IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トレデガー サーフェイス プロテクション エルエルシーの特許一覧

特許7445664基材間のインターリーフとして使用されるフィルム及びその製造方法
<>
  • 特許-基材間のインターリーフとして使用されるフィルム及びその製造方法 図1A
  • 特許-基材間のインターリーフとして使用されるフィルム及びその製造方法 図1B
  • 特許-基材間のインターリーフとして使用されるフィルム及びその製造方法 図1C
  • 特許-基材間のインターリーフとして使用されるフィルム及びその製造方法 図1D
  • 特許-基材間のインターリーフとして使用されるフィルム及びその製造方法 図1E
  • 特許-基材間のインターリーフとして使用されるフィルム及びその製造方法 図1F
  • 特許-基材間のインターリーフとして使用されるフィルム及びその製造方法 図2A
  • 特許-基材間のインターリーフとして使用されるフィルム及びその製造方法 図2B
  • 特許-基材間のインターリーフとして使用されるフィルム及びその製造方法 図3
  • 特許-基材間のインターリーフとして使用されるフィルム及びその製造方法 図4
  • 特許-基材間のインターリーフとして使用されるフィルム及びその製造方法 図5
  • 特許-基材間のインターリーフとして使用されるフィルム及びその製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】基材間のインターリーフとして使用されるフィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/03 20060101AFI20240229BHJP
   C03B 40/033 20060101ALI20240229BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20240229BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20240229BHJP
   B65D 85/48 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B65D81/03 100Z
C03B40/033
B32B5/18
B32B27/32 E
B65D85/48
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021537163
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 US2020014400
(87)【国際公開番号】W WO2020154286
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】62/795,172
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】320007631
【氏名又は名称】トレデガー サーフェイス プロテクション エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】レイ カール ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】デサイ バンキム ブーペンドラ
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-521071(JP,A)
【文献】特開2001-192244(JP,A)
【文献】特開2010-275006(JP,A)
【文献】特開平09-132263(JP,A)
【文献】米国特許第04507351(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/03
B65D 85/48
B32B 5/18-27/32
C03B 40/033
C09J 7/38
C03C 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の微小エンボス加工された面および第1の形成パターンを有する第1の側と、
第2の微小エンボス加工された面および第2の形成パターンを有する第2の側と、
5gsm~80gsmの坪量と、
低負荷厚さ試験による150マイクロメートル~400マイクロメートルの低負荷厚さと、
サーキュラー・ベンドこわさ試験による150グラム~500グラムの曲げこわさと
を備え、
前記第1の形成パターンと前記第2の形成パターンが互いに相補的であり、
前記第1の形成パターンが、第1方向に延在する複数の第1の山および複数の第1の谷を備え、
前記第1の山と前記第1の谷とが、前記第1方向に垂直な第2方向に交互に配置され、
前記第2の形成パターンが、前記第1方向に延在する複数の第2の山および複数の第2の谷を備え、
前記第2の山と前記第2の谷とが、前記第2方向に交互に配置され、
前記フィルムの前記第1の側の各第1の山が、前記フィルムの前記第2の側の第2の谷の反対側であり、前記フィルムの前記第1の側の各第1の谷が、前記フィルムの前記第2の側の第2の山の反対側であり、前記フィルムの前記第2方向に沿った断面は波状の形態である
基材間のインターリーフとして使用するためのフィルムであって、
前記インターリーフは前記基材間から分離可能である、フィルム
【請求項2】
前記第1方向は機械方向であり、
前記第2方向は横断方向である
請求項に記載のフィルム。
【請求項3】
前記フィルムの前記第1の側が、前記横断方向に延在する複数の第3の山および複数の第3の谷を備えた第3の形成パターンをさらに備え、
