(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】データ処理システム、データ処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20240229BHJP
【FI】
G06Q40/08
(21)【出願番号】P 2021512072
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020014317
(87)【国際公開番号】W WO2020203886
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2019067565
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501346238
【氏名又は名称】佐藤 通洋
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【氏名又は名称】藤井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 通洋
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/133419(WO,A1)
【文献】特開2002-109228(JP,A)
【文献】特開2012-103762(JP,A)
【文献】国際公開第2018/131480(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業の資金を調達するための証券であって、
前記事業の内容と、
前記証券を発行する発行法人と、
前記証券の保有と引換えに前記発行法人に支払われる額面価格と、
前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に、前記証券の発行に関与した少なくとも1つの第三者により証券保有者に払い戻される金額を定める保証率であって、前記額面価格に対する割合で定義された前記保証率と、
前記証券保有者へ定期的に支払われる利息を定める利率であって、前記額面価格に対する又は前記保証率で保証された保証部分に対する割合で定義された前記利率と、
前記証券により資金提供が行われた事業が利益を生み始めた後に、前記証券保有者に還元される、前記利益の少なくとも一部である配当であって、前記保証部分以外の非保証部分に対して付与される前記配当と
を含む証券の前記証券保有者が加入する保険の保険料を算出するデータ処理システムであって、
前記保険は、前記証券の前記非保証部分に対する保険であって、
前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥るリスクに従って前記証券保有者が負担する前記保険料を算出する処理を行う算出部であって、前記保険料として、前記利息又は前記配当の少なくとも一部を徴収する前記算出部と、
前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥ったかを判定し、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に保険金を前記証券保有者に対して支払うようにする支払判定部と
、
前記証券の発行前において、前記証券を発行して資金調達をする事業の事業計画をウェブページで公開する情報公開部と、を備え
、
前記情報公開部は、前記ウェブページの閲覧数又は前記ウェブページが閲覧された閲覧時間を管理する処理を行い、
前記算出部は、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料を低く設定する処理を行い、
前記算出部は、前記閲覧数又は前記閲覧時間と前記保険料を算出するための係数とを関連付けたテーブルであって、前記係数が、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料が低くなるように設定されている前記テーブルを備えている
データ処理システム。
【請求項2】
前記保険は、複数の事業の各々に対して発行された前記証券を集めたグループに対する保険であって、前記グループを構成する何れかの証券に関し、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に、当該証券の前記証券保有者に保険金が支払われる保険である
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記情報公開部は、前記証券の発行後において、所定期間毎に事業状況を前記ウェブページにおいて公開し、
前記所定期間毎に前記ウェブページの閲覧数又は前記ウェブページが閲覧された閲覧時間を管理し、
前記算出部は、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料を低く設定する処理を行う
請求項
1に記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記ウェブページにおいて、前記事業計画に対する賛否を問うアンケートを実施する処理を行うアンケート部を
更に備え、
前記算出部は、前記事業計画に対して肯定的回答数が多い又は評判が高いほど、前記保険料を低く設定する処理を行う
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項5】
前記情報公開部は、前記証券の発行後において、所定期間毎に事業状況を前記ウェブページにおいて公開し、
前記アンケート部は、所定期間毎に前記ウェブページにおいて、前記事業の評判に関するアンケートを実施する処理を行い、
前記算出部は、前記評判が高いほど、前記保険料を低く設定する処理を行う
請求項
4に記載のデータ処理システム。
【請求項6】
前記算出部は、前記アンケートの結果と前記保険料を算出するための係数とを関連付けたテーブルであって、前記係数が、前記肯定的回答数又は前記評判が高いほど、前記保険料が低くなるように設定されている前記テーブルを備えている
請求項
4又は
5に記載のデータ処理システム。
【請求項7】
前記事業計画が企画競争入札によって応札された者によって作成された企画書の企画提案内容に基づいて作成されている場合、前記算出部は、前記保険料を低く設定する係数を乗じる処理を行う
請求項
1又は
4に記載のデータ処理システム。
【請求項8】
事業者コンピュータを更に備え、
前記事業者コンピュータは、事業に関するデータファイルの第1ハッシュ値を付与し、
前記情報公開部は、提供されたデータファイルの第2ハッシュ値を算出し、前記第1ハッシュ値と前記第2ハッシュ値と比較し、一致したときに、前記データファイルの情報を公表する
請求項
1ないし
7のうち何れか1項に記載のデータ処理システム。
【請求項9】
総合情報管理部を更に備え、
前記情報公開部は、前記閲覧数又は前記閲覧時間を含むデータを電子署名を付加して前記総合情報管理部に提供し、
前記総合情報管理部は、前記保険料を算出するため前記算出部に前記閲覧数又は前記閲覧時間を含むデータを提供する
請求項
1又は2に記載のデータ処理システム。
【請求項10】
総合情報管理部を
更に備え、
前記情報公開部は、前記アンケートの結果を含むデータを電子署名を付加して前記総合情報管理部に提供し、
前記総合情報管理部は、前記保険料を算出するため前記算出部に前記アンケートの結果を含むデータを提供する
請求項
4ないし
6のうち何れか1項に記載のデータ処理システム。
【請求項11】
総合情報管理部を更に備え、
事業者コンピュータは、入札に関する情報を含むデータを電子署名を付加して前記総合情報管理部に提供し、
前記総合情報管理部は、前記保険料を算出するため前記算出部に前記入札に関する情報を含むデータを提供する
請求項
7に記載のデータ処理システム。
【請求項12】
前記保険料及び前記保険料算出のために使用する情報がブロックチェーンに格納される
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項13】
前記保険料算出のために使用する情報は、前記証券を発行して資金調達をする事業の事業計画、事業状況、事業計画又は事業状況を公開したウェブページの閲覧数又は閲覧時間、前記事業計画に対する賛否を問うアンケート結果、及び、前記事業の評判に関するアンケート結果である
請求項
12に記載のデータ処理システム。
【請求項14】
事業の資金を調達するための証券であって、
前記事業の内容と、
前記証券を発行する発行法人と、
前記証券の保有と引換えに前記発行法人に支払われる額面価格と、
前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に、前記証券の発行に関与した少なくとも1つの第三者により証券保有者に払い戻される金額を定める保証率であって、前記額面価格に対する割合で定義された前記保証率と、
前記証券保有者へ定期的に支払われる利息を定める利率であって、前記額面価格に対する又は前記保証率で保証された保証部分に対する割合で定義された前記利率と、
前記証券により資金提供が行われた事業が利益を生み始めた後に、前記証券保有者に還元される、前記利益の少なくとも一部である配当であって、前記保証部分以外の非保証部分に対して付与される前記配当と
を含む証券の前記証券保有者が加入する保険の保険料を算出するデータ処理方法であって、
前記保険は、前記証券の前記非保証部分に対する保険であって、
算出部が、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥るリスクに従って前記証券保有者が負担する前記保険料を算出する処理を行い、前記保険料として、前記利息又は前記配当の少なくとも一部を徴収する処理を行い、
支払判定部が、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥ったかを判定し、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に保険金を前記証券保有者に対して支払う処理を行
い、
情報公開部が、前記証券の発行前において、前記証券を発行して資金調達をする事業の事業計画をウェブページで公開し、前記ウェブページの閲覧数又は前記ウェブページが閲覧された閲覧時間を管理する処理を行い、
前記算出部が、前記閲覧数又は前記閲覧時間と前記保険料を算出するための係数とを関連付けたテーブルであって、前記係数が、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料が低くなるように設定されている前記テーブルを使って、前記証券保有者が負担する前記保険料を算出する処理を行う
データ処理方法。
【請求項15】
事業の資金を調達するための証券であって、
前記事業の内容と、
前記証券を発行する発行法人と、
前記証券の保有と引換えに前記発行法人に支払われる額面価格と、
前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に、前記証券の発行に関与した少なくとも1つの第三者により証券保有者に払い戻される金額を定める保証率であって、前記額面価格に対する割合で定義された前記保証率と、
前記証券保有者へ定期的に支払われる利息を定める利率であって、前記額面価格に対する又は前記保証率で保証された保証部分に対する割合で定義された前記利率と、
前記証券により資金提供が行われた事業が利益を生み始めた後に、前記証券保有者に還元される、前記利益の少なくとも一部である配当であって、前記保証部分以外の非保証部分に対して付与される前記配当と
を含む証券の前記証券保有者が加入する保険の保険料を算出するデータ処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記保険は、前記証券の前記非保証部分に対する保険であって、
算出部が、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥るリスクに従って前記証券保有者が負担する前記保険料を算出する処理を行い、前記保険料として、前記利息又は前記配当の少なくとも一部を徴収する処理を行い、
支払判定部が、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥ったかを判定し、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に保険金を前記証券保有者に対して支払う処理を行
い、
情報公開部が、前記証券の発行前において、前記証券を発行して資金調達をする事業の事業計画をウェブページで公開し、前記ウェブページの閲覧数又は前記ウェブページが閲覧された閲覧時間を管理する処理を行い、
前記算出部が、前記閲覧数又は前記閲覧時間と前記保険料を算出するための係数とを関連付けたテーブルであって、前記係数が、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料が低くなるように設定されている前記テーブルを使って、前記証券保有者が負担する前記保険料を算出する処理を行う
手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
事業の資金を調達するための証券であって、
前記事業の内容と、
前記証券を発行する発行法人と、
前記証券の保有と引換えに前記発行法人に支払われる額面価格と、
前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に、前記証券の発行に関与した少なくとも1つの第三者により証券保有者に払い戻される金額を定める保証率であって、前記額面価格に対する割合で定義された前記保証率と、
前記証券保有者へ定期的に支払われる利息を定める利率であって、前記額面価格に対する又は前記保証率で保証された保証部分に対する割合で定義された前記利率と、
前記証券により資金提供が行われた事業が利益を生み始めた後に、前記証券保有者に還元される、前記利益の少なくとも一部である配当であって、前記保証部分以外の非保証部分に対して付与される前記配当と
を含む証券の前記保証率に従った保証部分を前記証券保有者に対して支払う保証人が加入する保険の保険料を算出するデータ処理システムであって、
前記保険は、前記保証率により算出される保証金の支払に対する保険であって、
前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥るリスクに従って前記保証人が負担する前記保険料を算出する処理を行う算出部と、
前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥ったかを判定し、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に保険金を前記保証人に対して支払う支払判定部と
、
前記証券の発行前において、前記証券を発行して資金調達をする事業の事業計画をウェブページで公開する情報公開部と、を備え
、
前記情報公開部は、前記ウェブページの閲覧数又は前記ウェブページが閲覧された閲覧時間を管理する処理を行い、
前記算出部は、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料を低く設定する処理を行い、
前記算出部は、前記閲覧数又は前記閲覧時間と前記保険料を算出するための係数とを関連付けたテーブルであって、前記係数が、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料が低くなるように設定されている前記テーブルを備えている
データ処理システム。
【請求項17】
事業の資金を調達するための証券であって、
前記事業の内容と、
前記証券を発行する発行法人と、
前記証券の保有と引換えに前記発行法人に支払われる額面価格と、
前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に、前記証券の発行に関与した少なくとも1つの第三者により証券保有者に払い戻される金額を定める保証率であって、前記額面価格に対する割合で定義された前記保証率と、
前記証券保有者へ定期的に支払われる利息を定める利率であって、前記額面価格に対する又は前記保証率で保証された保証部分に対する割合で定義された前記利率と、
前記証券により資金提供が行われた事業が利益を生み始めた後に、前記証券保有者に還元される、前記利益の少なくとも一部である配当であって、前記保証部分以外の非保証部分に対して付与される前記配当と
