(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】流出血液の洗浄システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
A61M1/00 170
A61M1/00 130
A61M1/00 100
(21)【出願番号】P 2022191319
(22)【出願日】2022-11-30
(62)【分割の表示】P 2020152486の分割
【原出願日】2015-10-07
【審査請求日】2023-01-04
(32)【優先日】2014-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594202615
【氏名又は名称】ヘモネティクス・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Haemonetics Corporation
【住所又は居所原語表記】125 Summer Street Boston MA 02110 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,ドナルド,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】キャスパー,セス
(72)【発明者】
【氏名】ファイー,リサ
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-236960(JP,A)
【文献】特開昭64-005563(JP,A)
【文献】特開昭54-050172(JP,A)
【文献】特表2010-508916(JP,A)
【文献】特表2008-509768(JP,A)
【文献】特表平08-506982(JP,A)
【文献】特表平05-505540(JP,A)
【文献】特開平09-187504(JP,A)
【文献】特開2002-001306(JP,A)
【文献】米国特許第4946434(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00-1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流出血液を収集し洗浄するシステムであって、
流出血液を収集するための第一の血液回収リザーバを含み、この第一の血液回収リザーバが:
第一の血液回収リザーバを規定する可撓性ハウジングと、
流出血液が可撓性ハウジング内に収集されうるように、患者の手術野に流体接続されるよう構成された流入ポートと、
第一の血液回収リザーバを真空に引くことを許容するように構成され、流体を手術部位から第一の血液回収リザーバ内へと採取する、真空吸気ポートと、そして
可撓性ハウジングの底部表面上に配置された流出口とを有し;
血液回収システムを含み、この血液回収システムが:
血液回収システムを規定する剛性ハウジングと、
真空源に流体接続されるよう構成された真空接続ポートと、そして
第一の血液回収リザーバ上の真空吸気ポートに流体接続されるよう構成され、それにより第一の血液回収リザーバを真空に引くことを許容するように構成された、真空排気ポートとを有し;
流体接続セットを含み、この流体接続セットが:
第一の血液回収リザーバ上の流出口に接続するよう構成された第一のコネクタと、
自動血液処理システム上の流入口に接続するよう構成された第二のコネクタと、そして
第一のコネクタと第二のコネクタの間に延びるチューブとを有し、流体接続セットは第一の血液回収リザーバの流出口と自動血液処理システムを流体接続するように構成され、
第一の血液回収リザーバは、流入ポートが手術部位に流体接続され、そして真空吸気ポートが血液回収システム上の真空排気ポートに流体接続される収集モードを有し、第一の血液回収リザーバは収集モードにある場合、手術部位からの流出血液を収集するように構成され、
第一の血液回収リザーバはまた、流入ポートが手術部位から流体的に切り離され、真空吸気ポートが血液回収システム上の真空排気ポートから流体的に切り離され、そして流体接続セット上の第一のコネクタが流出口に接続される処理モードを有し、それによって第一の血液回収リザーバを自動血液処理システムに流体接続し、自動血液処理システムは流出血液に抗凝固剤を導入し、抗凝固処理された血液を赤血球および少なくとも第二の血液成分に分離して赤血球を洗浄し、洗浄された赤血球を自家的に再輸注するよう構成されており;および、
第一の血液回収リザーバが処理モードにある場合に、さらなる流出血液を第二の血液回収リザーバへと収集され得るように血液回収システムに接続するよう構成された第二の血液回収リザーバを含み、第一の血液回収リザーバが収集モードにある場合、第二の血液回収リザーバは血液回収システムに接続されていない、システム。
【請求項2】
自動血液処理システムが、抗凝固処理された血液を赤血球および少なくとも第二の血液成分に分離するための血液成分分離装置を含む、請求項1によるシステム。
【請求項3】
第二の血液成分を受け取るための廃棄物容器を更に含む、請求項1によるシステム。
【請求項4】
第二の血液回収リザーバが:
第二の血液回収リザーバを規定する第二の可撓性ハウジングと、
第一の血液回収リザーバが処理モードにある場合に手術野に流体接続されるよう構成され、流出血液が第二の可撓性ハウジング内に収集されるようにする第二の流入ポートと、および
第二の血液回収リザーバを真空に引くことを許容するように構成され、第一の血液回収リザーバが処理モードにある場合に、流体を手術部位から第二の血液回収リザーバ内へと採取する第二の真空吸気ポートとを含む、請求項1によるシステム。
【請求項5】
剛性フレームをさらに含み、剛性フレームが第一の血液回収リザーバを支持するように第一の血液回収リザーバが剛性フレーム内に収容されている、請求項1によるシステム。
【請求項6】
剛性フレームは、剛性フレームのベースから上方へと延びる少なくとも1つの延長部を含み、第一の血液回収リザーバは、少なくとも1つの延長部が少なくとも1つのポケットを通過するように剛性フレーム上に滑り込ませるように構成された少なくとも1つのポケットを有する、請求項5によるシステム。
【請求項7】
第一のコネクタがスパイクである、請求項1によるシステム。
【請求項8】
