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  • 特許-粘着テープ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240229BHJP
   C09J 7/50 20180101ALI20240229BHJP
   C09J 7/21 20180101ALI20240229BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20240229BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240229BHJP
   B32B 27/28 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/50
C09J7/21
B32B5/18
B32B27/00 M
B32B27/28 101
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021539216
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(86)【国際出願番号】 JP2020029729
(87)【国際公開番号】W WO2021029261
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2019149018
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木村 晃純
(72)【発明者】
【氏名】楯 洋亮
(72)【発明者】
【氏名】吉村 大輔
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-31340(JP,A)
【文献】特開平8-302296(JP,A)
【文献】特開平11-199826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目付けが60~150g/mであり、厚みが200μm以上であり、かつ空隙率が35体積%以上70体積%以下である多孔質基材と、
前記多孔質基材の少なくとも一方の表面に設けられた樹脂層と、
前記樹脂層の上に設けられた粘着剤層とを備え、
前記樹脂層が、粘着付与樹脂を含む樹脂組成物(I)により形成され、前記樹脂組成物(I)がホットメルト接着剤である、粘着テープ。
【請求項2】
前記樹脂組成物(I)が、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を含む、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着付与樹脂が、テルペン樹脂、及びテルペン誘導体樹脂からなる群より選択される少なくとも1つの樹脂を含む、請求項1又は2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記多孔質基材が不織布である、請求項1から3のいずれか一項に記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
不織布等に代表される多孔質体は、吸音性を有し、引張強度に代表される機械的強度に優れる等の観点から、粘着テープ用の基材として用いられる。このような多孔質基材を含む粘着テープは、その吸音性を活かして、電線等を結束するための粘着テープ等に用いられる。
粘着テープの製造方法としては、例えば、基材の表面に、粘着剤を含む塗工液を塗工して粘着層を形成する方法がある。前記塗工液としては、例えば、水や溶剤等の溶媒を含む塗工液、又は前記溶媒を含まない非溶媒系の塗工液等が知られている。しかしながら、多孔質基材上に、溶媒を含む塗工液を塗工して粘着層を形成する場合、塗工液が浸透して基材の裏側から染み出る、「裏抜け」という現象が生じることがある。近年、環境意識への高まりを受けて、水を溶媒として含む水系塗工液への要望が高まりつつあるが、上述の裏抜けの問題から、水系塗工液の多孔質基材への直接塗布は難しいとされている。
【0003】
上述の「裏抜け」を防ぐ方法として、例えば、特許文献1には、特定の厚みを有する紙基材の片面もしくは両面に、低密度ポリエチレン樹脂(以下、「LDPE」と記載する)等の溶融樹脂層を設け、前記溶融樹脂層の上に粘着剤層を設けた粘着テープが記載されている。また、特許文献2には、多孔質基材と粘着剤層との間に水系アクリルエマルジョンにより形成されたプライマー層を設けたマスキングテープが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-40921号公報
