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特許7445819土木工事用袋体、土木工事用構造体、及び土木工事用構造体の製造方法
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  • 特許-土木工事用袋体、土木工事用構造体、及び土木工事用構造体の製造方法 図1
  • 特許-土木工事用袋体、土木工事用構造体、及び土木工事用構造体の製造方法 図2
  • 特許-土木工事用袋体、土木工事用構造体、及び土木工事用構造体の製造方法 図3
  • 特許-土木工事用袋体、土木工事用構造体、及び土木工事用構造体の製造方法 図4A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】土木工事用袋体、土木工事用構造体、及び土木工事用構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/04 20060101AFI20240229BHJP
   E02D 17/20 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E02B3/04 301
E02D17/20 102A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023211155
(22)【出願日】2023-12-14
【審査請求日】2023-12-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000201490
【氏名又は名称】前田工繊株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】天野 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 修二
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-094624(JP,A)
【文献】特開2019-094625(JP,A)
【文献】特開2016-169513(JP,A)
【文献】特開2009-046911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/04
E02D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と側部からなる収容部と、蓋部と、を有する袋本体と、
前記底部の上面中央から上方に延出する吊上げベルトと、
前記側部の外側から上方に延出する複数の拘束ベルトと、を備え、
前記拘束ベルトは、一部を前記側部の外側に連結したベルト部と、前記ベルト部の上部に設けたループ部と、を有し、
前記拘束ベルトの長さが、前記収容部内に中詰材を充填して上部を前記蓋部で被覆し、前記複数の拘束ベルトのループ部内に、前記吊上げベルトを連通して吊り上げた状態において、前記ベルト部によって前記袋本体の外周を拘束可能な長さであることを特徴とする、
土木工事用袋体。
【請求項2】
前記拘束ベルトの一部を前記底部の底面に連結したことを特徴とする、
請求項1に記載の土木工事用袋体。
【請求項3】
前記袋本体が、矩形の底部と4つの側部からなる収容部と、矩形の蓋部と、を備えた、外形略直方体形状を呈することを特徴とする、
請求項1に記載の土木工事用袋体。
【請求項4】
4本の前記拘束ベルトを備え、
前記4本の拘束ベルトのベルト部の一部を、それぞれ前記4つの側部の外側に高さ方向に沿って縫い付けたことを特徴とする、
請求項3に記載の土木工事用袋体。
【請求項5】
前記蓋部の中央に、前記吊上げベルトを挿通するベルト孔を設けたことを特徴とする、
請求項1に記載の土木工事用袋体。
【請求項6】
前記蓋部が、
前記収容部の開口を両側から被覆する2枚の内蓋と、
前記2枚の内蓋の表面を被覆する1枚の外蓋と、を備えることを特徴とする、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の土木工事用袋体。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の土木工事用袋体と、
