(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】無線LAN用リピータおよび無線LANシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/26 20090101AFI20240229BHJP
H04W 72/53 20230101ALI20240229BHJP
H04W 72/0453 20230101ALI20240229BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240229BHJP
H04W 4/30 20180101ALI20240229BHJP
【FI】
H04W16/26
H04W72/53
H04W72/0453
H04W84/12
H04W4/30
(21)【出願番号】P 2022195895
(22)【出願日】2022-12-07
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2021212002
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】393010318
【氏名又は名称】エレコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】弁理士法人クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】出浦 弘善
(72)【発明者】
【氏名】狩谷 祐一
(72)【発明者】
【氏名】谷川 篤
【審査官】野村 潔
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-014024(JP,A)
【文献】特表2022-546902(JP,A)
【文献】特開2017-005463(JP,A)
【文献】特開2013-012798(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0058856(US,A1)
【文献】特開2016-086263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続されるとともに、第1のホストと屋内通信経路により接続される場合に使用される離れ家モードを備える無線LAN用リピータであって、
2.4GHz帯で通信可能な無線通信回路と、5GHz帯で通信可能な無線通信回路と、6GHz帯で通信可能な無線通信回路とを備え、
前記離れ家モードの立ち上げ時において、6GHz帯VLP(Very Low Power)、5GHzW56帯、および2.4GHz帯のうちの接続可能な周波数帯の中から最適な通信環境を選択して前記無線LAN用ルータに接続するとともに、
前記第1のホストに対しては、前記第1のホストの要求に合わせて、2.4GHz帯、5GHz帯、および/または6GHz帯で接続する、無線LAN用リピータ。
【請求項2】
前記2.4GHz帯で通信可能な無線通信回路、前記5GHz帯で通信可能な無線通信回路、および前記6GHz帯で通信可能な無線通信回路はそれぞれ1つの回路で構成される、請求項1に記載の無線LAN用リピータ。
【請求項3】
前記無線LAN用ルータと6GHz帯VLPでの接続が不可能な場合に、前記無線LAN用ルータに6GHz帯VLPで接続を可能とするよう要求し、
6GHz帯VLPでの接続が可能になった場合には、再度、6GHz帯VLP、5GHzW56帯、および2.4GHz帯のうちの接続可能な周波数帯の中から最適な通信環境を選択して前記無線LAN用ルータに接続する、請求項1に記載の無線LAN用リピータ。
【請求項4】
前記無線LAN用ルータと5GHzW56帯で接続していて、5GHzW56帯での接続が不可になった場合に、5GHzW56帯の別のチャネルでの接続を試み、
5GHzW56帯の別のチャネルでの接続ができなかった場合には、6GHz帯VLPおよび2.4GHz帯のうちの接続可能な周波数帯の中から最適な通信環境を選択して前記無線LAN用ルータに接続する、請求項1に記載の無線LAN用リピータ。
【請求項5】
前記無線LAN用ルータと5GHzW56帯で接続していて、5GHzW56帯での接続が不可になった場合に、6GHz帯VLPまたは2.4GHz帯で前記無線LAN用ルータと接続するとともに、5GHzW56帯の別のチャネルでの接続の可能性を調査し、
5GHzW56帯の別のチャネルでの接続が可能になった場合には、再度、6GHz帯VLP、5GHzW56帯、および2.4GHz帯のうちの接続可能な周波数帯の中から最適な通信環境を選択して前記無線LAN用ルータに接続する、請求項1に記載の無線LAN用リピータ。
【請求項6】
前記無線LAN用ルータとの6GHz帯VLP、および5GHzW56帯での接続が可能かどうかを所定の時間間隔で確認し、6GHz帯VLP、および5GHzW56帯のうちのいずれかが接続不可から接続可能となった場合には、再度、6GHz帯VLP、5GHzW56帯、および2.4GHz帯のうちの接続可能な周波数帯の中から最適な通信環境を選択して前記無線LAN用ルータに接続する、請求項1に記載の無線LAN用リピータ。
【請求項7】
複数のSSIDを備え、前記無線LAN用ルータとの接続のSSIDは6GHz帯VLPに対応し、前記第1のホストとのSSIDは6GHz帯LPIに対応する、請求項1に記載の無線LAN用リピータ。
【請求項8】
母屋に配置され
た無線LAN用ルータおよ
び第2のホストと、
離れ家に配置された、請求項1から7のいずれか1項に記載の無線LAN用リピータおよび前記第1のホストと、から構成され、
前記無線LAN用リピータ
は、前記離れ家モードに設定され、
前記無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続されるとともに、前記無線LAN用ルータは前記第2のホストと屋内通信経路により接続され、前記無線LAN用リピータは前記第1のホストと屋内通信経路により接続される、無線LANシステム。
【請求項9】
前記無線LAN用ルータと前記無線LAN用リピータとはそれぞれ複数のSSIDを備え、
前記無線LAN用ルータと前記第2のホストとの接続のSSIDと、前記無線LAN用リピータと前記第1のホストとの接続のSSIDとは同一のSSIDであり、
前記無線LAN用ルータと前記無線LAN用リピータとの接続のSSIDは前記同一のSSIDとは異なる、請求項
8に記載の無線LANシステム。
【請求項10】
前記無線LAN用リピータの前記5GHz帯の無線通信回路はレーダー電波検出回路を有し、
前記無線LAN用リピータが5GHzW56帯でのレーダーの電波を検出した場合に、前記無線LAN用リピータは前記無線LAN用ルータにレーダーの電波検出情報を伝達し、前記無線LAN用ルータはレーダーの電波を検出したと判定する、請求項
8に記載の無線LANシステム。
【請求項11】
母屋に配置された無線LAN用ルータおよび第2の無線LAN用リピータと、
離れ家に配置された、請求項1から7のいずれか1項に記載の第1の無線LAN用リピータおよび前記第1のホストと、から構成され、
前記第2の無線LAN用リピータと前記無線LAN用ルータとは屋内通信経路により接続され、
前記第1の無線LAN用リピータは前記離れ家モードに設定され、屋外通信経路を経由して前記第2の無線LAN用リピータと接続されるとともに、前記第1のホストと屋内通信経路により接続される、無線LANシステム。
【請求項12】
母屋に配置され
た無線LAN用ルータと、
離れ家に配置された、請求項1から7のいずれか1項に記載の第1の無線LAN用リピータ、第3の無線LAN用リピータ、および前記第1のホストと、から構成され、
前記第1の無線LAN用リピー
タは、前記離れ家モードに設定され、
前記無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続され、
前記第3の無線LAN用リピータは、前記第1の無線LAN用リピータと屋内通信経路により接続されるとともに、前記第1のホストと屋内通信経路により接続される、無線LANシステム。
【請求項13】
母屋に配置され
た無線LAN用ルータと、
第1の離れ家に配置された請求項1から7のいずれか1項に記載の第4の無線LAN用リピータと、
第2の離れ家に配置された、請求項1から7のいずれか1項に記載の第1の無線LAN用リピータおよび第1のホストと、から構成され、
前記第4の無線LAN用リピー
タは、前記離れ家モードに設定され、
前期無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続され、
前記第1の無線LAN用リピータは前記離れ家モードに設定され、前記第4の無線LAN用リピータと屋外通信経路を経由して接続されるとともに、前記第1のホストと屋内通信経路により接続される、無線LANシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LAN周波数帯域切換方法を備えた無線LAN用リピータ、無線LAN用ルータ、および無線LANシステムに関する。
なお、本発明における無線LAN用ルータとは、無線LANの親機のことであって、ルータ機能を有しない無線LAN用アクセスポイントも含まれる。
【背景技術】
【0002】
無線LANの周波数帯域切換方法を備えた無線通信装置については、以下の発明が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2003-333640号公報)には、5.2GHz帯と2.4GHz帯など、複数の周波数帯に対応させた無線通信装置において、無線通信装置の制御部が、当該装置が屋内にあるか屋外にあるかを判断して通信周波数帯を適法に選択できるようにする方法として、ベース装置との間で無線通信システムを構成する表示端末に、一方向に指向感度の高い検出用アンテナを、その指向感度の高い方向が重力の方向と逆の方向に向くように設け、検出用アンテナから検出用送信信号を放射させ、その電波による反射物からの反射波を検出用アンテナで受信し、処理回路で処理する。その処理結果から、制御部(CPU)は、表示端末が屋内にあるか否かを判断して通信周波数帯を選択する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2015-192315号公報)には、中継機能をもつ無線通信装置において、小型で簡易な構成、かつ確実な判定手段に基づいて、法令などで禁止されている周波数帯を使用せず、適切な周波数による通信を行う無線通信装置として、所定の通信条件に従い第1の無線信号で接続先と通信する第1の無線通信部と、第2の無線信号で通信する第2の無線通信部と、通信条件として可能なものを判定し、その判定結果を出力する通信方式判定部と、判定結果を含む所定の許否基準に基づき第2の無線通信部に対し所定の周波数帯の使用の許否を指示する制限部と、を備える無線通信装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3(特開2004-336351号公報)には、所定条件下での使用が禁止されている周波数帯でも送受信が可能な無線LAN機器を使用する際の警告方法に関し、所定条件下での使用が禁止されている周波数帯を利用して、無線LAN機器が通信を開始しようとしているか否か検出し、周波数帯を利用して通信を開始しようとしている場合には、所定条件下では周波数帯の使用が禁止されていることを示す警告を発することを特徴とする無線LAN機器使用時の警告方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献4(国際公開第2012/137908号公報)には、異なる周波数帯の中から、位置情報に即した周波数帯を採用する無線通信方式を選択して無線サービスエリアを形成する機能を備えた無線通信装置であって、外部ネットワークと接続する第1の無線通信部と、それぞれ異なる第1の周波数帯と、第2の周波数帯とのいずれかを用いて、外部ネットワークと接続可能なサービスエリアを形成する第2の無線通信部と、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報に基づいて、第1の周波数帯と、第2の周波数帯とのいずれかを選択する選択部と、を備える無線通信装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-333640号公報
