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▶ ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】タイヤトレッドゴム組成物及び関連方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20240229BHJP
   C08L 9/06 20060101ALI20240229BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20240229BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20240229BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20240229BHJP
   C08L 15/00 20060101ALI20240229BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20240229BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20240229BHJP
   B60C 11/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
C08L9/00
C08L9/06
C08L7/00
C08K3/36
C08K3/04
C08L15/00
C08L91/00
B60C1/00 A
B60C11/00 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021570839
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 US2020034934
(87)【国際公開番号】W WO2020243311
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】62/854,106
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボーリー、デニス シー.
(72)【発明者】
【氏名】ハウマン、ケニー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ガリツィオ、ベンジャミン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト、ジェイミー エル.
(72)【発明者】
【氏名】プラック、ジェシカ エル.
(72)【発明者】
【氏名】アンガー、アンソニー エム.
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-083944(JP,A)
【文献】国際公開第2011/114990(WO,A1)
【文献】特表2015-507054(JP,A)
【文献】特表2021-521292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
B60C 1/00、11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤトレッドゴム組成物であって、
(a)100部のエラストマー構成成分であって、
(i)少なくとも95%のシス結合含量及び-101~-110℃のTgを有する70~80部のポリブタジエンと、
(ii)シリカ反応性官能基で官能化され、かつ-40~-75℃のTgを有する、10~20部の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムと、
(iii)10~20部の天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせと、を含む、エラストマー構成成分と、
(b)150~300m/gのBET表面積を有する、101~150phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、
(c)1~20phrのカーボンブラック充填剤と、
(d)30~50℃のTgを有する30~50phrの少なくとも1種の芳香族炭化水素樹脂と、
(e)10~30phrの液体可塑剤と、
(f)硬化パッケージと、を含む、成分から作製され、
前記芳香族炭化水素樹脂(d)及び液体可塑剤(e)の総量が、少なくとも40~65phrである、タイヤトレッドゴム組成物。
【請求項2】
前記(ii)のスチレン-ブタジエンゴムが、25%以下のスチレン含有量を有し、かつ-50~-75℃のTgを有する、請求項1に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
【請求項3】
(d)及び(e)が、1.5/1~4/1の重量比で存在する、請求項1または請求項2に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
【請求項4】
前記エラストマー構成成分が、-90~-105℃の平均Tgを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
【請求項5】
前記タイヤトレッドゴム組成物が、0.23~0.29の60℃におけるtanδの値を有し、
(a)前記60℃におけるtanδ値の少なくとも1.1倍の-30℃におけるtanδの値を有すること、
(b)前記60℃におけるtanδ値の1.4~1.7倍の0℃におけるtanδの値を有すること、及び
(c)前記60℃におけるtanδ値の1.2~1.5倍の30℃におけるtanδの値を有すること、
(d)少なくとも500%の23℃におけるEbを有すること、
(e)少なくとも400%の100℃におけるEbを有すること、及び
(f)少なくとも3000のTb×Ebを有すること、のうちの各々を満たし、
前記tanδ値は、ASTM D5992-96(2011)のガイドラインに従い、動的機械熱分光計を使用して、以下の条件下で測定される、
測定モード:引張試験モード、
測定周波数:52Hz、
-50~-5℃で0.2%の歪み及び-5~65℃で1%の歪みを加え、
-30℃、0℃、30℃および60℃の各温度で測定するために、約1℃毎にデータを収集し、170℃で15分間硬化させた幅4.75mm×長さ29mm×厚さ2.0mmの形状の試料を用い、ASTM D-412のガイドラインに従ってEb値とTb値を測定し、断面寸法が幅4mm、中心部の厚さ1.9mmのダンベル型試料を用い、測定中は毎秒20%の一定速度で試料を歪ませる、
請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、タイヤトレッドゴム組成物及び関連方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、路面に接触するトレッドを含めて多くの構成要素を含んでいる。タイヤトレッドを含むゴム組成物を調製するために使用される特定の成分は、様々であり得る。タイヤトレッドゴム組成物の配合は、1つの特性(例えば、湿潤性能)に改善をもたらす配合への変更が、別の特性(例えば、乾燥牽引摩擦)の劣化をもたらし得るので、複雑な科学である。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、タイヤトレッド用のゴム組成物及び関連方法が開示される。
【0004】
第1の実施形態では、タイヤトレッドゴム組成物が開示される。組成物は、(a)100部のエラストマー構成成分であって、(i)少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する70~85部のポリブタジエンと、(ii)好ましくは、-40℃未満のTgを有する、10~25部の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムと、(iii)10~20部の天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせと、を含む、エラストマー構成成分と、(b)好ましくは、約150~約300m/gの表面積を有する、101~150phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、(c)20phr以下、好ましくは、15phr以下のカーボンブラック充填剤と、(d)約30~約50℃のTgを有する30~50phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、(e)10~30phrの液体可塑剤と、(f)硬化パッケージと、を含む、成分から作製され、(d)及び(e)の総量は、少なくとも40phr、好ましくは、少なくとも50phrである。
【0005】
第2の実施形態では、タイヤトレッドゴム組成物が開示される。組成物は、(a)100部のエラストマー構成成分であって、(i)少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する約70~約80部のポリブタジエンと、(ii)好ましくは、-40℃未満のTgを有する、約10~約20部の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムと、(iii)約15~約25部の天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせと、を含む、エラストマー構成成分と、(b)好ましくは、約150~約300m/gの表面積を有する約110~約130phrの少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、(c)約10phr以下のカーボンブラック充填剤と、(d)約30~約50℃のTgを有する約35~約45phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、(e)約15~約25phrの液体可塑剤と、(f)硬化パッケージと、を含む、成分から作製され、(d)及び(e)の総量は、少なくとも約50phrである。
【0006】
第3の実施形態では、タイヤトレッドを提供するための方法が提供される。より具体的には、方法は、タイヤトレッドゴム組成物を利用することによって、湿潤牽引摩擦性能及び摩耗を維持しながら、改善された乾燥操縦性能を有するタイヤトレッドを提供する方法であって、タイヤトレッドゴム組成物は、(a)100部のエラストマー構成成分であって、(i)少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する70~85部のポリブタジエンと、(ii)好ましくは、-40℃未満のTgを有する、10~25部の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムと、(iii)10~20部の天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせと、を含む、エラストマー構成成分と、(b)好ましくは、約150~約300m/gの表面積を有する、101~150phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、(c)20phr以下、好ましくは、15phr以下のカーボンブラック充填剤と、(d)約30~約50℃のTgを有する30~50phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、(e)10~30phrの液体可塑剤と、(f)硬化パッケージと、を含む、成分から作製され、(d)及び(e)の総量は、少なくとも40phr、好ましくは、少なくとも50phrである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書では、タイヤトレッド用のゴム組成物及び関連方法が開示される。
【0008】
第1の実施形態では、タイヤトレッドゴム組成物が開示される。組成物は、(a)100部のエラストマー構成成分であって、(i)少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する70~85部のポリブタジエンと、(ii)好ましくは、-40℃未満のTgを有する、10~25部の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムと、(iii)10~20部の天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせと、を含む、エラストマー構成成分と、(b)好ましくは、約150~約300m/gの表面積を有する、101~150phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、(c)20phr以下、好ましくは、15phr以下のカーボンブラック充填剤と、(d)約30~約50℃のTgを有する30~50phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、(e)10~30phrの液体可塑剤と、(f)硬化パッケージと、を含む、成分から作製され、(d)及び(e)の総量は、少なくとも40phr、好ましくは、少なくとも50phrである。
【0009】
第2の実施形態では、タイヤトレッドゴム組成物が開示される。組成物は、(a)100部のエラストマー構成成分であって、(i)少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する約70~約80部のポリブタジエンと、(ii)好ましくは、-40℃未満のTgを有する、約10~約20部の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムと、(iii)約15~約25部の天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせと、を含む、エラストマー構成成分と、(b)好ましくは、約150~約300m/gの表面積を有する約110~約130phrの少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、(c)約10phr以下のカーボンブラック充填剤と、(d)約30~約50℃のTgを有する約35~約45phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、(e)約15~約25phrの液体可塑剤と、(f)硬化パッケージと、を含む、成分から作製され、(d)及び(e)の総量は、少なくとも約50phrである。
【0010】
第3の実施形態では、タイヤトレッドを提供するための方法が提供される。より具体的には、方法は、タイヤトレッドゴム組成物を利用することによって、湿潤牽引摩擦性能及び摩耗を維持しながら、改善された乾燥操縦性能を有するタイヤトレッドを提供する方法であって、タイヤトレッドゴム組成物は、(a)100部のエラストマー構成成分であって、(i)少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する70~85部のポリブタジエンと、(ii)好ましくは、-40℃未満のTgを有する、10~25部の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムと、(iii)10~20部の天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせと、を含む、エラストマー構成成分と、(b)好ましくは、約150~約300m/gの表面積を有する、101~150phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、(c)20phr以下、好ましくは、15phr以下のカーボンブラック充填剤と、(d)約30~約50℃のTgを有する30~50phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、(e)10~30phrの液体可塑剤と、(f)硬化パッケージと、を含む、成分から作製され、(d)及び(e)の総量は、少なくとも40phr、好ましくは、少なくとも50phrである。
定義
【0011】
本明細書に記載される用語は、実施形態を説明するためだけのものであり、全体として本発明を限定すると解釈すべきではない。
【0012】
本明細書で使用されるとき、用語「大部分」は、50%超を指す。
【0013】
本明細書で使用されるとき、略記Mnは、数平均分子量に使用される。
【0014】
本明細書で使用されるとき、略記Mpは、ピーク分子量に使用される。
【0015】
本明細書で使用されるとき、略記Mwは、重量平均分子量に使用される。
【0016】
本明細書で特に指示がない限り、用語「ムーニー粘度」とは、ムーニー粘度、ML1+4を意味する。ゴム組成物のムーニー粘度は、加硫又は硬化に先立って測定されることを、当業者は理解するであろう。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「天然ゴム」は、パラゴムノキ属のゴムの木及びパラゴムノキ属以外の原料(例えば、グアユールの低木及びタンポポ(例えば、TKS)など)などの原料から採取することができるものなど、天然由来のゴムを意味する。言い換えれば、用語「天然ゴム」は、合成ポリイソプレンを除くものと解釈すべきである。
【0018】
本発明で使用する場合、用語「phr」とは、ゴム100部あたりの部を意味する。100部のゴムは、本明細書において100部のエラストマー構成成分とも称される。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「ポリイソプレン」は、合成ポリイソプレンを意味する。言い換えれば、この用語は、イソプレンモノマーから製造されたポリマーを示すために用いられ、天然由来のゴム(例えば、パラゴムノキ天然ゴム、グアユール起源の天然ゴム、又はタンポポ起源の天然ゴム)を含むと解釈すべきではない。ただし、用語「ポリイソプレン」は、イソプレンモノマーの天然源から製造されるポリイソプレンを含むと解釈すべきである。
【0020】
本明細書で使用されるとき、用語「トレッド」は、通常の膨張及び負荷下で路面と接触するタイヤの部分、並びに任意のサブトレッドの両方を指す。
タイヤトレッドゴム組成物
【0021】
上述のように、本明細書に開示される第1及び第2の実施形態は、特定の成分で作製されたタイヤトレッドゴム組成物を対象とし、本明細書に開示される第3の実施形態は、特定の成分から調製されたタイヤトレッドゴム組成物を利用することによってタイヤトレッドを提供する方法を対象とする。対象ゴム組成物は、一般に、対象ゴム組成物のうちの1つを成形及び硬化することによるトレッドパターンの形成を含むプロセスによって、タイヤ用のトレッドを調製する際に使用される。したがって、タイヤトレッドは、タイヤトレッドゴム組成物のうちの1つの硬化形態を含む。タイヤトレッドゴム組成物は、形成されているがまだタイヤに組み込まれていないトレッドの形態で存在し得、及び/又はタイヤの一部を形成するトレッド内に存在し得る。
【0022】
本明細書に開示される第1~第3の実施形態によれば、全ゴム組成物のTgは様々であり得る。ゴム組成物全体のTgは、化合物Tg又はゴム組成物Tgと称され得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、-55~-75℃(例えば、-55、-56、-57、-58、-59、-60、-61、-62、-63、-64、-65、-66、-67、-68、-69、又は-70℃)、好ましくは-60~-70℃(例えば、-60、-61、-62、-63、-64、-65、-66、-67、-68、-69、-70、-71、-72、-73、-74、又は-75℃)の化合物Tgを有する。ゴム組成物の化合物Tgは、一般にASTM D5992-96(2011)のガイドラインに従って、動的機械熱分光計(以下に記載のGabo機器など、引張モードで動作する)を使用して、また、温度掃引(-70~65℃)を使用して、特定の試験条件下(すなわち、周波数52Hz、6%の静的ひずみ、0.1%の動的歪み、幅4.75mm×長さ29mm×深さ2mmの試料形態)で測定することができ、170℃で15分間硬化した後、及び振動方法を使用して測定を行い、振動方法を使用して、結果として生じる曲線からのTgを推定する。
エラストマー構成成分
【0023】
上述のように、第1~第3の実施形態によれば、タイヤトレッドゴム組成物は、100部のエラストマー構成成分を含む成分から作製される。エラストマー構成成分の成分は、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせを含む。総量100部のエラストマー又はゴムが使用され、その結果、他の成分の量は、phrの量で、又はゴム100部(又はエラストマー構成成分100部)あたりの部数で列挙され得る。非限定例として、15部のスチレン-ブタジエンゴム、70部のポリブタジエン、及び15部の天然ゴム並びに110部の補強シリカ充填剤を含有するゴム組成物については、シリカ充填剤の量は、また110phrと記載され得る。
【0024】
上述のように、第1の実施形態によれば、100部のエラストマー構成成分は、(i)少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する70~85部(例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、又は85部)のポリブタジエン、(ii)好ましくは、-40℃未満のTgを有する10~25部(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25部)の少なくとも1種のスチレンブタジエンゴム、並びに(iii)10~20部(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20部)の天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせを含む(comprise)(含む(include))。第1の実施形態の特定の実施形態では、100部のエラストマー構成成分は、(i)として、少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する70~80部、71~85部、71~84部、71~83部、71~82部、71~81部、71~80部のポリブタジエンを含む(comprise)(含む(include))。第1の実施形態の特定の実施形態では、ポリブタジエンゴム(i)のTgは、-101~-110℃(例えば、-101、-102、-103、-104、-105、-106、-107、-108、-109、又は-110℃)である。第1の実施形態の特定の実施形態では、100部のエラストマー構成成分は、(ii)好ましくは、-40℃未満のTgを有する、10~20部、11~24部、11~23部、11~22部、11~21部、又は11~20部の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムを含む(comprise)(含む(include))。第1の実施形態の特定の好ましい実施形態では、スチレン-ブタジエンゴム(ii)は、約-40~約-80℃、-40~-80℃(例えば、-40、-45、-50、-55、-60、-65、-70、-75、又は-80℃)、より好ましくは-50~-75℃(例えば、-50、-52、-54、-55、-56、-58、-60、-62、-64、-65、-66、-68、-70、-72、-74、又は-75℃)のTgを有する。第1の実施形態の特定の好ましい実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは、シリカ反応性官能基で官能化されている。第1の実施形態の特定の好ましい実施形態では、シリカ反応性官能基を有する官能化スチレン-ブタジエンゴムである1つのゴムのみが、(ii)のために使用される。第1の実施形態の他の実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは官能化されていない。
