(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】放射線画像読取装置
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240229BHJP
G21K 4/00 20060101ALI20240229BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240229BHJP
G01T 1/00 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
G06T7/00 612
G21K4/00 L
G02B5/20
G01T1/00 B
(21)【出願番号】P 2023013922
(22)【出願日】2023-02-01
(62)【分割の表示】P 2020200196の分割
【原出願日】2016-10-13
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】宮本 祐一
(72)【発明者】
【氏名】高坂 正臣
【審査官】小太刀 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-107848(JP,A)
【文献】特開2002-090922(JP,A)
【文献】特開2001-201809(JP,A)
【文献】特開2003-098176(JP,A)
【文献】特開2003-232733(JP,A)
【文献】特開2000-002955(JP,A)
【文献】特開昭60-119166(JP,A)
【文献】特開2000-066316(JP,A)
【文献】特開2018-061694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06T 1/00
H04N 1/00
A61B 6/00
G02B 5/26
G02B 5/28
G03B 42/02
G21K 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像が記録された記録媒体の表面に対して、前記記録媒体の前記表面上に位置する走査線に沿って励起光を走査する光走査部と、
前記走査線を含み且つ前記記録媒体の前記表面と交差する検出面内において、前記励起光の走査により前記記録媒体の前記表面から放出された信号光を検出する光検出部と、を備え、
前記光検出部は、前記走査線に平行な方向に沿って配列された複数の光検出素子を含むマルチピクセルフォトンカウンティングデバイスであり
、
前記マルチピクセルフォトンカウンティングデバイスに含まれる前記複数の光検出素子の全ては電気信号が同時に読み出されるように制御され、前記電気信号は合算されて出力される、放射線画像読取装置。
【請求項2】
前記検出面内において、前記光検出部における前記信号光の検出領域の幅は、前記記録媒体の前記表面における前記励起光の走査領域の幅よりも長い、請求項1に記載の放射線画像読取装置。
【請求項3】
前記記録媒体の前記表面と前記光検出部との間の光路上に配置され、前記記録媒体の前記表面と交差し且つ前記検出面に垂直な面内においては、前記記録媒体の前記表面で反射された前記励起光及び前記記録媒体の前記表面から放出された前記信号光を収束させ、前記検出面内においては、前記記録媒体の前記表面で反射された前記励起光及び前記記録媒体の前記表面から放出された前記信号光を収束させず、前記光検出部に入射させる光学素子を、更に備える、請求項1又は2に記載の放射線画像読取装置。
【請求項4】
前記記録媒体の前記表面と前記光検出部との間の光路上に配置された光学フィルタ、を更に備え、
前記記録媒体の前記表面で反射された前記励起光が前記光学フィルタを透過する透過率、及び、前記検出面内において前記走査線に垂直な方向に対して所定角度よりも大きい角度を成して前記記録媒体の前記表面から放出された前記信号光が前記光学フィルタを透過する透過率のそれぞれは、前記検出面内において前記走査線に垂直な方向に対して前記所定角度よりも小さい角度を成して前記記録媒体の前記表面から放出された前記信号光が前記光学フィルタを透過する透過率よりも小さく、
前記所定角度は、前記記録媒体の前記表面における前記励起光の走査領域の一端と前記光検出部における前記信号光の検出領域の一端とを結ぶ仮想線
、又は、前記走査領域の他端と前記検出領域の他端とを結ぶ仮想線が、前記走査線に垂直な方向に対して成す角度であ
り、
前記検出領域の一端は、前記走査線に平行な方向において前記走査領域の一端に対して前記走査領域の他端とは反対側に位置し、前記検出領域の他端は、前記走査線に平行な方向において前記走査領域の他端に対して前記走査領域の一端とは反対側に位置している、請求項1~3のいずれか一項に記載の放射線画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線画像が記録された記録媒体の表面に対して励起光を走査する光走査部と、励起光の走査により記録媒体の表面から放出された信号光を検出する光検出部と、を備える放射線画像読取装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような放射線画像読取装置では、装置サイズの小型化が求められる場合がある。