【文献】特開2015-192315号公報
【文献】特開2004-336351号公報
【文献】国際公開第2012/137908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、無線LANにおいて、2.4GHz帯と5GHz帯とが使用可能となり、さらに5GHz帯では、5.2GHz帯のW52、5.3GHz帯のW53、5.6GHz帯のW56が使用可能となっている。これに伴って、無線LANの通信機能を搭載した、ルータ、リピータ(ルータとホストとを接続する中継機能を有する通信機)、およびコンピュータ等のホストにおいても、2.4G、W52、W53、W56のすべての周波数での通信機能を備えたものが広く提供されている。
しかし、5.2GHz帯の周波数は、衛星通信システムのフィーダリンクと周波数が重複し、また、5.3GHz帯および5.6GHz帯は気象レーダーと周波数が重複ないし隣接するために、家庭用の無線LANでは、各周波数帯域ごとに使用上の制限が課されている。
【0009】
最近、全世界的に6GHz帯の周波数を無線LANに使用する取り組みが始まっている。米国ではすでに、U-NII 5(5.925-6.425GHz)およびU-NII 7(6.525-6.875GHz)では、Standard Power AP(標準パワーアクセスポイント、屋外での通信が可能)およびLow Power AP(低パワーアクセスポイント、屋内での通信に限定)としての使用が許可されている。また、U-NII 6(6.425-6.525GHz)、およびU-NII 8(6.875-7.125GHz)では、Low Power APに限定しての使用が許可されている。その他、さらに出力の小さいVery Low Powerについても検討が進められている。
日本でも、2022年9月2日6GHz帯無線LANの導入に関する新たな省令を公布、施行し、小電力データ通信システムとして、6GHz帯の新たな周波数帯(5925MHz~6425MHz)が規定された。新たな省令では、屋内限定で使用できる無線局は等価等方輻射電力(EIRP)が最大200mW相当のLPI(Low Power Indoor)、屋内外で使用できる無線局はEIRPが最大25mW相当のVLP(Very Low Power)が対象として定められている。
下記表1に、2022年9月現在での周波数帯域ごとの制約を示す。
【0010】
【0011】
表1に記載のように、2.4GHz帯およびW56帯は屋内および屋外で使用可能であるが、W52帯およびW53帯は屋内でのみ使用可能である。
また、DFS(Dynamic Frequency Selection)とは主に気象観測用として使われているCバンドレーダーへの悪影響を避けるため、無線LAN機器にレーダー電波の検出と、検出時の発信停止(および他チャネルへの移動)を義務付けたものである。W53帯、およびW56帯においてDFS機能の搭載が義務付けられている。
6GHz帯については、VLPは屋内および屋外で使用可能であるが、LPIは屋内でのみ使用可能である。
【0012】
最近、無線LANの利用法として、
図16に描かれているように、母屋にルータを置き、離れ家にリピータを置いて、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータの間を無線LANで通信し、さらに無線LAN用リピータと離れ家の屋内にあるホストとの間をまた無線LANで通信するとの利用法が始まっている。
この場合、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータの間は屋外通信経路に相当するため、2.4GHz帯、5GHzW56帯、または6GHz帯VLPを用いて通信しなければならない。しかし、従来の無線LAN用ルータおよび無線LAN用リピータでは5GHzW52帯、W53帯および6GHz帯LPIでも技術的には通信可能であるため、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータの間を屋外通信経路を経由して5GHzW52帯、W53帯または6GHz帯LPIで接続し、結果的に法令違反を犯しレーダー等に悪影響を与えている場合もあると考えられる。
また、立ち上げ時、屋外使用が法令で認められていてかつ通信容量が大きいW56でルータとリピータの間を通信している場合において、無線LAN用ルータでレーダー電波が検出された場合に、無線LAN用ルータの制御アルゴリズムによっては、屋外使用が禁止されているW52またはW53に無線周波数帯域が切り換えられる可能性もある。
また、レーダー電波を検出した場合にホストとの通信をW56から2.4GHz帯に切り替える機能を有している無線LAN用リピータにおいても、レーダー電波を検出したとの情報が無線LAN用ルータに伝達できないため、無線LAN用ルータでレーダー電波を検出できなかった場合には、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータとの通信がW56帯のままになる可能性もある。
【0013】
特許文献1に記載の発明では、ベース装置との間で無線通信システムを構成する表示端末に当該装置が屋内にあるか屋外にあるかを判断するための検出器を搭載している。しかし、特許文献1に記載の検出器が検出するのは当該装置が屋内にあるか屋外にあるかであって、
図6に描かれているような、無線LAN用リピータは屋内にあり、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータの間が屋外である場合には屋内と判断されてしまう。
【0014】
また、特許文献2に記載の発明の無線通信装置(無線LAN用リピータ)では、ルータと接続される第1の通信部がW52帯またはW53帯を使用中である場合、すなわち、ルータとリピータの間が屋内通信経路であると判断される場合にのみ、ホストと接続される第2の通信部に対してW52帯とW53帯の使用が許可されている。しかし、
図6に描かれているような、無線LAN用リピータとホストは屋内にあり、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータの間が屋外通信経路である場合には、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータの間が2.4GHzまたはW56帯を使用中であっても、無線LAN用リピータとホストとの間はW52帯またはW53帯を使用することが可能である。したがって、特許文献2に記載の発明の制御アルゴリズムは、
図6に描かれているような使用法に対しては適切でない。
【0015】
また、特許文献3に記載の発明は、無線LANを搭載した情報通信装置の発明であって、無線LAN用リピータにおいて必須の機能であるホストとの通信に関する記載がないこと、また、レーダー電波が検出された場合についての記載がないことから、本発明が解決しようとする課題の解決策とはならない。
【0016】
また、特許文献4に記載の発明では自装置の位置情報を取得し、自機の位置が、屋外で利用されている可能性が高い位置である場合、第1の周波数帯と第2の周波数帯のうち、屋外での利用が認められている周波数帯を用いた無線通信方式を選択する。しかし、特許文献4に記載の発明の場合も位置情報を検出するのは自装置のみであり、したがって、
図6に描かれているような、無線LAN用リピータとホストは屋内にあり、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータの間が屋外である場合には使用できる無線通信方式に関する判断を誤る可能性がある。
また、特許文献4にもレーダー電波が検出された場合についての記載はない。
【0017】
本発明の主な目的は、離れ家などに配置されて、母屋などに配置された無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続される無線LAN用リピータにおいて、法令で定められた屋外で使用可能な電波帯域を使用し、かつ、より通信容量の大きな周波数帯を優先的に使用することのできる、無線LANチャネル切換方法を備えた無線LAN用リピータ、無線LAN用ルータ、および無線LANシステムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、無線LAN用リピータと屋外通信経路を経由して接続される無線LAN用ルータにおいて、W56帯のレーダー電波が検出されて無線LAN用ルータと無線LAN用リピータとの既存のチャネルでの接続が不可能になった場合に、できる限り通信容量の大きな周波数帯で再接続するとともに、無線LAN用ルータとより通信容量の大きな周波数帯で接続可能になった場合には、その周波数帯に最大限早く復帰することできる無線LANチャネル切換方法を備えた無線LAN用リピータ、無線LAN用ルータ、および無線LANシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(1)
一局面に従う無線LAN用リピータは、無線LAN用ルータと屋外通信経路を経由して接続されるとともに、第1のホストと屋内通信経路により接続される場合に使用される離れ家モードを備える無線LAN用リピータであって、2.4GHz帯で通信可能な無線通信回路と、5GHz帯で通信可能な無線通信回路と、6GHz帯で通信可能な無線通信回路とを備え、離れ家モードの立ち上げ時において、6GHz帯VLP(Very Low Power)、5GHzW56帯、および2.4GHz帯のうちの接続可能な周波数帯の中から最適な通信環境を選択して無線LAN用ルータに接続するとともに、第1のホストに対しては、第1のホストの要求に合わせて、2.4GHz帯、5GHz帯、および/または6GHz帯で接続する。
なお、無線LAN用リピータと第1のホストとの接続が6GHz帯の場合は、6GHz帯LPI(Low Power Indoor)で接続してもよい。
また、上記6GHz帯、5GHz帯、または2.4GHz帯において、同じ周波数帯で無線LAN用ルータとホストとに同時に接続する場合には、それぞれの周波数帯では同一チャネルを使用して接続する。また、2.4GHz帯、5GHzW56帯、および/または6GHz帯で接続するとは、2.4GHz帯、5GHzW56帯および6GHz帯からなる群より選択される周波数帯で接続することをいい、単独およびすべての組み合わせを含む。
【0019】
