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特許7445803多連式布団篭用網材、多連式布団篭及びその施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】多連式布団篭用網材、多連式布団篭及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/08 20060101AFI20240229BHJP
   E02D 17/20 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E02B3/08 301
E02D17/20 103G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023060083
(22)【出願日】2023-04-03
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000201490
【氏名又は名称】前田工繊株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】井坂 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】田中 紘一朗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 有史
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-054342(JP,A)
【文献】特開平10-147329(JP,A)
【文献】特開2013-014945(JP,A)
【文献】特表2016-529170(JP,A)
【文献】特開2006-037587(JP,A)
【文献】特開2003-096744(JP,A)
【文献】特開2008-274735(JP,A)
【文献】実開昭63-018555(JP,U)
【文献】特開2022-187699(JP,A)
【文献】中国実用新案第215270092(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/08
E02D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に所定の間隔を設けて並べて配置する複数枚の長方形状の底網と、
前記底網の対向する長辺の一辺に連結する、長方形状の前側網と、
前記底網の対向する長辺の他辺に連結する、長方形状の後側網と、
隣合う前記底網の短辺どうしを連結する、矩形状の折曲仕切網と、
長手方向の両端部に位置する前記底網の前記折曲仕切網を連結する短辺と対向する短辺に連結する、矩形状の端側網と、を有し、
前記折曲仕切網は、隣合う前記底網間の中央に、前記底網に対して山状又は谷状に折曲可能な折曲部を有し、
前記前側網、前記後側網、前記折曲仕切網及び前記端側網は、前記底網と同一平面の状態から、前記底網との連結部分で折曲して前記底網に対して垂直に立設可能であることを特徴とする、
多連式布団篭用網材。
【請求項2】
請求項1に記載の多連式布団篭用網材において、
前記後側網は、前記前側網に対して、長方形の短辺が短いことを特徴とする、
多連式布団篭用網材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の多連式布団篭用網材からなり、
前記前側網、前記後側網、前記折曲仕切網及び前記端側網は、前記底網に対して同一方向に垂直に立設するとともに、前記折曲仕切網の前記折曲部を前記底網に対して山状に折曲し、
前記前側網と前記端側網、前記前側網と前記折曲仕切網、前記後側網と前記端側網、及び前記後側網と前記折曲仕切網の隣接する垂直辺を結束材により結束して固定してなる、
多連式布団篭。
【請求項4】
請求項3に記載の前記多連式布団篭どうしを短手方向に連結して設置する、多連式布団篭の施工方法であって、
一方の前記多連式布団篭を設置し、
他方の前記多連式布団篭を、他方の前記多連式布団篭の前記前側網の下端と、一方の前記多連式布団篭の前記後側網の下端とが接するように配置し、
