(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】開閉装置用収納構造
(51)【国際特許分類】
E06B 7/28 20060101AFI20240229BHJP
E06B 7/34 20060101ALI20240229BHJP
E06B 1/04 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E06B7/28 J
E06B7/34
E06B1/04 G
(21)【出願番号】P 2023038304
(22)【出願日】2023-03-13
(62)【分割の表示】P 2019236851の分割
【原出願日】2019-12-26
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】平野 勝男
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実公昭56-31613(JP,Y2)
【文献】特開2000-120338(JP,A)
【文献】特開2002-188375(JP,A)
【文献】特開2011-12425(JP,A)
【文献】実開昭55-50243(JP,U)
【文献】実開昭55-62784(JP,U)
【文献】特開2003-278463(JP,A)
【文献】特開平2-274990(JP,A)
【文献】特開昭55-161181(JP,A)
【文献】実開平1-112289(JP,U)
【文献】実開昭55-54613(JP,U)
【文献】実開昭55-110684(JP,U)
【文献】実開昭55-73005(JP,U)
【文献】実開昭55-41440(JP,U)
【文献】実開昭57-61071(JP,U)
【文献】実開昭55-110685(JP,U)
【文献】実公昭59-22235(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体により出入口が開閉される開閉装置の左右方向の側部となっている袖部分が物品を収納するための収納部となっている開閉装置用収納構造において、
前記開閉装置は左右方向に2個配置され、これらの開閉装置の間の部分が、前記収納部となって
おり、
前記2個の開閉装置は、前記開閉体となっている扉体が左右方向にスライドすることにより前記出入口を開閉する引戸装置であり、
前記出入口を開放するために開き移動した前記扉体の大部分が収納される戸袋は、壁の内部に設けられた壁収納式戸袋となっていることを特徴とする開閉装置用収納構造。
【請求項2】
開閉体により出入口が開閉される開閉装置の左右方向の側部となっている袖部分が物品を収納するための収納部となっている開閉装置用収納構造において、
前記開閉装置は左右方向に2個配置され、これらの開閉装置の間の部分が、前記収納部となって
おり、
前記収納部の上端の高さ位置は、前記2個の開閉装置の上端の高さ位置よりも高くなっていることを特徴とする開閉装置用収納構造。
【請求項3】
請求項2に記載の開閉装置用収納構造において、前記2個の開閉装置は、前記開閉体となっている扉体が左右方向にスライドすることにより前記出入口を開閉する引戸装置であることを特徴とする開閉装置用収納構造。
【請求項4】
請求項1又は3に記載の開閉装置用収納構造において、前記2個の引戸装置は、左右対称の形状及び構造となっていることを特徴とする開閉装置用収納構造。
【請求項5】
請求項4に記載の開閉装置用収納構造において、前記2個の引戸装置は、これらの引戸装置の前記扉体が引き分け式となって左右方向に配置されていて、前記収納部は、前記2個の引戸装置における前記扉体の閉じ側の側部に設けられていることを特徴とする開閉装置用収納構造。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の開閉装置用収納構造において、前記2個の開閉装置の上端の高さ位置は同じになっているとともに、これらの開閉装置と天井との間には幕板が配設されていることを特徴とする開閉装置用収納構造。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の開閉装置用収納構造において、前記収納部は、左右方向の間隔をあけて立設されている2本の縦枠部材と、これらの縦枠部材の間の空間とを含んで形成され、前記2本の縦枠部材が、2個の前記開閉装置の前記開閉体により開閉される前記出入口を形成している縦枠部材となっていることを特徴とする開閉装置用収納構造。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の開閉装置用収納構造において、前記収納部には、少なくとも第1収納室と第2収納室とが設けられていることを特徴とする開閉装置用収納構造。
【請求項9】
請求項8に記載の開閉装置用収納構造において、前記第1収納室と前記第2収納室の左右方向の幅寸法は同じになっており、これらの第1収納室と第2収納室は上下に段積み状態で並設されていることを特徴とする開閉装置用収納構造。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の開閉装置用収納構造において、前記収納部に収納される物品には、ポンプ式消毒液ボトルが含まれていることを特徴とする開閉装置用収納構造。
【請求項11】
請求項10に記載の開閉装置用収納構造において、前記収納部には、扉部材が設けられ、
前記ポンプ式消毒液ボトルは、この扉部材に配置されて前記収納部に収納されることを特徴とする開閉装置用収納構造。
【請求項12】
請求項11に記載の開閉装置用収納構造において、前記扉部材には、窓孔が設けられ、前記ポンプ式消毒液ボトルは、前記窓孔に、前記ポンプ式消毒液ボトルの少なくとも一部が前記扉部材の厚さ方向にはみ出し状態でセットされることを特徴とする開閉装置用収納構造。
【請求項13】
請求項12に記載の開閉装置用収納構造において、前記扉部材には、ボックスが前記窓孔に保持されて配置され、前記ポンプ式消毒液ボトルは、前記ボックスの内部において、このボックスに載置されて前記扉部材に配置されることを特徴とする開閉装置用収納構造。
【請求項14】