流体接続セットが、チューブ上に配置され、チューブを通る流体の流れを阻止するように構成された、少なくとも一つのバルブをさらに含む、請求項1によるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この特許出願は、代理人文書番号1611/C29が割り当てられ、ドナルド・シュワルツ、セス・キャスパーおよびリサ・ファイーを発明者とする、「流出血液の洗浄システムおよび方法」と題する2014年10月7日出願の米国特許仮出願第62/060、886号の優先権を主張し、その開示は全体を参照によってここに取り入れるものとする。
【0002】
本発明は、流出血液の収集に関し、より詳しくは流出血液を洗浄するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの適用例において、(例えば手術中および/または手術後に)創部および手術部位から血液および他の液体を排出させ、収集することが望ましい。液体の除去は治癒を助け、感染の脅威を低減させるだけでなく、血液が収集される場合には、病院に対して、収集された血液を患者に返す機会を提供する。これは次いで、患者自身の血液でない血液(例えば同種血)を輸液する必要性を低減させる。
【0004】
手術部位および創部ドレーンから血液を回収するための従来技術のシステムは、多くの場合、血液を収集
するためのリザーバを含む使い捨てユニットを採用している。収集された血液は次いで、患者に対して再注入されうる。しかしながら、多くの場合に、収集された血液は患者に再注入するに先立って洗浄されない。むしろ従来技術のシステムは単に、収集された血液を微小凝集塊(マイクロアグリゲート)血液フィルターを通して通過させ、血液から凝集塊を除去している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の実施形態においては、流出血液を収集し、洗浄する方法が提供される。この方法は、第一の血液回収リザーバおよび血液回収システムを提供することを含む。第一の血液回収リザーバ(例えば可撓性リザーバ)は、流入ポート、流出ポート、および真空吸気ポートを含みうる。血液回収システムは、剛性のハウジングと、真空接続ポートと、そして真空排気ポートを有しうる。第一の血液回収リザーバ上にある真空吸気ポートは、血液回収システム上にある真空排気ポートと流体接続されうる。第一の血液回収リザーバは、第一の血液回収リザーバを支持する剛性のフレーム内に収容されていてよい。
【0006】
この方法はまた、第一の血液回収リザーバの流入ポートを患者の手術野に対して流体接続し(例えば胸腔ドレーンおよび/または患者ラインを介して)、そして血液回収システム上にある真空接続ポートを真空源に対して流体接続することを含みうる。流入ポートは、外科的処置の間に失われた血液を第一の血液回収リザーバ内に収集することを許容するように構成されうる。この方法は次いで、(1)第一の血液回収リザーバおよび血液回収システムを真空に引いて、血液を手術野から、そして血液回収リザーバ内へと採取し、そして(2)ある容積の流出血液を第一の血液回収リザーバ内に収集するようにしてよい。
【0007】
流出血液がいったん収集されたならば、この方法は第一の血液回収リザーバを手術野および血液回収システムから切り離し、そして第二の血液回収リザーバを手術野および血液回収システムに流体接続して、手術野からの血液採取を継続しうる。この方法は次いで、第一の血液回収リザーバの流出ポートを自動血液処理システムに対して流体接続し、収集された血液を自動血液処理システムへと導入し、自動血液処理システム内に導入された血液を洗浄し(自動血液処理システムを用いて)、そして洗浄された血液の少なくとも一部を患者へと戻す(例えば自家的に)ようにしてよい。
【0008】
ある実施形態においては、自動血液処理システム内に導入された血液を洗浄することは、(1)収集された血液に抗凝固剤を導入し、(2)抗凝固処理された血液を血液成分分離装置に導入することを含みうる。血液成分分離装置は、抗凝固処理された血液を、赤血球および少なくとも第二の血液成分へと分離しうる。この方法は次いで、第二の血液成分を廃棄物容器へと送り、洗浄液を血液成分分離装置内へと導入して、赤血球を洗浄してよい。この方法/システムは次いで、洗浄された赤血球を患者へと戻しうる。
【0009】
追加的な実施形態において、この方法は、第一の血液回収リザーバ内に収集される血液の量を監視し、所定量の血液が第一の血液回収リザーバ内に収集された時点で、第一の血液回収リザーバを切り離すことを含んでよい。所定量の血液は、100mLと500mLの間であってよい。
【0010】
さらなる実施形態において、手術部位は手術中の手術部位であってよく、第一の血液回収リザーバを手術部位に接続することは、第一の血液回収リザーバを吸引および抗凝固剤ラインに接続することを含んでよい。第一の血液回収リザーバの流出ポートは、流体接続セットを介して、自動血液処理システムへと流体接続されてよい。流体接続セットは、第一のコネクタと、第二のコネクタと、チューブとを含みうる。第一のコネクタ(例えばスパイク(刺通)コネクタ)は、第一の血液回収リザーバの流出ポートへと接続されてよく、第二のコネクタは自動血液処理システム上にある流入口へと接続されてよく、そしてチューブは第一のコネクタと第二のコネクタの間に延びて、第一の血液回収リザーバと自動血液処理システムとを流体接続してよい。流体接続セットはまた、チューブ上に配置され、チューブを通る流体の流れを阻止するように構成された、少なくとも一つのバルブを含んでよい。
【0011】
ある実施形態においては、第一の血液回収リザーバを手術野および血液回収システムから切り離すことは、(1)第一の血液回収リザーバ上の流入ポートを手術野から流体的に切り離し、そして(2)第一の血液回収リザーバ上の真空吸気ポートを血液回収システム上の真空排気ポートから流体的に切り離すことを含んでよい。追加的にまたは代替的に、第二の血液回収リザーバを手術野および血液回収システムへと流体接続することは、(1)第二の血液回収リザーバ上の真空吸気ポートを血液回収システム上の真空排気ポートへと流体接続し、そして(2)第二の血液回収リザーバ上の流入口を患者の手術野に流体接続することを含んでよい。
【0012】