前記収容部内に充填した中詰材と、を備え、
前記中詰材の上部を前記蓋部で被覆し、
前記複数の拘束ベルトのループ部内に、前記吊上げベルトを連通したことを特徴とする、
土木工事用構造体。
【請求項8】
請求項7に記載の土木工事用構造体の製造方法であって、
前記収容部内に中詰材を充填して上部を前記蓋部で被覆する、充填工程と、
前記複数の拘束ベルトのループ部内に、前記吊上げベルトを連通する、連結工程と、
前記吊上げベルトで前記袋本体を吊り上げることで、複数の前記拘束ベルトによって前記袋本体を前記中詰材ごと外側から拘束する、拘束工程と、を備えることを特徴とする、
土木工事用構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木工事用袋体、土木工事用構造体、及び土木工事用構造体の製造方法に関し、特に吊上げ時の形状保持機能と設置時の形状保持機能を兼備する土木工事用袋体、土木工事用構造体、及び土木工事用構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
堤防の仮護岸工、法面の土留工、落石防護工、軟弱地盤対策等の土木用途において、袋体内に中詰材を充填してなる土木工事用構造体が利用されている。土木工事用構造体は、施工現場で袋体の内部に土砂等を充填し袋口を締結して製造し、クレーンやバックホウで吊り上げて設置場所に配置する。
土木工事用構造体は、複数ユニットを積み重ねて配列するため、設置時に外形が崩れると土留め工等の全体形状に悪影響を与える。このため、設置時の形状保持性能が重要である。また、吊り上げ時には中詰材の荷重で底面が膨らんだり側面が変形することがあるが、吊り上げ時の変形があると、密接な配列が難しくなり、全体の出来形が悪化する。このため、吊り上げ時の形状保持性能も求められる。
特許文献1、2には、上部を開閉可能な直方体バッグと、直方体バッグの底面の中央と対角線上の複数点とを接続して上方に延出する吊下体と、を備える直方体形状の袋体が開示されている。この袋体から製造した土木工事用構造体によれば、吊り上げ時に中詰材が中心方向に圧縮されて直方体状に固まることで、吊り上げ時の形状の安定を図ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-156815号公報
【文献】特開2009-46911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術には以下のような問題点がある。
<1>吊り上げ時、底面12から吊下体の固定点20aにわたる側面視略三角形状の部分の中詰材には圧縮力が働くが(特許文献1の図5(B))、上部外側部分には拘束が働かない。このため、吊り上げによる側面の孕み出し変形を抑止することができない。
<2>中詰材を内部から拘束する構造であるため、設置後には中詰材内の荷重が分散されて拘束が解けてしまう。このため、設置後に吊り上げ時の形状を保持することができない。
【0005】
本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決するための土木工事用袋体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の土木工事用袋体は、底部と側部からなる収容部と、蓋部と、を有する袋本体と、底部の上面中央から上方に延出する吊上げベルトと、側部の外側から上方に延出する複数の拘束ベルトと、を備え、拘束ベルトは、一部を側部の外側に連結したベルト部と、ベルト部の上部に設けたループ部と、を有し、拘束ベルトの長さが、収容部内に中詰材を充填して上部を蓋部で被覆し、複数の拘束ベルトのループ部内に、吊上げベルトを連通して吊り上げた状態において、ベルト部によって袋本体の外周を拘束可能な長さであることを特徴とする。
【0007】
本発明の土木工事用袋体は、拘束ベルトの一部を底部の底面に連結していてもよい。
【0008】
本発明の土木工事用袋体は、袋本体が、矩形の底部と4つの側部からなる収容部と、矩形の蓋部と、を備えた、外形略直方体形状を呈していてもよい。
【0009】
本発明の土木工事用袋体は、4本の拘束ベルトを備え、4本の拘束ベルトのベルト部の一部を、それぞれ4つの側部の外側に高さ方向に沿って縫い付けてもよい。
