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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】シーリングファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 25/08 20060101AFI20240229BHJP
   F04D 29/38 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
F04D25/08 304A
F04D29/38 C
F04D29/38 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022027781
(22)【出願日】2022-02-25
(65)【公開番号】P2023124173
(43)【公開日】2023-09-06
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000219233
【氏名又は名称】東プレ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】川村 直希
(72)【発明者】
【氏名】藤野 博之
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-215248(JP,A)
【文献】独国実用新案第202008005703(DE,U1)
【文献】中国実用新案第210196072(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 25/08
F04D 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータにより回転する回転軸に配置されるハブと、
前記ハブを中心に放射状に配置される複数のブレードと、を備え、
前記ブレードは、放射方向に沿って直線状に配置される複数の翼部を有し、
複数の前記翼部は、互いに同一の翼型断面を有し、且つ、前記回転軸に直交する平面に対して迎角をそれぞれ設けて配置され、
一の前記ブレードの複数の前記翼部は、前記放射方向の外側の前記翼部の迎角よりも内側の前記翼部の迎角を大きくして配置され
前記放射方向の最も内側に配置される前記翼部の迎角は、前記ブレードの回転時に当該翼部において迎角を大きくした場合に揚力係数が減少する失速が発生する失速角よりも大きく、且つ、迎角を前記失速角よりもさらに大きくした場合に揚力係数が再び増加する角度よりも大きく設定され、且つ、
前記放射方向の最も内側に配置される前記翼部の迎角は、前記放射方向の最も内側に配置される前記翼部において下降する風を前記ブレードの定格速度での回転時に発生させるために、前記放射方向の最も内側に配置される前記翼部よりも前記放射方向の外側に配置される他の前記翼部と同程度の揚力係数を前記ブレードの前記定格速度での回転時に得る角度に設定される、
シーリングファン。
【請求項2】
前記放射方向の最も内側に配置される前記翼部は、前記ハブの取付部に当接させて、前記ハブの前記取付部と同じ高さで配置される、
請求項に記載のシーリングファン。
【請求項3】
前記放射方向に隣接する前記翼部の迎角同士の差が、互いに同等の角度である、
請求項1又は2に記載のシーリングファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリングファンに関する。
【背景技術】
【0002】
大型のシーリングファンが工場、倉庫等の天井に取り付けられている。これは、大きな空間内の空気を攪拌し、作業環境改善、結露防止等の目的がある。近年はシーリングファンの直径を大きくして、大風量の風を広い範囲に送風するものが開発されている。シーリングファンの直径を大きくするので、回転速度が低くても大風量の風を発生することができ、騒音低下にも役立つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-74029号公報