無線LAN用ルータを母屋に配置し、無線LAN用リピータを母屋と独立した離れ家に配置した場合、無線LAN用リピータは屋外通信経路を経由して無線LAN用ルータと接続されるため、5GHzW52帯、W53帯、または6GHz帯LPIを使用した場合には法令違反となる。しかし、一局面に従う無線LAN用リピータでは、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータとの間の通信に、屋外での通信が許可された6GHz帯VLP、5GHzW56帯または2.4GHz帯のみを使用するため、衛星通信システム、気象レーダーおよび電通業務(固定衛星等)などに影響を与える可能性がなく、法令違反となることがない。
【0020】
また、一局面に従う無線LAN用リピータでは、6GHz帯VLP、5GHzW56帯、および2.4GHz帯のうち最適な通信環境を選択して接続する。したがって、例えば、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータとの距離が遠い場合など、周波数帯域は広いがEIRPが最大25mW相当と小さい6GHz帯VLPよりも、周波数帯域は狭いがEIRPが最大1000mW(TPCありの場合)と大きい5GHzW56帯の方が通信容量が大きい場合には、5GHzW56帯を選択することにより、より通信容量が大きい通信環境を選択することができる。
なお、無線LAN用リピータが5GHz帯で通信可能な無線通信回路を2つ以上備えている場合には、5GHz帯において、無線LAN用ルータとの接続をW56帯とし、第1のホストとの接続をW52またはW53とすることもできる。
【0021】
(2)
第2の発明に係る無線LAN用リピータは、一局面に従う無線LAN用リピータにおいて、2.4GHz帯で通信可能な無線通信回路、5GHz帯で通信可能な無線通信回路、および6GHz帯で通信可能な無線通信回路はそれぞれ1つの回路で構成されてもよい。
【0022】
この場合、無線通信回路の回路規模を抑えることができる。
なお、今後実用化が期待されるWiFi7等において、接続時に複数の周波数帯を同時に利用できるマルチリンクオペレーション(MLO)を使用する場合には、MLOをスムーズに開始するために、無線LAN用リピータとホストとの5GHz帯での接続をW56に限定することが望ましい。
【0023】
(3)
第3の発明に係る無線LAN用リピータは、一局面に従う無線LAN用リピータにおいて、無線LAN用ルータと6GHz帯VLPでの接続が不可能な場合に、無線LAN用ルータに6GHz帯VLPで接続を可能とするよう要求し、6GHz帯VLPでの接続が可能になった場合には、再度、6GHz帯VLP、5GHzW56帯、および2.4GHz帯のうちの接続可能な周波数帯の中から最適な通信環境を選択して無線LAN用ルータに接続してもよい。
【0024】
本発明の無線LAN用リピータは、屋内にあるホストとの接続として6GHz帯が使用可能であれば通信容量が大きい6GHz帯LPIで接続する。しかし、無線LAN用リピータが接続端末毎にLPI/VLP設定が可能な機能を有する場合には、無線LAN用リピータは、無線LAN用ルータとは6GHz帯VLPで接続することも可能である。
このような機能を有する無線LAN用リピータにおいて、無線LAN用ルータが6GHz帯VLPでの接続を許可しておらず、5GHzW56帯または2.4GHz帯で接続している場合に、無線LAN用リピータは無線LAN用ルータに6GHz帯VLPでの接続要求を送り、6GHz帯VLPでの接続が可能になれば、再度、6GHz帯VLP、5GHzW56帯、および2.4GHz帯のうちの接続可能な周波数帯の中から最適な通信環境を選択して無線LAN用ルータに接続することにより、6GHz帯VLPの通信環境が最適な場合には、6GHz帯VLPに切り替えて無線LAN用ルータと無線LAN用リピータとの通信容量を大きくすることができる。
【0025】
なお、接続端末毎にLPI/VLP設定が可能な機能を有しない無線LAN用リピータにおいても、例えば無線LAN用リピータのホストに6GHz帯で通信できるホストがない場合など、ホストとの接続に6GHz帯LPIを使用する必要がない場合、あるいは無線LAN用リピータと無線LAN用ルータとの通信容量を無線LAN用リピータとホストとの通信容量より優先して大きくしたい場合には、無線LAN用リピータは無線LAN用ルータに6GHz帯VLPでの接続要求を送ってもよい。
ただし、無線LAN用ルータが6GHz帯VLPでの接続要求を受け入れることは無線LAN用ルータの標準機能ではなく、独自機能である。したがって、無線LAN用ルータが6GHz帯VLPでの接続要求を受け入れ、6GHz帯VLPでの接続を許可するためには、離れ家モードを備えた無線LAN用ルータを使用する必要がある。
【0026】
(4)
第4の発明に係る無線LAN用リピータは、一局面に従う無線LAN用リピータにおいて、無線LAN用ルータと5GHzW56帯で接続していて、5GHzW56帯での接続が不可になった場合に、5GHzW56帯の別のチャネルでの接続を試み、5GHzW56帯の別のチャネルでの接続ができなかった場合には、6GHz帯VLPおよび2.4GHz帯のうちの接続可能な周波数帯の中から最適な通信環境を選択して無線LAN用ルータに接続するようにしてもよい。
【0027】
無線LAN用リピータが、無線LAN用ルータと5GHzW56帯のチャネルで接続している場合、無線LAN用ルータはレーダー電波をモニターし、レーダー電波が検出された場合には、接続中の5GHzW56帯のチャネルでの接続を停止し、6GHz帯VLP、5GHzW56帯の別のチャネル、および/または2.4GHz帯のうちのいずれかでの通信が可能であることを無線LAN用リピータに伝達する。
この場合、無線LAN用リピータは、まず、5GHzW56帯の別のチャネルでの接続を試み、接続が可能であれば別のチャネルでの接続を継続する。
一方、5GHzW56帯の別のチャネルでの接続が不可能な場合には、6GHz帯VLPおよび2.4GHz帯のうちの接続可能な周波数帯の中から最適な通信環境を選択して無線LAN用ルータに接続する。
5GHzW56帯の別のチャネルでの接続を優先するのは、レーダー電波が検出されるたびに立ち上げ時に戻ることにより、無線LAN用リピータの処理量が増加すること、また、第1のホストとの接続の変更などにより、無線LAN用リピータと第1のホストと間の通信への影響を避けるためである。
【0028】
(5)
第5の発明に係る無線LAN用リピータは、一局面に従う無線LAN用リピータにおいて、無線LAN用リピータが、無線LAN用ルータと5GHzW56帯で接続していて、5GHzW56帯での接続が不可になった場合に、6GHz帯VLPまたは2.4GHz帯で無線LAN用ルータと接続するとともに、5GHzW56帯の別のチャネルでの接続の可能性を調査し、5GHzW56帯の別のチャネルでの接続が可能になった場合には、再度、6GHz帯VLP、5GHzW56帯、および2.4GHz帯のうちの接続可能な周波数帯の中から最適な通信環境を選択して無線LAN用ルータに接続してもよい。
【0029】
第4の発明に係る無線LAN用リピータでは、まず、5GHzW56帯の別のチャネルでの接続を試み、接続が可能であれば別のチャネルで接続することにより、無線LAN用リピータの処理量の増加と無線LAN用リピータと第1のホストと間の通信への影響とを抑えている。
しかし、この場合、別のチャネルで接続するためには、少なくとも1分間レーダーの電波がないことを確認する必要がある。したがって、少なくとも1分間は無線LAN用ルータと無線LAN用リピータとの接続が停止する。
第5の発明に係る無線LAN用リピータでは、この1分間の通信停止を避けるために、まず、6GHz帯VLPまたは2.4GHz帯で無線LAN用ルータと接続し、並行して5GHzW56帯の別のチャネルでの接続の可能性を調査し、5GHzW56帯の別のチャネルでの接続が可能になった場合には、再度、6GHz帯VLP、5GHzW56帯、および2.4GHz帯のうちの接続可能な周波数帯の中から最適な通信環境を選択して無線LAN用ルータに接続するようにしている。
なお、5GHzW56帯の別のチャネルでの接続が可能になった場合に、無線LAN用ルータとの接続を5GHzW56帯の別のチャネルに切り替えるようにしてもよい。
【0030】
(6)
第6の発明に係る無線LAN用リピータは、一局面に従う無線LAN用リピータにおいて、無線LAN用ルータとの6GHz帯VLP、および5GHzW56帯での接続が可能かどうかを所定の時間間隔で確認し、6GHz帯VLP、および5GHzW56帯のうちのいずれかが接続不可から接続可能となった場合には、再度、6GHz帯VLP、5GHzW56帯、および2.4GHz帯のうちの接続可能な周波数帯の中から最適な通信環境を選択して無線LAN用ルータに接続するようにしてもよい。
【0031】
立ち上げ時において、6GHz帯VLP、5GHzW56帯、および2.4GHz帯のうち接続可能な周波数帯の中から最適な通信環境を選択して接続した場合でも、所定の時間経過後には6GHz帯VLP、および5GHzW56帯のうちのいずれかが接続不可から接続可能に変更されていることがある。
例えば、無線LAN用ルータと6GHz帯LPIで接続していたスマートフォンなどのモバイル機器が利用者とともに外出した場合、または、時間帯によってレーダーの電波が途絶える場合などである。
したがって、無線LAN用ルータとの6GHz帯VLP、および5GHzW56帯での接続が可能かどうかを確認し、6GHz帯VLP、および5GHzW56帯のうちのいずれかが接続不可から接続可能に変更された場合に、離れ家モードの立ち上げ時に戻って最適な通信環境を選択して接続しなおすことが望ましい。
なお、この場合の所定の時間とは例えば30分である。
【0032】
(7)
第7の発明に係る無線LAN用リピータは、一局面に従う無線LAN用リピータにおいて、複数のSSIDを備え、無線LAN用ルータとの接続のSSIDは6GHz帯VLPに対応し、第1のホストとのSSIDは6GHz帯LPIに対応してもよい。
【0033】
この場合、屋外通信経路を経由して接続される無線LAN用ルータは6GHz帯VLPに対応したSSIDに所属させ、屋内通信経路により接続される第1のホストは6GHz帯LPIに対応したSSIDに所属させることによって、確実に法令違反の回避と第1のホストへの通信容量の最大化とを図ることができる。
【0034】
(8)
第8の発明に係る無線LAN用ルータは、無線LAN用リピータと屋外通信経路を経由して接続されるとともに、第2のホストと屋内通信経路により接続される場合に使用される離れ家モードを備える無線LAN用ルータであって、2.4GHz帯で通信可能な1つの無線通信回路と、5GHz帯で通信可能な無線通信回路と、6GHz帯で通信可能な1つの無線通信回路と、有線のWANおよびLANに接続可能なネットワーク回路とを備え、6GHz帯で通信可能な1つの無線通信回路は、無線LAN用リピータおよび第2のホストの接続端末毎に、6GHz帯VLPと6GHz帯LPIとから選択して通信可能となるように構成される。
ただし、無線LAN用ルータが無線LAN用アクセスポイントの場合は、ネットワーク回路は無くてもよい。
【0035】
この場合、無線LAN用ルータが離れ家モードに設定されていれば、例えば、屋外通信経路を経由して接続される無線LAN用リピータとは6GHz帯VLPで接続し、屋内通信経路により接続される第2のホストとは6GHz帯LPIで接続することができるため、法令に違反することなく、無線LAN用リピータおよび第2のホストに対して、最大限大きな通信容量を提供することができる。
なお、無線LAN用リピータも離れ家モードを備えている場合には、無線LAN用リピータから、屋外通信経路を経由して接続しているとの通知を受けことができるが、一般には無線LAN用リピータとの接続が屋外通信経路を経由しているかどうかは分からない。この場合には、無線LAN用ルータの立ち上げ時に屋外通信経路を経由している接続端末のMACアドレスなどを入力するようにしてもよい。