さらなる実施形態において、流出血液を収集し洗浄する方法は、注入ポート、排出ポート、および真空吸気ポートを有する第一の血液回収リザーバを提供し、そして真空接続ポートおよび真空排気ポートを有する血液回収システムを提供することを含んでよい。この方法はまた、(1)第一の血液回収リザーバ上の真空吸気ポートを血液回収システム上の真空排気ポートに流体接続し、(2)第一の血液回収リザーバの流入ポートを患者の手術野に流体接続し、そして(3)血液回収システム上の真空接続ポートを真空源に流体接続することを含みうる。流入ポートは、外科的処置の間に失われた血液が第一の血液回収リザーバ内に収集されるのを許容するように構成されうる。
【0013】
この方法は次いで、第一の血液回収リザーバおよび血液回収システムを真空に引いて、手術野からの血液を血液回収リザーバ内へと採取し、そしてある容積の流出血液を第一の血液回収リザーバ内に収集してよい。流出血液がいったん収集されたならば、この方法は第一の血液回収リザーバを手術野および血液回収システムから切り離し、そして第二の血液回収リザーバを手術野および血液回収システムに流体接続して、手術野からの血液採取を継続してよい。
【0014】
第一の血液回収リザーバ内に収集された血液を処理するために、この方法は、第一の血液回収リザーバの流出ポートを自動血液処理システムに流体接続してよい。この方法は次いで、収集された血液を自動血液処理システム内へと導入し、血液を洗浄し、洗浄された血液の少なくとも一部を患者に戻してよい。
【0015】
追加的な実施形態によれば、血液回収収集、処理および自家再輸注の方法が、第一の血液回収リザーバを提供し、そして剛性リザーバを提供することを含む。第一の血液回収リザーバは、注入ポートと、そして少なくとも一つの排出ポートを含んでよい。剛性リザーバは、流入口および流出口を有しうる。この方法はまた、流入ポートを患者の手術野に接続して、外科的処置の間に失われた血液を収集し、剛性リザーバの流入口を血液回収リザーバの流出口に接続し、そして剛性リザーバの流出口を吸引源に接続することを含みうる。この方法は次いで、吸引源を動作させて、血液を手術野から血液回収リザーバへと採取しうる。
【0016】
血液を収集した後、この方法は、(1)血液回収リザーバを手術野および剛性リザーバから切り離し、そして(2)第二の血液回収装置を手術野および剛性リザーバに接続して、手術野からの血液の吸引を継続してよい。この方法は次いで、第一の血液回収リザーバの流出口を、自動血液処理システムの流体経路流入口に接続し、自動血液処理システムを作動させて、回収された血液を清浄化し、それを患者へと自家的に戻しうる。
【0017】
よりさらなる実施形態においては、流出血液を収集し洗浄するためのシステムが、流出血液を収集するための第一の血液回収リザーバと、血液回収システムと、そして接続セットとを含みうる。第一の血液回収リザーバは、(1)第一の血液回収リザーバを規定する可撓性ハウジングと、(2)患者の手術野へと流体接続されるよう構成され、流出血液が可撓性ハウジング内に収集されうるようにする注入ポートと、(3)第一の血液回収リザーバを真空に引くことを許容するように構成され、流体を手術部位から第一の血液回収リザーバへと採取する真空吸気ポートと、そして(4)可撓性ハウジングの底部表面に配置された流出口とを含んでよい。
【0018】
血液回収システムは、血液回収システムを規定する剛性ハウジングと、真空源に流体接続されるよう構成された真空接続ポートと、そして第一の血液回収リザーバ上の真空吸気ポートに流体接続されるよう構成された真空排気ポート(例えば第一の血液回収リザーバを真空に引くことを許容するように)を含んでよい。流体接続セットは、第一および第二のコネクタと、チューブとを含んでよい。第一のコネクタは、第一の血液回収リザーバ上の流出ポートに対して接続されるよう構成されうる。第二のコネクタは、自動血液処理システム上の流入口に対して接続されるよう構成されうる。チューブは第一のコネクタと第二のコネクタの間に延びてよく、そして流体接続セットは、第一の血液回収リザーバの流出口と自動血液処理システムとを流体接続しうる。
【0019】
第一の血液回収リザーバは、収集モードおよび処理モードを有してよい。収集モードにある場合、流入ポートは手術部位に流体接続されてよく、真空吸気ポートは血液回収システム上の真空排気ポートに流体接続されてよく、そして第一の血液回収リザーバは、流出血液を手術部位から収集しうる。処理モードにある場合、流入ポートは手術部位から流体的に切り離してよく、真空吸気ポートは血液回収システム上の真空排気ポートから流体的に切り離してよく、そして流体接続セットの第一のコネクタは、流出口に接続されて、第一の血液回収リザーバを自動血液処理システムに対して流体接続してよい。自動血液処理システムは、流出血液の少なくとも一部を処理し、自家的に再輸注しうる。
【0020】
ある実施形態においては、このシステムはまた、流出血液を収集するための、第二の血液回収リザーバを含んでよい。第二の血液回収リザーバは、第二の血液回収リザーバを規定する第二の可撓性ハウジングと、第二の注入ポートと、そして第二の真空吸気ポートを含んでよい。第二の注入ポートは、第一の血液回収リザーバが処理モードにある場合に、手術野に流体接続されてよく、流出血液が第二の可撓性ハウジング内に収集されるようにしうる。第二の真空吸気ポートは、第二の血液回収リザーバを真空に引くことを許容するように構成されてよく、第一の血液回収リザーバが処理モードにある場合に、流体を手術部位から第二の血液回収リザーバ内へと採取する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
上述した実施形態の特徴は、添付図面を参照しつつ、以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解されよう。添付図面において:
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の種々の実施形態に従う、流出血液を収集するためのシステムを示す概略図である。
【0023】
【
図2】
図2は、本発明の種々の実施形態に従う、流出血液を収集し洗浄するための方法を描いたフローチャートである。
【0024】
【
図3】
図3は、本発明のある実施形態に従う、流出血液を洗浄するシステムに接続される血液回収リザーバを示す概略図である。
【0025】
【
図4】
図4は、本発明のある実施形態に従う、
図3に示す血液回収リザーバを拡大して示す概略図である。
【0026】
【
図5】
図5は、本発明のある実施形態に従う、
図4に示す血液回収リザーバを
図3に示す流出血液洗浄システムと接続するための接続セットを示す概略図である。