請求項13に記載の開閉装置用収納構造において、前記ボックスには、このボックスの下面部を前方へ延長することにより形成されている延長部が設けられていることを特徴とする開閉装置用収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉体等の開閉体により出入口が開閉される開閉装置の左右方向の側部となっている袖部分が、物品を収納するための収納部となっている開閉装置用収納構造に係り、特に、開閉装置が左右方向に2個配置されるものについての開閉装置用収納構造に係り、例えば、介護施設等の施設内に設置される引戸装置等の開閉装置に隣接して物品を収納するための収納部を設けるために利用することができるものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、介護施設等の施設内に、廊下と部屋を仕切るための引戸装置等の開閉装置を設置する場合に、この開閉装置の扉体等の開閉体で開閉される出入口を出入りする者等と関係する物品を有効に収納できる収納部を施設内に設けることが求められ、このため、下記の特許文献1には、開閉体により出入口が開閉される開閉装置の左右方向の側部となっている袖部分に物品を収納するための収納部を設けることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引戸装置等の開閉装置が設置される施設では、開閉装置を左右方向に2個配置する場合がある。
【0005】
本発明の目的は、収納部を、左右方向に2個配置される開閉装置について共用されるものにできるようになる開閉装置用収納構造を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る開閉装置用収納構造は、開閉体により出入口が開閉される開閉装置の左右方向の側部となっている袖部分が物品を収納するための収納部となっている開閉装置用収納構造において、前記開閉装置は左右方向に2個配置され、これらの開閉装置の間の部分が、前記収納部となっていることを特徴とするものである。
【0007】
このように本発明に係る開閉装置用収納構造では、左右方向に2個配置される開閉装置の間の部分が収納部となっているため、この収納部を、2個の開閉装置について共用されるものにできる。
【0008】
本発明に係る開閉装置用収納構造において、2個の開閉装置を、開閉体となっている扉体が左右方向にスライドすることにより出入口を開閉する引戸装置とすることができる。
【0009】
このように2個の開閉装置を、開閉体となっている扉体が左右方向にスライドすることにより出入口を開閉する引戸装置とする場合には、2個の引戸装置を、左右対称の形状及び構造となっているものにできる。
【0010】
また、2個の開閉装置を、開閉体となっている扉体が左右方向にスライドすることにより出入口を開閉する引戸装置とする場合には、2個の引戸装置を、これらの引戸装置の扉体が引き分け式となって左右方向に配置して、収納部を、2個の引戸装置における扉体の閉じ側の側部に設けることができる。
【0011】
また、2個の開閉装置を、開閉体となっている扉体が左右方向にスライドすることにより出入口を開閉する引戸装置とする場合には、出入口を開放するために開き移動した扉体の大部分が収納される戸袋を、壁の内部に設けられた壁収納式戸袋とすることができる。
【0012】
また、本発明に係る本発明に係る開閉装置用収納構造において、収納部を、左右方向の間隔をあけて立設されている2本の縦枠部材と、これらの縦枠部材の間の空間とを含んで形成し、2本の縦枠部材を、2個の開閉装置の開閉体により開閉される出入口を形成している縦枠部材とすることができる。
【0013】
これによると、収納部を、部材の兼用化を図って形成できることになる。
【0014】
さらに、本発明に係る開閉装置用収納構造において、収納部の上端の高さ位置を、2個の開閉装置の上端の高さ位置よりも高くすることができる。
【0015】
また、本発明に係る開閉装置用収納構造において、収納部には、少なくとも第1収納室と第2収納室とを設けることができる。
【0016】
このように収納部に、少なくとも第1収納室と第2収納室とを設ける場合には、第1収納室と第2収納室の左右方向の幅寸法を同じにし、これらの第1収納室と第2収納室を上下に段積み状態で並設することができる。
【0017】
また、本発明に係る開閉装置用収納構造において、収納部に収納される物品に、ポンプ式消毒液ボトルを含めることができる。
【0018】
このように収納部に収納される物品に、ポンプ式消毒液ボトルを含める場合には、収納部に扉部材も設け、ポンプ式消毒液ボトルを、この扉部材に配置して収納部に収納するようにすることができる。
【0019】
また、このように収納部に扉部材も設け、ポンプ式消毒液ボトルを、この扉部材に配置して収納部に収納するようにする場合には、扉部材には窓孔を設け、ポンプ式消毒液ボトルを、窓孔に、ポンプ式消毒液ボトルの少なくとも一部が扉部材の厚さ方向にはみ出し状態でセットすることができる。
【0020】
以上説明した本発明において、開閉体により出入口が開閉される開閉装置は、開閉体となっている扉体の開閉移動がスライド移動となっている引戸装置でもよく、あるいは、開閉体となっている扉体の開閉移動がヒンジを中心とする回動運動となっている開き戸装置でもよく、あるいは、開閉体となっている扉体が折り畳み及び展開自在の折れ戸となっていて、この折れ戸が折り畳まれながらスライドして閉じ移動するとともに、折れ戸が展開しながら開き移動する折れ戸装置でもよく、あるいは、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置でもよく、あるいは、開閉体がカーテンとなっているカーテン装置でもよく、あるいは、開閉体がロールスクリーンとなっているロールスクリーン装置でもよく、あるいは、開閉体がアコーディオンカーテンとなっているアコーディオンカーテン装置でもよい。
【0021】
また、本発明に係る開閉装置用収納構造は、各種用途のための施設に適用することができ、その一例の施設は、介護施設であり、他の例の施設は、病院であり、また、これら以外の学校や老人ホーム等の施設や、各種の建物等の構造物にも本発明に係る開閉装置用収納構造を適用することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、収納部を、左右方向に2個配置される開閉装置について共用されるものにできるようになるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る開閉装置用収納構造の全体を、開閉装置を含めて示した正面図である。
【
図6】
図6は、
図5で示されている第2収納室の第2扉部材を開けたときを示す
図5と同様の図である。