一方の前記多連式布団篭の前記端側網と他方の前記多連式布団篭の前記端側網、一方の前記多連式布団篭の前記折曲仕切網と他方の前記多連式布団篭の前記折曲仕切網、及び一方の前記多連式布団篭の前記後側網と他方の前記多連式布団篭の前記前側網の隣接する垂直辺を結束材により結束して固定することを特徴とする、
多連式布団篭の施工方法。
【請求項5】
請求項3に記載の前記多連式布団篭どうしを、前側の前記多連式布団篭の前記底網の上面に対して、後側の前記多連式布団篭の前記底網の上面が90度から180度の角度をなす状態で短手方向に連結して設置する、多連式布団篭の施工方法であって、
前側の前記多連式布団篭を、前記後側網と前記端側網、及び前記後側網と前記折曲仕切網を前記結束材で結束せずに設置し、
後側の前記多連式布団篭を、前記前側網と前記端側網、及び前記前側網と前記折曲仕切網を前記結束材で結束せずに、後側の前記多連式布団篭の前記前側網の下端と、前側の前記多連式布団篭の前記後側網の下端とが接するように配置し、
前側の前記多連式布団篭の前記端側網と後側の前記多連式布団篭の前記端側網、及び前側の前記多連式布団篭の前記折曲仕切網と後側の前記多連式布団篭の前記折曲仕切網をそれぞれ重合し、
前側の前記多連式布団篭の前記後側網と前記端側網の垂直辺と後側の前記多連式布団篭の前記端側網、及び前側の前記多連式布団篭の前記後側網と前記折曲仕切網の垂直辺と後側の前記多連式布団篭の前記折曲仕切網を、それぞれ結束材により結束して固定することを特徴とする、
多連式布団篭の施工方法。
【請求項6】
請求項3に記載の前記多連式布団篭どうしを、前側の前記多連式布団篭の前記底網の下面に対して、後側の前記多連式布団篭の前記底網の下面が90度から180度の角度をなす状態で短手方向に連結して設置する、多連式布団篭の施工方法であって、
前側の前記多連式布団篭を、前記後側網と前記端側網、及び前記後側網と前記折曲仕切網を前記結束材で結束せずに設置し、
後側の前記多連式布団篭を、前記前側網と前記端側網、及び前記前側網と前記折曲仕切網を前記結束材で結束せずに、後側の前記多連式布団篭の前記前側網の下端と、前側の前記多連式布団篭の前記後側網の下端とが接するように配置し、
前側の前記多連式布団篭の前記端側網と後側の前記多連式布団篭の前記端側網の間、及び前側の前記多連式布団篭の前記折曲仕切網と後側の前記多連式布団篭の前記折曲仕切網の間の略三角形状のすき間を継ぎ網で覆い、
前側の前記多連式布団篭の前記後側網と後側の前記多連式布団篭の前記前側網と前記端側網の垂直辺、及び前側の前記多連式布団篭の前記後側網と後側の前記多連式布団篭の前記前側網と前記折曲仕切網の垂直辺を、それぞれ結束材により結束して固定することを特徴とする、
多連式布団篭の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は布団篭とその施工方法に関し、特に、長手方向に中詰め材収容空間を連続して設けた多連式布団篭用網材、多連式布団篭及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
河川や海岸における護岸工事やドレーン工等において、篭体の内部に砕石等の中詰材を詰めた布団篭が多く使用されている。
布団篭の篭体は、一般的には鋼製(鉄もしくは被覆鉄)の網体を直方体状に組み合わせてなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-371532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な布団篭は、部材が底面パネル、側面パネル、仕切板及び連結材に分かれており、施工現場に各部材を搬入して直方体状に組み立てた後に中詰め材となる石を詰める作業を行う。このとき、一枚の底面パネルに複数の側面パネル等を立設し、複数の直方直方体状に区切る場合もある。
この一般的な布団篭は、部材が分かれているため、組み立てに時間がかかることに加え、各部材の使用箇所を的確にしなければ正確に仕上がらない。特に鋼製の場合には予め一体にすると重量が大きくなり現場への搬入、設置が困難となるため、各部材は分けておく必要があり、施工時の課題を抱えている。
また、隣合う布団篭の連結箇所が角部となり、位置的に連結を行いにくい課題もある。
