについて、
図23を参照して説明する。
図23に示すように、第10実施形態の位置情報導出システムが有するアンテナ装置10は、第6実施形態のアンテナ装置6に対して、仰角用アンテナの構成が異なっている。
【0059】
図23に示すように、第10実施形態の仰角用アンテナ70は、半球状のドーム形状をなす誘導体レンズ71と、放射器72と、を有して構成されている。放射器72は、誘導体レンズ71のドーム内の略中央位置に収容され、回転軸35に対して約60°の角度を持って先端がレンズ71に向くように設けられている。仰角用アンテナ70は、回転軸35の方位角方向への回転に伴い、放射器72を回転させながら、さらに、仰角方向に首振り動作させることで仰角を検知する。誘導体レンズ71に向けて照射された電波は、レンズ71を通すことで収束される。第10実施形態によれば、上記第1実施形態の効果(1)~(3)を奏することができる。
【0060】
k.第11実施形態:
次に、本開示の第11実施形態の位置情報導出システムについて、
図24を参照して説明する。第11実施形態は、上記第1実施形態~第10実施形態で説明したシステムにおいて実行される物標の位置関連情報の検出処理に関する変形例である。
【0061】
第11実施形態の方位角情報取得部16は、方位角用アンテナ11により検知された反射波に基づいて、物標の速度を算出する。また、仰角情報取得部17は、仰角用アンテナ12により検知された反射波に基づいて、物標の速度を算出する。なお、物標と位置情報導出システム100との間の相対速度がゼロでない場合、物標からの反射波の受信信号においてドップラ成分が生じ、ドップラ周波数に応じた位相の変化が現れる。速度は、このドップラ周波数の変動から算出することができる。
【0062】
図24に示すように、S11おいて、方位角情報取得部16により、方位角用アンテナ11が受信した受信波から、物標の方位角と距離と速度が取得される。次いで、S22において、仰角情報取得部17により、仰角用アンテナ12が受信した受信波から、物標の仰角と距離と速度が取得される。
【0063】
次いで、S33において、判定部18により、方位角情報取得部16のデータを基に得られた距離および速度と、仰角情報取得部17のデータを基に得られた距離および速度との速度比較が実行され、同一の値をとる物標が同一物標と判定される。S4の処理については第1実施形態と同様である。
【0064】
本実施形態では、上記のように距離のパラメータに加え、方位角用アンテナ11により検知された反射波に基づいて算出される物標の速度と、仰角用アンテナ12により検知された反射波に基づいて算出される物標の速度とが比較され、同一の値をとる物標が同一物標であると判定される。すなわち、本実施形態では、同一物標を判定する際に、「距離」だけでなく「速度」をパラメータとして加味して、距離比較と速度比較とのいずれにおいても互いに同一の値をとる物標を同一物標と判定している。これにより、例えば同一距離の物標が複数検知されたときなど、「同一距離」に加えて「同一速度」という条件が追加されていることで、正確に同一物標を判定することができる。
【0065】
L.他の実施形態:
(L1)上記各実施形態において、アンテナとして適宜パラボラアンテナを用いたが、電子的に電磁波を走査するアレイアンテナ等、その他の指向性アンテナを用いてもよい。
【0066】
(L2)また、パラボラアンテナとして、
図25に示すように、外形形状が略円形状ではなく、角を落とした四角形状をなすパラボラアンテナ81としてもよい。
図25は、第1実施形態におけるアンテナ装置1に適用した例を示したが、検知可能であれば、その他の実施形態における仰角用アンテナ12,63,64および方位角用アンテナ11に適用してもよい。
【0067】
(L3)上記第3実施形態における変形例として、
図26に示すように、仰角用アンテナを、第1アンテナ51と第3アンテナ53との2つで構成してもよい。
【0068】
(L4)上記各実施形態において、仰角用アンテナ12は90度の範囲内で往復動作を行うものとした。しかし、その角度範囲は、システム100の回転台の設置位置や向き、監視すべき空間の広さ、配置可能なアンテナ装置の台数などに応じて適宜好適な範囲に変更することができる。
【0069】
(L5)上記第1~第3実施形態において、仰角用アンテナ12および方位角用アンテナ11は、方位角方向への回転軸35,36は同一としたが、同一の回転軸35,36になくてもよい。それぞれのアンテナ11,12用に別個の回転軸を有していてもよい。
【0070】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
1…アンテナ装置、11…方位角用アンテナ、12…仰角用アンテナ、13…方位角用回転機構部、14…仰角用回転機構部、16…方位角情報取得部、17…仰角情報取得部、18…判定部、19…導出部、31,33…放射器、32,34…反射器、100…位置情報導出システム