【0025】
上記のように、第2の実施形態によれば、100部のエラストマー構成成分は、(i)少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する、約70~約80部又は70~80部(例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、若しくは80部)のポリブタジエンと、(ii)好ましくは、-40℃未満のTgを有する、約10~約20部又は10~20部(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20部)の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムと、(iii)約15~約25部又は15~25部(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、若しくは25部)の天然ゴム、ポリイソプレン、又はそれらの組み合わせと、を含む(comprise)(含む(include))。第2の実施形態の特定の実施形態では、100部のエラストマー構成成分は、(i)として、少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する71~80部、71~79部、71~78部、70~79部、又は70~78部のポリブタジエンを含む(comprise)(含む(include))。第2の実施形態の特定の実施形態では、ポリブタジエンゴム(i)のTgは、-101~-110℃(例えば、-101、-102、-103、-104、-105、-106、-107、-108、-109、又は-110℃)である。第2の実施形態の特定の実施形態では、100部のエラストマー構成成分は、(ii)好ましくは、-40℃未満のTgを有する、15~24部、15~23部、15~22部、15~21部、又は15~20部の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムを含む(comprise)(含む(include))。第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では、スチレン-ブタジエンゴム(ii)は、約-40~約-80℃、-40~-80℃(例えば、-40、-45、-50、-55、-60、-65、-70、-75、又は-80℃)、又はより好ましくは-50~-75℃(例えば、-50、-52、-54、-55、-56、-58、-60、-62、-64、-65、-66、-68、-70、-72、-74、又は-75℃)のTgを有する。第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは、シリカ反応性官能基で官能化されている。第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では、シリカ反応性官能基を有する官能化スチレン-ブタジエンゴムである1つのゴムのみが、(ii)のために使用される。第2の実施形態の他の実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは官能化されていない。
【0026】
上述のように、第3の実施形態によれば、100部のエラストマー構成成分は、(i)少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する70~85部(例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、又は85部)のポリブタジエン、(ii)好ましくは、-40℃未満のTgを有する10~25部(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25部)の少なくとも1種のスチレンブタジエンゴム、並びに(iii)10~20部(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20部)の天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせを含む(comprise)(含む(include))。第3の実施形態の特定の実施形態では、100部のエラストマー構成成分は、(i)として、少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する70~80部、71~85部、71~84部、71~83部、71~82部、71~81部、又は71~80部のポリブタジエンを含む(comprise)(含む(include))。第3の実施形態の特定の実施形態では、ポリブタジエンゴム(i)のTgは、-101~-110℃(例えば、-101、-102、-103、-104、-105、-106、-107、-108、-109、又は-110℃)である。第3の実施形態の特定の実施形態では、100部のエラストマー構成成分は、(ii)好ましくは、-40℃未満のTgを有する、10~20部、11~24部、11~23部、11~22部、11~21部、又は11~20部の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムを含む(comprise)(含む(include))。第3の実施形態の特定の好ましい実施形態では、スチレン-ブタジエンゴム(ii)は、約-40~約-80℃、-40~-80℃(例えば、-40、-45、-50、-55、-60、-65、-70、-75、又は-80℃)、より好ましくは-50~-75℃(例えば、-50、-52、-54、-55、-56、-58、-60、-62、-64、-65、-66、-68、-70、-72、-74、又は-75℃)のTgを有する。第3の実施形態の特定の好ましい実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは、シリカ反応性官能基で官能化されている。第3の実施形態の特定の好ましい実施形態では、シリカ反応性官能基を有する官能化スチレン-ブタジエンゴムである1つのゴムのみが、(ii)のために使用される。第3の実施形態の他の実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは官能化されていない。
【0027】
エラストマーについて本明細書で言及されるTg値は、油展を全く伴わずにエラストマー上で行われたTg測定を表す。言い換えれば、油展性エラストマーでは、上記のTg値は、油展前のTg、又は同じエラストマーの非油展バージョンを指す。エラストマー又はポリマーTg値は、TA Instruments(New Castle,Delaware)製などの示差走査熱量測定(differential scanning calorimeter、DSC)計器を使用して測定され得、測定は、-120℃で冷却してから10℃/分の温度上昇を使用して実施する。その後、正接をDSC曲線の急上昇前後のベースラインに引く。DSC曲線上の温度(2つの接点の中間に対応する点で読み取る)をTgとして使用することができる。
【0028】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分の平均Tgは、-80~-105℃(例えば、-80、-82、-84、-85、-86、-88、-90、-92、-94、-95、-96、-98、-100、-102、-104、又は-105℃)、好ましくは、-85~-105℃(例えば、-85、-87、-89、-90、-91、-93、-95、-97、-99、-100、-101、-103、又は-105℃)、より好ましくは、-90~-100℃(例えば、-90、-91、-92、-93、-94、-95、-96、-98、-99、又は-100℃)である。エラストマー構成成分の平均Tgは、100部のエラストマー構成成分中に存在する各ゴムのTgを使用し、それらの相対重量パーセントを考慮して計算することができる。1つ(又は複数)のゴムが油展されている場合、ゴムの量のみ(すなわち、いかなる量の油も除外する)が、エラストマー構成成分の平均Tgを計算するのに利用される。1つ(又は複数)のゴムが油展されている場合、非油展性ゴムのTgが、エラストマー構成成分の平均Tgを計算するのに利用される。
(i)のスチレン-ブタジエンゴム
【0029】
第1~第3の実施形態によれば、(ii)のために使用されるスチレン-ブタジエンゴムのスチレンモノマー含量(すなわち、ブタジエン単位とは対照的にスチレン単位を含むポリマー鎖の重量パーセント)は様々であり得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)にために使用されるスチレン-ブタジエンゴムのスチレン含有量は、約25%以下、25%以下(例えば、25%、20%、15%、10%、5%、25~5%、25~10%など)、好ましくは、約15%以下又は15%以下(例えば、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、15~5%、15~10%など)のスチレンモノマー含有量を有する。
【0030】
第1~第3の実施形態によれば、(ii)のために使用されるスチレン-ブタジエンゴムのビニル結合含量(すなわち、1,2-微細構造)は、様々であり得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のために使用されるスチレン-ブタジエンゴムは、約20~約60%、20~60%(例えば、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、若しくは60%)、約25~約55%、25~55%(例えば、25%、30%、35%、40%、45%、50%、若しくは55%)、約30~約50%又は30~40%(例えば、30%、32%、34%、35%、36%、38%、若しくは40%)のビニル結合含量を有し得る。(ii)のために使用されるスチレン-ブタジエンゴムは、前述の範囲のうちの1つの範囲内のビニル結合含量を、任意選択的に、以下で考察されるMw、Mn、及び/又はMw/Mnの範囲のうちの1つ以上と組み合わせて、並びに特定の実施形態では、任意選択的に、上で考察されたスチレンモノマー含量のうちの1つと組み合わせて、有し得る。本明細書で言及されるビニル結合含量は、SBRポリマー鎖のブタジエン部分におけるビニル結合含量ではなく、SBRポリマー鎖中の総ビニル結合含量についてであるものとして理解されるべきであり、H-NMR及びC13-NMRによって(例えば、300MHz Gemini 300 NMR Spectrometer System(Varian)を使用して)測定することができる。
【0031】
上記のように、第1~第3の実施形態の好ましい実施形態によれば、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは、シリカ反応性官能基で官能化されている。存在する特定の官能基化基(及び同様に官能基化基を提供するために使用される化合物)は、様々であり得る。1種又は2種以上のシリカ反応性官能基が各ゴムに利用され得る。シリカ反応性官能基は、ポリマーの先端部に、ポリマーの末端部に、ポリマー鎖の骨格に沿って、又はこれらの組み合わせで存在し得る。ポリマーの一方又は両方の末端に存在する官能基は、一般に、官能性開始剤、官能性停止剤、又はその両方の使用の結果である。代替として又は更に、シリカ反応性官能基は、カップリング剤を使用して複数のポリマー鎖の結合の結果として存在し得る(以下に記載される)。シリカ反応性官能基の非限定例として、一般に、窒素含有官能基、ケイ素含有官能基、酸素又はイオウ含有官能基、及び金属含有官能基が挙げられる。
【0032】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態において(ii)のスチレン-ブタジエンゴム中のシリカ反応性官能基として利用することができる窒素含有官能基の非限定例としては、置換又は非置換アミノ基、アミド残基、イソシアネート基、イミダゾリル基、インドリル基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、及びケチミン基が挙げられるが、これらに限定されない。上記置換又は非置換アミノ基は、一級アルキルアミン、二級アルキルアミン、又は環状アミン、及び、置換又は非置換イミン由来のアミノ基を含むと理解されたい。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは、前述の窒素含有官能基のリストから選択される少なくとも1つのシリカ反応性官能基を含む。
【0033】
【化1】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは、イミノ基の形態で窒素を含む化合物からのシリカ反応性官能基を含む。このようなイミノ含有官能基は、ポリマー鎖の活性末端を、以下の式(I)を有する化合物と反応させることによって付加され得る。
式中、R、R’、R’’、及びR’’’は各独立して、アルキル基、アリル基、及びアリール基からなる群から選択される1~18個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18個の炭素原子)を有する基から選択され、m及びnは、それぞれ、1~20(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20)及び1~3(1、2、又は3)の整数である。R、R’、R’’、及びR’’’の各々は、好ましくはヒドロカルビルであり、ヘテロ原子を含有しない。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、各R及びR’は、1~6個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子)、好ましくは1~3個の炭素原子(例えば、1、2、又は3個の炭素原子)を有するアルキル基から独立して選択される。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、mは2~6(例えば、2、3、4、5、又は6)、好ましくは2~3の整数である。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、R’’’は、1~6個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子)、好ましくは2~4個の炭素原子(例えば、2、3、又は4個の炭素原子)を有する基から選択される。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、R’’は、1~6個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子)、好ましくは1~3個の炭素原子(例えば、1、2、又は3個の炭素原子)、最も好ましくは1個の炭素原子(例えば、メチル)を有するアルキル基から選択される。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、nは3であり、トリアルコキシシラン部分などのトリヒドロカルボキシシラン部分を有する化合物をもたらす。(ii)のスチレン-ブタジエンゴムのためのシリカ反応性官能基を提供するのに好適な、イミノ基を有し、上記の式(I)を満たす化合物の非限定例としては、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルエチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-エチリデン-3-(トリエトキシシリル(triethoxysily1))-1-プロパンアミン、N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、及びN-(4-N,N-ジメチルアミノベンジリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態において(ii)のスチレン-ブタジエンゴム中のシリカ反応性官能基として利用することができるケイ素含有官能基の非限定例としては、有機シリル又はシロキシ基が挙げられるが、これらに限定されず、より正確には、このような官能基は、アルコキシシリル基、アルキルハロシリル基、シロキシ基、アルキルアミノシリル基、及びアルコキシハロシリル基から選択され得る。任意選択的に、有機シリル又はシロキシ基はまた、1つ以上の窒素を含有し得る。ジエン系エラストマーの官能化での使用に好適なケイ素含有官能基として、この開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,369,167号に開示されるものも挙げられる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは、前述のケイ素含有官能基のリストから選択される少なくとも1つのシリカ反応性官能基を含む。
【0035】
【化2】
第1~第3の実施形態の特定の好ましい実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは、シロキシ基を有するケイ素含有官能基を含むシリカ反応性官能基を含み(例えば、ヒドロカルビルオキシシラン含有化合物)、化合物は、任意選択的に、少なくとも1つの官能基を有する一価の基を含む。このようなケイ素含有官能基は、ポリマー鎖の活性末端を、以下の式(II)を有する化合物と反応させることによって付加され得る。
式中、Aは、エポキシ、イソシアネート、イミン、シアノ、カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、環状三級アミン、非環状三級アミン、ピリジン、シラザン及び硫化物から選択される少なくとも1つの官能基を有する一価の基を表し、Rは、単結合、又は1~20個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子)を有する二価炭化水素基を表し、Rは、1~20個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子)を有する一価脂肪族炭化水素基、6~18個の炭素原子(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18個の炭素原子)を有する一価芳香族炭化水素基又は反応性基を表し、Rは、1~20個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子)を有する一価脂肪族炭化水素基、又は6~18個の炭素原子(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18個の炭素原子)を有する一価芳香族炭化水素基を表し、bは0~2の整数であり、2つ以上のR又はORが存在するとき、各R及び/又はORは、互いに同じであっても異なっていてもよく、並びに活性プロトンは、分子)及び/又はその部分縮合生成物内に含まれない。本明細書で使用されるとき、部分縮合生成物は、ヒドロカルビルオキシシラン化合物中のSiOR基の一部(全てではない)が、縮合によってSiOSi結合になっている生成物を指す。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(a)Rが、1~12個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12個の炭素原子)、2~6個の炭素原子(例えば、2、3、4、5、若しくは6個の炭素原子)、又は2~3個の炭素原子(例えば、2若しくは3個の炭素原子)を有する二価の炭化水素基を表す、(b)Rが、1~12個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12個の炭素原子)、2~6個の炭素原子(例えば、2、3、4、5、若しくは6個の炭素原子)、又は1~2個の炭素原子を有する一価の脂肪族炭化水素基、又は6~8個の炭素原子を有する一価の芳香族炭化水素基を表す、(c)Rが、1~12個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12個の炭素原子)、2~6個の炭素原子(例えば、2、3、4、5、若しくは6個の炭素原子)、又は1~2個の炭素原子を有する一価の脂肪族炭化水素基、又は6~8個の炭素原子を有する一価の芳香族炭化水素基を表す、のうちの少なくとも1つが満たされ、特定のそのような実施形態では、(a)、(b)及び(c)の各々が満たされ、R、R及びRは、前述の基のうちの1つから選択される。
【0036】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレンブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのエポキシ基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、2-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2-グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)-メチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシランなどが挙げられる。これらの中でも、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが特に適している。
【0037】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレンブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのイソシアネート基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリイソプロポキシシランなどが挙げられ、これらの中でも、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0038】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレンブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのイミン基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルエチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-エチリデン-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(4-N,N-ジメチルアミノベンジリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(シクロヘキシリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、及び上記のトリエトキシシリル化合物に各対応するトリメトキシシリル化合物、メチルジエトキシシリル化合物、エチルジメトキシシリル化合物などが挙げられる。これらの中でも、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン及びN-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミンが特に適している。また、イミン(アミジン)基含有化合物としては、好ましくは、1-[3-トリメトキシシリル]プロピル]-4,5-ジヒドロイミダゾール、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、(1-ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、N-(3-イソプロポキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、N-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾールなどが挙げられ、これらの中でも、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール及びN-(3-イソプロポキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾールが好ましい。