さらに、重機を用いて石詰め作業を行うと、石が側面パネルに当たった際に側面パネルが変形してしまい、修復ができない課題も抱えている。
また、一枚の底面パネルが複数の直方体状に区切られている場合、破損した底面パネルを交換する際には複数の直方体全体の底面パネルを交換することになる。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決し、施工現場への搬入、組み立て及び連結が容易な多連式布団篭用網材、多連式布団篭及びその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の多連式布団篭用網材は、長手方向に所定の間隔を設けて並べて配置する複数枚の長方形状の底網と、前記底網の対向する長辺の一辺に連結する、長方形状の前側網と、前記底網の対向する長辺の他辺に連結する、長方形状の後側網と、隣合う前記底網の短辺どうしを連結する、矩形状の折曲仕切網と、長手方向の両端部に位置する前記底網の前記折曲仕切網を連結する短辺と対向する短辺に連結する、矩形状の端側網と、を有し、前記折曲仕切網は、隣合う前記底網間の中央に、前記底網に対して山状又は谷状に折曲可能な折曲部を有し、前記前側網、前記後側網、前記折曲仕切網及び前記端側網は、前記底網と同一平面の状態から、前記底網との連結部分で折曲して前記底網に対して垂直に立設可能である。
前記後側網は、前記前側網に対して、長方形の短辺が短くてもよい。
【0007】
本発明の多連式布団篭は、本発明の多連式布団篭用網材からなり、前記前側網、前記後側網、前記折曲仕切網及び前記端側網は、前記底網に対して同一方向に垂直に立設するとともに、前記折曲仕切網の前記折曲部を前記底網に対して山状に折曲し、前記前側網と前記端側網、前記前側網と前記折曲仕切網、前記後側網と前記端側網、及び前記後側網と前記折曲仕切網の隣接する垂直辺を結束材により結束して固定してなる。
【0008】
本発明の多連式布団篭の施工方法は、本発明の前記多連式布団篭どうしを短手方向に連結して設置する、多連式布団篭の施工方法であって、一方の前記多連式布団篭を設置し、他方の前記多連式布団篭を、他方の前記多連式布団篭の前記前側網の下端と、一方の前記多連式布団篭の前記後側網の下端とが接するように配置し、一方の前記多連式布団篭の前記端側網と他方の前記多連式布団篭の前記端側網、一方の前記多連式布団篭の前記折曲仕切網と他方の前記多連式布団篭の前記折曲仕切網、及び一方の前記多連式布団篭の前記後側網と他方の前記多連式布団篭の前記前側網の隣接する垂直辺を結束材により結束して固定する。
また、本発明の前記多連式布団篭どうしを、前側の前記多連式布団篭の前記底網の上面に対して、後側の前記多連式布団篭の前記底網の上面が90度から180度の角度をなす状態で短手方向に連結して設置する、多連式布団篭の施工方法であって、前側の前記多連式布団篭を、前記後側網と前記端側網、及び前記後側網と前記折曲仕切網を前記結束材で結束せずに設置し、後側の前記多連式布団篭を、前記前側網と前記端側網、及び前記前側網と前記折曲仕切網を前記結束材で結束せずに、後側の前記多連式布団篭の前記前側網の下端と、前側の前記多連式布団篭の前記後側網の下端とが接するように配置し、前側の前記多連式布団篭の前記端側網と後側の前記多連式布団篭の前記端側網、及び前側の前記多連式布団篭の前記折曲仕切網と後側の前記多連式布団篭の前記折曲仕切網をそれぞれ重合し、前側の前記多連式布団篭の前記後側網と前記端側網の垂直辺と後側の前記多連式布団篭の前記端側網、及び前側の前記多連式布団篭の前記後側網と前記折曲仕切網の垂直辺と後側の前記多連式布団篭の前記折曲仕切網を、それぞれ結束材により結束して固定する。