【文献】特開2007-182816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シーリングファンは直径が大きくなると、放射状に配置されるブレード(羽根)の外周側と内周側との速度差が大きくなる。したがって、例えば特許文献1に開示されているようにブレードの長手方向に関して同一断面(同一迎角)を持つブレードでは、外周側ほど周速度が速く大きな揚力が発生し、その反力で高速の風が下向きに発生する。その一方、内周側はその反対で、内周側においては低速の風が下向きに発生する。そこで、ブレードの長手方向で迎角を変えること、具体的には、外周側は迎角を小さく、内周側は迎角を大きくして、ブレードの長手方向での揚力を均等化することにより、ブレードの回転時に発生する風量を調整することが周知である(例えば、特許文献2)。
【0005】
しかしながら、シーリングファンの回転軸近傍(回転中心部近傍)では、さらに周速度が低くなるので、ブレードの迎角を大きくし過ぎると、ブレードを流れる空気が失速現象を起こすことが知られている。失速とは、ブレードを流れる空気の流速が低くなり、且つ、迎角を大きくし過ぎると、ブレード表面を流れていた気流が剥離を起こし揚力が無くなる(揚力係数が減少する)現象である。
【0006】
一定の空気速度で迎角を0°から大きくしていくと、揚力係数が次第に大きくなるが、揚力係数が最大となる迎角を過ぎると、逆に下降(失速)する。揚力係数が最大となる迎角は失速角と称され、この失速角よりも大きい失速域では、ブレード上面の気流に剥離が起き、揚力係数が低下する。前述の失速域では揚力(揚力係数)が低下するので、失速域となる迎角でブレードを使用しないのが周知であった。
【0007】
そのため、特許文献1では、シーリングファンの直径の10%~30%の範囲にはブレードの翼部を配置しないようにしている。当然ながら、ブレードを配置していない箇所(シーリングファンの回転中心部近傍)には下降する風は発生しない。なお、特許文献2では、シーリングファンの回転中心部近傍にもブレードを配置しているが、この回転中心部近傍では上昇する風が発生することが記載されている。
【0008】
そこで、本発明は、シーリングファンの回転中心部の直下においても下降する風を発生させ、ブレードの長手方向に関して風速の均一化を図ることができるシーリングファンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るシーリングファンは、モータと、モータにより回転する回転軸に配置されるハブと、ハブを中心に放射状に配置される複数のブレードと、を備える。ブレードは、放射方向に沿って直線状に配置される複数の翼部を有し、複数の翼部は、互いに同一の翼型断面を有し、且つ、回転軸に直交する平面に対して迎角をそれぞれ設けて配置される。一のブレードの複数の翼部は、放射方向の外側の翼部の迎角よりも内側の翼部の迎角を大きくして配置される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係るシーリングファンによれば、シーリングファンの回転中心部の直下においても下降する風を発生させ、ブレードの長手方向に関して風速の均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るシーリングファンの斜視図である。
図2図1に示したシーリングファンの要部を示す斜視図である。
図3図2に示したシーリングファンの要部の平面図である。
図4図3に示したシーリングファンの要部を側方から見た図である。
図5図4のA-A線による断面図である。
図6図4のB-B線による断面図である。
図7図4のC-C線による断面図である。
図8図4のD-D線による断面図である。
図9】ブレードの翼部をシーリングファンの径方向から見た図である。
図10】各翼部の迎角の関係を示す図である。
図11】各翼部における揚力係数と迎角との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態に係るシーリングファンを、図面を参照して説明する。
【0013】
[シーリングファンの構成]
図1から図4に示すように、本実施形態に係るシーリングファン10は、モータ20と、ハブ30と、複数のブレード40と、を備える。なお、図1において、下降気流(下降する風)を発生させる際のブレード40の回転方向を矢印Rで示し、以下の説明における「前」はブレード40の回転方向Rの前方側であり、「後」はブレード40の回転方向Rの後方側である。また、図2から図4においては、ハブ30と、複数のブレード40の内の1枚のブレード40とが示される。