【0039】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレンブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのカルボン酸エステル基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシランなどが挙げられ、これらの中でも、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
【0040】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレンブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのカルボン酸無水物基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸無水物などが挙げられ、これらの中でも3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物が好ましい。
【0041】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレンブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのシアノ基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、2-シアノエチルプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0042】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレンブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つの環状三級アミン基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルトリメトキシシラン、(1-ヘキサメチレンイミノ)メチルトリエトキシシラン、(1-ヘキサメチレンイミノ)メチルトリメトキシシラン、2-(1-ヘキサメチレンイミノ)エチルトリエトキシシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)エチルトリメトキシシラン、3-(1-ピロリジニル)プロピルトリメトキシシラン、3-(1-ピロリジニル)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ヘプタメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ドデカメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルジエトキシメチルシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルジエトキシエチルシラン、3-[10-(トリエトキシシリル)デシル]-4-オキサゾリンなどが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン及び(1-ヘキサメチレンイミノ)メチルトリエトキシシランを列挙することができる。
【0043】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレンブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つの非環状三級アミン基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、3-ジブチルアミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ、これらの中でも、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン及び3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシランが適している。
【0044】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのピリジン基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、2-トリメトキシシリルエチルピリジンなどが挙げられる。
【0045】
第1~第3の実施形態の特定の好ましい実施形態では、(ii)のスチレンブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのシラザン基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1-トリメチルシリル-2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、又は1-トリメチルシリル-2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタンが特に好ましい。
【0046】
(上で詳細に考察されたように)式(II)によるシリカ反応性官能基が使用され、式中、Aが1つ以上の保護された窒素を含有する、第1~第3の実施形態のそれらの実施形態では、保護された窒素を一級窒素に変換するために、加水分解又は他の手順によって脱保護又は脱ブロックされ得る。非限定例として、2つのトリメチルシリル基に結合した窒素は、脱保護され、一級アミン窒素に変換され得る(そのような窒素は、依然として式(II)の化合物の残部に結合されている)。したがって、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムのシリカ反応性官能基が式(II)による化合物の使用から生じ、式中、Aが1つ以上の保護された窒素を含有する、第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、官能化ポリマーは、化合物の脱保護(又は加水分解)バージョンから生じる官能基を含有するものとして理解することができる。
【0047】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態において(ii)のスチレン-ブタジエンゴム中のシリカ反応性官能基として利用することができる酸素又は硫黄含有官能基の非限定例としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシドキシ基、ジグリシジルアミノ基、環状ジチアン由来官能基、エステル基、アルデヒド基、アルコキシ基、ケトン基、チオカルボキシル基、チオエポキシ基、チオグリシドキシ基、チオジグリシジルアミノ基、チオエステル基、チオアルデヒド基、チオアルコキシ基、及びチオケトン基が挙げられるが、これらに限定されない。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、前述のアルコキシ基は、ベンゾフェノン由来のアルコール由来アルコキシ基であり得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは、前述の酸素又は硫黄含有官能基のリストから選択される少なくともシリカ反応性官能基を含む。
【0048】
第1~第3の実施形態によれば、(ii)の1種以上のスチレン-ブタジエンゴムは、溶液重合又は乳化重合のいずれかによって調製され得る。第1~第3の実施形態の特定の好ましい実施形態では、(ii)で使用される唯一のスチレン-ブタジエンゴムは、溶液重合によって調製されるものである。第1~第3の実施形態の他の実施形態では、(ii)で使用される唯一のスチレン-ブタジエンゴムは、乳化重合によって調製されるものである。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、2種以上のスチレン-ブタジエンゴムが(ii)のために使用される場合、ゴムは、溶液重合SBRと乳化重合SBRとの組み合わせである(例えば、1種の溶液SBRと1種の乳化SBR)。
【0049】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムの官能化及び結合された形態が利用され得る。そのような効果は、リビングポリマーをカップリング剤及び官能化剤の両方で処理することによって達成することができ、これは、いくつかの鎖を結合し、他の鎖を官能化するのに役立つ。カップリング剤と官能化剤の組み合わせは、様々なモル比で使用することができる。あるいは、第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは、単に結合の結果に由来するシリカ反応性であり得る。カップリング剤及び官能化剤という用語を本明細書において用いてきたが、特定の化合物は両方の機能に役立ち得ることを当業者は理解する。つまり、特定の化合物は、ポリマー鎖を結合すること、及び官能基と共にポリマー鎖を提供することの両方ができる。当業者はまた、ポリマー鎖を結合する能力はポリマー鎖と反応したカップリング剤の量に依存し得ることを理解する。例えば、反応開始剤のリチウムの当量とカップリング剤の脱離基(例えば、ハロゲン原子)の当量との1対1の比でカップリング剤を添加する場合、有利な結合を達成することができる。カップリング剤の非限定例としては、金属ハライド、半金属ハライド、アルコキシシラン、アルコキシスタンナン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0050】
第1~第3の実施形態の1つ以上の実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムのためのカップリング剤は、式(1)のR (4-n)、式(2)のM、及び式(3)のMによって表される化合物を含む群から選択される金属ハライド又は半金属ハライドを含み、式中、各Rは独立して、1~20個の炭素原子を有する1価の有機基であり、Mはスズ原子、ケイ素原子、又はゲルマニウム原子であり、Mはリン原子であり、Yはハロゲン原子であり、nは0~3の整数である。
【0051】
式(1)で表される代表的な化合物としては、ハロゲン化有機金属化合物が挙げられ、式(2)及び(3)で表される化合物としては、ハロゲン化金属化合物が挙げられる。
【0052】
がスズ原子を表す場合、式(1)で表される化合物は、例えば、トリフェニルスズクロリド、トリブチルスズクロリド、トリイソプロピルスズクロリド、トリヘキシルスズクロリド、トリオクチルスズクロリド、ジフェニルスズジクロリド、ジブチルスズジクロリド、ジヘキシルスズジクロリド、ジオクチルスズジクロリド、フェニルスズトリクロリド、ブチルスズトリクロリド、オクチルスズトリクロリドなどであり得る。更に、式(2)で表される化合物としては、スズテトラクロリド、スズテトラブロミドなどが挙げられ得る。
【0053】
がケイ素原子を表す場合、式(1)で表される化合物は、例えば、トリフェニルクロロシラン、トリヘキシルクロロシラン、トリオクチルクロロシラン、トリブチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジヘキシルジクロロシラン、ジオクチルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、メチルトリクロロシランなどであり得る。更に、式(2)で表される化合物としては、ケイ素テトラクロリド(silicon tetrachloride)、ケイ素テトラブロミド(silicon tetrabromide)などが挙げられ得る。Mがゲルマニウム原子を表す場合、式(1)で表される化合物は、例えば、トリフェニルゲルマニウムクロリド、ジブチルゲルマニウムジクロリド、ジフェニルゲルマニウムジクロリド、ブチルゲルマニウムトリクロリドなどであり得る。更に、式(2)で表される化合物としては、ゲルマニウムテトラクロリド、ゲルマニウムテトラブロミドなどが挙げられ得る。式(3)で表される化合物としては、リンテトラクロリド(Phosphorous trichloride)、リンテトラブロミド(phosphorous tribromide)などが挙げられ得る。1つ以上の実施形態では、金属ハライド及び/又は半金属ハライドの混合物を使用することができる。
【0054】
第1~第3の実施形態の1つ以上の実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムのためのカップリング剤は、式(4)のR (OR^)4-nによって表される化合物を含む群から選択されるアルコキシシラン又はアルコキシスタンナンを含み、式中、各Rは独立して1~20個の炭素原子を有する1価の有機基であり、Mはスズ原子、ケイ素原子、又はゲルマニウム原子であり、OR^はアルコキシ基であり、R^は1価の有機基であり、nは0~3の整数である。
【0055】
式(4)で表される例示的な化合物としては、テトラエチルオルソシリケート、テトラメチルオルソシリケート、テトラプロピルオルソシリケート、テトラエトキシスズ、テトラメトキシスズ、及びテトラプロポキシスズが挙げられる。
【0056】
本明細書に開示される第1~第3の実施形態によれば、(ii)の1種以上のスチレン-ブタジエンゴムのMw、Mn、及び多分散度(Mw/Mn)は、様々であり得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムは、250,000~600,000(例えば、250,000、275,000、300,000、325,000、350,000、375,000、400,000、425,000、450,000、475,000、500,000、525,000、550,000、575,000、又は600,000グラム/モル)、300,000~600,000、350,000~550,000、又は400,000~500,000グラム/モルのMwを有し、特定のそのような実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは、前述の範囲のうちの1つ以内のMwを有する1種のゴムからなる。特定のそのような実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは、前述の範囲のうちの1つ以内のMw及び-40℃未満(以下、記載のとおり)のTgを有する1種のゴムからなる。本明細書において言及されているMw値は、重量平均分子量であり、これは、スチレン-ブタジエン標準及び対象のポリマーに対してマルク-ハウインク定数により較正されたゲル浸透クロマトグラフィ(gel permeation chromatography、GPC)を使用することにより決定することができる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは、200,000~400,000グラム/モル(例えば、200,000、225,000、250,000、275,000、300,000、325,000、350,000、375,000、又は400,000グラム/モル)のMnを有する。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは、200,000~350,000、又は200,000~300,000グラム/モルのMnを有する。本明細書において言及されているMn値は、数平均分子量であり、これは、スチレン-ブタジエン標準及び対象のポリマーに対してマルク-ハウインク定数により較正されたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を使用することにより決定することができる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のSBRは、前述の範囲のうちの1つ以内のMnを、任意選択的に、以下で考察されるようにMw/Mn値と組み合わせて、前述の範囲のうちの1つ以内のMwと組み合わせて有することができる。本明細書に開示される第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)のスチレン-ブタジエンゴムは、1.2~2.5(例えば、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、又は2.5)、好ましくは1.3~2、又は1.3~1.6のMw/Mn(多分散度)を有する。
ポリブタジエンゴム(i)
【0057】
第1~第3の実施形態によれば、エラストマー構成成分の(i)は、少なくとも95%(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ超)のシス結合含有量、及び-101℃未満(例えば、-102、-103、-104、-105、-106、-107、-108、-109℃以下)のTgを有するポリブタジエンゴムからなる。特定のそのような実施形態では、ポリブタジエンゴム(i)のTgは、-101~-110℃である。シス結合含量は、シス1,4-結合含量を指す。本明細書で言及されるシス1,4-結合含有量は、FTIR(Fourier Transform Infrared Spectroscopy、フーリエ変換赤外分光法)によって決定され、そこで、ポリマー試料は、CSに溶解され、次いで、FTIRに供する。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(i)のポリブタジエンゴムは、少なくとも98%(例えば、98%、99%、又はそれ超)又は少なくとも99%(例えば、99%、99.5%、又はそれ超)のシス1,4-結合含量を有し得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物に使用される任意のポリブタジエンゴムは、-105℃以下(例えば、-105、-106、-107、-108、-109℃以下)、例えば、-105~-110℃又は-105~-108℃のTgを有する。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物に使用される任意のポリブタジエンゴムは、3重量%未満(例えば、3%、2%、1%、0.5%、又はそれ未満)、好ましくは1重量%未満(例えば、1%、0.5%、又はそれ未満)又は0重量%のシンジオタクチック1,2-ポリブタジエンを含有する。一般に、第1~第3の実施形態によれば、少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する1種又は2種以上のポリブタジエンゴムが、(i)のために使用され得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(i)は、少なくとも95%(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ超)のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する1種のポリブタジエンゴムのみからなる。第1~第3の実施形態の好ましい実施形態では、高ビニル含有量を有する任意のポリブタジエンゴムの量(すなわち、約70%超)は、(トレッドゴム組成物全体において、)25部未満に限定されず、より好ましくは、10部未満、更により好ましくは、5部又は0部未満である。
【0058】
本明細書に開示される第1~第3の実施形態によるタイヤトレッドゴム組成物において、少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する特許請求される量のポリブタジエンの使用(好ましくは、第1~第3の実施形態によるタイヤトレッドゴム組成物の他の構成成分と組み合わせて)は、特許請求される量未満のポリブタジエン(例えば、50部)を使用し、かつ欠落した量のポリブタジエンを当量のスチレン-ブタジエンゴム(ii)で置き換える、対照ゴム組成物と比較して、湿潤性能及び摩耗を維持しながら乾燥操縦性能の改善をもたらすことができる。摩耗性能が維持されると主張することは、上記の対照ゴム組成物と比較して、摩耗性能(ISO23337:2016によって測定される)が、対照の少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、又はそれ超)(例えば、前述のような90~92%、90~95%、90~97%、90~100%、92~95%、92~97%、92~100%などの範囲を含む)であることを意味する。更に考察されるように、以下、摩耗は、下限値(すなわち、より少ない材料損失)が良好な摩耗を示す標準的な方法DIN ISO4649、2014版を使用して)DIN摩耗値によって測定することができる。非限定的な例として、試料が0.0055mgの摩耗損失を呈し、その対照が0.0050の摩耗損失を呈した場合、試料は、その対照の95%である摩耗性能を有するものとして記載され得、試料が0.0054mgの摩耗損失を呈し、その対照が0.0060mgの摩耗損失を呈した場合、試料は、その対照と比較して10%改善された摩耗性能を有するものとして記載され得る。前述の説明によれば、その対照の100%である摩耗性能は、その対照に等しい摩耗性能を有すると理解されるべきである。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、タイヤトレッドゴム組成物は、上記の対照ゴム組成物と比較して、少なくとも5%(例えば、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、5~13%、5~10%など)、又は更に少なくとも10%(例えば、10%、11%、12%、13%、10~13%など)の乾燥操縦性能の改善を呈する(以下、より詳細に考察されるように、30℃におけるその値tanδによって証明されるように)。あるいは、前述の改善は、対照と比較して、少なくとも105%(105%が100%よりも5%高い)及び少なくとも110%(110%が100%よりも10%高い)であると説明することもできる。特に、乾燥操縦性能の場合、0℃におけるtanδのより高い値は、より良好な乾燥操縦性能を示す。前述の説明によれば、その制御の100%である乾燥操縦性能は、その対照に等しい乾燥性能を有すると理解されるべきで、対照との比較は、対照値を試料値で割って100%を掛けることによって計算される。
(iii)の天然ゴム、ポリイソプレン、又はそれらの組み合わせ
【0059】
上記のように、第1及び第2の実施形態によれば、10~20部(例えば、10、12、14、15、16、18、又は20部)、第3の実施形態によれば、約15~約25部又は15~25部(例えば、15、17、19、20、21、23、又は25部)の天然ゴム、ポリイソプレン、又はそれらの組み合わせが、トレッドゴム組成物中に(iii)として存在する。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(iii)は天然ゴムから(のみ)なる。第1~第3の実施形態の他の実施形態では、(iii)はポリイソプレンから(のみ)なる。天然ゴムが存在する場合、天然ゴムは、パラゴムノキ天然ゴム、非パラゴムノキ天然ゴム(例えば、グアユール天然ゴム)、又はこれらの組み合わせを含み得る。天然ゴムが第1~第3の実施形態のトレッドゴム組成物中で利用されるとき、天然ゴムは、好ましくは、1,000,000~2,000,000グラム/モル(例えば、100万、110万、120万、130万、140万、150万、160万、170万、180万、190万、200万グラム/モル)、1,250,000~2,000,000グラム/モル、又は1,500,000~2,000,000グラム/モル(ポリスチレン標準を使用してGPCによって測定される)のMwを有する。第1~第3の実施形態のトレッドゴム組成物に天然ゴムが利用される場合、天然ゴムのTgは様々であり得る。好ましくは、第1~第3の実施形態によれば、天然ゴムが利用される場合、それは、-65~-80℃(例えば、-65、-66、-67、-68、-69、-70、-71-、-72、-73、-74、-75、-76、-77、-78、-79、若しくは-80℃)のTg、より好ましくは、-67~-77℃(例えば、-67、-68、-69、-70、-71、-72、-73、-74、-75、-76、又は-77℃)のTgを有する。第1~第3の実施形態のトレッドゴム組成物にポリイソプレンが利用される場合、ポリイソプレンのTgは様々であり得る。好ましくは、第1~第3の実施形態によれば、ポリイソプレンが利用される場合、それは、-55~-75℃(例えば、-55、-56、-57、-58、-59、-60、-61、-62、-63、-64、-65、-66、-67、-68、-69、-70、-71、-72、-73、-74、又は-75℃)、より好ましくは、-58~-74℃(例えば、-58、-59、-60、-61、-62、-63、-64、-65、-66、-67、-68、-69、-70、-71、-72、-73、又は-74℃)のTgを有する。
