(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】内部トンネルおよび開窓を有するステントグラフトならびに使用の方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/07 20130101AFI20240229BHJP
【FI】
A61F2/07
(21)【出願番号】P 2022000818
(22)【出願日】2022-01-06
(62)【分割の表示】P 2018552178の分割
【原出願日】2017-04-04
【審査請求日】2022-01-11
(32)【優先日】2016-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506074417
【氏名又は名称】ボルトン メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ロステッター,ティモシー
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-269161(JP,A)
【文献】特表2014-526929(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0105850(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0166015(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0277347(US,A1)
【文献】特表2014-500752(JP,A)
【文献】米国特許第8870946(US,B1)
【文献】特表2015-519178(JP,A)
【文献】特表2007-508067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 開口近位端、該開口近位端の反対側にある開口遠位端、該開口近位端から該開口遠位端まで伸長する主要管腔、および3つの主要グラフト壁開窓を画定する管腔壁を有する主要グラフト構成要素、ここで該主要グラフト構成要素の該開口遠位端は、先細りしており、該主要グラフト構成要素の該近位端よりも小さい直径を有する;ならびに
b) 各々が、少なくとも部分的に、トンネルグラフト近位端、該トンネルグラフト近位端の反対側にあるトンネルグラフト遠位端、該トンネルグラフト近位端から該トンネルグラフト遠位端に伸長するトンネルグラフト管腔、およびトンネルグラフト管腔壁にある少なくとも1つのトンネルグラフト開窓を画定するトンネルグラフト管腔壁を有する3つのトンネルグラフト構成要素、ここで該トンネルグラフト構成要素の各々は、該主
要管腔内にあり、該トンネルグラフト管腔の主要長手軸は該主
要管腔の主要長手軸と実質的に整列され、
各トンネルグラフト
管腔壁構成要
素は、該主要グラフト構成要素の壁に固定され、それにより、
各トンネルグラフ
トの開窓は、該
主要グラフト壁の開窓の1つと整列され、対となった開窓を形成し、
該トンネルグラフト構成要素の少なくとも1つのトンネルグラフト管腔壁が、該トンネルグラフト構成要素の各々の開窓および該主要グラフト構成要素の開窓で、該主要グラフト構成要素の管腔壁に縫合され、それにより
各々の対となった開窓が一緒になって1つの開窓を画定し、
該トンネルグラフト構成要素の2つが、該主要グラフト構成要素の主要管腔内で互いに本質的に向かい側に配置され、該2つのトンネルグラフト構成要素の開窓が、該主要グラフト構成要素の該開口近位端からほぼ同じ距離で配置され、
第3のトンネルグラフト構成要素が、他の2つのトンネルグラフトの間にある主要グラフト構成要素壁の一部にあり、第3のトンネルグラフトの開口近位端が、他のトンネルグラフト構成要素の開口近位端の近位にあり、
第3のトンネルグラフト構成要素が、該第3のトンネルグラフト構成要素の主要長手軸に沿って整列される2つの壁孔を画定し、主要グラフト構成要素管腔壁が、第3のトンネルグラフトの壁の孔と整列される壁孔を画定する、
を含む、胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
【請求項2】
該トンネルグラフト近位端、該トンネルグラフト遠位端、および該トンネルグラフト管腔が、部分的に該主要グラフト構成要素により画定される、請求項1記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
【請求項3】
該主要グラフト構成要素の該開口近位端から近位に伸長するベアステントをさらに含む、請求項
1記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
【請求項4】
該ベアステントが、近位頂部および遠位頂部を画定する角度がついた(angled)支柱を含む、請求項
3記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
【請求項5】
該ベアステントが、該ベアステントの該近位頂部の最近位にあるまたは該近位頂部にあるバーブを含む、請求項
4記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
【請求項6】
該主要グラフト構成要素および該トンネルグラフト構成要素の少なくとも1つが、開口近位端および開口遠位端のそれぞれにステントを含む、請求項