【0014】
シーリングファン10の架台11が、建物の天井フレーム(図示せず)から吊り下げて固定される。この架台11の下端部には、モーターボックス12が接続(吊り下げて固定)される。モーターボックス12の内部には、複数のブレード40を回転させる電動機としてのモータ20と、モータ20の回転を減速させる減速機としてのギヤボックス21とが収納される。なお、図1においては、モーターボックス12の枠体13のみが示され、外側パネルは図示が省略される。
【0015】
モータ20の回転をギヤボックス21により減速させ、モーターボックス12の下方に配置された回転中心部としてのハブ30を回転させる。
【0016】
ギヤボックス21には、回転軸22(図3及び図4参照)を介してハブ30が接続され、ハブ30には、6枚のブレード40が等角度(60°)で放射状に配置される。1枚のブレード40には、3枚の翼部41a,41b,41cがシーリングファン10の径方向中心から外方向に向かう一直線上に配置される。シーリングファン10の外径(直径)Dは約9.6mであり、1枚のブレード40の長さは約4.5mである。このため、1枚の翼部41a,41b,41cの長さLは約1.5mである。
【0017】
3枚の翼部41a,41b,41cのうち、最も半径方向内側(内周側)の翼部41cは、ハブ30の近傍に配置される。具体的には、内周側の翼部41cは、ハブ30の取付部31に当接させて、ハブ30の取付部31と同じ高さで配置される。
【0018】
ハブ30には、6つの取付部31が等角度(60°)で放射状に形成され、各取付部31には、内周側の翼部41cに装着した連結部材42の軸部43が挿入される挿入孔部32が設けられる。
【0019】
内周側の翼部41cの径方向内側端部(内周側端部)には、軸部43と挟持部44と凸部45とを有する連結部材42が配置される。連結部材42の軸部43が前述の挿入孔部32に挿入されて、ボルト等の第一締結部材71を用いて連結部材42がハブ30に対して固定される。
【0020】
また、ハブ30の取付部31にはそれぞれ、切欠部33が設けられる。この切欠部33と連結部材42の凸部45とが係合することにより、連結部材42の軸部43がハブ30に回り止めされ、ハブ30とブレード40とが一体的に回転可能となる。
【0021】
その一方、内周側の翼部41cが連結部材42の挟持部44に挟持された状態で、ボルト及びナット等の第二締結部材72を用いて内周側の翼部41cが連結部材42に対して固定される。
【0022】
ブレード40における3枚の翼部41a,41b,41cは、断面が全て同形状の翼型断面を有している。本実施形態では、製造コストを考慮し、アルミニウム材料の引き抜き加工材を予め1.5mに切断した翼部41(図9参照)を複数枚(本実施形態では、3枚)連結して、1枚のブレード40を構成している。
【0023】
図9に示すように、翼部41は、上方に凸となるように湾曲する翼上面46aと、上方に凹となるように湾曲する翼下面46bとを有する。翼部41の前縁側部分及び後縁側部分にはそれぞれ、後述するウイングレット60の固定のための第三締結部材73が挿通される連結孔部47a,47bが形成される。また、翼部41における前後の連結孔部47a,47b間には、円筒状のリブ48と、翼部41の迎角の設定のための複数の迎角設定孔部49a,49b,49cとが形成される。これら複数の迎角設定孔部49a,49b,49cは、円筒状のリブ48の軸中心を基準として互いに対して等角度(5°)で形成される。
【0024】
図2から図4に示すように、少なくとも径方向に隣り合う翼部41a,41b,41cのリブ48間には、例えばグラスファイバー製の円筒状部材34がかけ渡される。各翼部41a,41b,41cには、リブ48に連通する第一連通孔部50が設けられており、この第一連通孔部50に平ネジ等の取付部材(図示せず)を螺合することにより、円筒状部材34が各翼部41a,41b,41cに対して固定される。
【0025】
また、少なくとも径方向に隣り合う翼部41a,41b,41cの迎角設定孔部49a,49b,49c間には、断面四角形状部材51がかけ渡される。各翼部41a,41b,41cには、迎角設定孔部49a,49b,49cに連通する第二連通孔部52が設けられている。この第二連通孔部52に平ネジ等の取付部材(図示せず)を螺合することにより、断面四角形状部材51が各翼部41a,41b,41cに対して固定される。
