(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】排気流から同伴粒子を回収するシステム
(51)【国際特許分類】
B01D 45/08 20060101AFI20240229BHJP
B01D 45/06 20060101ALI20240229BHJP
B01J 8/24 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
B01D45/08
B01D45/06
B01J8/24
(21)【出願番号】P 2021573941
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(86)【国際出願番号】 US2020037465
(87)【国際公開番号】W WO2020252285
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-06-23
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519461772
【氏名又は名称】エックス-エナジー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハワード タエリー
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-531726(JP,A)
【文献】特表2019-503858(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0090744(KR,A)
【文献】実開昭55-133212(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0151888(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0282894(US,A1)
【文献】国際公開第2014/020837(WO,A1)
【文献】特開2002-113316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00-8/46
B01D 45/00-45/18
B01D 46/00-46/90
B07B 1/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気管を有する流動床反応器と、前記流動床反応器の前記排気管から排出される排気流から同伴粒子を除去するための装置と、を備えるシステムであって、
前記排気流から同伴粒子を除去するための装置が、
頂部、内面および貫通孔を有する底部からなるハウジングと、
前記ハウジングの底部の貫通孔に着脱可能に接続されるレセプタクルと、を備え、
前記ハウジングが、
衝突面と、
出口開口部およびxの内径を有し、前記衝突面に向かって前記排気流を前記ハウジング内に案内するように構成される、入口管と、
前記排気流を前記ハウジング外に案内するように構成される、出口管と、を備え、
前記衝突面が、前記入口管の
出口開口部から距離yだけ離れており、yが3xと(1/3)xとの間にある、ハウジングであって、
前記衝突面が、前記排気流を第1の流れ方向から第2の流れ方向に偏向させ、前記排気流が前記出口管に流入する前に、前記排気流から前記レセプタクルに同伴粒子を落下させるように構成される、システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、
xがy以上である、システム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムであって、
前記レセプタクルが、同伴粒子を回収または廃棄するために、前記ハウジングから脱するように構成されるシステム。
【請求項4】
排気流から同伴粒子を除去するための装置であって、
頂部、内面および貫通孔を有する底部からなるハウジングと、
前記ハウジングの底部の貫通孔に着脱可能に接続されるレセプタクルと、を備え、
前記ハウジングが、
衝突面と、
出口開口部およびxの内径を有し、前記衝突面に向かって前記排気流を前記ハウジング内に案内するように構成される、入口管と、
前記排気流を前記ハウジング外に案内するように構成される、出口管と、を備え、
前記衝突面が、前記入口管の
出口開口部から距離yだけ離れており、yが3xと1/3xとの間にある、ハウジングであって、