を含む証券の前記保証率に従った保証部分を前記証券保有者に対して支払う保証人が加入する保険の保険料を算出するデータ処理方法であって、
前記保険は、前記保証率により算出される保証金の支払に対する保険であって、
算出部が、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥るリスクに従って前記保証人が負担する前記保険料を算出する処理を行い、
支払判定部が、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥ったかを判定し、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に保険金を前記保証人に対して支払う処理を行
い、
情報公開部が、前記証券の発行前において、前記証券を発行して資金調達をする事業の事業計画をウェブページで公開し、前記ウェブページの閲覧数又は前記ウェブページが閲覧された閲覧時間を管理する処理を行い、
前記算出部が、前記閲覧数又は前記閲覧時間と前記保険料を算出するための係数とを関連付けたテーブルであって、前記係数が、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料が低くなるように設定されている前記テーブルを使って、前記保証人が負担する前記保険料を算出する処理を行う
データ処理方法。
【請求項18】
事業の資金を調達するための証券であって、
前記事業の内容と、
前記証券を発行する発行法人と、
前記証券の保有と引換えに前記発行法人に支払われる額面価格と、
前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に、前記証券の発行に関与した少なくとも1つの第三者により証券保有者に払い戻される金額を定める保証率であって、前記額面価格に対する割合で定義された前記保証率と、
前記証券保有者へ定期的に支払われる利息を定める利率であって、前記額面価格に対する又は前記保証率で保証された保証部分に対する割合で定義された前記利率と、
前記証券により資金提供が行われた事業が利益を生み始めた後に、前記証券保有者に還元される、前記利益の少なくとも一部である配当であって、前記保証部分以外の非保証部分に対して付与される前記配当と
を含む証券の前記保証率に従った保証部分を前記証券保有者に対して支払う保証人が加入する保険の保険料を算出するデータ処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記保険は、前記保証率により算出される保証金の支払に対する保険であって、
算出部が、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥るリスクに従って前記保証人が負担する前記保険料を算出する処理を行い、
支払判定部が、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥ったかを判定し、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に保険金を前記保証人に対して支払う処理を行
い、
情報公開部が、前記証券の発行前において、前記証券を発行して資金調達をする事業の事業計画をウェブページで公開し、前記ウェブページの閲覧数又は前記ウェブページが閲覧された閲覧時間を管理する処理を行い、
前記算出部が、前記閲覧数又は前記閲覧時間と前記保険料を算出するための係数とを関連付けたテーブルであって、前記係数が、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料が低くなるように設定されている前記テーブルを使って、前記保証人が負担する前記保険料を算出する処理を行う
手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項19】
事業の資金を調達するための証券であって、
前記事業の内容と、
前記証券を発行する発行法人と、
前記証券の保有と引換えに前記発行法人に支払われる額面価格と、
前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に、前記証券の発行に関与した少なくとも1つの第三者により証券保有者に払い戻される金額を定める保証率であって、前記額面価格に対する割合で定義された前記保証率と、
前記証券保有者へ定期的に支払われる利息を定める利率であって、前記額面価格に対する又は前記保証率で保証された保証部分に対する割合で定義された前記利率と、
前記証券により資金提供が行われた事業が利益を生み始めた後に、前記証券保有者に還元される、前記利益の少なくとも一部である配当であって、前記保証部分以外の非保証部分に対して付与される前記配当と
を含む証券を用いて資金調達を行った事業の事業者が加入する保険の保険料を算出するデータ処理システムであって、
前記保険は、前記事業者の収益を保証する保険であって、
前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥るリスク、又は、予想収益が得られないリスクに従って前記事業者が負担する前記保険料を算出する処理を行う算出部と、
前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥ったか、又は、前記予想収益を得られたかを判定し、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合、又は、予想収益が得られなかった場合に、保険金を前記事業者に対して支払う支払判定部と
、
前記証券の発行前において、前記証券を発行して資金調達をする事業の事業計画をウェブページで公開する情報公開部と、を備え
、
前記情報公開部は、前記ウェブページの閲覧数又は前記ウェブページが閲覧された閲覧時間を管理する処理を行い、
前記算出部は、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料を低く設定する処理を行い、
前記算出部は、前記閲覧数又は前記閲覧時間と前記保険料を算出するための係数とを関連付けたテーブルであって、前記係数が、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料が低くなるように設定されている前記テーブルを備えている
データ処理システム。
【請求項20】
事業の資金を調達するための証券であって、
前記事業の内容と、
前記証券を発行する発行法人と、
前記証券の保有と引換えに前記発行法人に支払われる額面価格と、
前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に、前記証券の発行に関与した少なくとも1つの第三者により証券保有者に払い戻される金額を定める保証率であって、前記額面価格に対する割合で定義された前記保証率と、
前記証券保有者へ定期的に支払われる利息を定める利率であって、前記額面価格に対する又は前記保証率で保証された保証部分に対する割合で定義された前記利率と、
前記証券により資金提供が行われた事業が利益を生み始めた後に、前記証券保有者に還元される、前記利益の少なくとも一部である配当であって、前記保証部分以外の非保証部分に対して付与される前記配当と
を含む証券を用いて資金調達を行った事業の事業者が加入する保険の保険料を算出するデータ処理方法であって、
前記保険は、前記事業者の収益を保証する保険であって、
算出部が、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥るリスク、又は、予想収益が得られないリスクに従って前記事業者が負担する前記保険料を算出する処理を行い、
支払判定部が、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥ったか、又は、前記予想収益を得られたかを判定し、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合、又は、予想収益が得られなかった場合に、保険金を前記事業者に対して支払う処理を行
い、
情報公開部が、前記証券の発行前において、前記証券を発行して資金調達をする事業の事業計画をウェブページで公開し、前記ウェブページの閲覧数又は前記ウェブページが閲覧された閲覧時間を管理する処理を行い、
前記算出部が、前記閲覧数又は前記閲覧時間と前記保険料を算出するための係数とを関連付けたテーブルであって、前記係数が、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料が低くなるように設定されている前記テーブルを使って、前記事業者が負担する前記保険料を算出する処理を行う
データ処理方法。
【請求項21】
事業の資金を調達するための証券であって、
前記事業の内容と、
前記証券を発行する発行法人と、
前記証券の保有と引換えに前記発行法人に支払われる額面価格と、
前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に、前記証券の発行に関与した少なくとも1つの第三者により証券保有者に払い戻される金額を定める保証率であって、前記額面価格に対する割合で定義された前記保証率と、
前記証券保有者へ定期的に支払われる利息を定める利率であって、前記額面価格に対する又は前記保証率で保証された保証部分に対する割合で定義された前記利率と、
前記証券により資金提供が行われた事業が利益を生み始めた後に、前記証券保有者に還元される、前記利益の少なくとも一部である配当であって、前記保証部分以外の非保証部分に対して付与される前記配当と
を含む証券を用いて資金調達を行った事業の事業者が加入する保険の保険料を算出するデータ処理方法であって、
前記保険は、前記事業者の収益を保証する保険であって、
算出部が、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥るリスク、又は、予想収益が得られないリスクに従って前記事業者が負担する前記保険料を算出する処理を行い、
支払判定部が、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥ったか、又は、前記予想収益を得られたかを判定し、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合、又は、予想収益が得られなかった場合に、保険金を前記事業者に対して支払う処理を行
い、
情報公開部が、前記証券の発行前において、前記証券を発行して資金調達をする事業の事業計画をウェブページで公開し、前記ウェブページの閲覧数又は前記ウェブページが閲覧された閲覧時間を管理する処理を行い、
前記算出部が、前記閲覧数又は前記閲覧時間と前記保険料を算出するための係数とを関連付けたテーブルであって、前記係数が、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料が低くなるように設定されている前記テーブルを使って、前記事業者が負担する前記保険料を算出する処理を行う
手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、投資家などが加入する保険の保険料を算出するデータ処理システム、データ処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、民間資金調達用の証券、特に、インフラ整備等の公共事業に民間の資金を投下するために発行される民間資金調達用の証券が記載されている。この証券は、債務部分と投資部分とを備え、更に、保証(0%<保証率<100%)が付けられている。この証券は、償還されるとき、額面通りの金額が払い戻される。また、通常の債券と同様、利子が支払われ、また、株式のように、業績に応じて配当が支払われる。一方で、事業者が利息支払不能や債務不履行に陥った場合にも、保証人によって、全額ではないものの投資家に対して保証された金額が払い戻される。特許文献1のシステムでは、事業を継続的に行うため、証券発行後、所定期間が経過したときに、証券を別の種類の証券に変換したり、新たな証券を発行するための作業を容易に発行するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような証券を使用して資金調達を効率的に行われるようにするには、保証されていない非保証部分に対しても証券保有者に対する投資資金の安全性を高める必要がある。
【0005】
また、特許文献1に記載されたような証券には、事業者が利息支払不能や債務不履行に陥った場合に、保証部分を、全額ではないものの投資家に対して保証された保証金を支払う保証人が存在する。事業者が利息支払不能や債務不履行に陥った場合には、保証人が証券保有者に対する保証金の支払を確実に実行できるようにする必要がある。
【0006】
更に、事業者も事業が滞った場合に、収益が保証されれば、事業者も当該証券を使って資金調達を行い易くなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の目的は、証券の非保証障部分に対する投資家が加入する保険の保険料を種々の状況を反映させて容易に算出することを可能とした新規なデータ処理システム、データ処理方法、及び、プログラムを提供することにある。
【0008】
また、本開示の目的は、証券の保証障部分に対する保証人が加入する保険の保険料を種々の状況を反映させて容易に算出することを可能としたデータ処理システム、データ処理方法、及び、プログラムを提供することにある。
【0009】
更に、本開示の目的は、事業者の収益を保証する保険の保険料を種々の状況を反映させて容易に算出することを可能としたデータ処理システム、データ処理方法、及び、プログラムを提供することにある。
【0010】
本開示の一態様によれば、事業の資金を調達するための証券の保険料を算出するシステムが提供される。この証券は、前記事業の内容と、前記証券を発行する発行法人と、前記証券の保有と引換えに前記発行法人に支払われる額面価格と、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に、前記証券の発行に関与した少なくとも1つの第三者により証券保有者に払い戻される金額を定める保証率であって、前記額面価格に対する割合で定義された保証率と、前記証券保有者へ定期的に支払われる利息を定める利率であって、前記額面価格に対する又は前記保証率で保証された保証部分に対する割合で定義された利率と、前記証券により資金提供が行われた事業が利益を生み始めた後に、前記証券保有者に還元される、前記利益の少なくとも一部である配当であって、前記保証部分以外の非保証部分に対して付与される配当とを含む。そして、データ処理システムは、前記証券の前記非保証部分に対する保険の保険料を算出する。データ処理システムは、具体的に、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥るリスクに従って前記証券保有者が負担する前記保険料を算出する処理を行う算出部であって、前記保険料として、前記利息又は前記配当の少なくとも一部を徴収する算出部と、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥ったかを判定し、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に保険金を前記証券保有者に対して支払う支払判定部とを備えている。上記構成によれば、証券保有者が加入する前記証券における非保証部分に対する保険を設けることができる。そして、前記保険料には、利息又は前記配当の少なくとも一部を充当することができる。
【0011】
本開示の一態様によれば、前記保険は、複数の事業の各々に対して発行された前記証券を集めたグループに対する保険であって、前記グループを構成する何れかの証券に関し、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に、当該証券の前記証券保有者に保険金が支払われる保険であってもよい。すなわち、前記保険は、証券毎(事業毎)の保険であってもよいし、証券毎(事業毎)を集めたグループで保険を構成するようにしてもよい。前記グループで保険を構成する場合は、保険加入者の人数が大きくなり、リスクも分散できるため、保険料を低く設定することができる。
【0012】