充填剤
【0060】
本明細書で使用するとき、「補強カーボンブラック充填剤」、「補強シリカ充填剤」、及び「補強充填剤」について使用される用語「補強」は、一般に、補強として従来説明されている充填剤、並びに半補強と従来説明される場合がある充填剤の両方の充填剤を包含すると理解されたい。従来、用語「補強充填剤」は、窒素吸着比表面積(NSA)が、約100m/g超、場合によっては、100m/g超、約125m/g超、125m/g超、又は更に約150m/g超、又は150m/g超である、微粒子材料を指すために使用される。あるいは(又は加えて)、用語「補強充填剤」を伝統的に用いて、約10nm~約50nm(10nm~50nmを含む)の粒径を有する微粒子材料を指すためにも使用することができる。伝統的に、用語「半補強充填剤」は、粒径、表面積(NSA)のいずれか、又は両方において、非補強充填剤(以下で考察されるように)と補強充填剤との中間である充填剤を指すために使用される。本明細書に開示される第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、用語「補強充填剤」は、窒素吸着比表面積(NSA)が、約20m/g以上(20m/g以上を含む)、約50m/g超、50m/g超、約100m/g超、又は100m/g超である、微粒子材料を指すために使用される。本明細書に開示される第1~第3の実施形態のうちの特定の実施形態では、用語「補強充填材」は、約10nm~約1000nm(10nm~1000nmを含む)、約10nm~約50nm(10nm~50nmを含む)の粒径を有する、粒子材料を指すために使用される。
補強シリカ充填剤
【0061】
上記のように、本明細書に開示される第1及び第3の実施形態によれば、トレッドゴム組成物は、101~150phr(例えば、101、105、110、115、120、125、130、135、140、145、又は150phr)の量で、好ましくは、約150~約300m/g又は150~300m/g、より好ましくは、約180~約250m/gの表面積を有する、少なくとも1種の補強シリカ充填剤を含み(comprise)(含み(include))、第2の実施形態によれば、約110~約130phr又は110~130phr(例えば、110、112、114、115、116、118、120、122、124、125、126、128、又は130phr)の量で、好ましくは、約150~約300m/g又は150~300m/g、より好ましくは、約180~約250m/gの表面積を有する、少なくとも1種の補強シリカ充填剤を含む(comprise)(含む(include))。
【0062】
第1~第3の実施形態の特定の好ましい実施形態では、トレッドゴム組成物は、150~300m/g(例えば、150、160、180、200、220、240、260、280、又は300m/g)の表面積を有する少なくとも1種の補強シリカ充填剤を含む(comprise)(含む(include))。第1~第3の実施形態の特定の好ましい実施形態では、トレッドゴム組成物は、180~240、180~230、180~220、180~210、190~240、190~230、190~220、190~210などの中間範囲を含むものとして理解されるべきである、180~250m/g(例えば、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、又は250m/g)の表面積を有する少なくとも1種の補強シリカ充填剤を含む(comprise)(含む(include))。第1~第3の実施形態によれば、上で考察された表面積を有する1つ又は2つ以上の補強シリカ充填剤を利用することができる。2種以上のこのような補強シリカ充填剤が利用されるそれらの実施形態では、前述の量は、全ての補強シリカ充填剤の総量を指す。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、上で考察された表面積を有する補強シリカ充填剤が1種のみ利用される。第1~第3の実施形態の好ましい実施形態では、トレッドゴム組成物に使用される唯一の補強シリカ充填剤は、上で考察された表面積を有するものであり、そのような実施形態では、トレッドゴム組成物は、上で考察された範囲外の表面積を有する補強シリカ充填剤を含まない(すなわち、0phrの補強シリカ充填剤を含有する)ものとして理解することができる。
【0063】
第1~第3の実施形態によれば、上で考察された表面積を有する少なくとも1種の補強シリカ充填剤のための使用される特定の種類のシリカは、様々であり得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態における使用に好適な補強シリカ充填材の非限定例としては、以下に限定されないが、沈殿非晶質シリカ、湿性シリカ(水和ケイ酸)、乾燥シリカ(無水ケイ酸)、フュームドシリカ、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態における使用に好適な他の補強シリカ充填材としては、以下に限定されないが、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム(MgSiO、MgSiOなど)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO)、ケイ酸カルシウム(CaSiOなど)、ケイ酸アルミニウム(AlSiO、Al.3SiO.5HOなど)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al.CaOSiOなど)などが挙げられる。列挙された補強シリカ充填剤の中で、沈殿非晶質湿式プロセス、含水シリカ充填剤が好ましい。このような補強シリカ充填剤は、水中の化学反応により生成され、そこから凝集体へと強力に結合し、順次、集塊物へとわずかに強く結合する一次粒子を伴う超微粒の球状粒子として、沈殿される。表面積は、BET法で測定すると、様々な補強シリカ充填剤の補強特性を特徴付ける好ましい測定値である。本明細書に開示される第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、以下で考察されるように、(BET法によって測定される)表面積を有する補強シリカ充填剤を含む。本明細書に開示される第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、約5.5~約8、5.5~8(例えば、5.5、5.7、5.9、6.1、6.3、6.5、6.7、6.9、7.1、7.3、7.5、7.7、7.9、又は8)、約6~約8、6~8(例えば、6、6.2、6.4、6.6、6.8、7、7.2、7.4、7.6、7.8、又は8)、約6~約7.5、6~7.5、約6.5~約8、6.5~8、約6.5~約7.5、6.5~7.5、約5.5~約6.8、又は5.5~6.8のpHを有する補強シリカ充填剤を含む。第1~第3の実施形態の特定の実施形態で使用することができる市販の補強シリカ充填剤のいくつかとしては、PPG Industries(Pittsburgh,Pa.)によって製造された、Hi-Sil(登録商標)EZ120G、Hi-Sil(登録商標)EZ120G-D、Hi-Sil(登録商標)134G、Hi-Sil(登録商標)EZ 160G、Hi-Sil(登録商標)EZ 160G-D、Hi-Sil(登録商標)190、Hi-Sil(登録商標)190G-D、Hi-Sil(登録商標)EZ 200G、Hi-Sil(登録商標)EZ 200G-D、Hi-Sil(登録商標)210、Hi-Sil(登録商標)233、Hi-Sil(登録商標)243LD、Hi-Sil(登録商標)255CG-D、Hi-Sil(登録商標)315-D、Hi-Sil(登録商標)315G-D、Hi-Sil(登録商標)HDP 320Gなど、が挙げられるが、これらに限定されない。同様に、複数の有用な商用の異なる補強シリカ充填剤もまた、Evonik Corporation(例えば、Ultrasil(登録商標)320 GR、Ultrasil(登録商標)5000 GR、Ultrasil(登録商標)5500 GR、Ultrasil(登録商標)7000 GR、Ultrasil(登録商標)VN2 GR、Ultrasil(登録商標)VN2、Ultrasil(登録商標)VN3、Ultrasil(登録商標)VN3 GR、Ultrasil(登録商標)7000 GR、Ultrasil(登録商標)7005、Ultrasil(登録商標)7500 GR、Ultrasil(登録商標)7800 GR、Ultrasil(登録商標)9500 GR、Ultrasil(登録商標)9000 G、Ultrasil(登録商標)9100 GR)及びSolvay(例えば、Zeosil(登録商標)1115MP、Zeosil(登録商標)1085GR、Zeosil(登録商標)1165MP、Zeosil(登録商標)1200MP、Zeosil(登録商標)Premium、Zeosil(登録商標)195HR、Zeosil(登録商標)195GR、Zeosil(登録商標)185GR、Zeosil(登録商標)175GR、及びZeosil(登録商標)165 GR)から入手可能である。
シリカカップリング剤
【0064】
本明細書に開示される第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、1種又は2種以上のシリカカップリング剤もまた、(任意選択的に)利用され得る。第1~第3の実施形態の好ましい実施形態では、少なくとも1種のシリカカップリング剤が利用される。シリカカップリング剤は、ゴム組成物中のシリカ充填剤の凝集の防止又は低減に有用である。シリカ充填剤粒子の凝集は、ゴム組成物の粘度を上昇させると考えられ、したがって、この凝集を防止することにより、粘度が低下し、ゴム組成物の加工性及びブレンドが改善される。
【0065】
概して、シラン及び構成する構成成分、又はポリマー、特に加硫性ポリマーと反応可能な部分を有するものなどの任意の従来のシリカカップリング剤の種類が使用可能である。シリカカップリング剤は、シリカとポリマーとの間の連結架橋として作用する。本明細書において開示されている第1~第3の実施形態の特定の実施形態における使用に好適なシリカカップリング剤としては、アルキルアルコキシ、メルカプト、ブロックされたメルカプト、硫化物含有(例えば、一硫化物をベースとするアルコキシ含有、二硫化物をベースとするアルコキシ含有、四硫化物をベースとするアルコキシ含有)、アミノ、ビニル、エポキシ、及びこれらの組み合わせなどの基を含有するものが挙げられる。特定の実施形態では、シリカカップリング剤は、前処理されたシリカの形態でゴム組成物に添加されてもよい。前処理されたシリカは、ゴム組成物に添加される前にシランで前表面処理されている。前処理されたシリカを使用することにより、1つの成分に2つの成分(すなわち、シリカとシリカカップリング剤)を添加することが可能になり、これによって概してゴムの配合が容易になる傾向がある。
【0066】
アルキルアルコキシシランは、一般式R10 Si(OR114-pを有しており、各R11は独立して、一価の有機基であり、pは整数1~3であるが、ただし、少なくとも1つのR10はアルキル基であることを条件とする。好ましくは、pは1である。一般に、各R10は独立して、C~C20脂肪族、C~C20環式脂肪族、又はC~C20芳香族を含み、各R11は独立して、C~C脂肪族を含む。特定の例示的な実施形態では、各R10は独立して、C~C15脂肪族を含み、追加的な実施形態では、各R10は独立して、C~C14脂肪族を含む。メルカプトシランは、一般式HS-R13-Si(R14)(R15を有し、R13は、二価の有機基であり、R14は、ハロゲン原子又はアルコキシ基であり、各R15は、独立してハロゲン、アルコキシ基又は一価の有機基である。ハロゲンは塩素、臭素、フッ素又はヨウ素である。アルコキシ基は、好ましくは、1~3個の炭素原子を有する。ブロックされたメルカプトシランは、一般式B-S-R16-Si-Xを有しており、シリル基がシリカ-シラン反応におけるシリカとの反応に利用可能であり、ブロック基Bがメルカプト水素原子を置換して硫黄原子とポリマーとの反応を遮断する。上述の一般式において、Bは、不飽和ヘテロ原子の形態であり得る、又は単結合を介して硫黄に直接結合される炭素であり得るブロック基である。R16はC~C直鎖又は分岐アルキリデンであり、各XはC~Cアルキル又はC~Cアルコキシからなる群から独立して選択される。
【0067】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態における使用に好適なアルキルアルコキシシランの非限定例としては、以下に限定されないが、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシ-シラン、エチルトリメトキシシラン、シクロヘキシル-トリブトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、メチルオクチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、オクタデシル-トリメトキシシラン、メチルオクチルジメトキシシラン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0068】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態における使用に好適なビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィドの非限定例としては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィド及びビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドが挙げられる。ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィドの具体的な非限定例としては、以下に限定されないが、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリ-t-ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2’-ビス(ジメチルメトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3’-ビス(ジフェニルシクロヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(エチル-ジ-sec-ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(プロピルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、12,12’-ビス(トリイソプロポキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(ジメトキシフェニルシリル-2-メチルプロピル)ジスルフィド及びそれらの混合物が挙げられる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態における使用に好適なビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドシリカカップリング剤の非限定例としては、以下に限定されないが、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスフィド(tetrasufide)、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-ベンゾチアゾールテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、及びそれらの混合物が挙げられる。ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドは、Evonik Degussa Corporation製のSi69(登録商標)として市販されている。
【0069】
本明細書において開示されている第1~第3の実施形態の特定の実施形態における使用に好適なメルカプトシランの非限定例としては、以下に限定されないが、1-メルカプトメチルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロポキシシラン、18-メルカプトオクタデシルジエトキシクロロシラン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0070】
本明細書において開示されている第1~第3の実施形態の特定の実施形態における使用に好適なブロックされたメルカプトシランの非限定例としては、米国特許第6,127,468号、同第6,204,339号、同第6,528,673号、同第6,635,700号、同第6,649,684号、及び同第6,683,135号(これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。ブロックされたメルカプトシランの代表例としては、2-トリエトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-トリメトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-(メチルジメトキシシリル)-1-エチルチオアセテート、3-トリメトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、トリエトキシシリルメチル-チオアセテート、トリメトキシシリルメチルチオアセテート、トリイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、メチルジエトキシシリルメチルチオアセテート、メチルジメトキシシリルメチルチオアセテート、メチルジイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルエトキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルメトキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、2-トリイソプロポキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-(メチルジエトキシシリル)-1-エチルチオアセテート、2-(メチルジイソプロポキシシリル)-1-エチルチオアセテート、2-(ジメチルエトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-(ジメチルメトキシシリル)-1-エチルチオアセテート、2-(ジメチルイソプロポキシシリル)-1-エチルチオアセテート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-トリイソプロポキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-メチルジエトキシシリル-1-プロピル-チオアセテート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-メチルジイソプロポキシシリル-1-プロピルチオアセテート、1-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-4-チオアセチルシクロヘキサン、1-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-3-チオアセチルシクロヘキサン、2-トリエトキシシリル-5-チオアセチルノルボルネン、2-トリエトキシシリル-4-チオアセチルノルボルネン、2-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-5-チオアセチルノルボルネン、2-(2-トリエトキシ-シリル-1-エチル)-4-チオアセチルノルボルネン、1-(1-オキソ-2-チア-5-トリエトキシシリルフェニル)安息香酸、6-トリエトキシシリル-1-ヘキシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-5-ヘキシルチオアセテート、8-トリエトキシシリル-1-オクチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-7-オクチルチオアセテート、6-トリエトキシシリル-1-ヘキシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-5-オクチルチオアセテート、8-トリメトキシシリル-1-オクチルチオアセテート、1-トリメトキシシリル-7-オクチルチオアセテート、10-トリエトキシシリル-1-デシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-9-デシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-2-ブチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-3-ブチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-3-メチル-2-ブチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-3-メチル-3-ブチルチオアセテート、3-トリメトキシシリル-1-プロピルチオオクタノエート、3-トリエトキシシリル-1-プロピル-1-プロピルチオパルミテート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオオクタノエート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオベンゾエート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオ-2-エチルヘキサノエート、3-メチルジアセトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-トリアセトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、2-メチルジアセトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-トリアセトキシシリル-1-エチルチオアセテート、1-メチルジアセトキシシリル-1-エチルチオアセテート、1-トリアセトキシシリル-1-エチル-チオアセテート、トリス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)トリチオホスフェート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)メチルジチオホスホネート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)エチルジチオホスホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジメチルチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジエチルチオホスフィネート、トリス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)テトラチオホスフェート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)メチルトリチオホスホネート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)エチルトリチオホスホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジメチルジチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジエチルジチオホスフィネート、トリス-(3-メチルジメトキシシリル-1-プロピル)トリチオホスフェート、ビス-(3-メチルジメトキシシリル-1-プロピル)-メチルジチオホスホネート、ビス-(3-メチルジメトキシシリル-1-プロピル)-エチルジチオホスホネート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルジメチルチオホスフィネート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルジエチルチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルメチルチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルメタンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルエタンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルベンゼンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルトルエンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルナフタレンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルキシレンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルメチルチオサルフェート、トリエトキシシリルメチルメタンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルエタンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルベンゼンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルトルエンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルナフタレンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルキシレンチオスルホネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。