前記衝突面が、前記排気流を第1の流れ方向から第2の流れ方向に偏向させ、前記排気流が前記出口管に流入する前に、前記排気流から前記レセプタクルに同伴粒子を落下させるように構成され、
前記出口管が、内面および外面を有し、前記ハウジングの前記頂部を介して突出し、
前記外面が前記衝突面として形成され、
前記入口管の開口部が、前記排気流を前記出口管の前記外面に対向するように構成され、前記排気流を第1の流れ方向からi)前記レセプタクルに向かって下方に偏向させ、次いで、ii)前記出口管の中を上方に向かって偏向させる、装置。
【請求項5】
排気流から同伴粒子を除去するための装置であって、
頂部、内面および貫通孔を有する底部からなるハウジングと、
前記ハウジングの底部の貫通孔に着脱可能に接続されるレセプタクルと、を備え、
前記ハウジングが、
衝突面と、
出口開口部およびxの内径を有し、前記衝突面に向かって前記排気流を前記ハウジング内に案内するように構成される、入口管と、
前記排気流を前記ハウジング外に案内するように構成される、出口管と、を備え、
前記衝突面が、前記入口管の
出口開口部から距離yだけ離れており、yが3xと(1/3)xとの間にある、ハウジングであって、
前記衝突面が、前記排気流を第1の流れ方向から第2の流れ方向に偏向させ、前記排気流が前記出口管に流入する前に、前記排気流から前記レセプタクルに同伴粒子を落下させるように構成され、
前記出口管および前記入口管が互いに平行であり、
前記入口管
の出口開口部が、前記ハウジングの前記内面付近
に設けられ、
前記ハウジングの前記内面が前記衝突面であり、
前記出口管が、前記ハウジングの前記内面付近に入口開口部を有し、
前記
入口管の出口開口部が、前記
出口管の入口開口部から線形的にオフセットされ、
前記入口管および前記出口管は、前記排気流が、前記入口管
の出口開口部から前記ハウジングに案内され、前記ハウジングの前記内面に沿って流れ、前記
出口管の入口開口部から前記出口管に案内されるように構成される、装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の装置であって、
前記レセプタクルの外面に形成されたねじ切部が、前記ハウジングの前記底部に設けられた前記貫通孔の内面に形成されたねじ切部に螺入する、装置。
【請求項7】
請求項4または5記載の装置であって、
前記レセプタクルの外面に形成された突出部が、前記ハウジングの前記底部に設けられた前記貫通孔の内面に形成された溝部に嵌入する、装置。
【請求項8】
排気管を有する流動床反応器と、前記流動床反応器の前記排気管から排出される排気流から同伴粒子を除去するための装置と、を備えるシステムであって、
前記排気流から同伴粒子を除去するための装置が、
頂部、内面および貫通孔を有する底部からなるハウジングと、
前記ハウジングの底部の貫通孔に着脱可能に接続されるレセプタクルと、を備え、
前記ハウジングが、
出口開口部およびxの内径を有し、前記排気流を前記ハウジング内に案内するように構成される、入口管と、
入口開口部を有し、前記排気流を前記ハウジング外に案内するように構成される、出口管と、
前記入口管の
出口開口部と前記出口管の
入口開口部との間に設けられる壁と、を備え、
前記入口管の
出口開口部が、i)前記壁の方に向けられ、ii)前記壁から距離yだけ離れており、yが3xと(1/3)xとの間にある、ハウジングであって、
前記壁が、前記排気流を、前記入口管と前記出口管との間において、非線形の流れとして流れさせ、前記排気流から前記レセプタクルに同伴粒子を落下させるように構成される、システム。
【請求項9】
請求項8記載のシステムであって、
xがy以上であるシステム。
【請求項10】
請求項8記載のシステムであって、
前記レセプタクルの外面に形成されたねじ切部が、前記ハウジングの前記底部に設けられた前記貫通孔の内面に形成されたねじ切部に螺入する、システム。
【請求項11】
請求項8記載のシステムであって、
前記レセプタクルの外面に形成された突出部が、前記ハウジングの前記底部に設けられた前記貫通孔の内面に形成された溝部に嵌入する、システム。
【請求項12】
流動床反応装置であって、
流動床を支持するように構成された気体分配板と、前記気体分配板の下部に設けられるプレナムと、前記気体分配板の上部に設けられる反応室と、排気管と、を有する反応器と、
さらに、排気流から同伴粒子を除去するための装置と、を備え、