5記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
【請求項7】
該主要グラフト構成要素が、該開口遠位端で二叉になり、それにより、該プロテーゼの2つのレグが画定される、請求項
6記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
【請求項8】
該主要グラフト構成要素のレグの1つの開口遠位端がもう一方のレグの遠位にある、請求項
7記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
【請求項9】
トンネルグラフト内から、トンネルグラフトの壁開窓と整列される
、トンネルグラフトの壁開窓を通って伸長する少なくとも1つの分岐プロテーゼをさらに含む、請求項
8記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
【請求項10】
少なくとも1つの分岐プロテーゼが、該少なくとも1つの分岐プロテーゼがその内部に伸長するトンネルグラフトの開口遠位端と液体連絡する開口端を画定する、請求項
9記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
【請求項11】
該少なくとも1つの分岐プロテーゼが、該少なくとも1つの分岐プロテーゼがその内部に伸長するトンネルグラフトの開口近位端と液体連絡する開口端を画定する、請求項
9記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
【請求項12】
該主要グラフト構成要素の管腔壁が、該主要グラフト構成要素の該開口近位端および該開口遠位端の少なくとも1つよりも小さい主要管腔の中間部断面直径を画定する、請求項1記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
【請求項13】
該中間部の断面直径が、該主要グラフト構成要素の該開口近位端および該開口遠位端の両方よりも小さい、請求項
12記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
【請求項14】
少なくとも1つのトンネルグラフトの開口近位端および開口遠位端の1つが、該主要グラフト構成要素に縫合される、請求項
12記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2016年4月5日に出願された米国仮特許出願第62/318,447号、2016年4月7日に出願された同62/319,434号および2016年5月12日に出願された同62/335,284号の利益を主張する。上記出願の全教示は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、内部トンネルおよび開窓を有するステントグラフトならびに使用の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
動脈瘤、穿通性粥状硬化性潰瘍(penetrating atherosclerotic ulcer)および解離(dissection)を含む大動脈疾患は、身体の種々の領域で生じる、生命を脅かす状態であり得る。胸腹大動脈疾患は通常、横隔膜の脚の高さ(level of the crura of the diaphragm)で生じ、脚から近位に、遠位にまたは近位および遠位の両方に様々な間隔で広がる。現在、胸腹大動脈疾患の治療としては、例えば大動脈の罹患した部分を外科的に曝露する開放性の修復もしくはより侵襲性ではない血管内修復、または開放性の修復および血管内治療を合わせたハイブリッドアプローチが挙げられる。胸腹疾患の付近の臓器のかん流を維持するためおよび該臓器への損傷を防ぐために、胸部および腹部の大動脈から分岐する血管の再ルート決定(re-routing)が必要であり得る。結果的に、胸腹大動脈修復を受けている患者は、手術による合併症のリスクが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、血管内修復の有効性および正確性を向上し、上述の課題を克服するかまたは最小化する、胸腹大動脈疾患を治療するための新規の改善された血管内修復デバイスおよび方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明は、動脈瘤、穿通性粥状硬化性潰瘍および解離を含む胸腹大動脈疾患に関連する血管損傷などの大動脈血管損傷を治療するための血管修復デバイスおよび該血管修復デバイスの使用方法に関する。
【0007】
一態様において、本発明は、開口近位端、該開口近位端の反対側にある開口遠位端、該開口近位端から該開口遠位端まで伸長する主要管腔、および少なくとも1つの主要グラフト壁開窓を画定する管腔壁を有する主要グラフト構成要素を含む胸腹分岐グラフトプロテーゼである。少なくとも1つのトンネルグラフト構成要素は、少なくとも部分的に、トンネルグラフト近位端、該トンネルグラフト近位端の反対側にあるトンネルグラフト遠位端、該トンネルグラフト近位端から該トンネルグラフト遠位端まで伸長するトンネルグラフト管腔、およびトンネルグラフト壁にある少なくとも1つのトンネルグラフト開窓を画定する管腔トンネルグラフト壁を有し、該トンネルグラフト構成要素は、主要管腔内にあり、該トンネルグラフト管腔の主要長手軸は、主要管腔の主要長手軸と実質的に整列され、該トンネルグラフト構成要素の管腔壁は主要グラフト構成要素の管腔壁に固定され、それにより、該トンネルグラフト壁の開窓は管腔壁の開窓と整列される。