また、6GHz帯で通信可能な1つの無線通信回路を用いて6GHz帯VLPと6GHz帯LPIとの両方で通信することができるため、無線LAN用ルータの回路規模を抑えることができる。
なお、無線LAN用ルータについても、5GHz帯で通信可能な無線通信回路を2つ以上備えることにより、5GHzの通信において、無線LAN用リピータとの接続をW56、第2のホストとの接続をW52またはW53とすることができる。
【0036】
(9)
第9の発明に係る無線LAN用ルータは、第8の発明に係る無線LAN用ルータにおいて、複数のSSIDを備え、無線LAN用リピータとの接続のSSIDは6GHz帯VLPに対応し、第2のホストとの接続のSSIDは6GHz帯LPIに対応するようにしてもよい。
【0037】
この場合、屋外通信経路を経由して接続される無線LAN用リピータは6GHz帯VLPに対応したSSIDに所属させ、屋内通信経路により接続される第2のホストは6GHz帯LPIに対応したSSIDに所属させることによって、確実に法令違反の回避と第2のホストへの通信容量の最大化とを図ることができる。
【0038】
(10)
第10の発明に係る無線LAN用ルータは、第8の発明に係る無線LAN用ルータにおいて、無線LAN用リピータから識別情報を受信することにより、第2のホストと無線LAN用リピータとを識別してもよい。
【0039】
無線LAN用ルータには、接続端末として第2のホストと無線LAN用リピータとの両方が接続され得るが、無線LAN用ルータから見ると、どの接続端末が第2のホストでありどの接続端末が無線LAN用リピータであるのかを識別できない場合がある。
第10の発明によれば、無線LAN用リピータは、離れ家モードに対応した無線LAN用リピータであることを示す識別情報を送信し、無線LAN用ルータはこの識別情報を受信することによって、どの接続端末が無線LAN用リピータであるのかを識別することができる。
したがって、予めユーザが無線LAN用リピータを識別するための設定(無線LAN用リピータのMACアドレス、IPアドレス、SSIDなどを登録する設定)をしなくとも、どの接続端末が屋内通信経路に対応した通信をすることができる第2のホストであるか、または、どの接続端末が屋外通信経路に対応した通信をする必要がある無線LAN用リピータであるのかを識別することができるので、適切な通信方法を自動的に選択することができる。
なお、一局面から第7のいずれの発明に係る無線LAN用リピータが、この識別情報を送信可能としてもよく、また、第8から第11のいずれの発明に係る無線LAN用ルータが、この識別情報を受信して第2のホストと無線LAN用リピータとを識別可能としてもよい。
【0040】
(11)
第11の発明に係る無線LAN用ルータは、無線LAN用リピータと屋外通信経路を経由して接続されるとともに、第2のホストと屋内通信経路により接続される場合に使用される離れ家モードを備える無線LAN用ルータであって、2.4GHz帯で通信可能な無線通信回路と、5GHz帯で通信可能な無線通信回路と、6GHz帯で通信可能な無線通信回路と、有線のWANおよびLANに接続可能なネットワーク回路とを備え、6GHz帯で通信可能な無線通信回路は、無線LAN用リピータおよび第2のホストのすべての接続端末に対して、6GHz帯VLPと6GHz帯LPIとのうちの一方でのみ通信可能となるように構成され、無線LAN用リピータから6GHz帯VLPで接続可能とするよう要求された場合であって、かつ、無線LAN用ルータが第2のホストと6GHz帯LPIで接続していない場合には、6GHz帯の通信をLPIからVLPに切り替える。
【0041】
無線LAN用ルータは通常、第2のホストと6GHz帯LPIで通信している。この場合、無線LAN用リピータおよび第2のホストのすべての接続端末に対して6GHz帯VLPと6GHz帯LPIとのうちの一方でのみ通信可能となるように構成された無線LAN用ルータは、屋外通信経路を経由して接続される無線LAN用リピータとは6GHzで接続することはできない。
しかし、例えば第2のホストが6GHz帯で通信可能な無線通信回路を持たないなどの理由で、無線LAN用ルータが6GHzLPIで第2のホストと接続していない場合には、無線LAN用ルータの6GHz帯の通信をLPIからVLPに切り替えることによって、無線LAN用リピータとの通信容量を増加させることができる。
また、無線LAN用リピータおよび第2のホストのすべての接続端末に対して6GHz帯VLPと6GHz帯LPIとのうちの一方でのみ通信可能となるように構成された無線LAN用ルータにおいて、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータとの通信容量の増加を優先させたい場合には、第2のホストとの通信も含めて、全ての6GHz帯の通信をVLPに設定してもよい。
なお、無線LAN用リピータも離れ家モードを備えている場合には、無線LAN用リピータから、屋外通信経路を経由して接続しているとの通知を受けことができるが、一般には無線LAN用リピータとの接続が屋外通信経路を経由しているかどうかは分からない。この場合には、無線LAN用ルータの立ち上げ時に屋外通信経路を経由している端末のMACアドレスなどを入力するようにしてもよい。
【0042】
(12)
第12の発明に係る無線LANシステムは、母屋に配置された、第8から第11のいずれかの発明に係る無線LAN用ルータおよび第2のホストと、離れ家に配置された、一局面から第7のいずれかの発明に係る無線LAN用リピータおよび第1のホストと、から構成され、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータとは、ともに離れ家モードに設定され、屋外通信経路を経由して接続されるとともに、無線LAN用ルータは第2のホストと屋内通信経路により接続され、無線LAN用リピータは第1のホストと屋内通信経路により接続される。
【0043】
無線LAN用ルータまたは無線LAN用リピータが離れ家モードを備える場合、無線LAN用ルータまたは無線LAN用リピータを離れ家モードに設定することによって、衛星通信システムおよび気象レーダーに影響を与える可能性がなく、法令違反がなく、かつ最大限通信容量の大きな通信システムを構成することができる。
なお、母屋と離れ家とは、
図16に描かれているように、一般には1つの住居が2つ以上の独立した建物で構成されている場合に、そのうちの主要な建物が母屋に相当し、より小規模な建物が離れ家に相当する。しかし、本明細書では、2つ以上の独立した建物のうち、建物の規模にかかわらず、無線LAN用ルータの配置されている建物が母屋である。
【0044】
しかし、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータとがともに離れ家モードを備える場合には、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータとをともに離れ家モードに設定することにより、さらに、以下のような効果を得ることができる。
1)無線LAN用ルータと無線LAN用リピータとが5GHzW56帯または2.4GHz帯で通信している場合に、無線LAN用リピータは無線LAN用ルータに6GHz帯VLPでの接続要求を送り、無線LAN用ルータはこの接続要求を受けて、無線LAN用ルータが端末ごとにLPI/VLP接続が可能な場合、または他に6GHzLPIで接続する端末がない場合などにおいて、6GHz帯VLPでの接続を可能にすることができる。
2)無線LAN用リピータから無線LAN用ルータに、無線LAN用リピータが屋外通信経路を経由して接続されていることを示す識別情報を送信することができ、無線LAN用ルータは無線LAN用リピータに対して、屋外通信経路を経由しての通信が許可されていない6GHz帯LPI、5GHzW52帯、W53帯での通信を許可しないので、より確実に法令違反をなくすることができる。
なお、上記1)および2)は無線LANシステムの標準機能ではなく、独自機能である。
【0045】
(13)
第13の発明に係る無線LANシステムは、第12の発明に係る無線LANシステムにおいて、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータとはそれぞれ複数のSSIDを備え、無線LAN用ルータと第2のホストとの接続のSSIDと、無線LAN用リピータと第1のホストとの接続のSSIDとは同一のSSIDであり、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータとの接続のSSIDは上記同一のSSIDとは異なってもよい。
【0046】
この場合、第1のホストと第2のホストとは同じSSIDが設定されているので、母屋で使用していたホスト(例えばスマートフォン)が離れ家に移動した場合にも、そのままで無線LANの接続を継続することができる。また、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータとの接続と、無線LAN用ルータまたは無線LAN用リピータとホストとの接続とはSSIDが異なるので、無線LAN用ルータと無線LAN用リピータの接続を屋外通信用に最適な通信(例えばVLP)に、無線LAN用ルータまたは無線LAN用リピータとホストとの接続を屋内通信用に最適な通信(例えばLPI)に対応させることができる。
【0047】
(14)
第14の発明に係る無線LANシステムは、第12の発明に係る無線LANシステムにおいて、無線LAN用リピータの5GHz帯の無線通信回路はレーダー電波検出回路を有し、無線LAN用リピータが5GHzW56帯でのレーダーの電波を検出した場合に、無線LAN用リピータは無線LAN用ルータにレーダーの電波検出情報を伝達し、無線LAN用ルータはレーダーの電波を検出したと判定してもよい。
【0048】
第12の発明に係る無線LANシステムでは、無線LAN用ルータが母屋の中央など外壁から離れた場所に置かれ、無線LAN用リピータが離れ家の外壁近くに置かれている場合もある。このような場合には、無線LAN用ルータのレーダー電波検出回路はレーダー電波を検出しないが、無線LAN用リピータのレーダー電波検出回路はレーダー電波を検出する場合もありうる。
第14の発明に係る無線LANシステムでは、無線LAN用リピータが5GHzW56帯でのレーダーの電波を検出した場合に、無線LAN用リピータが無線LAN用ルータにレーダーの電波検出情報を伝達することによって、無線LAN用ルータはレーダー電波が到来した場合に確実にそのチャネルの使用を中止することができる。
なお、このレーダー電波検出情報伝達機能も、無線LANシステムの標準機能ではなく、独自機能である。
【0049】
(15)
第15の発明に係る無線LANシステムは、母屋に配置された無線LAN用ルータおよび第2の無線LAN用リピータと、離れ家に配置された、一局面から第7のいずれかの発明に係る第1の無線LAN用リピータおよび第1のホストと、から構成され、第2の無線LAN用リピータと無線LAN用ルータとは屋内通信経路により接続され、第1の無線LAN用リピータは離れ家モードに設定され、屋外通信経路を経由して第2の無線LAN用リピータと接続されるとともに、第1のホストと屋内通信経路により接続される。
【0050】
この場合、無線LAN用ルータと第2の無線LAN用リピータとを母屋に備えることによって、同じ母屋内に配置されたより広い範囲、およびより多い台数のホストと通信ができるようになる。