前記反応器が、前記プレナム内の流動気体を受け取り、前記流動気体を前記気体分配板に通し、次いで前記反応室に通し、排気流として前記排気管に通すように構成され、
前記装置が、
底部に貫通孔を有するハウジングと、
前記ハウジングの底部の貫通孔に着脱可能に接続されるレセプタクルと、を備え、
前記ハウジングが、
出口開口部およびxの内径を有し、前記排気流を前記排気管から前記ハウジングに案内するように構成される、入口管と、
入口開口部を有し、前記排気流を前記ハウジング外に案内するように構成される、出口管と、
前記入口管の
出口開口部と前記出口管の
入口開口部との間に設けられる壁と、を備え、
前記入口管の
出口開口部が、前記壁の方に向けられ、前記壁から距離yだけ離れており、yが3xと(1/3)xとの間にある、ハウジングであって、
前記壁が、前記排気流を、前記入口管と前記出口管との間において、非線形の流れとして流れさせ、前記排気流から前記レセプタクルに同伴粒子を落下させるように構成される、流動床反応器。
【請求項13】
請求項12記載の流動床反応器であって、
xがy以上である流動床反応器。
【請求項14】
請求項12記載の流動床反応器であって、さらに、
前記反応室の上部に設けられ、前記反応室から前記流動気体の速度を減少させるように構成される同伴解除室を備え、
前記反応器が、前記流動気体を前記反応室から前記同伴解除室へ通し、排気流として前記排気管へ通すように構成され、
前記同伴解除室が、前記流動気体中の同伴粒子を、前記流動気体から前記流動床へ落下させるように構成され、
前記同伴粒子を除去するための前記装置が、前記排気流中の同伴粒子を前記排気流から前記レセプタクルへ落下させるように構成される、流動床反応器。
【請求項15】
請求項14記載の流動床反応器であって、
前記反応室が第1の直径を有し、
前記同伴解除室が第2の直径を有し、
前記第2の直径が前記第1の直径の2倍から10倍である、流動床反応器。
【請求項16】
請求項14記載の流動床反応器であって、
前記反応室が第1の直径を有し、
前記同伴解除室が第2の直径を有し、
前記第2の直径が前記第1の直径の2倍から5倍である、流動床反応器。
【請求項17】
請求項14記載の流動床反応器であって、
前記反応室が第1の直径を有し、
前記同伴解除室が第2の直径を有し、
前記第2の直径が前記第1の直径の2.5倍である、流動床反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、排気流から同伴粒子(entrained particle)を回収するためのシステムに関する。様々な実施形態において、本開示は、概して、流動床反応器から排出された排気から同伴粒子を回収するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流動床反応器においては、反応気体が加熱され、粒子の存在する床の中を流れる。反応気体は、所定の希釈気体または搬送気体とともに、粒子内を流れ、粒子を流動化させる。反応気体は流動床の粒子と反応し、被覆層を付着させる。使用された反応気体は、排気流として流動床反応器から排出されるが、不所望に流動床の粒子の一部を同伴粒子として搬送する。このような場合に、同伴粒子を排気流から回収し、再利用または廃棄することが利点となる。
【0003】
排気流から同伴粒子を回収する先行技術には、遠心力を利用したサイクロン式集塵機を使用するものがある。このような集塵機では、粒子を含んだ排気が吸気管から集塵機に入り、集塵機内の螺旋状のバッフルで分離が起きる。遠心力によって同伴粒子は集塵機の内壁に衝突し、底部に落下する。同伴粒子のない排気は、集塵機の垂直軸に沿って排気管を通って運ばれる。しかしながら、このような集塵機は大型であり、同伴が解除された粒子(disentrained particles)と集塵機内壁との摩擦により摩耗しやすい。
【0004】
気流が高速で流れる場合、気流から粒子の同伴を解除する他の先行技術では、上向きの吸気管を排気流のために使用する。吸気管は、拡径される分離チャンバに通じている。分離チャンバは垂直の仕切りによって2つのチャンバに分かれている。気流は第1チャンバの上端に向かって流れ、第1チャンバの上端に衝突し、流れが反転する。
【0005】
