(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】車両スライドドアの開位置調整具
(51)【国際特許分類】
B60J 5/06 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
B60J5/06 A
B60J5/06 Z
(21)【出願番号】P 2024001754
(22)【出願日】2024-01-10
【審査請求日】2024-01-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599053713
【氏名又は名称】株式会社ホワイトハウス
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 文夫
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-47969(JP,A)
【文献】実開昭60-069720(JP,U)
【文献】特開2017-145550(JP,A)
【文献】特開2010-207122(JP,A)
【文献】特開平6-307148(JP,A)
【文献】米国特許第8282156(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0071956(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第112922470(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後部座席横の車体側面に沿って後方に開くスライドドア(93)を備えた車両(90)においてカスタマイズによって後付けされ、前記スライドドアの常用開位置を標準仕様の全開位置から前方に変更する開位置調整具であって、
前記スライドドアのドアアーム(70)が移動するレール(80)の底板(83)に車両の前後方向に沿って形成された複数の穴のうち一つの第1ガイド穴(831)に嵌合して固定され、前記ドアアームの移動限界を規制するストッパ(10)と、
前記第1ガイド穴に対し車両の前方に位置する第2ガイド穴(832)に嵌合して固定され、前記スライドドアの開位置で前記ドアアームに設けられたロック爪(72)を係止し、前記ドアアームを保持するロックピン(20)と、
の二部品で構成され、
前記ストッパは、
前記レールの底板から車両側方に延びる柱部(11)と、
前記柱部の側面から車両前方に延びる支持部(13)と、
ゴムで形成されて前記支持部に固定され、前記支持部とは反対側に前記ドアアームの後部縁(71)が当接するストッパ面(141)を有する緩衝部材(14)と、を備え、
前記ロックピンは、
柱体の頂部(21)から車両後方に向かうに従って前記レールの奥側に傾斜し、前記ロック爪が当接する傾斜面(22)が形成されており、
前記スライドドアが開位置で保持された状態からドアレバー(94)が操作されると、前記ロック爪は前記ロックピンによる係止が解除される位置に移動し、前記スライドドアを閉めることが可能となるように構成された車両スライドドアの開位置調整具。
【請求項2】
前記ストッパは、前記柱部をなす柱ブラケットと前記支持部をなす支持ブラケットとが別体で形成され、ボルト(15)で組み付けられており、
前記柱ブラケットと前記支持ブラケットとの間に任意の厚さのスペーサ(17)を挟んで組み付けることで、前記ストッパ面の位置を調整可能である請求項1に記載の車両スライドドアの開位置調整具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両スライドドアの開位置を調整する調整具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両スライドドアの開位置の調整に関し、例えば特許文献1には、電動スライドドアの開閉中に電気的に動作を停止し、半開状態で保持する技術が開示されている。電動スライドドアは、状況に応じて開位置を都度変更したい場合に便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書においてスライドドアの「全開位置」とは、標準仕様の車両における全開位置を意味する。また、車両後方から前方を視る方向を基準として、車両の「左側」及び「右側」を表す。例えば輸入された商用車に後部座席として2列目シートを取り付け、キャンピングカー仕様に改造する場合を想定する。標準仕様では車両の左側から座席後方のスペースへ荷物を出し入れしやすいようにスライドドアの開閉ストロークが大きく設定されている。そのため、2列目シートに乗降するだけの用途においては、標準仕様の全開位置ではスライドドアが開き過ぎ、2列目シートに座った姿勢で全開位置のドアレバーに手が届かないという問題が生じる。