【
図7】
図7は、
図1で示されている第1収納室の第1扉部材と第2収納室の第2扉部材とを開けたときを示す
図1と同様の図である。
【
図12】
図12は、第2扉部材の窓孔に挿入セットされるボックスを示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
【
図14】
図14は、
図7の一部拡大図であって、第1扉部材と第2扉部材を開けたときの収納部だけを示す正面図である。
【
図15】
図15は、第2扉部材の窓孔に挿入セットされたボックスの内部にポンプ式消毒液ボトルを配置したときを示す
図8と同様の図である。
【
図18】
図18は、第2扉部材の窓孔に挿入セットされたボックスの内部に別のポンプ式消毒液ボトルを配置したときを示す
図8と同様の図である。
【
図19】
図19は、開閉装置である引戸装置が収納部の左右両側に配置されている実施形態を示す
図1と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る開閉装置用収納構造の全体正面図が、開閉装置を含めて示されており、
図2は、
図1の背面図である。本実施形態の開閉装置は、介護施設内の廊下と、被介護者が居住するための被介護者居住部屋との間を仕切る壁の一部に設置されており、この開閉装置は、開閉体となっている扉体1が左右方向にスライドすることにより出入口2を開閉する引戸装置である。この引戸装置の骨組みは、上述の廊下側から見た正面図となっている
図1に示されているように、出入口2を閉じたときの扉体1の戸先部が当接する戸先側の縦枠部材3と、この戸先側の縦枠部材3とは扉体1のスライド移動方向の反対側に立設されている戸尻側の縦枠部材4と、これらの戸先側の縦枠部材3と戸尻側の縦枠部材4の間に水平に架け渡された上枠部材となっている無目5と、床6に敷設されている下枠部材7と、戸先側の縦枠部材3と戸尻側の縦枠部材4の間において、下枠部材7から立設された竪額縁部材8とを含んで形成されており、戸先側の縦枠部材3とこの竪額縁部材8との間における無目5の下側が出入口2となっている。
【0025】
無目5の内部には、扉体1の上部に回転自在に2個取り付けられたローラ9が転動自在に載置されているガイドレール10が配置され、また、下枠部材7には、鉛直軸を中心に回転自在となっていて、扉体1の下端内部に挿入されているガイドローラ11が配置されている。このため、ガイドレール10から吊り下げられた上吊り式となっている扉体1は、ガイドレール10とガイドローラ11によって案内されて左右方向にスライド移動自在となっており、このスライド移動により、扉体1は出入口2を開閉する。
図1に示されているように、ガイドレール10には、ワイヤー等の紐状部材12によって扉体1と連結されている自動閉鎖装置13が取り付けられ、把持部材1Aを把持した手により扉体1を、
図1において、左方向へ開き移動させることによって出入口2を開放すると、自動閉鎖装置13のぜんまいばねによる蓄圧手段に戻しばね力が蓄圧されるため、把持部材1Aから手を離すと、この戻しばね力により扉体1は自動的に閉じ移動する。
【0026】
出入口2を開放するために開き移動した扉体1の大部分は戸袋14の内部に収納され、この戸袋14は、上述の廊下と被介護者居住部屋との間を仕切る壁15の一部となっているため、戸袋14は、壁15の内部に設けられた壁収納式戸袋となっており、この壁15は、引戸装置と、この引戸装置に隣接して配置されている後述の収納部20とにより分断された左右の壁部分15A,15Bからなる。
【0027】
また、上述の被介護者居住部屋側から見た背面図となっている
図2に示されているように、無目5には、戸先側の縦枠部材3と竪額縁部材8との間において、点検カバー16が取り外し可能に配設され、この点検カバー16を取り外すことにより、ガイドレール10等についての保守、点検作業等を行える。
【0028】
さらに、本実施形態において、引戸装置の戸先側の縦枠部材3と戸尻側の縦枠部材4と竪額縁部材8は、床6から天井17まで達する上下寸法を有するものとなっているが、無目5は天井17に取り付けられておらず、この天井17と、天井17よりも低い位置に配置されている無目5との間には、幕板18が配設されている。
【0029】
図1に示されているように、引戸装置の左右両側の側部のうち、開閉体となっている扉体1の閉じ側の側部となっている袖部分は、本実施形態の収納部20となっている。この収納部20の骨組みは、引戸装置の前述した骨組みの一部ともなっている戸先側の縦枠部材3と、この戸先側の縦枠部材3から引戸装置側とは反対側に離れた左右方向の位置において、戸先側の縦枠部材3と同様に、床6から天井17まで達する高さ寸法で立設されている収納部用縦枠部材21と、これらの戸先側の縦枠部材3と収納部用縦枠部材21の間において、床6に敷設されている下枠部材22と、戸先側の縦枠部材3と収納部用縦枠部材21の間において、天井17に取り付けられている上枠部材23と、下枠部材22と上枠部材23の間において、戸先側の縦枠部材3と収納部用縦枠部材21の間に水平に架け渡されている仕切り部材24とを含んで形成されている。戸先側の縦枠部材3と収納部用縦枠部材21と下枠部材22と上枠部材23とで囲まれた空間は、物品を収納することができる空間になっており、この空間のうち、下枠部材22と仕切り部材24との空間は、上述の廊下側の表面が第1扉部材31で開閉される第1収納室71となっており、また、仕切り部材24と上枠部材23の間の空間は、上述の廊下側の表面が第2扉部材32で開閉される第2収納室72となっている。
【0030】
これらの第1扉部材31と第2扉部材32は、扉部材31,32ごとに設けられた上ヒンジピン33と下ヒンジピン34を中心に開閉自在となっており、
図1のS3-S3線断面図である
図3にも、これらの上ヒンジピン33と下ヒンジピン34が示されている。この
図3に示されているように、第1扉部材31の上部における収納部用縦枠部材21側の端部から上方へ突設している上ヒンジピン33は、仕切り部材24に形成された孔24Aに下から挿入され、第1扉部材31の下部における収納部用縦枠部材21側の端部から下方へ突設している下ヒンジピン34は、下枠部材22に形成された孔22Aに上から挿入されている。また、第2扉部材32の上部における収納部用縦枠部材21側の端部から上方へ突設している上ヒンジピン33は、上枠部材23に形成された孔23Aに下から挿入され、第2扉部材32の下部における収納部用縦枠部材21側の端部から下方へ突設している下ヒンジピン34は、仕切り部材24に形成された孔24Bに上から挿入されている。