気流が反転する際に粒子同士が衝突することにより、同伴粒子が気流から落下する。その後、気流は第2チャンバ内を排出口に向かって流れる。しかし、この方式では大きな粒子は効果的に除去できるが、微細な粒子は除去されない。そのため、微細な粒子が気流に同伴されたまま、第2チャンバに流れ込み、分離チャンバから排出される可能性がある。また、気流中の粒子と第1チャンバの上端が衝突するので、分離チャンバが許容できないほど摩耗することがある。このような摩耗を防ぐために、流入管の終端と第1チャンバの上端を数メートル離なさなければならない場合がある。そのため、これらの装置では、分離チャンバが非常に大型になり、摩耗した装置の修理や交換に時間とコストがかかるという問題がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
排気流から同伴粒子を除去するための改良された方法及び装置に対する現在の必要性に鑑みて、様々な例示的な実施形態の簡単な要約を提示する。以下の要約において、いくつかの簡略化及び省略がなされる場合があるが、これは様々な例示的な実施形態のいくつかの態様を強調し、紹介することを意図していて、本発明の範囲を限定するものではない。当業者が発明概念を製造及び使用することを可能にするのに十分な好ましい例示的な実施形態の詳細な説明が後述される。
【0007】
同伴粒子を除去するための装置は、摩耗した場合に修理や交換のために容易に着脱させるために、小型であることが好ましい。また、このような装置は、装置から同伴を解除した粒子を容易に回収するために、着脱可能な収集室を有することが好ましい。
【0008】
本明細書に開示される様々な実施形態は、流動床反応器であって、流動床を支持するように構成された気体分配板と、気体分配板の下部に配設されるプレナムと、気体分配板の上部に配設される反応室と、排気管と、を有する反応器を備える、流動床反応器に関する。反応器は、プレナムで流動気体を受け取り、気体分配板を通して、流動気体を反応室に連通させ、流動床内の粒子に付着させるように構成されている。流動気体は、その後、排気流として排気管に送られる。
【0009】
様々な実施形態において、前記排気管は、排気流から同伴粒子を除去するための装置に連通している。同伴粒子を除去するための装置は、底面に貫通孔を有するハウジングを含んでもよい。ここで、ハウジングは、出口を有する入口管と、入口を有する出口管と、を備える。
【0010】
ハウジングの底面に設けられた貫通孔に、着脱可能なレセプタクルが接続されてもよい。入口管は、排気流を前記ハウジングの中に案内し、出口管は、排気流を前記ハウジングの外に案内する。ハウジングは、入口管の出口と出口管の入口との間に壁をさらに含む。この壁によって、排気流は、入口管と出口管との間を非線形方向に流れ、同伴粒子が前記排気流からレセプタクルへと落下するようになる。
【0011】
様々な実施形態において、入口管と出口管との間にてハウジング内に配設された壁は、曲線状又は平面状の構造体であってもよい。様々な実施形態において、壁は、ハウジングとは別の構造体でなくてもよい。様々な実施形態において、壁は、出口管の外面であってもよく、出口管は、上部ハウジング面を通じて、ハウジングから突き出てもよい。入口管から案内された排気流は、ハウジングに入り、出口管の外面に衝突する。排気流は、着脱可能なレセプタクルに向かって下向きに偏向され、その後、出口管に上向きの方向で流れ込む。排気流の流れが非線形であるので、排気流に同伴された粒子は同伴を解除され(disentrain)、排気流から着脱可能なレセプタクルに落下する。
【0012】
様々な実施形態において、壁は、ハウジングの内面であってもよい。様々な実施形態において、出口管の軸と入口管の軸が、90°~180°、120°~180°、135°~165°、略135°、略155°、または略180°の角を形成しながら、出口管と入口管は隣接していてもよい。出口管と入口管は、出口管の入口がハウジングの内面の第1の部分に面し、入口管の出口がハウジングの内面の第2の部分に面するように配設される。入口管から案内された排気流は、ハウジングに入り、ハウジングの内面の第2の部分に衝突する。排気流は、ハウジングの内面に沿って偏向し、ハウジングの内面の第1の部分に到達した後、出口管に流入する。ハウジングの内面に沿った非線形な排気流によって、排気流に同伴された粒子は同伴を解除され、排気流から着脱可能なレセプタクルに落下する。
【0013】
様々な実施形態において、壁はハウジングの内面であってもよく、出口管及び入口管は、互いに平行かつ隣接してもよい。出口管の軸と入口管の軸は、180の角度を形成し、出口管の入口と入口管の出口がハウジングの内面の反対部分に面するように、互いに線形にオフセットされる。
【0014】