前記第3の山と前記第3の谷とが前記機械方向に交互に配置され、
前記フィルムの前記第2の側が、前記横断方向に延在する複数の第4の山および複数の第4の谷を備えた第4の形成パターンをさらに備え、
前記第4の山と前記第4の谷とが前記機械方向に交互に配置された、
請求項に記載のフィルム。
【請求項4】
前記フィルムの前記第1の側の各第3の山が、前記フィルムの前記第2の側の第4の谷の反対側である、請求項に記載のフィルム。
【請求項5】
前記第1方向は横断方向であり、
前記第2方向は機械方向である
請求項に記載のフィルム。
【請求項6】
前記曲げこわさが、サーキュラー・ベンドこわさ試験による300グラム~350グラムである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
0%~60%の圧縮率をさらに備える、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
0%~95%の弾性をさらに備える、請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
コア層、前記コア層の一方の側の第1のスキン層、および前記コア層の反対側の第2のスキン層をさらに備える、請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
前記第1のスキン層および/または前記第2のスキン層が発泡されている、請求項に記載のフィルム。
【請求項11】
前記コア層が発泡されている、請求項に記載のフィルム。
【請求項12】
前記フィルムがポリオレフィンを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項13】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、高結晶性ポリプロピレン、ホモポリマー・ポリプロピレン、有核ポリプロピレン、コポリマー・ポリプロピレン、またはこれらのブレンドを含む、請求項12に記載のフィルム。
【請求項14】
スリップ剤、造核剤、抗酸化物質安定剤、および界面活性剤からなる群から選択された少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項12に記載のフィルム。
【請求項15】
前記第1の微小エンボス加工された面と前記第2の微小エンボス加工された面は、0.1マイクロメートル(μm)~18.0マイクロメートル(μm)の範囲の平均表面粗さRaを有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項16】
前記第1の微小エンボス加工された面と前記第2の微小エンボス加工された面は、0.1マイクロメートル(μm)~18.0マイクロメートル(μm)の範囲の表面粗さRzを有する、請求項1に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、内容全体が参照によって本書に援用される、2019年1月22日に出願された米国仮特許出願第62/795,172号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、板ガラスまたは厚板ガラスなどの基材間のインターリーフとして使用するためのフィルムを対象とする。
【背景技術】
【0003】
間紙は、一般に、複数の板ガラスが一般的に傾斜面上で、横並びに、または上下に積み重ねられる取扱い中または搬送中に、保護シートとして板ガラスのメーカーによって使用される。間紙は、積み重ねられた板ガラス間の衝撃および摩耗を低減する物理的障壁として作用することによって、保護を提供する。しかしながら、間紙は、板ガラスの表面上に微粒子を残す場合が多く、それが板ガラスの表面にしみ、汚染、および/または擦り傷を生じさせる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
取扱い中に変形するのに十分なこわさがあり、紙に類似したシート状インターリーフの配置を容易にし、微粒子を最小限に抑えるかまたは排除し、また、隣接する板ガラス間の緩衝効果をもたらす、現在の板ガラス用の間紙に代わるインターリーフを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様によれば、板ガラス間のインターリーフとして使用するためのフィルムが提供される。本フィルムは、第1の微小エンボス加工された面および第1の形成パターンを有する第1の側と、第2の微小エンボス加工された面および第2の形成パターンを有する第2の側とを含む。本フィルムは、約35gsm~約80gsmの坪量と、低負荷厚さ試験による約150マイクロメートル~400マイクロメートルの低負荷厚さと、サーキュラー・ベンドこわさ試験による約150グラム~約500グラムの曲げこわさとを有する。
【0006】
一実施形態では、第1の形成パターンと第2の形成パターンは互いに相補的である。
【0007】
一実施形態では、第1の形成パターンは、機械方向に延在する複数の第1の山および複数の第1の谷を含む。第1の山と第1の谷とは、機械方向に垂直な横断方向に交互に配置される。第2の形成パターンは、機械方向に延在する複数の第2の山および複数の第2の谷を含む。第2の山と第2の谷とは、横断方向に交互に配置される。一実施形態では、フィルムの第1の側の各第1の山は、フィルムの第2の側の第2の谷の反対側である。
【0008】