【0005】
この場合、キャンピングカー仕様に改造後、状況に応じて標準仕様の全開位置までスライドドアを開く可能性も想定されない。そこで、スライドドアの常用開位置を標準仕様の全開位置から前方に変更する簡易な手段が求められる。従来、このようなカスタマイズを簡易に実現できる調整具は知られていなかった。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、車両スライドドアの常用開位置を簡易に調整可能な開位置調整具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、後部座席横の車体側面に沿って後方に開くスライドドア(93)を備えた車両(90)においてカスタマイズによって後付けされ、スライドドアの常用開位置を標準仕様の全開位置から前方に変更する開位置調整具である。この開位置調整具は、ストッパ(10)とロックピン(20)との二部品で構成される。
【0008】
ストッパは、スライドドアのドアアーム(70)が移動するレール(80)の底板(83)に車両の前後方向に沿って形成された複数の穴のうち一つの第1ガイド穴(831)に嵌合して固定され、ドアアームの移動限界を規制する。
【0009】
ロックピンは、第1ガイド穴に対し車両の前方に位置する第2ガイド穴(832)に嵌合して固定され、スライドドアの開位置でドアアームに設けられたロック爪(72)を係止し、ドアアームを保持する。
【0010】
ストッパは、レールの底板から車両側方に延びる柱部(11)と、柱部の側面から車両前方に延びる支持部(13)と、ゴムで形成されて支持部に固定され、支持部とは反対側にドアアームの後部縁(71)が当接するストッパ面(141)を有する緩衝部材(14)と、を備える。ロックピンは、柱体の頂部(21)から車両後方に向かうに従ってレールの奥側に傾斜し、ロック爪が当接する傾斜面(22)が形成されている。
【0011】
スライドドアが開位置で保持された状態からドアレバー(94)が操作されると、ロック爪はロックピンによる係止が解除される位置に移動し、スライドドアを閉めることが可能となるように構成されている。
【0012】
本発明では、標準仕様のスライドドアの開閉ストロークを縮めることで、2列目シートに座った姿勢でスライドドアの開閉を容易に行うことができる。また、ドアレバーを操作しない限り、スライドドアはロックピンにより開位置に保持されるため、坂道に停車した場合などにスライドドアが勝手に閉まることが防止される。
【0013】
好ましくは、ストッパは、柱部をなす柱ブラケットと支持部をなす支持ブラケットとが別体で形成され、ボルト(15)で組み付けられている。柱ブラケットと支持ブラケットとの間に任意の厚さのスペーサ(17)を挟んで組み付けることで、ストッパ面の位置を調整可能である。
【0014】
車両によるレールの穴位置やドアアーム各部の寸法ばらつき等により、開位置調整具を取り付けたとき、スライドドアの開位置での遊びの程度に差が生じる。そこで、ストッパ面の位置を調整可能な構造とし、車両毎に適切に調整されることで、スライドドアが安定して開位置で移動制限且つ保持されるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】スライドドアの開位置が調整されたカスタマイズ仕様の車両の図。
【
図2】標準仕様の車両におけるスライドドアの全開位置を示す図。
【
図5】車体のレールにストッパ及びロックピンを取り付けた状態の(a)平面図、(b)正面図。
【
図6】スライドドアが開位置で保持(ロック)された状態の図。
【
図7】スライドドアの開位置からロック爪がアンロックされた状態の図。
【
図8】スペーサが追加されたストッパの(a)平面図、(b)正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(一実施形態)
本発明の一実施形態によるスライドドアの開位置調整具を図面に基づいて説明する。この開位置調整具は、後部座席横の車体側面に沿って後方に開くスライドドアを備えた車両においてカスタマイズによって後付けされ、スライドドアの常用開位置を標準仕様の全開位置から前方に変更するものである。