【文献】特開2017-19920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法は、不織布等の多孔質体基材の表面にLDPE等で下塗りを行うと、吸音性が低下するという問題がある。また、特許文献2に記載の方法では、空隙率の高い多孔質体の場合、プライマー層と多孔質基材との接着性が低くなり、前記プライマー層が剥離するという問題がある。
そこで本発明は、多孔質基材を有する粘着テープにおいて、粘着剤として水系塗工液を用いた場合でも裏抜けを抑制しつつ、吸音性の低下を抑え、かつ多孔質基材とプライマー層との接着性の低下を抑えることができる粘着テープの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に対して、本願発明者らは鋭意検討した結果、特定の構成を有する多孔質基材の少なくとも一方の表面に、粘着付与樹脂を含む樹脂により形成された樹脂層を設け、さらに前記樹脂層の上に粘着層を設けることにより、前記の全ての課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を有する。
[1]目付けが60~150g/mであり、厚みが200μm以上であり、かつ空隙率が35体積%以上である多孔質基材と、前記多孔質基材の少なくとも一方の表面に設けられた樹脂層と、前記樹脂層の上に設けられた粘着剤層とを備え、前記樹脂層が、粘着付与樹脂を含む樹脂組成物(I)により形成されている、粘着テープ。
[2]前記樹脂組成物(I)が、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂を含む、[1]に記載の粘着テープ。
[3]前記粘着付与樹脂が、テルペン樹脂、及びテルペン誘導体樹脂からなる群より選択される少なくとも1つの樹脂を含む、[1]又は[2]に記載の粘着テープ。
[4]前記多孔質基材が不織布である、[1]から[3]のいずれか一項に記載の粘着テープ。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、多孔質基材を有する粘着テープにおいて、粘着剤として水系塗工液を用いた場合でも裏抜けを抑制でき、吸音性の低下を抑え、かつ多孔質基材とプライマー層との接着性の低下を抑えることができる粘着テープを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の粘着テープの1つの態様を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の態様に限定されるものではない。
[粘着テープ]
本発明は、目付けが60~150g/mであり、厚みが200μm以上であり、かつ空隙率が35体積%以上である多孔質基材と、前記多孔質基材の少なくとも一方の表面に設けられた樹脂層と、前記樹脂層の上に設けられた粘着剤層とを備え、前記樹脂層が、粘着付与樹脂を含む樹脂組成物(I)により形成されている、粘着テープに関する。上述のような特定の構成を有する多孔質基材の少なくとも一方の表面に、粘着付与樹脂を含む樹脂層を設け、前記樹脂層の上に粘着剤層を設けることによって、前記粘着剤層を形成する粘着剤として、水系塗工液を用いた場合であっても裏抜けを抑制できる。また、吸音性の低下を抑え、かつ多孔質基材と樹脂層との接着性の低下を抑えることができる粘着テープが得られる。
図1は、本発明の粘着テープの1つの態様を表す断面図である。粘着テープ10は、多孔質基材1の一方の表面に樹脂層2が積層され、さらに樹脂層2の上に粘着剤層3が積層されている。
【0010】
<多孔質基材>
本発明の多孔質基材は、目付けが60~150g/mであり、厚みが200μm以上であり、かつ空隙率が35体積%以上である多孔質体である。このような多孔質基材としては、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、例えば、木材パルプ、綿、麻等の天然繊維、和紙、クレープ紙、クラフト紙、織布、不織布等が挙げられる。このうち、吸音性の低下を抑制しやすく、電線等結束用粘着テープの基材として好適に利用できる不織布が特に好ましい。
多孔質基材の目付けは60~150g/mであり、70~120g/mがより好ましい。多孔質基材の目付けが60g/m以上であれば、粘着テープの吸音性が低下しない。また、目付けが150g/m以下であれば、多孔質基材と樹脂層との接着性の低下を抑制できる。