そして、本発明の前記多連式布団篭どうしを、前側の前記多連式布団篭の前記底網の下面に対して、後側の前記多連式布団篭の前記底網の下面が90度から180度の角度をなす状態で短手方向に連結して設置する、多連式布団篭の施工方法であって、前側の前記多連式布団篭を、前記後側網と前記端側網、及び前記後側網と前記折曲仕切網を前記結束材で結束せずに設置し、後側の前記多連式布団篭を、前記前側網と前記端側網、及び前記前側網と前記折曲仕切網を前記結束材で結束せずに、後側の前記多連式布団篭の前記前側網の下端と、前側の前記多連式布団篭の前記後側網の下端とが接するように配置し、前側の前記多連式布団篭の前記端側網と後側の前記多連式布団篭の前記端側網の間、及び前側の前記多連式布団篭の前記折曲仕切網と後側の前記多連式布団篭の前記折曲仕切網の間の略三角形状のすき間を継ぎ網で覆い、前側の前記多連式布団篭の前記後側網と後側の前記多連式布団篭の前記前側網と前記端側網の垂直辺、及び前側の前記多連式布団篭の前記後側網と後側の前記多連式布団篭の前記前側網と前記折曲仕切網の垂直辺を、それぞれ結束材により結束して固定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)多連式布団篭用網材は繊維製の網体からなるため軽量であり、また、各部材が一体となっているため、現場への搬入、設置が容易である。
(2)多連式布団篭用網材は平板状であり、連結部分が可撓性を有するため、折りたたんだ状態での保管、運搬が可能である。
(3)連結部分が可撓性を有するため、短時間で容易に組み立てることができる。
(4)多連式布団篭は複数枚の底網に分かれているため、地面に対する追従性が高い。
(5)連結する際に、角部を当接して連結する場合だけでなく、垂直辺と後側網または前側網の当接した部分を結束材で結束すれば連結できるため、現場の形状に合わせた連結が可能であり、施工性が向上する。
(6)多連式布団篭は繊維製の網体からなるため、中詰め材の投入作業時に重機を用いても変形が発生しにくく、施工効率が高い。
(7)多連式布団篭は複数枚の底網、前側網、後側網、折曲仕切板、端側網の各部材に分かれているため、破損した際には当該破損した部材のみを交換すればよく、メンテナンス性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る多連式布団篭の斜視図
図2】本発明に係る多連式布団篭用網材の平面図
図3】平面における多連式布団篭の施工方法の説明図
図4】法面に多連式布団篭を施工した状態の説明図
図5】法面への多連式布団篭の施工方法の説明図(1)
図6】法面への多連式布団篭の施工方法の説明図(2)
図7】法面への多連式布団篭の施工方法の説明図(3)
図8】法面への多連式布団篭の施工方法の説明図(4)
図9】法面への多連式布団篭の施工方法の説明図(5)
図10】法面への多連式布団篭の施工方法の説明図(6)
図11】その他の実施例に係る多連式布団篭の斜視図
図12】その他の実施例に係る多連式布団篭の施工方法の説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の多連式布団篭用網材、多連式布団篭及びその施工方法を詳細に説明する。なお、本発明の説明において、前後方向は矩形の布団篭の短辺(短手方向)と平行であり、長辺(長手方向)と垂直方向とする。
【実施例1】
【0012】
<1>多連式布団篭の構成
本発明の多連式布団篭1は、複数枚の長方形状の底網2と、底網2の対向する長辺に連結する長方形状の前側網3、後側網4と、隣合う底網2の対向する短辺どうしを連結する矩形状の折曲仕切網5と、長手方向の両端部に位置する底網2の端側の短辺に連結する矩形状の端側網6と、からなる多連式布団篭用網材を変形させて形成するものである(図1、2)。
底網2、前側網3、後側網4、折曲仕切網5、端側網6は、それぞれ複数本の経ストランドと緯ストランドをラッシェル編みで格子状とした繊維製の網体である。
そして、前側網3、後側網4、折曲仕切網5、端側網6は、底網2と同一平面の状態から、底網2との連結部分で折曲して底網2に対して垂直に立設可能である。
多連式布団篭用網材は繊維製の網体からなるため軽量であり、また、各部材が一体となっているため、現場への搬入、設置が容易である。
【0013】
<2>連結部分
連結部分は、隣り合う部材の間に複数の線材を編み込んで構成する。この線材は、融着糸ではなく例えばポリエステルからなる繊維糸であり、熱処理によって硬化せず、可撓性を有する。また、少量の融着糸を含む構成であれば、熱処理をすることで剛性が生じても、底網2、前側網3、後側網4、折曲仕切網5、端側網6と比べて剛性が低くなり、人力による折り曲げが可能な可撓性を有する。
多連式布団篭用網材は平板状(図2)であり、連結部分が可撓性を有するため、連結部分で折りたたんだ状態での保管、運搬が可能である。