しかしながら、装置サイズの小型化のために、例えば、記録媒体の表面からの距離が小さくなるように光検出部が配置されると、放射線画像の読取精度が低下する場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、装置サイズの小型化及び放射線画像の読取精度の維持の両立を図ることができる放射線画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の放射線画像読取装置は、放射線画像が記録された記録媒体の表面に対して、走査線に沿って励起光を走査する光走査部と、走査線を含み且つ記録媒体の表面と交差する検出面内において、励起光の走査により記録媒体の表面から放出された信号光を検出する光検出部と、記録媒体の表面と光検出部との間に配置された光学フィルタと、を備え、記録媒体の表面で反射された励起光が光学フィルタを透過する透過率、及び、検出面内において走査線に垂直な方向に対して所定角度よりも大きい角度を成して記録媒体の表面から放出された信号光が光学フィルタを透過する透過率のそれぞれは、検出面内において走査線に垂直な方向に対して所定角度よりも小さい角度を成して記録媒体の表面から放出された信号光が光学フィルタを透過する透過率よりも小さい。
【0007】
この放射線画像読取装置では、記録媒体の表面で反射された励起光が光学フィルタを透過する透過率、及び、所定角度よりも大きい角度を成して記録媒体の表面から放出された信号光が光学フィルタを透過する透過率のそれぞれが、所定角度よりも小さい角度を成して記録媒体の表面から放出された信号光が光学フィルタを透過する透過率よりも小さい。これにより、励起光が光検出部に入射することに起因して放射線画像の読取精度が低下することが抑制される。また、装置サイズの小型化のために、記録媒体の表面からの距離が小さくなるように光検出部が配置され且つ走査線に平行な方向における光検出部の長さが制限されたとしても、信号光が発散角を有することに起因して放射線画像の読取精度が低下することが抑制される。信号光が発散角を有することに起因して放射線画像の読取精度が低下する理由は、次のとおりである。すなわち、記録媒体の表面から放出された信号光は発散角を有するため、装置サイズの小型化のために、記録媒体の表面からの距離が小さくなるように光検出部が配置され且つ走査線に平行な方向における光検出部の長さが制限されると、例えば、走査線の中央部では信号光の全てが光検出部に入射するのに対し、走査線の両端部では信号光の全てが光検出部に入射しないからである。つまり、この放射線画像読取装置では、装置サイズの小型化が図られたとしても、走査線の中央部と両端部とで、記録媒体の表面から放出された信号光の検出範囲に差が生じることが抑制される。以上により、この放射線画像読取装置によれば、装置サイズの小型化及び放射線画像の読取精度の維持の両立を図ることができる。
【0008】
本発明の放射線画像読取装置では、検出面内において励起光の走査領域と信号光の検出領域とが中央揃えの位置関係にある場合において、走査領域の幅をW1とし、検出領域の幅をW2(>W1)とし、走査領域と検出領域との距離をDとし、所定角度をθとすると、θ=tan-1{(W2-W1)/2D}が成立してもよい。この構成によれば、走査線の中央部と両端部とで、記録媒体の表面から放出された信号光の検出範囲が同等となるため、放射線画像の読取精度の低下をより確実に抑制することができる。
【0009】
本発明の放射線画像読取装置では、光学フィルタは、ガラス板と、ガラス板の一方の表面に形成された第1誘電体多層膜と、ガラス板の他方の表面に形成された第2誘電体多層膜と、を有し、記録媒体の表面で反射された励起光が第1誘電体多層膜及び第2誘電体多層膜を透過する透過率、並びに、検出面内において走査線に垂直な方向に対して所定角度よりも大きい角度を成して記録媒体の表面から放出された信号光が第1誘電体多層膜及び第2誘電体多層膜を透過する透過率のそれぞれは、検出面内において走査線に垂直な方向に対して所定角度よりも小さい角度を成して記録媒体の表面から放出された信号光が第1誘電体多層膜及び第2誘電体多層膜を透過する透過率よりも小さくてもよい。この構成によれば、上述した機能を有する光学フィルタを容易に且つ確実に得ることができる。
【0010】
本発明の放射線画像読取装置は、記録媒体の表面と光学フィルタとの間に配置され、検出面に垂直な面内のみについて、記録媒体の表面で反射された励起光及び記録媒体の表面から放出された信号光を収束させる機能を有する光学素子、を更に備えてもよい。この構成によれば、光検出部として、走査線に平行な方向に沿って配列された複数の光検出素子を含むものを用いることができる。
【0011】
本発明の放射線画像読取装置では、光検出部は、走査線に平行な方向に沿って配列された複数の光検出素子を含み、複数の光検出素子は、1つのチャネルとして制御されてもよい。この構成によれば、より簡単な構成で放射線画像を読み取ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装置サイズの小型化及び放射線画像の読取精度の維持の両立を図ることができる放射線画像読取装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態の放射線画像読取装置の構成図であって、放射線画像読取時の図である。
【
図2】
図1の放射線画像読取装置の一部分の斜視図である。
【
図3】
図1の放射線画像読取装置の光検出部の構成図である。
【
図4】
図1の放射線画像読取装置の光学フィルタの構成図である。
【
図5】
図4の光学フィルタの一実施例についての透過率特性を示す図である。
【
図6】
図1の放射線画像読取装置の一部分の拡大図である。
【
図7】
図1の放射線画像読取装置の構成図であって、放射線画像消去時の図である。