【0027】
【
図6】
図6は、本発明のさらなる実施形態に従う、流出血液を収集するための代替的なシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
例示的な実施形態において、流出血液を収集し洗浄するシステムは、血液回収リザーバおよび血液回収システムを有してよい。血液回収リザーバは、回収システム上の真空排気ポートに接続された真空吸気ポートと、手術野に流体接続された流入口(例えば流体/血液流入口)とを有してよく、流出血液はリザーバに収集されうる。リザーバは回収システムから切り離され、そして血液処理システムへと接続されてよく、かくして収集された流出血液は洗浄可能となり、洗浄された血液(例えば赤血球)の一部は、患者へと戻し可能である。
【0029】
図1は、本発明のある実施形態による血液回収システム100および血液回収リザーバ200を示す。血液回収システム100は、内部容積を有する(例えば一つまたはより多くのキャビティ/リザーバを有する)ハウジング110を含み、その中に流体を収集してよく、また多数のポートがハウジング110の上部に配置されている。例えば、血液回収システム100は真空接続ポート120を含んでよく、これは以下で詳述するように、真空源(図示せず)へとチューブ130を介して接続可能である。加えて、血液回収システム100はまた、真空排気ポート140を含むことができる。またやはり以下で詳述するように、真空排気ポート140は、リザーバ200を真空に引くため、血液回収リザーバ200に対して接続されてよい。
【0030】
血液回収システム100が真空下で潰れないことを確保するため、ハウジング110は剛性であることができる。ある実施形態においては、血液回収システム100は、真空度を制御するのを補助し患者を保護するための、多数の他の部品および特徴を含むことが可能である。例えば血液回収システム100は、手術部位内における吸引度を制御するための吸引制御レギュレーター150と、そして空気が患者の手術部位に再度入るのを阻止するのを助ける水シール160とを含むことが可能である。例示的な血液回収システム100は、テレフレックス社(Teleflex Incorporated)によって製造されており、特にTeleflexPluer-evac登録商標A-9250-08LFである。
【0031】
図1および
図4に示されているように、血液回収リザーバ200は軟質の壁部を有するリザーバであってよく、そして血液回収システム100と同様に、リザーバ200を血液回収システム100および患者(例えば手術部位)に接続するための、多数のポートを有してよい。例えば、リザーバ200は、血液回収システム100上の真空排気ポート140に流体接続される真空吸気ポート210を有してよい(例えば血液回収システム100がリザーバ200を真空に引くことができるように)。加えて、リザーバ200は、患者の手術部位に対して流体接続される注入ポート220を含んでよい。例示的な血液回収リザーバ200はテレフレックス社によって製造されており、特にTeleflex Pluer-evac
登録商標A-1500-08LF自家輸血バッグである。
【0032】
種々の部品(例えば血液回収システム100、リザーバ200、および真空源)と患者との間の流体接続の促進を助けるために、ある実施形態では、種々のポート(および/またはポートから延びるチューブ)の間に、コネクタ(例えば急速着/脱コネクタ)を有してよい。例えば、真空排気ポート140(または真空排気ポート140から延びるチューブ142のセクション)は、リザーバ200上の真空吸気ポート210(または真空吸気ポート210から延びるチューブ212)にあるコネクタ215に対して着脱可能なコネクタ145を含むことができる。同様に、リザーバ200上にある流入ポート220(または流入ポート220から延びるチューブ222)は、患者へと延びるチューブ(例えば患者チューブ240)上に配置されたコネクタ245に対して着脱可能なコネクタ225を含むことが可能である。このようにして、システムの種々の部品およびチューブを、必要に応じて着脱させることが可能である。
【0033】
真空吸気ポート210および流体注入ポート220に加えて、血液回収リザーバ200のある実施形態はまた、リザーバ200の底部に配置された排出ポート230(例えばスパイク(刺通)ポート)をも含んでよい。以下で詳述するように、いったん流出血液がリザーバ200内に収集されたならば、流出ポート230を使用して、処理し、洗浄し、そして患者に戻するために、リザーバ200内に収集された流出血液を血液処理システム400(
図3)に移してよい。
【0034】
上述したように、血液回収リザーバ200は可撓性であることができる(例えばそれは、軟質/可撓性の壁部を有することができる)。リザーバ200が、血液回収システム100によって与えられる真空の下で潰れることを防止するため、そして流体収集の容易化のために、リザーバ200は、収集の間リザーバ200の形状を大体維持する、着脱可能な剛性フレーム250を含んでよい。例えばフレーム250は、一つまたはより多くの延長部252を含むことができ(例えばフレーム250の各側に一つ)、それらはフレーム250のベース252から上方へと延びる。そうした実施形態においては、リザーバ200は、延長部がリザーバ200の各側に配置されたポケット/スリーブ202を通過するように、フレーム250上に滑り込ませてよい。また剛性フレーム250は、血液回収システム100に接続されて、リザーバ200を血液回収システム100に固定するようにしてよい。代替的に、リザーバ200が潰れるのを防ぐため、リザーバ100は血液回収システム100と同様の態様で剛性(硬質)であることができる。
【0035】
図2は、本発明の種々の実施形態に従う、流出血液を収集し洗浄する方法を描いたフローチャートである。
図3および
図4は概略的に、収集および洗浄プロセスの種々の段階における血液回収システム100および血液回収リザーバ200を示している。最初に、いったん血液回収システム100およびリザーバ200を包装から取り出したならば、ユーザーは血液回収システム200上の真空ポート120を真空源(図示せず)へと、流体接続してよい(ステップ305;
図3)。例えばユーザーは、真空チューブ130の一端を真空ポート120に、他端を真空源に接続してよい。いったん真空源が接続された時点で、血液回収システム100が制御レギュレーター150を備えている場合には、ユーザーは吸引度を所望のレベルに調節可能である。