また、連結部分が可撓性を有するため、底網2、前側網3、後側網4、折曲仕切網5、端側網6が展開して平板状に形成されていても、連結部分で折り曲げることで、底網2に対して前側網3、後側網4、折曲仕切網5、端側網6を容易に立設できる。また、各部材が一体となっているため、短時間で誰でも正確な多連式布団篭1を組み立てることができる。
【0014】
<3>折曲仕切網の折曲部
折曲仕切網5は、隣合う底網2間の中央に、底網2に対して山状又は谷状に折曲可能な折曲部51を設ける。
折曲部51は上述の連結部分と同様の方法で、折曲仕切網5より剛性が低くなるように構成する。
【0015】
<4>結束材による結束
底網2に対して前側網3、後側網4、折曲仕切網5、端側網6を立設するとともに、折曲仕切網5を山状に折曲し、前側網3と端側網6、前側網3と折曲仕切網5、後側網4と端側網6、及び後側網4と折曲仕切網5の隣接する垂直辺をロープ等の結束材7により結束して固定することで、平面状の多連式布団篭用網材から、箱状の中詰め材収容空間が長手方向に連続した多連式布団篭1を形成することができる。
【0016】
<5>多連式布団篭の施工方法
次に、多連式布団篭1の施工方法について説明する。
本発明の多連式布団篭1は、河川や海岸における護岸工事やドレーン工等において用いるものであり、地面に設置する。
多連式布団篭1は、箱状の中詰め材収容空間が長手方向に連続しており、短手方向に連続して複数の多連式布団篭1を配置することで、広範囲の地面に設置することができる。このとき、多連式布団篭1は複数枚の底網2に分かれているため、地面に対する追従性が高い。
【0017】
<6>平面における多連式布団篭の施工方法
まず、設置する地面が平面の場合に短手方向に連結して設置する多連式布団篭1a、abの施工方法について説明する。
最初に、一方の多連式布団篭1aを形成して設置する。
次に、他方の多連式布団篭1bを形成し、前側網3bの下端が一方の多連式布団篭1aの後側網4aの下端と接するように配置する(図3)。
そして、多連式布団篭1aの端側網6aと多連式布団篭1bの端側網6b、多連式布団篭1aの折曲仕切網5aと多連式布団篭1bの折曲仕切網5b、及び多連式布団篭1aの後側網4aと多連式布団篭1bの前側網3bの隣接する垂直辺を結束材7により結束して固定する。連結部分は前側の多連式布団篭1aと後側の多連式布団篭1bの角(垂直辺部分)がずれていても、垂直辺と後側網4aまたは前側網3bの当接した部分を結束材7で結束すれば良く、現場の形状に合わせた連結が可能であり、施工性が向上する。
また、前側の多連式布団篭1aの後側網4aと後側の多連式布団篭1bの前側網3aの下端を結束材7によって連結してもよい。
【0018】
<7>法面への施工
施工現場が法面(傾斜面)の場合には、法尻や法肩に沿った方向が長手方向となり、法面の上下方向が短手方向となるように多連式布団篭1を設置する(図4)。
本発明の多連式布団篭1は、施工現場において前側網3、後側網4、折曲仕切網5、端側網6を立設して結束材7により結束して形成するため、法面の形状に合わせた形状とすることができる。
【0019】
<7.1>法尻部の施工
法尻部においては、前側の多連式布団篭1aの底網2aの上面に対して、後側の多連式布団篭1bの底網2bの上面が90度から180度の角度をなす状態で短手方向に連結して設置する。
最初に、前側の多連式布団篭1aを、後側網4aと端側網6a、及び後側網4aと折曲仕切網5aを結束材7で結束せずに、設置する(図5)。
次に、後側の前記多連式布団篭1bを、前側網3bと端側網6b、及び前側網3bと折曲仕切網5bを結束材7で結束せずに、後側の多連式布団篭1bの前側網3bの下端が前側の多連式布団篭1aの後側網4aの下端と接するように配置する。
そして、前側の多連式布団篭1aの端側網6aと後側の多連式布団篭1bの端側網6b、前側の多連式布団篭1aの折曲仕切網5aと後側の多連式布団篭1bの折曲仕切網5bをそれぞれ重合し、前側の多連式布団篭1aの後側網4aと端側網6aの垂直辺と後側の多連式布団篭1bの端側網6b、及び前側の多連式布団篭1aの後側網4aと折曲仕切網5aの垂直辺と後側の多連式布団篭1bの折曲仕切網5bを、それぞれ結束材7により結束して固定する(図6)。