多孔質基材の厚みは、200μm以上であり、250~350μmがより好ましい。厚みを200μm以上とすることにより、粘着テープの吸音性の低下を抑えることができる。なお、多孔質基材の厚みは、JIS一般不織布試験方法(JIS L 1913:2010)に準拠した厚み測定機で測定した値のことを指す。
多孔質基材の空隙率は35体積%以上であり、35~70体積%が好ましい。本発明の多孔質基材は、目付けと厚みを上述の範囲とすることにより、高い空隙率を有していても、粘着剤層形成時の裏抜けを抑制することができる。なお、多孔質基材の空隙率は、測定された厚み(t)(cm)、多孔質基材の表面積(A)(cm)、及び多孔質基材の重量(B)(g)を、以下の式(1)に当てはめることで計算することができる。また、以下の式(1)中、Mは多孔質基材の密度(g/cm)を表す。
空隙率(体積%)=(1-B/(M×A×t))×100 ・・・(1)
【0011】
本発明の好ましい態様において、多孔質基材は、空隙率が35体積%以上であり、目付けが60~150g/mであり、厚みが200μm以上の不織布を用いることが特に好ましい。このような不織布を多孔質基材として用いることで、吸音性の低下を抑え、樹脂層との接着性の低下を抑えることができる粘着テープが得られやすくなる。また、多孔質基材からの裏抜けをより抑制しやすくなる。
多孔質基材として不織布を用いる場合、ステッチボンド法で作成された不織布、スパンボンド法で作成された不織布、スパンレース法で作成された不織布、メルトブロー法で作成された不織布等を用いることができる。また、不織布は単層であってもよく、複数の層からなる積層不織布であってもよい。また積層不織布の場合、異なる方法で作成された不織布を積層させたものであってもよい。このうち、引っ張り破断強度の観点から、ステッチボンド法、又はスパンボンド法で作成された不織布を用いることが好ましい。これらの不織布からなる多孔質基材を用いることで、テープ強度を保ちながら吸音性を両立させやすい。
【0012】
不織布を構成する繊維としては、本発明の効果を有する限り特に限定されず、例えば、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このうち、耐熱性の観点から、ポリエステル繊維が好ましい。
不織布を構成する繊維の繊維径は、柔軟性、吸音性の観点から、5~150μmが好ましく、10~100μmがより好ましい。不織布の繊維径が5~150μmであれば、吸音性がより良好となりやすい。
【0013】
<樹脂層>
本発明の樹脂層は、粘着付与樹脂を含む樹脂組成物(I)により形成される層である。樹脂層は、多孔質基材の少なくとも一方の表面に設けられる。本発明の樹脂層とは、いわゆる「プライマー層」であり、このような特徴的な樹脂組成物(I)から形成される樹脂層を、多孔質基材の少なくとも一方の表面に、多孔質基材と接するように設けることにより、多孔質基材からの粘着剤の裏抜けを抑制できる。
前述の通り、不織布等の多孔質基材に、LDPE等の樹脂による下塗りを施した場合、吸音性が低下することがある。しかしながら、粘着付与樹脂を含む樹脂組成物(I)により形成された本発明の樹脂層を多孔質基材の表面に設けた場合、吸音性は低下せず、むしろ向上することを本発明者らは見出した。これは、粘着付与樹脂を含む樹脂組成物(I)を用いることで、樹脂層の弾性が向上するためであると考えられる。また、空隙率の高い多孔質基材を用いる場合、多孔質基材と樹脂層との接着性が問題となる場合がある。しかしながら、粘着付与樹脂を含む樹脂組成物(I)を用いることで、樹脂層と多孔質基材との接着性が、大幅に改善されることを見出した。
【0014】
(樹脂組成物(I))
本発明の樹脂組成物(I)は、粘着付与樹脂を含む。樹脂組成物(I)に含まれる粘着付与樹脂としては、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、例えば、脂肪族系共重合体、芳香族系共重合体、脂肪族・芳香族系共重合体系や脂環式系共重合体等の石油系樹脂、クマロン-インデン系樹脂、テルペン樹脂、テルペン誘導体樹脂、ロジン、重合ロジン、水添ロジン等のロジン系樹脂、(アルキル)フェノール系樹脂、キシレン系樹脂又はこれらの水添物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このうち、粘着付与樹脂としては、熱安定性、耐候性の観点から、テルペン樹脂、及びテルペン誘導体樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。なお、テルペン誘導体樹脂としては、例えば、水添テルペン、テルペンフェノール、芳香族変性テルペンフェノール等が好ましい。
