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  • 特許-プロテインバー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】プロテインバー
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/18 20160101AFI20240229BHJP
   A61K 38/01 20060101ALI20240229BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 9/00 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240229BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240229BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240229BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240229BHJP
   A23J 3/04 20060101ALI20240229BHJP
   A23J 3/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
A23L33/18
A61K38/01
A61P21/00
A61K9/00
A61K47/44
A61K47/26
A61K47/10
A23L5/00 M
A23J3/04
A23J3/00 501
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021510065
(86)(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2019070349
(87)【国際公開番号】W WO2020038685
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-05-17
(31)【優先権主張番号】DE102018120420.5
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502084056
【氏名又は名称】ゲリタ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】アンネ-ゾフィー グリューバー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ハーン
(72)【発明者】
【氏名】エルビーラ ラング
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/041684(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0345139(US,A1)
【文献】特表2010-515431(JP,A)
【文献】特開2011-015610(JP,A)
【文献】特開昭52-122400(JP,A)
【文献】特表2006-518198(JP,A)
【文献】特開2011-234654(JP,A)
【文献】日本調理科学会誌,2014年,47(6),pp.287-295
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G,A23J,A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
総量の成形可能な混合物の少なくとも50重量%でタンパク質及び/又はタンパク質加水分解物を含む成形可能な混合物から形成されるプロテインバーであって、成形可能な混合物は、0.9g/cm以上の密度を有し、成形可能な混合物が、タンパク質加水分解物として最大1,700Daの重量平均分子量を有するコラーゲン加水分解物を含むことによって特徴付けられる上記プロテインバー。
【請求項2】
コラーゲン加水分解物の重量平均分子量が800~1,700Daある、請求項1に記載のプロテインバー。
【請求項3】
コラーゲン加水分解物の重量平均分子量が1,000~1,500Daである、請求項2に記載のプロテインバー。
【請求項4】
コラーゲン加水分解物が、コラーゲン含有出発物質の酵素的加水分解によって生成される、請求項1~3のいずれか1項に記載のプロテインバー。
【請求項5】
コラーゲン含有出発物質が、脊椎動物皮膚又は骨から選択される、請求項に記載のプロテインバー。
【請求項6】
コラーゲン含有出発物質が、哺乳動物、鳥類又は魚類の皮膚又は骨から選択される、請求項4に記載のプロテインバー。
【請求項7】
コラーゲン含有出発物質がウシ又はブタの皮膚から選択される、請求項4に記載のプロテインバー。
【請求項8】
コラーゲン加水分解物が、組換え遺伝子発現によって生成される、請求項1~3のいずれか1項に記載のプロテインバー。