一実施形態では、フィルムの第1の側は、横断方向に延在する複数の第3の山および複数の第3の谷を備えた第3の形成パターンをさらに備える。第3の山と第3の谷とは機械方向に交互に配置される。フィルムの第2の側は、横断方向に延在する複数の第4の山および複数の第4の谷を備えた第4の形成パターンをさらに備える。第4の山と第4の谷とは機械方向に交互に配置される。一実施形態では、フィルムの第1の側の各第3の山は、フィルムの第2の側の第4の谷の反対側である。
【0009】
一実施形態では、第1の形成パターンは、横断方向に延在する複数の第1の山および複数の第1の谷を含む。第1の山と第1の谷とは、横断方向に垂直な機械方向に交互に配置される。第2の形成パターンは、横断方向に延在する複数の第2の山および複数の第2の谷を含む。第2の山と第2の谷とは、機械方向に交互に配置される。一実施形態では、フィルムの第1の側の各第1の山は、フィルムの第2の側の第2の谷の反対側である。
【0010】
一実施形態では、本フィルムの曲げこわさは、サーキュラー・ベンドこわさ試験による約300グラム~約350グラムである。
【0011】
一実施形態では、本フィルムは約20%~約60%の圧縮率を有する。
【0012】
一実施形態では、本フィルムは約80%~約95%の弾性を有する。
【0013】
一実施形態では、本フィルムは、コア層、コア層の一方の側の第1のスキン層、およびコア層の反対側の第2のスキン層を含む。一実施形態では、第1のスキン層および/または第2のスキン層は発泡されている。一実施形態では、コア層は発泡されている。
【0014】
一実施形態では、本フィルムはポリオレフィンを含む。一実施形態では、ポリオレフィンは、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、高結晶性ポリプロピレン、ホモポリマー・ポリプロピレン、有核ポリプロピレン、コポリマー・ポリプロピレン、またはこれらのブレンドを含む。一実施形態では、本フィルムはまた、スリップ剤、造核剤、抗酸化物質安定剤、および界面活性剤からなる群から選択された少なくとも1つの添加剤を含む。
【0015】
一実施形態では、基材は、ガラス、ポリカーボネート、ポリ(メチル・メタクリレート)、またはステンレス鋼から構成される。
【0016】
本発明の態様によれば、基材間のインターリーフとして使用するためのフィルムを製造する方法が提供される。本方法は、ポリオレフィンを含む溶融カーテンを、約0.25マイクロメートル~約20.3マイクロメートルの表面粗さRaを有する冷却ローラと、約0.25マイクロメートル~約20.3マイクロメートルの表面粗さRaを有する間隙ローラとの間に形成された間隙に押し出して、一方の側に第1の微小エンボス加工された面、および第1の側の反対側の第2の側に第2の微小エンボス加工された面を有する微小エンボス加工されたポリマー・フィルムを形成するステップを含む。本方法はまた、微小エンボス加工されたポリマー・フィルムの第1の側と接触する雄形成ローラ、および微小エンボス加工されたポリマー・フィルムの第2の側と接触する相手側の雌形成ローラを用いて微小エンボス加工されたポリマー・フィルムにパターンを形成するステップを含む。
【0017】
一実施形態では、雄形成ローラと雌形成ローラとは、約254マイクロメートル~約2032マイクロメートルの係合深さを有する。一実施形態では、係合深さは約508マイクロメートル~約1778マイクロメートルである。
【0018】
一実施形態では、冷却ローラおよびエンボス加工ローラはそれぞれ、約2.5マイクロメートル~約17.8マイクロメートルの表面粗さRaを有する。
【0019】
本発明のこれらおよび他の態様、特徴、および特性、ならびに関連する構造的要素および部分の組合せの製造方法および機能と、製造の経済性は、全て本明細書の一部を成す添付図面を参照して、以下の説明および添付の特許請求の範囲を考察するとさらに明白となるであろう。しかしながら、図面は単に例示および説明のためのものであり、本発明の限定を定義しようとするものではないことが明確に理解されるべきである。本明細書および特許請求の範囲で使用するとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈において別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0020】
以下の図面の構成要素は、本開示の一般原理を強調するために例示され、必ずしも縮尺通りではない。一貫性および明瞭性のため、対応する構成要素を示す参照符号は、図面全体を通して必要に応じて繰り返される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】本発明の実施形態によるフィルムの概略上面図である。
図1B】線1B-1Bに沿って見た、図1Aのフィルムの概略断面図である。
図1C】本発明の実施形態によるフィルムの上側の写真である。
図1D図1Cのフィルムの上側の一部分の拡大写真である。
図1E図1Cのフィルムの下側の一部分の拡大写真である。
図1F図1Cのフィルムの一部分の断面の顕微鏡写真である。
図2A】本発明の実施形態によるフィルムの概略上面図である。
図2B図2Aのフィルムの上側の一部分の拡大写真である。
図3図1A図1Fに示したフィルムを製造するための装置の実施形態の概略図である。
図4図3の装置の形成ステーションの実施形態の概略断面図である。
図5図3の装置の形成ステーションの実施形態の概略断面図である。
図6図2A図2Bに示したフィルムを製造するための装置の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1A図1Fは、本発明の実施形態によるフィルム100を示す。フィルム100は、x寸法、y寸法、およびz寸法を有する。x寸法は、図3に示され、下でさらに詳細に説明される装置300で製造される際の、フィルム100の機械方向MDと一致する。y寸法は、図3に示される装置300で製造される際の、x寸法および機械方向MDに垂直な、フィルム100の横断方向TDと一致し、z寸法は、x寸法およびy寸法の両方に垂直である。