【
図8】
図6のVIII-VIII線に沿っての断面図である。
【
図9】励起光の走査位置に対する光の強度分布を示す図である。
【
図10】(a)第1変形例の光学フィルタの構成図である。(b)第2変形例の光学フィルタの構成図である。(c)第3変形例の光学フィルタの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1に示されるように、放射線画像読取装置1は、筐体2と、複数の搬送ローラ対3と、搬入検知センサ4と、光走査部5と、光学素子6と、光学フィルタ10と、光検出部7と、放射線画像消去部8と、を備えている。放射線画像読取装置1は、イメージングプレート(記録媒体)IPに記録されている放射線画像を読み取る装置である。
【0016】
筐体2は、複数の搬送ローラ対3、搬入検知センサ4、光走査部5、光学素子6、光学フィルタ10、光検出部7及び放射線画像消去部8等を収容している。筐体2は、筐体2に収容されている各部品を外部から保護していると共に外部から遮光している。筐体2には、イメージングプレートIPが搬入される搬入口2a及びイメージングプレートIPが搬出される搬出口2bが設けられている。搬入口2aは、X軸方向における筐体2の一方の壁部に設けられている。搬出口2bは、X軸方向における筐体2の他方の壁部に設けられている。
【0017】
複数の搬送ローラ対3は、互いに離間した状態で、X軸方向に沿って並設されている。各搬送ローラ対3を構成する一対のローラ31は、Y軸方向に沿って延在しており、互いに離間した状態で、Z軸方向において互いに対向している。一対のローラ31間の隙間は、イメージングプレートIPの厚さと略同一である。複数の搬送ローラ対3は、Z軸方向において、一対のローラ31間の隙間の位置が搬入口2a及び搬出口2bの位置と略同一となるように、配置されている。放射線画像読取装置1では、イメージングプレートIPは、搬入口2aから搬入され、複数の搬送ローラ対3によってX軸方向に沿って搬送され、搬出口2bから搬出される。
【0018】
搬入検知センサ4は、筐体2の搬入口2a近傍に配置されている。搬入検知センサ4は、イメージングプレートIPが搬入口2aから搬入される際に、イメージングプレートIPが搬入されたことを検知する。搬入検知センサ4としては、例えば、機械的スイッチ(例えば、オムロン製D2F-01FL-D3)が用いられてもよいし、或いは、フォトインタラプタ等の光検知型センサが用いられてもよい。なお、光検知型センサから発せられた光が照射されることで、イメージングプレートIPに記録された放射線画像が劣化するおそれがあることを考慮すると、機械的スイッチが用いられることが好ましい。
【0019】
図1及び
図2に示されるように、光走査部5は、励起光源ユニット51と、位置調整ミラー52と、を有している。励起光源ユニット51は、励起光源(不図示)と、MEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラー(不図示)と、を含んでいる。励起光源ユニット51は、Z軸方向に平行な軸線を中心線として励起光ELを揺動させつつ、X軸方向に沿って励起光ELを出射する。位置調整ミラー52は、Y軸方向に平行な軸線を中心線として反射面の向きが調整可能に構成されている。位置調整ミラー52は、励起光源ユニット51から出射された励起光ELを走査線L上に反射する。走査線Lは、複数の搬送ローラ対3によって搬送されるイメージングプレートIPの表面IPa(放射線画像が記録された表面)上に位置する仮想線であり、例えば、Y軸方向に平行な線である。放射線画像読取装置1では、光走査部5は、放射線画像が記録されたイメージングプレートIPの表面IPaに対して、走査線Lに沿って励起光ELを走査する(すなわち、走査線Lに沿って励起光ELの照射領域(集光領域)を往復動させる)。
【0020】
光検出部7は、Z軸方向において走査線Lと対向するように配置されている。光検出部7は、検出面S内において、励起光ELの走査によりイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLを検出する。検出面Sは、走査線Lを含み且つイメージングプレートIPの表面IPaと交差する仮想面であり、例えば、YZ平面に平行な面である。
【0021】
図3に示されるように、光検出部7は、複数のフォトダイオード(光検出素子)71と、スイッチ72と、アンプ73と、A/Dコンバータ74と、を有している。光検出部7は、具体的には、MPPC(Multi-Pixel Photon Counter)である。MPPCは、複数のフォトダイオード71のピクセルからなるフォトンカウンティングデバイスである。複数のフォトダイオード71は、Y軸方向(すなわち、走査線Lに平行な方向)に沿って配列されている。複数のフォトダイオード71は、配線75を介して1つのスイッチ72の一端に並列に接続されている。スイッチ72の他端には、アンプ73が接続されている。アンプ73には、A/Dコンバータ74が接続されている。なお、フォトダイオード71には相対的に極性が異なる電位が印加される。そのうちの一方の電位V2をグランド電位としてもよい。
【0022】
信号光FLが光検出部7に入射すると、各フォトダイオード71は、入射した信号光FLの光量に応じて電気信号を出力する。各フォトダイオード71から出力された電気信号は、合算され、アンプ73及びA/Dコンバータ74を介して、例えば制御部(不図示)に出力される。つまり、複数のフォトダイオード71は1つのチャネルとして制御される。
【0023】
図1及び