【0036】
ある実施形態においては、血液回収システム100は既に血液回収リザーバ200に接続された状態になっている(例えば真空排気ポート140がリザーバ200上の真空吸気ポート210に流体接続されている)。しかしながら、システム100とリザーバ200が既に接続されているのでなければ、ユーザーは血液回収システム100上の真空排気ポート140をリザーバ200上の真空吸気ポート210に対して流体接続(例えば真空排気ポート140上のコネクタ145を、真空吸気ポート210上のコネクタ215に接続することによって)してよい(ステップ310;
図3)。いったんこの接続が行われたならば、真空源と血液回収システム100は、リザーバ200を真空に引く準備が整っている。
【0037】
手術部位からの血液(例えば流出血液)を収集するために、ユーザーは次いで(例えばコネクタ225およびコネクタ245を用いて)、リザーバ200の流入ポート220を、患者/手術部位へと延びる患者チューブ240に接続してよい(ステップ315;
図3)。いったん完全に接続されたところで、真空源がまだ電源投入されておらず真空引きを行っていない場合、ユーザーは真空を作動させて、血液回収システム100を介してリザーバ200を真空に引いてよい(ステップ320)。このことは順に、患者ライン240を介して血液回収リザーバ200内への流出血液の採取を開始させることになり、流出血液はそこで収集される(ステップ325;
図3)。
【0038】
多くの適用例において、収集された血液がさらに処理されおよび/または患者に戻されるより前に、臨界容積の流出血液が収集される。これに向けて、ユーザーはリザーバ内に収集される血液の容積を監視してよい(ステップ330)。代替的に、このシステム/方法は、秤その他の測定機器を用いて、リザーバ200に収集された血液の容積を求めてよい。所定容積の血液が収集されたなら、ユーザーはその時点で、さらに処理すべき十分な血液を得たことになる。
【0039】
所定容積の血液とは、限定されるものではないが、外科的応用(例えば心臓手術)、ドレーンの種類(例えば胸腔ドレーン、吸引および抗凝固剤ライン、など)、収集が手術中に行われるか手術後に行われるか、患者(例えば患者が大人か子供か)、収集された血液を洗浄するために使用される血液処理装置(例えば使用される任意の血液成分分離装置の大きさ)等を含む、多数の要因に依存しうることに留意することが重要である。しかしながらある実施形態においては、所定容積の血液は、100mLから500mLの間(例えば250mL)であってよい。代替的に、他の実施形態においては、所定容積は100mLより少なくてよい(例えば所定容積は、25ml、50mL、75mLなどであってよい)。さらなる実施形態においては、所定容積は、500mLより多くてよい(例えば所定容積は、550mL、600mL、650mL、700mLなどであってよい)。付加的にまたは代替的に、血液処理システムが血液成分分離装置(例えば遠心分離ボウル)を利用する場合には、所定容積は遠心分離ボウルの容積の二倍に等しくてよい(例えばボウルが275mLならば、所定容積は大体550mLであってよい)。
【0040】
十分な容積の流出血液がリザーバ200に収集されたならば(例えば所定容積の流出血液)、ユーザーは患者ライン240を閉じて(例えば患者ライン上に配置されたバルブを用いて)流出血液の漏出を防止してよく、そして血液回収リザーバ200を手術野/患者ライン240および血液回収システム100から切り離してよい(ステップ335)。いったんリザーバ200が切り離されたなら、それ以上の流出血液はリザーバ200内に収集されない。しかしながら、追加で収集すべき血液がある場合には(例えば手術中の適用例で手術がまだ続いている場合や、手術後の適用例で患者がまだ出血している場合)(ステップ340)、ユーザーは新たな血液回収リザーバ200を患者および血液回収システム100に接続してよい。例えば最初のリザーバ200と同様に、ユーザーは血液回収システム100上の真空排気ポート140を新たなリザーバ200の真空吸気ポート210に流体接続し、新たなリザーバ200上の流入ポート220を患者ラインに流体接続してよい。ユーザーは次いで、患者ライン240を開放し(例えばバルブを開けることによって)、新たなリザーバ200内へと継続して流出血液の採取を行ってよい(例えばステップ310から335を新たな/第二の回収リザーバ200について繰り返してよい)。
【0041】
収集された血液の処理を開始するため、ユーザーは任意選択的に、リザーバ200を血液処理システム400に配置されたフック420から吊り下げ、次いでリザーバ200上の流出ポート230を血液処理システム400に接続してよい(ステップ345;
図3および4)。上述したように、リザーバの流出ポート230はスパイクポートであってよい。このために、ユーザーは
図5に示したのに類似する接続セット500を利用しうる。例えば接続セット500は、リザーバ200上の流出ポート230に刺通可能なスパイク510と、血液処理システム400へと延びるチューブ535のセクションにある対応するコネクタ530に接続されるコネクタ520を含んでよい。したがって、リザーバ200を血液処理システム400へと接続するために、ユーザーは二つのコネクタ520/530を接続し、そしてスパイク510を流出ポート230へと押し込んでよい。
【0042】
リザーバ200が血液処理システム400に完全に接続された時点で、ユーザーは、収集された血液の血液処理システム400内への導入を開始してよい(ステップ350)。この目的のため、ユーザーはリザーバ200からの流体流れを開始するべく、接続セット500上および血液処理システム400に延びるチューブ535上に配置されたバルブ540/550を開放してよい。血液は次いで、血液処理システム400内へと重力供給されうる。代替的に、ある実施形態においては、血液処理システム400はポンプを含んでよく、それは血液をリザーバ200から、接続セット500およびチューブ535を通して、血液処理システム400内へと採取する。血液処理システム400は次いで、血液を洗浄し(ステップ355)、洗浄された血液の少なくとも一部(例えば血液の一つまたはより多くの成分、例えば赤血球)を患者に戻してよい(ステップ360)。システムが追加のリザーバに血液を収集していた場合には(ステップ365)、ユーザーは次いで、任意の追加のリザーバ200を血液処理システム400に接続し、同様の態様で血液を処理/洗浄してよい。