【0020】
<7.2>法面(傾斜面)の施工
法面(傾斜面)は平面であるため、上記<6>で説明した施工方法により施工を行う(図7)。
【0021】
<7.3>法肩部の施工
法肩部においては、前側の多連式布団篭1aの底網2aの下面に対して、後側の多連式布団篭1bの底網2bの下面が90度から180度の角度をなす状態で短手方向に連結して設置する。
最初に、前側の多連式布団篭1aを、後側網4aと端側網6a、及び後側網4aと折曲仕切網5aを結束材7で結束せずに設置する(図8)。
次に、後側の前記多連式布団篭1bを前側網3bと端側網6b、及び前側網3bと折曲仕切網5bを結束材7で結束せずに、後側の多連式布団篭1bの前側網3bの下端が前側の多連式布団篭1aの後側網4aの下端と接するように配置する(図9)。
そして、前側の多連式布団篭1aの端側網6aと後側の前記多連式布団篭1bの端側網6bの間、及び前側の多連式布団篭1aの折曲仕切網5aと後側の多連式布団篭1bの折曲仕切網5bの間の略三角形状のすき間を継ぎ網8で覆う。継ぎ網8は多連式布団篭1a、1bの端側網6a、6b、及び折曲仕切網5a、5bに結束材7により固定する。
次いで、前側の多連式布団篭1aの後側網4aと後側の多連式布団篭1bの前側網3bと端側網6bの垂直辺、及び前側の多連式布団篭1aの後側網4aと後側の多連式布団篭1bの前側網3bと折曲仕切網5bの垂直辺を、それぞれ結束材7により結束して固定する(図4)。
【0022】
<7.4>中詰め材の投入、蓋網の取り付け(図10
敷設した多連式布団篭1に中詰め材9を投入する。多連式布団篭1が中詰め材9の重みでずれるのを防ぐために、法肩部側の多連式布団篭1から順に下方に中詰め材9を投入することが好ましい。
多連式布団篭1は繊維製の網体からなるため、中詰め材9の投入作業時に重機を用いても変形が発生しにくく、施工効率が高い。
中詰め材9を投入した後は、蓋網10を多連式布団篭1の上面に敷設し、結束材7により固定する。
蓋網10は繊維製の網体をロール状にして現場に搬入して法肩側から敷設していき、法尻側でカットして最適な大きさとする。
蓋網10は複数の中詰め材収容空間に亘って配置するが、多連式布団篭1は複数枚の底網2、前側網3、後側網4、折曲仕切網5、端側網6の各部材に分かれているため、破損した際には当該破損した部材のみを交換すればよく、メンテナンス性が高い。
【0023】
[その他の実施例]
<8>連結用の多連式布団篭
上述の実施例は、多連式布団篭1の長方形状の前側網3と後側網4を同一の形状としたが、短手方向に連続して設置する場合には、前側の多連式布団篭1aの後側網4aと後側の前側網3bが重複する。
このため、前側の多連式布団篭1aを後側網4aが前側網3aに対して、長方形の短辺を短くする(図11)ことで、重複部分が少なくなり、材料費が低減される。
また、後側網4aを完全になくしてしまうと、前側網3bとの連結部分が底網2aとなるが、所定の高さの後側網4aを残すことで、後側網4aの上端を結束材7によって連結する際に地面からの距離を確保することができ、連結作業も容易となる。
【符号の説明】
【0024】
1 多連式布団篭
2 底網
3 前側網
4 後側網
5 端側網
6 折曲仕切網
7 結束材
8 継ぎ網
9 中詰め材
10 蓋網
【要約】
【課題】施工現場への搬入、組み立て及び連結が容易な多連式布団篭用網材を提供すること。
【解決手段】長手方向に所定の間隔を設けて並べて配置する複数枚の長方形状の底網と、前記底網の対向する長辺の一辺に連結する、長方形状の前側網と、前記底網の対向する長辺の他辺に連結する、長方形状の後側網と、隣合う前記底網の短辺どうしを連結する、矩形状の折曲仕切網と、長手方向の両端部に位置する前記底網の前記折曲仕切網を連結する短辺と対向する短辺に連結する、矩形状の端側網と、を有し、前記折曲仕切網は、隣合う前記底網間の中央に、前記底網に対して山状又は谷状に折曲可能な折曲部を有し、前記前側網、前記後側網、前記折曲仕切網及び前記端側網は、前記底網と同一平面の状態から、前記底網との連結部分で折曲して前記底網に対して垂直に立設可能である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12