【0017】
図1に、一実施形態の開位置調整具によりスライドドア93の常用開位置が調整されたカスタマイズ仕様の車両90を示す。
図2には対比として、標準仕様の車両90におけるスライドドア93の全開位置を示す。例えばこの車両90は、輸入された商用車である。輸入されたとき前部座席(運転席、助手席)の後方は空の状態であり、そこに後部座席として2列目シート92が取り付けられ、キャンピングカー仕様に改造される。
【0018】
図2に示すように、標準仕様では車両の左側から座席後方のスペースへ荷物を出し入れしやすいようにスライドドア93の開閉ストロークFOが大きく設定されている。全開位置では、ドアレバー94が2列目シート92より数十cm後方の位置となる。そのため、2列目シート92に座った姿勢で全開位置のドアレバーに手が届かない。つまり、車両の左側から座席後方のスペースへ荷物を出し入れせず、2列目シート92に乗降するだけの用途においては、標準仕様の全開位置ではスライドドア93が開き過ぎる。また、状況に応じて標準仕様の全開位置までスライドドア93を開く可能性も想定されない。
【0019】
そこで
図1に示すように、2列目シート92に乗降可能な程度の半開位置をスライドドア93の常用開位置とし、常用開位置までの開閉ストロークHOを機械的に縮めることが求められる。また安全性確保の観点から、坂道に停車した場合などにスライドドア93が開位置から勝手に閉まらないようにすることも重要である。
【0020】
本実施形態では、そのための簡易な手段として、ストッパ10及びロックピン20の二部品で構成される開位置調整具が車体下部のレール80の底板に取り付けられる。レール80は、スライドドア93のドアアーム70がガイドされて移動する部分であり、車両の前後方向に沿って複数の穴が底板、すなわち奥側の板に形成されている。その複数の穴のうち適当な位置にある穴が第1ガイド穴831及び第2ガイド穴832(
図2参照)として選定される。第2ガイド穴832は第1ガイド穴831に対し車両の前方に位置する。
【0021】
ストッパ10は、第1ガイド穴831に嵌合して固定され、ドアアーム70の移動限界を規制する。ロックピン20は、第2ガイド穴832に嵌合して固定される。ロックピン20は、スライドドア93の開位置でドアアーム70に設けられたロック爪72(
図6、
図7参照)を係止し、スライドドア93の開位置でドアアーム70を保持する。これにより、坂道に停車した場合などにスライドドア93が勝手に閉まることが防止される。
【0022】
ロック爪72は、ワイヤ73を介してドアレバー94に接続されている。スライドドアが開位置で保持された状態からドアレバー94が操作されると、ワイヤ73によりロック爪72が牽引される。すると、ロック爪72はロックピン20による係止が解除される位置に移動し、スライドドア93を閉めることが可能となる。なお、車両の構成によってはロック爪72をワイヤ73で牽引するのでなく、ドアレバー94の操作信号に基づき電気的にロック爪72の係止が解除されるようにしてもよい。
【0023】
次に
図3、
図4を参照し、ストッパ10及びロックピン20の具体的な構成について説明する。各図(a)には、組み付け状態でレール80内の上面側から視た平面図を示し、各図(b)には、組み付け状態で車両側方から視た正面図を示す。平面図で破線ハッチングを付した部材は、レール80の底板83、及び、底板83の裏に底板83と平行に配置された裏壁84を示す。底板83には円形の第1ガイド穴831及び第2ガイド穴832が所定ピッチで形成されている。裏壁84には、ガイド穴831、832よりも小径の第1壁穴841及び第2壁穴842がガイド穴831、832と同軸に形成されている。
【0024】
ストッパ10は、「柱部」としての柱ブラケット11と、「支持部」としての支持ブラケット13と、緩衝部材14とを備える。本実施形態では、柱ブラケット11と支持ブラケット13とが別体で形成され、ボルト15で組み付けられている。柱ブラケット11及び支持ブラケット13は鋼材で形成され、緩衝部材14はゴムで形成されている。
【0025】
柱部をなす柱ブラケット11は、軸Y1を中心とする円柱状の本体の一端に、本体より小径の嵌合部12が段部123を介して設けられている。嵌合部12の外径は第1ガイド穴831の内径よりわずかに小さく、嵌合部12の高さは、底板83の手前の面から裏壁84の手前の面までの長さと同等程度に設定されている。柱ブラケット11は、段部123が底板83の手前の面に当接するまで嵌合部12が第1ガイド穴831に嵌合し、第1壁穴841の裏側からボルト85で締められる。レール80への組み付け状態では、柱ブラケット11は底板83から車両側方に延びるように裏壁84に固定される。