【0023】
フィルム100は第1の側110、および第1の側110の反対側の第2の側120を有する。下でさらに詳細に説明され、図1Dおよび図1Eに示されるように、第1の側110は第1の微小エンボス加工された面111を有し、第2の側120は第2の微小エンボス加工された面121を有する。一実施形態では、第1の微小エンボス加工された面111と第2の微小エンボス加工された面121は、同じ微小エンボス・パターンを有してもよい。一実施形態では、第1の微小エンボス加工された面111と第2の微小エンボス加工された面121は、異なる微小エンボス・パターンを有してもよい。一実施形態では、第1の微小エンボス加工された面111および/または第2の微小エンボス加工された面121は、約0.1マイクロメートル(μm)~約18.0マイクロメートル(μm)の範囲の平均表面粗さRaを有してもよい。一実施形態では、第1の微小エンボス加工された面111および/または第2の微小エンボス加工された面121は、約3.0マイクロメートル(μm)~約9.0マイクロメートル(μm)の範囲の平均表面粗さRaを有してもよい。一実施形態では、第1の微小エンボス加工された面111および/または第2の微小エンボス加工された面121は、約0.1マイクロメートル(μm)~約0.8マイクロメートル(μm)の範囲の平均表面粗さRaを有してもよい。一実施形態では、第1の微小エンボス加工された面111および/または第2の微小エンボス加工された面121は、約9.0マイクロメートル(μm)~約18.0マイクロメートル(μm)の範囲の平均表面粗さRaを有してもよい。一実施形態では、第1の微小エンボス加工された面111および/または第2の微小エンボス加工された面121は、約10マイクロメートル(μm)~約30マイクロメートル(μm)の範囲の平均表面粗さRz(5つの最大山頂と5つの最低谷底の高さの平均)、および約100マイクロメートル(μm)~約300マイクロメートル(μm)の山頂間の平均間隔Smを有してもよい。
【0024】
図1Aおよび図1Cに示されるように、フィルム100の第1の側110はまた、機械方向MDに延在する複数の第1の山112、および機械方向MDに延在する複数の第1の谷114とを含む第1の形成パターンを含む。複数の第1の山112と複数の第1の谷114は、フィルム100の横断方向TDに交互に配置される。複数の第1の実質的に平面部分116は、図1Bおよび図1Fに示されるように、第1の山112と第1の谷114を接続する。
【0025】
フィルム100の第2の側120もまた、機械方向MDに延在する複数の第2の山122、および機械方向MDに延在する複数の第2の谷124を含む第2の形成パターンを含む。複数の第2の山122と複数の第2の谷124は、フィルム100の横断方向TDに交互に配置される。複数の第2の実質的に平面部分126は、第2の山122と第2の谷124を接続する。一実施形態では、複数の第1の山112および複数の第1の谷114は横断方向TDに延在し、機械方向MDに交互に配置され、複数の第2の山122および複数の第2の谷124は横断方向TDに延在し、機械方向MDに交互に配置される。図示の実施形態は、どのようにも限定することも意図していない。
【0026】
図2Aおよび図2Bは、機械方向MDに延在し、横断方向TDに交互に配置された複数の第1の山212と複数の第1の谷214、ならびに、横断方向TDに延在し、機械方向MDに交互に配置された複数の第2の山213と複数の第2の谷215を含んで第1の形成格子パターンを形成する第1の形成パターンを第1の側210が有する、フィルム200の実施形態を示す。図示のように、複数の第1の実質的に平面部分216は、第1の山212と第1の谷214を接続し、複数の第2の実質的に平面部分217は、第2の山213と第2の谷215を接続する。第1の実質的に平面部分216と第2の実質的に平面部分217は、実質的に矩形または方形の領域に共存する。同様に、機械方向MDに延在し、横断方向TDに交互に配置された複数の第3の山と複数の第3の谷、ならびに、横断方向TDに延在し、機械方向MDに交互に配置された複数の第4の山と複数の第4の谷を含んで第2の形成格子パターンを形成する第2の形成パターンをフィルム200の第2の側(図示せず)は含む。
【0027】
図1Bおよび図1Fに戻ると、フィルム100の第1の側110の第1の山112はフィルム100の第2の側120の第2の谷124の反対側であり、フィルム100の第1の側110の第1の谷114はフィルム100の第2の側120の第2の山122の反対側であり、フィルム100の第1の側110の第1の実質的に平面部分116は、フィルム100の第2の側120の第2の実質的に平面部分126の反対側であり、それによって、フィルム100の断面は波状またはジグザグ状の形態になる。
【0028】
一実施形態では、複数の第1の山112、複数の第1の谷114、複数の第2の山122、および複数の第2の谷124は、機械方向MDの代わりに横断方向TDに延在する。この実施形態に対して、機械方向MDと横断方向TDが置き換えられていることを除けば、図1Aで例示されている。
【0029】