【0051】
(16)
第16の発明に係る無線LANシステムは、母屋に配置された第8から第11のいずれかの発明に係る無線LAN用ルータと、離れ家に配置された、一局面から第7のいずれかの発明に係る第1の無線LAN用リピータ、第3の無線LAN用リピータ、および第1のホストと、から構成され、無線LAN用ルータと第1の無線LAN用リピータとは離れ家モードに設定され、屋外通信経路を経由して接続され、第3の無線LAN用リピータは、第1の無線LAN用リピータと屋内通信経路により接続されるとともに、第1のホストと屋内通信経路により接続される。
【0052】
この場合、第1の無線LAN用リピータと第3の無線LAN用リピータとを離れ家に備えることによって、同じ離れ家内に配置されたより広い範囲、およびより多い台数のホストと通信ができるようになる。
【0053】
(17)
第17の発明に係る無線LANシステムは、母屋に配置された第8から第11のいずれかの発明に係る無線LAN用ルータと、第1の離れ家に配置された一局面から第7のいずれかの発明に係る第4の無線LAN用リピータと、第2の離れ家に配置された、一局面から第7のいずれかの発明に係る第1の無線LAN用リピータおよび第1のホストと、から構成され、無線LAN用ルータと第4の無線LAN用リピータとは離れ家モードに設定され、屋外通信経路を経由して接続され、第1の無線LAN用リピータは離れ家モードに設定され、第4の無線LAN用リピータと屋外通信経路を経由して接続されるとともに、第1のホストと屋内通信経路により接続される。
【0054】
この場合、第8から第11のいずれかの発明に係る無線LAN用ルータを母屋に配置し、一局面から第7のいずれかの発明に係る第1の無線LAN用リピータを第1の離れ家に配置し、さらに、一局面から第7のいずれかの発明に係る第4の無線LAN用リピータを第2の離れ家に配置することによって、互いに独立した3つの建物のホストを1つのルータに接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】無線LAN用ルータ、無線LAN用リピータ、およびホストで構成される無線LANシステムの模式的構成図である。
【
図2】第1の実施形態の、無線LAN用リピータの模式的ブロック図である。
【
図3】第1の実施形態の、無線LAN用リピータ立ち上げ時の動作を示す模式的フローチャートの一例である。
【
図4】第1の実施形態の、無線LAN用リピータ立ち上げ時の動作を示す模式的フローチャートの第1の変形例である。
【
図5】第1の実施形態の、無線LAN用リピータ立ち上げ時の動作を示す模式的フローチャートの第2の変形例である。
【
図6】第1の実施形態の、無線LAN用リピータ再接続チェック時の動作を示す模式的フローチャートの一例である。
【
図7】第2の実施形態の、無線LAN用ルータの模式的ブロック図である。
【
図8】第2の実施形態の、無線LAN用ルータ立ち上げ時の動作を示す模式的フローチャートの一例である。
【
図9】第2の実施形態の、無線LAN用ルータ立ち上げ時の動作を示す模式的フローチャートの変形例である。
【
図10】無線LANシステムの、6GHz帯LPIから6GHz帯VLPへ切り替え時の動作を示す模式的フローチャートである。
【
図11】無線LANシステムの、レーダー電波検出時の動作を示す模式的フローチャートの一例である。
【
図12】無線LANシステムの、レーダー電波検出時の動作を示す模式的フローチャートの他の例である。
【
図13】第3の実施形態の無線LANシステムの模式的構成図である。
【
図14】第4の実施形態の無線LANシステムの模式的構成図である。
【
図15】第5の実施形態の無線LANシステムの模式的構成図である。
【
図16】母屋に無線LAN用ルータを置き、離れ家に無線LAN用リピータを置いて使用する無線LANの使用法の模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする。
【0057】
[無線LANシステム1000]
図1は、無線LAN用ルータ200、無線LAN用リピータ100、およびホスト300、300aで構成される無線LANシステム1000の模式的構成図である。
図1において、無線LAN用ルータ200は第1の建物(以降、母屋400と称する)に、無線LAN用リピータ100は第2の建物(以降離れ家500と称する)の中に配置されている。本実施の形態では、母屋400には光回線のONU等が設けられて有線のインターネット接続が可能な環境があり、離れ家500には有線のインターネット環境がない。そして、離れ家500にある第1のホスト300は母屋400の無線LAN用ルータ200と直接には通信できないか、接続できでも電波が弱く接続が不安定で十分な通信速度が得られない状況にある。なお、ホスト300、300aとは、例えば、無線LANを備えたパーソナルコンピュータ、プリンタ、スマートフォンなどである。
無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100とは別々の建物に配置されているため、屋外通信経路600を経由して通信が行われており、無線LAN用ルータ200と第2のホスト330a、および無線LAN用リピータ100と第1のホスト300とは同一の建物の内部に配置されているため、屋内通信経路700を経由して通信が行われている。
【0058】
6GHz帯の周波数を無線LANに使用する場合、屋内では等価等方輻射電力(EIRP)が最大200mW相当のLPIおよびEIRPが最大25mW相当のVLPが使用できるが、屋外ではEIRPが最大25mW相当のVLPのみが使用できる。
一方、5GHz帯では屋外で使用できるのはW56帯のみであり、しかも、レーダー電波を検知した場合には他のチャネルに移動しなければならないとの規制がある。
本無線LANシステム1000を構成する無線LAN用リピータ100および無線LAN用ルータ200は上記法令に基づく規制を確実に遵守しつつ、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100との間、および無線LAN用リピータ100と第1のホスト300との間の通信容量(速度)の最大化を図るものである。
【0059】
[第1の実施形態の無線LAN用リピータ100]
図2は第1の実施形態の、無線LAN用リピータ100の模式的ブロック図である。
図2に示すように、無線LAN用リピータ100は、2.4GHz帯無線通信回路10、5GHz帯無線通信回路20、6GHz帯無線通信回路30、制御回路40およびデータバッファ50を備えている。また、2.4GHz帯無線通信回路10、5GHz帯無線通信回路20、および6GHz帯無線通信回路30はそれぞれアンテナ11、21、および31を備えている。2.4GHz帯と5GHz帯とは、アンテナと無線通信回路との間にアンテナスイッチ(図示せず)を挿入することにより、アンテナを共用することも可能である。5GHz帯無線通信回路20はレーダー電波検出回路22を備えている。
【0060】
レーダー電波検出回路22は、5GHzW53,W56帯において、無線LAN用リピータ100が第1のホスト300と通信する場合にレーダーの電波をモニターし、レーダーの電波を検知した場合には他のチャネル、または他の周波数帯に移行する、DFS機能のためのものである。
無線LAN用リピータ100は無線LAN用ルータ200と屋外通信経路600を経由して接続されていることから、無線LAN用リピータ100の送信電波は屋外に漏洩していると考えられる。したがって、例えば、無線LAN用リピータ100が無線LAN用ルータ200と6GHz帯VLPで接続されていて、5GHzW56帯でのレーダーの電波が到来した場合、無線LAN用リピータ100が第1のホスト300と5GHzW56帯で接続することは法令違反となる可能性がある。本発明の5GHz帯無線通信回路20のレーダー電波検出回路22がレーダーの電波を検出した場合、無線LAN用リピータ100はホスト300との通信において、非占有期間、レーダーの電波を検出したチャネルでの通信を行わないことによって、法令違反の可能性を未然に防止している。なお、非占有期間(NOP:Non-Occupancy Period)とは、レーダーの電波が検出された場合にチャネルが使用できなくなる期間のことであり、例えば30分である。
【0061】
無線通信回路が各1つの場合、2.4GHz帯、5GHz帯および6GHz帯のそれぞれにおいて通信することができるのは1つのチャネルのみである。したがって、例えば、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100との通信(以下、バックホールともいう)が2.4GHz帯の1つのチャネルで行われている場合は、無線LAN用ルータ200とホスト300との通信は、2.4GHz帯のバックホールと同じチャネル、5GHz帯の任意のチャネル、6GHz帯の任意のチャネルのいずれかで通信することができるが、2.4GHz帯ではバックホールと異なるチャネルで通信することはできない。これは、無線LAN用リピータ100の各周波数帯域での通信チャネルを1つに限定し、無線LAN用リピータ100の回路を簡略化するためである。ただし、5GHz帯では2つの無線通信回路を備えることにより、バックホールをW56、ホストとの接続をW52またはW53とすることもできる。
制御回路40は後述するフローチャートに基づき各無線通信回路を制御するとともに、受信したパケットの情報をデータバッファ50に一時保存し、再構成して所定の送信先に再送信する。
【0062】
(第1の実施形態のフローチャート)
図3、
図4、
図5は第1の実施形態の、無線LAN用リピータ100立ち上げ時の動作を示す模式的フローチャートである。これらのうち、
図3は無線LAN用リピータ100が、6GHz帯の通信において端末(無線LAN用ルータ200および第1のホスト300)毎にLPIとVLPとを選択して通信できる場合のフローチャートである。また、
図4、
図5は無線LAN用リピータ100が、6GHz帯の通信において端末毎にLPIとVLPとを選択して通信できない場合のフローチャートであって、そのうち
図4は、無線LAN用ルータ200との接続優先(無線LAN用ルータ200とVLPで接続しているときは第1のホスト300とLPIでは接続しない)の場合、
図5は第1のホスト300との接続優先(第1のホスト300とLPIで接続しているときは無線LAN用ルータ200と6GHzでは接続しない)の場合のフローチャートである。
また、
図6は無線LAN用リピータ100が無線LAN用ルータ200と6GHz帯VLPで接続されていて5GHzW56帯での接続が可能になった場合、または、5GHzW56帯で接続されていて6GHz帯VLPでの接続が可能になった場合に、再度最適な通信環境を選びなおす場合のフローチャートである。
なお、端末毎にLPIとVLPとを選択して通信する方法としては、端末との通信を開始するたびにLPIとVLPとを選択するようにしてもよいが、例えば、無線LAN用リピータ100が複数のSSID(Service Set Identifier)を備え、LPIで通信する端末とVLPで接続する端末とをそれぞれ別のSSIDに所属させるようにしてもよい。
以下、各図に基づいて無線LAN用リピータ100立ち上げ時の動作を説明する。
【0063】
(
図3のフローチャートの説明)
図3は無線LAN用リピータ100が、6GHz帯の通信において端末(無線LAN用ルータ200および第1のホスト300)毎にLPIとVLPとを選択して通信できる場合のフローチャートである。