図2に示されるように、光学フィルタ10は、走査線Lと光検出部7との間に配置されている。つまり、光学フィルタ10は、複数の搬送ローラ対3によって搬送されるイメージングプレートIPの表面IPaと光検出部7との間に配置されている。光学フィルタ10は、イメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光ELを減衰させる。また、光学フィルタ10は、検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度よりも大きい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLを減衰させ、検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度よりも小さい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLを透過させる。なお、光学フィルタ10は、検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLを透過させる。
【0024】
ここで、「イメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光ELを減衰させる」とは、当該励起光ELが光学フィルタ10を透過する透過率が平均で50%未満の場合をいう。「検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度よりも大きい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLを減衰させる」とは、当該信号光FLが光学フィルタ10を透過する透過率が平均で50%未満の場合をいう。「検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度よりも小さい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLを透過させる」とは、当該信号光FLが光学フィルタ10を透過する透過率が平均で50%以上の場合をいう。
【0025】
図4に示されるように、光学フィルタ10は、ガラス板11と、第1誘電体多層膜12と、第2誘電体多層膜13と、を有している。ガラス板11は、Z軸方向において互いに対向する第1表面(一方の表面)11a及び第2表面(他方の表面)11bを有している。第1表面11aは、ガラス板11における走査線L側の面である。第2表面11bは、ガラス板11における光検出部7側の面である。ガラス板11は、信号光FLを透過させる部材である。ガラス板11は、励起光ELに対して吸収性を有する色ガラスによって形成されている。第1誘電体多層膜12は、第1表面11aに形成されている。第2誘電体多層膜13は、第2表面11bに形成されている。第1誘電体多層膜12及び第2誘電体多層膜13のそれぞれは、例えば、SiO
2及びTa
2O
5が交互に積層された積層体である。第1誘電体多層膜12及び第2誘電体多層膜13は、例えばスパッタリング又は蒸着によって、ガラス板11の第1表面11a及び第2表面11bにそれぞれ形成される。
【0026】
光学フィルタ10では、第1誘電体多層膜12及び第2誘電体多層膜13が、複数の搬送ローラ対3によって搬送されるイメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光EL、及び、検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度よりも大きい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLを減衰させ、検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度よりも小さい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLを透過させる。
【0027】
図5は、光学フィルタ10の一実施例についての透過率特性を示す図である。発明者らは、光学フィルタ10の一実施例について、様々な波長を有する光を様々な角度(検出面S内において、走査線Lに垂直な方向に対して成す角度(ここでは、「入射角度」という))で光学フィルタ10に入射させた場合における光の透過率を調べた。
図5に示されるように、励起光ELの波長に相当する波長650nmについては、入射角度によらず、透過率が略0となっている。また、信号光FLの波長に相当する波長400nmについては、入射角度0度、20度、40度では透過率が95%を超えているのに対し、入射角度60度では、透過率が20%を下回った。つまり、この光学フィルタ10の一実施例によれば、信号光FLの波長が400nmである場合に、40度よりも大きく60度よりも小さい角度を、上述した所定角度とし得ることが分かった。
【0028】
図1及び
図2に示されるように、光学素子6は、走査線Lと光学フィルタ10との間に配置されている。つまり、光学素子6は、複数の搬送ローラ対3によって搬送されるイメージングプレートIPの表面IPaと光学フィルタ10との間に配置されている。
【0029】