様々なブロックされたメルカプトシランの混合物を使用することができる。特定の例示的な実施形態において使用するのに好適なブロックされたメルカプトシランの更なる例には、Momentive Performance Materials Inc.(Albany、NY)から市販されている、NXT(商標)シラン(3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン)である。
【0071】
本明細書において開示されている第1~第3の実施形態の特定の実施形態における使用に好適な前処理されたシリカ(すなわち、シランで前表面処理されたシリカ)の非限定例としては、以下に限定されないが、メルカプトシランで前処理されたCiptane(登録商標)255 LD及びCiptane(登録商標)LP(PPG Industries)シリカ、並びにオルガノシランビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(Si69)とUltrasil(登録商標)VN3シリカとの間の反応の生成物であるCoupsil(登録商標)8113(Degussa)が挙げられる。Coupsil 6508、Agilon 400(商標)シリカ(PPG Industries製)、Agilon 454(登録商標)シリカ(PPG Industries製)、及び458(登録商標)シリカ(PPG Industries製)。シリカが前処理されたシリカを含む実施形態では、前処理されたシリカは、シリカ充填剤について既に開示されている量で使用される(すなわち、101~150phr、又は約110~約130phrなど)。
【0072】
第1~第3の実施形態の実施形態においてシリカカップリング剤が利用される場合、使用される量は様々となり得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、いかなるシリカカップリング剤も含有していない。第1~第3の実施形態の他の好ましい実施形態では、シリカカップリング剤は、シリカカップリング剤の総量とシリカ充填剤との比が、約0.1:100~約1:5(すなわち、シリカ100部あたり約0.1~約20重量部)(0.1:100~1:5を含む)、約1:100~約1:10、1:100~1:10、約1:100~約1:20、1:100~1:20、約1:100~約1:25、1:100~1:25、並びに約1:100~約0:100及び1:100~0:100となるように、十分な量で存在する。第1~第3の実施形態の好ましい実施形態では、シリカカップリング剤のシリカ充填剤に対する総量の比は、1:10~1:20の比(すなわち、100部のシリカ当たり10~5重量部)の範囲内にある。第1~第3の実施形態による特定の実施形態では、ゴム組成物は、約0.1~約15phrのシリカカップリング剤を含み、これには、0.1~15phr(例えば、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15phr)、約0.1~約12phr、0.1~12phr、約0.1~約10phr、0.1~10phr、約0.1~約7phr、0.1~7phr、約0.1~約5phr、0.1~5phr、約0.1~約3phr、0.1~3phr、約1~約15phr、1~15phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15phr)、約1~約12phr、1~12phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12phr)、約1~約10phr、1~10phr(例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10phr)、約1~約7phr、1~7phr、約1~約5phr、1~5phr、約1~約3phr、1~3phr、約3~約15phr、3~15phr、約3~約12phr、3~12phr、約3~約10phr、3~10phr、約3~約7phr、3~7phr、約3~約5phr、3~5phr、約5~約15phr、5~15phr、約5~約12phr、5~12phr、約5~約10phr、5~10phr、約5~約7phr、又は5~7phrが含まれる。第1~第3の実施形態の好ましい実施形態では、ゴム組成物は、5~12phr、又はこの範囲内にある前述の範囲のうちの1つの量のシリカカップリング剤を含む。
カーボンブラック充填剤
【0073】
本明細書に開示される第1~第3の実施形態によれば、トレッドゴム組成物に使用されるカーボンブラック充填剤の量は限定される。より具体的には、本明細書に開示される第2の実施形態によれば、トレッドゴム組成物は、10phr以下(例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、又は更には0phr)を含有し、本明細書に開示される第1及び第3の実施形態によれば、トレッドゴム組成物は、20phr以下(例えば、20、18、16、15、14、12、10、8、6、5、4、2、1、又は更には0phr)、好ましくは、15phr以下(例えば、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、又は更には0phr)のカーボンブラックを含有する。第1及び第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、1~10phr、1~9phr、1~8phr、8phr以下(例えば、8、7、6、5、4、3、2、1、若しくは更に0phr)、0~9phr、又は0~8phrのカーボンブラック充填剤を含有する。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、0phrのカーボンブラック充填剤を含有する。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、前述の限られた量のカーボンブラック充填剤は、補強カーボンブラック充填剤を指すと理解されるべきである。第1~第3の実施形態の他の実施形態では、前述の限られた量のカーボンブラック充填剤は、非補強カーボンブラック充填剤を指すと理解されるべきである。第1~第3の実施形態の更に他の実施形態では、前述の限られた量のカーボンブラック充填剤は、全てのカーボンブラック充填剤(すなわち、補強及び非補強カーボンブラック充填剤の両方)を指すと理解されるべきである。
【0074】
カーボンブラック充填剤が存在する、第1~第3の実施形態のそれらの実施形態では、利用される特定の1つの種類又は複数の種類のカーボンブラックは様々であり得る。一般に、第1~第3の実施形態の特定の実施形態のゴム組成物中の補強充填材として使用するのに好適なカーボンブラックには、少なくとも約20m/g(少なくとも20m/gを含む)及び、より好ましくは、少なくとも約35m/g~約200m/g又はそれより高い(35m/g~200m/gを含む)表面積を有するものを含めた、一般に入手可能な商用製造されたカーボンブラックのいずれかを含む。カーボンブラックについて本明細書において使用される表面積の値は、臭化セチルトリメチル-アンモニウム(cetyltrimethyl-ammonium bromide、CTAB)技法を使用するASTM D-1765によって決定される。有用なカーボンブラックの中には、ファーネスブラック、チャネルブラック、及びランプブラックがある。より詳細には、有用なカーボンブラックの例としては、超耐摩耗性ファーネス(super abrasion furnace、SAF)ブラック、高耐摩耗性ファーネス(HAF)ブラック、良押出性ファーネス(fast extrusion furnace、FEF)ブラック、微細ファーネス(fine furnace、FF)ブラック、準超耐摩耗性ファーネス(intermediate super abrasion furnace、ISAF)ブラック、半補強性ファーネス(semi-reinforcing furnace、SRF)ブラック、中加工性チャネルブラック、難加工性チャネルブラック、及び導電性チャネルブラックが挙げられる。利用され得る他のカーボンブラックとしては、アセチレンブラックが挙げられる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、上述のブラックの2種以上の混合物を含む。好ましくは、第1~第3の実施形態によれば、カーボンブラック充填剤が存在する場合、1つの種類(又は等級)の補強カーボンブラックのみからなる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態における使用に好適な典型的なカーボンブラックは、ASTM D-1765-82aによって表記されている、N-110、N-220、N-339、N-330、N-351、N-550及びN-660である。使用されるカーボンブラックは、ペレット化形状又は非ペレット化綿状塊とすることができる。好ましくは、一層均質な混合を行うため、非ペレット化カーボンブラックが好ましい。
他の補強充填剤
【0075】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、カーボンブラックでもシリカでもない補強充填剤を含む(すなわち、追加の補強充填剤)。1種又は2種以上の追加の補強充填剤が利用され得るが、それらの総量は、好ましくは、10phr以下(例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0phr)、又は5phr以下(例えば、5、4、3、2、1,又は0phr)に限定される。第1~第3の実施形態の特定の好ましい実施形態では、トレッドゴム組成物は、追加の補強充填剤を含有しない(すなわち、0phr)。言い換えれば、そのような実施形態では、シリカ及び任意選択的にカーボンブラック以外の補強充填剤は存在しない。
【0076】
追加の補強充填剤が利用される、第1~第3の実施形態の実施形態では、追加の補強充填剤は、様々であり得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態のトレッドゴム組成物における使用に好適な追加の補強充填材の非限定例としては、以下に限定されないが、アルミナ、水酸化アルミニウム、クレイ(補強等級)、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、二酸化チタン、補強酸化亜鉛及びこれらの組み合わせが挙げられる。
非補強充填剤
【0077】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、少なくとも1種の非補強充填剤を更に含む。第1~第3の実施形態の他の好ましい実施形態では、トレッドゴム組成物は、非補強充填剤を含有しない(すなわち、0phr)。少なくとも1種の非補強充填剤が利用される、第1~第3の実施形態の実施形態では、少なくとも1種の非補強充填剤は、クレイ(非補強等級)、黒鉛、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、デンプン、窒化ホウ素(非補強等級)、窒化ケイ素、窒化アルミニウム(非補強等級)、ケイ酸カルシウム、炭化ケイ素、粉砕ゴム、及びこれらの組み合わせから選択され得る。用語「非補強充填剤」は、約20m/g未満(20m/g未満を含める)、及び特定の実施形態では、約10m/g未満(10m/g未満を含める)となる窒素吸着比表面積(NSA)を有する微粒子材料を指すために使用される。微粒子材料のNSA表面積は、ASTM D6556を含めた様々な標準的方法に準拠して決定することができる。ある特定の実施形態では、用語「非補強充填剤」は、代替として又は更に、約1000nmより大きな(1000nm超を含む)粒径を有する微粒子材料を指す。非補強充填剤がゴム組成物中に存在する、第1~第3の実施形態のそれらの実施形態では、非補強充填剤の総量は様々であり得るが、好ましくは10phr以下(例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1phr)であり、特定の実施形態では、1~10phr、5phr以下(例えば、5、4、3、2、又は1phr)、1~5phr、又は1phr以下である。
炭化水素樹脂
【0078】
上述のように、第1~第3の実施形態によれば、トレッドゴム組成物は、(d)約30~約50℃又は30~50℃(例えば、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50℃)のTgを有する、30~50phr(例えば、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50phr)の少なくとも1種の炭化水素樹脂を含む(comprise)(含む(include))。また上述のように、第2の実施形態によれば、トレッドゴム組成物は、(d)約30~約50℃又は30~50℃(例えば、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50℃)のTgを有する、約35~約45phr又は35~45phr(例えば、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、又は45phr)の少なくとも1種の炭化水素樹脂を含む(comprise)(含む(include))。炭化水素樹脂のTgは、エラストマーのTg測定について上で考察された手順に従って、DSCによって測定することができる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(d)の少なくとも1種の炭化水素樹脂は、約35~約50℃、35~50℃(例えば、30、32、34、35、36、38、40、42、44、45、46、48、又は50℃)、約35~約45℃又は35~45℃(例えば、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、又は45℃)のTgを有する。第1及び第3の実施形態の特定の実施形態では、(d)は、30~45phr(例えば、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、若しくは45phr)、又は35~45phr(例えば、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、若しくは45phr)の量で存在する。以下でより詳細に考察されるように、第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(d)の少なくとも1種の炭化水素樹脂は、芳香族樹脂を含む。
【0079】
後に更に考察されるように、第1~第3の実施形態によれば、トレッドゴム組成物に使用される炭化水素樹脂(d)の量を制御することに加えて、炭化水素樹脂(d)及び液体可塑剤(e)の総量(組み合わせた量)を、本明細書の他の箇所で考察される量の範囲内に制御することも望ましい。
【0080】
第1~第3の実施形態によれば、1種又は2種以上の炭化水素樹脂がトレッドゴム組成物に利用され得、炭化水素樹脂の1つ又は複数の特定の種類は、様々であり得る。2種以上の炭化水素樹脂が利用される場合、上で考察された量は、全ての炭化水素樹脂の総量を指すと理解されるべきである。
【0081】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(d)の炭化水素樹脂は、芳香族樹脂を、任意追加的に、脂肪族樹脂、環式脂肪族樹脂、及びテルペン樹脂から選択される1種以上の追加の樹脂と組み合わせて、含み、1種以上の追加の樹脂が存在する、第1~第3の実施形態のそれらの実施形態では、そのような追加の樹脂の総量は、好ましくは5phr以下、5phr未満、4phr未満、3phr未満、2phr未満、又は1phr未満(及び各場合において、(d)の炭化水素樹脂の全体量の10重量%以下、好ましくは5重量%以下)である。第1~第3の実施形態の他の実施形態では、(d)の炭化水素樹脂は、芳香族樹脂からなる。芳香族樹脂が使用される場合、1種又は2種以上の芳香族樹脂が利用され得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂は、いかなるテルペン樹脂も除外する(すなわち、0phrのテルペン樹脂がトレッドゴム組成物中に存在する)。本明細書で使用されるとき、用語「芳香族樹脂」は、芳香族ホモポリマー樹脂及び芳香族コポリマー樹脂の両方を含むと理解されるべきである。芳香族コポリマー樹脂は、最大量の任意の種類のモノマーが芳香族である、1種以上の芳香族モノマーと1種以上の他(非芳香族)のモノマーとの組み合わせを含む炭化水素樹脂を指す。芳香族コポリマー樹脂は、25重量%の環式脂肪族モノマー及び30重量%の脂肪族モノマーに加えて、45重量%の芳香族モノマーを有する炭化水素樹脂、並びに、30重量%の環式脂肪族モノマー及び15重量%の脂肪族モノマーに加えて、55重量%の芳香族モノマーを有する炭化水素樹脂を含み得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(d)の炭化水素樹脂は、全モノマーの重量の大部分(例えば、51%、55%、60%、65%など)が芳香族である、1種以上の芳香族コポリマー樹脂を含む。第1~第3の実施形態の特定の実施形態において炭化水素樹脂(d)として使用するのに好適な芳香族樹脂の非限定例としては、クマロン-インデン樹脂及びアルキル-フェノール樹脂、並びに、以下のモノマーのうちの1つ以上を含むものなど、ビニル芳香族ホモポリマー又はコポリマー樹脂が挙げられる:α-メチルスチレン、スチレン、オルト-メチルスチレン、メタ-メチルスチレン、パラ-メチルスチレン、ビニルトルエン、パラ(tert-ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、又はC9留分若しくはC8~C10留分から得られる任意のビニル芳香族モノマー。ビニル芳香族コポリマー樹脂の非限定例としては、ビニル芳香族/テルペンコポリマー樹脂(例えば、リモネン/スチレンコポリマー樹脂)、ビニル芳香族/C5留分樹脂(例えば、C5留分/スチレンコポリマー樹脂)、ビニル芳香族/脂肪族コポリマー樹脂(例えば、CPD/スチレンコポリマー樹脂、及びDCPD/スチレンコポリマー樹脂)が挙げられる。アルキル-フェノール樹脂の非限定例としては、p-tert-ブチルフェノール-アセチレン樹脂、アルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂(例えば、低重合度を有する樹脂)などのアルキルフェノール-アセチレン樹脂が挙げられる。例示的なそのような芳香族樹脂は、Chemfax、Dow Chemical Company、Eastman Chemical Company、Idemitsu、Neville Chemical Company、Nippon、Polysat Inc.、Resinall Corp.、及びZeonを含む様々な企業から様々な商品名で市販されている。
【0082】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂(d)は、上述のビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン、α-メチルスチレン)のうちの1つ以上に基づく芳香族樹脂を含み、特定のそのような実施形態では、芳香族樹脂中のモノマーの少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、又は更に100重量%は、芳香族モノマーである。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂(d)は、上述のビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン、α-メチルスチレン)のうちの1つ以上に基づく芳香族樹脂からなり、特定のそのような実施形態では、芳香族樹脂中のモノマーの少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、又は更に100重量%は、芳香族モノマーである。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(d)の芳香族樹脂は、上で考察された芳香族樹脂のうちの1つの水素添加形態(すなわち、水素添加芳香族樹脂)を含み得る。第1~第3の実施形態の他の実施形態では、(d)の芳香族樹脂は、いかなる水素添加芳香族樹脂も除外し、言い換えれば、このような実施形態では、芳香族樹脂は水素添加されていない。
【0083】