本開示の一態様によれば、前記データ処理システムは、前記証券の発行前において、前記証券を発行して資金調達をする事業の事業計画をウェブページで公開する情報公開部を備え、前記情報公開部は、前記ウェブページの閲覧数又は前記ウェブページが閲覧された閲覧時間を管理する処理を行い、前記算出部は、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料を低く設定する処理を行うようにしてもよい。閲覧数が多い又は閲覧時間が長い証券は、それだけ注目度や人気が高く、そのことはその証券で調達される事業についての注目度や人気が高く、事業が滞るリスクも低くなると言える。そこで、算出部は、ウェブページの閲覧数や閲覧時間を考慮して保険料を設定することができ、閲覧数の多いほど又は閲覧時間が長いほど保険料を低く設定することができる。
【0013】
本開示の一態様によれば、前記情報公開部は、前記証券の発行後において、所定期間毎に事業状況を前記ウェブページにおいて公開し、前記所定期間毎に前記ウェブページの閲覧数又は前記ウェブページが閲覧された閲覧時間を管理し、前記算出部は、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料を低く設定する処理を行うようにしてもよい。証券の発行後であっても、ウェブページの閲覧数が多い又は閲覧時間が長い証券は、それだけ注目度や人気が高く、事業が滞るリスクも低くなると言える。そこで、算出部は、ウェブページの閲覧数や閲覧時間を考慮して保険料を設定することができ、閲覧数の多いほど保険料を低く設定することができる。
【0014】
本開示の一態様によれば、前記算出部は、前記閲覧数又は前記閲覧時間と前記保険料を算出するための係数とを関連付けたテーブルであって、前記係数が、前記閲覧数が多いほど又は前記閲覧時間が長いほど、前記保険料が低くなるように設定されている前記テーブルを備えているようにしてもよい。これによれば、テーブルを参照することで、閲覧数や閲覧時間に応じた係数を選択して容易に保険料を算出することができる。
【0015】
本開示の一態様によれば、前記データ処理システムは、前記証券の発行前において、前記証券を発行して資金調達をする事業の事業計画をウェブページで公開する情報公開部と、前記ウェブページにおいて、前記事業計画に対する賛否を問うアンケートを実施する処理を行うアンケート部とを備えるようにしてもよい。この場合、前記算出部は、前記事業計画に対して肯定的回答数が多い又は評判が高いほど、前記保険料を低く設定する処理を行うようにしてもよい。
【0016】
前記アンケート部は、前記証券を発行して資金調達をする事業の賛否を問うアンケートを事前に実施する処理を行うことで、地域住民の事業に対する意見を取得することができる。前記アンケートの結果、事業に対する肯定的な意見が多いときには、その事業が滞るリスクが低いと言える。前記算出部は、アンケートの結果を考慮して保険料を設定することができ、前記肯定的な意見ほど保険料を低く設定することができる。
【0017】
本開示の一態様によれば、前記情報公開部は、前記証券の発行後において、所定期間毎に事業状況を前記ウェブページにおいて公開し、前記アンケート部は、所定期間毎に前記ウェブページにおいて、前記事業の評判に関するアンケートを実施する処理を行うようにしてもよい。この場合、前記算出部は、前記評判が高いほど、保険料を低く設定することができる。証券の発行後であっても、評判が高い証券は、それだけ注目度や人気が高く、事業が滞るリスクも低くなると言える。そこで、算出部は、評判を考慮して保険料を設定することができ、評判が高いほど保険料を低く設定することができる。
【0018】
本開示の一態様によれば、前記算出部は、前記アンケートの結果と前記保険料を算出するための係数とを関連付けたテーブルであって、前記係数が、前記肯定的回答数又は前記評判が高いほど、前記保険料が低くなるように設定されている前記テーブルを用いて保険料を算出するようにしてもよい。これによれば、テーブルを参照することで、肯定的回答数又は評判に応じた係数を選択して容易に保険料を算出することができる。
【0019】
本開示の一態様によれば、前記事業計画が企画競争入札によって応札された者によって作成された企画書の企画提案内容に基づいて作成されている場合、前記算出部は、前記保険料を低く設定する係数を乗じる処理を行うようにしてもよい。これによれば、値段では無く、企画内容が評価の対象となる入札で応札された企画提案内容に基づいた事業計画であり、その分、事業が滞るリスクも低くなると言える。そこで、算出部は、事業計画を考慮して保険料を設定することができ、評価が高いほど保険料を低く設定することができる。
【0020】
本開示の一態様によれば、前記データ処理システムは、事業者コンピュータを更に備え、前記事業者コンピュータは、事業に関するデータファイルの第1ハッシュ値を付与し、前記情報公開部は、提供されたデータファイルの第2ハッシュ値を算出し、前記第1ハッシュ値と第2ハッシュ値を比較し、一致したときに、前記データファイルの情報を公表するようにしてもよい。これによれば、ウェブページに公表される情報やアンケートのために公表されるデータの信頼性を高めることができる。
【0021】
本開示の一態様によれば、前記データ処理システムは、総合情報管理部を更に備え、前記情報公開部は、前記閲覧数又は前記閲覧時間を含むデータを電子署名を付加して前記総合情報管理部に提供し、前記総合情報管理部は、前記保険料を算出するため前記算出部に前記閲覧数又は前記閲覧時間を含むデータを提供するようにしてもよい。これにより、保険料算出のためのデータの信頼性を高めることができる。
【0022】
本開示の一態様によれば、前記データ処理システムは、総合情報管理部を更に備え、前記情報公開部は、前記アンケート結果を含むデータを電子署名を付加して前記総合情報管理部に提供し、前記総合情報管理部は、前記保険料を算出するため前記算出部に前記アンケート結果を含むデータを提供するようにしてもよい。これにより、保険料算出のためのデータの信頼性を高めることができる。
【0023】
本開示の一態様によれば、前記データ処理システムは、総合情報管理部を更に備え、事業者コンピュータは、入札に関する情報を含むデータを電子署名を付加して前記総合情報管理部に提供し、前記総合情報管理部は、前記保険料を算出するため前記算出部に前記入札に関する情報を含むデータを提供するようにしてもよい。これにより、保険料算出のためのデータの信頼性を高めることができる。
【0024】
本開示の一態様によれば、前記保険料及び前記保険料算出のために使用する情報をブロックチェーンに格納されるようにしてもよい。これにより、保険料算出のための情報を安全に管理することができる。
【0025】
本開示の一態様によれば、前記保険料算出のために使用する情報は、例えば、前記証券を発行して資金調達をする事業の事業計画、事業状況、事業計画又は事業状況を公開したウェブページの閲覧数又は閲覧時間、前記事業計画に対する賛否を問うアンケート結果、及び、前記事業の評判に関するアンケート結果である。
【0026】
また、本開示の一態様によれば、上記証券の前記保証率に従った保証部分を前記証券保有者に対して支払う保証人が加入する保険の保険料を算出するデータ処理システムが提供される。前記保険は、前記保証率により算出される保証金の支払に対する保険である。前記データ処理システムは、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥るリスクに従って前記保証人が負担する前記保険料を算出する処理を行い、前記保険料を徴収する処理を行う算出部と、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥ったかを判定し、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に保険金を前記保証人に対して支払う支払判定部とを備える。上記構成によれば、保証人が加入する保証率に従った保証部分非保証部分に対する保険を設けることができる。
【0027】
また、本開示の一態様によれば、上記証券を用いて資金調達を行った事業の事業者が加入する保険の保険料を算出するデータ処理システムが提供される。前記保険は、前記事業者の収益を保証する保険である。前記データ処理システムは、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥るリスク、又は、予想収益が得られないリスクに従って前記事業者が負担する前記保険料を算出する処理を行う算出部と、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥ったか、又は、前記予想収益を得られたかを判定し、前記発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合、又は、予想収益が得られなかった場合に、保険金を前記事業者に対して支払う支払判定部とを備える。上記構成によれば、事業者が加入する予想収益の少なくとも一部を保証する保険を設けることができる。
【0028】
本開示によれば、以上のような構成を備えたデータ処理システムと、上記システムにより実行されるデータ処理方法と、上記方法を実行するコンピュータにインストールされるプログラムと、が提供される。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、証券の非保証障部分に対する保険の保険料の算出を容易にすることができる。また、本開示によれば、保証人に対する保険の保険料の算出を容易にすることができる。更に、本開示によれば、事業者に対する保険の保険料の算出を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図3】証券の非保証部分に対する保険の構造を示す図であって、複数種類の証券を集めた1つのグループで1つの保険を構成した場合を示す図。
【
図4】証券の非保証部分に対する保険の構造を示す図であって、1種類の証券で保険を構成した場合を示す図。
【
図5】証券で資金を調達する事業が進行する手順を示すフローチャート。
【
図8】発行した証券を管理するデータベースを示す図。
【
図9】証券保有者を管理するデータベースを示す図。
【
図10】証券やその事業を紹介するウェブページの構成を示す図。
【
図11】証券やその事業を紹介するウェブページの構成の他の例を示す図。
【
図12】閲覧数と基本保険料に乗じる係数を関連付けたテーブルを示す図。
【
図13】証券発行前のアンケート結果と基本保険料に乗じる係数を関連付けたテーブルを示す図。
【
図14】証券発行後のアンケート結果と基本保険料に乗じる係数を関連付けたテーブルを示す図。
【
図16】事業計画が公表されてから事業が始まるまでの処理を示すフローチャート。
【
図18】事業が開始されてからの処理を示すフローチャート。
【
図20】保険料の支払方法を選択する際のフローチャート。
【
図21】事業者コンピュータから総合管理コンピュータにデータをアップロードするときの処理を示すフローチャート。
【
図22】
図21の続きで総合管理コンピュータでの処理を示すフローチャート。
【
図23】総合管理コンピュータから認証機関コンピュータにアップロードするときの処理を示すフローチャート。
【
図25】保険料のデータをブロックチェーンに格納するときの処理を示すフローチャート。
【
図26】証券の売買履歴をブロックチェーンに格納するときの処理を示すフローチャート。
【
図27】証券の保証部分を保証する保証人に対する保険の構造を示す図。
【
図28】証券を用いて資金調達した事業者に対する保険の構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、一実施形態に係るデータ処理システムについて図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
〔証券の説明〕
図1及び
図2に示すように、証券10は、調達する資金の使用事業であるプロジェクト名及びその内容11と、その事業を計画し証券10を発行する計画者/事業者/発行者12と、証券10の保有と引換えに証券10の発行者に支払われる額面価格13と、発行する証券10の償還期限14とを含む。更に、発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に、証券10の発行に関与した少なくとも1つの第三者により証券保有者に払い戻される金額を定める保証率(保証限度)15であって、額面価格13に対する割合で定義された保証率(保証限度)15と、その保証された金額を保証する保証人16とを含む。更に、証券保有者へ定期的に支払われる利息を定める年利(利率)17であって、額面価格13に対する又は保証率で保証された保証部分に対する割合で定義された年利(利率)17と、保証率15で保証された保証部分以外の非保証部分に対して付与される、証券保有者に支払う配当18とを含む。証券10は、部分的な保証が付いている点や調達資金の使用目的が明確である点や株券のように配当18が付く点で、社債、国債等の債券と異なるが、償還期限が設けられ、利息が支払われる点で債券に類似したものとなっている。
【0032】
すなわち、証券10は、例えば、額面価格13のX%(0%<X<100%)が事業者の債務部分となり、また、国又は地方公共団体等の第三者の保証人に保証された保証部分となる。また、額面価格13のY%(額面価格-債務部分(保証部分))は、投資家から見て投資部分となり、発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に、投資家には返還されない非保証部分(投資家から見て「リスク部分」)となる。年利(利率)17は、額面価格13に対して割合又は保証部分に対する割合で決定される。なお、保証人16としては、国又は地方公共団体の他、民間企業であってもよいし、官民合同体であってもよい。
【0033】
このような証券10は、償還期限までの間、事業が滞りなく順調に運営された場合、毎年、年利(利率)17に従った金利が証券10の購入者である投資家に支払われ、また、収益の還元として配当が支払われる。また、償還期限を迎えた際には額面価格(100万円)に相当する金額が払い戻される。一方で、償還期限を迎える前に、事業が不振となり、金利の支払が滞った場合や事業者等12が債務不履行に陥った場合、保証人16によって、保証限度のX%(70万円)が払い戻される。このような証券10は、部分的な保証が付くため、資金を投資家から調達し易くなり、新規公共事業を行う際の資金調達に好適である。また、証券10には、非保証部分も存在するため、その事業が成功するように、また、より高い配当を得ることができるように、証券保有者が積極的にその事業に参画するようになる。なお、年利(利率)17は、固定金利でも、変動金利であってもよい。また、保証は、額面価格13に対してだけでなく、定期的に支払われる変動又は固定の利息に対して同様な率で付けるようにしてもよい。例えば、利息が支払不能となった年の利息(額面価格の3%)の70%が保証される。このような証券10は、保証人16が保証可能な範囲であれば、資金調達をするプロジェクトの数や規模や種類に関し特に限定されることなく発行することができる。なお、証券10は、償還期限がなくてもよい。また、配当18が無くてもよい。
【0034】
図2の例は、高速鉄道プロジェクトを目的とした証券10を示している。
図2の例では、その内容を、カリフォルニア高速鉄道と沿線開発とし、計画者/事業者/発行者12がカリフォルニア州高速鉄道局となり、額面価格13が100万円で、償還期限14が10年、保証人16であるアメリカ合衆国、カリフォルニア州により保証される保証率(保証限度)15が70%となり、年利(利率)17が3%となっている。
【0035】
証券10は、債券の特徴と株券の特徴とを併せ持つ証券であり、金利が付く点で債券に類似しており、配当が付く点で株券に類似している。そして、証券10は、償還期限がある点で債券に類似している。証券10は、証券保有者に、株主のような地位は与えられない点で株券と異なっている。
【0036】