【0031】
それぞれの上ヒンジピン33は、コイルばね35により常時上方へ付勢されたものとなっている。これらの上ヒンジピン33を、下部33Aを摘まむことによってコイルばね35に抗して下方へ移動させた後に、下ヒンジピン34を孔22A,24Bに挿入し、次いで、上ヒンジピン33をコイルばね35によって上昇させて孔23A,24Aに挿入することにより、第1扉部材31と第2扉部材32のそれぞれは、上ヒンジピン33と下ヒンジピン34を中心に開閉自在となる。
【0032】
図4は、
図1で示されている第1収納室71におけるS4-S4線断面図である。この
図4に示されているように、戸先側の縦枠部材3には、第1扉部材31の配置箇所と対応する箇所において、先端にマグネット36が取り付けられたスライド部材37Aと、このスライド部材37Aの大部分がスライド自在に内部に挿入されたケース37Bとを含んで構成されているキャッチ手段37が取り付けられ、このようなキャッチ手段37は、戸先側の縦枠部材3の高さ方向に離れて複数個設けられており、また、第1扉部材31には、それぞれのキャッチ手段37と対応する高さ位置において、マグネット36に吸着される磁性部材38が取り付けられている。これらの磁性部材38がマグネット36に吸着されることにより、通常時の第1扉部材31は第1収納室71の前面側を閉じた状態を維持し、また、第1扉部材31を強く閉じ方向に押圧すると、スライド部材37Aは、ケース37B内に後退するスライド移動を行った後に、ケース37B内に配置されている弾性部材の弾性力により前方へ突出する高速のスライド移動を行い、これにより、第1扉部材31は上下のヒンジピン33,34を中心に高速で開き回動を行うため、マグネット36に対する磁性部材38の吸着が外れ、これにより、第1扉部材31は、
図4の二点鎖線で示されているように、上下のヒンジピン33,34を中心とする開き回動を行う。
【0033】
このように第1収納室71における廊下側の面となっている前面は、第1扉部材31により開閉自在となっており、これに対して第1収納室71における前述した被介護者居住部屋側の面となっている背面は、
図3及び
図4で示されている背面部材39により塞がれている。
図2でも示されているこの背面部材39は、
図3及び
図4で示されているように、ビス等の止着具39Aにより下枠部材22と仕切り部材24と戸先側の縦枠部材3と収納部用縦枠部材21とに止着されている。また、背面部材39における被介護者居住部屋側の面には、石膏ボード等による大面積の壁パネル40が取り付けられている。
【0034】
図7には、第1収納室71の第1扉部材31と、第2収納室72の第2扉部材32とを開いたときの状態が示されている。この
図7に示されているように、第2扉部材32により前面が開閉される第2収納室72における被介護者居住部屋側の背面には、戸先側の縦枠部材3と収納部用縦枠部材21とに水平に架け渡された下地部材41~44が上下方向に並設され、これらの下地部材41~44の間には、
図2及び
図3に示されているように、大面積の壁パネル40よりも上下寸法が小さい石膏ボード等による複数の壁パネル45が上下に配置されている。これらの壁パネル45は、仕切り部材24や下地部材41~44にステープル等の止着具で止着され、また、これらの壁パネル45よりも被介護者居住部屋側となっている壁15の厚さ方向外側に配置されている大面積の壁パネル40も、仕切り部材24や下地部材41~44にステープル等の止着具で止着されている。
【0035】
このため、前述した収納部20のうち、第2収納室72における被介護者居住部屋側の背面は、内外2枚の壁パネル40,45により形成されている。また、前述した壁15のうち、
図1及び
図2で示した収納部20側の壁部分15Bにおける被介護者居住部屋側の背面も、
図4に示されているように、内外2枚の壁パネル40,46により形成されている。また、壁部分15Bにおける廊下側の前面も、
図4に示されているように、内外2枚の壁パネル47,48により形成されている。さらに、壁15のうち、
図1及び
図2で示した収納部20側の壁部分15Bとは反対側の壁部分15Aにおける廊下側の前面と、被介護者居住部屋側の背面も、内外2枚の壁パネルにより形成されている。そして、この壁部分15Aにおける被介護者居住部屋側の背面に配置されている内外2枚の壁パネルのうち、上下方向に複数枚が配置されている内側の壁パネルの間には、前述した戸袋14の箇所において、
図2で示されている下地部材49~53が配置され、これらの下地部材49~53のうち、下地部材49~52は、上述した収納部20の下地部材41~44と左右方向の長さが異なるだけで、下地部材41~44と同じ縦断面形状を有するものとなっており、また、下地部材41~44と同じ高さ位置に配置されている。さらに、壁部分15Aにおける廊下側の前面に配置されている内外2枚の壁パネルのうち、上下方向に複数枚が配置されている内側の壁パネルの間にも、
図1で示されている下地部材54~58が配置され、これらの下地部材54~58は、下地部材49~53と左右方向の長さ及び縦断面形状が同じになっていて、下地部材54~58が配置されている高さ位置も、下地部材49~53の高さ位置と同じなっている。
【0036】
このため、本実施形態では、第1収納室71の背面を形成するために用いられている下地部材41~44は、下地部材49~53及び下地部材54~58のための素材を板材の折り曲げ等で製造した後に、これらの素材のうち、下地部材49~52及び下地部材54~57のための素材を、下地部材49~52及び下地部材54~57よりも左右方向の長さ寸法を短くして切断することにより生産でき、また、下地部材41~44を配置する高さ位置は、下地部材49~52及び下地部材54~57を配置する高さ位置と同じであるため、下地部材41~44の生産作業と配置作業を容易に行える。
【0037】
なお、上述した内外2枚の壁パネルのうち、外側の壁パネルの外面には、ビニルシート等による表面仕上げ部材が貼り付けられ、これにより、壁15の表面が仕上げられる。
【0038】