図6に示されるように、光学素子6は、例えば、Y軸方向に平行な軸線を中心線とする円柱状を呈するロッドレンズである。これにより、光学素子6は、ZX平面に平行な面内においては、光学素子6に入射した励起光EL及び信号光FLを、複数のフォトダイオード71が配列されたライン上に収束させる。一方で、光学素子6は、検出面S内においては、光学素子6に入射した励起光EL及び信号光FLを実質的に収束させず、複数のフォトダイオード71に入射させる。つまり、光学素子6は、検出面Sに垂直な面(すなわち、ZX平面に平行な面)内のみについて、イメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光EL及びイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLを収束させる機能を有している。
【0030】
図1及び
図2に示されるように、放射線画像消去部8は、イメージングプレートIPの搬送方向における走査線Lの下流側に配置されている。放射線画像消去部8は、例えば、イメージングプレートIPの表面IPaに白色光を照射することにより、イメージングプレートIPの表面IPaから放射線画像を消去する。放射線画像消去部8としては、例えば、白色LED(Light Emitting Diode)等の白色ランプ、蛍光灯等が用いられる。
【0031】
以上のように構成された放射線画像読取装置1では、以下のように、イメージングプレートIPに記録された放射線画像が読み取られる。
【0032】
図1に示されるように、イメージングプレートIPは、イメージングプレートIPの表面IPaが光検出部7側に向いた状態で、搬入口2aから筐体2の内部に搬入される。この際、イメージングプレートIPが搬入されたことが搬入検知センサ4によって検知され、搬送ローラ対3及び光走査部5の動作が開始される。筐体2の内部に搬入されたイメージングプレートIPは、搬送ローラ対3によって、X軸方向に沿って搬送される。イメージングプレートIPが光検出部7に対向する位置に搬送された際、光走査部5は、イメージングプレートIPの表面IPaに対して、走査線Lに沿って励起光ELを走査する。イメージングプレートIPの表面IPaに走査された励起光ELは、イメージングプレートIPの表面IPaで反射される。これと同時に、励起光ELに走査されたイメージングプレートIPの表面IPaからは、信号光FLが放出される。光検出部7は、光学素子6及び光学フィルタ10を透過した信号光FLを検出する。そして、
図7に示されるように、イメージングプレートIPは、イメージングプレートIPの表面IPaに記録された放射線画像が放射線画像消去部8により消去された後、搬出口2bから搬出される。放射線画像読取装置1によれば、イメージングプレートIPの表面IPaのうち放射線画像が記憶された領域の全体に励起光ELを照射し、当該領域の全体について信号光FLを検出することで、放射線画像を形成することができる。
【0033】
次に、励起光ELの走査領域と信号光FLの検出領域との関係について説明する。
【0034】
図8に示されるように、検出面S内において、励起光ELの走査領域R1の幅(Y軸方向における幅)はW1である。励起光ELの走査領域R1とは、検出面S内において、イメージングプレートIPの表面IPaに励起光ELが走査される範囲をいう。つまり、検出面S内において、励起光ELの走査領域R1の幅W1は、走査線Lの長さと同一である。検出面S内において、信号光FLの検出領域R2の幅(Y軸方向における幅)はW2である。信号光FLの検出領域R2とは、検出面S内において、光検出部7が光を検出する範囲をいう。つまり、Y軸方向に沿って配列された複数のフォトダイオード71の検出領域の長さと同一である。検出面S内において、信号光FLの検出領域R2の幅W2は、励起光ELの走査領域R1の幅W1より長い。検出面S内において、励起光ELの走査領域R1と信号光FLの検出領域R2とは中央揃えの位置関係にある。中央揃えの位置関係とは、検出面S内において、励起光ELの走査領域R1の中央の位置(Y軸方向における中央の位置)と信号光FLの検出領域R2の中央の位置(Y軸方向における中央の位置)とがY軸方向において一致していることをいう。Z軸方向において、励起光ELの走査領域R1と信号光FLの検出領域R2との距離はDである。このとき、上述した光学フィルタ10についての所定角度をθとすると、θ=tan
-1{(W2-W1)/2D}が成立する。
【0035】
以上説明したように、放射線画像読取装置1では、イメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光ELが光学フィルタ10によって減衰される。つまり、検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度θよりも小さい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光EL、検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度θよりも大きい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光EL、及び、検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度θを成してイメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光ELが、光学フィルタ10によって減衰される。これにより、励起光ELが光検出部7に入射することに起因して放射線画像の読取精度が低下することが抑制される。また、放射線画像読取装置1では、所定角度θよりも大きい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLが光学フィルタ10によって減衰され、所定角度θよりも小さい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLが光学フィルタ10を透過する。これにより、装置サイズの小型化のために、イメージングプレートIPの表面IPaからの距離が小さくなるように光検出部7が配置され且つ走査線Lに平行な方向における光検出部7の長さが制限されたとしても、信号光FLが発散角を有することに起因して放射線画像の読取精度が低下することが抑制される。以上により、放射線画像読取装置1によれば、装置サイズの小型化及び放射線画像の読取精度の維持の両立を図ることができる。
【0036】
信号光FLが発散角を有することに起因して放射線画像の読取精度が低下する理由は、次のとおりである。すなわち、イメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLは発散角を有するため、装置サイズの小型化のために、イメージングプレートIPの表面IPaからの距離が小さくなるように光検出部7が配置され且つ走査線Lに平行な方向における光検出部7の長さが制限されると、例えば、走査線Lの中央部では信号光の全てが光検出部7に入射するのに対し、走査線Lの両端部(励起光ELの走査領域R1の両端部)では信号光FLの全てが光検出部7に入射しないからである。
【0037】
具体的には、
図8に示されるように、検出面S内において、例えば走査線Lの一端部では、走査線Lに垂直な方向に対して所定角度θよりも小さい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FL2(FL)、及び、走査線Lに垂直な方向に対して所定角度θよりも大きい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FL1(FL)のうち走査線Lに垂直な方向に対して走査線Lの他端部側に進行する信号光FL1は、光検出部7に入射する。一方で、走査線Lに垂直な方向に対して所定角度θよりも大きい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FL1(FL)のうち走査線Lに垂直な方向に対して走査線Lの他端部とは反対側に進行する信号光FL1は、光検出部7に入射しない。以上により、走査線Lの中央部と両端部とで、イメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLの検出範囲に差が生じることになる。
【0038】
上述したように、放射線画像読取装置1では、光学フィルタ10が、走査線Lに垂直な方向に対して所定角度θよりも大きい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FL1(FL)を減衰させる。つまり、放射線画像読取装置1では、装置サイズの小型化が図られたとしても、走査線Lの中央部と両端部とで、イメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLの検出範囲に差が生じることが抑制される。
【0039】
従来の放射線画像読取装置では、検出面S内において走査線Lに垂直な方向に沿ってイメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光ELを減衰させる誘電体多層膜が励起光カットフィルタとして採用されると、検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光ELが十分に減衰されない場合がある。
図9は、そのような励起光カットフィルタが採用された場合に、Y軸方向における光検出部7の中央に配置されているフォトダイオード71で検出された光の強度分布を示す図である。なお、
図9には、励起光ELが走査線Lに沿って複数回走査された際における光の強度分布が示されており、破線は、中央に配置されているフォトダイオード71に対向する位置(励起光ELの走査位置)に相当する。この場合には、検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光ELが、光検出部7に入射する。このため、
図9に示されるように、Y軸方向における光検出部7の中央に配置されているフォトダイオード71で検出された光の強度分布は、励起光ELの走査位置が破線から離れた両側において増強される。これに対して、放射線画像読取装置1では、光学フィルタ10が、検出面S内において走査線Lに垂直な方向に沿ってイメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光ELだけではなく、検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光ELも減衰させる。これにより、Y軸方向における光検出部7の中央に配置されているフォトダイオード71で検出された光の強度分布が、励起光ELの走査位置が破線から離れた両側において増強されることが抑制される。
【0040】
また、放射線画像読取装置1では、検出面S内において励起光ELの走査領域R1と信号光FLの検出領域R2とが中央揃えの位置関係にある場合において、走査領域R1の幅をW1とし、検出領域R2の幅をW2(>W1)とし、走査領域R1と検出領域R2との距離をDとし、所定角度をθとすると、θ=tan-1{(W2-W1)/2D}が成立する。この構成によれば、走査線Lの中央部と両端部とで、イメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLの検出範囲が同等となるため、放射線画像の読取精度の低下をより確実に抑制することができる。