樹脂組成物(I)中の粘着付与樹脂の含有量は、樹脂組成物(I)の総質量に対して、10~70質量%が好ましく、30~60質量%がより好ましい。粘着付与樹脂の含有量が10~70質量%であれば、粘着力と保持力のバランスを取りやすい。
【0015】
本発明の1つの態様において、樹脂層はホットメルトによって形成される層であることが好ましい。その場合、樹脂組成物(I)は、ホットメルト接着剤であることが好ましい。また、前記ホットメルト接着剤は、ベースポリマーを含むことが好ましい。
前記ベースポリマーとしては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(以下、「EVA」と記載することもある)、エチレン-エチルアクリレート共重合体樹脂(以下、「EEA」と記載することもある)等のエチレン系共重合体や、ポリエチレン(以下、「PE」と記載することもある)、ポリプロピレン、無定形ポリアルファオレフィン(以下、「APAO」と記載することもある)等のオレフィン系樹脂、スチレン系ブロック共重合体(例えば、スチレン-イソプレン-スチレン系ブロックコポリマー(以下、「SIS」と記載することもある)、スチレン-ブタジエン-スチレン系ブロックコポリマー(以下、「SBS」と記載することもある)及びそれらの水素添加物等の合成ゴム、及びポリウレタン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このうち、柔軟性、耐候性の観点から、ベースポリマーとしては、PE、EVAであることが好ましく、EVAであることがより好ましい。
本発明の1つの態様において、ベースポリマーとして用いるEVAとしては、例えば酢酸ビニル含有量が、EVAの総質量に対して、1~45質量%であるものが好ましい。また、ベースポリマーとして用いるPEは、例えば、MFRが30g/10min以下であるものが好ましい。
ベースポリマーの含有量は、樹脂組成物(I)の総質量に対して、40~80質量%が好ましく、45~70質量%がより好ましい。ベースポリマーの含有量が40~80質量%であれば、接着力と凝集力を両立しやすくなる。
【0016】
樹脂組成物(I)には、本発明の効果を損なわない範囲で、前述の粘着付与樹脂、ベースポリマー以外のその他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、本発明の樹脂組成物(I)がホットメルト用の樹脂組成物である場合、例えば、ワックス、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、微粒子充填剤等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレン/ポリプロピレンワックス)等の合成ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス;カスターワックス等の天然ワックス等が挙げられる。これらのワックスは変性されたものであってもよい。また、これらワックスは1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このうち、安定性の観点から、フィッシャー・トロプシュワックス、もしくはポリエチレンワックスを含むことが好ましい。
樹脂組成物(I)がワックスを含む場合、その含有量は、樹脂組成物(I)の総質量に対して、0.1~30質量%が好ましく、0.1~20質量%がより好ましく、0.5~1.5質量%が特に好ましい。ワックスの含有量が0.1~30質量%であれば、加工時のタックが得られやすく、加工し易くなる。
【0017】
可塑剤は、樹脂組成物(I)の溶融粘度低下、柔軟性の付与、被着体への濡れ向上を目的として配合される。可塑剤としては、本発明の効果を損なわないものであれば、特に限定されず、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル及び芳香族系オイル等を適宜選択して用いることができる。また、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
紫外線吸収剤として、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ラクトン系安定剤等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤として、例えば、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