【0026】
さらに、図10に示されるように、各翼部41a,41b,41cは、回転面(回転軸22に直交する平面PL)に対する迎角α1,α2,α3がそれぞれ異なる。本実施形態では、3枚の翼部41a,41b,41cは、迎角α1,α2,α3が最も外周側から10°、15°、20°となるように、翼部41a,41b,41cに設けた円筒状のリブ48を中心に回転させた状態で固定される。
【0027】
すなわち、最も半径方向外側(外周側)の翼部41aの迎角α1は10°であり、中間の翼部41bの迎角α2は15°であり、内周側の翼部41cの迎角α3が20°である。このため、シーリングファン10の半径方向に隣接する翼部41a,41b,41cの迎角α1,α2,α3同士の差は、全て同等の角度(5°)である。
【0028】
図2から図8に示すように、少なくとも、外周側の翼部41aの径方向外側端部(外周側端部)には、垂直な板により構成される翼端板としてのウイングレット60が固定される。このウイングレット60には、整流の効果がある。
【0029】
また、本実施形態では、シーリングファン10の半径方向に隣接する翼部41a,41b,41c間にも、ウイングレット60が配置される。シーリングファン10の半径方向に隣接する翼部41a,41b,41cの外周側端部又は内周側端部に固定されたウイングレット60同士は、ボルト及びナット等の接続部材74を用いて接続される。
【0030】
図8に示されるように、ウイングレット60の上部及び下部にはそれぞれ、接続部材74を挿通するための接続孔部61が設けられている。また、ウイングレット60の前側部分には、翼部41a,41b,41cへの連結のために平ネジ等の取付部材(図示せず)が挿通される前側取付孔部62が形成される。その一方、ウイングレット60の後側部分には、翼部41a,41b,41cへの連結のために平ネジ等の取付部材(図示せず)が挿通される複数の後側取付孔部63a,63b,63cが形成される。さらに、ウイングレット60における前側取付孔部62と後側取付孔部63a,63b,63cとの間には、前述の円筒状部材34が挿通される第一の挿通孔部64と、前述の断面四角形状部材51が挿通される第二の挿通孔部(図示省略)とが形成される。
【0031】
前側取付孔部62は、挿通孔部64の孔中心を基準として円弧状に延びる長孔として形成される。その一方、複数の後側取付孔部63a,63b,63cは、挿通孔部64の孔中心を基準として互いに対して等角度(5°)で形成される。
【0032】
[各翼部の迎角の設定]
図11は、ブレード40を定格速度(40RPM)で回転させた場合の各翼部41a,41b,41cの代表位置P1,P2,P3(図4参照)での迎角と揚力係数との関係を示したグラフである。また、このグラフにおいては、各翼部41a,41b,41cにおける揚力係数の変化がそれぞれ、符号CL1,CL2,CL3を付した線で示される。
【0033】
前述のように、3枚の翼部41a,41b,41cの迎角α1,α2,α3は、外周側から順に、10°、15°、20°に設定されている。例えば、本実施形態に係るシーリングファン10を40RPM(回転毎分)で回転させた場合、外周側、中間、内周側の各翼部41a,41b,41cの代表速度はそれぞれ、19.6m/s、10.4m/s、3.9m/sである。すなわち、揚力係数の変化のグラフ線CL1は19.6m/s、CL2は10.4m/s、CL3は3.9m/sでの迎角と揚力係数との関係を示している。各翼部41a,41b,41cにおける揚力係数の変化のグラフ線CL1,CL2,CL3に共通していることは、迎角を0°から大きくしていくと揚力係数も大きくなるが、その翼部の失速点を超えると揚力係数は一旦下降する。しかし、さらに迎角を大きくすると、揚力係数は上昇に転じて、失速点での揚力係数を上回る場合も見受けられる。
【0034】
例えば、3枚の翼部41a,41b,41cの迎角α1,α2,α3を全て同じ角度とする場合、具体的には迎角が全て10°であった場合を説明する。そのときの翼部41a,41b,41cの揚力係数は、それぞれポイントA,B,Cで示す値となる。ポイントA及びポイントBは同じ値となるが、ポイントCの揚力係数は他に比べかなり劣る数値となることが分かる。すなわち内周側の翼部41cの迎角α3が10°の場合、揚力係数が低下して十分な揚力、すなわち風速(風量)を得ることができない。