【0010】
本発明の土木工事用袋体は、蓋部の中央に、吊上げベルトを挿通するベルト孔を設けてもよい。
【0011】
本発明の土木工事用袋体は、蓋部が、収容部の開口を両側から被覆する2枚の内蓋と、2枚の内蓋の表面を被覆する1枚の外蓋と、を備えていてもよい。
【0012】
本発明の土木工事用構造体は、土木工事用袋体と、収容部内に充填した中詰材と、を備え、中詰材の上部を蓋部で被覆し、複数の拘束ベルトのループ部内に、吊上げベルトを連通したことを特徴とする。
【0013】
本発明の土木工事用構造体の製造方法は、収容部内に中詰材を充填して上部を蓋部で被覆する、充填工程と、複数の拘束ベルトのループ部内に、吊上げベルトを連通する、連結工程と、吊上げベルトで袋本体を吊り上げることで、複数の拘束ベルトによって袋本体を中詰材ごと外側から拘束する、拘束工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の土木工事用袋体、土木工事用構造体、及び土木工事用構造体の製造方法は以上の構成より、以下の効果の内少なくとも1つを備える。
<1>吊上げ時の形状保持機能
袋本体の側部に固定した拘束ベルトによって袋本体を外周から拘束する構造であるため、吊り上げ時に、底部及び側部の外側への孕み出しを有効に抑止することができる。
<2>設置時の形状保持機能
吊上げによって拘束ベルトのループ部が吊上げベルトと結束し、設置後にも拘束が解けないため、設置後に外形が崩れることを防止することができる。
<3>自己拘束機能
吊り手段によって地切りするだけで、中詰材の荷重を利用して袋本体の外周を拘束ベルトで自律的に拘束することができる。また、設置場所への吊り込みと同時に袋本体を拘束することができるため、施工効率が極めて高い。
<4>出来形の向上
土木工事用構造体単体の立体的形状を保持することで、土留め工等の構造物全体の出来形を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】土木工事用袋体の説明図
図2】袋本体の説明図
図3】土木工事用構造体の説明図
図4A】充填工程の説明図(1)
図4B】充填工程の説明図(2)
図5A】連結工程の説明図(1)
図5B】連結工程の説明図(2)
図6A】拘束工程の説明図(1)
図6B】拘束工程の説明図(2)
図7】土木工事用構造体の設置の説明図
図8】実施例2の説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の土木工事用袋体、土木工事用構造体、及び土木工事用構造体の製造方法について詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
[土木工事用袋体]
<1>土木工事用袋体(図1
土木工事用袋体1は、土木工事用構造体Aを製造するための袋体である。
土木工事用袋体1は、袋本体10と、吊上げベルト20と、複数の拘束ベルト30と、を少なくとも備える。
吊上げベルト20は、袋本体10の底部11aの上面から上方に延出する。
拘束ベルト30は、袋本体10の側部11bの外側から上方に延出する。
本例では袋本体10が4つの側部11bを備え、各側部11bの外側に各1本、合計4本の拘束ベルト30を接続する。
【0018】
<2>袋本体(図2
袋本体10は、内部に中詰材Bを充填する部材である。
袋本体10は、底部11aと側部11bからなる収容部11と、収容部11の開口を被覆する蓋部12と、を有する。
本例では袋本体10が外形略直方体形状を呈し、収容部11が矩形の底部11aと4つの側部11bを備え、蓋部12が底部11aに対応した矩形を呈する。
本例では袋本体10の素材として、カーボンブラックを練り込んだポリプロピレンシートを採用する。ただし袋本体10の素材はこれに限らず、所定の剛性と耐候性を備えていれば、ポリエチレンシート、ポリエステルシート、その他の合成樹脂繊維製シートを採用してもよい。
【0019】
<2.1>蓋部
蓋部12は、収容部11の開口を被覆する部材である。
本例では蓋部12として、収容部11の開口を幅方向両側から被覆する2枚の内蓋12aと、2枚の内蓋12aの表面を被覆する1枚の外蓋12bと、の組合せを採用する。