フィルム100の形成高さまたは形成厚さTは、フィルム100の第2の側120の第2の山122からフィルム100の第1の側110の第1の山112まで延在する。下で説明される低負荷厚さ試験方法を使用して、フィルム100の形成厚さTを測定することができる。形成厚さTは、約100マイクロメートル(μm)~約500マイクロメートル(μm)の範囲であってもよい。一実施形態では、形成厚さTは、約150マイクロメートル(μm)~約400マイクロメートル(μm)の範囲であってもよい。一実施形態では、形成厚さTは、約200マイクロメートル(μm)~約350マイクロメートル(μm)の範囲であってもよい。一実施形態では、隣接する第1の山112および/または隣接する第2の山122は、約1000マイクロメートル(μm)~約4000マイクロメートル(μm)の間隔を置いて配置されてもよい。一実施形態では、隣接する第1の山112および/または隣接する第2の山122は、約2000マイクロメートル(μm)~約3000マイクロメートル(μm)の間隔を置いて配置されてもよい。
【0030】
フィルム100の第2の側120が板ガラスなどの基材の平らな表面上に置かれたとき、第2の側120の第2の山122が平らな表面に接触する。反対に、フィルム100の第1の側110が基材の平らな表面上に置かれたとき、第1の側110の第1の山112が平らな表面に接触する。フィルム100が2つの基材の間に置かれ、例えば、その後、z方向に上部の基材に荷重がかけられた場合、形成厚さTが薄くなり、第1の山112および第2の山122がヒンジとして働き、フィルム100が平らになりはじめ、その結果、実質的に平面部分116、126のいくつかの部分が対応する基材に接触することがある。
【0031】
同じ坪量を有するが、波状のパターンを形成せず、その代わりに実質的に平行で連続した第1および第2の側を有するフィルム(すなわち、「平らな」フィルム)に比べて、フィルム100の第1の側110および第2の側120に形成された波状パターンは、基材に対して緩衝効果をもたらす。下でさらに詳細に論じられるように、第1の側110および第2の側120の形成された波状パターンによって与えられる構造はまた、機械方向MDの曲げこわさを増大させる。特に、板ガラス間のインターリーフとしての用途に対して、フィルム100が紙のようなこわさを有することが望ましい。
【0032】
図3は、上述のフィルム100を含む、本発明の実施形態によるフィルムを製造するのに使用することができる装置300を示す。図示のように、装置300は、少なくとも1つの押出機(図示せず)の端部に配置され、押出物または溶融カーテンとしても知られるポリマー・ウェブ304を形成するように構成された押出しダイ302を含む。ポリマー・ウェブ304は、単層または複層のポリマー・ウェブであってもよい。一実施形態では、ポリマー・ウェブ304は、コア層、コア層の一方の側の第1のスキン層、およびコア層の反対側の第2のスキン層を有する3層ポリマー・ウェブであってもよい。一実施形態では、コア層および/またはスキン層は、化学発泡剤を使用して、または、例えば、米国特許第6,051,174号および第6,284,810号、ならびに米国特許出願公開第2013/0303645号に記載されているような、超臨界ガスをポリマー融体に注入する、いわゆるMuCell法を使用して発泡させてもよい。
【0033】
ポリマー・ウェブ304の層のいずれかを形成するのに使用される材料は、ポリエチレン(PE:polyethylene)、高密度ポリエチレン(HDPE:high density polyethylene)、低密度ポリエチレン(LDPE:low density polyethylene)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:linear low density polyethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、および/またはこれらのブレンドなどのポリオレフィンを含んでもよい。ポリプロピレンは、高結晶性PP(HCPP:high crystallinity PP)、ホモポリマーPP、有核PP、およびコポリマーPPのいずれか1つ、ならびに/あるいはこれらの組合せであってもよい。さらにまた、1つまたは複数の添加剤がポリマー・ウェブ304の1つまたは複数の層に含まれてもよい。添加剤としては、スリップ剤、造核剤、抗酸化物質安定剤、界面活性剤(防曇添加剤)、およびポリマー・ウェブ304の処理、ならびに/あるいは、結果として得られるフィルムの取扱いおよび/または性能を改善することができる他の添加剤が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、ポロエチレングリコール(PEG:polyethylene glycol)およびそのブレンドが、フィルムと接触している基材の表面張力を下げるために加えられてもよく、また、静的(static)なグリセロール・モノオレエート(GMO:glycerol monooleate)が、フィルムと接触している基材の表面張力を下げるために加えられてもよく、βシクロデキストリンが、低分子量種を除去して、押出し中、装置300の冷却ローラ306でのプレートアウト(plate-out)を減らすように加えられてもよい。
【0034】
