(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】テープフィーダおよびテープフィーダの検査方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2020160516
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】小林 広紀
(72)【発明者】
【氏名】田中 聖史
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-076688(JP,A)
【文献】特開2019-091950(JP,A)
【文献】特開2015-225968(JP,A)
【文献】特開2007-073791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を収納したキャリアテープの通路であるテープ通路が一方側の側面に開放された状態に形成されたフレームと、
前記テープ通路の開放側を閉じるように前記フレームの前記側面に取り付けられた側面カバーと、
前記フレームの後端部に位置するテープ入口から前記テープ通路内に挿入された前記キャリアテープを前方に向けて搬送するスプロケットと、
前記テープ通路内を搬送される前記キャリアテープによって光が遮断されることで前記キャリアテープを検出するテープ検出器と、
前記側面カバーを厚さ方向に貫通して設けられ、前記テープ検出器の光を遮る遮光物を前記側面カバーの外側から前記テープ通路内に挿入することが可能な窓部と、を備えたテープフィーダ。
【請求項2】
前記窓部の前記側面カバーの厚み部分の内面は、前記テープ通路に沿った方向の2つの端部のうち前記キャリアテープの進行方向側に位置する端部側において、前記側面カバーの外側から前記テープ通路側へ向けて前記窓部の開口が広がる形状の傾斜面となっている、請求項1に記載のテープフィーダ。
【請求項3】
前記側面カバーの外面側から取り付けられて前記窓部の少なくとも一部を塞ぐ蓋部材を備えた、請求項1または2に記載のテープフィーダ。
【請求項4】
部品を収納したキャリアテープの通路であるテープ通路が一方側の側面に開放された状態に形成されたフレームと、前記テープ通路の開放側を閉じるように前記フレームの前記側面に取り付けられた側面カバーと、前記フレームの後端部に位置するテープ入口から前記テープ通路内に挿入された前記キャリアテープを前方に向けて搬送するスプロケットと、前記テープ通路内を搬送される前記キャリアテープによって光が遮断されることで前記キャリアテープを検出するテープ検出器と、前記側面カバーを厚さ方向に貫通して設けられ、前記テープ検出器の光を遮る遮光物を前記側面カバーの外側から前記テープ通路内に挿入することが可能な窓部と、を備えたテープフィーダの検査方法であって、
前記窓部から前記遮光物を挿入して前記テープ検出器の光を遮断する光遮断工程と、
前記窓部から前記遮光物を挿入した状態で前記テープ検出器の動作を確認する動作確認工程と、
を含むテープフィーダの検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を収納したキャリアテープを搬送して部品供給位置に部品を供給するテープフィーダおよびテープフィーダの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テープフィーダは、部品を収納したキャリアテープの通路であるテープ通路をフレーム内に備えており、スプロケットでキャリアテープを搬送することで、所定の部品供給位置に部品を供給するようになっている。テープフィーダには大きく分けて、キャリアテープのロードを手作業で行うマニュアルロードタイプのものと、キャリアテープのロードを自動で行うことができるオートロードタイプのものとがある(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0003】
マニュアルロードタイプのテープフィーダでは通常、テープ通路はフレームの側方に開放されており、作業者はフレームの側方からキャリアテープを差し込んでロード作業ができるようになっている。一方、オートロードタイプのテープフィーダでは通常、テープ通路はフレームの側方に側面カバーが取り付けられて閉じた断面形状(トンネル状)になっており、作業者がフレームの後端部のテープ入口からキャリアテープの先頭部を挿入すれば、あとはスプロケットが自動で動作してキャリアテープがロードされるようになっている。
【0004】
