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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】浚渫方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/92 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
E02F3/92 B
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022528609
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2020080155
(87)【国際公開番号】W WO2021099074
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】1916776.6
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2007660.0
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】522193237
【氏名又は名称】ハリッジ ヘブン オーソリティ
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー デービッド ワーナー
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3003396(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第02459700(GB,A)
【文献】特開昭52-043704(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02543764(GB,A)
【文献】特表2003-529689(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116503(WO,A1)
【文献】特開昭60-033942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/88-3/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浚渫の方法であって、
輸送手段から浚渫装置を吊る工程であって、該浚渫装置は、
シャーシと、
水床上の堆積物層の上方における廃棄のための堆積物攪拌装置であって、該堆積物攪拌装置は流体噴射装置及び該流体噴射装置を介して流体を噴射するように配置されたポンプを備え、前記堆積物攪拌装置及び前記ポンプが前記シャーシ上に直接設置され、前記流体噴射装置は1以上のコンジットを備え、該コンジットは複数のノズルを有する、堆積物攪拌装置と、
独立して、抽出装置であって、該抽出装置は攪拌された堆積物を前記水床から離れて前記浚渫装置の上方に移動させるように配置され、前記抽出装置はコンジット及び攪拌された堆積物を前記コンジットを介してポンプ搬送するように配置されたポンプを備え、前記抽出装置及び前記ポンプが前記シャーシ上に直接設置された、抽出装置と、
前記堆積物浚渫装置を前記輸送手段に接続するためのコネクタと、
を備える、工程と、
前記浚渫装置を、堆積物の浚渫される水床の上方に、ただし該水床に接触することなく、配置する工程と、
前記堆積物を前記堆積物攪拌装置で攪拌する工程と、
前記堆積物を前記抽出装置で抽出する工程と、
抽出された前記堆積物を水面下でかつ前記堆積物攪拌装置よりも高い水カラム内に懸濁する工程と、
前記浚渫装置をその水域の周囲に移動させる工程と、
を備え、
前記堆積物は、前記水域の自然の動きによって浚渫領域から離れて搬送及び集積される、方法。
【請求項2】
前記流体噴射装置は、前記堆積物攪拌装置の下面に設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抽出装置の前記コンジットは、前記堆積物浚渫装置の下面に向けて配置された第1の開口、及び前記堆積物浚渫装置上の最上点に配置された第2の開口を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コンジットは円錐台状であり、前記第2の開口は前記第1の開口よりも広い、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ポンプは、前記輸送手段上に設けられた動力源によって動力を与えられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポンプは、前記浚渫装置上に設けられた動力源によって動力を与えられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記浚渫装置及び/又は前記輸送手段は、前記水床において衝突するデブリを逸らすパイロットをさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記浚渫装置はスエルコンペンセータをさらに備え、該スエルコンペンセータは前記浚渫装置を前