証券10は、仮に文言通りの利息を支払うことができなくなっても、購入者である投資家には一定の割合で保証された金額が返還されることになり、投資家に安心感を与えることができる。したがって、事業者も事業資金を調達し易くなる。証券の売買がされる証券市場においても、証券10は、保証付きであることから、市場価格が大幅に値下がりを抑制することができる。また、証券市場において、証券10が値上がりした場合、投資家は、売却益を得ることができる。一方で、公共事業を計画する国又は地方公共団体にあっても、事業不振に陥った場合に、額面価格の全額を保証する必要がないことから、証券10を用いた資金調達をし易くなる。特に、証券10の額面価格13の全額を保証しなくてよいことから、財政難の国又は地方公共団体も証券10を用いた資金調達を行い易くなる。このような証券10は、資金を投資家から調達し易いので、新規公共事業を行う際の資金調達に好適である。証券10は、非保証部分を有し、更に配当18もあるので、証券保有者に、その事業を成功させようとする意識を強く持たせることができ、その事業を成功に導き易くなる。
【0037】
〔証券保有者に対する保険の説明〕
図3に示すように、証券10は、事業毎に複数種類発行される。例えば、証券Iは、事業Aの資金調達を目的とする証券であり、証券IIは、事業Bの資金調達を目的とする証券であり、証券IIIは、事業Cの資金調達を目的とする証券であり、証券IVは、事業Dの資金調達を目的とする証券である。そして、各証券I~IVには、それぞれ非保証部分(Y%)が存在する。非保証部分は、発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合、投資家である証券保有者とって損失部分となる。したがって、このような事態によって生じる損失に対しては、多数の証券保有者が金銭(保険料)を出し合い、その資金によって、損失が発生した証券保有者に金銭(保険金)を給付するための保険制度があれば、証券保有者のリスクが軽減され、より証券10により資金を調達し易くなる。
【0038】
そこで、複数種類の証券10を集めた1つのグループ21で1つの保険20を構成するようにしている。そして、保険20は、各証券I~IVの証券保有者が加入する。保険料は、証券I~IVの証券保有者が受け取る年利(利率)17の利息の全部又は一部が割り当てられる。また、利息に代えて、又は、利息に加えて、配当18の全部又は一部が割り当てられる。更に、保険料が年利(利率)17や配当18だけで不足する場合は、追加保険料を保険加入者が別途支払う。又は、加入者が保険料全額を年利(利率)17や配当18での支払を希望しない場合や保険料を年利(利率)17や配当18で支払うことを希望しない場合は、別途保険料を支払う。
【0039】
なお、グループ21を構成する証券は、互いに関連する事業であってもよいし、関連のない事業であってもよい。ここで、関連のある事業とは、例えば沿線開発をする場合に、当該沿線の1つの場所にテーマパークを建設し、他の場所に大学や住宅地等の学園都市を造成する場合等である。関連する事業の証券10でグループ21を構成した場合、当該沿線の人口が増え、学園都市等の居住者がテーマパークにも行き易くなり、グループ21を構成する各事業が関連して成功し易くなる。
【0040】
また、
図4に示すように、複数種類の証券10を集めた1つのグループ21で1つの保険20を構成するのではなく、1つの事業の証券10に対して保険20を設けるようにしてもよい。この場合、証券10毎に保険料を算出し易くなる。すなわち、証券10毎に、発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥るリスクに応じて保険料を算出することができる。
【0041】
ところで、
図5に示すように、証券10で資金を調達する事業は、事業者等の企画によって予算が組まれる。そして、ステップS1において、その企画をより具体的にするため、企画競争入札が行われる。企画競争入札は、不特定多数の企業の中から、発注者側が提示する予算額の範囲内において、定められたテーマの企画書等の提出を求め、最も適した提案をした企業を契約の相手とする方式である。そして、企画競争入札は、価格だけではなく企画提案内容も評価の対象となる。ステップS2では、価格と企画提案内容から1社又は複数社が選定される。
【0042】
なお、この企画競争入札は、複数回繰り返して段階的に事業計画を具体的にするようにしてもよい。また、入札の方法は、企画競争等への参加希望を募る場合に、技術や設備等の必要条件をホームページ等で具体的に明示して、広く参加者を募る公募であってもよい。また、事業の安全性・周辺環境への配慮・業務内容等を総合的に評価し、発注者にとって最も有利な者を落札者とする一般競争入札であってもよい。
【0043】
ステップS3において、選定された業者と事業者とによって事業計画が策定される。なお、証券10で資金を調達する事業は、ステップS1の企画競争入札等を経ることなく、事業者が事業計画を策定するようにしてもよい。そして、ステップS4において、工事を開始するにあたっての一般競争入札又は指名競争入札を行って、ステップS5において、事業者を選定する。なお、一般競争入札は、総合評価方式でも価格のみで決定する自動落札方式であってもよい。
【0044】
〔データ処理システムの説明〕
図6に示すように、保険20や証券10の発行等を管理するデータ処理システムは、証券10や保険20を管理する管理システム30を備えている。更に、データ処理システムは、管理システム30に対してアクセスする投資家コンピュータ50を備えている。更に、証券10で資金調達した事業を行う事業者が管理する事業者コンピュータ60と、様々な事業で発行される証券10や保険20を総合管理する総合管理コンピュータ70と、証券10や保険20に関する基準データを管理する認証機関コンピュータ80とを備えている。
【0045】
また、管理システム30は、発行する証券10を管理する発行証券管理コンピュータ100と、証券10に関する情報を公開する情報公開コンピュータ110と、保険20を管理する保険コンピュータ120とを備えている。これらのコンピュータ50,60,70,80,100,110,120は、ネットワーク130で相互に接続されている。
【0046】
なお、コンピュータ50,60,70,80,100,110,120は、複数のコンピュータやプロセッサを利用して、分散して計算処理するものであってもよい。また、ネットワークとしては、専用通信回線や仮想的に専用回線化した汎用の通信回線(仮想専用化通信回線)を用いることができる。具体的に、PPTP(Point to Point Tunneling Protocol)やSSL(Secure Socket Layer)等のプロトコルを用いて、インターネットを介して、暗号化データをカプセリングして通信するインターネットVPN(Virtual Private Network)等を用いることができる。その他、インターネットサービスプロバイダ(ISP、Internet Service Provider)が提供する専用化回線を用いてもよい。また、CATVのネットワークであってもよい。
【0047】
図7に示すように、コンピュータ50,60,70,80,100,110,120は、CPU31、ROM32、RAM33、ハードディスクドライブ(HDD)34、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)36、通信インタフェース35等を有する。コンピュータ50,60,70,80,100,110,120は、ワークステーション等の高機能、高性能のコンピュータや通常のパーソナルコンピュータやスマートフォン等小型の情報処理端末やパーソナルコンピュータであってもよい。コンピュータ50,60,70,80,100,110,120は、ハードウェア資源にインストールされたコンピュータプログラムによってその機能が実現される。また、データの一部はクラウドに保存されていてもよい。
【0048】
〔投資家コンピュータの説明〕
投資家コンピュータ50は、ネットワーク130を介して管理システム30に対して接続可能であり、インターネット等のウェブページやインターネット配信サイトで配信される番組で、売出し計画中や売り出し中の証券10の買い注文を管理システム30の発行証券管理コンピュータ100に対して送信できる。また、証券10の売り注文も発行証券管理コンピュータ100に対して送信できる。投資家コンピュータ50は、機関投資家であるときにはワークステーション等の高性能コンピュータであり、個人投資家であるときには通常のデスクトップコンピュータやラップトップコンピュータやスマートフォン、携帯電話等の携帯型若しくは小型の情報処理端末である。また、データ通信が可能なディジタルテレビ受信機等であってもよい。投資家コンピュータ50は、管理システム30の情報公開コンピュータ110にアクセスすることで、証券10やその事業に関する最新情報を閲覧することができる。
【0049】
〔事業者コンピュータの説明〕
事業者コンピュータ60は、ワークステーション等のコンピュータシステムであって、ネットワーク130を介して互いにデータのやり取りを行い、CPUなどのプロセッサが各種の処理を実行する。事業者コンピュータ60は、プロジェクトマネージャ等が管理する装置であって、担当するプロジェクトの全体を管理する。例えば、事業の進捗を管理する進捗管理データベース61を備えている。事業者コンピュータ60では、事業計画段階において、各プロジェクトでどの程度の資金が必要であるか、各プロジェクトの工期はどの程度の長さになるのか、各プロジェクトを合わせた全体でどの程度の資金が必要であるか等を個別のデータから算出する。また、進捗管理データベース61では、事業計画を策定するための企画競争入札(ステップS1)や工事の業者選定のための一般競争入札又は指名競争入札(ステップS4)等を管理する。また、事業者コンピュータ60は、各事業の工事等が開始したとき、工事の進捗状況(資材の搬入状況、工事の進行状況等)等を管理する。また、事業者コンピュータ60は、工事が完成し、事業が開始されている(例えばテーマパーク等が開園し運営を開始している)場合、各年の財務状況データを管理する(
図24参照)。
【0050】
〔総合管理コンピュータの説明〕
総合管理コンピュータ70は、証券事業を総合管理するワークステーション等のコンピュータシステムであって、CPUなどのプロセッサが各種の処理を実行する。総合管理コンピュータ70は、事業者コンピュータ60との間で安全な回線を確立し、プロジェクトに関するデータを受け取る。事業者コンピュータ60及び総合管理コンピュータ70は、認証機関コンピュータ80を管理する認証機関が認定した認定プログラム60a,70aがインストールされており、SSH(Secure Shell)公開鍵方式等の暗号手段を利用して安全な回線を確立する。総合管理コンピュータ70が事業者コンピュータ60から受け取るデータは、情報公開コンピュータ110で投資家に対して事業情報を公開するデータであり、また、証券10の非保証部分に対する保険20の保険料を算出するにあたって影響を与えるデータとなる。
【0051】
〔認証機関コンピュータの説明〕
認証機関コンピュータ80は、総合管理コンピュータ70とともに、データ処理システムで取り扱うデータを総合的に管理する総合情報管理部として機能する。
【0052】
認証機関コンピュータ80は、認証機関が管理するワークステーション等のコンピュータシステムであって、CPUなどのプロセッサが各種の処理を実行する。認証機関コンピュータ80は、総合管理コンピュータ70との間で安全な回線を確立し、事業者コンピュータ60から総合管理コンピュータ70に対して送られたプロジェクトに関するデータを受け取る。また、発行証券管理コンピュータ100で生成された証券10の売買履歴等のデータを総合管理コンピュータ70を経由して受け取る。更に、情報公開コンピュータ110で生成されたウェブページの閲覧数やアンケート結果のデータを総合管理コンピュータ70を経由して受け取る。更に、保険コンピュータ120が算出した保険20の保険料等のデータを総合管理コンピュータ70を経由して受け取る。更に、これらのデータを、要求に応じて、総合管理コンピュータ70を通じて各コンピュータ60,100,110,120などに提供する。提供データは、認証機関が認証したデータである。例えば、認証機関コンピュータ80は、総合管理コンピュータ70を通じて、情報公開コンピュータに対して事業計画や事業状況に関するデータ等を提供し、また、保険コンピュータ120に対して保険料算出のためのウェブページの閲覧数やアンケート結果等を提供する。
【0053】
認証機関コンピュータ80も、認証機関が認定した認定プログラム80aがインストールされており、SSH公開鍵方式等の暗号手段を利用して安全な回線を確立する。認証機関コンピュータ80は、コンピュータ60,70,100,110,120などがデータの受信側となるとき使用する公開鍵を提供し、また、公開鍵を使用するとき、公開鍵が本物かどうかの検証を行う。なお、公開鍵は、さらに他の認証機関コンピュータから提供されたものであってもよく、また、検証も他の検証機関コンピュータが行ってもよい。また、量子鍵配送等の量子暗号によって安全な回線が確立される。量子暗号では、通信を行う二者がその通信に用いられる鍵情報を取得しようとする盗聴者の存在を探知できる。認証機関コンピュータ80では、総合管理コンピュータ70から送られたデータを基準データとして管理する。例えば、認証機関コンピュータ80は、基準データを、総合管理コンピュータ70から送られたデータをブロックチェーンや改ざん困難なストレージを使用して安全な状態で一元管理する。なお、総合管理コンピュータ70と認証機関コンピュータ80とは、その機能を統合した総合情報管理部であってもよい。
【0054】
なお、量子鍵配送等の量子暗号は、事業者コンピュータ60と総合管理コンピュータ70との間、発行証券管理コンピュータ100と総合管理コンピュータ70との間、情報公開コンピュータ110と総合管理コンピュータ70との間、及び、保険コンピュータ120と総合管理コンピュータ70との間にも適用可能である。
【0055】
〔管理システムの説明〕
管理システム30は、発行する証券10を管理する発行証券管理コンピュータ100と、証券10に関する情報を公開する情報公開コンピュータ110と、保険20を管理する保険コンピュータ120とを備え、相互にネットワーク130を介して接続されている。
【0056】
〔発行証券管理コンピュータの説明〕
発行証券管理コンピュータ100は、証券10を売り出す証券会社や金融機関が管理するコンピュータである。そして、発行証券管理コンピュータ100は、機能的に、証券発行部43と、証券管理部44と、証券保有者管理部45とを備え、CPUなど構成されたプロセッサが各部の処理を実行する。
【0057】
証券発行部43は、投資家コンピュータ50から送信された情報公開コンピュータ110で公開された証券10の買い注文データを受信する。また、証券10にあっても、株式市場や債権市場のような新しい取引市場で売買される場合もある。このような場合、証券発行部43は、投資家コンピュータ50から送信された売り注文データを受信する。証券発行部43は、情報公開コンピュータ110で公開された証券10に対して投資家コンピュータ50から買い注文データを受信したとき、受信した買い注文データを送信した投資家に対して、証券10を発行する。証券発行部43は、証券10の売買履歴を総合管理コンピュータ70を通じて認証機関コンピュータ80に提供する。
【0058】
証券管理部44は、発行した証券10を管理するデータベースである。
図8に示すように、証券管理部44では、証券10毎に、事業と、額面と、保証率と、金利を管理している。例えば、証券管理部44は、証券10の1つである証券Iが、事業Aに対する証券であって、額面が¥1,000,000、保証率が60%、金利が4%であることを管理している。また、証券Iでは、40%の部分が非保証部分となって、保険20の対象部分となる。なお、管理する証券の中には、保証がありつつ金利無しで配当のみの証券があってもよいし、保証がありつつ金利のみで配当無しの証券が存在していてもよい。また、保証無しで金利と配当のある証券が存在していてもよい。
【0059】
証券保有者管理部45は、証券保有者を管理するデータベースである。
図9に示すように、証券保有者管理部45は、証券保有者毎に、証券10の種類と、保険に加入しているかどうか、保険料の支払方法を管理している。ここでの保険20は、複数種類の証券10を集めたグループ21に対する保険20(
図3参照)又は1つ種類の証券に対する保険20(