テープフィーダは、マニュアルロードタイプであるかオートロードタイプであるかを問わず、フレーム内の複数箇所にテープ検出器を備えており、テープ通路内を進行するキャリアテープによって光が遮断された状態を検知することでキャリアテープの位置(先頭部あるいは後端部の位置)を検出するようになっている。そして、テープ検出器のメンテナンス時には、実際にキャリアテープを搬送させる代わりに、別途用意した遮光物でテープ検出器が投光する光を遮光してテープ検出器の動作を確認するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようにテープ検出器の動作確認を行おうとする場合、マニュアルロードタイプのテープフィーダでは、遮光物をフレームの側方から挿入できるが、オートロードタイプのキャリアテープでは、側面カバーの全体をフレームから取り外す必要があるため、メンテナンス作業に大幅な時間がかかってしまうという問題点があった。
【0007】
そこで本発明は、テープ検出器のメンテナンス作業に要する時間を大幅に短縮することができるテープフィーダおよびテープフィーダの検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のテープフィーダは、部品を収納したキャリアテープの通路であるテープ通路が一方側の側面に開放された状態に形成されたフレームと、前記テープ通路の開放側を閉じるように前記フレームの前記側面に取り付けられた側面カバーと、前記フレームの後端部に位置するテープ入口から前記テープ通路内に挿入された前記キャリアテープを前方に向けて搬送するスプロケットと、前記テープ通路内を搬送される前記キャリアテープによって光が遮断されることで前記キャリアテープを検出するテープ検出器と、前記側面カバーを厚さ方向に貫通して設けられ、前記テープ検出器の光を遮る遮光物を前記側面カバーの外側から前記テープ通路内に挿入することが可能な窓部と、を備えた。
【0009】
本発明のテープフィーダの検査方法は、部品を収納したキャリアテープの通路であるテープ通路が一方側の側面に開放された状態に形成されたフレームと、前記テープ通路の開放側を閉じるように前記フレームの前記側面に取り付けられた側面カバーと、前記フレームの後端部に位置するテープ入口から前記テープ通路内に挿入された前記キャリアテープを前方に向けて搬送するスプロケットと、前記テープ通路内を搬送される前記キャリアテープによって光が遮断されることで前記キャリアテープを検出するテープ検出器と、前記側面カバーを厚さ方向に貫通して設けられ、前記テープ検出器の光を遮る遮光物を前記側面カバーの外側から前記テープ通路内に挿入することが可能な窓部と、を備えたテープフィーダの検査方法であって、前記窓部から前記遮光物を挿入して前記テープ検出器の光を遮断する光遮断工程と、前記窓部から前記遮光物を挿入した状態で前記テープ検出器の動作を確認する動作確認工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、テープ検出器のテープフィーダのメンテナンス作業に要する時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダを備えた部品装着装置の要部斜視図
【
図2】本発明の一実施の形態における部品装着装置の制御系統を示すブロック図
【
図3】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの斜視図
【
図4】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの側面図
【
図5】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが搬送するキャリアテープの一部の斜視図
【
図6】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の(a)側面図(b)V1-V1断面図
【
図7】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが備える窓部に遮光物を挿入する様子を示す図
【
図8】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の断面図
【
図9】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの蓋部材の第1例を示すテープフィーダの一部の(a)側面図(b)V2-V2断面図
【
図10】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの蓋部材の第2例を示すテープフィーダの一部の断面図
【
図11】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの蓋部材の第3例を示すテープフィーダの一部の断面図
【