記水床の上方で同じ高さに保持する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記シャーシは、衝撃吸収手段を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記衝撃吸収手段は、前記シャーシの下面に設置されたランナーを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記シャーシは、開口フレームを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記シャーシは対向する側部パネル及び該側部パネル間に平行に配置された1以上の本体パネルを備え、該本体パネル及び前記側部パネルが1以上の横材によって接合された、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記1以上の横材は前記堆積物攪拌装置を備え、該堆積物攪拌装置は流体を噴射するための1以上の排出口を備える1以上のコンジットを備え、前記堆積物攪拌装置は1以上のポンプと流通状態にあり、当該ポンプは吸入口と流通状態にあり、前記流体が周辺領域から引き込まれる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1以上の横材は前記抽出装置を備え、該抽出装置は、排出されるべき攪拌された堆積物が引き込まれる吸入口を備える1以上のコンジットを備え、前記抽出装置は前記1以上のポンプと流通状態にあり、前記ポンプは、使用時に、攪拌された堆積物を前記浚渫装置の上方に排出するように該浚渫装置の上方に立てられたコンジットと流通状態にある、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
浚渫される水床の上方における、ただし該水床に接触しない、堆積物の廃棄のための浚渫装置であって、
シャーシと、
水床上の堆積物層の上方における廃棄のための堆積物攪拌装置であって、該堆積物攪拌装置は流体噴射装置及び該流体噴射装置を介して流体を噴射するように配置されたポンプを備え、前記堆積物攪拌装置及び前記ポンプが前記シャーシ上に直接設置され、前記流体噴射装置は1以上のコンジットを備え、該コンジットは複数のノズルを有する、堆積物攪拌装置と、
独立して、抽出装置であって、該抽出装置は攪拌された堆積物を前記水床から離れて前記浚渫装置の上方に移動させるように配置され、前記抽出装置はコンジット及び攪拌された堆積物を前記コンジットを介してポンプ搬送するとともに、抽出された前記堆積物を水面下で前記堆積物攪拌装置よりも高い水カラム内に懸濁するように配置されたポンプを備え、前記抽出装置及び前記ポンプが前記シャーシ上に直接設置された、抽出装置と、
前記堆積物浚渫装置を輸送手段に接続するためのコネクタと、
を備える浚渫装置。
【請求項16】
請求項15に記載の浚渫装置の使用であって、該使用が、
前記浚渫装置を前記コネクタによって輸送手段に接続すること、
前記浚渫装置を浚渫される水床の上方に、ただし該水床に接触しないように吊ること、及び
前記攪拌された堆積物を前記抽出装置によって抽出し、該抽出された堆積物を水面下でかつ前記抽出装置の上方で懸濁すること、
を備える使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浚渫の方法、浚渫装置及び浚渫装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
浚渫とは、一般に、水面下での堆積物の除去及び場所から場所へのその堆積物の搬送と定義される。浚渫は、水床(waterbed)の表面から堆積物を引き上げる工程、及び任意選択的に浚渫領域から堆積物を搬送し、その後に最終的にその堆積物を廃棄する工程を含む処理である。任意選択的に、堆積物は、最初に低密化されてもよい。
【0003】
浚渫は、多様な理由により、例えば、堆積物が蓄積してきた港湾又は水道を清掃するために行われ得るものであり、その堆積物は潜在的に航行の障害物となり得る。港湾は一般に周辺水域よりも深いため、堆積物が蓄積可能であってもそれは自然の水流によって、例えば、潮水又は河川の流れによって洗い流されることはない。
【0004】
従来技術の浚渫方法の例は、バケット内の堆積物を物理的に持ち上げるのに使用可能な陸上設置型グラブ又はバックホーを含み、それによりその後に堆積物は後の廃棄のためのホッパ内に載置される。他の従来の方法は、ドラグサクション浚渫船を利用するものであり、それはトレーリング型ドラグヘッドに接続された船体を備え、堆積物は水床からドラグヘッドを介して船上のホッパにポンプ搬送される。
【0005】
浚渫の他の従来技術の方法は、水を堆積物内に噴射してそれを低密化し、堆積物の密度を低下させ、それをいわゆる「高密度クラウド」において水床の上方に懸濁させる水噴射装置の使用を含む。懸濁堆積物は、その後に重力作用によって洗い流される。この方法は、結果として得られる堆積物の高密度クラウドが重力下でより深い領域に流れ得る河川又は潮水領域において特に有用となる。
【0006】