詳細には、収容部11の開口両側辺に、開口幅の半分程度の長さの内蓋12aを設ける。内蓋12aの端辺には閉鎖用に単数又は複数の閉じ紐(不図示)を付設する。または、閉鎖用に内蓋12aの端辺に一対の面ファスナーを付設してもよい。
収容部11の開口における、2枚の内蓋12aと直交する1辺に、開口と略同形の外蓋12bを設ける。なお、本例では外蓋12bの中央に吊上げベルト20を挿通するベルト孔13を設ける。
なお蓋部12の構造は上記に限らず、例えば内蓋12aを設けず外蓋12bのみの構造としてもよい。また、外蓋12bも内蓋12aと同様に2枚の外蓋12bからなる両開き構造としてもよい。
【0020】
<3>吊上げベルト(図1
吊上げベルト20は、袋本体10を吊り上げるための帯状体である。
吊上げベルト20は、下端を収容部11の底部11a中央に連結したベルト部と、ベルト部の上端に設けたループ部と、を備える。
本例では吊上げベルト20としてポリプロピレン製ベルトを採用する。ただし吊上げベルト20の素材はこれに限らず、他の合成樹脂繊維製ベルトを採用してもよい。
【0021】
<4>拘束ベルト(図1
拘束ベルト30は、袋本体10を外側から拘束するための帯状体である。
拘束ベルト30は、一部を収容部11の側部11b外側に連結したベルト部31と、ベルト部31の上部に設けたループ部32と、を備える。
本例では拘束ベルト30として4本のポリプロピレン製ベルトを採用し、各拘束ベルト30のベルト部31の一部を、収容部11の側部11bの外側に高さ方向に沿って縫い付けて連結する。
詳細には、例えば長尺のベルト部31の両端にループ部32を設けてこれを連結した2本の拘束ベルト30として用い、ベルト部31の中央を袋本体10の底に通して底部11aと側部11bに縫い付ける。これを袋本体10の直交する2方向で行うことで4本の拘束ベルト30を設ける。ただし拘束ベルト30の素材や構造はこれに限らない。
拘束ベルト30の長さについては後述する。
【0022】
<5>土木工事用構造体(図3
土木工事用構造体Aは、堤防の仮護岸工、法面の土留工、落石防護工等の土木用途に用いる構造体である。
土木工事用構造体Aは、土木工事用袋体1の収容部11内に中詰材Bを充填してなる。詳細には、袋本体10の収容部11内に中詰材Bを充填し、上部を蓋部12で被覆すると共に、複数の拘束ベルト30のループ部32内に吊上げベルト20を連通して、拘束ベルト30で袋本体10の外周を拘束することで構築する。
本例では中詰材Bとして、土砂を採用する。ただしこれに限らず、砕石、玉石、コンクリートガラ、レンガ片、焼却灰等を採用することができる。
土木工事用構造体Aは、クレーンやバックホウ等の重機によって吊り上げて、任意の場所に設置することができる。また、複数の土木工事用構造体Aを多段状に積み上げて一体の構造物として使用することができる。
【0023】
<6>土木工事用構造体の製造方法
土木工事用構造体Aは、充填工程S1と、連結工程S2と、拘束工程S3と、を備える方法によって、製造することができる。
【0024】
<6.1>充填工程(図4A図4B
充填工程S1は、袋本体10内に中詰材Bを充填する工程である。充填工程S1は、詳細には例えば以下の方法で実施する。
蓋部12を開いた状態の土木工事用袋体1を、収容部11の外形に対応した型枠内に配置する。なお、型枠を用いず、簡易的に地盤を収容部11の外形に対応した凹型に掘削して、内部に土木工事用袋体1を配置してもよい。
吊上げベルト20が中詰材B内に埋まらないように、吊上げベルト20のループ部内に単管パイプなどを通して収容部11の上方から吊り、バックホウやスコップ等を用いて収容部11内に中詰材Bを充填する(図4A)。
中詰材Bの充填後は、2枚の内蓋12aを閉鎖して閉じ紐で連結し(図4B)、内蓋12aの表面を外蓋12bで被覆する。この際、吊上げベルト20は、ベルト孔13を通して外蓋12bの外側に引き出す。
【0025】
<6.2>連結工程(図5A図5B
連結工程S2は、拘束ベルト30を吊上げベルト20に連結する工程である。連結工程S2は、詳細には例えば以下の方法で実施する。
4本の拘束ベルト30を外蓋12bの中央に向けて配置し、4つのループ部32内に吊上げベルト20を連通する。
詳細には、例えばまず対向する2本の拘束ベルト30のループ部32の中に吊上げベルト20をS字状に連通する(図5A)。続いて吊上げベルト20の角度を平面視略90度回転させて、残る2本の拘束ベルト30のループ部32の中にS字状に連通する(図5B)。