図4参照)であって、各証券10の非保証部分に対する保険である。その保険料の支払は、証券10の証券保有者が受け取る年利(利率)17の利息の全部又は一部が割り当てられる。また、利息に代えて、又は、利息に加えて、配当18の全部又は一部が割り当てられる。更に、保険料が年利(利率)17や配当18だけで不足する場合は、追加保険料を保険加入者が別途支払う。又は、加入者が保険料全額を年利(利率)17や配当18での支払を希望しない場合や保険料を年利(利率)17や配当18で支払うことを希望しない場合は、別途保険料を支払う。証券保有者管理部45は、証券保有者毎に、このような保険料の支払の種別を管理している。保険料の支払は、証券10の償還までの一括払い、年払い、月払いの何れであってもよい。証券10の利息や配当は年単位で支払わることから、保険料の支払も、これに合わせて年払いが好ましい。
【0060】
発行証券管理コンピュータ100は、認定プログラム100aがインストールされており、総合管理コンピュータ70との間でSSH公開鍵方式等の暗号手段を利用して安全な回線を確立する。発行証券管理コンピュータ100は、定期的に、又は、発行証券管理コンピュータ100からの要求に応じて、証券10の売買履歴に関するデータ等を発行証券管理コンピュータ100を経由して認証機関コンピュータ80に送信する。
【0061】
〔情報公開コンピュータの説明〕
情報公開部としての情報公開コンピュータ110は、証券10を売り出す証券会社や金融機関が管理したり、インターネットサービスプロバイダ等プロバイダが管理するコンピュータである。また、検索エンジン、オンライン広告、クラウドコンピューティング、ソフトウェア、ハードウェア関連の事業等を行う会社が管理するコンピュータである。そして、情報公開コンピュータ110は、情報公開部41と、アンケート部42とを備え、CPUなどのプロセッサが各部の処理を実行する。
【0062】
情報公開部41は、証券10を使用して資金調達する事業計画や売り出し中の証券10に関する情報を公開する。具体的に、事業計画や証券10を含む様々な情報は、情報公開部41によって、売出しをしている例えば金融機関や証券会社のウェブページや番組を介して公表される。例えば、事業計画の紹介や証券10の紹介は、テキストデータや画像データで行ってもよい他、ビデオデータで行ってもよい。投資家が証券を購入可能なウェブページは、例えば、投資家が投資家コンピュータ50からアカウント(ユーザIDとパスワード)を入力しログインすることによってアクセスすることができる。例えば、情報公開部41と投資家コンピュータ50との間は、インターネット等のネットワーク130を介して接続される。そこで、情報公開部41と投資家コンピュータ50との間は、SSH公開鍵方式等のセキュリティ技術を組み合わせ、データの盗聴や改ざん、なりすましを防ぐことができるSSL(Secure Sockets Layer)等のセキュアなプロトコルを用いて接続するようにしてもよい。
【0063】
図10に示すように、例えば、証券10のホームページ等は、トップページ41aと、トップページ41aに対して下層にリンクされた個別の証券10や個別の事業を紹介する第1ウェブページ41b~第3ウェブページ41d等で構成されている。第1ウェブページ41b~第3ウェブページ41dの各々で紹介される個別の証券10やその事業は、互いに関連する事業であってもよいし、関連のない事業であってもよい。トップページ41aにリンクされる第1ウェブページ41b~第3ウェブページ41d等が保険20の1つのグループ21を構成するようにしてもよい。
【0064】
また、
図11に示すように、1つのウェブページ41eの中で、複数の証券10やその事業が紹介されている。1つのウェブページ41eの中で紹介される証券10やその事業は、互いに関連する事業であってもよいし、関連のない事業であってもよい。
図11の場合において、複数のウェブページ41eが存在し、各ウェブページ41eで複数の証券10やその事業を紹介するようにしてもよい。1つのウェブページ41eの中で紹介される証券10やその事業が1つのグループ21を構成するようにしてもよい。
【0065】
情報公開部41は、所定期間毎に、ログインした投資家がどの証券10のウェブページにアクセスしたか等をカウントし閲覧数を管理し、更に、閲覧開始日時や閲覧終了日時等のログを管理する。これにより、どの事業計画や事業に対して注目度が高いか等を把握することができる。具体的には、情報公開部41は、証券10の発行前において、証券10を発行して資金調達をする事業の事業計画をウェブページで公開し、所定期間内におけるウェブページの閲覧数を管理する。また、情報公開部41は、証券10の発行後において、各事業の工事等が開始したとき、事業状況として、工事の進捗状況等をウェブページで公開し、所定期間内におけるウェブページの閲覧数を管理する。更に、情報公開部41は、事業が開始した後(例えばテーマパークの開園後)、各年の財務状況データ等をウェブページで公開し、所定期間内におけるウェブページの閲覧数を管理する。これらのウェブページに公表されるデータは、事業者コンピュータ60から総合管理コンピュータ70及び認証機関コンピュータ80に対して提供されたデータであって、情報公開コンピュータ110が総合管理コンピュータ70を経由して認証機関コンピュータ80から取得したデータである。
【0066】
詳細は後述するが、事業者コンピュータ60から総合管理コンピュータ70及び認証機関コンピュータ80に対して提供されたデータファイルの各々には、事業者コンピュータ60で算出されたハッシュ値が付与されている(後述のステップS77)。情報公開部41は、事業者コンピュータ60から提供されたデータに由来するデータファイルのデータを公表するとき、ハッシュ値を算出し、比較することで、当該データファイルが書き換えられているかどうかを判別する。すなわち、ハッシュ値が一致した場合は、当該データファイルのデータ等をウェブページに公表し、一致しない場合は、その内容の真偽を確認したのち公表するか又は公表しないようにする。これにより、ウェブページを閲覧する投資家等に正確な情報を提供することができる。
【0067】
なお、このようなウェブページの閲覧数は、証券10の非投資部分に対する保険20の保険料に反映される。例えば、
図10の例では、証券10やその事業を紹介する第1ウェブページ41b~第3ウェブページ41dの各々のページの閲覧数を管理したり、各ウェブページの閲覧数を合算した合計閲覧数を管理する。また、
図11の例では、ウェブページ41eの閲覧数を管理する。また、情報公開部41は、閲覧開始日時や閲覧終了日時から閲覧時間を算出する。
【0068】
アンケート部42は、証券10を発行して資金調達をする事業の事業計画に対する賛否を問うアンケートを実施する処理を行う。例えば、ショッピングモールを含むテーマパークを証券10で資金調達して所定地域に建設する場合、アンケート部42は、ウェブページにおいて、公開された事業計画等に基づいたテーマパーク建設の賛否を問うアンケート実施の処理を行う。例えば、アンケートにおいて、テーマパーク建設について、その地域住民の賛成が多いとき、又は評判が高いときには、建設後テーマパークが商業的に成功する可能性が高くなる。このような事業計画に対する賛否を問うアンケートの結果は、証券10の非投資部分に対する保険20の保険料に反映される。なお、アンケートでは、例えばテーマパークにどのような商業店舗があるとよいか等、より魅力的なテーマパークとするための意見を聞くようにしてもよい。
【0069】
また、アンケート部42は、証券発行後において、事業状況として、工事の進捗等の状況、事業運営等に関する評判のアンケートを実施する処理を行う。例えば、アンケートでは、テーマパークの建設中にあっては工事の騒音等が基準レベル以下か等迷惑や公害を発生していないか、テーマパーク開園後の信用に影響する調査を行い、その上で、テーマパーク工事の評判を調べるアンケート実施の処理を行う。また、テーマパーク開園後では、テーマパークを訪問してよかったか、楽しかったか等のテーマパーク訪問に対する評判(好感度や満足度等)に関する調査を行う。これらのアンケート結果は、評判が高いほどテーマパークが商業的に成功する可能性が高くなる。このような事業状況に対する賛否を問うアンケートの結果は、保険対象部分である証券10の非投資部分に対する保険20の保険料に反映される。
【0070】
証券10の発行後におけるアンケートは、所定期間毎、例えば1年毎、半年毎、3か月毎、1か月毎に行う。このような事業状況に対する評判に関するアンケートの結果は、証券10の非投資部分に対する保険20の保険料に反映される。
【0071】
以上のようなアンケートを実施するための資料も情報公開部41でウェブページに公表されている。すなわち、事業者コンピュータ60から提供されたデータであって、認証機関が認証し認証機関コンピュータ80から提供されたデータをもとに作成されたデータである。更に、ウェブページに公表されたデータは、例えば、事業者コンピュータ60からの提供時とここでの公表時とで、ハッシュ値を使ってデータの改変を検出できるようにしている。したがって、信頼性の高いデータが公表されることになる。
【0072】
〔保険コンピュータの説明〕
保険コンピュータ120は、保険20を管理するコンピュータである。そして、保険コンピュータ120は、機能的に、算出部46と、支払判定部47とを備え、CPUなどのプロセッサが各部の処理を実行する。
【0073】
算出部46は、保険20の保険料を算出する。情報公開部41が管理している証券10のウェブページの閲覧数を保険料算出に当たって考慮する。すなわち、閲覧数が多い証券10は、それだけ注目度や人気が高く、その分その証券10で調達される事業について商業的に成功する可能性が高くなる。そこで、算出部46は、例えば、グループ21を構成している複数種類の証券10を公開しているウェブページに対する閲覧数に応じた係数を保険料に乗じるようにする。係数は、閲覧数が多いほど保険料を低くする値とする。
【0074】
閲覧数は、保険20の対象となるグループ21を構成する証券10の事業を紹介したウェブページの閲覧数である。例えば、各証券10毎(各事業毎)にウェブページを設けているときには、グループ21を構成する証券10毎(各事業毎)のウェブページの閲覧数の合算である(
図10の場合)。1つ又は複数のウェブページでグループ21の証券10を紹介しているときには、当該1つ又は複数のウェブページの閲覧数である(
図11の場合)。
【0075】
なお、閲覧数に代えて、又は、閲覧数に加えて、ウェブページの所定期間における総合計閲覧時間を用いて保険料を算出するようにしてもよい。総閲覧時間とは、アクセスした端末各々がウェブページを閲覧した時間を合計した時間である。総閲覧時間は長いほどそれだけ注目度や人気が高く、その分その証券10で調達される事業について商業的に成功する可能性が高くなると想定できるからである。
【0076】
図12に示すように、算出部46は、閲覧数と係数を関連付けたテーブル45aを備えており、このテーブル45aを参照して閲覧数に応じた係数を選択する。証券10の発行前における事業計画を公開したウェブページの閲覧数に従った係数を用いて算出された保険料は、例えば証券発行時の保険料である。また、証券10の発行後における工事状況や事業が開始した後(例えばテーマパークの開園後)の財務状況等を公開したウェブページの閲覧数に従った係数を用いて算出された保険料は、例えば所定期間毎に行われる保険料見直し時の保険料である。
【0077】
なお、閲覧数に応じた係数は、証券10の種類毎(事業毎)のウェブページの閲覧数に応じた係数を選択するテーブル45aを用意し、対応する証券10に応じた係数を適用するようにしてもよい。すなわち、証券10の種類毎(事業毎)に係数が異なるようにしてもよい。また、テーブル45aは、閲覧時間と係数を関連付けたテーブルであってもよい。
【0078】
また、
図13に示すように、算出部46は、アンケート部42のアンケート結果を保険料算出に当たって考慮する。すなわち、証券10の発行前において、事業計画に基づいた事業の賛否を問うアンケートでは、賛成の数に応じた係数を保険料に乗じるようにする。係数は、賛成の数が多いほど保険料を低くする値とする。賛成が多いときには、事業が商業的に成功する可能性が高くなり、保険金を支払う可能性も低くなるからである。算出部46は、賛成の数と係数を関連付けたテーブル45bを備えており、このテーブル45bを参照して賛成の数に応じた係数を選択する。証券10の発行前における事業計画に基づいたアンケートでの賛成数に従った係数を用いて算出された保険料は、例えば証券発行時の保険料である。
【0079】
また、証券発行後において、所定期間毎に前記事業に対する評判に関するアンケートでは、評判に応じた係数を保険料に乗じるようにする。係数は、評判が高いほど保険料を低くする値とする。例えば、
図14に示すように、「良い」、「普通」、「悪い」の3段階のアンケートの場合、「良い」及び「普通」の数の数をカウントし、カウント数に応じた係数をテーブルを参照して選択する。評判が高いときには、事業が商業的に成功する可能性が高くなり、保険金を支払う可能性も低くなるからである。なお、「良い」の数だけをカウントし、カウント数に応じた係数をテーブルを参照して選択するようにしてもよい。また、5段階評価(1が最も悪く5が最も良い。)等で3以上や4以上を評判が高いと判断してもよい。
【0080】
算出部46は、証券発行後のアンケート結果と係数を関連付けたテーブル45cを備えており、このテーブル45cを参照して閲覧数に応じた係数を選択する。証券10の発行後における工事状況や事業を利用したときの評判に従った係数を用いて算出された保険料は、例えば所定期間毎に行われる保険料見直し時の保険料である。
【0081】
図13及び
図14に示したアンケート結果に応じた係数は、証券10の種類毎(事業毎)のアンケート結果に応じた係数を選択するテーブルを用意し、対応する証券10に応じた係数を適用するようにしてもよい。すなわち、証券10の種類毎(事業毎)に係数が異なるようにする。また、アンケート結果に応じた係数は、1つのグループ21内における証券10の種類毎(事業毎)のアンケート結果における評判の合計値や平均値に係数を対応付けたテーブルを用意し、グループ21内の全ての証券10に対して同じ係数を適用するようにしてもよい。すなわち、1つのグループ内では全ての種類の証券10で係数が同じになるようにする。
【0082】
更に、
図15に示すように、算出部46は、保険料の算出に当たっては、証券10の事業が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥る確率と、資産運用による一定の収益に基づく予定利率と、保険料の収納・契約の維持管理等の事業運営に必要な諸経費の予定事業費率等のパラメータに基づいて基準保険料46xを算出する。又は、事業が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥る確率に平均損害額を乗じることによって、保険原価を算出し、保険原価に予定利率や予定事業費率を乗じて基準保険料46xを算出する。ここで、事業が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥る確率は、証券10で資金を調達するインフラ整備等の公共事業等は例えば飲食店経営等に比べて事業が不振となる確率を低く見積もることができる。また、紛争地域や紛争地域近郊の事業では事業が不振となる確率が高くなる傾向がある。また、このような事業毎の証券を集めたグループで1つの保険20を構成する場合は、保険加入者を増やすことができ、これにより、保険料を低く設定することができる。そして、算出部46は、このように算出された基準保険料46xに対して、
図12~
図14で選択した係数46yを乗じる。
【0083】
加えて、この事業は、上述のように、企画競争入札によって応札された者の企画書に従って具体化されたものである場合(
図5のステップS1)、事業が不振となる確率を更に低く見積もることができるので、更に、保険料を低く設定する係数46zを乗じるようにしている。グループ21を構成する証券10の事業の中に、企画競争入札を経た事業と経ていない事業が混在する場合がある。このような場合は、グループ21内に企画競争入札を経た事業が多いほど保険料が低くなるように係数46zを設定する。係数46zは、グループ21内の企画競争入札を経た事業の証券10の数と係数を対応付けたテーブルを用意しておき、証券10の数に応じて係数46zを選択するようにしてもよい。
【0084】