浚渫の他の方法は、サクションヘッドの正面に設置された回転カッターヘッドを備えるカッターサクション浚渫機を利用するものであり、カッターヘッドはサクションパイプの軸に沿って回転する。切削された堆積物は、その後にサクションポンプによって吸引される。そのようなカッターサクション浚渫機は、船上に設置される場合でも定位置で使用されるものであり、使用時に船体がスパッドレッグ又は錨で係留されることになる。
【0007】
船舶用水路又は港湾で堆積物の問題に対処するのに採用される他の従来の方法は海底整地であり、それによると、プラウが輸送手段の後部に牽引されて、堆積物のいずれの部分も水床から実際に除去することなく堆積物の隆起領域を平坦化する。
【0008】
水床の底上で動作し、カッター又は高圧流体ジェットで堆積物をかき乱す浚渫機を提供することについても種々の試みがなされてきた。これらの輸送手段は、(特許文献1に記載のもののように)自律型の輸送手段であってもよいし、特許文献2に記載のもののように輸送手段によって水床に沿って引きずられてもよい。水床上で動作する輸送手段は、浚渫機の下面と水床との間の封止を形成し、負圧を用いて堆積物を引き込み、排出する。
【0009】
代替の従来技術の浚渫機は、水床の上方で動作する。例えば、特許文献3は、液体攪乱された堆積物を垂直配置されたハウジング内に引き込み、その後に分離気体ジェットが堆積物をハウジングから強制排出させるサクションヘッドを記載する。そのような浚渫機は、大量の障害物を形成する必然的に中実の閉塞ハウジングに起因して、扱いにくく、動きが遅い。そのような浚渫機はまた、気体及び液体噴射装置が陸上容器からポンプ搬送されるための圧縮流体を必要とする。
【0010】
従来技術の浚渫方法に関連する種々の問題がある。例えば、水噴射浚渫は、懸濁堆積物を除去するためにその水が重力によって流れていることを要するので、勾配がない沿岸の港湾ではほとんど役に立たないものである。海底整地は堆積物のいずれの部分も除去せず、単にそれを平坦化するだけであり、堆積物は時間とともに蓄積し続けることになる。ドラグサクション浚渫機は、堆積物の清掃に有効なことも多いが、大きなホッパ付きの特注の船舶を含む専用でかつ高価な機器を必要とする。そのような機器については、その取得が高価なだけでなく、運用も高価なものとなる。グラブアーム及び/又はバックホーでの浚渫も、浚渫された堆積物を運び出すホッパ付きの特別に適合された船舶の使用を必要とするので、高価なものとなる。
【0011】
水床に配置される浚渫機は、港湾の水床が、例えば、平坦であることは稀であり、大量の固体デブリを含むことで、そのような浚渫機を実用不能とするとともに容易に損傷させる点で問題となる。港湾の水床上で衝突することが多いデブリは、コンテナが積み降ろされている間にコンテナから落ちた長い金属製ポールからなるコンテナラッシングを含む。コンテナラッシングは浚渫機に大きなダメージを与えることになり、そして、浚渫機が再使用可能となる前に浚渫機を修理することに長い時間が費やされ、それには莫大なコストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】英国特許出願公開第2543764号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0238924号明細書
【文献】米国特許第4127950号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、様々な水床から堆積物を除去する際に効率的であるだけでなく比較的安価に運用できる装置及び方法を提供することによって、従来技術に関連する問題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によると、浚渫の方法が提供され、浚渫の方法は、輸送手段から浚渫装置を吊る工程であって、浚渫装置は、シャーシと、水床上の堆積物層の上方における廃棄のための堆積物攪拌装置であって、堆積物攪拌装置は流体噴射装置及び当該流体噴射装置を介して流体を噴射するように配置されたポンプを備え、堆積物攪拌装置及びポンプがシャーシ上に設置された、堆積物攪拌装置と、抽出装置であって、抽出装置は攪拌された堆積物を水床から離れて浚渫装置の上方に移動させるように配置され、抽出装置はコンジット及び攪拌された堆積物をコンジットを介してポンプ搬送するように配置されたポンプを備え、抽出装置及びポンプがシャーシ上に設置された、抽出装置と、堆積物浚渫装置を輸送手段に接続するためのコネクタと、を備える、工程と、浚渫装置を、堆積物の浚渫される水床の上方に、ただし水床に接触することなく、配置する工程と、堆積物を堆積物攪拌装置で攪拌する工程と、堆積物を抽出装置で抽出する工程と、抽出された堆積物を水面下でかつ堆積物攪拌装置の上方に集積する工程と、浚渫装置をその水域の周囲に移動させる工程と、を備え、堆積物はその水域の自然の動きによって浚渫領域から離れて搬送及び集積される。
【0015】
本発明による方法は、攪拌された堆積物をより高い水カラムに引き揚げることによって作用し、それによりその水域の自然な動きが懸濁堆積物を洗い流すことができる。港湾では、これは、堆積物を港湾外部の海底よりも高い高さまで引き揚げるので、潮水が堆積物を除去することを意味し得る。
【0016】
浚渫装置を水床の高さの上部で動作させることによって、浚渫機は、デブリの多くを回避するとともに平坦でない水床を横断することができることにより、多くの従来技術のデバイスに関連する問題を緩和することができる。