微粒子充填剤としては、例えば、雲母、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、ケイソウ土、尿素系樹脂、スチレンビーズ、焼成クレー、澱粉等が挙げられる。これらの形状は、好ましくは球状であり、その寸法(球状の場合は直径)については本発明の効果を有する限り、特に限定されるものではない。また、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
本発明の1つの態様において、樹脂層の厚みは5~30μmが好ましく、10~20μmがより好ましい。樹脂層の厚みが5~30μmであれば、粘着剤の裏抜けを抑制しやすくなる。
【0020】
<粘着剤層>
本発明の粘着剤層は、前記樹脂層の上に設けられている。多孔質基材の少なくとも一方の表面に樹脂層を設け、さらに前記樹脂層の上に粘着剤層を設けることで、粘着剤層を形成する際に、裏抜けを抑制できる。また、粘着剤層は、樹脂層と接するように設けられていることが好ましい。
【0021】
(粘着剤)
粘着剤層は、粘着剤によって形成される層である。粘着剤層を形成する粘着剤としては、本発明の効果を有する限り特に限定されず、通常、粘着テープに用いられている粘着剤を適宜用いることができる。具体的には、粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等を用いることができる。
【0022】
前記アクリル系粘着剤としては、例えば、アクリル系ポリマーを主成分とするものを用いることができる。
前記アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びカルボキシル基含有不飽和単量体の重合体等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルアクリレート、n-オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、n-ノニルアクリレート、n-ノニルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
カルボキシル基含有不飽和単量体としては、前記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なものであれば、本発明の効果を有する限り特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
前記アクリル系ポリマーは、上記に例示したような(メタ)アクリル酸アルキルエステルやカルボキシル基含有不飽和モノマー以外のその他のモノマーを含む共重合体とすることもできる。
その他のモノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル等の含窒素(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニリテン、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴム、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、前記スチレン系ブロック共重合体の水素添加物(SIPS、SEBS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリイソブチレン(PIB)、及びブチルゴム(IIR)等からなる群より選択される少なくとも1つのゴム成分に、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂等からなる群より選択される少なくとも1つの粘着付与剤を適宜配合したもの等が挙げられる。
【0025】
シリコーン系粘着剤としては、例えば、シリコーンゴムに、シリコーンレジンやシリコーンオイル等を適宜配合したもの等が挙げられる。
【0026】
ウレタン系粘着剤としては、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール等のポリオールと、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等のポリイソシアネートとを反応させてなるものが挙げられる。
【0027】
粘着剤層を形成する粘着剤には、前述の粘着剤に任意の添加剤を含有させてもよい。
添加剤としては、例えば、軟化剤、粘着付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、滑剤、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