なお吊上げベルト20の連通方法はこれに限らず、例えば4本の拘束ベルト30に対し時計回りに連通してもよい。
【0026】
<6.3>拘束工程(図6A図6B
拘束工程S3は、拘束ベルト30で袋本体10を拘束する工程である。拘束工程S3は、詳細には例えば以下の方法で実施する。
吊上げベルト20のループ部に吊り手段Cをかけ、土木工事用袋体1を重機で地切りすると(図6A)、S字状に屈曲していた吊上げベルト20が直線状に引き伸ばされ、帯状の吊上げベルト20が複数方向から拘束ベルト30のループ部32にきつく引き絞られる。これによって、吊上げベルト20と複数のループ部32が摩擦により結束する(図6B)。
以上により、土木工事用構造体Aが完成する。
【0027】
<7>土木工事用構造体の設置(図7
土木工事用構造体Aは、吊上げベルト20のループ部に吊り手段Cをかけることで、クレーンやバックホウ等の重機によって吊り上げることができる。
吊上げ時、袋本体10の底部11aが、吊上げベルト20との連結部を中心に外側(下方及び側方)に垂れ下がって変形しようとする。
これに対し、吊上げベルト20と連結した4本の拘束ベルト30が、袋本体10の底部11aと側部11bを外側から引き上げて中心方向に拘束することで(図7)、底部11aの外側が垂れ下がって土木工事用構造体Aが変形するのを抑止することができる(自己拘束機能)。これによって、袋本体10の外形を維持し、土木工事用構造体Aの出来形を向上させることができる。
土木工事用構造体Aの設置後、ループ部32より上に突出した吊上げベルト20の先端は、折り返して蓋部12の上面と拘束ベルト30の隙間に挟み込み、又は結束紐(不図示)で拘束ベルト30のベルト部31に縛って固定することができる。
【0028】
<8>拘束ベルトの長さ
土木工事用構造体Aが自己拘束機能を発揮するためには、拘束ベルト30は長すぎず、所定の長さの範囲内にある必要がある。詳細には、拘束ベルト30の長さは、中詰材Bを充填した土木工事用構造体Aを吊上げた状態において、ベルト部31が袋本体10の孕み出しを外側から支圧可能な程度の長さとする。
具体的には、例えば拘束ベルト30における袋本体10の側部11bより上方に延出する部分の長さが、蓋部12上の側辺から中央までの距離と等しくなる長さとすることができる。
これによって、クレーンの重機で中央の吊上げベルト20を吊上げる際、中詰材Bの自重により、拘束ベルト30が外側から中詰材Bを拘束するため、土木工事用構造体Aの形状を維持することが可能となる。
【実施例2】
【0029】
[袋本体の他の形状]
袋本体10の外形は略直方体形状に限らない。
袋本体10の外形は、例えば略円筒形状(図8)、略三角柱形状、略六角柱形状その他の立体形状であってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 土木工事用袋体
10 袋本体
11 収容部
11a 底部
11b 側部
12 蓋部
12a 内蓋
12b 外蓋
13 ベルト孔
20 吊上げベルト
30 拘束ベルト
31 ベルト部
32 ループ部
A 土木工事用構造体
B 中詰材
C 吊り手段
S1 充填工程
S2 連結工程
S3 拘束工程
【要約】
【課題】吊上げ時の形状保持機能と設置時の形状保持機能を兼備する土木工事用袋体、土木工事用構造体、及び土木工事用構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の土木工事用袋体1は、底部11aと側部11bからなる収容部11と、蓋部12と、を有する袋本体10と、底部11aの中央から上方に延出する吊上げベルト20と、側部11bの外側から上方に延出する複数の拘束ベルト30と、を備え、拘束ベルト30の長さが、吊り上げた状態において、ベルト部31によって袋本体10の外周を拘束可能な長さであることを特徴とする。本発明の土木工事用構造体Aは、土木工事用袋体1と、収容部11内に充填した中詰材Bと、を備える。本発明の土木工事用構造体の製造方法は、充填工程S1と、連結工程S2と、拘束工程S3と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8