【0017】
抽出される堆積物は、軽量かつ低密度であり得る。その場合、堆積物攪拌装置を作動させることを要さずに、抽出装置の動作だけでも、堆積物を浚渫装置内に引き込んでそれを抽出するのに充分なこともある。ただし、堆積物が重く、密集化され、又は攪拌されていない場合、堆積物攪拌装置が作動されてもよい。
【0018】
堆積物浚渫装置は、流体噴射装置に加えて様々な堆積物攪拌手段を採用してもよい。流体噴射装置はポンプをさらに備え、ポンプは、抽出の前に、流体噴射装置を介して流体を堆積物内に噴射して堆積物を低密化する。流体噴射装置及びポンプは、シャーシに設置される。流体噴射装置は、堆積物攪拌装置の下面に設けられ得る。特に、噴射装置は、使用時に水床上に配置された堆積物内に下向き方向に流体を排出するように位置決めされた排出口を備え得る。2以上の流体噴射装置が設けられてもよく、流体噴射装置のアレイが設けられてもよい。流体噴射装置は、1以上のコンジットを備え得るものであり、コンジットは複数の排出口又はノズルを有する。排出口は、コンジットに沿って等間隔とされ得る。複数のコンジットが、シャーシの幅に沿って平行な配置で設けられてもよい。1以上のコンジットが、シャーシの全幅にわたっていてもよい。流体噴射装置毎に1つのポンプが設けられ又は1つのポンプに複数の流体噴射装置が設けられた状態で、複数のポンプが設けられてもよい。噴射される流体は、水若しくは空気又はその組合せであり得る。流体が水である場合には、好ましくは、流体噴射装置は吸入口をさらに備え、使用時に浚渫装置を囲む水域から水が引き込まれることになる。代替的に、流体は、陸上から又は輸送手段から浚渫装置に供給されてもよい。
【0019】
流体をポンプ搬送して堆積物を攪拌する従来技術の浚渫機は、一般に高圧ジェットを用いることになる。同技術の高圧は、800~1000kPa(8~10bar)として定義される。これに対して、本出願による浚渫機によって噴射される流体は、低圧(150~200kPa/1.5~2bar)又は中圧(400~500kPa/4~5bar)で噴射される。低~中圧は、高圧ジェットに対して、ポンプ圧及び電力使用の観点で少ないリソースしか必要とせず、大量の堆積物を攪拌する際に効果的であるので、有利であることが分かっている。
【0020】
堆積物攪拌装置及び抽出装置を支持するシャーシを備える。本浚渫装置は、使用時に水床の上部でかつ水床から離れて動作するが、シャーシは、水床との接触に耐えるために適宜強健なものとなり得る。これは、水床が平坦でない場合、又は輸送手段がボートであってボートが浮く水域にうねりがある場合に、浚渫装置がその場に降下されている時に起こり得る。
【0021】
シャーシは、使用時にそれが衝突し得る水床及び/又はデブリと衝突する場合に浚渫装置を保護する衝撃吸収手段を備えていてもよい。例えば、シャーシにはシャーシの下面に設置されたバッファが設けられてもよく、代替的にシャーシはシャーシの下面を保護する高耐久ランナーを備えていてもよい。
【0022】
シャーシは、略平面状の中実ベースを有していてもよいし、代替的に好ましくは開口ベースを有する開口フレームの形態であってもよい。フレームは、金属又はプラスチックの配管などで構成され得る。シャーシは、側壁、抽出装置及び堆積物攪拌装置などの物体が設けられる上面を備え得る。フレームの前後は「開口」されていてもよく、それは、浚渫装置を損傷し兼ねない重い材料及びデブリが浚渫装置を通過することを可能とする。またさらに、開口フレームを有することで、それが水中を移動する際のシャーシ上の障害物が減少し、浚渫動作は従来技術の浚渫機で可能となるよりも高速で進行し得る。
【0023】
シャーシは、対向する側部パネル、及び側部パネル間に平行に配置されて1以上の横材に接合された1以上の本体パネルを備える。
【0024】
1以上の横材は堆積物攪拌装置を備えていてもよく、堆積物攪拌装置は流体を噴射するための1以上の排出口を備える1以上のコンジットを備え、堆積物攪拌装置は1以上のポンプと流通状態にあり、ポンプは吸入口と流通状態にあり、流体は吸入口を介して周辺領域から引き込まれる。
【0025】
追加的又は代替的に、1以上の横材は抽出装置を備えていてもよく、抽出装置は、排出されるべき攪拌された堆積物が引き込まれる吸入口を備える1以上のコンジットを備え、抽出装置は1以上のポンプと流通状態にあり、使用時に、ポンプは、攪拌された堆積物を浚渫装置の上方に排出するように浚渫装置の上方に立てられたコンジットと流通状態にある。
【0026】
1以上の横材は、剛性支持バーを備えていてもよい。剛性支持バーは、使用時に衝突するいずれかの堆積物を切り抜けるようにテーパ状先端縁部を備えていてもよい。
【0027】
シャーシは、本体の下面及び/又は側部パネルに接続されたランナーを備えていてもよい。本体及び側部パネルの先端縁部は、デブリを逸らすように丸みを帯びていてもよい。
【0028】