【請求項9】
成形可能な混合物中のコラーゲン加水分解物の割合が、5~50重量%範囲である、請求項1~のいずれか1項に記載のプロテインバー。
【請求項10】
成形可能な混合物中のコラーゲン加水分解物の割合が、30~50重量%の範囲である、請求項9に記載のプロテインバー。
【請求項11】
成形可能な混合物が、総量のタンパク質及び/又は成形可能な混合物の少なくとも60重量%タンパク質を含有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のプロテインバー。
【請求項12】
成形可能な混合物が、総量のタンパク質及び/又は成形可能な混合物の少なくとも65重量%のタンパク質を含有する、請求項11に記載のプロテインバー。
【請求項13】
コラーゲン加水分解物に加えて、成形可能な混合物が、乳タンパク質、乳清タンパク質、大豆タンパク質、小麦タンパク質及びそれらの加水分解物、ならびにさらなるコラーゲン加水分解物から選択される1種以上のタンパク質及び/又はタンパク質加水分解物を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のプロテインバー。
【請求項14】
タンパク質及び/又はタンパク質加水分解物の総量に対する、1,700Daまでの重量平均分子量を有するコラーゲン加水分解物の割合が、10~70重量%の範囲である、請求項1~13のいずれか1項に記載のプロテインバー。
【請求項15】
成形可能な混合物がココナッツ油、パーム油、ヒマワリ油及びココアバターから選択される1つ以上の植物性脂肪をさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のプロテインバー。
【請求項16】
成形可能な混合物がグリセロール、ソルビトール及びオリゴフルクトースから選択される1つ以上の糖置換物をさらに含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のプロテインバー。
【請求項17】
成形可能な混合物が、1つ以上の香味料及び/又は甘味料をさらに含有する、請求項1~16のいずれか1項に記載のプロテインバー。
【請求項18】
成形可能な混合物が、1.0g/cm以上の密度を有する、請求項1~17のいずれか1項に記載のプロテインバー。
【請求項19】
成形可能な混合物が、以下:
1,700Daまでの重量平均分子量を有する、5~50重量%コラーゲン加水分解物;
0~45重量%さらなるタンパク質及び/又はタンパク質加水分解物;
5~15重量%の植物性脂肪;
5~15重量%のグリセロール;ならびに
5~15重量%の水
を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載のプロテインバー。
【請求項20】
成形可能な混合物が、1,700Daまでの重量平均分子量を有する、30~50重量%のコラーゲン加水分解物を含む、請求項19に記載のプロテインバー。
【請求項21】
成形可能な混合物が、5~30重量%のさらなるタンパク質及び/又はタンパク質加水分解物を含む、請求項19又は20に記載のプロテインバー。
【請求項22】
プロテインバーが5~100g重量を有する、請求項1~21のいずれか1項に記載のプロテインバー。
【請求項23】
プロテインバーが30~60gの重量を有する、請求項22に記載のプロテインバー。
【請求項24】
プロテインバー用の、0.9g/cm以上の密度を有する成形可能な混合物を製造するための、重量平均分子量が1,700Daまでのコラーゲン加水分解物の使用であって、ここで成形可能な混合物が、総量の成形可能な混合物の少なくとも50重量%でタンパク質及び/又はタンパク質加水分解物を含有する、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質及び/又はタンパク質加水分解物を含む成形可能な混合物から形成されるプロテインバーに関する。
【0002】
特にスポーツ選手の間では、プロテインバーの人気が高まっている。貯蔵可能で輸送が容易な手軽な食物の形で、比較的大量のタンパク質を供給することができる。身体活動と組み合わせると、栄養的には十分な量のタンパク質が供給され、特に筋肉の発達を促進することを目的とする。
【0003】
プロテインバーを作成する際には、いくつかの態様を考慮しなければならず、いくつかの異なる要件は矛盾している。一方、炭水化物、特に糖類はできるだけ避けるように、栄養上の理由から、できるだけタンパク質含量を多くすることが望ましい。一方、配合物は、適切なコンシステンシー、すなわち、異なる成分から形成される混合物は、長期にわたって寸法的に安定なバーがそれから形成され得るように成形可能でなければならない。したがって、このバーは、粘性が低くなく、すぐに壊れたりしないようにする必要がある。
【0004】