第1の実施形態の無線LAN用リピータ100は、立ち上げ時まず無線LAN用ルータ200からの6GHz帯のSSIDを検知できるかどうかを確認する(ステップS1)。
6GHz帯のSSIDを検知している場合は無線LAN用ルータ200と6GHz帯VLPで接続できるかどうかを確認する(ステップS2)。
6GHz帯VLPで接続できる場合はさらに5GHzW56帯でも接続できるかどうかを確認する(ステップS3)。
6GHz帯VLPと5GHzW56帯のどちらでも無線LAN用ルータ200と接続できる場合は6GHz帯VLPと5GHzW56帯のうちの最適な通信環境を選択して無線LAN用ルータ200と接続する(ステップS5)。なお、最適な通信環境の選択では、例えば通信容量の大きさ、エラーレートなどで判断する。
ステップS3において、5GHzW56帯で接続できない場合は2.4GHz帯で無線LAN用ルータ200と接続で切るかどうか確認する(ステップS4)。
6GHz帯VLPと2.4GHz帯のどちらでも無線LAN用ルータ200と接続できる場合は6GHz帯VLPと2.4GHz帯のうちの最適な通信環境を選択して無線LAN用ルータ200と接続する(ステップS6)。
ステップS4において、2.4GHz帯で接続できない場合は6GHz帯VLPで無線LAN用ルータ200と接続する(ステップS7)。
【0064】
無線LAN用ルータ200との接続が完了したら、第1のホスト300に向けて6GHz帯LPI、5GHz帯、および2.4GHz帯のSSIDを発信し、第1のホスト300の要求に合わせて第1のホスト300と接続する。なお、無線LAN用ルータ200と接続されている周波数帯では無線LAN用ルータ200との接続と第1のホスト300との接続とは同一チャネルでなければならない。
なお、6GHz帯VLPと5GHzW56帯、または2.4GHz帯との通信環境を比較するのは、本来ならば周波数帯域の広い6GHz帯VLPがもっとも通信環境がよいはずであるが、6GHz帯VLPはEIRPが小さく、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100との距離、途中の障害物の有無等によっては、5GHzW56帯、または2.4GHz帯の方が通信環境がよい場合があるためである。
【0065】
ステップS2において、6GHz帯VLPで接続できない場合は、無線LAN用リピータ100は、無線LAN用ルータ200と5GHzW56帯で接続できるかどうか確認する(ステップS9)。
5GHzW56帯で接続できる場合は、無線LAN用ルータ200と5GHzW56帯で接続する(ステップS11)。
ステップS9において、5GHzW56帯で接続できない場合は、2.4GHz帯で接続できるかどうか確認する(ステップS10)。
2.4GHz帯で接続できる場合は、無線LAN用ルータ200と2.4GHz帯で接続する(ステップS12)。
ステップS10において、2.4GHz帯でも接続できない場合は、再度ステップS1に戻る。この場合、再度立ち上げを開始するまでの遅延時間、または、立ち上げを繰り返す場合の最大繰り返し回数等を設定してもよい。
【0066】
無線LAN用ルータ200との接続が完了したら、第1のホスト300に向けて6GHz帯LPI、5GHz帯、および2.4GHz帯のSSIDを発信し、第1のホスト300の要求に合わせて第1のホスト300と接続する。
第1のホスト300との接続後、無線LAN用リピータ100は無線LAN用ルータ200に6GHz帯LPIから6GHz帯VLPへの変更(あるいは6GHz帯VLPの追加)を要求してもよい(ステップS14)。
そして、6GHz帯VLPでの接続が可能になれば、ステップS3に戻り、6GHz帯VLP、5GHzW56帯、および2.4GHz帯のうちの最適な通信環境を選択して無線LAN用ルータ200と再接続する(ステップS15)。
この機能は、無線LAN用ルータ200が6GHz帯VLPでの接続が可能であるにもかかわらず6GHz帯VLPのSSIDを発信していない場合などに有効である。ただし、この機能は無線LANの標準化された機能ではないため、無線LAN用ルータ200も離れ家モード(独自機能)を備えている必要がある。この機能に関しては
図10に基づいて改めて説明する。
【0067】
ステップS1において、無線LAN用ルータ200からの6GHz帯のSSIDを検知できなかった場合は、5GHzW56帯での接続を確認し(ステップS16)、5GHzW56帯で接続できれば5GHzW56帯で接続する(ステップS18)。5GHzW56帯で接続できなかった場合は2.4GHz帯での接続を確認し(ステップS17)、2.4GHz帯で接続できれば2.4GHz帯で接続する(ステップS19)。
ステップS17において、2.4GHz帯でも接続できない場合は、再度ステップS1に戻る。この場合、再度立ち上げを開始するまでの遅延時間、または、立ち上げを繰り返す場合の最大繰り返し回数等を設定してもよい。
無線LAN用ルータ200との接続が完了したら、第1のホスト300に向けて6GHz帯LPI、5GHz帯、および2.4GHz帯のSSIDを発信し、第1のホスト300の要求に合わせて第1のホスト300と接続する。
【0068】
(
図4のフローチャートの説明)
図4は無線LAN用リピータ100が、6GHz帯の通信において端末(無線LAN用ルータ200および第1のホスト300)毎にLPIとVLPとを選択して通信できない場合であって、無線LAN用ルータ200との接続優先(無線LAN用ルータ200とVLPで接続しているときは第1のホスト300とLPIでは接続しない)の場合のフローチャートである。なお、
図4において、
図3と同じ番号のステップは
図3と同じ動作を示している。
図4のフローチャートでは、S3~S7において無線LAN用ルータ200との接続方法を決定した後、無線LAN用ルータ200と6GHzVLPで接続しているかどうかを確認し(ステップS8a)、無線LAN用ルータ200と6GHzVLPで接続している場合は第1のホスト300とは6GHzLPIでは接続せず(ステップS8c)、無線LAN用ルータ200と6GHz帯VLPで接続していない場合は第1のホスト300と6GHzLPIで接続する(ステップS8b)点が異なる。
ステップS8aにおいて、無線LAN用リピータ100が無線LAN用ルータ200と6GHzVLPで接続しているということは、無線LAN用リピータ100と無線LAN用ルータ200との接続環境として最適であることを意味する。したがって、インターネットから大量データをダウンロードする場合などには、たとえ無線LAN用リピータ100と第1のホスト300との接続を6GHz帯VLPにすることによって無線LAN用リピータ100と第1のホスト300との通信容量が低下しても全体としてはより好ましいと考えられる。
【0069】
(
図5のフローチャートの説明)
図5は無線LAN用リピータ100が、6GHz帯の通信において端末(無線LAN用ルータ200および第1のホスト300)毎にLPIとVLPとを選択して通信できない場合であって、第1のホスト300との接続優先(第1のホスト300とLPIで接続しているときは無線LAN用ルータ200と6GHzでは接続しない)の場合のフローチャートである。なお、
図5においても、
図3と同じ番号のステップは
図3と同じ動作を示している。
第1のホスト300同士が無線LAN用リピータ100を介して大量のデータをやり取りしているなどの場合には、
図4のフローチャートよりも、
図5の第1のホスト300との接続優先のフローチャートの方が望ましい。
図5のフローチャートでは、S3~S7において無線LAN用ルータ200との接続方法を決定した後、第1のホスト300から6GHz帯LPIでの接続要求があるかどうかを確認する(ステップS7a)。
6GHz帯LPIでの接続要求がある場合には、無線LAN用ルータ200と6GHz帯VLPで接続しているかどうかを確認する(ステップS7b)。
無線LAN用ルータ200と6GHz帯VLPで接続している場合には、5GHzW56帯での接続を確認し(ステップS7c)、5GHzW56帯で接続できる場合は5GHzW56帯に接続切換し(ステップS7d)、5GHzW56帯で接続できない場合は2.4GHz帯に接続切換する(ステップS7e)。
そして、第1のホスト300の要求に応じて、6GHz帯LPI、5GHzW56帯、2.4GHz帯のいずれかで第1のホスト300と接続する(ステップS8d)。
一方、ステップS7aにおいて、第1のホスト300から6GHz帯LPIでの接続要求がない場合は、第1のホスト300の要求に応じて、5GHzW56帯、2.4GHz帯のいずれかで第1のホスト300と接続する(ステップS8e)。
【0070】
(
図6のフローチャートの説明)
図6は無線LAN用リピータ100が無線LAN用ルータ200と6GHz帯VLPで接続されていて5GHzW56帯での接続が可能になった場合、または、5GHzW56帯で接続されていて6GHz帯VLPでの接続が可能になった場合に、再度最適な通信環境を選びなおす場合のフローチャートである。
図6において、無線LAN用リピータ100が無線LAN用ルータ200と6GHz帯VLPで接続していない場合(ステップS31)、6GHz帯VLPで接続が可能かどうかを確認し(ステップS32)、接続が可能であれば
図3乃至
図5のフローチャートに従ってステップS1から無線LAN用リピータ100を再立ち上げする(ステップS35)。
ステップS32において、6GHz帯VLPで接続が不可能で、かつ5GHzW56帯でも接続していない場合(例えば2.4GHzで接続している場合など)(ステップS33)は、5GHzW56帯で接続可能かどうかを確認し(ステップS34)、接続可能であれば無線LAN用リピータ100を再立ち上げする(ステップS35)
その他の場合は、無線LAN用リピータ100は現在の状態を継続する。
なお、この再度最適な通信環境を選びなおす動作は、頻繁に行うと無線LAN用リピータ100と無線LAN用ルータ200との接続、および無線LAN用リピータ100と第1のホスト300との接続を混乱させるため、所定の時間間隔、例えば30分に1回程度にとどめるのが望ましい。
【0071】
[第2の実施形態の無線LAN用ルータ200]
図7は第2の実施形態の、無線LAN用ルータ200の模式的ブロック図である。
図7に示すように、無線LAN用ルータ200は、2.4GHz帯無線通信回路10a、5GHz帯無線通信回路20a、6GHz帯無線通信回路30a、制御回路40a、データバッファ50a、およびネットワーク回路60を備えている。また、2.4GHz帯無線通信回路10a、5GHz帯無線通信回路20a、および6GHz帯無線通信回路30aはそれぞれアンテナ11a,21a,および31aを備えている。2.4GHz帯と5GHz帯とは、アンテナと無線通信回路との間にアンテナスイッチ(図示せず)を挿入することにより、アンテナを共用することも可能である。5GHz帯無線通信回路20aはレーダー電波検出回路22aを備えている。
なお、第2の実施形態の無線LAN用ルータ200とは無線LANの親機のことであって、ルータ機能を有しない無線LAN用アクセスポイントも含まれる。ただし、無線LAN用ルータ200が無線LAN用アクセスポイントの場合はネットワーク回路60は無くてもよい。
レーダー電波検出回路22aは、5GHzW53、W56帯において、無線LAN用ルータ200が無線LAN用リピータ100および第2のホスト300aと通信する場合にレーダーの電波をモニターし、レーダーの電波を検知した場合には他のチャネル、または他の周波数帯に移行する、DFS機能のためのものである。