図12】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの検査を行う検査装置の側面図
【
図13】本発明の一実施の形態における検査装置が備えるタッチパネルに表示される操作画面の一例を示す図
【
図14】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの検査を検査装置によって行うときの作業の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明のテープフィーダを備えた部品装着装置1を示している。テープフィーダの構成を説明する前に先ず、部品装着装置1について説明する。
【0013】
部品装着装置1は、基板KBに対して部品BHを装着する装置であり、
図1に示すように、基台11、搬送コンベア12、テープフィーダ13、ヘッド移動機構14、装着ヘッド15および部品認識カメラ16を備えている。搬送コンベア12は基台11上を作業者OPから見た左右方向(X方向)に延びており、基板KBをX軸に沿って搬送する。なお、以下の説明では、基板KBの搬送方向をX方向とし、鉛直方向をZ方向とし、これらに直交する方向をY方向とする。また、各方向に沿って延びる軸をそれぞれX軸、Y軸およびZ軸とする。
【0014】
図1において、基台11の作業者OPから見た前後方向(Y軸方向)の作業者OP側の端部には、フィーダベース11Bが設けられている。フィーダベース11Bの上面には複数のスロット11SがX軸に沿って設けられており、テープフィーダ13は各スロット11Sに着脱自在に取り付けられている。
【0015】
テープフィーダ13は、部品BHを収納したキャリアテープCTを作業者OP側から搬送コンベア12に向かう方向、すなわちY方向に搬送し、部品装着装置1を基準として設定された部品供給位置13Kに部品BHを供給する。ヘッド移動機構14は例えばXYガントリー機構から成り、装着ヘッド15を水平面内で移動させる。
【0016】
図1において、装着ヘッド15は下方に延びた複数のノズル15Nを備えている。装着ヘッド15は各ノズル15Nを昇降させ、Z軸を中心に回転させる。装着ヘッド15は、ノズル15Nに部品BHをピックアップさせるときは、ノズル15N内に真空圧を供給して、ノズル15Nの下端に吸着力を発生させる。
【0017】
図1において、部品認識カメラ16は撮像光軸を上方に向けた姿勢で基台11に取り付けられている。部品認識カメラ16は、部品BHをピックアップした装着ヘッド15が部品認識カメラ16の上空を通過する際、その部品BHを下方から撮像する。
【0018】
部品装着装置1の制御装置17(
図2)は、部品装着装置1の各部の動作を制御する。具体的には、制御装置17は、搬送コンベア12を作動させて基板KBの搬送を行い、各テープフィーダ13に部品BHを供給させる。また制御装置17は、ヘッド移動機構14を作動させて装着ヘッド15を水平面内方向で移動させるとともに、装着ヘッド15が備える各ノズル15Nを昇降および回転させ、各ノズル15Nの下端に吸着力を発生させる。制御装置17はまた、装着ヘッド15がノズル15Nに吸着させた部品BHを部品認識カメラ16に撮像させて、その部品BHを認識する。
【0019】
部品装着装置1が基板KBに部品BHを装着する部品装着作業を行う場合には先ず、搬送コンベア12が作動して、上流に位置する装置から送られてきた基板KBを受け取り、基台11のほぼ中央の作業位置に基板KBを位置決めする。搬送コンベア12が基板KBを作業位置に位置決めしたら、ヘッド移動機構14が装着ヘッド15をテープフィーダ13の上方に移動させる。装着ヘッド15は、テープフィーダ13の上方において、テープフィーダ13が供給する部品BHを複数のノズル15Nに吸着させる。
【0020】
装着ヘッド15がノズル15Nに部品BHを吸着させたら、ヘッド移動機構14は装着ヘッド15が吸着した部品BHが部品認識カメラ16の上方を通過するように装着ヘッド15を移動させる。部品認識カメラ16は部品BHが上方を通過するときその部品BHを撮像し、制御装置17は部品認識カメラ16の撮像によって得られた画像に基づいて部品BHを認識する。
【0021】
部品BHが認識されたら、ヘッド移動機構14は装着ヘッド15を基板KBの上方に移動させる。装着ヘッド15は、基板KBの上方に移動したら、ノズル15Nを下降させるとともにノズル15Nによる部品BHの吸着を解除することによって、基板KBに設定されている目標装着座標に部品BHを装着する。装着ヘッド15が目標装着座標に部品BHを装着する際には、部品BHを認識した結果に基づいて位置補正がなされる。
【0022】