浚渫装置には、その先端部又は正面に、水床上で衝突するデブリを逸らすパイロットが設けられてもよい。パイロットは、デブリを浚渫装置の上方若しくは下方及び/又は側部に逸らす中実のスクープであり得る。パイロットは、水がそこを通過することを可能とするバーを備える傾斜格子の形態であってもよく、それにより、その格子は多大な障害をもたらさずにデブリの進入を防止することを確実にする。格子は、真向きであっても、水中に多大な障害をもたらさずに、コンテナラッシングなどのデブリが浚渫装置に進入できないように適宜サイズ決めされ得る。パイロットは、浚渫装置の正面に設けられない場合でも、浚渫装置の上部を保護するように浚渫装置の上面に配置されてもよい。パイロットは、傾斜中実プレートを備え得る。傾斜中実プレートは、噴射装置ポンプの正面に配置され得る。
【0029】
シャーシが開口されている場合、その後端には、排出される攪拌堆積物をシャーシの内部又は下方に保持しておく傾斜フラップが設けられてもよく、それはゴム、プラスチックなどからなる変形可能なマットであってもよい。ただし、そのマットは、それらが固体の物体に衝突し又は圧力の閾値を下回った場合に偏向することになる。
【0030】
浚渫装置は輸送手段に配置されたスエルコンペンセータをさらに備えていてもよく、スエルコンペンセータは浚渫装置を水床の上部で同じ高さに保持する。
【0031】
抽出装置は、コンジット及びコンジットを通じて攪拌堆積物をポンプ搬送するように配置されたポンプを備える。コンジットは、堆積物浚渫装置の下面に開放された第1の開口、及び使用時に配備されると堆積物浚渫装置の最上点に配置される第2の開口を有し得る。この構成は、第1の開口が攪拌堆積物に向かって方向付けられるとともに第2の開口が特定の高さに上昇され、それにより吐出された堆積物が使用時に水域の自然の動きによって洗い流され得ることを保証する。したがって、コンジットのサイズ及び形状は、意図する使用に応じることになる。例えば、より長いコンジットが、周辺の海底よりも大幅に深い比較的深い港湾での使用が意図された浚渫装置に設けられてもよく、堆積物は、潮水が懸濁堆積物を洗い流すことができるように、比較的高い高さに集積される必要がある。一方で、装置が運河又は河川系港湾などのより浅い水域で使用される場合には、コンジットは比較的短くなければならない。
【0032】
コンジットの相対高さは、調整可能であってもよい。コンジットは、異なる長さのコンジットに置き換えられてもよいし、コンジット長が調整可能であってもよい。コンジットは、伸縮してもよいし、取外し可能に取り付けることができるモジュール式延長部を有していてもよい。浚渫装置に対するコンジットの角度は、浚渫装置の上部のコンジットの相対高さが調整されるように調整可能であってもよい。
【0033】
コンジットの形状は、例えば、より広い第2の開口が、第2の開口がより狭い場合よりも広く抽出堆積物を分散させ得るように変化されてもよい。したがって、コンジットは円錐台状であってもよく、第2の開口は第1の開口よりも広く、又は第2の開口は縦溝状であってもよい。第2の開口は、2つの開口に分岐されてもよい。
【0034】
ポンプに動力源が設けられてもよい。当該動力源は、シャーシ上に設けられてもよいし、陸上輸送手段上に設けられてもよい。パワーパックに浚渫装置が設けられてもよく、それは既存の輸送手段に後付け可能であり、又は単数若しくは複数のポンプに動力を供給する補助動力ユニットを輸送手段が含むように適合されてもよい。動力は、陸上からケーブルを介してポンプに供給され得る。動力は、電気又は油圧の形態で供給され得る。
【0035】
本発明による装置は、ボートなどの輸送手段によって水床を横断して牽引され得る。ただし、ある状況では、輸送手段は、例えば、浚渫水域が運河の場合、陸地系輸送手段であってもよい。したがって、堆積物浚渫装置には、堆積物浚渫装置を輸送手段に接続するためのコネクタが設けられる。浚渫装置は、浚渫装置を水中で昇降させる、輸送手段に後付けされ得るウインチを含んでいてもよい。一部の実施形態では、浚渫装置に、それ自体の推進手段が設けられてもよい。
【0036】
本発明は、堆積物の浚渫される水床の上方における、ただし水床に接触しない、廃棄のための浚渫装置を提供し、浚渫装置は、シャーシと、水床上の堆積物層の上方における廃棄のための堆積物攪拌装置であって、堆積物攪拌装置は流体噴射装置及び当該流体噴射装置を介して流体を噴射するように配置されたポンプを備え、堆積物攪拌装置及びポンプがシャーシ上に設置された、堆積物攪拌装置と、抽出装置であって、抽出装置は攪拌された堆積物を水床から離れて浚渫装置の上方に移動させるように配置され、抽出装置はコンジット及び攪拌された堆積物をコンジットを介してポンプ搬送するように配置されたポンプを備え、抽出装置及びポンプがシャーシ上に設置された、抽出装置と、堆積物浚渫装置を輸送手段に接続するためのコネクタと、を備える。
【0037】
浚渫装置は、本発明の方法に関して記載されるものであってもよい。
【0038】
本発明は、ここに記載される浚渫装置の使用を提供し、その使用は、浚渫装置を浚渫される水床の上方に、ただし水床に接触しないように吊ること、攪拌された堆積物を抽出装置によって抽出すること、及び抽出された堆積物を水面下でかつ浚渫装置の上方に集積することを備える。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明による浚渫装置の模式図を示す。
図2a】代替の浚渫装置の模式断面端面図を示す。
図2b図2aの浚渫装置の模式断面側面図を示す。
図2c図2a及び2bの浚渫装置の模式平面図を示す。
図3】港湾及び使用時の浚渫装置の実施形態の模式図を示す。