以上の本実施形態によると、第1収納室71と第2収納室72は、収納部20の左右両側部分を形成するための2本の縦枠部材となっている戸先側の縦枠部材3と収納部用縦枠部材21との間の空間となっているため、これらの第1収納室71と第2収納室72の左右方向の幅寸法は同じになっており、また、第1収納室71の上に第2収納室72が設けられているため、これらの第1収納室71と第2収納室72は上下に段積み状態で並設されている。さらに、第1収納室71と第2収納室72の間を上下に仕切っている仕切り部材24は、戸先側の縦枠部材3と収納部用縦枠部材21の高さ方向の中央位置に配置されておらず、この中央位置よりも低い位置に配置されているため、第1収納室71の高さ寸法よりも第2収納室72の高さ寸法は大きくなっている。
【0039】
図3に示されているように、第1扉部材31により前面が開閉される第1収納室71の内部には、水平の棚板60が設けられており、この棚板60は、第1収納室71の第1扉部材31と第2収納室72の第2扉部材32とを開いたときを示している前述の
図7の一部拡大図である
図14に示されているように、上下に複数枚、本実施形態では、2枚設けられている。これらの棚板60は、
図3及び
図4に示されているように、戸先側の縦枠部材3と収納部用縦枠部材21にビス等の止着具61で止着されたL字状のブラケット62の上に載せられて、これらブラケット62にビス等の止着具63により止着されている。そして、第1収納室71では、
図14に示されているように、複数の物品64がそれぞれの棚板60の上に載置されることにより収納され、この
図14では、前述した下枠部材22の上にも物品64が載置されている。
【0040】
以上の第1収納室71に対して、第2扉部材32により前面が開閉される第2収納室72の内部には、
図14から分かるように、棚板は設けられていない。このため、第2収納室72の内部には、前述の仕切り部材24から上枠部材23まで達する上下寸法が大きい収納空間が確保されており、この収納空間において、物品64よりも高さ寸法が大きくなっている物品65が仕切り部材24の上に載置されることによって第2収納室72に収納される。
【0041】
このため、第1収納室71には、高さ寸法が小さい物品64を棚板60や下枠部材22の上に載置することにより収納することができ、また、棚板が設けられていない第2収納室72には、棚板の影響を受けることなく、高さ寸法の大きい物品65を収納することができ、これにより、物品64,65の高さ寸法の相違に応じてこれらの物品64,65を合理的に収納するための収納室を選択することができる。
【0042】
また、本実施形態では、上述したように第1収納室71の高さ寸法よりも第2収納室72の高さ寸法は大きくなっているため、第2収納室72に一層高さ寸法が大きい物品を収納することができる。また、第1収納室71と第2収納室72とからなる収納部20の左右両側部分を形成している2本の縦枠部材となっている戸先側の縦枠部材3と収納部用縦枠部材21は、床6から天井17まで達する高さ寸法を有しており、これにより、収納部20の上端の高さ位置は、
図1で示した引戸装置の上端の高さ位置となっている前述の無目5の上端の高さ位置よりも高くなっているため、収納部20の上端の高さ位置と無目5の上端の高さ位置とを同じにした場合よりも、第1収納室71の高さ寸法も、また、第2収納室72の高さ寸法も大きくすることができる。このため、第1収納室71については、棚板60の枚数の増加によって一層多くの物品64を収納することができ、第2収納室72については、高さ寸法が一層大きい物品65を収納することができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、高さ寸法が小さい物品64が収納される第1収納室71は、第2収納室72の下側に配置されているため、上下寸法が大きい第2収納室72の上に第1収納室71を配置した場合と比較して、第1収納室71に対する物品64の出し入れを容易に行える。
【0044】
また、本実施形態では、前述した上下のヒンジピン33.34を中心として第1収納室71の第1扉部材31を開ける方向及び第2収納室72の第2扉部材32を開ける方向は、引戸装置から遠ざかる方向となっている。このため、第1及び第2収納室71,72から物品64,65を取り出す人が、引戸装置と収納部20との間の境界部材となっている戸先側の縦枠部材3の前に立って第1及び第2扉部材31,32を開ける操作を行っても、これらの第1及び第2扉部材31,32が邪魔とならずに、これらの収納室71,72から物品64,65を容易に取り出すことができ、また、戸先側の縦枠部材3は、引戸装置の前述した出入口2を閉じた扉体1の戸先部が当接している部材であるため、上記人は、右手によって第1及び第2収納室71,72から物品64,65を取り出した後に、左手によって扉体1を開き操作することにより、直ちに出入口2を通過して前述の廊下から被介護者居住部屋へ入ることができる。
【0045】
なお、第1収納室71に収納する高さ寸法の小さい物品64は、例えば、被介護者居住部屋で使用されるマスクやタオル等の衛生用品や、その他の品物を入れた箱等であり、また、第2収納室72に収納する高さ寸法の大きい物品65は、例えば、被介護者居住部屋で使用される蛍光灯等である。また、第1収納室71に収納する物品64のうち、例えば下枠部材22の上に載置されて収納される物品64を、前述した引戸装置を電動式引戸装置とする場合には、足の操作によりこの電動式引戸装置の扉体1を自動的に開き移動や閉じ移動させるための起動センサスイッチとしてもよい。
【0046】
本実施形態では、
図1に示されているように、第2収納室72の前面に開閉自在に配置されている第2扉部材32の下部には、後述するボックス74を介して物品66が配置されるようになっており、この物品66はポンプ式消毒液ボトルである。
図5は、このポンプ式消毒液ボトル66を第2扉部材72に配置するための構造が示された
図1のS5-S5線断面図であり、
図8は、
図5のS8-S8線断面図である。また、
図9には、ポンプ式消毒液ボトル66が配置される第2扉部材32の下部の正面図が示されており、この
図9に示されているように、第2扉部材32の下部には、第2扉部材32の厚さ方向に貫通した窓孔32Aが形成され、第2扉部材32の裏面には、
図12で示されているボックス74を第2扉部材32に保持させるための保持手段75が、窓孔32Aを囲んで設けられている。合成樹脂製品であるこのボックス74は、後述の説明で分かるように、ポンプ式消毒液ボトル66を第2扉部材32の窓孔32Aに載置するために用いられるものである。
【0047】
図10は、保持手段75を示す
図9のS10-S10線断面図であり、
図11は、保持手段75を示す
図9のS11-S11線断面図である。これらの