本発明の1つの態様において、粘着剤層を形成する粘着剤は、水中に粘着剤成分が分散した水系の粘着剤(水系塗工液)であることが好ましい。上述の通り、本発明の粘着テープは、多孔質基材の少なくとも一方の表面に特定の樹脂層を設けているため、水系の粘着剤を用いて多孔質基材上に粘着剤層を形成する場合でも裏抜けが生じにくい。
水系塗工液は、前述の各粘着剤を分散媒である水中に分散させることによって調製することができる。
本発明の1つの態様においては、粘着剤層は、水中にアクリル系ポリマーが分散した水系塗工液を用いて形成された層であることが好ましい。また、アクリル系ポリマーとしては、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸等のモノマーを任意の割合で重合したポリマーを使用することができる。
水系塗工液の粘度としては、安定塗工の観点から、3000~9000mPa・s/23℃であることが好ましい。また、前記粘度は、B型粘度計を用いて、粘度に応じたスピンドルを用いての60rpmの条件で測定した値である。
【0029】
粘着剤層の厚みは、粘着テープとして十分な粘着力を発現できる程度であれば特に限定されず、例えば、10~60μmが好ましく、20~50μmがより好ましい。
【0030】
<製造工程>
本発明の粘着テープの製造方法は、多孔質基材の少なくとも一方の表面に、樹脂組成物(I)を塗工(又は塗布)して樹脂層を形成し、前記樹脂層上に粘着剤を塗工して粘着剤層を形成する工程を含む。樹脂組成物(I)がホットメルト接着剤である場合、多孔質基材の表面にホットメルト接着剤(樹脂組成物(I))をダイから押し出し、冷却することによって樹脂層を形成する。樹脂層は単層であってもよく、多層であってもよい。また、粘着剤が水系塗工液である場合、前記樹脂層の上にロール塗工、好ましくはコンマコーターによって水系塗工液を塗工し、粘着剤層を形成する。
【0031】
<評価方法>
(基材からの裏抜け評価)
本発明の粘着テープは、粘着剤層形成時の多孔質基材からの裏抜けを防止できる。
多孔質基材からの裏抜けの有無については、以下に示す手順に従って評価することができる。
作製した粘着テープを液体窒素中に1分間浸漬させて浸潤させる。その後、粘着テープを垂直にカットする。粘着テープの断面をレーザー顕微鏡で観察し、粘着剤が基材の背面まで浸潤していないかどうかを確認する。
【0032】
(吸音性評価)
本発明の粘着テープは、粘着付与樹脂を含む樹脂組成物(I)により形成される樹脂層を備えるため、吸音性の低下を抑えることができる。
粘着テープの吸音性については、以下に示す手順に従って評価することができる。
板厚0.3mm、寸法350mm×190mmのアルミ板を直径290mmの半円状に湾曲させ、直径8mmの鋼棒をアルミ板頂点の上方20mmの位置から0.16Nの荷重で落下させる。その際、衝撃位置から50mm上方に設置したマイクで衝撃時の音圧を測定する。鋼棒単体で測定した音圧値をブランクとし、鋼棒の衝撃位置に粘着テープを1層貼り付けて測定した音圧値とブランクとの差異を減衰値とする。減衰値が大きいほど、吸音性に優れる。
【0033】
(耐摩耗性評価)
本発明の粘着テープは、粘着付与樹脂を含む樹脂組成物(I)により形成される樹脂層を備えるため、耐摩耗性にも優れている。
粘着テープの耐摩耗性は、以下に示す手順に従って評価することができる。
スクレープ摩耗試験機((株)安田精機製作所製、型式:No.210、設定条件;ニードル直径:φ0.45mm、動作速度:55サイクル/分、針の移動量:20mm、摩耗長さ:15.5mm)を用い、ISO6722-1に従って耐摩耗性を評価する。
直径1cmのステンレス棒に粘着テープを巻きつけ、スクレープの先端のニードルで粘着テープを削り、ニードルとステンレス棒が接触し、導通するまでのサイクル数を測定する。
【0034】
(多孔質基材と樹脂層の粘着性評価)
本発明の粘着テープは、多孔質基材と樹脂層との粘着力が低下しない。
多孔質基材と樹脂層との粘着力は、以下に示す手順に従って評価することができる。
JIS K5600に従い、カッターナイフを用いて、以下の手順で樹脂層を貫通して、多孔質基材に達する切り込みを碁盤目状に付けた時の状態を評価する。なお、測定サンプルは、粘着剤層を積層させる前の、多孔質基材と樹脂層からなるテープを用いる。
(手順)
(1)サンプルの樹脂層側に、カッターナイフを用いて多孔質基材まで到達する切り込みを11本入れた後、90°向きを変えてさらに11本切り込みを入れる。なお、カッターナイフの刃は常に新しいものを使用する。