さらに無線LAN用ルータ200はWAN側接続端子61とLAN側接続端子62とを備え、WAN側接続端子61は光回線のONUなどを介してインターネットに接続されている。
【0072】
(第2の実施形態のフローチャート)
図8と
図9はともに離れ家モードにおける無線LAN用ルータ200の立ち上げ時のフローチャートであって、
図8は無線LAN用ルータ200が接続端末毎にLPI/VLP設定が可能な機能を有する場合のフローチャート、
図9は無線LAN用ルータ200が接続端末毎にLPI/VLP設定が不可能な場合のフローチャートである。
以下、各図に基づいて無線LAN用ルータ200立ち上げ時の動作を説明する。
【0073】
(
図8のフローチャートの説明)
離れ家モードの無線LAN用ルータ200の立ち上げにあたっては、まず、離れ家500にあり、屋外通信経路600を経由して接続される無線LAN用リピータ100のMACアドレスなどを指定する(ステップS41)。ただし、無線LAN用リピータ100も離れ家モードに設定されている場合は、無線LAN用リピータ100から識別情報を受信するようにしてもよい。
次に無線LAN用ルータ200は、6GHz帯LPI、6GHz帯VLP、5GHzW56帯、および2.4GHz帯のSSIDを出力する(ステップS42)。
次に無線LAN用リピータ100および第2のホスト300aのうちのいずれかの接続端末から6GHz帯LPIでの接続要求があり、かつ、接続要求の出された端末が屋外接続経路を経由して接続される離れ家500の無線LAN用リピータ100ではない場合は6GHz帯LPIでの接続を許可する(ステップS43~S45)。
次に、いずれかの接続端末から6GHz帯VLPでの接続要求がある場合は(ステップS46)、6GHz帯LPIでの接続を許可し(ステップS47)する。
さらに、いずれかの接続端末から5GHzW56帯での接続要求がある場合は(ステップS48)、5GHzW56帯での接続を許可し(ステップS49)、いずれかの接続端末から2.4GHz帯での接続要求がある場合は(ステップS50)、2.4GHz帯での接続を許可する(ステップS51)。
【0074】
なお、無線LAN用ルータ200が第2のホスト300aに対して、5GHzではW56帯で接続するのは、今後実用化されると考えられるWiFi7等において、接続時に複数の周波数帯を同時に利用できるマルチリンクオペレーション(MLO)が使用可能となった場合に、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100との接続に5GHz帯と6GHz帯とを同時に使用できるようにするためである。したがってMLOを使用しない場合において、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100との接続に5GHzW56帯を使用していない場合、または無線LAN用リピータ100が5GHz帯の2つの無線通信回路を備えてW56とW52,W53との両方で通信できる場合には、5GHz帯の通信をW56帯に限定しなくてもよい。
また、無線LAN用ルータ200が無線LAN用リピータ100など屋外接続経路を経由して接続される接続端末を有しない場合は、無線LAN用ルータ200を通常モードで起動することにより、すべての周波数帯で第2のホスト300aと接続することができる。
【0075】
(
図9のフローチャートの説明)
図9は無線LAN用ルータ200が接続端末毎にLPI/VLP設定が不可能な場合のフローチャートである。したがって、無線LAN用ルータ200が6GHz帯LPIで第2のホスト300aと接続していない場合のみ無線LAN用リピータ100と6GHz帯VLPで接続できる。なお、
図9においても、
図8と同じ番号のステップは
図8と同じ動作を示している。
この場合、最初に発信するSSIDには6GHz帯VLPのSSIDは含まれない(ステップS42a)ため、6GHz帯VLPが使用されないとわかった場合(ステップS43でNo、またはステップS44でYes)、改めて6GHz帯VLPのSSIDを発信し(ステップS42b)、いずれかの接続端末から6GHz帯VLPでの接続要求がある場合は(ステップS46)、6GHz帯VLPでの接続を許可し(ステップS47)する。
ステップS48~ステップS51に関しては
図8と同じである。
【0076】
[無線LANシステム1000]
無線LANシステム1000の構成は、
図1に示したとおりである。
無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100とは別々の建物に配置されているため、屋外通信経路600を経由して通信が行われており、無線LAN用ルータ200と第2のホスト300a、および無線LAN用リピータ100と第1のホスト300とは同一の建物の内部に配置されているため、屋内通信経路700を経由して通信が行われている。
無線LAN用リピータ100のみ、または無線LAN用ルータ200のみが離れ家モードに設定されている場合でも、法令違反がなく、かつ最大限通信容量の大きな通信システムを構成するとの本願発明の目的は達成可能であるが、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100とがともに離れ家モードに設定されている場合には、さらに効果を高めることができる。
ここでは、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100とがともに離れ家モードに設定されている場合の動作として、無線LAN用リピータ100が無線LAN用ルータ200に6GHz帯LPIから6GHz帯VLPへ切り替え要求を出す場合について
図10に基づいて説明する。また、レーダー電波検出時に無線LAN用リピータ100と無線LAN用ルータ200とが連係して動作する場合について
図11および
図12に基づいて説明する。
【0077】
(6GHz帯LPIから6GHz帯VLPへ切り替え要求と応答)
図10に、無線LAN用リピータ100が無線LAN用ルータ200に6GHz帯LPIから6GHz帯VLPへ切り替え要求を出す場合の動作を説明するフローチャートを示す。
無線LAN用ルータ200が無線LAN用リピータ100と5GHzW56帯または2.4GHz帯で接続している場合に(ステップS51)、無線LAN用ルータ200が無線LAN用リピータ100から6GHz帯VLPへの変更要求を受信すると(ステップS52)、無線LAN用ルータ200は6GHz帯をVLPに変更可能かどうかを検討する(ステップS53)。通常、無線LAN用ルータ200が第2のホスト300aと6GHz帯LPIで接続していなければVLPに変更可能である。
6GHz帯をVLPに変更可能な場合は6GHz帯をVLPに変更し(ステップS54)、無線LAN用リピータ100にOKを返信し(ステップS55)、変更ができない場合は無線LAN用リピータ100にNGを返信する(ステップS56)。
なお、このフローチャートは無線LAN用ルータ200が端末ごとの6GHz帯VLP/LPI設定が不可能な場合のフローチャートであり、無線LAN用ルータ200が端末ごとの6GHz帯VLP/LPI設定が可能な場合は、ステップS53は常にYesであり、無線LAN用ルータ200は6GHz帯VLPを追加し(6GHz帯VLPの含まれたSSIDを発信)、無線LAN用リピータ100へOKを返信するだけでよい。
無線LANシステム1000がこの機能を備えることにより、第2のホスト300aの中に6GHz帯LPIで通信するものがない場合など、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100とが6GHz帯VLPで接続できる場合に確実に6GHz帯VLPで接続し、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100との通信容量を大きくすることができる。
【0078】
(レーダー電波検出時の連係動作)
無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100との間の通信については、無線LAN用ルータ200の備えるレーダー電波検出回路22aがレーダーの電波を検出した場合、無線LAN用ルータ200は無線LAN用リピータ100および第2のホスト300aとの通信において、非占有期間、レーダーの電波を検出したチャネルでの通信を行わないことによって、法令違反の可能性を未然に防止している。しかし、無線LAN用ルータ200が母屋400の外壁から離れた場所に置かれ、無線LAN用リピータ100が離れ家500の外壁近くに置かれている場合もある。このような場合には無線LAN用ルータ200のレーダー電波検出回路22aがレーダー電波を検知できず、一方、無線LAN用リピータ100のレーダー電波検出回路22が電波を検知する場合もある。
本発明の無線LANシステム1000では、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100とがともに離れ家モードに設定されている場合、このような場合にも法令に違反することの無いようDFS機能を働かせるために、
図11または
図12に示す動作を行っている。
【0079】
図11において、無線LAN用リピータ100のレーダー電波検出回路22がレーダー電波を検知した場合(ステップS61)、無線LAN用リピータ100は無線LAN用ルータ200にレーダーの電波検出情報を伝達する(ステップS62)。
無線LAN用ルータ200は無線LAN用リピータ100からレーダーの電波検出情報の伝達があった場合、または自らのレーダー電波検出回路22aが電波を検出した場合(ステップS63)、使用中の5GHzW56帯のチャネルでの通信を停止し(ステップS64)、5GHzW56帯の別のチャネルでの接続を確認する(ステップS65)。具体的には、1分間以上レーダー電波が検出されず、かつ、他のSSIDの無線LANの電波が小さいチャネルを探す。
5GHzW56帯の別のチャネルでの接続が可能な場合は(ステップS66)、そのチャネルで無線LAN用リピータ100と接続し(ステップS67)、不可能な場合は無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100との最適な通信環境を探すために、無線LAN用リピータ100と無線LAN用ルータ200とをそれぞれ、ステップS1、およびステップS42乃至S42aから再立ち上げする(ステップS68)。
但し、無線LAN用リピータ100の再立ち上げにおいては、ステップS3およびステップS9の「5GHzW56帯で接続OK?」は「No」である。また、無線LAN用ルータ200の再立ち上げにおいては、ステップS42,S42aおよびS42bでは5GHzW56帯のSSIDは出力しない。
【0080】
図12では、レーダの検出等によってステップS64で使用中の5GHzW56帯のチャネルでの通信を停止した後、無線LAN用ルータ200は、まず、6GHz(VLP)または2.4GHzで無線LAN用リピータ100と接続する(ステップS71)。その後、無線LAN用ルータ200は、ステップS71での通信を維持しつつ、5GHzW56帯では別のチャネルでの接続の可能性を調査する(ステップS72)。具体的には、1分間以上レーダー電波が検出されず、かつ、他のSSIDの無線LANの電波が小さい別のチャネルを探す。