図4】本発明による代替の浚渫装置の正面上部斜視図を示す。
図5図4の浚渫装置の後方上部斜視図を示す。
図6図4及び5による浚渫装置の下面斜視図を示す。
図7図4~6による浚渫装置の側面図を示す。
図8図4~7による浚渫装置の正面図を示す。
図9図4~8による浚渫装置の上面図を示す。
図10】本発明による浚渫装置の他の例の正面図を示す。
図11図10の浚渫装置の断面図を示す。
図12図10及び11の浚渫装置の正面上部斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明がより深く理解され得るように、本発明を以下の図面を参照して例示としてのみここに詳細に説明する。
【0041】
まず図1を参照すると、本発明による方法での使用について、概して100で示される浚渫装置の模式図が示される。浚渫装置100は、概して110で示されるシャーシ、概して120で示されるコンジットを備える抽出装置及びポンプ130、概して140で示される堆積物攪拌装置及びポンプ150、並びに浚渫装置100を輸送手段に接続するためのコネクタ160を備える。浚渫装置は、除去されなければならない堆積物が存在する水床の上方において、水床に接触せずに廃棄するためのものである。そして、堆積物は、抽出装置によって、浚渫装置100の上方でより高い水カラム内に除去される。そして、攪拌された堆積物は、抽出装置によって抽出されると、潮水又は河川の流れの動きなどのその水域の自然の動きによって洗い流される。
【0042】
ここで図2a~2cを参照すると、概して200で示される浚渫装置の代替の実施形態が示される。浚渫装置200は、概して210で示されるシャーシを備える。シャーシ210は、図2cに示すように、略矩形の設置面を有する。シャーシ210は、先端長手面211、後端長手面212、側面213、214、上面215及び下面216を備える。図2aに最も明確に示すように、先端長手縁部(先端長手面)211及び下面216の角接合部は、先端長手縁部211を下面216の上方に位置させるように、面取りされて傾斜面217を生成する。
【0043】
噴射装置ポンプ220が、上面215上に設置される。噴射装置ポンプ220は、概して218で示される流体噴射装置のアレイによって流体流通状態にあり、流体を下面216の下方に噴射するように配置される。流体噴射装置は、側面213、214の間にシャーシ210の長さに沿って配置され、使用時に流体を堆積物内に噴射してそれを攪拌するように設けられる。流体噴射装置218は、傾斜面217に隣接して一列に配置され得る。シャーシ210は、略中空であり、噴射装置ポンプ220から流体噴射装置218までのコンジット219を含む。噴射装置ポンプ220は、使用時に、周辺領域からの水が流体噴射装置218を介してポンプ搬送される前に周辺領域からの水を引き込む吸入口221をさらに含む。この場合、流体は水であるが、代替の実施形態では、空気又は空気と水の混合物であってもよい。流体は、特にそれが空気を含む場合に、陸上からポンプ搬送され得る。
【0044】
シャーシ210には、概して230で示される抽出装置ポンプが設置される。抽出装置ポンプ230は、使用時に周辺領域から水及び攪拌堆積物を引き込む吸入口231を含む。水及び攪拌堆積物は、その後、概して240で示されるコンジットを備える排出口を介してポンプ排出される。コンジット240は、略円錐台状の煙突を備えるが、代替的に略円筒状であってもよく、又はより広範囲に堆積物を分散させるように縦溝若しくは分岐遠位端を有していてもよい。抽出装置ポンプ230の吸入口231を介して引き込まれた流体は、コンジット240によって排出される。図示しないが、噴射装置ポンプ220及び抽出装置ポンプ230には動力源から動力が供給され、動力源は装置200に設置されてもよいし、陸上からケーブルを介して供給されてもよい。
【0045】
噴射装置ポンプ220及び抽出装置ポンプ230は、シャーシ210に取外し可能に取付け可能であってもよい。ポンプは使用時にコンテナラッシングなどの水面下のデブリによって非常に損傷されやすいため、ポンプが取外し可能に取付け可能である場合、ポンプは、浚渫動作中に修理できないほどに損傷した場合に交換され得る。したがって、ダウンタイムが軽減可能となる。
【0046】
ランナー250が、シャーシ210の下面216の側縁部に沿って平行に配置される。ランナー250は、衝撃吸収体(不図示)を含む支柱(stanchion)251とともにシャーシ210の下面216に取り付けられる。ランナー250及び衝撃吸収体は、シャーシ210が使用時に水床に不用意に接触してしまう場合にシャーシ210を保護する。代替的に、支柱は、中実であって衝撃吸収体を備えないものであってもよい。
【0047】
パイロット260が、使用時に浚渫装置が水中を牽引される際に衝突し得るデブリを逸らすように先端長手面211に取り付けられる。
【0048】
コネクタ270が、輸送手段への浚渫装置200の接続のためにシャーシ210の先端縁部に向けて設けられる。
【0049】