【0035】
しかしながら、内周側の翼部41cの迎角α3を20°にすることにより他の翼部41a,41bとほぼ同等の揚力係数を得ることができる。すなわち、内周側の翼部41cも他の翼部41a,41bとほぼ同様の風速(風量)を得ることができる。
【0036】
図11から分かるように、内周側の翼部41cの迎角α3は、失速が発生する失速角αsよりも大きく、且つ、迎角を失速角αsよりもさらに大きくした場合に揚力係数が再び増加する角度αrよりも大きくなるように設定される。尚且つ、内周側の翼部41cの迎角α3は、失速角αsの揚力係数と同じ値の迎角(ポイントDで示す角度、約14°)、よりも大きな角度に設定される。さらに、内周側の翼部41cの迎角α3は、外周側の翼部41aの迎角α1、及び中間の翼部41cの迎角α2よりも大きい角度に設定されている(α3>α2>α1)。
【0037】
[作用効果等]
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0038】
(1)本実施形態に係るシーリングファン10は、モータ20と、モータ20により回転する回転軸22に配置されるハブ30と、ハブ30を中心に放射状に配置される複数のブレード40と、を備える。ブレード40は、放射方向に沿って直線状に配置される複数の翼部41a,41b,41cを有する。複数の翼部41a,41b,41cは、互いに同一の翼型断面を有し、且つ、回転軸22に直交する平面PLに対して迎角α1,α2,α3をそれぞれ設けて配置される。放射方向の最も内側に配置される(内周側の)翼部41cの迎角α3は、ブレード40の回転時に当該翼部41cにおいて迎角を大きくした場合に揚力係数が減少する失速が発生する失速角αsよりも大きく、且つ、迎角を失速角αsよりもさらに大きくした場合に揚力係数が再び増加する角度αrよりも大きい。
【0039】
内周側の翼部41cにおいて、低速の風量では、揚力係数が低く、小さな迎角でも失速が始まるが、さらに大きな迎角(α3=20°)にすることにより、揚力係数が再度上昇する。このため、内周側の翼部41cにおいて、外周側の翼部41a(迎角α1=10°)及び中間の翼部41b(迎角α=15°)と同程度の揚力係数を得ることができる。
【0040】
以上要するに、シーリングファン10のブレード40の内周側の翼部41cの迎角α3を、当該翼部41cにおいて失速が発生する角度(失速角αs)よりもさらに大きくしたので、揚力係数が増加し、低速であっても下降する風を発生させることができる。
【0041】
(2)放射方向の最も内側に配置される(内周側の)翼部41cは、ハブ30の取付部31に当接させて、ハブ30の取付部31と同じ高さで配置される。
【0042】
シーリングファン10のブレード40の内周側の翼部41cをハブ30の近傍に配置することにより、シーリングファン10の回転中心部(ハブ30)の直下にも下降する風を発生させることができる。このため、ブレード40が回転する全ての下部領域にほぼ均等に下降する風を送ることが可能になる。
【0043】
なお、前記特許文献2(特開2007-18286号公報)に開示されている内周側羽根板(内周側領域)は、前述の実施形態と同様に迎角が大きく設定されている。しかしながら、前記特許文献2の内周側羽根板(内周側領域)とハブ(回転部)とはアーム部を介して接続されて、内周側羽根板(内周側領域)とハブ(回転部)との距離が保たれている。さらに、前記特許文献2の内周側羽根板(内周側領域)はハブ(回転部)よりも低い位置に配置されている。前記特許文献2では、内周側羽根板(内周側領域)とハブ(回転部)との間に隙間(距離)がある。このため、シーリングファンのハブ(回転部)下方に下から上に向かう風が生じ、さらに内周側羽根板(内周側領域)とハブ(回転部)との間に隙間より内周側羽根板上部に回りこむ風が生じ得る。
【0044】
ところで、本発明のシーリングファンは前述の実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 シーリングファン
20 モータ
22 回転軸
30 ハブ
31 取付部
40 ブレード
41,41a,41b,41c 翼部
60 ウイングレット
PL 平面
α1 迎角
α2 迎角
α3 迎角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11