【0041】
また、放射線画像読取装置1では、光学フィルタ10が、ガラス板11と、ガラス板11の第1表面11aに形成された第1誘電体多層膜12と、ガラス板11の第2表面11bに形成された第2誘電体多層膜13と、を有している。この構成によれば、上述した機能を有する光学フィルタ10を容易に且つ確実に得ることができる。例えば、第1誘電体多層膜12及び第2誘電体多層膜13が次のようなものであれば、光学フィルタ10は、上述した機能を有することになる。すなわち、第1誘電体多層膜12が、検出面S内において走査線Lに対して所定角度θよりも大きい角度でイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FL1(FL)、及び、検出面S内において走査線Lに対して所定角度θよりも小さい角度でイメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光ELを減衰させ、第2誘電体多層膜13が、検出面S内において走査線Lに対して所定角度θよりも大きい角度でイメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光ELを減衰させるものであればよい。このように、一種類の誘電体多層膜では、上述した機能を有する光学フィルタ10を得ることが困難である場合には、二種類以上の誘電体多層膜を組み合わせることによって、上述した機能を有する光学フィルタ10を得ることができる。なお、第1誘電体多層膜12及び第2誘電体多層膜13の機能は、上述したものに限定されず、上述した機能を有する光学フィルタ10を得ることができれば、第1誘電体多層膜12及び第2誘電体多層膜13のそれぞれが減衰させる光の種類は、任意に設定可能である。また、ガラス板11は、励起光ELに対して吸収性を有する色ガラスによって形成されているため、光学フィルタ10の内部において第1誘電体多層膜12及び第2誘電体多層膜13で反射された励起光ELがガラス板11に吸収され、励起光ELが光検出部7に入射することがより確実に抑制される。また、第1誘電体多層膜12及び第2誘電体多層膜13をそれぞれガラス板11の第1表面11a及び第2表面11bに安定して形成することができる。
【0042】
また、放射線画像読取装置1では、検出面Sに垂直な面内のみについて、イメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光EL及びイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLを収束させる機能を有する光学素子6が、イメージングプレートIPの表面IPaと光学フィルタ10との間に配置されている。この構成によれば、光検出部7として、走査線Lに平行な方向に沿って配列された複数のフォトダイオード71を含むものを用いることができる。
【0043】
また、放射線画像読取装置1では、光検出部7において、走査線Lに平行な方向に沿って配列された複数のフォトダイオード71が、1つのチャネルとして制御されている。この構成によれば、より簡単な構成で放射線画像を読み取ることができる。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0045】
上記実施形態では、光検出部7において複数のフォトダイオード71が1つのチャネルとして制御されたが、複数のフォトダイオード71は、複数のチャネルとして制御されてもよい。複数のフォトダイオード71が複数のチャネルとして制御されることで、複数のフォトダイオード71が1つのチャネルとして制御される場合に比べ、ノイズを減少させることができる。また、複数のフォトダイオード71が複数のチャネルとして制御される場合には、励起光ELを走査線Lに沿って走査せずに、励起光ELを走査領域R1の全体に照射したとしても、イメージングプレートIPの表面IPaに記録された放射線画像を読み取ることができる。
【0046】
また、上記実施形態では、「イメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光EL」が光学フィルタ10を透過する透過率が平均で50%未満であり、「検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度よりも大きい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FL」が光学フィルタ10を透過する透過率が平均で50%未満であり、「検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度よりも小さい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FL」が光学フィルタ10を透過する透過率が平均で50%以上であったが、各透過率の値はこれらに限定されない。「イメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光EL」が光学フィルタ10を透過する透過率(例えば、平均での透過率)、及び、「検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度よりも大きい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FL」が光学フィルタ10を透過する透過率(例えば、平均での透過率)のそれぞれが、「検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度よりも小さい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FL」が光学フィルタ10を透過する透過率(例えば、平均での透過率)よりも小さければ、装置サイズの小型化及び放射線画像の読取精度の維持の両立を図ることができる。ただし、励起光ELは、信号光FLよりも強度が強いことが一般的であるため、励起光ELが光学フィルタ10を透過する透過率は、平均で1%未満であることが好ましい。