このような装着ヘッド15の一連の動作が繰り返されることによって、基板KBに装着すべき部品BHが全て装着されたら、搬送コンベア12が作動して、基板KBを部品装着装置1から搬出する。これにより基板KBの1枚当たりの部品装着作業が終了する。
【0023】
次に、テープフィーダ13について説明する。
図3および
図4において、テープフィーダ13のフレーム21は全体としてYZ面内に広がった形状を有している。フレーム21の下部には連結部21Rが設けられており、連結部21Rがフィーダベース11Bのスロット11Sに挿入されることで、テープフィーダ13はフィーダベース11Bに取り付けられる。
【0024】
図3および
図4において、フレーム21の一方の側面(ここではY方向に見て右側の側面)には側面カバー22が取り付けられている。フレーム21には、キャリアテープCTの通路であるテープ通路23が設けられている。このテープ通路23は側面が開放された形状を有しており、フレーム21の右側面に側面カバー22が取り付けられることによって閉じた断面形状(すなわちトンネル状)になっている。
【0025】
このように本実施の形態におけるテープフィーダ13は、側面が開放されたキャリアテープCTの通路であるテープ通路23が形成されたフレーム21と、テープ通路23の開放側を閉じるようにフレーム21の側面に取り付けられた側面カバー22とを備えている。
【0026】
図5において、テープフィーダ13が搬送するキャリアテープCTは、ベーステープBTの上面にトップテープTTが貼り付けられた構成を有している。ベーステープBTには、部品BHを収納した複数のポケットPKがベーステープBTの長手方向に一列に並んで設けられている。ベーステープBTには、ベーステープBTを厚さ方向に貫通した送り孔SHがベーステープBTの長手方向に(ポケットPKの列と平行に)一列に並んで設けられている。
【0027】
トップテープTTはフィルム状のテープ部材から成る。トップテープTTはポケットPKの列の全体を覆うようにベーステープBTの長手方向に延びてベーステープBTに貼り付けられている。各ポケットPK内の部品BHは、ベーステープBTにトップテープTTが貼り付けられることで、ポケットPKから脱落することが防止されている。
【0028】
図3および
図4において、テープ通路23はフレーム21の内部を全体として後方(作業者OPから見た手前側)から前方(作業者OPから見た奥側)に向かって延びている。フレーム21の後端下部にはキャリアテープCTの先頭部が挿入されるテープ入口24が形成されており、フレーム21の前端上部には部品BHの供給を終えたキャリアテープCTが排出されるテープ出口25が形成されている。
【0029】
図3および
図4において、フレーム21の後下部には下方へ張り出した下方張出部26が設けられている。下方張出部26前面側には基台11に設けられた装着装置側コネクタ(図示せず)と連結するコネクタ27が設けられている。フレーム21の後上部には、作業者OPが所要の操作を行う操作部28が設けられている。
【0030】
図3および
図4において、フレーム21の内部の後下部にはフィードスプロケット31と、フィードスプロケット31を駆動するフィードモータ31Kが設けられている。フィードスプロケット31は外周に複数の係合ピン(フィードスプロケット係合ピン31P)を備えている。複数のフィードスプロケット係合ピン31Pのうち、下端部に位置する数本がテープ通路23に突出しており、テープ通路23内に挿入されたキャリアテープCTの送り孔SHに挿入される。フィードスプロケット31は、テープ入口24から挿入されたキャリアテープCTの送り孔SHにフィードスプロケット係合ピン31Pを係合させた状態で回転することによって、キャリアテープCTをフレーム21の前方に(テープ出口25に)向けて搬送する。
【0031】
図3および
図4においてフレーム21の内部の前上部には搬送スプロケット32と、搬送スプロケット32を駆動する搬送モータ32Kが設けられている。搬送スプロケット32は外周に複数の係合ピン(搬送スプロケット係合ピン32P)を備えている。搬送スプロケット32は、フィードスプロケット31によって搬送されてきたキャリアテープCTの送り孔SHに搬送スプロケット係合ピン32Pを係合させた状態で回転することにより、キャリアテープCTをフレーム21の前方に(テープ出口25に)向けて搬送する。
【0032】
図3および
図4において、テープフィーダ13はフレーム21内に制御部33を備えている。制御部33は、フィードモータ31Kの作動を制御することによってフィードスプロケット31を回転させ、搬送モータ32Kの作動を制御することによって搬送スプロケット32を回転させる(
図2)。フィードスプロケット31は、図示しないワンウェイクラッチの作用により、フィードモータ31Kによって駆動されていない状態であってもキャリアテープCTの搬送方向への自由回転(従動回転)は可能であるが、キャリアテープCTの搬送方向とは反対方向への回転は規制されるようになっている。