5GHzW56帯の別のチャネルでの接続が可能な場合は(ステップS73)、無線LAN用ルータ200は、無線LAN用リピータ100との接続を5GHzW56帯の別のチャネルに切り替え(ステップS74)、不可能な場合は6GHzまたは2.4GHzでの無線LAN用リピータ100との接続を継続する。
なお、ステップS74において、
図12ではW56帯の別のチャネルに切り替える例を示したが、これに限らず、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100との最適な通信環境を探すために、無線LAN用リピータ100と無線LAN用ルータ200とをそれぞれ、ステップS1、およびステップS42乃至S42aから再立ち上げしてもよい。
図11の方法では、使用中の5GHzW56帯での通信を停止した後、少なくとも1分間別のチャネルでレーダーの電波がないことを確認する必要があるため、少なくとも1分間通信が停止する。一方、
図12の方法では、いったん6GHzまたは2.4GHzで無線LAN用リピータ100と接続する必要はあるが、少なくとも1分間の通信停止を避けることができる点では有利である。
【0081】
(離れ家モードの無線周波数帯域切換方法のメリット)
母屋400の中に配置された無線LAN用ルータ200と離れ家500に配置された無線LAN用リピータ100とが屋外通信経路600を経由して接続され、無線LAN用リピータ100が同じ離れ家500に配置された1または複数の第1のホスト300と屋内通信経路700を経由して接続された場合、本発明の無線LANシステム1000は、以下のメリットがある。
1)無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100との接続に屋外使用が禁じられている5GHzW52帯、W53帯、および6GHz帯LPIを使用することがないため、法令に違反することがない。
2)無線LAN用ルータ200との接続に、屋外での通信が許可された6GHz帯VLPと5GHzW56帯とのうちの最適な通信環境を選んで接続するため、無線LAN用ルータ200との接続の通信容量をより大きくすることができる。
3)5GHzW56帯において無線LAN用ルータ200または無線LAN用リピータ100でレーダーの電波が検出された場合、以下の2つの方法のうちのいずれかが採用される。
第1の方法では、まず5GHzW56帯の別のチャネルでの接続が試みられ、接続不可の場合には無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100とが再立ち上げされる。このため、レーダ検出時の、レーダ検出精度の向上による法令の確実な順守と、無線LAN用リピータ100の処理量の抑制とを図ることができる。
第2の方法では、まず、6GHzまたは2.4GHzで無線LAN用リピータ100と接続し、その後5GHzW56帯の別のチャネルでの接続が試みられる。このため、レーダ検出時の、レーダ検出精度の向上による法令の確実な順守と、レーダ検出に要する少なくとも1分間の通信停止の回避とを図ることができる。
4)定期的により通信容量の大きな6GHz帯VLPまたは5GHzW56帯への復帰を試みることにより、累積の通信容量を大きくすることができる。
【0082】
なお、無線LAN用ルータ200および無線LAN用リピータ100の配置は当初の配置位置から変更することがある。したがって、無線LAN用ルータ200および無線LAN用リピータ100には、離れ家モードだけではなく、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100との接続およびホスト300,300aとの接続に、2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯のすべての周波数帯域を使用する、通常モードも備えておくことが望ましい。
また、2種類のモードの切換は、無線LAN用ルータ200および無線LAN用リピータ100がどちらのモードで使用されているかがよくわかる、スイッチ等で2種類のモードを切り換えて使用できるようにすることが望ましい。この場合、モード切替スイッチは、無線LAN用ルータ200および無線LAN用リピータ100の筐体の側面に設けられたスライドスイッチとすることが、誤操作防止と明確性の観点からより好ましい。また、筐体に設けられたLEDによって、いずれのモードで通信しているかを示してもよく、いずれの周波数帯を使用して無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100とが通信しているかを示してもよい。さらに、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100との通信状態(電波強度等)をLED等で表示することで、大容量高速通信に最適な設置場所を容易に探せるようにしてもよい。
【0083】
また、
図1の構成の無線LANシステム1000において、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100とがそれぞれ複数のSSIDを備え、無線LAN用ルータ200と第2のホスト300aとの接続のSSIDと、無線LAN用リピータ100と第1のホスト300との接続のSSIDとは同一のSSIDであって、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100との接続のSSIDは上記同一のSSIDとは異なるように構成してもよい。
【0084】
この場合、第1のホスト300と第2のホスト300aとは同じSSIDが設定されているので、母屋400で使用していた第2のホスト300a(例えばスマートフォン)が離れ家500に移動した場合にも、そのままで無線LANでの接続を継続することができる。
また、無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100との接続と、無線LAN用ルータ200または無線LAN用リピータ100とホスト300、300aとの接続とはSSIDが異なるので、例えば無線LAN用ルータ200と無線LAN用リピータ100との接続をVLPに、無線LAN用ルータ200または無線LAN用リピータ100とホスト300、300aとの接続をLPIに対応させることができる。
【0085】
[第3の実施形態の無線LANシステム1000a]
図13は、母屋400に配置された無線LAN用ルータ200および第2の無線LAN用リピータ120と、離れ家500に配置された第1の実施形態の第1の無線LAN用リピータ100および第1のホスト300とで構成される、第3の実施形態の無線LANシステム1000aの模式的構成図である。
図13の構成では、無線LAN用ルータ200と第2の無線LAN用リピータ120との間は屋内通信経路720であり、第2の無線LAN用リピータ120と無線LAN用リピータ100との間は屋外通信経路600であることから、第2の無線LAN用リピータ120は第1の無線LAN用リピータ100との接続に対しては屋外通信経路仕様に設定し、無線LAN用リピータ100を離れ家モードに設定することが望ましい。
この場合、無線LAN用ルータ200と第1のホスト300との間を、法令違反をすることがなく、かつ、最大限大きな通信容量で接続をすることができる。
【0086】
[第4の実施形態の無線LANシステム1000b]
図14は、母屋400に配置された第2の実施形態の無線LAN用ルータ200と、離れ家500に配置された第1の実施形態の第1の無線LAN用リピータ100、第3の無線LAN用リピータ130、および第1のホスト300とで構成される、第4の実施形態の無線LANシステム1000bの模式的構成図である。
図14の構成では、無線LAN用ルータ200と第1の無線LAN用リピータ100との間が屋外通信経路600であり、第1の無線LAN用リピータ100と第3の無線LAN用リピータ130との間は屋内通信経路730であることから、無線LAN用ルータ200と第1の無線LAN用リピータ100とを離れ家モードに設定し、第3の無線LAN用リピータ130は通常モードに設定することが望ましい。
この場合、無線LAN用ルータ200と第1のホスト300との間を、法令違反をすることがなく、かつ、最大限大きな通信容量で接続をすることができる。
【0087】
[第5の実施形態の無線LANシステム1000c]
図15は、母屋400に配置された第2の実施形態の無線LAN用ルータ200と、第1の離れ家510に配置された第1の実施形態の第4の無線LAN用リピータ140と、第2の離れ家520に配置された第1の実施形態の第1の無線LAN用リピータ100、および第1のホスト300とで構成される、第5の実施形態の無線LANシステム1000cの模式的構成図である。
図15の構成では、無線LAN用ルータ200と第4の無線LAN用リピータ140との間が屋外通信経路640であり、第4の無線LAN用リピータ140と第1の無線LAN用リピータ100との間も屋外通信経路600であることから、無線LAN用ルータ200、第4の無線LAN用リピータ140、および第1の無線LAN用リピータ100を離れ家モードに設定するとともに、第4の無線LAN用リピータ140は無線LAN用リピータ100との接続に対して屋外通信経路仕様に設定する必要がある。
この場合、無線LAN用ルータ200とホスト300との間を、法令違反をすることがなく、かつ、最大限大きな通信容量で接続をすることができる。
【0088】
本発明において、無線LAN用ルータ200が『無線LAN用ルータ』に相当し、無線LAN用リピータ100が『無線LAN用リピータ』に相当し、ホスト300、300aが『ホスト』に相当し、屋外通信経路600,640が『屋外通信経路』に相当し、屋内通信経路700,720,730が『屋内通信経路』に相当し、母屋400が『母屋』に相当し、離れ家500が『離れ家』に相当し、第1の離れ家510が『第1の離れ家』に相当し、第2の離れ家520が『第2の離れ家』に相当し、第2の無線LAN用リピータ120が『第2の無線LAN用リピータ』に相当し、第3の無線LAN用リピータ130が『第3の無線LAN用リピータ』に相当し、第4の無線LAN用リピータ140が『第4の無線LAN用リピータ』に相当し、2.4GHz帯無線通信回路10,10aが『2.4GHz帯で通信可能な無線通信回路』に相当し、5GHz帯無線通信回路20、20aが『5GHz帯で通信可能な無線通信回路』、および6GHz帯無線通信回路30、30aが『6GHz帯で通信可能な無線通信回路』に相当し、レーダー電波検出回路22、22aが『レーダー電波検出回路』に相当し、ネットワーク回路60が『ネットワーク回路』に相当し、無線LANシステム1000、1000a、1000b、1000cが『無線LANシステム』に相当する。
【0089】
本発明の好ましい一実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0090】
10、10a 2.4GHz帯無線通信回路
20、20a 5GHz帯無線通信回路
22、22a レーダー電波検出回路
30、30a 6GHz帯無線通信回路
60 ネットワーク回路
100 無線LAN用リピータ、第1の無線LAN用リピータ
120 第2の無線LAN用リピータ
130 第3の無線LAN用リピータ
140 第4の無線LAN用リピータ
200 無線LAN用ルータ
300、300a ホスト
400 母屋
500 離れ家
510 第1の離れ家
520 第2の離れ家
600,640 屋外通信経路
700,720,730 屋内通信経路
1000、1000a、1000b、1000c 無線LANシステム