【0026】
柱ブラケット11には、軸Y1に直交する軸X1を中心とするボルト孔116が形成されている。また、ボルト孔116の一端にインロー部113が形成され、ボルト孔116の他端に座繰り部115が形成されている。インロー部113には円柱状の支持ブラケット13の外径が嵌合する。支持ブラケット13の端面がインロー座面114に当接した状態で、ボルト15が座繰り部115側からボルト孔116を貫通して支持ブラケット13に締め込まれる。レール80への組み付け状態では軸X1が水平となり、支持ブラケット13は柱ブラケット11に対し車両前方に配置されている。したがって、支持ブラケット13は、柱ブラケット11の側面から車両前方に延びる。
【0027】
ゴム製の緩衝部材14は円錐台状を呈し、支持ブラケット13と共通の軸X1に沿って座繰り部145及びボルト孔146が形成されている。緩衝部材14は、円錐台の下底側の端面が支持ブラケット13の端面に接するように、ボルト孔146を貫通するボルト16によって支持ブラケット13に固定されている。また緩衝部材14は、支持ブラケット13とは反対側にドアアーム70の後部縁71(
図6、
図7参照)が当接するストッパ面141を有する。レール80への組み付け状態では、「支持ブラケット13とは反対側」は車両の前側に相当する。ストッパ面141がゴムで形成されているため、スライドドア93の開動作においてドアアーム70がストッパ面141に衝突した時の衝撃を緩和し、当接部の傷付きや変形を防止することができる。
【0028】
ロックピン20は、鋼材で、軸Y2を中心とする略円柱状に形成されている。ロックピン20の外径は、第2ガイド穴832の内径よりわずかに小さく、ロックピン20の高さは、底板83の手前の面から裏壁84の手前の面までの長さより大きく設定されている。第2ガイド穴832に嵌合し、第2壁穴842の裏側からボルト86で締められることで、ロックピン20は裏壁84に固定される。ここで、ロックピン20の端面と裏壁84の手前の面との間に高さを調整するスペーサ87が適宜設けられてもよい。
【0029】
底板83の第2ガイド穴832からレール80内に突出した部分において、ロックピン20は、柱体の頂部21から側面に向かって傾斜面22が形成されている。レール80への組み付け状態では、傾斜面22は、車両後方に向かうに従ってレール80の奥側に傾斜する。スライドドア93の開位置で、ドアアーム70に設けられたロック爪72(
図6、
図7参照)が傾斜面22に当接する。
【0030】
図5に、車体のレール80にストッパ10及びロックピン20を取り付けた状態の平面図及び正面図を示す。ストッパ10及びロックピン20は、隣り合う第1ガイド穴831及び第2ガイド穴832に嵌合し、隣り合う第1壁穴841及び第2壁穴842を通して裏壁84に固定される。ストッパ10の緩衝部材14のストッパ面141は、車両側方から視て手前側に配置され、ロックピン20の傾斜面22は奥側に配置される。車両の高さ方向では、緩衝部材14及びロックピン20の位置は同じである。
【0031】
次に
図6、
図7を参照し、スライドドア93の開閉動作に伴う開位置調整具の作用について説明する。スライドドア93の下部に接続されたドアアーム70は、レール80の外側からレール80に挿入され、図示しないローラと共にレール80内を移動する。
図6、
図7に示すドアアーム70の形状は、開位置調整具の作用を説明するための模式的なイメージであり、実際の形状とは異なる。
【0032】
ロック爪72は、図示しないバネ機構等の付勢力Fにより、レール80の奥に向かって付勢されている。また、ドアアーム70に沿って配設されたワイヤ73の先端がロック爪72に接続されている。ドアレバー94の操作によってワイヤ73が牽引されると、ロック爪72は付勢力Fに抗してレール80の手前側に移動する。
【0033】
図6に示すように、スライドドア93を開くとドアアーム70が車両後方に移動し、ドアアーム70の後部縁71がストッパ10のストッパ面141に当接した位置で移動限界が規制される。このとき、ロックピン20の頂部21を乗り越えたロック爪72が奥方向への付勢力Fにより傾斜面22に当接して係止される。こうして、ドアアーム70の後方への移動が規制され、且つ、前方でロック爪72が係止されることで、スライドドア93は開位置で保持(ロック)される。