上述のように、第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(d)の少なくとも1種の炭化水素樹脂は、(i)芳香族樹脂を(ii)脂肪族樹脂と組み合わせて含む。脂肪族樹脂の非限定例としては、C5留分ホモポリマー及びコポリマー樹脂が挙げられる。(d)で使用される任意の脂肪族樹脂の量は、好ましくは限定される。第1~第3の実施形態によれば、芳香族樹脂と組み合わせて使用される任意の脂肪族樹脂の総量は、好ましくは5phr以下、5phr未満、4phr未満、3phr未満、2phr未満、又は1phr未満(及び各場合において、(d)の炭化水素樹脂の全体量の20重量%以下、好ましくは15重量%以下又は10重量%以下)である。
【0084】
上述のように、第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(d)の少なくとも1種の炭化水素樹脂は、(i)芳香族樹脂を(ii)環式脂肪族樹脂と組み合わせて含む。環式脂肪族樹脂の非限定例としては、シクロペンタジエン(「cyclopentadiene、CPD」)ホモポリマー又はコポリマー樹脂、ジシクロペンタジエン(「dicyclopentadiene、DCPD」)ホモポリマー又はコポリマー樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられる。(d)で使用される任意の環式脂肪族樹脂の量は、好ましくは限定される。第1~第3の実施形態によれば、芳香族樹脂と組み合わせて使用される任意の環式脂肪族樹脂の総量は、好ましくは5phr以下、5phr未満、4phr未満、3phr未満、2phr未満、又は1phr未満(及び各場合において、(d)の炭化水素樹脂の全体量の20重量%以下、好ましくは15重量%以下又は10重量%以下)である。
【0085】
上述のように、第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(d)の少なくとも1種の炭化水素樹脂は、(i)芳香族樹脂を(ii)テルペン樹脂と組み合わせて含む。テルペン樹脂の非限定例としては、α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、リモネン樹脂(例えば、L-リモネン、D-リモネン、L-異性体とD-異性体とのラセミ混合物であるジペンテン)、β-フェランドレン、δ-3-カレン、δ-2-カレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。(d)で使用される任意のテルペン樹脂の量は、好ましくは限定される。第1~第3の実施形態によれば、芳香族樹脂と組み合わせて使用される任意のテルペン樹脂の総量は、好ましくは5phr以下、5phr未満、4phr未満、3phr未満、2phr未満、又は1phr未満(及び各場合において、(d)の炭化水素樹脂の全体量の20重量%以下、好ましくは15重量%以下又は10重量%以下)である。上述のように、第1~第3の実施形態の好ましい実施形態では、炭化水素樹脂(d)は、テルペン樹脂を含まない(すなわち、0phr)。
【0086】
第1~第3の実施形態の特定の好ましい実施形態では、炭化水素樹脂(d)は、約70~約100℃、70~100℃(例えば、70、75、80、85、90、95、又は100℃)、好ましくは、約75~約95℃又は75~95℃(例えば、75、80、85、90、又は95℃)の軟化点を有する。一般に、炭化水素樹脂の軟化点は、Tgがその軟化点よりも低くなるような、かつTgが低いほど軟化点が低くなるような、そのTgとの関係を有する。非限定例として、70及び100℃のTgを有する2種の炭化水素樹脂の場合、70℃のTgを有する樹脂は、100℃のTgを有する樹脂よりも低い軟化点を有する。
【0087】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂(d)は、以下のうちの少なくとも1つを満たす:(a)1000~約4000グラム/モル、1000~4000グラム/モル(例えば、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、又は4000グラム/モル)、約1000~約3000グラム/モル、1000~3000グラム/モル(例えば、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、又は3000グラム/モル)、約1000~約2500グラム/モル、1000~2500グラム/モル(例えば、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500グラム/モル)、約1000~約2000グラム/モル、1000~2000グラム/モル(例えば、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、又は2000グラム/モル)、約1100~約1800グラム/モル、若しくは1100~1800グラム/モル(例えば、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、又は1800グラム/モル)のMw、(b)約700~約1500グラム/モル、700~1500グラム/モル(例えば、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、又は1500グラム/モル)、約800~約1400グラム/モル、800~1400グラム/モル(例えば、800、900、1000、1100、1200、1300、又は1400グラム/モル)、約800~約1300グラム/モル、800~1300グラム/モル(例えば、800、900、1000、1100、1200、又は1300グラム/モル)、約900~約1200グラム/モル、若しくは900~1200グラム/モル(例えば、900、950、1000、1050、1100、1150、又は1200グラム/モル)のMn、又は(c)約1~約2、1~2(例えば、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は2)、約1.1~約1.8、1.1~1.8(例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、又は1.8)、約1.1~約1.7、1.1~1.7(例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、又は1.7)、約1.2~約1.5、若しくは1.2~1.5(例えば、1.2、1.3、1.4、又は1.5)の多分散度(Mw/Mn)。第1~第3の実施形態の特定の好ましい実施形態では、炭化水素樹脂(d)は、上記の範囲のうちの1つによるMwを、上記の範囲のうちの1つによるMnと組み合わせて、更に上記の範囲のうちの1つによるMw/Mnと組み合わせて、有する。特定のそのような実施形態では、炭化水素樹脂(d)は芳香族樹脂である。
【0088】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂(d)は、少なくとも約40重量%、少なくとも40重量%(例えば、40、45、50、51、55、60重量%、又はそれ超)、約40%~約65重量%、40~65重量%(例えば、40、42、44、45、46、48、50、52、54、55、56、58、60、62、64、又は65重量%)、少なくとも約45重量%、少なくとも45重量%(例えば、45、50、51、55、60重量%、又はそれ超)、約45%~約65重量%、45~65重量%(例えば、45、47、49、50、51、53、55、57、59、60、61、63、又は65重量%)、少なくとも51重量%(例えば、51、55、60、65重量%、又はそれ超)、約51%~約65%(例えば、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、又は65%)、51~65%、約51%~約60%、51~60%(例えば、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%)、約51%~約55%、又は51~55%(例えば、51、52、53、54、又は55%)の芳香族モノマー含量を有する(上で考察されたような)芳香族樹脂を含む。芳香族モノマー含有量の量は、それぞれの炭化水素樹脂の総重量に基づく重量パーセントである。
液体可塑剤(油及び非油を含む)
【0089】
上述のように、第1及び第3の実施形態によれば、トレッドゴム組成物は、10~30phr(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、若しくは30phr)の液体可塑剤、第2の実施形態によれば、約15~約25phr又は15~25phr(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、若しくは25phr)の液体可塑剤を含む。第1及び第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、10~25phr(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、若しくは25phr)の液体可塑剤、15~30phr(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、若しくは30phr)、15~25phr(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、若しくは25phr)の液体可塑剤、又は20~30phr(例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、若しくは30phr)の液体可塑剤を含む。液体可塑剤という用語は、室温で液体(すなわち、25℃以上の液体)である可塑剤成分を指し、かつ一般に室温で固体である炭化水素樹脂可塑剤を区別するために使用される。一般に、液体可塑剤は、0℃未満、一般にそれを大きく下回る-30℃未満、-40℃未満、又は-50℃未満などのTgを有することになる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、液体可塑剤は、0℃未満~-100℃のTg、-30℃~-100℃のTg、又は-50~-100℃のTgを有する。以下でより詳細に考察されるように、液体可塑剤は、油(例えば、石油油並びに植物供給油)と、エーテル可塑剤、エステル可塑剤、リン酸可塑剤、及びスルホネート可塑剤を含むが、それらに限定されない他の非油液体可塑剤との両方を含む。その上、「液体可塑剤」という用語は、遊離液体可塑剤(通常、配合プロセス中に添加される)及び伸展油(ゴムを伸展させために使用される)の両方を包含することを意味する。したがって、トレッドゴム組成物が、例えば、10~30phrの液体可塑剤を含むことを主張することにより、任意の遊離液体可塑剤及び任意の伸展油の総量が13~30phrであると理解されるべきである。第1~第3の実施形態の特定の(好ましい)実施形態では、トレッドゴム組成物は、前述の量(例えば、10~30、15~30phr、15~25phrなど)のうちの1つで遊離液体可塑剤のみを含有する。第1~第3の実施形態の他の実施形態では、トレッドゴム組成物は、油展性SBRからなどの前述の量(例えば、10~30、15~30phr、15~25phrなど)のうちの1つで伸展油のみを含有する。第1~第3の実施形態の更に他の実施形態では、トレッドゴム組成物は、遊離液体可塑剤及び伸展油の両方を含み、トレッドゴム組成物中の少なくとも50重量%(例えば、50%、55%、60%、65%。70%、75%、80%、又はそれ超)、好ましくは、少なくとも60重量%の液体可塑剤は、遊離液体可塑剤によって提供される。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物中60~80重量%、60~90重量%、60~100%、70~80重量%、70~90重量%、70~100重量%、80~90重量%、80~100重量%、又は90~100重量%の液体可塑剤が、遊離液体可塑剤によって提供される。油展性ゴムが使用される、第1~第3の実施形態のそれらの実施形態では、油展性ゴムを調製するために使用される油の量は、様々であり得る。油展性ゴムが使用される、第1~第3の実施形態のそれらの実施形態では、油展性ゴムを調製するために使用される油の量は、様々であり得、特定のそのような実施形態では、油展性ゴム(ポリマー)中に存在する伸展油の量は、ゴム100部あたり10~50部の油(例えば、100部若しくはゴムあたり10、15、20、25、30、35、40、45又は50部の油)、好ましくは100部若しくはゴムあたり10~40部の油又はゴム100部あたり20~40部の油である。非限定例として、伸展油は、トレッドゴム組成物全体でSBRが10部の量(10部とは、前で考察されたように、油展性SBRのポリマーの量である)で使用される(ii)のSBR中にゴム100部あたり油40部の量で使用され得、したがって、油展性SBRによってトレッドゴム組成物に寄与する油の量は、4phrであろう。ゴム(特にスチレン-ブタジエンゴム)の油展は、SBRが比較的高いMw及び/又は比較的高いムーニー粘度を有する場合、加工又は混合の容易さに有益であり得る。本明細書に開示される第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、(ii)で使用されるスチレン-ブタジエンゴムは、100℃で少なくとも100のポリマームーニー粘度ML1+4を有する油展性スチレン-ブタジエンゴムである。ポリマームーニー粘度は、油展前のゴム又はポリマーのムーニー粘度を意味する。油展性ゴムが、本明細書に開示されるトレッドゴム組成物のエラストマー構成成分中に使用されている場合、(i)、(ii)及び(iii)について指定された量は、油展性ゴムの量ではなく、ゴムのみの量を指すと理解されるべきである。本明細書で使用されるとき、油は、石油系油(例えば、芳香油、ナフテン油、及び低PCA油)及び植物油(野菜、木の実、及び種子から採取することができるものなど)の両方を指す。植物油は一般にトリグリセリドを含み、この用語は、合成トリグリセリド、及び実際に植物から供給されたものを含むと理解されるべきである。
【0090】
第1~第3の実施形態によれば、芳香族、ナフテン系、及び低PCA油(石油由来又は植物由来)が挙げられるがこれらに限定されない、様々な種類の加工油及び伸展油を利用してもよい。好適な低PCA油としては、IP346法によって測定すると、3重量%未満の多環式芳香族含有物を有するものが挙げられる。IP346法の手順は、Institute of Petroleum(英国)発行のStandard Methods for Analysis&Testing of Petroleum and Related Products and British Standard 2000 Parts,2003,第62版に見出すことができる。例示的な石油由来の低PCA油としては、軽度抽出溶媒和物(mild extraction solvate、MES)、処理留出物芳香族抽出物(reated distillate aromatic extract、TDAE)、TRAE、及び重ナフテン系が挙げられる。例示的なMES油は、CATENEX SNR(SHELL製)、PROREX 15及びFLEXON 683(EXXONMOBIL製)、VIVATEC 200(BP製)、PLAXOLENE MS(TOTAL FINA ELF製)、TUDALEN 4160/4225(DAHLEKE製)、MES-H(REPSOL製)、MES(Z8製)、並びにOLIO MES S201(AGIP製)として市販されている。例示的なTDAE油は、TYREX 20(EXXONMOBIL製)、VIVATEC 500、VIVATEC 180、及びENERTHENE 1849(BP製)、並びにEXTENSOIL 1996(REPSOL製)として入手可能である。例示的な重ナフテン系油は、SHELLFLEX 794、ERGON BLACK OIL、ERGON H2000、CROSS C2000、CROSS C2400、及びSAN JOAQUIN 2000Lとして入手可能である。例示的な低PCA油としてはまた、野菜、木の実、及び種子から採取することができるものなど、様々な植物由来の油も挙げられる。非限定例としては、以下に限定されないが、ダイズ油、ヒマワリ油(高オレイン酸ヒマワリ油を含む)、サフラワー油、コーン油、亜麻仁油、綿実油、菜種油、カシュー油、ゴマ油、ツバキ油、ホホバ油、マカダミアナッツ油、ココナツ油、及びヤシ油が挙げられる。前述の加工油を、伸展油として、すなわち、油展性ポリマー又はコポリマーの調製のために、又は加工油若しくは遊離油(free oil)として使用することもできる。
【0091】
上記のように、第1~第3の実施形態によれば、液体可塑剤は、非油可塑剤を含み得、その非限定的な例としては、エーテル可塑剤、エステル可塑剤、リン酸可塑剤、及びスルホネート可塑剤が挙げられる。例示的なエーテル可塑剤としては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールが挙げられる。例示的なエステル可塑剤としては、特に(カルボン酸のジエステル及びトリエステル、リン酸のジエステル及びトリエステル、又はスルホン酸のジエステル及びトリエステル、並びにこれらのトリエステルの混合物からなる群から選択され得る)トリエステル及びジエステルが挙げられる。より具体的には、例示的なカルボン酸エステル可塑剤としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、フタル酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、アジド酸、アゼレート、セバケート、グリセロールトリエステル、及び前述の混合物からなる群から選択される化合物が挙げられる。より具体的には、グリセロールトリエステルに関して、これらは、50重量%超、より好ましくは、80重量%超の不飽和C18脂肪酸(例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びそれらの混合物)を含み得る。他の例示的なカルボン酸エステル可塑剤としては、ステアリン酸エステル、リシノール酸エステル、フタル酸エステル(例えば、ジ-2-エチルヘキシルフタレート及びジオソデシルフタレート)、イソフタル酸エステル、テトラヒドロフタル酸エステル、アジピン酸エステル(例えば、ジ(2-エチルヘキシル)アジペート及びジイソオクチルアジペート)、リンゴ酸エステル、セバイン酸エステル(例えば、ジ(2-エチルヘキシル)セバケート及びジイソオクチルセバケート)、並びにフマル酸エステルが挙げられる。例示的なホスフェート可塑剤としては、トリヒドロカルビルホスフェート及びジヒドロカルビルホスフェート構造(各ヒドロカルビルが独立して、C1~C12のアルキル、好ましくは、C1~C8のアルキル、及びC6~C12の芳香族(両方とも置換及び非置換)から選択され、好ましくは芳香族C6の場合、置換又は非置換のいずれかである)を有するものが挙げられる。より具体的には、例示的なリン酸可塑剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレシルジフェニルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリトリルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、及びジフェニルモノ-o-キセニルホスフェートが挙げられる。例示的なスルホネート可塑剤としては、スルホンブチルアミド、トルエンスルホンアミド、N-エチル-トルエンスルホンアミド、及びN-シクロヘキシル-p-トルエンスルホンアミドなどのスルホン酸エステルが挙げられる。前述の非油液体可塑剤のうち、リン酸可塑剤、特に、リン酸誘導体(リン酸エステルであると理解され得る)が好ましい。
【0092】
第1~第3の実施形態によれば、使用される油のTgは、様々であり得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、利用される任意の油は、約-40~約-100℃、-40~-100℃(例えば、-40、-45、-50、-55、-60、-65、-70、-75、-80、-85、-90、-95、若しくは-100℃)、約-40~約-90℃、-40~-90℃(例えば、-40、-45、-50、-55、-60、-65、-70、-75、-80、-85、若しくは-90℃)、約-45~約-85℃、-45~-85℃(例えば、-45、-50、-55、-60、-65、-70、-75、-80、若しくは-85℃)、約-50~約-80℃、又は-50~-80℃(例えば、-50、-55、-60、-65、-70、-75、若しくは-80℃)のTgを有する。
【0093】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、5phr未満(例えば、4.5、4、3、2、1、又は0phr)のMES又はTDAE油を含有するか、更には、MES若しくはTDAE油を含有しない(すなわち、0phr)。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、石油系油を含有せず(すなわち、0phr)、代わりに、利用される任意の油は植物油である。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、上述の量のうちの1つのダイズ油を含有する。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、ヒマワリ油を含有しない(すなわち、0phr)。
【0094】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、1種以上のエステル可塑剤を含む。好適なエステル可塑剤は当業者に既知であり、リン酸エステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、及びオレイン酸エステル(すなわち、オレイン酸由来)が挙げられるが、これらに限定されない。エステルは少なくとも1つの-OHが-O-アルキル基で置換されている酸から誘導される化学化合物であることを考慮すると、トレッドゴム組成物中で使用する好適なエステル可塑剤では様々なアルキル基が使用され得、これには、C1~C20(例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20)、又はC6~C12の概ね直鎖又は分岐鎖のアルキルが含まれる。前述のエステルのうちの特定のものは、2つ以上の-OH基を有する酸に基づき、したがって、1つ又は2つ以上のO-アルキル基(例えば、リン酸トリアルキル、フタル酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキル)を収容することができる。好適なエステル可塑剤の非限定例としては、リン酸トリオクチル、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジオクチル、オレイン酸ノニル、オレイン酸オクチル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。前述のうちの1つ以上など、エステル可塑剤の使用は、エステル可塑剤の比較的低いTgに少なくとも部分的に起因して、このようなエステル可塑剤を含有するトレッドゴム組成物から作製されるタイヤの雪又は氷性能に有益であり得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、-40℃~-70℃(例えば、-40、-45、-50、-55、-60、-65、又は-70℃)、又は-50℃~-65℃(例えば、-50、-51、-52、-53、-54、-55、-56、-57、-58、-59、-60、-61、-62、-63、-64、又は-65℃)のTgを有する1種以上のエステル可塑剤を含む。1種以上のエステル可塑剤が利用される、第1~第3の実施形態のそれらの実施形態では、利用される量は様々であり得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、1種以上のエステル可塑剤は、1~12phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12phr)、1~10、phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10phr)、2~6phr(例えば、2、3、4、5、又は6phr)又は2~5phr(例えば、2、3、4、又は5phr)の総量で利用される。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、1つ以上のエステル可塑剤は、前述の量のうちの1つにおいて油と組み合わせて使用される。