算出部46は、基準保険料46xに対して、更にウェブページの閲覧数及び/又はアンケート結果を考慮に入れた係数46yを乗じて最終保険料46aを算出する。場合によっては、算出部46は、基準保険料46xに対して、係数46zを乗じて最終保険料46aを算出する。また、場合によっては、算出部46は、基準保険料46xに対して、係数46y,46zを乗じて最終保険料46aを算出する。最終保険料46aは、保険加入者(証券保有者)が負担する保険料である。最終保険料46aは、証券10の証券保有者が受け取る年利(利率)17の利息の全部又は一部が割り当てられる。また、利息に代えて、又は、利息に加えて、配当18の全部又は一部が割り当てられる。また、利息や配当に代えて別途保険料が支払われてもよい。
【0085】
支払判定部47は、事業者コンピュータ60から送信され、総合管理コンピュータ70又は認証機関コンピュータ80を経由して取得した財務状況データを受け取る。財務状況データは、例えば決算データであり、財務諸表のデータである。支払判定部47は、財務状況データに基づいて、金利は支払可能であるか、配当は適正か、等を判断する。すなわち、支払判定部47は、発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥っていないかを判断する。そして、発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥っているときには、保険金の支払処理に移行する。すなわち、証券保有者に対して、保険金として証券10の非保証部分に相当する金銭の支払処理を行う。
【0086】
なお、管理システム30は、情報公開部41,アンケート部42,証券発行部43,証券管理部44,証券保有者管理部45,算出部46,支払判定部47備えていれば、どのサーバに各部が実装されていてもよい。
【0087】
〔事業計画が公表されてから事業が始まるまでの処理の説明〕
次に、事業計画が公表されてから事業が始まるまでの処理を、
図16及び
図17を参照してテーマパーク建設を例に説明する。
【0088】
ステップS11において、証券10で遂行する事業の事業計画書を作成し、事業計画書に関するデータを、事業者コンピュータ60は、総合管理コンピュータ70に送信し、総合管理コンピュータ70は、認証機関コンピュータ80に送信する。
【0089】
ステップS12において、認証機関コンピュータ80は、事業計画に関するデータを、改ざん困難なストレージ及び/又はブロックチェーン領域に格納するための処理を行う(
図25参照)。保険コンピュータ120において、算出部46は、事業計画に関するデータを認証機関コンピュータ80から取得することになる。
【0090】
ステップS13において、算出部46は、企画競争入札かどうかを判断し、企画競争入札の場合、ステップS14において、係数46zを1.0未満に設定し、企画競争入札でない場合、ステップS15において、係数46zを1.0に設定する。
【0091】
ステップS16において、情報公開コンピュータ110の情報公開部41は、ウェブページの閲覧数を集計する設定やアンケートの終了日を設定し、ステップS17において、情報公開部41は、ウェブページにデータを公表する。公表するデータは、事業者コンピュータ60が総合管理コンピュータ70を介して認証機関コンピュータ80に提供したデータであって、情報公開コンピュータ110が認証機関コンピュータ80から取得したデータである。また、公表するデータを格納したデータファイルは、例えば、事業者コンピュータ60でハッシュ値が付与されており(後述のステップS77)、情報公開部41が算出したハッシュ値と一致したときに、そのデータファイルのデータが情報公開部41で公表される。なお、情報公開部41は、事業者コンピュータ60又は総合管理コンピュータ70から直接取得するようにしてもよい。情報公開部41は、証券10を使用して資金調達する事業計画のデータを、例えば金融機関や証券会社のウェブページを通じて公表する。すなわち、証券10で資金調達するテーマパーク建設の事業計画をウェブページに公表する。これにより、投資家は、投資家コンピュータ50を通じてこれから発行される証券10の事業計画を検討し、証券10を購入するかどうかの参考にすることができる。また、このウェブページでは、証券10の非保証部分に対しては保険20があること公表し、ここで、ウェブページの閲覧数やアンケート結果に応じて保険料が変化することも公表する。また、保険料は、利息や配当等でも支払可能であることを公表する。
【0092】
ステップS18において、情報公開部41は、事業計画を公表してから証券10の発行前の任意の時期までの所定期間におけるウェブページの閲覧数をカウントする処理を開始する。
【0093】
ステップS19において、アンケート部42は、証券10を発行して資金調達をする事業(テーマパーク建設)に対する賛否を問うアンケートを実施するかを判定し、実施のとき、ステップS20に進む。アンケートの対象者は、地域住民等となるが、各地域住民は、自らのスマートフォン、パーソナルコンピュータ等の情報処理端末から当該アンケートのウェブページにアクセスする。情報公開部41及びアンケート部42は、アカウント登録等を行いログインしたユーザに対してウェブページに対して閲覧を許可し、閲覧数をインクリメントし、アンケート入力を可能とする。
【0094】
ステップS20において、アンケート部42は、ログインしたユーザのログやクッキーなどを参照することで、初回アンケート回答かどうかを判断し、初回アンケートのとき、ステップS21に進み、初回でないとき、ステップS23に進む。アンケートの初回回答の地域住民は、自身の情報処理端末でアンケートの回答を入力する。
【0095】
ステップS21において、アンケート部42は、地域住民の情報処理端末から送信されたアンケート結果を受け付ける。
アンケート部42は、ステップS22において、アンケート結果を集計する。以上のようなアンケート処理によって、同じ地域住民が繰り返しアンケートに回答することを防ぐことができ、アンケート結果の精度を高めることができる。
【0096】
ステップS23において、アンケート部42は、アンケートの終了日かどうかを判断し、終了日のとき、ステップS24に進み、終了日に至っていないとき、ステップS18からの処理を繰り返す。なお、このアンケートの実施期間は、事業計画を公表してから証券10の発行前の任意の時期までの所定期間であって、一例として、ウェブページの閲覧数数をカウントする期間と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0097】
ウェブページの閲覧数のデータやアンケートの集計データ等は、総合管理コンピュータ70に送信され、総合管理コンピュータ70は、認証機関コンピュータ80に送信する。保険コンピュータ120の算出部46は、認証機関コンピュータ80からウェブページの閲覧数のデータやアンケートの集計データ等を取得する。
【0098】
算出部46は、ステップS24において、ウェブページの閲覧数に応じた係数を選択するテーブル45a(
図12)を参照して、閲覧数に基づく係数46yを決定する。ステップS25において、賛成の数と係数を関連付けたテーブル45b(
図13)を参照して、アンケート結果に基づく係数46yを決定する。
【0099】
ステップS26において算出部46は、その他の係数があるとき、その係数を決定する。なお、テーブル45a,45bも認証機関コンピュータ80から取得するようにしてもよい。また、企画競争入札の場合の係数も46zも、認証機関コンピュータ80から取得するようにしてもよい(ステップS14,15参照)。
【0100】
ステップS27において、算出部46は、証券10の基準保険料46xを算出する。基準保険料46xを算出するためのデータは、認証機関コンピュータ80から取得する。算出部46は、基本保険料に対して、係数46y,46zを乗じて、最終保険料46aを算出する。最終保険料46aは、総合管理コンピュータ70を通じて認証機関コンピュータ80に提供され、情報公開部41は、保険料に関するデータを、認証機関コンピュータ80から総合管理コンピュータ70を通じて取得しウェブページに公表する。これにより、投資家は、事業の内容だけでなく保険料も参考にして、公募されている証券10を購入するかどうか判断することができる。
【0101】
この後、ステップS28において、証券発行部43は、証券10の買い注文データを受信すると、買い注文データを送信した投資家に対して、証券10を発行する。このとき、あわせて、保険20に加入するかどうか、保険20に加入するのであれば保険料の支払方法を受信する。保険料の支払方法は、利息で保険料を支払うか、配当で支払うか、利息及び配当で支払うか、保険料を利息、配当及び追加保険料で支払うか、保険料を利息及び配当とは別で支払うか等である。そして、証券発行部43は、証券保有者管理部45における証券保有者を管理するデータベース(
図9)を更新する。これにより、保険料の支払に利息や配当を用いる場合、保険料は利息や配当から徴収され、残りが証券保有者に対して支払われることになる。
【0102】
算出部46は、所定期間毎、例えば利息や配当の支払に合わせて毎年保険料の見直しを行う。例えば、テーマパーク建設の場合、完成又は開園は工事を着工してから又は証券10を発行してから数年必要である。そこで、算出部46は、利息や配当の支払に合わせて保険料の見直しを行う。すなわち、情報公開部41は、ウェブページにおいて、工事の進捗等の状況を報告するとともに、発行後の所定期間、例えば1年間の閲覧数をカウントする。また、アンケート部42は、例えばテーマパークの建設中にあっては工事の騒音等が基準レベル以下か等公害を発生していないか、テーマパーク開園後の信用に影響する調査を行う。その上で、テーマパーク建設に対する評判に関するアンケートを実施する処理を行う。そして、算出部46は、改めて基準保険料46xを算出し、更に閲覧数に応じた係数及びアンケートの賛成の数に応じた係数46yを選択し直し、これらの係数46yを乗じて最終保険料46aを算出する。必要な場合は、係数46zも乗じて最終保険料46aを算出する。そして、見直された最終保険料46aを利息や配当から徴収し、残りが証券保有者に対して支払われることになる。すなわち、所定期間毎、例えば毎年
図16及び
図17の処理を繰り返すことになる。
【0103】
〔事業が開始されてからの処理の説明〕
次に、事業が開始されてからの処理を、
図18及び
図19を参照してテーマパークが開園した後の場合を例に説明する。
【0104】
事業者コンピュータ60は、定期的に、事業状況や財務状況に関するデータを、総合管理コンピュータ70に送信する。認証機関コンピュータ80は、ステップS31において、総合管理コンピュータ70から事業状況や財務状況に関するデータを取得する。
【0105】
ステップS32において、認証機関コンピュータ80は、事業状況や財務状況に関するデータを、改ざん困難なストレージ及び/又はブロックチェーン領域に格納する(
図25参照)。
【0106】
ステップS33において、情報公開コンピュータ110の情報公開部41は、公表するデータを、認証機関コンピュータ80から取得し、ウェブページに公表する。公表するデータは、事業者コンピュータ60が総合管理コンピュータ70を介して認証機関コンピュータ80に提供したデータであって、情報公開コンピュータ110が認証機関コンピュータ80から取得したデータである。また、公表するデータを格納したデータファイルは、例えば、事業者コンピュータ60でハッシュ値が付与されており(後述のステップS77)、情報公開部41が算出したハッシュ値と一致したときに、そのデータファイルのデータが情報公開部41で公表される。なお、情報公開部41は、事業者コンピュータ60又は総合管理コンピュータ70から直接取得するようにしてもよい。これにより、投資家は、投資家コンピュータ50を通じて証券10の投資先の事業の今後、すなわち証券10を保有し続けるかどうかの参考にすることができる。
【0107】
また、ステップS34において、保険コンピュータ120の支払判定部47は、認証機関コンピュータ80から事業状況や財務状況に関するデータを受け取り、発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥っているかを判断する。そして、利息支払不能及び/又は債務不履行に陥っていないとき、ステップS35に進み、利息支払不能及び/又は債務不履行に陥っているとき、ステップS36に進む。
【0108】
ステップS36において、支払判定部47は、非保証部分に対する保険金の支払処理に移行し、証券保有者に対し証券10の非保証部分の支払処理を行う。なお、このとき証券保有者は、保証率(保証限度)15で保証された保証金も保証人16から受け取ることになる。
【0109】
ステップS35において、情報公開部41は、テーマパーク開園後の所定期間におけるウェブページの閲覧数をカウントする処理を開始する。ステップS37において、アンケート部42は、証券10を発行して資金調達をする事業(テーマパーク建設)に対する賛否を問うアンケートを実施するかを判定し、実施のとき、ステップS38に進む。
【0110】
ステップS38において、アンケート部42は、ここでも、ここで行うアンケートに対して初回回答かどうかを判定し、初回回答のみを許可する。アンケートの初回回答の地域住民は、自身の情報処理端末でアンケートの回答を入力する。ステップS39において、アンケート部42は、地域住民の情報処理端末から送信されたアンケート結果を受け付ける。アンケート部42は、ステップS40において、アンケート結果を集計する。これにより、同じ地域住民が繰り返しアンケートに回答することを防ぐことができ、アンケート結果の精度を高めることができる。
【0111】
ステップS41において、アンケート部42は、アンケートの特定期間が終了したかどうかを判断し、終了したとき、ステップS42に進み、終了していないとき、ステップS35からの処理を繰り返す。なお、このアンケートの実施期間は、事業計画を公表してから証券10の発行前の任意の時期までの所定期間であって、一例として、ウェブページの閲覧数数をカウントする期間(ステップS12)と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0112】
ウェブページの閲覧数のデータやアンケートの集計データ等は、総合管理コンピュータ70に送信され、総合管理コンピュータ70は、認証機関コンピュータ80に送信する。保険コンピュータ120の算出部46は、認証機関コンピュータ80からウェブページの閲覧数のデータやアンケートの集計データ等を取得する。
【0113】
ステップS42において、算出部46は、ウェブページの閲覧数に応じた係数を選択するテーブル45a(
図12)を参照して、閲覧数に基づく係数46yを決定する。ステップS43において、テーブル45c(
図14)を参照して、アンケート結果に基づく係数46yを決定する。ステップS44において算出部46は、その他の係数があるとき、その係数を決定する。なお、テーブル45a,45cも認証機関コンピュータ80から取得するようにしてもよい。また、企画競争入札の場合の係数も46zも、認証機関コンピュータ80から取得するようにしてもよい(ステップS14,15参照)。
【0114】
ステップS45において、算出部46は、証券10の基準保険料46xを再算出する。基準保険料46xを再算出するためのデータは、認証機関コンピュータ80から取得する。算出部46は、基本保険料に対して、係数46y,46zを乗じて、最終保険料46aを再算出する。最終保険料46aは、総合管理コンピュータ70を通じて認証機関コンピュータ80に提供され、情報公開部41は、保険料に関するデータを、認証機関コンピュータ80から総合管理コンピュータ70を通じて取得しウェブページに公表する。これにより、投資家は、事業の内容だけでなく保険料も参考にして、証券10を購入するかどうか判断することができる。
【0115】
以上のような保険料の算出も、テーマパークが開園した後であっても、所定期間毎、例えば、毎年、
図18及び
図19の処理が繰り返され、保険料の見直しが行われることになる。
【0116】
〔保険料の支払方法の説明〕
次に、
図20を参照して、証券10を購入するときに、保険料の支払方法を選択する処理を説明する。ステップS51において、発行証券管理コンピュータ100の証券発行部43は、投資家コンピュータ50に販売する証券10の一覧を表示する。ここでは、各証券10の詳細は、情報公開部41が公開するウェブページで取得することができ、事業の詳細や予定の金利や保険料などを公表している。公表している情報は、認証機関コンピュータ80から取得したデータに基づくものである。
【0117】