【0008】
別の態様において、本発明は胸腹分岐グラフトプロテーゼを埋め込む方法である。胸腹分岐グラフトプロテーゼは、血管を通して患者の胸腹動脈瘤部位に送達される。胸腹分岐グラフトプロテーゼは、i)少なくとも部分的に、開口近位端、該開口近位端の反対側にある開口遠位端、該開口近位端から該開口遠位端まで伸長する主要管腔、少なくとも1つの主要グラフト壁開窓を画定する管腔壁を有する主要グラフト構成要素;ならびにii)トンネルグラフト近位端、該トンネルグラフト開口近位端の反対側にあるトンネルグラフト遠位端、該トンネルグラフト近位端から該トンネルグラフト遠位端まで伸長するトンネルグラフト管腔、およびトンネルグラフト壁にある少なくとも1つのトンネルグラフト開窓を画定する管腔トンネルグラフト壁を有する少なくとも1つのトンネルグラフト構成要素を含み、該トンネルグラフト構成要素は、主要管腔内にあり、該トンネルグラフト管腔の主要長手軸は、該主要管腔の主要長手軸と実質的に整列され、該トンネルグラフト構成要素の管腔トンネルグラフト壁は、主要グラフト構成要素の管腔壁に固定され、それにより、管腔トンネルグラフト壁の開窓は、主壁の開窓と整列され、該少なくとも1つの主壁開窓は、胸腹動脈瘤部位で、患者の少なくとも1つの分岐血管と実質的に整列される。少なくとも1つの分岐プロテーゼは、少なくとも1つのトンネルグラフト構成要素の管腔内の少なくとも1つの主壁開窓および少なくとも1つのトンネルグラフト開窓を通って挿入され、該少なくとも1つの分岐プロテーゼは、開口遠位端および開口近位端を有する。少なくとも1つの分岐プロテーゼの遠位端または近位端の1つは、胸腹動脈瘤部位で患者の少なくとも1つの分岐血管内に挿入される。
【0009】
本発明の胸腹分岐グラフトプロテーゼは、例えば、胸腹動脈瘤の部位に対して尾方または頭方の位置から外科医によるアクセスを提供し、それにより、外科的部位、動脈瘤の程度および側方血管分岐の形態を含む患者特異的な外科的なアプローチを可能にするという利点を含むいくつかの利点を有する。
【0010】
即ち、本発明の要旨は、以下に関する。
〔1〕a) 開口近位端、該開口近位端の反対側にある開口遠位端、該開口近位端から該開口遠位端まで伸長する主要管腔、および少なくとも1つの主要グラフト壁開窓を画定する管腔壁を有する主要グラフト構成要素、ここで該主要グラフト構成要素の該開口遠位端は、先細りしており、該主要グラフト構成要素の該近位端よりも小さい直径を有する;ならびに
b) 少なくとも部分的に、トンネルグラフト近位端、該トンネルグラフト近位端の反対側にあるトンネルグラフト遠位端、該トンネルグラフト近位端から該トンネルグラフト遠位端に伸長するトンネルグラフト管腔、およびトンネルグラフト壁にある少なくとも1つのトンネルグラフト開窓を画定するトンネルグラフト管腔壁を有する少なくとも1つのトンネルグラフト構成要素、ここで該トンネルグラフト構成要素は、該主要グラフト管腔内にあり、該トンネルグラフト管腔の主要長手軸は該主要グラフト管腔の主要長手軸と実質的に整列され、該トンネルグラフト構成要素の壁は、該主要グラフト構成要素の壁に固定され、それにより、該トンネルグラフト壁の開窓は、該管腔壁の開窓と整列される、
を含む、胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔2〕該トンネルグラフト近位端、該トンネルグラフト遠位端、および該トンネルグラフト管腔が、部分的に該主要グラフト構成要素により画定される、〔1〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔3〕該トンネルグラフト構成要素の壁が、該トンネルグラフト構成要素の開窓および該主要グラフト構成要素の開窓で、該主要グラフト構成要素の壁に縫合され、それにより開窓が一緒になって1つの開窓を画定する、〔1〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔4〕少なくとも2つのトンネルグラフト構成要素を含む、〔3〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔5〕3つのトンネルグラフト構成要素を含む、〔4〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔6〕該トンネルグラフト構成要素の2つが、該主要グラフト構成要素の管腔内で互いに本質的に向かい側に配置され、該2つのトンネルグラフト構成要素の開窓が、該主要グラフト構成要素の該開口近位端からほぼ同じ距離で配置される、〔5〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔7〕第3のトンネルグラフト構成要素が、他の2つのトンネルグラフトの間にある主要グラフト構成要素壁の一部にあり、第3のトンネルグラフトの開口近位端が、他のトンネルグラフト構成要素の開口近位端の近位にある、〔6〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔8〕第3のトンネルグラフト構成要素が、該第3のトンネルグラフト構成要素の主要長手軸に沿って整列される2つの壁孔を画定し、主要グラフト壁が、第3のトンネルグラフトの壁の孔と整列される壁孔を画定する、〔7〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔9〕該主要グラフト構成要素の該開口近位端から近位に伸長するベアステントをさらに含む、〔8〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔10〕該ベアステントが、近位頂部および遠位頂部を画定する角度がついた(angled)支柱を含む、〔9〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔11〕該ベアステントが、該ベアステントの該近位頂部の最近位にあるまたは該近位頂部にあるバーブを含む、〔10〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔12〕該主要グラフト構成要素および該トンネルグラフト構成要素の少なくとも1つが、開口近位端および開口遠位端のそれぞれにステントを含む、〔11〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔13〕該主要グラフト構成要素が、該開口遠位端で二叉になり、それにより、該プロテーゼの2つのレグが画定される、〔12〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔14〕該主要グラフト構成要素のレグの1つの開口遠位端がもう一方のレグの遠位にある、〔13〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔15〕トンネルグラフト内から、トンネルグラフトの壁開窓と整列されるトンネルグラフトの壁開窓を通って伸長する少なくとも1つの分岐プロテーゼをさらに含む、〔14〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔16〕少なくとも1つの分岐プロテーゼが、該少なくとも1つの分岐プロテーゼがその内部に伸長するトンネルグラフトの開口遠位端と液体連絡する開口端を画定する、〔15〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔17〕該少なくとも1つの分岐プロテーゼが、該少なくとも1つの分岐プロテーゼがその内部に伸長するトンネルグラフトの開口近位端と液体連絡する開口端を画定する、〔15〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔18〕該主要グラフト構成要素の管腔壁が、該主要グラフト構成要素の該開口近位端および該開口遠位端の少なくとも1つよりも小さい主要管腔の中間部断面直径を画定する、〔1〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔19〕該中間部の断面直径が、該主要グラフト構成要素の該開口近位端および該開口遠位端の両方よりも小さい、〔18〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔20〕少なくとも1つのトンネルグラフトの開口近位端および開口遠位端の1つが、該主要グラフト構成要素に縫合される、〔18〕記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
〔21〕a) 開口近位端、該開口近位端の反対側にある開口遠位端、主要グラフト構成要素管腔壁にある少なくとも1つの主要グラフト壁開窓、および該開口近位端から該開口遠位端まで伸長する主要グラフト構成要素管腔壁により画定される主要グラフト管腔を画定する管腔壁を有する主要グラフト構成要素、ここで該主要グラフト構成要素の管腔壁が、該主要グラフト構成要素の該開口近位端および該開口遠位端の少なくとも1つよりも小さい主要グラフト管腔の断面直径を有する中間部を画定する;ならびに
b) 少なくとも部分的に、トンネルグラフト近位端、該トンネルグラフト近位端の反対側にあるトンネルグラフト遠位端、該トンネルグラフト近位端から該トンネルグラフト遠位端に伸長するトンネルグラフト管腔、およびトンネルグラフト壁にある少なくとも1つのトンネルグラフト開窓を画定するトンネルグラフト管腔壁を有する少なくとも1つのトンネルグラフト構成要素、ここで該トンネルグラフト構成要素は、該主要グラフト管腔内にあり、該トンネルグラフト管腔の主要長手軸は該主要グラフト管腔の主要長手軸と実質的に整列され、該トンネルグラフト構成要素のトンネルグラフト管腔壁は、該主要グラフト構成要素の管腔壁に固定され、それにより、該トンネルグラフト管腔壁の開窓は、該主要グラフト構成要素管腔壁の開窓と整列される、
を含む、胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、内部トンネルおよび開窓を有するステントグラフトならびに使用の方法が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
前述のものは、添付の図面に図示されるような本発明の例示態様の以下のより具体的な記載から明らかであり、図面において、同様の参照符号は、異なる図を通じて同じ部分を言及する。図面は必ずしも一定の割合で作られておらず、その代わりに、本発明の態様の例示に重きが置かれる。
【
図1】
図1は、本発明の胸腹グラフトプロテーゼの一態様の透視図である。
【
図2】
図2は、被験体における埋め込み後の本発明の胸腹グラフトプロテーゼの一態様の側面図である。
【
図3】