(2)カットした樹脂層表面に約50mm付着するようにセロハン粘着テープをはりつけ、消しゴムでこすって樹脂層にセロハン粘着テープを付着させる。
(3)セロハン粘着テープを付着させてから1~2分後に、セロハン粘着テープの端を持って樹脂層面に直角に保ち、瞬間的に引きはがす。
(4)セロハン粘着テープ表面に付着した樹脂層の量を10段階で評価して、多孔質基材と樹脂層の粘着性を評価する。
【0035】
(粘着力評価)
本発明の粘着テープの粘着力は、例えば、JIS Z0237:2009年度版に従って評価することができる。
【0036】
[用途]
前述の通り、本発明の粘着テープによれば、多孔質基材、好ましくは不織布からなる基材に水系塗工液を直接塗布して粘着剤層を形成しても、多孔質基材からの裏抜けを抑制できる。また、吸音性の低下を抑え、かつ多孔質基材とプライマー層との接着性の低下を抑えることができる。そのため、本発明の粘着テープは、例えば、車のエンジンルーム等に配置される電線等を結束するための粘着テープとして、好適に用いることができる。なお、当然ながら本発明の粘着テープは、その用途が電線結束用途に限定されるわけではない。
【実施例
【0037】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0038】
[実施例1]
<樹脂組成物(I)の調製>
樹脂組成物(I)としてホットメルト接着剤を調製した。まず、ベースポリマーとして、EVA(三井デュポンポリケミカル(株)、商品名「エバフレックス(登録商標)EV250」)40質量部と、粘着付与樹脂として縮合ロジン樹脂(荒川化学工業(株)製、商品名「アラダイム(登録商標)R-95」)40質量部と、フィッシャー・トロプシュワックス(サゾール社製、商品名「サゾール(登録商標)ワックスH1」)20質量部とを、180℃に設定したテフロン(登録商標)ビーカー内で1時間混錬しホットメルト接着剤を得た。なお、樹脂組成物(I)中の各成分の配合割合(質量%)は表1に示すとおりである。
【0039】
<粘着テープの作製>
目付けが70g/m、厚みが280μm、空隙率が70体積%のステッチボンド不織布からなる多孔質基材の上に、上記で得られたホットメルト接着剤を押出温度180℃でダイから押出し、冷却ロールを通して巻き取り、多孔質基材の表面に樹脂層を形成した。樹脂層の厚みは20μmであった。次に、前記樹脂層の上に水系のアクリル粘着剤(水系塗工液)(トーヨーケム(株)製、商品名「BPW6441」)を、コンマリバースコーターを用いて塗布し、130℃で乾燥を行い、厚みが30μmの粘着剤層を形成して粘着テープを得た。この時の塗工量は30g/mであった。得られた粘着テープの各種物性を以下の評価方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0040】
(裏抜け評価)
以下の評価方法に従って評価した。
作製した粘着テープを液体窒素中に1分間浸漬させて浸潤させた。その後、粘着テープを垂直にカットした。粘着テープの断面をレーザー顕微鏡で観察し、粘着剤が多孔質基材の背面まで浸潤していないかどうかを確認した。裏抜けが生じていなかったものを「合格」、裏抜けしていたものを「不合格」として評価した。
【0041】
(吸音性評価)
以下の評価方法に従って評価した。
板厚0.3mm、寸法350mm×190mmのアルミ板を直径290mmの半円状に湾曲させ、直径8mmの鋼棒をアルミ板頂点の上方20mmの位置から0.16Nの荷重で落下させた。その際、衝撃位置から50mm上方に設置したマイクで衝撃時の音圧を測定した。鋼棒単体で測定した音圧値をブランクとし、鋼棒の衝撃位置に粘着テープを1層貼り付けて測定した音圧値とブランクとの差異を減衰値とした。また、以下の評価基準に沿って吸音性を評価した。
(評価基準)
合格:減衰値が4.0dB以上。
不合格:減衰値が4.0dB未満。
【0042】
(多孔質基材と樹脂層の接着性評価)
以下の評価方法に従って評価した。また、以下の評価基準のうち、C以上を合格とした。
JIS K5600に従い、カッターナイフを用いて、以下の手順で樹脂層を貫通して、多孔質基材に達する切り込みを碁盤目状に付けた時の状態を評価した。なお、測定サンプルは、粘着剤層を積層させる前の、多孔質基材と樹脂層からなるテープを用いた。
(手順)
(1)サンプルの樹脂層側に、カッターナイフを用いて多孔質基材まで到達する切り込みを11本入れた後、90°向きを変えてさらに11本切り込みを入れた。なお、カッターナイフの刃は常に新しいものを使用した。
(2)カットした樹脂層表面に約50mm付着するようにセロハン粘着テープをはりつけ、消しゴムでこすって樹脂層にセロハン粘着テープを付着させた。