ステップS52において、証券発行部43は、投資家コンピュータ50において一覧表示された証券10の中から選択された一又は複数の証券10の選択データを受信する。証券発行部43は、投資家コンピュータの画面に保険に加入するかどうかの画面を表示し、投資家コンピュータ50から送信された保険20の加入データ又は未加入データを受信する。ステップS54において、証券発行部43は、投資家コンピュータ50の画面に、保険料の支払方法を選択する選択画面を表示する。
【0118】
ステップS55では、証券発行部43は、年利(利率)17の利息の全部又は一部で保険料を支払う支払方法を選択する。
ステップS56では、証券発行部43は、配当18の全部又は一部で保険料を支払う支払方法を選択する。
【0119】
ステップS57では、証券発行部43は、年利(利率)17の利息の全部又は一部と別支払で保険料を支払う支払方法を選択する。
ステップS58では、証券発行部43は、配当18の全部又は一部と別支払で保険料を支払う支払方法を選択する。
【0120】
ステップS59では、証券発行部43は、利息の全部又は一部と配当18の全部又は一部で保険料を支払う支払方法を選択する。
ステップS60では、証券発行部43は、利息の全部又は一部と、配当18の全部又は一部と、別支払で保険料を支払う支払方法を選択する。ステップS55からステップS60はでは、利息及び配当の少なくとも1つが保険料の支払のためなくなる又は減額されることになる。
【0121】
ステップS61では、証券発行部43は、別支払のみで保険料を支払う支払方法を選択する。この場合、利息と配当は、全て受け取ることができる。
なお、利息で保険料を支払う(ステップS55)、配当のみで保険料を支払う(ステップS56)、並びに、利息及び配当で支払う(ステップS59)を選択している場合において、利息や配当だけでは保険料が不足するときは、不足分の支払が必要となる。
【0122】
ステップS62において、証券発行部43は、投資家によって選択された証券10について保険料の支払方法を確定させた状態で、証券10の購入処理を実行し、
図9に示す証券保有者を管理するデータベースを更新する。
【0123】
〔事業者コンピュータなどから総合管理コンピュータなどにデータをアップロードするときの処理の説明〕
上述のように、このデータ処理システムでは、事業に関するデータを総合管理コンピュータ70に送信する。具体的に、事業者コンピュータ60から事業計画に関するデータ、入札に関するデータ、工事の進捗等の状況に関するデータ、財務状況に関するデータ、事業状況や財務状況に関するデータ等を総合管理コンピュータ70に送信する。また、発行証券管理コンピュータ100は、総合管理コンピュータ70に、証券10の保有者や取引履歴等のデータを送信する。情報公開コンピュータ110は、総合管理コンピュータ70に、ウェブページの閲覧数のデータやアンケート結果等のデータを送信する。保険コンピュータ120は、算出した保険料のデータ等を総合管理コンピュータ70に送信する。総合管理コンピュータ70は、これらのデータを認証機関コンピュータ80に送信し、認証機関コンピュータ80は、受信したデータを基準データとして安全に管理する。これらの場合はコンピュータ100,110,120が送信側コンピュータとなり、総合管理コンピュータ70が受信側コンピュータとなる。
【0124】
一方で、情報公開コンピュータ110は、情報公開のため、総合管理コンピュータ70から、認証機関コンピュータ80から送信された事業計画に関するデータ、工事の進捗等の状況に関するデータ、財務状況に関するデータ、事業状況や財務状況に関するデータ等を取得する。保険コンピュータ120は、保険料算出のため、総合管理コンピュータ70から、認証機関コンピュータ80から送信された入札に関するデータ、業計画に関するデータ、工事の進捗等の状況に関するデータ、財務状況に関するデータ、事業状況や財務状況に関するデータ、テーブル45a,45c等を取得する。これらの場合はコンピュータ100,110,120が受信信側コンピュータとなり、総合管理コンピュータ70が送信側コンピュータとなる。
【0125】
図6に示すように、各コンピュータ60,70,80,100,110,120には、ハッシュ関数によってハッシュ値を算出するとともに、秘密鍵を安全に格納した認定プログラム60a,70a,80a,100a,110a,120aがインストールされている。認証機関コンピュータ80は、公開鍵も管理している(
図6参照)。
【0126】
送信側コンピュータから受信側コンピュータにデータを送る処理は、
図21の処理に従って行われる。一例として、
図21では、事業者コンピュータ60(送信側コンピュータ)が総合管理コンピュータ70(受信側コンピュータ)に、入札に関するデータ、業計画に関するデータ、工事の進捗等の状況に関するデータ、財務状況に関するデータ、事業状況や財務状況に関するデータ等を送信する処理を説明する。
【0127】
ステップS71において、事業者コンピュータ60の認定プログラム60aでは、総合管理コンピュータ70に対して送信するデータのカテゴリを選択する。具体的に、証券10の発行前の事業計画のカテゴリ、証券発行後の工事の進捗に関するカテゴリ、財務状況に関するカテゴリ等のカテゴリを選択する。
【0128】
ステップS72において、認定プログラム60aは、SSH秘密鍵を指定する。ステップS73において、認定プログラム60aは、認定プログラム60aにアクセスするためのパスフレーズの入力を促す。勿論、パスワードであってもよいし、パスフレーズとパスワードの両方でもよい。
【0129】
ステップS74において、認定プログラム60aは、受信コンピュータとなる総合管理コンピュータ70のIPアドレス、ポートを指定する。ステップS75において、認定プログラム60aは、送信コンピュータである認定プログラム60aのユーザ名を指定する。なお、ステップS72~ステップS75で設定するデータは、予め設定ファイルに書き込んでおき、入力を省略するようにしてもよい。
【0130】
ステップS76において、認定プログラム60aでは、総合管理コンピュータ70に送信するデータを格納したデータファイルを一又は複数選択する。ステップS77において、認定プログラム60aは、選択された各ファイルのハッシュ値を算出する。
【0131】
ステップS78において、各データファイルのハッシュ値を含む管理情報を生成する。ここでのハッシュ値は、情報公開部41がウェブページにデータを公表するときに、データ改変を検出するために使用されるものである。
【0132】
ステップS79において、認定プログラム60aは、全てのデータファイルを圧縮し、1つの第1圧縮ファイルを生成する。第1圧縮ファイルのフォーマットは、特に限定されるものではないが、ここでは一例としてZIPフォーマットで生成される。
【0133】
ステップS80において、認定プログラム60aは、第1圧縮ファイルのハッシュ値を算出する。ステップS81において、認定プログラム60aは、事前に確定した秘密鍵でハッシュ値を暗号化し、電子署名を生成する。
【0134】
ステップS82において、認定プログラム60aは、電子署名と第1圧縮ファイルをまとめて1つのファイルに圧縮し、第2圧縮ファイルを生成する。ここでも、例えば第2圧縮ファイルは、ZIPフォーマットで生成される。ステップS83において、認定プログラム60aは、第2圧縮ファイルの第2ハッシュ値を算出する。
【0135】
ステップS84において、認定プログラム60aは、第2圧縮ファイルのファイル名に当該ハッシュ値を設定する。なお、当該ハッシュ値は、別のファイルに書き込むようにしてもよい。ステップS85において、認定プログラム60aは、総合管理コンピュータ70に第2圧縮ファイル及び第2圧縮ファイルのハッシュ値を送信する。
【0136】
次に、
図22を参照して、事業者コンピュータ60から送信された第2圧縮ファイル及び第2圧縮ファイルのハッシュ値を受信する総合管理コンピュータ70の処理について説明する。
【0137】
ステップS91において、総合管理コンピュータ70の認定プログラム70aは、受信した第2圧縮ファイルの第2圧縮ファイルのハッシュ値を受信し、第2圧縮ファイルのハッシュ値を取得する。
【0138】
ステップS92において、認定プログラム70aは、第2圧縮ファイルのハッシュ値を算出する。ステップS93において、認定プログラム70aは、ステップS91で取得した第2圧縮ファイルのハッシュ値とステップS92で算出した第2圧縮ファイルのハッシュ値とを比較し、一致するとき、ステップS94に進み、不一致のとき、ステップS95に進む。
【0139】
ステップS94において、認定プログラム70aは、メモリ中に第2圧縮ファイルを解凍する。また、ステップS95において、認定プログラム70aは、データに改変があったものとして第2圧縮ファイルを削除する。
【0140】
ステップS96において、認定プログラム70aは、第2圧縮ファイルから電子署名と第1圧縮ファイルを取得する。ステップS97において、認定プログラム70aは、認証機関コンピュータ80から公開鍵を取得する。また、公開鍵を取得している場合は、本物かどうかの検証を行う。
【0141】
ステップS98において、公開鍵を用いて電子署名を復号し、第1圧縮ファイルのハッシュ値を取得する。ステップS99において、認定プログラム70aは、第1圧縮ファイルのハッシュ値を算出する。ステップS100において、認定プログラム70aは、ステップS98で取得した第1圧縮ファイルのハッシュ値とステップS99で算出した第1圧縮ファイルのハッシュ値とを比較し、一致するとき、処理を終了する又はステップS101に進む。また、不一致のとき、ステップS95に進む。
【0142】
ステップS101において、認定プログラム70aは、第1圧縮ファイルをメモリ中に回答しデータファイルを展開する。ステップS101において、認定プログラム70aは、管理情報をデータベースに格納する。
【0143】
なお、発行証券管理コンピュータ100は、総合管理コンピュータ70に、証券10の保有者、取引履歴等のデータを送信する。情報公開コンピュータ110は、総合管理コンピュータ70に、ウェブページの閲覧数のデータやアンケート結果等のデータを送信する。保険コンピュータ120は、算出した保険料等のデータを総合管理コンピュータ70に送信する。これらのコンピュータ100,110,120が総合管理コンピュータ70にアップロードする処理も
図21及び
図22の処理と同様であるため詳細は省略する。
【0144】
〔総合管理コンピュータから認証機関コンピュータにアップロードするときの処理の説明〕
認定プログラム60aは、認証機関コンピュータ80に基準データとして提供する場合、第2圧縮ファイルのまま認証機関コンピュータ80に送信する。そこで、
図23を参照して、総合管理コンピュータ70から認証機関コンピュータ80に第2圧縮ファイルをアップロードする処理を説明する。
【0145】
ステップS111において、総合管理コンピュータ70の認定プログラム70aと認証機関コンピュータ80の認定プログラム80aは、量子鍵配送等の量子暗号によって安全な通信回路を確立する。ステップS112~ステップS115は、上述したステップS72~ステップS75と同じ処理である。そして、認定プログラム70aは、ステップS116において、第2圧縮ファイル及び第2圧縮ファイルのハッシュ値を選択し、ステップS117において、認証機関コンピュータ80に送信する。認証機関コンピュータ80では、ステップS91~ステップS102までの処理を実行する。
【0146】
〔進捗管理データベースの処理の説明〕
図24に示すように、インフラ建設工事等の大規模工事では、着手金の支払工程、準備工事工程、躯体工事工程、中間金の支払工程、内装・外装工事工程、外構工事工程、引渡金の支払工程の順で工事が行われる。事業者コンピュータ60は、事業計画に関するデータ、工事の進捗等の状況に関するデータ、財務状況に関するデータ、事業状況や財務状況(事業状況、証券10の配当、利息を含む)に関するデータ等を進捗管理データベース61で管理している。そして、事業者コンピュータ60は、
図21に示す処理を行って、進捗管理データベースのデータを、工程毎に、又は、定期的に、総合管理コンピュータ70に送信する。総合管理コンピュータ70は、認証機関コンピュータ80に送信する。
【0147】
〔データをブロックチェーンに格納する処理の説明〕
ところで、事業者コンピュータ60から提供される事業計画に関するデータ、工事の進捗等の状況に関するデータ、財務状況に関するデータ、事業状況や財務状況に関するデータ等は、投資家が証券10を購入して、投資をするかどうか、投資を継続するかどうかを判断するためのデータである。また、これらのデータは、保険20の保険料を算出するためのデータとしても用いられる。したがって、これらのデータは、安全に管理され、改ざんされるような管理であってはならない。また、過去の保険料の履歴も証券10の所有者の履歴等も同様である。そこで、データ処理システムでは、ブロックチェーンを利用してこれらのデータを管理している。ここでは、保険料をブロックチェーンに格納する処理について
図25を参照して説明する。ここで使用するブロックチェーンは、コンソーシアム型であって、許可をもらったメンバ、ここでは金融機関や保険会社のコンピュータがピアノード(Peer・Node)となって、P2Pネットワークを構成している。勿論、ブロックチェーンは、パブリック型であってもよい。
【0148】
ステップS121において、保険コンピュータ120の算出部46は、認証機関コンピュータ80からウェブページの閲覧数のデータやアンケートの集計データ等を取得する。ステップS122において、算出部46は、基準保険料46xを算出し、更に企画競争入札の場合の係数46z及び閲覧数やアンケート結果に関する係数46yに基づいて最終保険料46aを算出する。
【0149】
ステップS123において、保険コンピュータ120は、トランザクションに最終保険料46aを設定し、ステップS124において、トランザクションをピアノードに送信する。ピアノードでは、チェーンコードを動作させて、トランザクションを検証する。そして、結果に署名をして返信する。ステップS125において、保険コンピュータ120は、ピアノードでの検証結果と共に認証機関コンピュータ80へトランザクションを送信する。
【0150】
ステップS126において、認証機関コンピュータ80は、保険料が適正かを検証し、必要に応じて修正した修正保険料をトランザクションに追加する。ステップS127において、認証機関コンピュータ80は、トランザクションを整列し、ステップS128において、トランザクションからブロックを生成する。
【0151】
ステップS129において、認証機関コンピュータ80は、ブロックをブロードキャストでピアノードに送信する。ステップS130において、各ピアノードは、ブロックを検証し、ステップS131において、チェーンコードを実行し、各ピアノードのステートデータベースを更新し、保険料を保存する。
【0152】
また、
図26に示すように、ブロックチェーンには、証券10の売買履歴を格納するようにしている。ステップS141において、証券発行部43は、投資家によって選択された証券10について保険料の支払い方法を確定させた状態で、証券10の購入処理を実行し、
図9に示す証券保有者を管理するデータベースを更新する。ステップS142において、発行証券管理コンピュータ100は、トランザクションに、証券10の購入者IDと証券10を識別する証券IDを設定する。
【0153】
ステップS143において、発行証券管理コンピュータ100は、トランザクションをピアノードに送信する。ピアノードでは、トランザクションを検証する。ステップS144において、発行証券管理コンピュータ100は、ピアノードでの検証結果と共に認証機関コンピュータ80へトランザクションを送信する。
【0154】
ステップS145において、認証機関コンピュータ80は、トランザクションを整列する。ステップS146において、認証機関コンピュータ80は、トランザクションからブロックを生成する。ステップS147において、認証機関コンピュータ80は、ブロックをブロードキャストでピアノードに送信する。
【0155】
ステップS148において、各ピアノードは、ブロックを検証し、ステップS149において、チェーンコードを実行し、各ピアノードのステートデータベースを更新し、購入者ID、証券ID等を保存する。
【0156】
以上のようなデータ処理システムは、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1-1)証券10における非保証部分に対する保険20を設けることができる。