図3は、被験体における埋め込み後の本発明の胸腹グラフトプロテーゼおよび分岐プロテーゼの一態様の側面図である。
【
図4】
図4A~4Bは、
図4Aから4Bの順序において主要長手軸の周囲で90°回転した本発明の胸腹グラフトプロテーゼの一態様の側面図である。
【
図5】
図5は、動脈瘤部位での
図4A~4Bの胸腹グラフトプロテーゼの側面図である。
【
図6】
図6A~6Bは、
図6Aから
図6Bの順序において主要長手軸の周囲で90°回転した本発明の胸腹グラフトプロテーゼのさらに別の態様の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は一般的に、大動脈瘤の部位でのプロテーゼの埋め込みなど、血管疾患の治療における使用のためのプロテーゼに関する。
【0014】
本発明の特徴および他の詳細は、本発明の工程として、または本発明の一部の組合せとしてのいずれかで、特許請求の範囲においてより具体的に記載され、指摘される。本発明の具体的な態様は、本発明の限定としてではなく例示として示されることが理解されよう。本発明の原理的な特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の態様に使用され得る。
【0015】
本発明の例示的態様の記載を以下に続ける。
【0016】
血管修復デバイスなどの、患者に送達されるかまたは埋め込まれるプロテーゼを本明細書で参照する場合、用語「近位」は、患者の心臓に向かう血流の経路に沿ってより近いプロテーゼの一部または該プロテーゼの構成要素を意味し、「遠位」は、患者の心臓からの血流の経路に沿ってより遠いプロテーゼの一部または該プロテーゼの構成要素を意味する。
【0017】
しかしながら、血管修復デバイスを送達または埋め込むために使用される、送達デバイスのノーズコーンまたはハンドルなどの送達システムまたは送達システムの構成要素を参照する場合、本明細書で使用されるように、用語「近位」は、送達システムを使用する臨床医に対してより近いことを意味する。同様に、送達デバイスのノーズコーンまたはハンドルなどの送達システムまたは送達システムの構成要素を参照する場合、「遠位」は、該送達システムを使用する臨床医からさらに離れることを意味する。
【0018】
明確化のために、用語「最近位(proximate)」は、血管修復デバイスまたは送達システムのいずれかに関して上述されるような「近位」または「遠位」に帰する意味とは全く違う、近い(close)ことを意味する。
【0019】
一態様において、
図1~3に示されるように、胸腹分岐グラフトプロテーゼは、二又の胸腹分岐グラフトプロテーゼである。胸腹分岐グラフトプロテーゼ10は、開口近位端16、開口近位端16の反対側にある少なくとも1つの開口遠位端18(分岐グラフトプロテーゼ10、例えば二又のグラフトプロテーゼの場合、示されるように複数の遠位開放端18がある)、開口近位端16から開口遠位端18まで伸長する主要管腔20、および少なくとも1つの主要グラフト壁開窓22を画定する管腔壁14を有する主要グラフト構成要素12を含む。少なくとも1つのトンネルグラフト構成要素24は、トンネルグラフト近位端28、トンネルグラフト近位端28の反対側にあるトンネルグラフト遠位端30、トンネルグラフト近位端28からトンネルグラフト遠位端30まで伸長するトンネルグラフト管腔32、およびトンネルグラフト管腔壁26にある少なくとも1つのトンネルグラフト開窓34を画定するトンネルグラフト管腔壁26を有し、トンネルグラフト構成要素24は主要グラフト管腔20内にあり、トンネルグラフト管腔32の主要長手軸36は、主要管腔20の主要長手軸38と実質的に平行であり、トンネルグラフト構成要素24のトンネルグラフト管腔壁26は主要グラフト構成要素12の管腔壁14に固定され、それにより、トンネルグラフト管腔壁26の開窓34は主要グラフト壁開窓22と整列される。
【0020】
図1~3に示されるように、一態様において、胸腹分岐グラフトプロテーゼ10は、少なくとも2つのトンネルグラフト構成要素50、54を含む。かかる一態様において、胸腹分岐グラフトプロテーゼ10は、3つのトンネルグラフト構成要素50、52、54を含み、ここでトンネルグラフト構成要素50、54は、主要グラフト構成要素12の主要管腔20内で互いに本質的に向かい側に配置され、2つのトンネルグラフト構成要素50、54の開窓34、59はそれぞれ、主要グラフト構成要素12の開口近位端20からほぼ同じ距離で配置され、第3のトンネルグラフト構成要素52は、トンネルグラフト50、54それぞれの間にある主要グラフト構成要素12の一部にあり、第3のトンネルグラフト52の開口近位端53はトンネルグラフト構成要素50、54の開口近位端27、29のそれぞれの近位にある。第3のトンネルグラフト構成要素52は、第3のトンネルグラフト構成要素52の主要長手軸61と本質的に平行である2つの壁孔56、58を画定し、壁孔56、58は、ステントグラフト構成要素12により画定される壁孔と整列される。
【0021】
図2および3に示されるように、本発明の胸腹分岐グラフトプロテーゼ10はさらに、主要グラフト構成要素12の開口近位端16から近位に伸長するベアステント60を含み得る。ベアステント60は、ベアステント62の近位頂部63またはベアステント60の遠位頂部64の少なくとも1つの最近位にあるまたはそこにあるバーブ62を含む。
【0022】