図3に示された実施形態では、ポリマー・ウェブ304(「溶融カーテン」とも称される)は、押出しダイ302を出て、第1の軸の周りを回転する冷却ローラ306と、第1の軸に平行の第2の軸の周りを回転するエンボス加工ローラ308との間に形成された間隙に入る。冷却ローラ306は、ポリマー・ウェブ304の一方の側を微小エンボス加工するように構成されたエンボス加工された面を有し、エンボス加工ローラ308は、ポリマー・ウェブ304の反対側を微小エンボス加工するように構成されたエンボス加工された面を有する。一実施形態では、冷却ローラ306およびエンボス加工ローラ308のエンボス加工された面の平均表面粗さRaは、約10マイクロインチ(0.25μm)~約800マイクロインチ(20.3μm)の範囲であってもよい。一実施形態では、冷却ローラ306およびエンボス加工ローラ308のエンボス加工された面の平均表面粗さRaは、約100マイクロインチ(2.5μm)~約700マイクロインチ(17.8μm)の範囲であってもよい。冷却ローラ306はまた、微小エンボス加工されたフィルム310をローラ312によって冷却ローラ306から引き離し、成形または形成ステーション320に搬送することができるように、ポリマー・ウェブ304が微小エンボス加工されたフィルム310へ変換される際にポリマー・ウェブ304を冷却する。さらなるローラを使用して、微小エンボス加工されたフィルム310を冷却ローラ306から形成ステーション320に搬送してもよい。図示の実施形態は、どのようにも限定することも意図していない。
【0035】
一実施形態では、微小エンボスされた加工フィルム310の坪量は、約20グラム毎平方メートル(gsm)~約200gsmであってもよい。一実施形態では、エンボス加工されたフィルム310の坪量は、約35gsm~約80gsmであってもよい。一実施形態では、エンボス加工されたフィルム310の坪量は、約50gsm~約65gsmであってもよい。
【0036】
形成ステーション320は、雄形成ローラ322および雌形成ローラ324を含む。図4に示されるように、雄形成ローラ322は、雄形成ローラ322の芯410から離れるように延在する複数の第1の突起412を含む。第1の突起412のそれぞれは、雄形成ローラ322の外周の周りで連続しており、雄形成ローラ322の幅に沿って第1の隙間414だけ間隔を置いて配置される。雌形成ローラ324は、雌形成ローラ324の芯420から離れるように延在する複数の第2の突起422を含む。第2の突起422のそれぞれは、雌形成ローラ324の外周の周りで連続しており、雌形成ローラ324の幅に沿って第2の隙間424だけ間隔を置いて配置される。図4に示されるように、雄形成ローラ322の第1の突起412は、雌形成ローラ324の第2の突起422間の第2の隙間424と位置が合わせられ、雌形成ローラ324の第2の突起422は、雄形成ローラ322の第1の突起412間の第1の隙間414と位置が合わせされる。
【0037】
第1の突起412と第2の突起422の形状は、それぞれの突起の遠位端がz方向に深さD(本書では「係合深さD」とも称する)だけ重なることができるように相補的である。第1の突起412および第2の突起422に対して特定の形状が示されているが、本発明の実施形態は図示の形状に限定されず、他の形状が考えられる。図示の実施形態は、どのようにも限定することも意図していない。係合深さDは、フィルム100の第1の側110および第2の側120に与えられる形成パターンを変えるために調節されてもよい。一実施形態では、係合深さDは、約1ミル(25.4μm)~約100ミル(2540μm)であってもよい。一実施形態では、係合深さDは、約10ミル(254μm)~約80ミル(2032μm)であってもよい。一実施形態では、係合深さDは、約20ミル(508μm)~約70ミル(1778μm)、または約30ミル(762μm)~約40ミル(1016μm)、または約50ミル(1270μm)~約60ミル(1524μm)、であってもよい。
【0038】
一実施形態では、図5に断面で示されている形成ステーション500は、図4に示された形成ステーション320の代わりに使用されてもよい。形成ステーション500は、雄形成ローラ510の幅(紙面の内側から外側)にわたって延在しながら、雄形成ローラ510の芯511から延在し、雄形成ローラ510の外周の周りで隙間514だけ間隔を置いて配置された複数の第1の突起512を有する雄形成ローラ510含む。形成ステーション500はまた、雌形成ローラ520の幅(紙面の内側から外側)にわたって延在しながら、雌形成ローラ520の芯521から延在し、雌形成ローラ520の外周の周りで隙間524だけ間隔を置いて配置された複数の第2の突起522を有する相補的な雌形成ローラ520を含む。このような構成は、当業者であれば理解するように、横断方向TDに延在し、機械方向に交互に配置されるフィルムの複数の山と複数の谷を形成する。係合深さDは、図4に示され上述された形成ステーション320に関して定義された係合深さと同じである。
【0039】
図3に戻ると、微小エンボス加工されたフィルムが形成ステーション320を出たのち、パターンが形成された微小エンボス加工されたフィルム330は、巻取機340に進んで、巻取機340によってロール350に巻き取られる。図示の実施形態は、どのようにも限定することも意図していない。例えば、図6は、図5に示された形成ステーション500などの第2の形成ステーションを含む装置300の実施形態を示しており、第2の形成ステーションは、上述され、図2Aおよび図2Bに示された形成格子パターンなどの追加のパターンをフィルム100の第1の側110および第2の側120に形成することができるように、形成ステーション320と巻取機340との間に配置される。
【0040】
一実施形態では、微小エンボスされた加工フィルム310は、冷却ローラ306から引き離された後、ロールに巻き取られ、次いで、微小エンボス加工されたフィルム310を形成ステーション320に送る別の(別個の)装置に取り込まれる。言い換えれば、一実施形態では、形成ステーション320は、押出機、冷却ローラ306、およびエンボス加工ローラ308と「一直線に」並んでいなくてもよい。一実施形態では、フィルムはロールに巻き取られなくてもよいが、その代わりに、所定の大きさに切断されて材料のシートとして積み重ねられてもよい。
【0041】
実施例
【0042】