【0034】
本実施形態では、標準仕様のスライドドア93の開閉ストロークを縮めることで、2列目シート92に座った姿勢でスライドドアの開閉を容易に行うことができる。また、下り坂の坂道でスライドドア93の自重が前方に掛かっている場合でも、スライドドア93が勝手に閉まることが防止され、安全性が確保される。
【0035】
図7に示すように、ドアレバー94が操作され、ワイヤ73によりロック爪72が牽引されると、ロック爪72は、奥方向への付勢力Fに抗してロックピン20による係止が解除される位置、すなわちロック爪72がアンロックされる位置に移動する。これにより、スライドドア93を閉めることが可能となる。
【0036】
ところで、
図6に示すようにドアアーム70が開位置で保持されるとき、実際には適度な「遊び」が必要である。遊びが小さすぎると、後部縁71がストッパ面141に衝突したときの跳ね返りでロック爪72が傾斜面22から外れるおそれがある。遊びが大きすぎると、スライドドア93ががたつく。ただし、車両によってレール80のガイド穴831、832の位置やドアアーム70の各部の寸法にばらつきがある。また、ストッパ10やロックピン20にも加工寸法の個体ばらつきがあるため、レール80に取り付けたとき、スライドドア93の開位置での遊びの程度に差が生じる。
【0037】
そこで、本実施形態のストッパ10は、柱ブラケット11と支持ブラケット13とが別体で形成され、ボルト15で組み付けられている。
図8(a)、
図8(b)に示すように、柱ブラケット11のインロー座面114と支持ブラケット13の端面との間に任意の厚さtのスペーサ17を挟んで組み付けることで、ストッパ面141の位置を調整可能である。
【0038】
また、上述の通り、ロックピン20の端面と裏壁84の手前の面との間にもスペーサ87が適宜設けられてよい(
図4(a)、
図5(a)参照)。これにより、傾斜面22の位置によるロック爪72の係止具合を調整することができる。ストッパ10のストッパ面141、及び、ロックピン20の傾斜面22の位置が車両毎に適切に調整されることで、スライドドア93が安定して開位置で移動制限且つ保持されるようにすることができる。
【0039】
(その他の実施形態)
ストッパの柱部11と支持部13とは一体のL字状に形成されてもよい。その場合、支持部13と緩衝部材14との間にスペーサを挟んでストッパ面141の位置が調整可能となるようにしてもよい。
【0040】
本発明の開位置調整具によりスライドドア93の常用開位置を標準仕様の全開位置から前方に変更する目的は、キャンピングカー仕様への変更とは限らない。商用車として使用する場合であっても、スライドドア93を全開して荷物を出し入れせず、常に半開ストロークで使いたい場合には本発明の開位置調整具を用いることが有効である。
【0041】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0042】
10・・・ストッパ、
11・・・柱ブラケット(柱部)、 13・・・支持ブラケット(支持部)、
14・・・緩衝部材、 141・・・ストッパ面、
20・・・ロックピン、 21・・・頂部、 22・・・傾斜面、
70・・・ドアアーム、 71・・・後部縁、 72・・・ロック爪、
80・・・レール、
83・・・底板、 831・・・第1ガイド穴、 832・・・第2ガイド穴、
90・・・車両、 93・・・スライドドア、 94・・・ドアレバー。
【要約】
【課題】車両スライドドアの常用開位置を簡易に調整可能な開位置調整具を提供する。
【解決手段】開位置調整具は、ストッパ10とロックピン20との二部品で構成される。ストッパ10は、レール80の底板83に形成された複数の穴のうち一つの第1ガイド穴831に嵌合して固定され、ドアアームの移動限界を規制する。ロックピン20は、第2ガイド穴832に嵌合して固定され、スライドドアの開位置でロック爪を係止し、ドアアームを保持する。ストッパ10は、レール80の底板83から車両側方に延びる柱部11と、柱部11の側面から車両前方に延びる支持部13と、ゴムで形成されて支持部13に固定され、支持部13とは反対側にドアアームの後部縁が当接するストッパ面141を有する緩衝部材14とを備える。ロックピン20は、柱体の頂部21から車両後方に向かうに従ってレール80の奥側に傾斜し、ロック爪が当接する傾斜面22が形成されている。
【選択図】
図5