【0095】
第1~第3の実施形態の特定の好ましい実施形態では、トレッドゴム組成物に使用される炭化水素樹脂(d)の量は、液体可塑剤(e)の量よりも大きい。特定のそのような実施形態では、炭化水素樹脂(d)及び液体可塑剤(e)は、少なくとも1.5:1、好ましくは、1.5:1~4:1(例えば、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、若しくは4:1)、より好ましくは、1.5:1~3:1(例えば、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2:1、2.1:1、2.2:1、2.3:1、2.4:1、2.5:1、2.6:1、2.7:1、2.8:1、2.9:1、若しくは3:1)、又は1.5~2:1(例えば、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、又は2:1)の重量比で存在する。
【0096】
上記のように、第1及び第3の実施形態によれば、炭化水素樹脂(d)及び液体可塑剤(e)の総量は、少なくとも40phr(例えば、40phr、42phr、44phr、45phr、46phr、48phr、50phr、52phr、54phr、55phr、56phr、58phr、60phr、62phr、64phr、65phr、又はそれ超)である。第2の実施形態並びに第1及び第3の実施形態の特定の好ましい実施形態によれば、炭化水素樹脂(d)及び液体可塑剤(e)の総量は、少なくとも50phr(例えば、50phr、52phr、54phr、55phr、56phr、58phr、60phr、62phr、64phr、65phr、66phr、68phr、70phr以上)である。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物で使用される炭化水素樹脂(d)及び液体可塑剤(e)の総量は、59phr以下(例えば、59、55、54、50、49、45、44、若しくは40phr、又はそれ未満)である。第1~第3の実施形態の他の実施形態では、炭化水素樹脂(d)及び液体可塑剤(e)の総量は、70phr以下(例えば、70、65、60、55、50、45、又は40phr以下)、好ましくは、65phr以下(例えば、65、60、55、50、45、又は40phr)である。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂(d)及び液体可塑剤(e)の総量は、50~70phr(例えば、50、52、54、55、56、58、60、62、64、65、66、68、若しくは70phr)、50~59phr(例えば、50、51、52、53、54、55、56、57、58、若しくは59phr)、40~70phr(例えば、40、42、44、45、46、48、50、52、54、55、56、58、60、62、64、65、66、68、若しくは70phr)、40~59phr、40~55phr、45~59phr、又は45~55phrである。
硬化パッケージ
【0097】
上で考察されたように、本明細書に開示される第1~第3の実施形態によれば、トレッドゴム組成物は、硬化パッケージを含む。硬化パッケージの含有成分は、第1~第3の実施形態によって様々であり得るが、一般に、硬化パッケージは、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤(例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸など)、加硫阻害剤、及びスコーチ防止剤のうちの少なくとも1つを含む。第1~第3の実施形態のうち特定の実施形態では、硬化パッケージは、少なくとも1種の加硫剤と、少なくとも1種の加硫促進剤と、少なくとも1種の加硫活性化剤と、任意選択的に、加硫阻害剤及び/又はスコーチ防止剤とを含む。加硫促進剤及び加硫活性化剤は、加硫剤のための触媒として働く。様々な加硫阻害剤及びスコーチ防止剤は、当技術分野で既知であり、所望の加硫特性に基づいて、当業者により選択され得る。
【0098】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態における使用に好適な加硫剤の種類の例としては、以下に限定されないが、硫黄、又は過酸化物をベースとする硬化性構成成分が挙げられる。したがって、特定のこのような実施形態では、硬化性構成成分としては、硫黄系硬化剤又は過酸化物をベースとする硬化剤が挙げられる。第1~第3の実施形態の好ましい実施形態では、加硫剤は、硫黄系硬化剤であり、特定のそのような実施形態では、加硫剤は、硫黄系硬化剤(のみ)からなる。特定の好適な硫黄加硫剤の例としては、「ゴム製造業者(rubbermaker)」の可溶性硫黄、二硫化アミン、ポリマー性ポリスルフィド、又は硫黄オレフィン付加物などの硫黄供与性硬化剤、及び不溶性のポリマー性硫黄が挙げられる。好ましくは、硫黄加硫剤は、可溶性硫黄、又は可溶性硫黄ポリマーと不溶性硫黄ポリマーとの混合物である。硬化に用いられる好適な加硫剤及びその他の構成要素(例えば、加硫阻害剤、スコーチ防止剤)の一般的な開示として、Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,3rd ed.,Wiley Interscience,N.Y.1982,Vol.20,pp.365 to 468、特にVulcanization Agents and Auxiliary Materials,pp.390 to 402又はA.Y.CoranによるVulcanization(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Second Edition(1989 John Wiley&Sons,Inc.))を参照することができ、これらの両方ともが、参照により本明細書に組み込まれる。加硫剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。一般に、加硫剤は、第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、1~7.5phrを含む、1~5phrを含む、好ましくは、1~3.5phr(例えば、1、1.5、2、2.5、3、又は3.5phr)の、0.1~10phrの範囲(例えば、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10phr)の量で使用され得る。
【0099】
加硫促進剤は、加硫に必要な時間及び/又は温度を制御し、加硫物の特性を改善させるために使用される。本明細書において開示されている第1~第3の実施形態の特定の実施形態における使用に好適な加硫促進剤の例としては、チアゾール加硫促進剤、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2,2’-ジチオビス(ベンゾチアゾール)(2,2’-dithiobis(benzothiazole)、MBTS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミド(N-cyclohexyl-2-benzothiazole-sulfenamide、CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミド(N-tert-butyl-2-benzothiazole-sulfenamide、TBBS)、及び同様のものなど、グアニジン加硫促進剤、例えば、ジフェニルグアニジン(diphenyl guanidine、DPG)など、チウラム加硫促進剤、カルバミン酸加硫促進剤などが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、使用される加硫促進剤の量は、0.1~10phr(例えば、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10phr)、好ましくは0.5~5phr(例えば、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5又は5phr)の範囲である。好ましくは、第1~第3の実施形態のトレッドゴム組成物に使用される任意の加硫促進剤は、一硫化チウラム及び多硫化チウラムなどの任意のチウラム(その例としては、TMTM(tetramethyl thiuram monosulfide、テトラメチルチウラムモノスルフィド)、TMTD(tetramethyl thiuram disulfide、テトラメチルチウラムジスルフィド)、DPTT(dipentamethylene thiuram tetrasulfide、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド)、TETD(tetraethyl thiuram disulfide、テトラエチルチウラムジスルフィド)、TiBTD(tetraisobutyl thiuram disulfide、テトライソブチルチウラムジスルフィド)、及びTBzTD(tetrabenzyl thiuram disulfide、テトラベンジルチウラムジスルフィド)が挙げられる)を除外し、言い換えれば、第1~第3の実施形態のトレッドゴム組成物は、好ましくは、チウラム促進剤を含有しない(すなわち、0phr)。
【0100】
加硫活性化剤は、加硫を補助するために使用される添加剤である。一般的に、加硫活性化剤は、無機構成成分及び有機構成成分の両方を含む。酸化亜鉛は、最も広く使用されている無機加硫活性化剤である。ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、及び前述の各々の亜鉛塩を含む様々な有機加硫活性化剤が、一般的に使用されている。一般に、第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、使用される加硫活性化剤の量は、0.1~6phr(例えば、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、又は6phr)、好ましくは0.5~4phr(例えば、0.5、1、1.5、2、2.5、3 3.5、又は4phr)の範囲である。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、1種以上のチオ尿素化合物(前述の量で使用される)を含む1種以上の加硫活性化剤が使用され、任意選択的に前述の加硫活性化剤のうちの1つ以上と組み合わせられる。一般に、チオ尿素化合物は、構造(R)(R)NS(=C)N(R)(R)を有する化合物として理解することができ、式中、R、R、R、及びRの各々は、H、アルキル、アリール、及びN含有置換基(例えば、グアニル)から独立して選択される。任意選択的に、前述の構造のうちの2つが、ジチオビ尿素化合物中でNを介して(R基のうちの1つを除去して)一緒に結合することができる。特定の実施形態では、R又はRのうちの1つ、及びR又はRのうちの1つは、それらの間の1つ以上のメチレン基(-CH-)と一緒に結合することができる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、チオ尿素は、前述の基のうちの1つから選択されるR、R、R及びRのうちの1つ又は2つを有し、残りのR基は水素である。例示的なアルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、ペンチル、ヘキシル、及びシクロヘキシルなどのC1~C6直鎖、分岐鎖、又は環状基が挙げられる。例示的なアリールとしては、フェニル、トリル、及びナフチルなどのC6~C12芳香族基が挙げられる。例示的なチオ尿素化合物としては、ジアルキルチオ尿素及びジアリールチオ尿素などのジヒドロカルビルチオ尿素が挙げられるが、これらに限定されない。特定のチオ尿素化合物の非限定例としては、チオ尿素、N,N’-ジフェニルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N’-ジエチルチオ尿素(N,N’-diethylthiourea、DEU)、N,N’-ジメチルチオ尿素、N,N’-ジブチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、N,N’-ジイソプロピルチオ尿素、N,N’-ジシクロヘキシルチオ尿素、1,3-ジ(o-トリル)チオ尿素、1,3-ジ(p-トリル)チオ尿素、1,1-ジフェニル-2-チオ尿素、2,5-ジチオビ尿素、グアニルチオ尿素、1-(1-ナフチル)-2-チオ尿素、1-フェニル-2-チオ尿素、p-トリルチオ尿素、及びo-トリルチオ尿素のうちの1つ以上が挙げられる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、活性化剤は、チオ尿素、N,N’-ジエチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N’-ジフェニルチオ尿素、及びN-N’-ジメチルチオ尿素から選択される少なくとも1種のチオ尿素化合物を含む。
【0101】
加硫阻害剤は、加硫プロセスを制御するため、一般的には、所望の時間及び/又は温度に達するまで加硫を遅らせるか又は阻害するために使用される。一般的な加硫阻害剤としては、以下に限定されないが、Santogard製のPVI(cyclohexylthiophthalmide、シクロヘキシルチオフタルミド)が挙げられる。一般に、第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、加硫阻害剤の量は、0.1~3phr(例えば、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、又は3phr)、好ましくは0.5~2phr(例えば、0.5、1、1.5、又は2phr)の範囲である。
ゴム組成物の調製
【0102】
本明細書に開示される第1~第3の実施形態のトレッドゴム組成物の調製に関与する特定の工程は、一般に、少なくとも1回の非生産用マスターバッチ段階及び最終生産用混合段階で成分を混合することを含む、従来実施されている方法の工程である。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、例えば、Banburyミキサー又はミル粉砕用ロールで、成分を一緒に混錬するなどによる当技術分野において既知の方法によって、ゴム組成物(上で開示した)の成分を混合することにより調製される。このような方法は、一般に、少なくとも1回の非生産用マスターバッチ混合段階と、最終生産用混合段階とを含む。非生産用マスターバッチ段階という語句は、当業者に既知であり、一般に、加硫剤又は加硫促進剤を添加しない混合段階(単数又は複数)であると理解されている。用語、最終生産用混合段階も当業者に既知であり、一般に、ゴム組成物中に加硫剤及び加硫促進剤を添加する混合段階であると理解されている。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、2回以上の非生産用マスターバッチ混合段階を含むプロセスにより調製される。
【0103】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、マスターバッチ混合段階が、タンデム混合又は相互噛合混合のうちの少なくとも1つを含むプロセスによって調製される。タンデム混合は、2つの混合チャンバを有し、各チャンバが1組の混合用ローターを有する、ミキサーを使用することを含むものとして理解することができ、一般に、2つの混合チャンバは、一次ミキサーである上部ミキサーと一緒に積層され、下部ミキサーは、上部又は一次ミキサーからバッチを受け入れる。特定の実施形態では、一次ミキサーは噛み合うローターを利用し、他の実施形態では、一次ミキサーは接線方向のローターを利用する。好ましくは、下部ミキサーは、噛み合うローターを利用する。噛み合い混合は、噛み合うローターを有するミキサーの使用を含むものとして理解され得る。噛み合うローターとは、ローターが互いに噛み合うように、セット内の1つのローターの大径が、セット内の対向するローターの小径と相互作用するローターのセットを指す。噛み合うローターは、ローター間の相互作用により、均一の速度で駆動されなければならない。噛み合うローターとは対照的に、接線方向ローターとは、各ローターが、側面と称され得る空洞内で互いに独立して回転する、1組のローターを指す。一般に、接線方向のローターを有するミキサーは、ラムを含むのに対し、ラムは、噛み合うローターを有するミキサーでは必要ではない。
【0104】
一般に、ゴム(又はポリマー)及び少なくとも1種の補強充填剤(及び任意のシランカップリング剤及び液体可塑剤)を非生産用又はマスターバッチ混合段階(単数又は複数)で添加する。一般に、硬化パッケージの少なくとも加硫剤構成成分及び加硫促進構成成分を最終又は生産用混合段階で添加する。
【0105】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、少なくとも1回の非生産用マスターバッチ混合段階が約130℃~約200℃の温度で実施されるプロセスを使用して調製される。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、ゴム組成物の望ましくない事前硬化を回避するために加硫温度を下回る温度で実施する最終生産用混合段階を使用して調製される。したがって、生産用又は最終混合段階の温度は、約120℃を超えるべきではなく、通常、約40℃~約120℃、又は約60℃~約110℃、とりわけ約75℃~約100℃である。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、少なくとも1回の非生産用混合段階と少なくとも1回の生産用混合段階とを含むプロセスによって調製される。シリカ充填剤の使用は、任意選択的に、そのような充填剤の一部又は全部を別個に添加するための別個の再粉砕段階を必要とし得る。この段階は、多くの場合、マスターバッチ段階で採用される温度と同様であるが、多くの場合わずかに低い温度で実施され、すなわち、約90℃から約150℃の落下温度まで上昇させる。
タイヤトレッド特性
【0106】
タイヤにおける第1~第3の実施形態のタイヤトレッドゴム組成物の使用は、改善された又は望ましいトレッド特性を有するタイヤをもたらし得る。これらの改善された又は望ましい特性としては、転がり抵抗、雪若しくは氷牽引摩擦、湿潤牽引摩擦、乾燥操縦性、又は摩耗のうちの1つ以上を挙げることができる。これらの特性は、様々な方法によって測定され得るが、転がり抵抗、雪又は氷牽引摩擦、湿潤牽引摩擦、及び乾燥操縦性について本明細書で言及される値は、以下の温度において以下の手順に従って測定されるtanδ値を指す。tanδ値は、一般にASTM D5992-96(2011)のガイドラインに従って、動的機械熱分光計(Gabo Qualimeter Testanlagen GmbH(Ahiden,Germany)のEplexor(登録商標)500N)を用いて以下の条件下で測定することができる:測定モード:引張試験モード、測定周波数:52Hz、-50~-5℃の0.2%ひずみ及び-5~65℃の1%ひずみを適用、-30℃、0℃、30℃、及び60℃の温度で測定を提供するために、約1℃ごとにデータを収集、試料形状:幅4.75mm×長さ29mm×厚さ2.0mm。測定は、硬化したゴムの試料(170℃で15分間硬化)に対して行われる。-30℃におけるゴム組成物のtanδは、タイヤトレッド内に組み込まれているときのその雪又は氷牽引摩擦を示し、0℃におけるtanδは、タイヤトレッド内に組み込まれているときのその湿潤牽引摩擦を示し、30℃におけるtanδは、タイヤトレッド内に組み込まれているときのその乾燥操縦性を示し、60℃におけるそのtanδは、タイヤトレッド内に組み込まれているときのその転がり抵抗を示す。
【0107】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、0.23~0.29(例えば、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、又は0.29)、0.24~0.29(例えば、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、又は0.29)、0.25~0.29(例えば、0.25、0.26、0.27、0.28、又は0.29)、0.23~0.28(例えば、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、又は0.28)、0.24~0.28(例えば、0.24、0.25、0.26、0.27、又は0.28)の60℃におけるtanδの値を有する。前述の範囲のうちの1つ以内の60℃におけるtanδは、中等度の転がり抵抗を有するタイヤ(又はより具体的には、タイヤトレッド)(一般に60℃における0.2以下のtanδで示されるであろう低い転がり抵抗を有するタイヤとは対照的に)を示すものとして理解することができる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、60℃におけるtanδの値は、(a)60℃におけるtanδ値の少なくとも1.1倍(例えば、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、若しくはそれ超)、好ましくは、60℃におけるtanδ値の少なくとも1.1倍~1.5倍(例えば、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、若しくは1.5倍)の-30℃におけるtanδの値、(b)60℃におけるtanδ値の少なくとも1.2倍(例えば、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、若しくはそれ超)、好ましくは、60℃におけるtanδ値の1.2~1.7倍(例えば、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、若しくは1.7倍)、より好ましくは、60℃におけるtanδ値の1.4倍~1.7倍(例えば、1.4倍、1.5倍、1.6倍、若しくは1.7倍)の0℃におけるtanδの値、又は(c)60℃におけるtanδ値の少なくとも1.1倍(例えば、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、若しくはそれ超)、好ましくは、60℃におけるtanδ値の1.1倍~1.5倍(例えば、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、若しくは1.5倍)、より好ましくは、60℃におけるtanδ値の1.2倍~1.5倍(例えば、1.2倍、1.3倍、1.4倍、若しくは1.5倍)の30℃におけるtanδの値、のうちの少なくとも1つと組み合わされ、特定のそのような実施形態では、60℃におけるtanδの値は、(a)、(b)、及び(c)の各々と組み合わされる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、60℃におけるtanδの前述の値のうちの1つ(例えば、0.23~0.29、0.23~0.28など)は、(a)60℃におけるtanδ値の1.1倍~1.5倍(例えば、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、又は1.5倍)の-30℃におけるδについての値と組み合わされる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、60℃におけるtanδの前述の値のうちの1つ(例えば、0.23~0.29、0.23~0.28など)は、(b)60℃におけるtanδ値の1.2倍~1.7倍(例えば、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、又は1.7倍)、60℃におけるtanδ値の1.4~1.7倍の0℃におけるδについての値と組み合わされる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、60℃におけるtanδの前述の値のうちの1つ(例えば、0.23~0.29、0.23~0.28など)は、(c)60℃におけるtanδ値の1.1倍~1.5倍(例えば、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、又は1.5倍)、60℃におけるtanδ値の1.2~1.5倍の30℃におけるδについての値と組み合わされる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、60℃におけるtanδの前述の値のうちの1つ(例えば、0.23~0.29、0.23~0.28など)は、-30℃におけるtanδの前述の値のうちの1つ、0℃におけるtanδの前述の値のうちの1つ、及び30℃におけるtanδの前述の値のうちの1つと組み合わされる。