入口管から案内された排気流は、ハウジングに入り、ハウジングの内面に衝突する。排気流はハウジングの内面に沿って偏向し、出口管に流入する前にハウジングの内面に沿って流れる。ハウジングの内面に沿った非線形な排気流により、排気流から同伴粒子が着脱可能なレセプタクルに落下する。
【0015】
様々な実施形態において、着脱可能なレセプタクルは、ハウジングから着脱可能に構成されており、レセプタクル内に落下した排気流から同伴を解除された粒子の回収又は処分を可能にする。様々な実施形態において、着脱可能なレセプタクルは、レセプタクルの外面にネジ山を備えた面を有し、雄ネジ継手を形成している。また、ハウジングの底部の貫通孔の内面は、雌ネジ継手を形成している。レセプタクルの雄ネジ継手は、ハウジングの雌ネジ継手に着脱可能に螺入することができる。他の実施形態では、突出部がレセプタクルの外面上かつレセプタクル開口部近傍に配設される。突出部は、ハウジングの底部の貫通孔の内面に設けられる溝部に嵌入され、レセプタクルとハウジングを着脱可能に固定できる。
【0016】
本明細書に開示される様々な実施形態は、流動床反応器であって、流動床を支持するように構成された気体分配板と、気体分配板の下部に配設されるプレナムと、気体分配板の上部に配設される反応室と、排気管と、を有する反応器を備える、流動床反応器に関する。反応器は、プレナムで流動気体を受け取り、気体分配板を通して、流動気体を反応室に流入させる。流動気体は、流動床内の粒子を流動化させる。流動気体は、1つ以上の反応気体を含むことができ、これらと反応して流動化粒子上に膜を形成する。流動気体は、その後、排気流として排気管に流入する。流動床反応器は、排気流から同伴粒子を除去するための装置も含み、この装置は、貫通孔を有する底部を有するハウジングを備える。様々な実施形態において、ハウジングは、開口部を有する入口管を含んでいる。入口管は、排気流を排気管からハウジングに案内するように構成される。ハウジングから延在する出口管は、入口を有し、出口管は、排気流をハウジングの外に案内するように構成される。様々な実施形態において、入口管の出口と出口管の入口との間には、壁が存在する。入口管の開口部は、前記壁の方に向けられ、壁から距離yだけ離される。ここで、yは、3xと1/3xとの間、2xと1/2xとの間、又はx以下であり、xは、ハウジング内の入口管の内径である。
【0017】
様々な実施形態において、レセプタクルは、ハウジングの底部の貫通孔に着脱可能に接続される。ハウジング内の壁によって、前記排気流は、入口管と出口管との間を非線形の流れとして流れ、同伴粒子が排気流からレセプタクルへ落下する。
【0018】
様々な実施形態において、排気流から同伴粒子を除去するための装置は、同伴粒子を除去するための別の機構と組み合わせて使用されてもよい。様々な実施形態において、流動床反応器は、反応室の上方に分離室を備え、分離室は、反応室から案内される流動気体の速度を低下させるように構成される。反応器は、流動気体を反応室から同伴解除室(disentrainment chamber)に通し、その後、排気流として排気管に流入するように構成される。同伴解除室は、流動気体中の同伴粒子を流動気体から気体分配板上に支持された流動床に落下させる。同伴粒子を除去するための装置は、排気流中の同伴粒子を排気流から廃棄又は回収するための着脱可能なレセプタクルに落下させる。様々な実施形態において、反応室は第1の直径を有し、同伴解除室は第2の直径を有し、第2の直径は第1の直径の2~10倍、2~5倍、2.5~4倍または約2.5倍である。様々な実施形態において、同伴解除室は、反応室から同伴解除室に通過する流動気体の速度を低下させる。様々な実施形態において、同伴解除室は、流動気体の速度を略5~略50、略6~略40、略7~略30、略8~略20、略9~略15または略10倍減少させてもよい。同伴解除室における流動気体の速度の低下によって、流動床から流動気体中の同伴粒子の浮力が低下し、粗大な同伴粒子を反応器の流動床へ落下させる。微細な同伴粒子が排気流に混じって同伴解除室から外部に排出されることがあるので、これらの微細な同伴粒子を回収するために排気流から同伴粒子を除去する装置が使用されてもよい。
【0019】
様々な例示的な実施形態をより深く理解するために、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】排気流から同伴粒子を除去するための装置に通じている、排気管を有する流動床反応器を示す図である。
【