ここで図3に移ると、概して310で示される陸地及び概して330で示される海水を収容する概して320で示される港湾岸壁を備える概して300で示される港湾の模式側面図が示される。港湾底340には、その上に、浚渫されるべき蓄積した堆積物層350が配置されている。港湾岸壁320の反対側には外海があり、図3に示すように、海底390は港湾底340よりも相対的に高い。潮水は港湾に出入りできるが、港湾底340と海底390の相対的な高さの差に起因して、港湾底340の底面における堆積物層350は、攪拌されたとしても洗い流されることはない。
【0050】
図2a~2cに関して説明するように、浚渫装置200は、堆積物層350の上方に、ただしそれに接触せずに設けられる。浚渫装置(堆積物浚渫装置)200は、海水330の水面上のボート360によって港湾底340の上方でかつ堆積物層350の上方を牽引される。ボートは、浚渫装置200を水中から昇降するためだけでなく浚渫装置200を堆積物層350に沿って牽引するためにも浚渫装置200のコネクタ270に取り付けられたウインチ及びケーブル370を備える。この実施形態では、パワーパック380がボート360の表面上に設けられて動力を装置200上に配置されたポンプ220及び230に供給するが、代替の実施形態では、ポンプ220及び230に直接動力を与える補助動力ユニットがボートに設けられてもよい。
【0051】
使用時に、堆積物浚渫装置200は、ウインチ370を介して港湾底340の上方に配置された堆積物層350にボートから降下される。噴射装置ポンプ220は、制御装置(不図示)及び動力源(パワーパック)380を介して操作され、水330を港湾300からシャーシ210におけるコンジット219内に吸入口221を介してポンプ吸引し、シャーシ210の下面216における流体噴射装置218を介してポンプ排出して堆積物層350を攪拌する。堆積物層350内への水の噴射によって堆積物の密度が低下するとともに、それによって固着した堆積物層350から堆積物が低密化される。そして、抽出装置ポンプ230は、吸入口231を介して低密化堆積物層350を引き込み、クラウドで示すように堆積物400を海底390の高さよりも高い高さに排出する。攪拌堆積物400は海底390よりも高い水カラムにあるため、港湾300に出入りする海水330はその後に堆積物400の噴射された層を抽出してそれを港湾から離れて集積することができる。
【0052】
ここで図4~9に移ると、概して500で示される浚渫装置の代替の実施形態が示される。この浚渫装置500は、本発明の、図3に関して説明したような方法において使用され得る。浚渫装置500は、概して510で示されるフレームを備えるシャーシを備える。フレーム510は、横材によって支持される平行配置で設けられた一連の本体構成要素を備える。有利なことに、フレームは、頑強であり、水床との接触及び水面下のデブリとの接触に耐え得るものである。またさらに、フレームの「開口」の性質は、水中での障害を軽減する。
【0053】
フレーム510の本体構成要素は、対向する側壁520及び本体パネル530を備える。本体パネル530は、対向する側壁520間に等間隔に配置され、対向する側壁520と実質的に同じ形状である。側壁520及び本体パネル530は、側壁520及び本体パネル530の下方にかつその正面に向けて配置された横材540、並びに側壁520及び本体パネル530の下方にかつその後方に配置された他の横材550によって接合される。本体パネル530の下面及び対向する側壁520は、概して560で示されるランナーを備える。ランナー560は、使用時に水床に衝突した場合にフレーム510を保護するように設けられる。
【0054】
浚渫装置500には、堆積物を攪拌及び/又は希釈するために、水床上の堆積物内に流体を噴射する流体噴射装置が設けられる。噴射装置は、フレーム510のいずれかの面上の等位置に配置された概して570で示される一対の噴射装置ポンプを備え、噴射装置ポンプ570は、周辺領域から水を引き込んで堆積物内に噴射するように、噴射装置ポンプ570から延在してフレーム510の高さの上方に立てられたコンジットの形態の概して580で示される吸入口を含む。吸入口580は、浚渫装置500によって噴射された堆積物を引き込まないようにフレーム510の上方に立てられる。噴射装置は、概して590で示される一対の流体排出口をさらに備える。流体排出口590は、対向する側壁520の上部正面角部の間に、及び対向する側壁520の上部縁部の中央の間に延在する一対の平行な配管600、610を備える。本体パネル530はまた、平行な配管600、610に接合される。各配管600、610は、使用時にそれを介して流体が堆積物内に噴射される一連の下方に向くノズル620を備える。2つのノズル620は、各側壁520及び/又は本体パネル530の間に設けられるが、この数量は適宜増減され得る。平行な配管600、610の各々は、概して630で示されるコンジットを介して噴射装置ポンプ570と流体流通状態にある。
【0055】
浚渫装置500は、使用時に、フレーム510の下面から攪拌堆積物を引き込む抽出装置ポンプ650を備えるとともに浚渫装置500のものよりも上方の水カラム内にそれを集積する概して640で示される抽出装置をさらに備える。抽出装置640は、その上部後方角部において側壁520間に配置されて結果としてフレーム510に対する更なる支持を与える抽出装置配管660を備え、抽出装置配管660は等間隔の本体パネル530にも接続される。抽出装置配管660は、使用時に攪拌堆積物が引き込まれる一連の下方に向く開口670を備える。噴射装置の吸入口580よりも高く延在する抽出コンジット680が、抽出装置ポンプ650から延在する。抽出装置ポンプ650及び抽出コンジット680は、フレーム510に固定して取り付けられる。使用時に、攪拌堆積物は、抽出装置配管660に配置された開口670内にポンプ搬送され、抽出装置ポンプ650に引き込まれ、その後に抽出コンジット680を介して排出される。