【0108】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、少なくとも450%(例えば、450%、455%、460%、465%、470%、475%、480%、485%、490%、495%、500%、505%、510%、515%、520%、525%、530%、535%、540%、545%、550%、555%、560%、565%、570%、575%、580%、585%、590%、595%、600%、若しくはそれ超)、又は450~600%、又はその範囲内の部分範囲内、好ましくは、少なくとも500%(例えば、500%、505%、510%、515%、520%、525%、530%、535%、540%、545%、550%、555%、560%、565%、570%、575%、580%、585%、590%、595%、600%、若しくはそれ超)、500~600%の範囲内、又はその範囲内の部分範囲内の室温Ebを有する。前述の室温Eb値は、実施例の項に記載されている手順に従って決定することができ、23℃で行われた測定値を指す。
【0109】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、少なくとも400%(例えば、400%、410%、420%、430%、440%、450%、460%、470%、480%、490%、500%、510%、520%、530%、540%、550%、560%、570%、575%、若しくはそれ超)、又は400~570%、又はその範囲内の部分範囲内、好ましくは、少なくとも450%(例えば、450%、460%、470%、480%、490%、500%、510%、520%、530%、540%、550%、560%、570%、575%、若しくはそれ超)、又は450~575%の範囲内、又はその範囲内の部分範囲のホットEbを有する。前述のホットEb値は、実施例の項に記載されている手順に従って決定することができ、100℃で行われた測定値を指す。一般に、所与のトレッドゴム組成物のホットEb値は、そのトレッドゴム組成物については、室温Ebよりも低くなる(すなわち、未満である)。
【0110】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、少なくとも3000(例えば、3000、3050、3100、3150、3200、3250、3300、3350、3400、3450、3500、3550、3600、3650、3700、3750、3800、3850、3900、3950、4000、4050、4100、4150 4200、4250、4300以上)、好ましくは、少なくとも3300(例えば、3300、3350、3400、3450、3500、3550、3600、3650、3700、3750、3800、3850、3900、3950、4000、4050、4100、4150 4200、4250、4300以上)、より好ましくは、少なくとも3500(例えば、3500、3550、3600、3650、3700、3750、3800、3850、3900、3950、4000、4050、4100、4150 4200、4250、4300以上)のホットEbxTbを有する。特定のそのような実施形態では、ホットTbxEbは、3000~4300、好ましくは、3300~4300又は3300~4300、又は前述の範囲内の部分範囲、より好ましくは、3500~4300又は3500~4000、又は前述の範囲のうちの1つ内の部分範囲である。ホットTbxEbは、ホットTbにホットEb値を乗算することによって計算され、この値は、実施例に記載されている手順に従って決定することができ、100℃で行われた測定値を指す。
【実施例
【0111】
以下の予測実施例は、本開示の特定の及び例示的な実施形態、並びに/又は実施形態の特徴を例示するものである。実施例は、単に例示の目的で提供されており、本開示を限定するものとして解釈すべきでない。本開示の実施形態の趣旨及び範囲を逸脱することなく、これらの特定の実施例に対する多くの変更が可能である。本開示によるタイヤトレッドゴム組成物は、一般に本明細書に提供される教示に関して、かつ先の段落に完全に開示されているような、異なるSBR、異なるポリブタジエン、異なる天然ゴム(及び/又はポリイソプレン)、異なる補強シリカ充填剤、異なる(又は非)カーボンブラック、異なる炭化水素樹脂、並びに異なる液体可塑剤を使用して作製することができることを具体的に理解されたい。前述の成分が、実施例で使用されるものの相対量、組成、又はその両方において(すなわち、前述の段落に開示されるように、完全に)異なり得ることも理解されたい。
【0112】
表1に提供されるように、トレッドゴム組成物は、実施例1として列挙される本発明の組成物を配合するために前に段落で開示される量及び種類に従って成分を使用して調製することができる。比較トレッドゴム組成物はまた、様々な種類及び/又は量の特定の成分を使用して調製することができ、対照1、対照2、対照3、対照4、及び対照5として表1に列挙される。特に、対照B~Eの各々は、実施例1のゴム組成物に列挙される量及び/又は種類の外側に少なくとも1種の成分を使用する。量が、範囲(例えば、SBR-1の場合、30~40の範囲)内にあることが示されるとき、その成分は、反対に示されない限り、各組成物と同じ量であると理解され得る(すなわち、SBR-1の量は、実施例1、対照2、対照3、及び対照5について同じであるが、対照1についてはより多く、対照4には存在しないが、SBR-2で置き換えられる)。表1の全成分は、phr単位の量で記載されている。


【表1】
SBR-1は、-40℃未満のTgを有する官能化コポリマーである。
SBR-2は、-40℃超のTg、25%超のスチレン含有量、及び30~40%の範囲超のビニル結合含有量を有する非官能化コポリマーである。このSBRもまた、100部のゴム当たり37.5部の量で油展される。表1に列挙された量は、油展性SBRによって寄与されたゴムの量であり、SBR-1の油寄与を含まない。
少なくとも95%のシス-1,4-結合含有量及び-105~-108℃の範囲のTgを有する高シスポリブタジエン。
150~300m2/gの範囲のBET表面積を有する補強シリカ充填剤。
植物供給油。
30~50℃の範囲のTgを有する芳香族樹脂。
硫黄
【0113】
表2は、表1からのゴム組成物の各々について予測された特性を提供する。特に、tanδ値は、上記の段落に記載されているGabo手順に従って測定することができる。室温Ebは、破断時伸び測定値(伸び%に関して)を表し、ゴム組成物の引裂抵抗の指標を提供する。略語Tbは、破断時引張を指し、この測定値(MPa単位で作製)は、破断前に耐えることができる最大応力を測定することによってゴム組成物の強度の指標を提供する。Eb及びTbは、ASTM D-412に記載される標準的手順に従うが、これには限定されないガイドラインに従って、幅の断面寸法4mm、中心部厚さ1.9mmを有するダンベル型試料を用いて測定することができる。測定中、試験片を一定速度(毎秒20%)で歪ませ、結果として得られた力を伸展(ひずみ)の関数として記録することができる。室温測定は、23℃で測定された測定値を指し、熱間測定は、100℃で測定された測定値を指す。
【表2】
【0114】
表2のデータの検討として、本発明の実施例1のゴム組成物と比較した場合、対照1~対照5の比較ゴム組成物の各々は、本発明の実施例1に提示される範囲よりも悪い又はそれ以外の少なくとも1つの特性を呈する。
【0115】
本出願は、本明細書において開示されている組成物及び方法の実施形態が開示される数値範囲全体で実行できるため、明確な範囲限界が明細書内に言葉どおりに言及されていなくても、開示される数値範囲内の任意の範囲を支持する、いくつかの数値範囲限界を開示している。実質的に任意の複数又は単数の用語を本明細書で用いることに関して、当業者は、状況又は用途に適切となるように、複数から単数へ、又は単数から複数へ置き換えることができる。様々な単数又は複数の置き換えは、簡潔にするため、本明細書では明示的に記述されている場合がある。
【0116】
一般的に、当業者は、本明細書及び特に添付の特許請求の範囲で使用された用語は、概して「オープン」な用語を意図していることを理解するだろう。例えば、用語「含む」は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「挙げられる」は、「挙げられるがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。更に、当業者は、前置きされた特許請求項の記載において特定の数が意図される場合、そのような意図は当該特許請求項中に明示的に記載されるものとし、そのような記載がない場合は、そのような意図も存在しないことを理解するだろう。例えば、理解を助けるものとして、以下の添付の特許請求の範囲には、特許請求項の記載を前置きするために、前置き語句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の使用を含む場合がある。しかしながら、かかる語句の使用は、同じ特許請求項が、前置き語句「1つ以上」又は「少なくとも1つ」、及び、「a」又は「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」又は「an」による特許請求項の記載の前置きが、そのように前置きされた特許請求項の記載を含む任意の特定の特許請求項を、かかる記載を1つのみ含む発明に限定することを意味するものとして解釈されてはならず(例えば、「a」又は「an」は、典型的には、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)、特許請求項の記載の前置きに使用される定冠詞の使用についても同じことが言える。加えて、前置きされた特許請求項の記載において特定の数が明示的に記載される場合でも、当業者は、このような記載が、少なくとも記載される番号を意味するものと解釈されるべきであることを理解している(例えば、他の修飾語句を持たない明らかな記載である「2つの記載」は、典型的には、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうち少なくとも1つ」に類似する慣例表現を用いる場合、一般に、このような構成は、当業者がその慣例を理解し得るという意味において意図される(例えば、「A、B、及びCのうち少なくとも1つを有するシステム」として、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを共に、A及びCを共に、B及びCを共に、並びに/又は、A、B、及びCを共になどを有するシステムが挙げられ得るが、これらに限定されない)。更に、当業者は、事実上、2つ以上の代替用語を示す任意の離接的単語又は語句は、明細書、特許請求の範囲、又は図面を問わず、これらの用語のうちの1つ、これらの用語のうちのいずれか、又はこれらの用語の両方を含む可能性を企図すると理解されるべきであることを、理解するであろう。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるだろう。
【0117】
特許、特許出願、非特許文献を含むが、これらに限定されない全ての参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0118】
組成物及び方法の様々な態様並びに実施形態を本明細書に開示してきたが、他の態様及び実施形態が、当業者には明らかであろう。本明細書で開示されている様々な態様及び実施形態は、例示目的であり、特許請求の範囲により示されている真の範囲及び趣旨を限定することを意図していない。
本開示は、以下の実施形態を含む。
<1> タイヤトレッドゴム組成物であって、
a. 100部のエラストマー構成成分であって、
i. 少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する70~85部のポリブタジエンと、
ii. 好ましくは、-40℃未満のTgを有する、10~25部の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムと、
iii. 10~20部の天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせと、を含む、エラストマー構成成分と、
b. 好ましくは、約150~約300m /gの表面積を有する、101~150phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、
c. 20phr以下、好ましくは、15phr以下のカーボンブラック充填剤と、
d. 約30~約50℃のTgを有する30~50phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、
e. 10~30phrの液体可塑剤と、
f. 硬化パッケージと、を含む、成分から作製され、
前記(d)及び(e)の総量が、少なくとも40phr、好ましくは、少なくとも50phrである、タイヤトレッドゴム組成物。
<2> タイヤトレッドゴム組成物であって、
a. 100部のエラストマー構成成分であって、
i. 少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する約70~約80部のポリブタジエンと、
ii. 好ましくは、-40℃未満のTgを有する、約10~約20部の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムと、
iii. 約15~約25部の天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせと、を含む、エラストマー構成成分と、
b. 好ましくは、約150~約300m /gの表面積を有する約110~約130phrの少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、
c. 約10phr以下のカーボンブラック充填剤と、
d. 約30~約50℃のTgを有する約35~約45phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、
e. 約15~約25phrの液体可塑剤と、
f. 硬化パッケージと、を含む、成分から作製され、
前記(d)及び(e)の総量が、少なくとも約50phrである、タイヤトレッドゴム組成物。
<3> 前記(i)の量が、71~80部である、前記<1>又は<2>に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<4> 前記(d)の炭化水素樹脂が、芳香族樹脂を含む、前記<1>~<3>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<5> 前記(ii)のスチレン-ブタジエンゴムが、約25%以下、好ましくは、約15%以下のスチレン含有量を有する、前記<1>~<4>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<6> 前記(ii)のスチレン-ブタジエンゴムが、約-50℃~約-75℃のTgを有する、前記<1>~<5>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<7> 前記(ii)のスチレン-ブタジエンゴムが、好ましくは、シリカ反応性官能基で官能化されている、前記<1>~<6>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<8> 前記(e)の液体可塑剤が、1種以上の植物油からなる、前記<1>~<7>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<9> 前記(d)及び(e)の総量が、65phr以下である、前記<1>~<8>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<10> (d)及び(e)が、1.5/1~4/1の重量比で存在する、前記<1>~<9>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<11> (a)(iii)が天然ゴムからなる、前記<1>~<10>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<12> 前記エラストマー構成成分が、-80~-105℃の平均Tgを有する、前記<1>~<11>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<13> 前記ゴム組成物が、0.23~0.29の60℃におけるtanδの値を有し、
a. 前記60℃におけるtanδ値の少なくとも1.1倍、好ましくは、前記60℃におけるtanδ値の1.1倍~1.5倍の-30℃におけるtanδの値を有すること、
b. 前記60℃におけるtanδ値の少なくとも1.2倍、好ましくは、前記60℃におけるtanδ値の1.2倍~1.7倍、より好ましくは、前記60℃におけるtanδ値の1.4倍~1.7倍の0℃におけるtanδの値を有すること、又は
c. 前記60℃におけるtanδ値の少なくとも1.1倍、好ましくは、前記60℃におけるtanδ値の1.1倍~1.5倍、より好ましくは、前記60℃におけるtanδ値の1.2倍~1.5倍の30℃におけるtanδの値を有すること、のうちの少なくとも1つを満たす、前記<1>~<12>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<14> (a)、(b)、及び(c)の各々が満たされる、前記<13>に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<15> (d)少なくとも450%、好ましくは、少なくとも500%の23℃におけるEbを有すること、
(e)少なくとも400%、好ましくは、少なくとも450%の100℃におけるEbを有すること、又は
(f)少なくとも3000、好ましくは、少なくとも3500のTb×Ebを有すること、のうちの少なくとも1つが満たされる、前記<1>~<14>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<16> (d)~(f)の各々が満たされる、前記<15>に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<17> 前記<1>~<16>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物を含むトレッドを含む、タイヤ。
<18> タイヤトレッドゴム組成物を利用することによって、湿潤牽引摩擦性能及び摩耗を維持しながら、改善された乾燥操縦性能を有するタイヤトレッドを提供する方法であって、前記タイヤトレッドゴム組成物が、
a. 100部のエラストマー構成成分であって、
i. 少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する70~85部のポリブタジエンと、
ii. 好ましくは、-40℃未満のTgを有する、10~25部の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムと、
iii. 10~20部の天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせと、を含む、エラストマー構成成分と、
b. 好ましくは、約150~約300m /gの表面積を有する、101~150phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、
c. 20phr以下、好ましくは、15phr以下のカーボンブラック充填剤と、
d. 約30~約50℃のTgを有する30~50phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、
e. 10~30phrの液体可塑剤と、
f. 硬化パッケージと、を含む、成分から作製され、
前記(d)及び(e)の総量が、少なくとも40phr、好ましくは、少なくとも50phrである、方法。
<19> 前記(i)の量が、71~80部である、前記<18>に記載の方法。
<20> 前記(d)の炭化水素樹脂が、芳香族樹脂を含む、前記<18>又は<19>に記載の方法。
<21> 前記(ii)のスチレン-ブタジエンゴムが、約25%以下、好ましくは、約15%以下のスチレン含有量を有する、前記<18>~<20>のいずれか一項に記載の方法。
<22> 前記(ii)のスチレン-ブタジエンゴムが、約-50℃~約-75℃のTgを有する、前記<18>~<21>のいずれか一項に記載の方法。
<23> 前記(ii)のスチレン-ブタジエンゴムが、好ましくは、シリカ反応性官能基で官能化されている、前記<18>~<22>のいずれか一項に記載の方法。
<24> 前記(e)の液体可塑剤が、1種以上の植物油からなる、前記<18>~<23>のいずれか一項に記載の方法。
<25> 前記(d)及び(e)の総量が、65phr以下である、前記<18>~<24>のいずれか一項に記載の方法。
<26> (d)及び(e)が、1.5/1~4/1の重量比で存在する、前記<18>~<25>のいずれか一項に記載の方法。
<27> (a)(iii)が天然ゴムからなる、前記<18>~<26>のいずれか一項に記載の方法。
<28> 前記エラストマー構成成分が、-80~-105℃の平均Tgを有する、前記<18>~<27>のいずれか一項に記載の方法。
<29> 前記ゴム組成物が、0.23~0.29の60℃におけるtanδの値を有し、
a. 前記60℃におけるtanδ値の少なくとも1.1倍、好ましくは、前記60℃におけるtanδ値の1.1倍~1.5倍の-30℃におけるtanδの値を有すること、
b. 前記60℃におけるtanδ値の少なくとも1.2倍、好ましくは、前記60℃におけるtanδ値の1.2倍~1.7倍、より好ましくは、前記60℃におけるtanδ値の1.4~1.7倍の0℃におけるtanδの値を有すること、又は
c. 前記60℃におけるtanδ値の少なくとも1.1倍、好ましくは、前記60℃におけるtanδ値の1.1倍~1.5倍、より好ましくは、前記60℃におけるtanδ値の1.2倍~1.5倍の30℃におけるtanδの値を有すること、のうちの少なくとも1つを満たす、前記<18>~<28>のいずれか一項に記載の方法。
<30> (a)、(b)、及び(c)の各々が満たされる、前記<29>に記載の方法。
<31> 前記ゴム組成物が、
(d)少なくとも450%、好ましくは、少なくとも500%の23℃におけるEbを有すること、
(e)少なくとも400%、好ましくは、少なくとも450%の100℃におけるEbを有すること、又は
(f)少なくとも3000、好ましくは、少なくとも3500のTb×Ebを有すること、のうちの少なくとも1つを満たす、前記<18>~<30>のいずれか一項に記載の方法。
<32> (d)~(f)の各々が満たされる、前記<31>に記載の方法。
<33> 前記<19>~<32>のいずれか一項に記載の方法から得られる、タイヤトレッド。
<34> 前記<33>に記載のタイヤトレッドを組み込んだ、タイヤ。