(1-2)保険料に証券10の利息及び/又は配当を充当することができる。したがって、証券10の保有者であって保険20の加入者は特に保険料を支払う手間を省くことができる。また、これにより、保険料を決める要素の1つである予定事業費率を下げることができ、全体として保険料を下げることができる。
【0157】
(1-3)保険20は、複数の事業の各々に対して発行された証券10を集めたグループ21に対する保険である。したがって、保険加入者の人数が大きくなり、保険料を低く設定することができる。
【0158】
(1-4)情報公開部41は、証券10を発行して資金調達をする事業の事業計画を事前にウェブページで公開し、ウェブページの閲覧数を管理している。閲覧数が多い証券10は、それだけ注目度や人気が高く、それはその証券10で調達される事業についての注目度や人気が高く、事業が滞るリスクも低くなると言える。算出部46は、閲覧数が多いほど保険料を低くする処理を行うことで、保険料を容易に算出し、かつ、保険料を安くすることができる。
【0159】
(1-5)情報公開部41は、証券10の発行後において、所定期間毎に事業の状況をウェブページにおいて公開し、ウェブページの閲覧数を管理している。証券10の発行後であっても、閲覧数が多い証券10は、それだけ注目度や人気が高く、事業が滞るリスクも低くなると言える。算出部46は、証券発行後の保険料の見直しのとき等に、閲覧数が多いほど保険料を低くする処理を行うことで、保険料を容易に算出し、かつ、保険料を安くすることができる。
【0160】
(1-6)アンケート部42は、証券を発行して資金調達をする事業の賛否を問うアンケートを事前に実施する処理を行うことで、地域住民の事業に対する意見を取得することができる。アンケートの結果、事業に対する肯定的な意見が多いときには、その事業が滞るリスクが低いと言える。算出部46は、事業に対して肯定的回答数が多いほど保険料を低くする処理を行うことで、保険料を容易に算出し、かつ、保険料を安くすることができる。
【0161】
(1-7)アンケート部42は、証券10の発行後において、所定期間毎に事業に対する評判に関するアンケートを実施する処理を行うことで、地域住民の事業に対する意見を取得することができる。アンケートの結果、評判が高いときには、それだけ注目度や人気が高く、事業が滞るリスクも低くなると言える。算出部46は、証券発行後の保険料の見直しのとき等に、評判が高いほど保険料を低くする処理を行うことで、保険料を容易に算出し、かつ、保険料を安くすることができる。
【0162】
(1-8)事業計画が企画競争入札によって応札された者の企画書に従って具体化されたものである場合には、更に保険料を低くする処理を行うことで、保険料を容易に算出し、かつ、保険料を安くすることができる。
【0163】
(1-9)情報公開部41で公開される証券10や事業に関するデータは、ハッシュ関数を用いて、データが改変されていないことが証明されたデータであるので、公表されたデータの信頼性を高めることができる。
【0164】
(1-10)保険料の算出の基礎となる閲覧数やアンケート結果や入札方法などは電子署名が付加されて総合管理コンピュータ70を通じて認証機関コンピュータ80に送信されるので、データ改変を防ぐことができる。
【0165】
(1-11)保険料及び保険料算出のために使用する情報をブロックチェーンに格納するので、安全な状態で管理されることになる。長期に亘る事業は各年のデータを前提としたデータであって、過去に改変されたデータが存在すると、後のデータが誤りを有するデータとなってしまう。ブロックチェーンを利用することで、各データが安全に管理されるので、このような不測の事態の発生を防ぐことができる。
【0166】
〔第2実施形態〕
〔保証人に対する保険の説明〕
図27に示すように、証券10は、債務部分を備えており、債務部分は、国又は地方公共団体等の第三者の保証人に保証された保証部分となる。保証人は、1つの事業に対する証券10の保証人となるだけでなく、複数の証券10の保証人となることもあり、保証人の対する保険制度もあれば、第三者も保証人を引き受け易くなる。そこで、保証人を対象とした保険200を構成するようにしている。この保険200では、保証人が保険料を支払うことになる。そして、この保険200の保険料にあっても、保険コンピュータ120の算出部46が保険料を算出する。この保険料の算出方法は、第1実施形態における非保証部分の保険20の保険料の算出方法と同じである。
【0167】
すなわち、算出部46は、保険料の算出に当たっては、
図15に示すように、基準保険料46xを算出する。また、算出部46は、ウェブページの閲覧数に応じた係数を選択するテーブル45a(
図12)を参照して、閲覧数に基づく係数46yを決定する。更に、アンケートにおける賛成の数と係数を関連付けたテーブル45b,45c(
図13、
図14)を参照して、アンケート結果に基づく係数46yを決定する。更に、算出部46は、更に、この事業は、上述のように、企画競争入札によって応札された者の企画書に従って具体化されたものである場合もあり、そのような場合は、係数46z(1.0未満)を更に乗じて最終保険料46aを算出する。そして、算出部46は、基本保険料に対して、係数46y,46zを乗じて、最終保険料46aを算出する。
【0168】
保険コンピュータ120の支払判定部47は、認証機関コンピュータ80から事業状況や財務状況に関するデータを受け取り、発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥っているかを判断し、利息支払不能及び/又は債務不履行に陥っているとき、保証部分に対する保険金の支払処理に移行し、保証人に対し証券10の保証部分の支払処理を行う。保証人は、支払われた保険金で、証券10の証券保有者である投資家に対して保証金を支払うことになる。
【0169】
以上のようなデータ処理システムは、以下に列挙する効果を得ることができる。
(2-1)証券10における保証部分を保証する保証人に対する保険200を設けることができる。
【0170】
(2-2)算出部46は、閲覧数が多いほど保険料を低くする処理を行うことで、保険料を容易に算出し、かつ、保険料を安くすることができる。また、算出部46は、証券発行後の保険料の見直しのとき等に、閲覧数が多いほど保険料を低くする処理を行うことで、保険料を容易に算出し、かつ、保険料を安くすることができる。
【0171】
(2-3)算出部46は、事業に対して肯定的回答数が多いほど保険料を低くする処理を行うことで、保険料を容易に算出し、かつ、保険料を安くすることができる。また、算出部46は、証券発行後の保険料の見直しのとき等に、評判が高いほど保険料を低くする処理を行うことで、保険料を容易に算出し、かつ、保険料を安くすることができる。
【0172】
(2-4)算出部46は、証券10における非保証部分に対する保険20の保険料算出に用いた係数46y,46zを保険200の保険料算出にも使用することができ、保険料算出が容易となる。
【0173】
(2-5)事業計画が企画競争入札によって応札された者の企画書に従って具体化されたものである場合には、更に保険料を低くする処理を行うことで、保険料を容易に算出し、かつ、保険料を安くすることができる。
【0174】
〔第3実施形態〕
〔事業者に対する保険の説明〕
図28に示すように、証券10は、額面価格13のX%は投資家から見て保証人に保証された保証部分であり、更に配当もある。したがって、証券10は、投資家から見て購入しやすいものとなっており、事業者から見て資金調達のために使用し易いものとなっている。事業者は、収益に対する保証があれば、より証券10を用いて事業資金を調達するための動機付けとなる。そこで、事業者を対象とした事業収益を保証する保険300を構成するようにしている。この保険300では、事業者が保険料を支払うことになる。そして、この保険300の保険料にあっても、保険コンピュータ120の算出部46が保険料を算出する。この保険料の算出方法は、第1実施形態における非保証部分の保険20の保険料の算出方法と同じである。
【0175】
すなわち、算出部46は、保険料の算出に当たっては、
図15に示すように、基準保険料46xを算出する。また、算出部46は、ウェブページの閲覧数に応じた係数を選択するテーブル45a(
図12)を参照して、閲覧数に基づく係数46yを決定する。更に、アンケートにおける賛成の数と係数を関連付けたテーブル45b,45c(
図13、
図14)を参照して、アンケート結果に基づく係数46yを決定する。更に、算出部46は、更に、この事業は、上述のように、企画競争入札によって応札された者の企画書に従って具体化されたものである場合もあり、そのような場合は、係数46z(1.0未満)を更に乗じて最終保険料46aを算出する。そして、算出部46は、基本保険料に対して、係数46y,46zを乗じて、最終保険料46aを算出する。ここでは、発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥るリスク、又は、予想収益が得られないリスクを考慮して、最終保険料46aを算出する。
【0176】
保険コンピュータ120の支払判定部47は、認証機関コンピュータ80から事業状況や財務状況に関するデータを受け取り、発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥っているかを判断し、更に、発行法人が利息支払不能及び/又は債務不履行に陥った場合に、保険金の支払処理に移行し、事業者に対し収益を保証する保険金の支払処理を行う。保険金は、収益の全部でもよいし、一部でもよい。
【0177】
また、支払判定部47は、認証機関コンピュータ80から事業状況や財務状況に関するデータを受け取り、予想収益を得られるかどうかを判断し、予想収益が得られなかった場合に、予想収益と実際の利益との差額の全部または一部を保証する保険金の支払処理を行う。予想収益は、前年度や事業開始時や中期予測、長期予測など保険契約時や見直し時に定められた利益である。
【0178】
以上のようなデータ処理システムは、以下に列挙する効果を得ることができる。
(3-1)証券10を用いて資金調達をしたて事業を行う事業者を対象とした収益を保証する保険300を設けることができる。
【0179】
(3-2)算出部46は、閲覧数が多いほど保険料を低くする処理を行うことで、保険料を容易に算出し、かつ、保険料を安くすることができる。また、算出部46は、証券発行後の保険料の見直しのとき等に、閲覧数が多いほど保険料を低くする処理を行うことで、保険料を容易に算出し、かつ、保険料を安くすることができる。このような場合は、収益も大きくなる蓋然性が高いからである。
【0180】
(3-3)算出部46は、事業に対して肯定的回答数が多いほど保険料を低くする処理を行うことで、保険料を容易に算出し、かつ、保険料を安くすることができる。また、算出部46は、証券発行後の保険料の見直しのとき等に、評判が高いほど保険料を低くする処理を行うことで、保険料を容易に算出し、かつ、保険料を安くすることができる。このような場合は、収益も大きくなる蓋然性が高いからである。
【0181】
(3-4)算出部46は、保険料算出に用いた係数46y,46zを保険300の保険料算出にも使用することができ、保険料算出が容易となる。
(3-5)事業計画が企画競争入札によって応札された者の企画書に従って具体化されたものである場合には、更に保険料を低くする処理を行うことで、保険料を容易に算出し、かつ、保険料を安くすることができる。このような場合は、収益も大きくなる蓋然性が高いからである。
【0182】
なお、データ処理システムは、更に、例えば以下のように適宜変更して実施することもできる。
・アンケート部42が証券発行後にアンケートを実施し、その結果に応じて、算出部46が保険料を低く設定する処理を行わないようにしてもよい。また、証券発行前にアンケートを実施し、その結果に応じて、算出部46が保険料を低く設定する処理を行わないようにしてもよい。
【0183】
・情報公開部41は、証券発行後に所定期間毎にウェブページの閲覧数を管理し、算出部46が閲覧数が多いほど、保険料を低く設定する処理を行わないようにしてもよい。また、証券発行前に、ウェブページの閲覧数を管理し、算出部46が閲覧数が多いほど、保険料を低く設定する処理を行わないようにしてもよい。
【0184】
・最終保険料46aの算出は、基本保険料に、ウェブページの閲覧数及び/又はアンケート結果を考慮に入れた係数46y、企画競争入札を経た事業に対して保険料を低くする係数46zの何れかを乗じるようにしてもよい。また、両方の係数46y,46zを使用しなくてもよい。更に、係数46y,46zを格納したテーブル45a,45b,45cは、保険コンピュータ120の算出部46が保持していてもよいし、認証機関コンピュータ120が管理し、必要に応じて、算出部46に提供するようにしてもよい。
【0185】
・ウェブページの閲覧数を事業に対する注目度の指標として、保険料の算出などに用いているが、閲覧数に代えて、又は、閲覧数と共にウェブページの総閲覧時間を事業に対する注目度の指標として用いてもよい。総閲覧時間とは、アクセスした端末各々がウェブページを閲覧した時間(閲覧開始日時および閲覧終了日時に基づき算出)を合計した時間である。
【0186】
・
図6のデータ処理システムにおいて、認証機関コンピュータ80を省略する構成としてもよい。この場合、総合管理コンピュータ70は、コンピュータ60,100,110,120とデータのやり取りをSSH公開鍵方式等で行うことになる。
【0187】
・総合管理コンピュータ70及び認証機関コンピュータ80を省略する構成としてもよい。この場合、例えば、事業者コンピュータ60は、事業計画に関するデータ、入札に関するデータ、工事の進捗等の状況に関するデータ、財務状況に関するデータ、事業状況や財務状況に関するデータ等を情報公開コンピュータ110や保険コンピュータ120に送信することになる。
【0188】
・証券10では、社会インフラなどの大規模なコンクリートなどを用いた構造物の建造運営の事業に限定されるものではなく、創薬、ソフトウェアの開発などの事業にも適用可能である。
【0189】
・更に、国民が日常生活を送るに当たり、直面する様々な懸念リスクに備えた社会保障である社会保険(医療保険(健康保険、船員保険、日雇健康保険、自衛官診療証、共済組合、国民健康保険、後期高齢者医療制度)、年金保険(国民年金、厚生年金)、介護保険、雇用保険、労働者災害補償保険)の事業資金の調達にも適用可能である。更に、医療保険、生命保険などの民間保険の事業資金の調達にも適用可能である。
【0190】
・データ処理システムとしては、CPU31とROM32とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態において実行されるソフトウェア処理の少なくとも一部を処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、データ処理システムは、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するROM等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア実行装置および1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路(processing circuitry)によって実行されればよい。プログラム格納装置すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されてもよく、プログラムがコンピュータによって実行されるとき、プログラムがコンピュータに手順を実行させてもよい。
【符号の説明】
【0191】
30…管理システム、41…情報公開部、42…アンケート部、43…証券発行部、44…証券管理部、45…証券保有者管理部、45a…テーブル、45b…テーブル、45c…テーブル、46…算出部、47…支払判定部、50…投資家コンピュータ、60…事業者コンピュータ、60a…認定プログラム、61…進捗管理データベース、70…総合管理コンピュータ、70a…認定プログラム、80…認証機関コンピュータ、80a…認定プログラム、100…発行証券管理コンピュータ、100a…認定プログラム、110…情報公開コンピュータ、110a…認定プログラム、120…保険コンピュータ、120a…認定プログラム。