図4、5、7に示されるように、少なくとも1つのトンネルグラフト50、54のトンネルグラフト近位端28およびトンネルグラフト遠位端30の少なくとも1つは、主要グラフト構成要素12に固定される。トンネルグラフト50、52、54は、例えば当該分野で公知のように、縫合糸、生体吸収性材料または別の適切な材料により主要グラフト構成要素12に固定される。
【0023】
一態様において、主要トンネルグラフト構成要素12は、
図1~3に示されるように二又であり得るか、または
図4A~7に示されるように二又でないものであり得る。
【0024】
別の態様において、かつ
図2および3を参照して、本発明は、胸腹分岐グラフトプロテーゼ10を、血管40を通して患者の胸腹動脈瘤部位42に送達する工程を含む胸腹分岐グラフトプロテーゼ10を埋め込む方法である。胸腹分岐グラフトプロテーゼ10は、
図1に関して上述される構成要素を含む。主要グラフト構成要素12は、開口近位端16、開口近位端16の反対側にある開口遠位端18を画定する管腔壁14を有する。主要管腔20は、開口近位端16から開口遠位端18まで伸長する。少なくとも1つの主要グラフト壁開窓22は、管腔壁20により画定される。少なくとも1つのトンネルグラフト構成要素20は、トンネルグラフト近位端28を画定するトンネルグラフト管腔壁26を有する。トンネルグラフト遠位端30は、トンネルグラフト近位端28の反対側にある。トンネルグラフト管腔32は、トンネルグラフト近位端28からトンネルグラフト遠位端30まで伸長する。少なくとも1つのトンネルグラフト開窓34はトンネルグラフト管腔壁26により画定される。トンネルグラフト構成要素24は主要グラフト管腔20内にある。トンネルグラフト管腔32の主要長手軸36は、主要グラフト管腔20の主要長手軸38に実質的に平行である。トンネルグラフト構成要素24の管腔壁26は主要グラフト構成要素12の管腔壁14に固定され、それにより、トンネルグラフト管腔壁26の開窓34は、主要グラフト管腔壁14の開窓22と整列される。トンネルグラフト主要グラフト壁開窓22の少なくとも1つは、胸腹動脈瘤部位で、少なくとも1つの分岐血管65と実質的に整列される。
【0025】
少なくとも1つの分岐プロテーゼ46は、少なくとも1つの主要グラフト壁開窓22および少なくとも1つのトンネルグラフト開窓34を通って少なくとも1つのトンネルグラフト構成要素の管腔内に挿入され、該少なくとも1つの分岐プロテーゼ46は、開口遠位端48および開口近位端50を有し;少なくとも1つの分岐プロテーゼ46の遠位端48は、胸腹動脈瘤部位42で少なくとも1つの分岐血管65に挿入される(例えば、
図3参照)。分岐プロテーゼ46は、主要グラフト構成要素12内または主要グラフト構成要素12外のいずれかから主要グラフト壁開窓22を通して挿入され得る。
【0026】
本発明の胸腹分岐グラフトプロテーゼは、胸腹動脈瘤の部位に対して尾方または頭方の位置からの外科医によるアクセスを可能にし(
図2、3)、それにより、患者、部位、動脈瘤の程度および側方分岐の形態に応じて、外科的アプローチにおいてより大きな柔軟性を提供するという利点を有する。主要グラフト構成要素12のトンネルグラフト構成要素24は、分岐プロテーゼを固定するための重要箇所作成(docketing)を可能にする(
図3)。
【0027】
図4A~Bおよび5に示される別の態様において、主要グラフト構成要素100は、分岐プロテーゼのカニューレ挿入(cannulation)を容易にするために、主要グラフト構成要素100の末端104、106の少なくとも1つよりも小さい直径を有する中間部102を有する。より狭い中間部102は、トンネルグラフト構成要素108、110および主要グラフト壁114にある主要グラフト壁開窓112を通して、ガイドワイヤまたはガイドカテーテルをトンネルグラフト116に誘導する(maneuver)ためのより大きな空間(room)を可能にする。より狭い中間部102を含む主要グラフト構成要素は、二又であり得る(示さず)か、または二又でないものであり得る(
図4A、4Bおよび5)。二又のグラフトプロテーゼなどの分岐グラフトプロテーゼ100の場合、少なくとも1つの末端104、106の複数は、少なくとも1つの末端104、106よりも小さい直径を有する中間部102を含む。
【0028】
図6A、6Bおよび7に示されるさらに別の態様において、主要グラフト構成要素120は、近位端124よりも小さい直径を有する先細りした遠位端122を含む。
図4A、4Bおよび5に示されるものと同様に、この態様は、主要グラフト開窓130を通したトンネルグラフト132への分岐プロテーゼ126、128のカニューレ挿入を容易にするという利点を有する。主要グラフト構成要素は、近位端124よりも小さい直径を有する先細りした遠位端122を含み、二又であり得る(示さず)か、または二又でないものであり得る(
図6A、6Bおよび7)。複数の遠位端(示さず)を有する二又のグラフトプロテーゼなどの分岐グラフトプロテーゼ120の場合、先細りした遠位端122は、グラフトプロテーゼの分岐の位置の近位または周囲でより小さい直径を有する。
【0029】
本発明の血管修復デバイスは、例えば経大腿(transfemoral)アクセスにより埋めこまれ得る。本発明の血管修復デバイスに方向づけられるさらなる血管修復デバイスは、例えば動脈上(supraaortic)血管アクセス(例えば、上腕動脈を通る)により、または経大腿アクセスもしくは末梢血管を含む主要血管のいくつかの他の分岐(1つまたは複数)からのアクセスにより埋めこまれ得る。