図10及び
図11から分かるように、保持手段75は、上下に対向して配置された上保持部材76及び下保持部材77と、左右に対向して配置された右保持部材78及び左保持部材79とからなる。これらの保持部材76~79は、第2扉部材32の裏面に溶接等で結合されたベース部76A,77A,78A,79Aと、これらのベース部76A,77A,78A,79Aから水平方向における第2収納室72の裏面側に延びる延出部76B,77B,78B,79Bと、これらの延出部76B,77B,78B,79Bから窓孔32Aの内側に折れ曲がっている折曲部76C,77C,78C,79Cとからなる全体形状が略Z字状となっているものである。このため、窓孔32Aの背後には、上保持部材76、下保持部材77、右保持部材78、左保持部材79により囲まれた空間80が形成されている。
【0048】
ボックス74を示す
図12において、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図であり、また、
図13は、
図12(B)のS13-S13線断面図であって、この
図13には、ボックス74の縦断面形状が示されている。これらの
図12及び
図13から分かるように、ボックス74の全体形状は、前面が開口していて、上面部74Aと、下面部74Bと、左右の側面部74C,74Dと、背面部74Eとを有する箱形状である。また、ボックス74には、上面部74Aと下面部74Bと左右の側面部74C,74Dのそれぞれの前部において、これらの上面部74Aと下面部74Bと左右の側面部74C,74Dの全周に渡って形成された厚肉状の位置決め部74Fが設けられ、また、下面部74Bをそのまま前方へ延長することにより形成されている延長部74Gも設けられている。この延長部74Gは、
図12(A)に示されているように、左右の側面部74C,74Dを越えた左右方向の幅寸法を有するものとなっているとともに、左右の先端部が湾曲状に面取りされたものになっている。
【0049】
また、このボックス74には、背面部74Eの内面において、ポンプ式消毒液ボトル66を左右方向から弾性的に保持するための左右一対のホルダー部材81が取り付けられている。弾性変形可能の板ばねによりくの字状に形成されているこれらのホルダー部材81を、これらのホルダー部材81により左右寸法が異なる各種のポンプ式消毒液ボトル66を保持できるようにするために、背面部74Eに左右方向にスライド可能に取り付けてもよい。
【0050】
ボックス74は、
図5から分かるように、第2扉部材32に形成されている窓孔32Aに、この第2扉部材32の前方から上面部74Aと下面部74Bと左右の側面部74C,74Dと背面部74Eとが上述の空間80に向かって挿入セットされ、この挿入セットにより、第2扉部材32の窓孔32Aの周囲外部の前面部にボックス74の位置決め部74Fが当接して、第2扉部材32の厚さ方向におけるボックス74の配置位置が位置決めされた後に、保持手段75の右保持部材78、左保持部材79の折曲部78C,79Cにビス等の止着具82によりボックス74の背面部74Eを止着する。これにより、ボックス74は、保持手段75を介して第2扉部材32の窓孔32Aに保持されることになり、また、ボックス74を介してポンプ式消毒液ボトル66を第2扉部材32の窓孔32Aに載置することが可能となる。また、
図6に示されているように、第2扉部材32を上下のヒンジピン33,34を中心に開閉動させると、これらのボックス74とポンプ式消毒液ボトル66も第2扉部材32と共に開閉動する。
【0051】
図5は、第2収納室72の前面が第2扉部材32により閉じられた後に、この第2扉部材32が第2収納室72の前面を開放不能して閉じた状態が示された図にもなっている。このように第2扉部材32により第2収納室72の前面を開放不能して閉じた状態にすることは、第2収納室72を構成する部材として、この第2収納室72に配置されている構成部材83にボックス74の背面部74Eをビス等の止着具84で止着することにより行われ、また、止着具84を取り外すことにより、
図6に示されているように、第2扉部材32とボックス74とポンプ式消毒液ボトル66とを、上下のヒンジピン33,34を中心に開き回動させて、第2収納室72に収納されている物品の取り出しが可能となる。
【0052】
第2収納室72の構成部材83は、第2収納室72の前面を閉じているときの第2扉部材32に配置されているボックス74の背面部74Eの後側に配置されている部材であって、この構成部材83は、
図5のS8-S8線断面図である
図8から分かるように、前述した仕切り部材24と下地部材44に上下両端部が溶接等で結合されることにより、下地部材41~44と共に第2収納室72の強度を補強するための補強部材ともなっている部材である。板材の折り曲げで形成されている構成部材83は、
図6から分かるように左右方向に延出している一対のベース部83A,83Bと、これらのベース部83A,83Bの内端部から第2扉部材32側である前方へ互いに平行となって突出した左右一対の側部83C,83Dと、これらの側部83C,83Dの先端部同士を連結している連結部83Eとからなる全体形状がハット状となっているものであり、連結部83Eに止着具84をねじ込むための雌ねじ孔84Fが形成されている。この雌ねじ孔84Fに、
図5で示されているように、ボックス74の背面部74Eに挿通させたビス等の止着具84を螺入することにより、第2扉部材32が、第2収納室72の前面を開放不能して閉じることになる。なお、連結部83Fに雌ねじ孔に代えて孔を形成し、この孔と一致する連結部83Eの裏面の位置に、止着具84を螺入するナットを溶接等で取り付けてもよい。
【0053】
第2収納室72の構成部材83の左右一対の側部83C,83Dと連結部83Eは、
図5及び
図6に示されているように、収納部20を形成するために左右方向に離れて立設された2本の縦枠部材となっている戸先側の縦枠部材3と収納部用縦枠部材21との間において、これらの戸先側の縦枠部材3と収納部用縦枠部材21から充分離れた位置に配置されている。このため、
図5に示されているように、第2収納室72の前面が第2扉部材32により閉じられていても、戸先側の縦枠部材3と構成部材83の側部83Cとの間の空間85と、構成部材83の側部83Dと収納部用縦枠部材21との間の空間86とに、
図14で示した高さ寸法が大きい物品65を仕切り部材24の上に載置して収納することができる。
【0054】