【0043】
多数の型式の血液処理システムを用いて、収集された血液を処理および/または洗浄してよいことに留意することが重要である。例えば本発明の種々の実施形態において、OrthoPAT登録商標外科的血液回収システム、CardioPAT商標外科的血液回収システム、Cell Saver登録商標血液回収システム(例えばCellSaver登録商標Elite登録商標および/またはCell Saver登録商標5+システム)のような市販の血液回収および処理システムを使用してよいが、これらはすべて、マサチューセッツ州ブレイントリーのヘモネティクス社(Haemonetics Corporation)から市販されている。
【0044】
上記で触れた市販の血液回収および処理システムのあるもの(例えばCell Saver
登録商標Elite
登録商標および/またはCell Saver
登録商標5+システム)は、全血をその個別の成分に分離するための血液成分分離装置(例えば遠心分離ボウル)を含む。例えば、かかる処理システムを用いる実施形態においては、収集された流出血液が処理システム400へと移送されるに際して、抗凝固剤を(処理システム400に接続された抗凝固剤バッグ410から;
図3)それに対して添加してよい。血液は次いで血液成分分離装置へと導入され、この装置は全血をその個別の成分に分離する(例えば赤血球、血漿、血小板、その他)。血液がいったん分離されたならば、血小板および/または血漿は廃棄物バッグに移して処分してよく、そして処理システム400は洗浄液を分離装置内へと導入して、赤血球を洗浄してよい。赤血球を洗浄した後、処理システム400は赤血球を患者へと戻してよい。
【0045】
上述した実施形態においては、可撓性で底部に配置された排出ポート230を含む血液回収リザーバ200が用いられているが、他の実施形態においては異なるリザーバを用いることが可能である。例えば、ある実施形態では、剛性のリザーバが用いられてよい。追加的にまたは代替的に、ある実施形態では、底部に排出ポート230を含まないリザーバを用いてよい。そうした実施形態においては、ユーザーは流入ポート220を利用して、接続セット500(そうした実施形態においては、流入ポート220に接続するために、スパイク510以外のコネクタが必要でありうる)を流入ポート220に接続し、そしてリザーバ200を反転させて、血液をリザーバ200から流入ポート220を介して排出し、血液処理システム400内へと流入させることにより、収集された流出血液をリザーバ200から血液処理システム400へと移送しうる。
【0046】
代替的に、ある実施形態においては、リザーバ200は全く使用されないでよい。むしろ流出血液は直接に、血液回収システム100内へと収集してよい(例えば血液回収システム100は、収集リザーバとして作動してよい)。この目的のため、血液回収システム100上の真空排気ポート140は流入口として作用してよく、そして患者ラインは直接に真空排気ポート140へと接続されてよい。従って、真空源が接続された場合に、真空は流出血液を患者ラインを通して、そして血液回収システム100内へと採取する。加えて、そうした実施形態においては、収集された血液を洗浄するために、患者ライン240は真空排気ポート140から切り離され、そして接続セット500が真空排気ポート140に接続されてよい(または血液回収システム100が、リザーバと同様の態様で、排出ポートを含んでよい)。代替的に、血液回収リザーバ200と同様の態様で、血液回収システム100は別個の排出ポートを有してよい。
【0047】
上記においては方法は、特定の順序で実行されるものとして記述されたが、ある実施形態においては、方法のステップの順序は再編成可能であることに留意すべきである。例えば、接続を行う順序(例えばステップ305から315)は再編成可能であり、真空源の接続を再編成して、真空吸気ポート210を真空排気ポート140に接続した後に、あるいは流入ポート220を手術野に接続した後に、行うようにすることができる。
【0048】
上記の実施形態においてはTeleflex Pluer-evac
登録商標A-9250-08LF血液回収システムが用いられているが、他の血液回収システムも使用してよいことに留意することが重要である。例えば
図6に示すように、本発明のある実施形態においては、コヴィディエン社(Covidien)によって製造された血液回収システム、特にAltitude
商標胸腔排液ユニットを利用してよい。
【0049】
以上に説明した本発明の実施形態は、単に例示的であることを意図している;当業者には、多数の変更例および修正例が明らかであろう。そうした変更例および修正例はすべて、添付の特許請求の範囲の任意のものに規定された本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
本発明のいくつかの態様を以下に記す。
[項1]
流出血液を収集し洗浄する方法であって:
注入ポート、排出ポート、および真空吸気ポートを有する第一の血液回収リザーバを提供し;
真空接続ポートおよび真空排気ポートを有する血液回収システムを提供し、第一の血液回収リザーバ上の真空吸気ポートは血液回収システム上の真空排気ポートに流体接続され;
第一の血液回収リザーバの流入ポートを患者の手術野に流体接続し、流入ポートは外科的処置の間に失われた血液が第一の血液回収リザーバ内に収集されるのを許容するように構成され;
血液回収システム上の真空接続ポートを真空源に流体接続し;
第一の血液回収リザーバおよび血液回収システムを真空に引いて、血液を手術野から血液回収リザーバ内へと採取し;
ある容積の流出血液を第一の血液回収リザーバ内に収集し;
第一の血液回収リザーバを手術野から、そして血液回収システムから切り離し;
第二の血液回収リザーバを手術野および血液回収システムに流体接続し、継続して血液を手術野から採取し;
第一の血液回収リザーバの流出ポートを自動血液処理システムに流体接続し;
収集された血液を自動血液処理システム内へと導入し;
自動血液処理システムを用いて、自動血液処理システムへと導入された血液を洗浄し;および
洗浄された血液の少なくとも一部を患者に戻すことを含む方法。
[項2]
洗浄された血液の少なくとも一部が自家的に戻される、項1による方法。
[項3]