【0056】
フレーム510及び噴射装置ポンプ570は、フレーム510の上部後方にヒンジによって設置されるとともにフレーム510の上方の水域において衝突するデブリを逸らすように楔形状に設けられた格子690の形態のパイロットによって水面下のデブリから保護される。対向する側壁520の正面縁部及び本体パネル530はまた、フレーム510の上方又は下方にデブリを逸らすために、丸みを帯びている。格子690は、噴射装置ポンプ及び配管類が手入れ可能となるようにヒンジによって設置される。
【0057】
ゴム、プラスチックなどからなり得る弾性変形可能なマット700が、フレーム510の後方から延在し、各本体パネル530と側壁520の間に配置される。マット700は、フレーム510の上部から下方に延在し、そこでマットはフレームに接続され、さらにフレーム510の底部まで下方に延在し、それによりフレーム510の開口後部を閉じる。マット700は、攪拌堆積物が抽出装置の開口670によって抽出されるようにするために、フレーム510の内部に攪拌堆積物を保持するように設けられる。ただし、フレーム内で圧力が所定点まで上昇するほどにフレーム510内の堆積物が過多となる場合、又はコンテナラッシングなどの物体若しくはデブリの他の重い物体がフレーム510に進入した場合、過多の堆積物又はデブリがフレーム510の背部から噴射され得るようにマット700をフレーム510から離れるように変形させることで充分となる。
【0058】
浚渫装置500は、一連のケーブルとともに輸送手段に取り付けられる。概して710で示される4本のケーブルが、抽出装置ポンプに関してフレーム510上のコネクタに接続され、輸送手段(不図示)の後部においてウインチに接続された単一のケーブル(不図示)に合体する。このケーブル710は、使用時に浚渫装置を昇降し、その水中の深度を設定するのに使用される。他のケーブル720が、浚渫装置500の正面に設けられ、対向する側壁520の正面に接続される。ケーブル720は、輸送手段の下方で延在し、輸送手段の正面に取り付けられる。これらのケーブルは、使用時にフレーム510の安定性を保持し、それを正しい深度に保持するように設けられる。正面のケーブル720が設けられない場合には、浚渫装置500は、それが幾らかの堆積物に衝突すると、水中で上昇し得る。
【0059】
ケーブル710は輸送手段上に配置されたスエルコンペンセータに接続されてもよく、スエルコンペンセータは使用時に浚渫装置を水床の上方で同じ高さに保持する。
【0060】
抽出装置ポンプ及び噴射装置ポンプ650、570は、本実施形態では、輸送手段から供給される電気によって動力を与えられ、それは輸送手段上の動力源に向かって延在する一連のワイヤを備える概して730で示される供給パイプラインを介して供給される。噴射装置ポンプ及び抽出装置ポンプ570、650は、概略として、電気的に動力を受けることになる。ただし、一部の実施形態では、それらは油圧式であってもよく、その場合、供給パイプライン730は輸送手段までつながる単数又は複数の油圧パイプを備えることにもなる。
【0061】
ここで図10~12に移ると、本発明による概して800で示される浚渫装置の代替の実施形態が示される。浚渫装置800は浚渫装置500の変形例であるので、同様の符号が適宜使用される。浚渫装置500には、ポンプをデブリから保護するのに格子690の形態のパイロットが設けられていたが、浚渫装置800には、その代わりにシャーシ820に設置された傾斜プレート810が設けられる。プレート810は、金属又は他の剛性材料で構成されてもよく、浚渫装置800の上部を越えてデブリを逸らすように傾斜される。特に、使用時に浚渫装置800は、剛性金属ポールであるコンテナラッシングに衝突し得る。プレート810は、ラッシングがプレート810に正面衝突した場合でさえもラッシングを逸らすことができる。
【0062】
浚渫装置800のシャーシ820には、上部パネル830がさらに設けられ、上部パネル830には、上部パネル830の下部へのアクセスを可能とする被覆装置840が設けられる。
【0063】
浚渫装置500と対比される他の相違は、抽出された堆積物が水中でより広い領域にわたって排出されるように、抽出コンジット850がその遠位端において分岐されている点である。抽出コンジット850は、フレーム860によって支持される。
【0064】
図11は、図10に示す線X-Xを通る断面図を示す。同図は、開口670を有する抽出装置配管660、及びノズル620と流通状態にある、流体排出口590に対する平行な配管600、610を断面で示す。図11はまた、使用時に衝突し得るいずれの堆積物も切断して逸らすように、水平から傾斜してテーパ状の先端縁部を有する横材540、550を示す。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12