さらに重要な態様は、咬んだり咀嚼したりする際のプロテインバーの味や質感である。消費者の最大限の受容性を得るためには、チョコレートバーのような比較可能なトリートメントに関して、プロテインバーの特性は、この点に関して可能な限り近似すべきである。しかし、これまで、特に60重量%を超えるタンパク質含量が非常に高い場合には、この目的を達成することはほとんど不可能であった。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の目的は、混合物が容易に成形可能であり、改良された、特に柔らかいテクスチャを有するプロテインバーを提案することである。
【0006】
この目的は、本発明によれば、鋳型可能な混合物が、タンパク質加水分解物として最大1,700Daの平均分子量を有するコラーゲン加水分解物を含むという点で、導入に記載されたタイプのプロテインバーを用いて達成される。
【0007】
驚くべきことに、この種のコラーゲン加水分解物を添加すると、混合物の成形性が改善され、すなわち、混合物が崩壊しにくくなり、プロテインバーのテクスチャが柔らかくなり、すなわち、摂取中にマウスフィールが改善されることが示された。
【0008】
興味深いことに、グリセロールのような既知の可塑剤、特にタンパク質含有量の高いプロテインバーの場合には、同等の効果を達成することができない。
【0009】
本発明の文脈において、「成形可能な混合物から形成される」という用語は、出発混合物がバーを成形するのに必要な成形性を有するだけでなく、この成形性が、最終生成物として本発明によるプロテインバー中に依然として存在することをも意味する。実際、成形性は、消費中にプロテインバーの所望のコンシステンシー及びテクスチャをもたらし、その結果、本発明によるバーは、特に、クリスプ又は脆いテクスチャを有する他のタンパク質含有スナックとは異なる。
【0010】
本発明による効果を達成するためには、使用されるコラーゲン加水分解物中の1700Da以下の低平均分子量が重要である。他のコラーゲン加水分解物は、食品又は食品補給物中の生物学的活性のために先行技術において既に多く使用されているが、典型的には2000~5000Daの範囲の平均分子量を有する。これらの製品を使用しても、タンパクバーのテクスチャを改善することはできないし、少なくとも無視できる程度まで改善することはできない。
【0011】
好ましくは、コラーゲン加水分解物は、800~1700Da、より好ましくは1000~1500Daの平均分子量を有する。本明細書の文脈において、与えられた全ての数値は、コラーゲン加水分解物の重量平均分子量を指す。これは、特に、較正された標準ペプチドを使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって決定することができる。
【0012】
好ましくは、コラーゲン加水分解物は、コラーゲン含有出発物質の酵素的加水分解によって生成される。この加水分解には、特に微生物又は植物由来のエンドペプチダーゼ又はエキソペプチダーゼが使用される。ペプチダーゼ及び加水分解条件の適切な選択により、それぞれ必要な分子量範囲のコラーゲン加水分解物を生成することができる。
【0013】
コラーゲン含有出発物質は、典型的には、脊椎動物、好ましくは哺乳動物又は鳥類の皮膚又は骨から、特にウシ又はブタの皮膚から選択される。別法として、コラーゲン含有出発物質は、魚、特に冷水又は温水魚の皮膚、骨及び/又は鱗屑から選択することができる。
【0014】
コラーゲン加水分解物は、これらの出発物質からのワンステップ法で、又はゼラチンの中間段階で製造することができ、この場合、A型ゼラチン及びB型ゼラチンの両方を使用することができる。
【0015】
別法として、本発明のプロテインバーのためのコラーゲン加水分解物は、組換え遺伝子発現によって製造することができる。天然コラーゲン配列、特にウシ又はブタ由来のもの、及び遺伝的に改変された細胞(例えば、酵母、細菌又は植物細胞、特にタバコ)におけるそれらの発現を用いることによって、対応するコラーゲン含有原料の加水分解生成物と実質的に同一の生成物を製造することができる。ここでは、分子量の比較的狭い又は正確に予め定められた分布を得ることが可能である。
【0016】
成形可能な混合物中のコラーゲン加水分解物の割合は、5~50重量%、好ましくは30~50重量%の範囲で好ましい。ここで、それは特に、組織を改善するために必要なコラーゲン加水分解物の割合が、成形可能な混合物の残りの組成に依存する。特に、総タンパク質含有量が高い場合には、比較的高い割合のコラーゲン加水分解物もしばしば使用される。他方、コラーゲン加水分解物の栄養学的利点、特に骨及び関節に対するその生物活性効果を利用するために、テクスチャを改善することとは無関係に、コラーゲン加水分解物の割合をさらに増加させることが望ましい場合もある。
【0017】