図2】排気流から同伴粒子を除去するための装置の第1実施形態を示す図である。
【
図3】排気流から同伴粒子を除去するための装置の第2実施形態を示す図である。
【
図4】排気流から同伴粒子を除去するための装置の第2実施形態を示す図である。
【
図5】排気流から同伴粒子を除去するための装置の第3実施形態を示す図である。
【
図6】排気流から同伴粒子を除去するための装置の第3実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面において、同様の符号は、同様の構成要素または工程を示し、様々な例示的な実施形態の広範な態様を開示している。
図1は、流動床反応器1と、流動床反応器1から排出される排気流から同伴粒子を回収するための装置2と、を備えるシステムを示す図である。
【0022】
流動床反応器1は、プレナム6と、プレナム6の上部に配設された気体分配板5と、気体分配板の上部に配設された反応室4と、を含む。反応室4には粒子床3が設けられる。反応気体、希釈気体またはこれらの混合物の流れは、少なくとも1つの気体用の入口7からプレナム6に案内され、プレナム6で混合される。混合気体は、通路8を通り、粒子床3を通過しながら反応室4に流入する。気体が粒子床3を通過すると、床によって、流動化するため気体の気泡3aが形成されることがある。流動床4中の粒子の一部は、同伴する可能性がある。流動床反応器は、第1の直径を有する反応室4と、第2の直径を有する同伴解除室4aと、を含んでもよく、第2の直径は、第1の直径の2~10倍、2~5倍、2.5~4倍または略2.5倍である。混合気体が反応室から排出され、同伴解除室に流入すると、気体の速度が低下し、同伴粒子を支持する浮力が減少し、気流中に存在する粗大な粒子の同伴が解除され、流動床3に戻る。微細な同伴粒子を含む排気流は排気管9を通って、反応器から排出される。
【0023】
同伴粒子を回収する装置2は、チャンバ11と、粒子を受けるレセプタクル14と、を含み、ファンネル部16を含んでもよい。入口管9aは、排気管9から排気流を受け取り、排気流をチャンバ11に案内する。その後、排気流は、チャンバ12に流入する。出口管10aは、チャンバ12から第2の排気管10に排気流を案内する。チャンバ11、12の間の衝突面およびその他の壁13によって、排気流は、入口管9aと出口管10aとの間の非線形経路を流れ、微細な同伴粒子は、該非線形経路に沿って流れるときに、排気流から離脱する。ファンネル部16は、同伴から解除された粒子を搬送し、レセプタクル14へ案内する。レセプタクル14を装置2から取り外し、レセプタクルを空にすることによって、同伴から解除された粒子を回収または処分することが可能になる。
【0024】
図2は、同伴粒子を回収するための装置2の第1実施形態を示した図である。装置2は、ハウジング15と、ハウジング15に取り付けられたレセプタクル14と、を備える。レセプタクル14の外面に設けられた雄ネジ継手22は、ハウジング15の底面に設けられた雌ネジ継手を有する開口部23に接続されてもよい。入口管9aは、矢印Aの方向に沿った排気流を受け、排気流をチャンバ11に案内する。チャンバ11の側面には、入口管9aの出口に対向して、衝突面およびその他の壁13が取り付けられる。入口管9aは内径xを有し、入口管9aの出口から壁13までの距離をyとすると、yは3xと1/3xの間である。排気流は、チャンバ11に案内され、壁13に接触し、レセプタクル14に向かって下方に偏向される。その後、排気流は、上方に流れてチャンバ12に案内される。出口管10aは、チャンバ12から排気流を矢印Bの方向に沿って流す。衝突面およびその他の壁13により、排気流は、入口管9aと出口管10aとの間の壁13の周りの非線形経路を流れ、該非線形経路に沿って流れる際に、微細な同伴粒子は排気流から離脱する。ファンネル部16は、これらの同伴から解除された粒子を受け取り、矢印Cの方向に沿ってレセプタクル14へ案内する。同伴から解除された粒子は、レセプタクル14に落ちる。レセプタクル14を装置2から螺脱することで、同伴から解除された粒子は回収または廃棄され、レセプタクルが空になる。
【0025】
所定の考えに囚われなければ、同伴粒子が壁13と衝突することは、粒子の同伴を解除させる一因として考えられる。該衝突によって同伴粒子の運動エネルギーは減少する。さらに、慣性力も粒子の同伴を解除する原因となる。排気流は壁13に衝突し、レセプタクル14に向かって下方に偏向される。壁13を通過した後、排気流は、壁13に沿って、出口管10aに向かって下方に偏向される。