試料が本発明の実施形態に従って作られ、本書で説明された様々な物理的性質に対して試験された。
【0043】
実施例1~実施例8のそれぞれに対して、3層の溶融カーテンが、約600マイクロインチ(15.24μm)の表面粗さRaを有する冷却ローラ306および、その反対側で溶融カーテンと接触する、約400マイクロインチ(10.16μm)の表面粗さRaを有するエンボス加工ローラ308に押し出され、冷却された溶融カーテンは、各側で微小エンボス加工された面を有するフィルム(例えば、微小エンボス加工されたフィルム310)になる。3層構造のコア層は、高密度ポリエチレン(HDPE)を含み、微小エンボス加工されたフィルム310の約70重量%(wt%)であった。3層構造フィルムのスキン層のそれぞれは、34重量%の高密度ポリエチレン(HDPE)、33重量%のポリプロピレン(PP)、32重量%の高結晶性ポリプロピレン(HCPP)、および造核剤を有する1重量%のポリプロピレン・マスターバッチのブレンドであり、微小エンボス加工されたフィルム310の約15重量%であった。
【0044】
押し出されたときの微小エンボス加工されたフィルム310の目標坪量は、約50グラム毎平方メートル(gsm)~約65gsmであった。約20ミル(508μm)~約40ミル(1016μm)の係合深さDに設定された、雄形成ローラ322および雌形成ローラ324を有する形成ステーション320に微小エンボス加工されたフィルム310は搬送された。実例1~実例8に対する、押し出されたときの微小エンボス加工されたフィルム310の目標坪量、および雄形成ローラ322と雌形成ローラ324との係合深さDが下の表1に列挙されている。
【0045】
【表1】
【0046】
実例2および実例4に対して生成された試料の各側の表面が、小坂研究所製表面粗さ測定器を用いて、Ra(表面粗さ平均)、Rz(5つの最大山頂と5つの最低谷底の高さの平均)、およびSm(山頂間の平均間隔)を含む表面粗さに対して試験された。結果は下の表IIに列挙されている。
【0047】
【表2】
【0048】
フィルムのエンボス厚さを測定する低負荷厚さ試験方法は、直径2インチのアンビルと95g/平方インチの自重荷重を有する電動マイクロメータを利用し、2~5秒の静止時間を使用した。5つの測定値が単一のフィルム試料から取られ、4つの異なるフィルム試料が測定された。全ての測定値が各実例に対して平均化され、ミクロン(μm)単位の「低負荷厚さ」として報告された。
【0049】
一般的に、平らな(即ち、エンボス加工されていない)フィルムの厚さを測定するのに使用される高負荷厚さ試験方法は、3/16インチの大きさおよび113gの自重荷重のアンビルを有するマイクロメータを利用した。5つの測定値が単一のフィルム試料から取られ、4つの異なるフィルム試料が測定された。全ての測定値が各実例に対して平均化され、ミクロン(μm)単位の「高負荷厚さ」として報告された。
【0050】
サーキュラー・ベンドこわさ試験方法は、直径25.4mm(1インチ)の平らな表面を有するプランジャを利用して、材料の試料をプラットフォームのオリフィスに押し込んだ。プラットフォームの頂部の3mm(1/8インチ)上方で始まる、57mm(2.25インチ)の下降行程中に試料を38.1mm(1.5インチ)のオリフィスに押し込むのに要する最大の力が、力測定ゲージを用いて測定された。測定された最大の力は、2つ以上の面を同時に曲げることに対する抵抗を測定することによって、材料のこわさを示す。
【0051】
圧縮率および弾性の試験方法は、862.60g(30.4オンス)の重量を試料にかけ、試料から除去した後の厚さの変化を測定することによって、圧縮に耐える、および圧縮後に戻るフィルムの能力を評価するために使用された。0.98psiの圧力が2平方インチにかけられた。重量をかける前とかけた後の厚さの変化は、フィルムの圧縮抵抗の尺度となり、圧力をかけたときの厚さの減少がフィルムの圧縮率を与える。重量をかける前と重量を取り除いた後の総厚さは、フィルムの弾性(回復能力)を示す。以下で使用されるとき、圧縮率は、フィルムが圧縮圧力に耐える能力の尺度であり、元の厚さで割った圧縮された厚さ(に100を掛けたもの)として定義される。以下で使用されるとき、弾性は、フィルムが圧縮後に戻る能力を評価し、元の厚さで割ったフィルムの(圧力を取り除いた後の)リバウンド厚さ(に100を掛けたもの)として定義される。
【0052】
試料の全て(すなわち実例1~実例8)が、上述の試験方法に従って、低負荷厚さ、高負荷厚さ、サーキュラー・ベンドこわさ、圧縮率、および弾性に対して試験された。実例1~実例8に対するこのような試験の結果は下の表IIIに列挙されている。
【0053】
【表3】
【0054】
実例1、3、5、および7のそれぞれは、押し出されたときの目標坪量とほぼ同じ坪量を測定し、これは、(約20ミル(508μm)の係合深さDに設定された雄形成ローラ322と雌形成ローラ324を用いた)形成プロセスがフィルムの坪量に最小限の影響しか及ぼさなかったことを意味することに留意されたい。対照的に、実例2、4、6、および8のそれぞれは、押し出されたときの目標坪量より小さい坪量を測定し、これは、(約40ミル(1016μm)の係合深さDに設定された雄形成ローラ322と雌形成ローラ324を用いた)形成プロセスがフィルム330の坪量に影響を及ぼした(例えば、減少させた)ことを意味し、これは、結果として生じた特性が悪い影響を及ぼさない限り、コスト面で好ましい。
【0055】
予想されるように、約40ミル(1016μm)の係合深さDに設定された雄形成ローラ322と雌形成ローラ324を用いて形成された試料の低負荷厚さは、約20ミル(508μm)の係合深さDに設定された雄形成ローラ322と雌形成ローラ324を用いて形成された、同じ目標坪量を有する対応する試料よりもかなり厚い。同じ目標坪量に対するフィルムの各対の高負荷厚さはほぼ同じであった。