【0030】
本明細書に引用される全ての特許、公開特許出願および参照文献の関連のある教示は、それらの全体において、参照により援用される。米国特許第8,292,943号、同第7,763,063号、同第8,308,790号、同第8,070,790号、同第8,740,963号、同第8,007,605号、同第9,320,631号、同第8,062,349号、同第9,198,786号、同第8,062,345号、同第9,561,124号、同第9,173,755号、同第8,449,595号、同第8,636,788号、同第9,333,104号、同第9,408,734号、同第9,408,735号、同第8,500,792号、同第9,220,617号、同第9,364,314号、同第9,101,506号、同第8,998,970号、同第9,554,929号、同第9,439,751号、ならびに米国特許出願第14/226,005号、同第14/675,102号、同第15/099,974号、同第15/040,460号、同第14/575,673号、同第14/924,102号、同第15/166,818号、同第15/167,055号、同第14/736,978号、同第13/454,447号、同第15/384,663号、同第13/788,724号、同第15/417,467号、同第15/230,601号、同第14/272,818号および同第14/861,479号の関連のある教示も、それらの全体において参照により援用される。
【0031】
本発明は、その例示態様に関して、具体的に示され、記載されているが、形態および詳細における種々の変更が、添付の特許請求の範囲に包含される発明の範囲から逸脱することなく、本発明においてなされ得ることが、当業者には理解されよう。
【0032】
本発明の態様として以下のものが挙げられる。
[1]a) 開口近位端、該開口近位端の反対側にある開口遠位端、該開口近位端から該開口遠位端まで伸長する主要管腔、および少なくとも1つの主要グラフト壁開窓を画定する管腔壁を有する主要グラフト構成要素;ならびに
b) 少なくとも部分的に、トンネルグラフト近位端、該トンネルグラフト近位端の反対側にあるトンネルグラフト遠位端、該トンネルグラフト近位端から該トンネルグラフト遠位端に伸長するトンネルグラフト管腔、およびトンネルグラフト壁にある少なくとも1つのトンネルグラフト開窓を画定するトンネルグラフト管腔壁を有する少なくとも1つのトンネルグラフト構成要素、ここで該トンネルグラフト構成要素は、該主要グラフト管腔内にあり、該トンネルグラフト管腔の主要長手軸は主要グラフト管腔の主要長手軸と実質的に整列され、該トンネルグラフト構成要素の壁は、主要グラフト構成要素の壁に固定され、それにより、該トンネルグラフト壁の開窓は、該管腔壁の開窓と整列される、
を含む、胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[2]該トンネルグラフト近位端、該トンネルグラフト遠位端、および該トンネルグラフト管腔が、部分的に主要グラフト構成要素により画定される、[1]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[3]該トンネルグラフト構成要素の壁が、トンネルグラフト構成要素の開窓および主要グラフト構成要素の開窓で、主要グラフト構成要素の壁に縫合され、それにより開窓が一緒になって1つの開窓を画定する、[1]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[4]少なくとも2つのトンネルグラフト構成要素を含む、[3]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[5]3つのトンネルグラフト構成要素を含む、[4]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[6]該トンネルグラフト構成要素の2つが、主要グラフト構成要素の管腔内で互いに本質的に向かい側に配置され、該2つのトンネルグラフト構成要素の開窓が、主要グラフト構成要素の開口近位端からほぼ同じ距離で配置される、[5]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[7]第3のトンネルグラフト構成要素が、他の2つのトンネルグラフトの間にある主要グラフト構成要素壁の一部にあり、第3のトンネルグラフトの開口近位端が、他のトンネルグラフト構成要素の開口近位端の近位にある、[6]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[8]第3のトンネルグラフト構成要素が、第3のトンネルグラフト構成要素の主要長手軸に沿って整列される2つの壁孔を画定し、主要グラフト壁が、第3のトンネルグラフトの壁の孔と整列される壁孔を画定する、[7]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[9]主要グラフト構成要素の開口近位端から近位に伸長するベアステントをさらに含む、[8]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[10]該ベアステントが、近位頂部および遠位頂部を画定する角度がついた(angled)支柱を含む、[9]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[11]該ベアステントが、該ベアステントの近位頂部の最近位にあるまたは該近位頂部にあるバーブを含む、[10]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[12]該主要グラフト構成要素および該トンネルグラフト構成要素の少なくとも1つが、開口近位端および開口遠位端のそれぞれにステントを含む、[11]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[13]該主要グラフト構成要素が、開口遠位端で二又になり、それにより、該プロテーゼの2つのレグが画定される、[12]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[14]該主要グラフト構成要素のレグの1つの開口遠位端がもう一方のレグの遠位にある、[13]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[15]トンネルグラフト内から、トンネルグラフトの壁開窓と整列されるトンネルグラフトの壁開窓を通って伸長する少なくとも1つの分岐プロテーゼをさらに含む、[14]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[16]少なくとも1つの分岐プロテーゼが、該少なくとも1つの分岐プロテーゼがその内部に伸長するトンネルグラフトの開口遠位端と液体連絡する開口端を画定する、[15]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[17]少なくとも1つの分岐プロテーゼが、該少なくとも1つの分岐プロテーゼがその内部に伸長するトンネルグラフトの開口近位端と液体連絡する開口端を画定する、[15]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[18]主要グラフト構成要素の管腔壁が、主要グラフト構成要素の開口近位端および開口遠位端の少なくとも1つよりも小さい主要管腔の中間部断面直径を画定する、[1]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[19]該中間部の断面直径が、主要グラフト構成要素の開口近位端および開口遠位端の両方よりも小さい、[18]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[20]少なくとも1つのトンネルグラフトの開口近位端および開口遠位端の1つが、主要グラフト構成要素に縫合される、[18]記載の胸腹分岐グラフトプロテーゼ。
[21]a) 胸腹分岐グラフトプロテーゼを、血管を通して、患者における胸腹動脈瘤部位に送達する工程、
ここで該胸腹分岐グラフトプロテーゼは、
i) 少なくとも部分的に、開口近位端、該開口近位端の反対側にある開口遠位端、該開口近位端から該開口遠位端に伸長する主要管腔、および少なくとも1つの主要グラフト壁開窓を画定する管腔壁を有する主要グラフト構成要素;ならびに
ii) 開口近位端、該開口近位端の反対側にある開口遠位端、該トンネルグラフト近位端から該トンネルグラフト遠位端に伸長する管腔、およびトンネルグラフト壁にある少なくとも1つのトンネルグラフト開窓を画定する壁を有する少なくとも1つのトンネルグラフト構成要素、ここで該トンネルグラフト構成要素は、主要グラフト管腔内にあり、トンネルグラフト管腔の主要長手軸は、主要グラフト管腔の主要長手軸に実質的に整列され、該トンネルグラフト構成要素の壁は、該主要グラフト構成要素の壁に固定され、それにより、該トンネルグラフト壁の開窓は該主要グラフト壁の開窓と整列され、少なくとも1つの主要グラフト壁開窓は、胸腹動脈瘤部位で患者の少なくとも1つの分岐血管と実質的に整列される、
を含む;
b) 少なくとも1つの分岐プロテーゼを、少なくとも1つの主要グラフト壁開窓および少なくとも1つのトンネルグラフト開窓を通して、少なくとも1つのトンネルグラフト構成要素の管腔内に挿入する工程、ここで該少なくとも1つの分岐プロテーゼは、開口遠位端および開口近位端を有する;ならびに
c) 少なくとも1つの分岐プロテーゼの該遠位端または近位端の1つを、胸腹動脈瘤部位で患者の少なくとも1つの分岐血管に挿入する工程
を含む、胸腹分岐グラフトプロテーゼを埋め込む方法。
[22]胸腹分岐グラフトプロテーゼが、二又の胸腹分岐グラフトプロテーゼである、[21]記載の方法。
[23]少なくとも1つの分岐プロテーゼが、患者の胸腹動脈瘤部位の頭方のアクセスポイントの近くで、少なくとも1つのトンネルグラフト内から少なくとも1つの主要グラフト壁開窓および少なくとも1つのトンネルグラフト開窓を通して挿入される、[22]記載の方法。
[24]少なくとも1つの分岐プロテーゼが、患者の胸腹動脈瘤部位の尾方のアクセスポイントの近くで、少なくとも1つの主要グラフト壁開窓および少なくとも1つのトンネルグラフト開窓を通して、少なくとも1つのトンネルグラフト内に挿入される、[23]記載の方法。
[25]主要グラフト構成要素の管腔壁が、主要グラフト構成要素の開口近位端および開口遠位端の少なくとも1つより小さい、主要管腔の中間部断面直径を画定する、[21]記載の方法。
[26]少なくとも1つのトンネルグラフトの開口近位端および開口遠位端の1つが主要グラフト構成要素に固定(secured)され、トンネルグラフト構成要素の壁が主要グラフト構成要素の壁に固定(fixed)される、[20]記載の方法。