本発明によるプロテインバーの全タンパク質含有量は広範囲にわたって変化することができ、低分子量のコラーゲン加水分解物の可塑化作用は、比較的低いタンパク質含有量であっても現れる。しかしながら、この効果のために、本発明によれば、コラーゲン加水分解物の本発明による添加なしに、成形可能又は可燃性(硬すぎる)混合物を与えない高タンパク質含有量を得ることも可能である。したがって、本発明の有利な実施形態によれば、成形可能な混合物は、成形可能な混合物の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも65重量%のタンパク質及び/又はタンパク質加水分解物の全量を含有する。
【0018】
上記の定量的な割合は、常に純粋なタンパク質又はタンパク質加水分解物の質量、すなわち、使用される成分中の水分含有量を控除した後の質量を指す。
【0019】
好ましくは、コラーゲン加水分解物に加えて、成形可能な混合物は、1つ以上のタンパク質及び/又はタンパク質加水分解物を含み、特に、高い総タンパク質含量の場合には、好ましい。これらは、特に栄養学的根拠に基づいて選択することもできる。好ましくは、さらなるタンパク質及び/又はタンパク質加水分解物は、乳タンパク質、乳清タンパク質、大豆タンパク質、小麦タンパク質及びそれらの加水分解物、ならびにさらなるコラーゲン加水分解物から選択される。これらは特に、質感を改善する目的で存在するコラーゲン加水分解物よりも高い又は異なる生物活性を有するコラーゲン加水分解物であり、平均分子量は1700Daまでである。
【0020】
タンパク質及び/又はタンパク質加水分解物の総量に関連して本発明に従って提供されるコラーゲン加水分解物の割合は、本発明の好ましい態様において、10~70重量%の範囲である。
【0021】
本発明によるプロテインバーのさらなる好ましい構成要素は、特に、その使用が先行技術から知られている構成要素である。
【0022】
好ましくは、成形可能な混合物は、さらに1種以上の植物性脂肪を含有する。これらは、ココナッツ油、パーム油、ヒマワリ油及びココアバターから選択されることが好ましい。植物油の含有量は、典型的には、成形可能な混合物の5~15重量%の範囲である。
【0023】
栄養学的な考慮のために、プロテインバーは、典型的には、糖、すなわち、単糖及び二糖を含有しないが、これらの使用は、本発明の範囲から除外されない。代わりに、成形可能な混合物について、1つ以上の糖置換物をさらに含むことが好ましい。これらには、特に、種々の糖アルコール及びオリゴフルクトース及びイヌリンのような難消化性多糖が含まれる。本発明によるプロテインバー中の糖の置換又は置換は、好ましくはグリセロール、ソルビトール及びオリゴフルクトースから選択される。
【0024】
グリセロールの使用もまた、本発明によるプロテインバー中の湿潤剤として作用するので好ましい。
【0025】
最後に、成形可能な混合物は、1つ以上の香味料及び/又は甘味料をさらに含むことができる。
【0026】
本発明の文脈では、成形可能な混合物(及びそこから形成されるタンパク棒)の密度は、典型的には、0.9g/cm以上、好ましくは1.0g/cm以上である。
【0027】
本発明によるプロテインバーの好ましい実施形態では、成形可能な混合物は、以下:
成形可能な混合物が、以下:
5~50重量%、好ましくは30~50重量%のコラーゲン加水分解物;
0~45重量%、好ましくは5~30重量%のさらなるタンパク質及び/又はタンパク質加水分解物;
5~15重量%の植物性脂肪;
5~15重量%のグリセロール;ならびに
5~15重量%の水
を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のプロテインバー。
【0028】
上述したように、ここであまりにも定量的な割合は、無水コラーゲン加水分解物、又はさらなるタンパク質及び/又はタンパク質加水分解物を指す。
【0029】
本発明によるプロテインバーは、異なる部分サイズで製造することができる。特に、プロテインバーは5~100g、好ましくは30~60gの重量を有することができる。
【0030】
さらに、本発明は、プロテインバーのための成形可能な混合物を生成するための平均分子量が1700Daまでのコラーゲン加水分解物の使用に関する。
【0031】
本発明による使用の特定の利点及び好ましい実施形態は、本発明によるプロテインバーと共に既に説明されている。
【0032】
本発明のこれらの及びさらなる利点は、以下の実施例により、図面を参照して、より詳細に説明される。個別には、これらは次の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】異なるコラーゲン加水分解物を有する成形可能な混合物の異なるプロテインバーの写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
実施例1
コラーゲン加水分解物の平均分子量がタンパクバーの成形性と集合組織に及ぼす影響を調べるために、使用したコラーゲン加水分解物の種類と表1に示す組成のみが異なる5種類の異なるタンパクバーを成形可能な混合物から作製した。
【0035】
【表1】
【0036】