【0056】
約40ミル(1,016μm)の係合深さDに設定された雄形成ローラ322と雌形成ローラ324を用いて形成された試料のサーキュラー・ベンドこわさは、約20ミル(508μm)の係合深さDに設定された雄形成ローラ322と雌形成ローラ324を用いて形成された、同じ目標坪量を有する対応する試料よりもかなり大きい。少なくとも200グラム、より望ましくは少なくとも300グラムのサーキュラー・ベンドこわさを有する試料は、インターリーフ材料として紙に代わる所望のこわさを有するであろうことが予想される。
【0057】
圧縮率および弾性データは、実例1~実例8によってもたらされる緩衝効果の尺度を提供する。弾性値が100%に近付くより高い状態で圧縮率値が高くなるほど緩衝効果は良好になる。雄形成ローラ322と雌形成ローラ324の係合深さDの影響は、試料の圧縮率と弾性との間でトレードオフを示すことがある。例えば、約40ミル(1016μm)の係合深さDに設定された雄形成ローラ322と雌形成ローラ324を用いて形成された試料は、より高い圧縮率値を有したが、約20ミル(508μm)の係合深さDに設定された雄形成ローラ322と雌形成ローラ324を用いて形成された、同じ目標坪量を有する対応する試料よりも低い弾性値を有した。
【0058】
上述した本発明の実施形態に従ってフィルムの坪量および形成パターンを最適化することによって、結果として得られるフィルム330が、板ガラスまたは厚板ガラスなどの硬質基材間のインターリーフとして使用するのに、所望のこわさおよび緩衝効果を提供することが予想される。加えて、一実施形態では、フィルム330は、フィルム330のこわさを増し、特により広い幅において、フィルムが受けることがあるいかなるカールも減らすために、インラインまたはオフラインでアニール処理されてもよい。インラインのアニール処理またはデカーリング処理は、雄および雌形成ローラ322、324を所望の温度に加熱することによって形成プロセス中に熱を加え、その後、ウェブを、例えば複数の冷却ローラを含む冷却ステーションを通して冷却することによって完了することができる。
【0059】
本発明の実施形態によって提供されるポリマー・フィルム100、200、330は、保管中およびユーザ送付先への搬送中に、複数の積み重ねられた板ガラスを保護するためにインターリーフ材料としてガラス産業で現在使用されている紙に代えるために設計される。一般的に、形成ステーション320でフィルム100、200、330を形成することによって与えられるパターンは、機能性基材になる、軟質で傷つきやすい光学基材にとって有害と考えられており、それによって高解像度ディスプレイには使用できない基材になるとみなされることがある。対照的に、ガラス、または、例えばポリカーボネート(PC:polycarbonate)、ポリ(メチル・メタクリレート)(PMMA:poly(methyl methacrylate))、ポリイミド(PI:polyimide)、ポリエチレン・テレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)などの類似の硬質基材、または磨かれたステンレス鋼などの金属が保護されるとき、このような基材の硬さは、ポリマー・フィルム100、200、330のエンボス加工された面によって引き起こされる可能性のあるいかなる変形にも抗し、ポリマー・フィルム100、200、330の形成パターンは、このような基材をきれいに分離することを可能にするように剥離面を生成するのを助けることができる。例えば、ポリマー・フィルム100、200、330が板ガラス間のインターリーフとして使用されるとき、相当な期間、パックされていた後であっても、保管または搬送された後の複数の板ガラスのパックから板ガラスをばらす際に、1枚の板ガラスを隣接する板ガラスからより容易に分離することができる。
【0060】
本発明の実施形態は、間紙の製造で使用される成分によって引き起こされるしみおよび擦り傷による、保管および搬送中のガラスの歩留まり損失による大きな影響を受ける、光学ガラスメーカーが直面する慢性的な問題に対処することを対象とする。本発明の実施形態によるフィルム100、200、330の潜在的な利点としては、再利用可能性、調節可能な摩擦係数、よりよい擦り傷防止性、紙よりも少ない移動種および粒子、低い静電荷、および/または緩衝が挙げられる。
【0061】
本発明の実施形態はまた、ガラスに加えて他の基材を保護するために使用することができることが考えられる。例えば、鋼などの金属、ポリカーボネート(PC)、ポリ(メチル・メタクリレート)(PMMA)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ならびに/あるいは他の熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーで作られた板または厚板などの表面など、あらゆる硬質で圧縮不能な表面を、本発明の実施形態によるポリマー・フィルムで保護することができる。
【0062】
本書に記載の実施形態は、いくつかの可能な具現例および実例を提示し、必ずしも本開示をいかなる特定の実施形態にも限定することを意図しない。その代わりに、当業者には理解されるように、これらの実施形態を様々に変更することができる。このような変更はいずれも、本開示の趣旨および範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されるものとする。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6