(3)セロハン粘着テープを付着させてから1~2分後に、セロハン粘着テープの端を持って樹脂層面に直角に保ち、瞬間的に引きはがした。
(4)セロハン粘着テープ表面に付着した樹脂層の量を10段階で評価して、多孔質基材と樹脂層の粘着性を評価した。なお、セロハン粘着テープ表面に全く樹脂が付着していないものを10点(A)、セロハン粘着テープ全面に樹脂が付着していたものを0点(D)として、樹脂層の付着割合を2点刻みで評価した。
また、各点数と評価記号の関係は以下の通りである。
A:10点、B:8点、C:4~6点、D:0~2点
【0043】
(耐摩耗性評価)
以下の評価方法に従って評価した。また、耐摩耗回数が100回以上のものを合格とした。
スクレープ摩耗試験機((株)安田精機製作所製、型式:No.210、設定条件;ニードル直径:φ0.45mm、動作速度:55サイクル/分、針の移動量:20mm、摩耗長さ:15.5mm)を用い、ISO6722-1に従って耐摩耗性を評価した。
直径1cmのステンレス棒に粘着テープを巻きつけ、スクレープの先端のニードルで粘着テープを削り、ニードルとステンレス棒が接触し、導通するまでのサイクル数を、「耐摩耗回数」とした。
【0044】
(粘着力評価)
JIS Z0237:2009年度版に従って、粘着テープの粘着力を評価した。また、粘着力が8.0N/20mm以上のものを合格とした。
【0045】
なお、水系のアクリル粘着剤の組成は以下のとおりである。
アクリル系ポリマーとして、トーヨーケム(株)製の、商品名「オリバイン(登録商標)BPW6441」を用いた。この水系塗工液の粘度(B型粘度計、60rpm条件)は、6000mPa・s/23℃であった。
【0046】
[実施例2~9、比較例1~3]
多孔質基材の種類、樹脂組成物(I)の組成を表1に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法にて、粘着テープを作成した。得られた各例の粘着テープについて、実施例1と同様の方法にて、裏抜け、吸音性、多孔質基材と樹脂層との接着性、耐摩耗性、及び接着力を評価した。結果を表1~2に示す。
【0047】
表中の各成分の詳細は以下のとおりである。
(多孔質基材)
ステッチボンド不織布:ポリエステル繊維、繊維径5~100μm。
スパンボンド不織布:ポリエステル繊維、繊維経5~100μm。
(樹脂組成物(I))
EVA:三井デュポンポリケミカル(株)製、商品名「エバフレックスEV250」。
PE:日本ポリエチレン(株)製、商品名「NH745」、
縮合ロジン樹脂:荒川化学工業(株)製、商品名「アラダイム(登録商標)R-95」。
水素化ロジン:荒川化学工業(株)製、商品名「ハイペール(登録商標)CH」。
水添テルペン(テルペン誘導体樹脂):ヤスハラケミカル(株)社製、商品名「クリアロン(登録商標)M/K」。
テルペンフェノール(テルペン誘導体樹脂):ヤスハラケミカル(株)製、商品名「YSポリスターU130」。
テルペン樹脂:ヤスハラケミカル(株)製、商品名「レジンTO105」。
ワックス(フィッシャー・トロプシュワックス):サゾール社製、商品名「サゾールワックスH1」。
また、表中、粘着剤の「水系アクリル」とは実施例1で用いたアクリル系粘着剤(水系塗工液)と同じものを指す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
表1~2に示す通り、本発明の構成を満たす実施例1~9の粘着テープは、水系塗工液を用いて粘着剤層を形成しても裏抜けが生じず、吸音性の低下を抑え、かつ多孔質基材と樹脂層との接着性の低下を抑えることができた。一方、多孔質基材の目付けが60g/m未満である比較例1の粘着テープは、吸音性が低かった。また、目付けが150g/m超の多孔質基材を用いた比較例2の粘着テープは、裏抜けが発生した。また、多孔質基材と樹脂層との接着性も低かった。多孔質基材と樹脂層の接着性が低かった理由は、目付けが大きく不織布が厚くなると表面の凹凸が大きくなる傾向があり、そのため、多孔質基材と樹脂層の接着性が悪化したためであると考えられる。また、粘着付与樹脂を含まないホットメルト接着剤で樹脂層を形成した比較例3の粘着テープは、裏抜けが発生し、かつ多孔質基材と樹脂層との接着性も低かった。以上の結果から、本発明の粘着テープは、粘着剤として水系塗工液を用いた場合でも裏抜けを抑制でき、吸音性の低下を抑え、かつ多孔質基材と樹脂層との接着性の低下を抑えられることが確認された。
【符号の説明】
【0051】
1:多孔質基材
2:樹脂層
3:粘着剤層
10:粘着テープ
図1