自動血液処理システム内に導入された血液の洗浄が:
抗凝固剤を収集された血液に導入し;
抗凝固処理された血液を血液成分分離装置に導入し、血液成分分離装置が抗凝固処理された血液を赤血球および少なくとも第二の血液成分に分離し;
少なくとも第二の血液成分を廃棄物容器に送出し;および
洗浄液を血液成分分離装置内に導入して赤血球を洗浄することを含む、項1による方法。
[項4]
洗浄された血液の少なくとも一部を患者に戻すことが、洗浄された赤血球を患者に戻すことを含む、項3による方法。
[項5]
第一の血液回収リザーバが可撓性リザーバである、項1による方法。
[項6]
血液回収システムが剛性ハウジングを含む、項1による方法。
[項7]
第一の血液回収リザーバ内に採取された血液の量を監視することをさらに含む、項1による方法。
[項8]
第一の血液回収リザーバを手術野から、そして血液回収システムから切り離すことが、第一の血液回収リザーバ内に所定容積の血液が採取された時点で第一の血液回収リザーバを切り離すことを含む、項8による方法。
[項9]
血液の所定容積が100mLから500mLの間である、項9による方法。
[項10]
第一の血液回収リザーバを手術部位に接続することが、第一の血液回収リザーバを胸腔ドレーンに接続することを含む、項1による方法。
[項11]
第一の血液回収リザーバが手術部位に対して患者ラインを介して接続される、項1による方法。
[項12]
手術部位が手術中の手術部位であり、第一の血液回収リザーバを手術部位に接続することが、第一の血液回収リザーバを吸引および抗凝固剤ラインに接続することを含む、項1による方法。
[項13]
第一の血液回収リザーバの流出ポートが自動血液処理システムへと、流体接続セットを介して流体接続される、項1による方法。
[項14]
流体接続セットが:
第一の血液回収リザーバの流出ポートに接続されるよう構成された第一のコネクタ;
自動血液処理システム上の流入口に接続されるよう構成された第二のコネクタ;および
第一のコネクタと第二のコネクタの間に延び、第一の血液回収リザーバと自動血液処理システムを流体接続するように構成されたチューブを含む、項13による方法。
[項15]
第一のコネクタがスパイクである、項14による方法。
[項16]
流体接続セットがチューブ上に配置され、チューブを通る流体の流れを阻止するように構成された少なくとも一つのバルブを含む、項14による方法。
[項17]
第一の血液回収リザーバが、第一の血液回収リザーバを支持するように構成された剛性フレーム内に収容されている、項1による方法。
[項18]
第一の血液回収リザーバを手術野から、そして血液回収システムから切り離すことが:
第一の血液回収リザーバ上の流入ポートを手術野から流体的に切り離し;そして
第一の血液回収リザーバ上の真空吸気ポートを血液回収システム上の真空排気ポートから流体的に切り離すことを含む、項1による方法。
[項19]
第二の血液回収リザーバを手術野および血液回収システムに流体接続することが:
第二の血液回収リザーバ上の真空吸気ポートを血液回収システム上の真空排気ポートに流体接続し;そして
第二の血液回収リザーバ上の注入ポートを患者の手術野に流体接続することを含む、項1による方法。
[項20]
流出血液を収集し洗浄する方法であって:
注入ポート、排出ポート、および真空吸気ポートを有する第一の血液回収リザーバを提供し;
真空接続ポートおよび真空排気ポートを有する血液回収システムを提供し;
第一の血液回収リザーバ上の真空吸気ポートを血液回収システム上の真空排気ポートに流体接続し;
第一の血液回収リザーバの流入ポートを患者の手術野に流体接続し、流入ポートは外科的処置の間に失われた血液を第一の血液回収リザーバ内に収集することを許容するように構成され;
血液回収システム上の真空接続ポートを真空源に流体接続し;
第一の血液回収リザーバおよび血液回収システムを真空に引いて、血液を手術野から血液回収リザーバ内へと採取し;
ある容積の流出血液を第一の血液回収リザーバ内に収集し;
第一の血液回収リザーバを手術野から、そして血液回収システムから切り離し;
第二の血液回収リザーバを手術野および血液回収システムに流体接続し、継続的に手術野からの血液採取を行い;
第一の血液回収リザーバの流出ポートを自動血液処理システムに流体接続し;
収集された血液を自動血液処理システムに導入し;
自動血液処理システムを用いて、自動血液処理システム内へと導入された血液を洗浄し;および
洗浄された血液の少なくとも一部を患者に戻すことを含む、方法。
[項21]
血液回収収集、処理、および自家再輸注の方法であって:
注入ポートおよび少なくとも一つの排出ポートを有する第一の血液回収リザーバを提供し、および流入ポートを患者の手術野に接続して、外科的処置の間に失われた血液を収集し;
流入口および流出口を有する剛性リザーバを提供し、流入口を第一の血液回収リザーバの流出口に接続し、流出口を吸引源に接続し;
吸引源を作動させて血液を手術野から第一の血液回収リザーバ内へと採取し;
第一の血液回収リザーバを手術野から、および剛性リザーバから切り離し;
第二の血液回収リザーバを手術野および剛性リザーバに接続して、手術野からの血液吸引を継続し;
第一の血液回収リザーバの流出口を自動血液処理システムの流体経路流入口に接続し;および
自動血液処理システムを作動させて回収された血液を清浄化し、それを患者に対して自家的に戻すことを含む、方法。
[項22]
流出血液を収集し洗浄するシステムであって、
流出血液を収集するための第一の血液回収リザーバを含み、この第一の血液回収リザーバが:
第一の血液回収リザーバを規定する可撓性ハウジングと、
流出血液が可撓性ハウジング内に収集されうるように、患者の手術野に流体接続されるよう構成された注入ポートと、
第一の血液回収リザーバを真空に引くことを許容するように構成され、流体を手術部位から第一の血液回収リザーバ内へと採取する、真空吸気ポートと、そして
可撓性ハウジングの底部表面上に配置された流出口とを有し;
血液回収システムを含み、この血液回収システムが:
血液回収システムを規定する剛性ハウジングと、
真空源に流体接続されるよう構成された真空接続ポートと、そして
第一の血液回収リザーバ上の真空吸気ポートに流体接続されるよう構成され、それにより第一の血液回収リザーバを真空に引くことを許容するように構成された、真空排気ポートとを有し;および
流体接続セットを含み、この流体接続セットが:
第一の血液回収リザーバ上の流出ポートに接続するよう構成された第一のコネクタと、
自動血液処理システム上の流入口に接続するよう構成された第二のコネクタと、そして
第一のコネクタと第二のコネクタの間に延びるチューブとを有し、流体接続セットは第一の血液回収リザーバの流出口と自動血液処理システムを流体接続するように構成され、
第一の血液回収リザーバは、流入ポートが手術部位に流体接続され、そして真空吸気ポートが血液回収システム上の真空排気ポートに流体接続される収集モードを有し、第一の血液回収リザーバは収集モードにある場合、手術部位からの流出血液を収集するように構成され、
第一の血液回収リザーバはまた、流入ポートが手術部位から流体的に切り離され、真空吸気ポートが血液回収システム上の真空排気ポートから流体的に切り離され、そして流体接続セット上の第一のコネクタが流出口に接続される処理モードを有し、それによって第一の血液回収リザーバを自動血液処理システムに流体接続し、自動血液処理システムは流出血液の少なくとも一部を処理し、自家的に再輸注するよう構成されている、システム。
[項23]
流出血液を収集するための第二の血液回収リザーバをさらに含み、この第二の血液回収リザーバが:
第二の血液回収リザーバを規定する第二の可撓性ハウジングと、
第一の血液回収リザーバが処理モードにある場合に手術野に流体接続されるよう構成され、流出血液が第二の可撓性ハウジング内に収集されるようにする第二の注入ポートと、および
第二の血液回収リザーバを真空に引くことを許容するように構成され、第一の血液回収リザーバが処理モードにある場合に、流体を手術部位から第二の血液回収リザーバ内へと採取する真空吸気ポートとを含む、項22によるシステム。
【0050】
本発明の更にいくつかの態様を以下に記す。
1.流出血液を収集し洗浄するシステムを操作する方法であって:
注入ポート、排出ポート、および真空吸気ポートを有する第一の血液回収リザーバを提供し;
真空接続ポートおよび真空排気ポートを有する血液回収システムを提供し、第一の血液回収リザーバ上の真空吸気ポートは血液回収システム上の真空排気ポートに流体接続され;
血液回収システム上の真空接続ポートを真空源に流体接続し;
第一の血液回収リザーバおよび血液回収システムを真空に引いて、血液を血液回収リザーバ内へと採取するよう真空源を操作し;
ある容積の流出血液を第一の血液回収リザーバ内に収集し;
第一の血液回収リザーバを血液回収システムから切り離し;
第二の血液回収リザーバを血液回収システムに流体接続し、血液を第二の血液回収リザーバへと採取し、第一の血液回収リザーバが血液回収システムに接続されている場合、第二の血液回収リザーバは血液回収システムに接続されておらず;
第一の血液回収リザーバの流出ポートを自動血液処理システムに流体接続し;
収集された血液を自動血液処理システム内へと導入し;
自動血液処理システムへと導入された血液を洗浄するよう自動血液処理システムを使用し;および
洗浄された血液の少なくとも一部をラインに送るようポンプを操作することを含む方法。
2.自動血液処理システム内に導入された血液を洗浄するよう自動血液処理システムを使用することが:
抗凝固剤を収集された血液に導入するようポンプを操作し;
抗凝固処理された血液を血液成分分離装置に導入するようポンプを操作し、血液成分分離装置が抗凝固処理された血液を赤血球および少なくとも第二の血液成分に分離し;
少なくとも第二の血液成分を廃棄物容器に送出し;および
洗浄液を血液成分分離装置内に導入するようポンプを操作して赤血球を洗浄することを含む、上記1による方法。
3.洗浄された血液の少なくとも一部をラインに送ることが、洗浄された赤血球をラインに送ることを含む、上記2による方法。
4.第一の血液回収リザーバが可撓性リザーバである、上記1による方法。
5.血液回収システムが剛性ハウジングを含む、上記1による方法。
6.第一の血液回収リザーバ内に採取された血液の量を監視することをさらに含む、上記1による方法。
7.第一の血液回収リザーバを血液回収システムから切り離すことが、第一の血液回収リザーバ内に所定容積の血液が採取された時点で第一の血液回収リザーバを切り離すことを含む、上記1による方法。
8.血液の所定容積が100mLから500mLの間である、上記7による方法。
9.第一の血液回収リザーバの流出ポートが自動血液処理システムへと、流体接続セットを介して流体接続される、上記1による方法。
10.流体接続セットが:
第一の血液回収リザーバの流出ポートに接続されるよう構成された第一のコネクタ;
自動血液処理システム上の流入口に接続されるよう構成された第二のコネクタ;および
第一のコネクタと第二のコネクタの間に延び、第一の血液回収リザーバと自動血液処理システムを流体接続するように構成されたチューブを含む、上記9による方法。
11.第一のコネクタがスパイクである、上記10による方法。
12.流体接続セットがチューブ上に配置され、チューブを通る流体の流れを阻止するように構成された少なくとも一つのバルブを含む、上記10による方法。
13.第一の血液回収リザーバが、第一の血液回収リザーバを支持するように構成された剛性フレーム内に収容されている、上記1による方法。
14.流出血液を収集し洗浄するシステムを操作する方法であって:
注入ポート、排出ポート、および真空吸気ポートを有する第一の血液回収リザーバを提供し;
真空接続ポートおよび真空排気ポートを有する血液回収システムを提供し;
第一の血液回収リザーバ上の真空吸気ポートを血液回収システム上の真空排気ポートに流体接続し;
血液回収システム上の真空接続ポートを真空源に流体接続し;
第一の血液回収リザーバおよび血液回収システムを真空に引いて、血液を血液回収リザーバ内へと採取するよう真空源を操作し;
ある容積の流出血液を第一の血液回収リザーバ内に収集し;
第一の血液回収リザーバを血液回収システムから切り離し;
第二の血液回収リザーバを血液回収システムに流体接続し、継続的に第二の血液回収リザーバへと血液採取を行い、第一の血液回収リザーバが血液回収システムに接続されている場合、第二の血液回収リザーバは血液回収システムに接続されておらず;
第一の血液回収リザーバの流出ポートを自動血液処理システムに流体接続し;
収集された血液を自動血液処理システムに導入し;
自動血液処理システム内へと導入された血液を洗浄するよう自動血液処理システムを操作し;および
洗浄された血液の少なくとも一部をラインに送ることを含む、方法。