各々の場合において約10重量%である水分含有量のために、成形可能な混合物中の有効な定量的割合は、コラーゲン加水分解物の約36重量%、及びミルク及びホエータンパク質の約29重量%である。
【0037】
異なる成形可能な混合物A~E中のコラーゲン加水分解物の平均分子量を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
各々の場合において、約9cm×3.5cm×1cmの寸法のプロテインバーA~Eを成形するために、成形可能な混合物A~Eの40gを使用した。したがって、プロテインバーA~Dは、1700Daまでのコラーゲン加水分解物の分子量を有する本発明のプロテインバーであるが、プロテインバーEは比較例である。
【0040】
生産されたプロテインバーA~Eは、65重量%の非常に高い総タンパク質含有量を有する。
【0041】
図1は、5つのプロテインバーA~Eの写真を示し、含有されるコラーゲン加水分解物の平均分子量を示す。この混合物の成形性は、分子量が増加するにつれて減少することが分かる。すなわち、生成されるプロテインバーは、ますます崩壊する。ここで、バーAは、混合物Aの成形性が特に良好な結果として、特に均一な構造を可視的に有する。
【0042】
さらに、Warner-Bratzler剪断装置を用いて、特にStable Micro Systemsのテクスチャ分析器TA.XTplusを用いて、プロテインバーAからEのテクスチャを分析した。このテクスチャ解析の間、サンプルをベースプレート上に置き、一定速度で下方に移動するブレードによって変形又は切断する。これは食品業界における標準的な試験であり、咬まれた時の製品の挙動をシミュレートすることを目的としており、その結果は消費時の感覚印象と相関する。
【0043】
幅7cm及び厚さ0.3cmのブレードを用いて解析を行い、90%の変形が達成されるまで0.7mm/秒の速度で下方に移動した。各プロテインバーについて3回の測定を行い、平均値を求めた。
【0044】
このテクスチャ分析からの測定結果は、プロテインバーの対応する変形に必要な最大作用力(グラム)である。タンパクバーA~Eの結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
これらの結果から、コラーゲン加水分解物の平均分子量とプロテインバーの剛性との間に強い相関関係が明確に示された。口腔内で許容可能なテクスチャの場合、この種の棒での測定値は約5000g未満でなければならない。この値を超えると、プロテインバーは非常に硬くなり、使用できないとみなされる。この要件は、本発明のプロテインバーA~Dによって満たされるが、比較例Eによっては満たされない。
【0047】
したがって、実施例は、平均分子量が1700Daまでのコラーゲン加水分解物の本発明による添加により、消費者に受け入れられる柔らかい質感を有する、高い総タンパク質含量を有するプロテインバーを製造することが可能になることを示す。
【0048】
実施例2
実施例1のプロテインバーの成形可能な混合物は実験室スケールで製造されたが、各バッチ300gでは、本実施例は小バッチシステムでのプロテインバーの製造を示す。このため、平均分子量1200Daのコラーゲン加水分解物を有する成形可能な混合物を、表4に示す組成の3000gのバッチで製造した。
【0049】
【表4】
【0050】
それぞれの水分含有量を考慮すると、タンパク質及び/又はタンパク質加水分解物の有効定量割合は、成形可能な混合物の約66重量%である。
【0051】
タンパク質含有量が高いにもかかわらず、この混合物を小バッチシステムで良好な成形性でプロテインバーに作動させることができた。これは、本発明によるプロテインバーが、実際の製造条件下で、高いタンパク質含量で製造できることを示す。
【0052】
実施例3
2種類の異なるコラーゲン加水分解物を用いて、実験室スケール(バッチサイズ300g)で、少し小さい総タンパク質含量を有するプロテインバーを作製した。成形可能な混合物の組成を表5に示す。
【0053】
【表5】
【0054】
水分含量を差し引いた後、この例におけるタンパク質及び/又はタンパク質加水分解物の有効総量は、約51重量%である。
【0055】
上記製剤では、成形可能な混合物F(比較例)に平均分子量3000Daのコラーゲン加水分解物を用い、本発明の成形可能な混合物Gには平均分子量1200Daのコラーゲン加水分解物を用いた。
【0056】
両方の混合物について、バーの製造中のそれぞれの成形性を評価し、(実施例1に記載されているように)テクスチャ分析を行い、成形可能な混合物の密度を決定した。結果を表6に示す。
【0057】
【表6】
【0058】
この実施例は、比較的低い総タンパク質含有量で、より高い分子量のコラーゲン加水分解物を使用する場合でさえ、許容可能な成形性及びテクスチャを有するプロテインバーを製造することが可能であることを示す。しかし、この場合においても、低分子量のコラーゲン加水分解物が本発明に従って使用されれば、これらの特性はなお顕著に改善され得る。
図1