【0026】
その後、気流は壁13に沿って上方に偏向され、チャンバ12に案内される。慣性力の影響により、壁13に沿って下方に移動する粒子は、矢印Cの方向に沿って下方に流れ続ける傾向があり、ファンネル部16の内面に落下し、これにより、同伴から解除された粒子をレセプタクル14に向けて案内する。
【0027】
図3は、同伴粒子を回収するための装置2の第2実施形態を示した斜視図である。装置2は、ハウジング15と、ハウジング15に取り付けられたレセプタクル14と、を備え、ネジ継手によって互いが接続される。該実施形態では、ファンネル部16は設けられない。入口管9aは、ハウジング15内に排気流を案内し、出口管10aは、ハウジング15から排気流を排出する。
【0028】
図4は、
図3の装置の断面図である。入口管9aは、矢印Aの方向に沿った排気流を受け、ハウジング15の外壁の内面と出口管10aの外面17とによって形成されるチャンバ18に排気流を案内する。出口管10aの外面17は、ハウジング10aにおける衝突面およびその他の壁を構成する。入口管9aは内径xを有し、入口管9aの出口から出口管10aの外面17までの距離をyとすると、yは3xと1/3xの間にある。排気流は、矢印Aの方向に沿ってチャンバ18に案内され、管10aに接触して、レセプタクル14に向かって矢印Cの方向に沿って下方に偏向し、管10aの内部19に流入して、矢印Bの方向に沿ってハウジング15から排出される。衝突面およびその他の壁13により、排気流は、壁13の周囲において、入口管9aと出口管10aとの間の非線形経路を流れる。該非線形経路を流れることで、微細な同伴粒子は180°回転して内部19に入り、排気流から落下する。微細な同伴粒子は、排気が出口管10aの外面17の周りを流れて出口管10aの内部19に入る際に、排気流の同伴から解除される。同伴から解除された粒子は、レセプタクル14に落ちる。レセプタクル14を装置2から螺脱することで、同伴から解除された粒子は回収または廃棄され、レセプタクルが空になる。
【0029】
図5は、同伴粒子を回収するための装置2のハウジング15にかかる第2実施形態を示す斜視図である。入口管9aは、ハウジング15内に排気流を案内し、出口管10aは、ハウジング15から排気流を排出し、管9a、10aのそれぞれは、横並びの構成で配置される。
【0030】
入口管9aは、ハウジング15の第1の半円筒状端部15aに接続され、出口管10aは、ハウジング15の第2の半円筒状端部15cに接続され、突き出る。半円筒形端部15aは、平面的なハウジング表面を有する中央ハウジング部15bに接続される。ファンネル部16は、ハウジング15の底部に配設される。
【0031】
図6は、
図5の装置の断面図である。
図5を参照するように、入口管9aは、ハウジング15の第1の半円筒形端部15aから入り、ハウジング15の中央部分15bを横断する。ここで中央部分15は平面によって区切られ、中央部分15bは端部に出口を有するので、排気は半円筒状端部15cに流入する。半円筒状端部15cの内面は、壁または衝突面として機能し、管9aの外面に沿って排気流を偏向させ、その流れの方向を逆転させる。その後、排気は、管9aの外面に沿って、第1の半円筒状端部15aに流入し、出口管10aに案内され、2回目の流れの方向の逆転が起きる。出口管10aは、ハウジングから突き出る前に、排気を矢印Bの方向でハウジングの中央部分15bおよび半円筒状端部15cを流入させ、搬送する。同伴粒子の第1の部分は、排気が管9aから排出され、その流れの方向が逆転するときに、排気流から落下する。排気が管10aに案内され、2回目の流れの方向の逆転が起きると、同伴粒子の第2の部分が排気流から落下する。粒子は、排気流から落下すると、ファンネル部16に落下し、レセプタクル14に落下し、矢印Cの方向に沿って進む。
【0032】
様々な例示的な実施形態が、その特定の例示的な態様を特に参照して詳細に説明された。一方、本発明は他の実施形態をとることが可能であり、その詳細は様々な明白な点での変更が可能であることを理解するべきである。当業者にとって、容易に明らかなように、本発明の精神及び範囲内に留まりながら、変形及び修正の影響を受けることが可能である。したがって、前述の開示、説明、および図は、説明のためのものであり、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明を決して限定するものでない。