また、第2収納室72の構成部材83は、前述したように仕切り部材24と下地部材44に上下両端部が溶接等で結合された部材であるため、この構成部材83は、第2収納室72の高さ寸法よりも短い高さ寸法を有している。このため、
図14に示されている物品87を、構成部材83のうち、左右一対の側部83C,83Dの上端と連結部83Eの上端との上に載置して第2収納室72に収納することができる。これによると、第2収納室72の補強部材ともなっている構成部材83を、物品87の載置用部材として利用できることになる。なお、この物品87は、例えば、前述した被介護者居住部屋で使用されるロール式の仕切りシートである。
【0055】
また、本実施形態では、
図8に示されているように、構成部材83の連結部83Eには、第2扉部材32が第2収納室72の前面を閉じたときに、第2扉部材32の裏面に取り付けられている前述の保持手段75のうち、上保持部材76の折曲部76Cと、下保持部材77の折曲部77Cとが構成部材83に干渉しないようにするための切欠部83Fが形成されている。
【0056】
前述したように第2扉部材32の窓孔32Aにボックス74を挿入セットし、このボックス74を第2扉部材32に設けられている保持手段75にビス等の止着具82により止着することにより、
図15と、
図15の正面図である
図16とに示されているように、ボックス74の内部に、ポンプ式消毒液ボトル66をボックス74の下面部74Bの上に載置して配置することができ、また、このポンプ式消毒液ボトル66をボックス74に設けられている一対のホルダー部材81により挟着することにより、ボックス74に対してポンプ式消毒液ボトル66を固定した状態とすることができる。
【0057】
なお、前述したように、第2扉部材32が第2収納室72の前面を閉じた後に、ボックス74の背面部74Eをビス等の止着具84により第2収納室72の構成部材83に止着したときには、ボックス74に設けられている位置決め部74Fは、第2扉部材32に形成されている窓孔32Aの周囲外部の前面部に当接し、これにより、ボックス74は、窓孔32Aに対して第2扉部材32の厚さ方向に不動となるため、ボックス74を第2扉部材32に設けられている保持手段75に止着するための上述の止着具82を省略し、止着具84によりボックス74を構成部材83に止着した後に、第2扉部材32に対して不動となっているボックス74の内部にポンプ式消毒液ボトル66を配置するようにしてもよい。
【0058】
以上の本実施形態によると、上述したようにボックス74の内部に、ポンプ式消毒液ボトル66をボックス74の下面部74Bの上に載置して配置すると、
図15に示されているように、このポンプ式消毒液ボトル66は、ボックス74がセットされている第2扉部材32に、この第2扉部材32の厚さ方向にはみ出した状態で配置されることになる。このため、第2扉部材32に貫通して形成された窓孔32Aにボックス74を挿入セットすることにより、第2扉部材32の厚さ方向にはみ出す寸法となっているポンプ式消毒液ボトル66でも、第2扉部材32の窓孔32Aに載置して配置することができる。
【0059】
また、ボックス74の内部にポンプ式消毒液ボトル66を配置することにより、上述の止着具84をポンプ式消毒液ボトル66によって隠すことができる。
【0060】
また、ボックス74は前面が開口したものとなっているため、第2扉部材32が第2収納室72の前面を閉じているときでも、また、第2扉部材32が第2収納室72の前面を開放しているときでも、ポンプ式消毒液ボトル66を第2扉部材の前面側からボックス74の内部に配置することができ、また、ポンプ式消毒液ボトル66をボックス74の内部から取り出すことも第2扉部材32の前面側から行うことができ、このため、ボックス74の内部に対して行うポンプ式消毒液ボトル66の配置作業及び取り出し作業を、必要に応じて容易に行うことができる。
【0061】
なお、ポンプ式消毒液ボトル66は、
図15及び
図16から分かるように、消毒液が収容されたタンク66Aの上方に押下部66Bが設けられていて、この押下部66Bの押し下げ操作によりノズル66Cから消毒液が噴出するものであって、タンク66Aと押下部66Bはパイプ部材66Dにより連結されている。ポンプ式消毒液ボトル66がボックス74に内部に配置されたときには、ボックス74の上面部74Aの下面と、押下部66Bとの間に手を挿入することができるすき間が存在するため、このすき間に挿入した手により押下部66Bの押し下げ操作を行うことができる。
【0062】
図1に示されているように、第2収納室72の前面に開閉自在に配置されている第2扉部材32には、2個の電気機器88,89が上下に配置されており、一方の電気機器88は、例えば、廊下用の照明具であり、他方の電気機器89は、例えば、被介護者居住部屋に設置されているスイッチと介護人集合室に設置されている表示器とを接続するI/Oユニットであり、第2扉部材32に貫通形成されている窓孔に嵌合配置されたこれらの電気機器88,89には、
図14に示されているように、第2扉部材32の裏面において、電気配線88A,89Aが接続されている。これらの電気機器88,89及び電気配線88A,89Aは、
図1のS17-S17線断面図である
図17にも示されている。この
図17に示されているように、電気配線88A,89Aは、収納部20を収納部用縦枠部材21と共に形成している戸先側の縦枠部材3の内部空間3Aに挿入され、さらに、これらの電気配線88A,89Aは戸先側の縦枠部材3に案内されて上下方向に延び、天井17の内部空間等を経て所定箇所まで配線されている。本実施形態の戸先側の縦枠部材3は、板金の折り曲げ品となっている本体3Bと、この本体3Bに設けられている開口部を塞ぐために本体3Bに結合されている塞ぎ部材3Cとを含んで形成されており、この塞ぎ部材3Cに、電気配線88A,89Aを内部空間3Aに挿入するための孔3Dが形成されている。
【0063】
このように本実施形態では、第2扉部材32に配置された電気機器88,89のための電気配線88A,89Aは、収納部20を形成している2本の縦枠部材のうち、一方の縦枠部材となっている戸先側の縦枠部材3の内部空間3Aに挿入され、そして、電気配線88A,89Aは、戸先側の縦枠部材3に案内されて上下方向に延びて所定箇所へ配線されているため、電気配線88A,89Aのうち、戸先側の縦枠部材3の内部空間3Aに挿通されている部分は、第2扉部材32により前面が開閉される第2収納室72に収納されている