【0047】
また、上記実施形態では、光学素子6が円柱状を呈していたが、光学素子6は、検出面Sに垂直な面内のみについて、イメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLを収束させる機能を有するものであれば、その形状は問われない。また、光学素子6、光学フィルタ10及び光検出部7は、互いに接触していてもよいし(
図6参照)、或いは、互いに離間していてもよい。
【0048】
また、
図10(a)に示されるように、第1誘電体多層膜12及び第2誘電体多層膜13の両方がガラス板11の第2表面11bに形成されていてもよい。具体的には、第1誘電体多層膜12が、ガラス板11の第2表面11bに形成されており、第2誘電体多層膜13が、第1誘電体多層膜12の表面に形成されていてもよい。また、第2誘電体多層膜13が、ガラス板11の第2表面11bに形成されており、第1誘電体多層膜12が、第2誘電体多層膜13の表面に形成されていてもよい。
【0049】
また、
図10(b)に示されるように、光学フィルタ10が、複数のガラス板11を有していてもよい。この場合、一方のガラス板11の表面11aに、第1誘電体多層膜12が形成されており、他方のガラス板11の表面11bに、第2誘電体多層膜13が形成されている。そして、複数のガラス板11が、第1誘電体多層膜12及び第2誘電体多層膜13により挟まれるように互いに接続されている。また、
図10(c)に示されるように、第1誘電体多層膜12及び第2誘電体多層膜13が、ガラス板11に挟まれるように互いに接続されていてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、光学フィルタ10が、検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度θを成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLを透過させたが、光学フィルタ10は、検出面S内において走査線Lに垂直な方向に対して所定角度θを成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FLを減衰させてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、光学フィルタ10について、θ=tan-1{(W2-W1)/2D}が成立したが、光学フィルタ10は、検出面S内において、イメージングプレートIPの表面IPaで反射された励起光EL、及び走査線Lに垂直な方向に対して所定角度θよりも大きい角度を成してイメージングプレートIPの表面IPaから放出された信号光FL1(FL)を減衰させることが可能であればよく、所定角度θの大きさは必要に応じて設定することができる。なお、所定角度θは、小さければ小さいほど、放射線画像の読取精度が低下するのが抑制される。
【0052】
また、検出面S内において、励起光ELの走査領域R1と信号光FLの検出領域R2とが中央揃えの位置関係にあるか否かにかかわらず、所定角度θは、次のように捉えることができる。
図8を参照すると、所定角度θは、検出面S内において、走査領域R1の一端(Y軸方向における一方の側の端)と検出領域R2の一端(Y軸方向における一方の側の端)とを結ぶ仮想線が、走査線Lに垂直な方向に対して成す角度と捉えることができる。或いは、所定角度θは、検出面S内において、走査領域R1の他端(Y軸方向における他方の側の端)と検出領域R2の他端(Y軸方向における他方の側の端)とを結ぶ仮想線が、走査線Lに垂直な方向に対して成す角度と捉えることができる。なお、励起光ELの走査領域R1と信号光FLの検出領域R2とが中央揃えの位置関係にない場合には、一方の側と他方の側とで所定角度θが異なることになるが、その場合には、放射線画像の読取精度の維持を図る観点から、一方の側の所定角度θ及び他方の側の所定角度θのうち小さい方の所定角度θを採用することが好ましい。
【0053】
また、上記実施形態では、光検出部7において、複数のフォトダイオード71が、Y軸方向に沿って一次元に配列されていたが、複数のフォトダイオード71が、XY平面と平行な面内において二次元に配列されていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…放射線画像読取装置、5…光走査部、10…光学フィルタ、11…ガラス板、11a…第1表面、11b…第2表面、12…第1誘電体多層膜、13…第2誘電体多層膜、6…光学素子、7…光検出部、71…フォトダイオード(光検出素子)、EL…励起光、FL…信号光、IP…イメージングプレート(記録媒体)、IPa…イメージングプレートの表面、L…走査線、R1…走査領域、R2…検出領域、S…検出面、W1…走査領域の幅、W2…検出領域の幅、D…走査領域と検出領域との距離、θ…所定角度。