図14の物品65,87と干渉するおそれがなく、このため、電気配線88A,89Aを物品65,87との関係で有効に配線でき、また、物品65,87の第2収納室72への収納作業も、電気配線88A,89Aによる影響を少なくして行える。
【0064】
なお、電気配線88A,89Aを内部空間に挿入する縦枠部材を、戸先側の縦枠部材3ではなく、収納部用縦枠部材21としてもよい。
【0065】
また、以上説明した本実施形態では、収納部20を形成している2本の縦枠部材のうち、一方の縦枠部材は、収納部20が左右方向の側部となっている袖部分に配置された引戸装置のための戸先側の縦枠部材3となっているため、この戸先側の縦枠部材3は、収納部20と引戸装置の両方を形成するための部材となっており、このため、戸先側の縦枠部材3の兼用化により、収納部20を合理的に形成することができる。また、戸先側の縦枠部材3を収納部20を形成するための縦枠部材として利用することにより、収納部用縦枠部材21と共に収納部20を形成するための別の縦枠部材を戸先側の縦枠部材3に隣接させて設けた場合と比較して、収納部20の左右方向の寸法を、上記別の縦枠部材を省略している分だけ大きくでき、これにより、一層多数の物品を収納部20に収納することができるようになる。
【0066】
図18は、ボックス74の内部に、前述のポンプ式消毒液ボトル66よりも前後方向の寸法が大きいポンプ式消毒液ボトル66’を配置した場合を示す。このポンプ式消毒液ボトル66’も、消毒液が収容されたタンク66A’の上方に押下部66B’が設けられていて、この押下部66B’の押し下げ操作によりノズル66C’から消毒液が噴出するものであり、タンク66A’と押下部66B’はパイプ部材66D’により連結されている。
【0067】
このポンプ式消毒液ボトル66’を前述した一対のホルダー部材81により固定した状態でボックス74の内部に配置したときには、タンク66A’は、ボックス74の下面部74Bと、この下面部74Bから延長されて形成されている延長部74Gとに載せられるとともに、押下部66B’の前側の一部は、第2扉部材32の厚さ方向において、第2扉部材32の前面部から前方へ突出するとともに、ボックス74に設けられている前述の位置決め部74Fの前面部からも前方へ突出する。このため、このポンプ式消毒液ボトル66’は、押下部66B’の少なくとも一部が、第2扉部材32の厚さ方向において、第2扉部材32の前面部における少なくとも押し下げ操作されたときの押下部66B’よりも上側の部分の位置と、ボックス74における少なくとも押し下げ操作されたときの押下部66B’よりも上側の部分の位置とに対して前方へ突出してボックス74の内部に配置されていることになり、このため、押下部66B’を押し下げる操作を、第2扉部材32とボックス74との影響を受けることなく容易に行える。
【0068】
また、ボックス74には、下面部74Bから延長されて形成されている延長部74Gが設けられているため、前後方向の寸法が大きいポンプ式消毒液ボトル66’でも、このポンプ式消毒液ボトル66’の少なくとも一部をこのボックス74の内部に配置して、第2扉部材32の窓孔32Aに載置することができる。なお、この延長部74Gが第2扉部材32の前面部から前方へ突出したものとなっていても、
図12(A)で説明したように、この延長部74Gの左右の先端部は湾曲状に面取りされているため、前述した廊下を歩行する人等に対する影響を抑制することができる。
【0069】
図19は、本発明の別実施形態に係る開閉装置用収納構造を示し、
図20は、
図19のS20-S20線断面図である。この実施形態では、
図1で示されている引戸装置が、左右対称の形状及び構造の装置として左右方向に2個配置され、これらの引戸装置の間に、第1扉部材31により前面が開閉される第1収納室71と、第2扉部材32により前面が開閉される第2収納室72とからなる収納部20’が設けられている。このため、左右2個の引戸装置のうち、右側の引戸装置では、この引戸装置の左側の側部となっている袖部分が収納部20’となっているとともに、左側の引戸装置では、この引戸装置の右側の側部となっている袖部分が収納部20’となっており、したがって、この収納部20’は左右両側の引戸装置について共用の収納部となっている。また、これらの引戸装置の扉体1は、引き分け式の引戸装置になっている。
【0070】
また、
図20に示されているように、収納部20’を形成するために左右方向の間隔をあけて立設されている2本の縦枠部材のそれぞれは、左右方向に2個配置された引戸装置の扉体1により開閉される出入口2を形成している戸先側の縦枠部材3である。このため、この実施形態によると、収納部20’を形成するための2本の縦枠部材のそれぞれは、2個の引戸装置の戸先側の縦枠部材3となっており、このため、収納部20’を、部材の一層の兼用化を図って形成できることになる。
【0071】
なお、前述した実施形態を含めて、兼用化する部材を戸尻側の縦枠部材4としてもよい。すなわち、収納部20,20’を、これまで説明した実施形態と異なり、引戸装置の扉体が閉じる方向の側部に設けるのではなく、扉体が開く方向の側部に設けることにより、収納部20,20’を形成するための縦枠部材を戸尻側の縦枠部材4としてもよい。
【0072】
さらに、2個の引戸装置の間に収納部を設ける場合には、これらの引戸装置について、扉部材の開閉方向を同じ方向とすることにより、収納部を形成するために左右方向の間隔をあけて立設されている2本の縦枠部材のうち、一方の縦枠部材を、一方の引戸装置の戸先側の縦枠部材とし、他方の縦枠部材を、他方の引戸装置の戸尻側の縦枠部材としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、扉体等の開閉体により出入口が開閉される開閉装置の左右方向の側部となっている袖部分に物品を収納するための収納部を設けるために利用できるものであって、例えば、介護施設や病院等の施設を含む各種建物や構造物に開閉装置を設置するときに利用できるものである。
【符号の説明】
【0074】
1 引戸装置の開閉体である扉体
2 出入口
3 戸先側の縦枠部材
4 戸尻側の縦枠部材
20,20’ 収納部
21 収納部用縦枠部材
31 第1扉部材
32 第2扉部材
32A 窓孔
64 第1収納室に収納される物品
65,87 第2収納室に収納される物品
66,66’ ポンプ式消毒液ボトル
66A,66A’ タンク
71 第1収納室
72 第2収納室
74 ボックス
83 第2収納室の構成部材