【0033】
図3および
図4において、フレーム21の前上部(搬送スプロケット32のやや前側上方の位置)にはテープガイド41が設けられている。フレーム21の前上部にはテープ通路23が上方に露出する部分があり、テープガイド41はそのテープ通路23の露出部分を上方から覆うことによって、その露出部分を通るキャリアテープCTを上方から押さえるようになっている。
【0034】
図3および
図4において、テープガイド41の下面には処理部42が設けられている。処理部42は、搬送スプロケット32によってフレーム21の前方に搬送されるキャリアテープCTに接着されているトップテープTTに対して処理を行って部品BHを露出させる。処理部42には、カッターでトップテープTTを切り開いて左右に押し広げる方式や、ブレードをキャリアテープCTとトップテープTTの間に進入させてトップテープTTを部分的に剥離して折り曲げる方式を採用することができる。テープガイド41の処理部42よりもやや前方の位置には、部品供給口43が上方に開口して設けられている。
【0035】
テープフィーダ13が備えるコネクタ27は、フレーム21がフィーダベース11Bに取り付けられた状態で(
図1)、部品装着装置1に設けられた装着装置側コネクタ(図示せず)と接続する。また、この状態では、部品供給口43は前述の部品供給位置13Kに位置する。
【0036】
図3および
図4において、フレーム21内には複数(ここでは2個)のテープ検出器50が設けられている。本実施の形態では、テープ通路23の上流から下流に向かって順番にフィードスプロケット31、第1検出器51、第2検出器52、搬送スプロケット32が設けられている。第1検出器51は、フィードスプロケット31から下流へやや離れた位置に位置し、第2検出器52は、搬送スプロケット32から上流へやや離れた位置に位置する。なお、テープフィーダ13において使用する「上流」、「下流」はテープ通路23に沿って搬送されるキャリアテープCTの搬送方向に基づく表現である。
【0037】
これら2つのテープ検出器50(第1検出器51および第2検出器52)はそれぞれ光学式のセンサから成っている。テープ検出器50は、
図4中に示す領域ARの拡大図である
図6(a)に示すように、テープ通路23上に設定されたテープ検出位置を挟んで投光部50Tと受光部50Jが配置されている。
【0038】
各テープ検出器50において、投光部50Tは受光部50Jに向けて光50Lを照射し、受光部50Jは投光部50Tが投光した光50Lを受光する。そして、受光部50Jが受光する光50Lの光量に基づいて、投光部50Tと受光部50Jの間に設定したテープ検出位置にキャリアテープCTが位置しているか否かを判断でき、受光部50Jが受光する光50Lの増減のタイミングをもって、キャリアテープCTの先頭部または後尾部がテープ検査位置を通過した状態を検知することができる。なお、本実施の形態では、受光部50Jはテープ通路23の底面よりも下方の位置に設置されており、
図6(a)における矢視V1-V1断面図である
図6(b)に示すように、テープ通路23に設けられた光通過孔23Hを通して光50Lを受光するようになっている。
【0039】
本実施の形態では、
図4に示すように、フィードスプロケット31から下流へやや離れた位置に第1のテープ検出位置S1が設定されている。第1検出器51は投光部50Tが投光する光50Lが第1のテープ検出位置S1を通るように設置されている。このため第1検出器51は、テープ入口24から挿入され、フィードスプロケット31によって前方に搬送されたキャリアテープCTの先頭部が第1のテープ検出位置S1に到達した状態を検出する。また、
図4に示すように、搬送スプロケット32から上流へやや離れた位置に第2のテープ検出位置S2が設定されている。第2検出器52は投光部50Tが投光する光50Lが第2のテープ検出位置S2を通るように設定されている。このため第2検出器52は、フィードスプロケット31によって前方に搬送されたキャリアテープCTの先頭部が第2のテープ検出位置S2に到達した状態を検出する。
【0040】
図2において、2つのテープ検出器50(第1検出器51および第2検出器52)それぞれの検出情報は制御部33に入力される。制御部33は、2つのテープ検出器50から入力されるキャリアテープCTの検出情報に基づいて、搬送モータ32Kを作動(すなわち搬送スプロケット32を回転)させ、キャリアテープCTを前方に向けて搬送する。
【0041】
テープ通路23内をフレーム21の前方に向けて搬送されるキャリアテープCTは、処理部42によってトップテープTTが剥離されたうえで、部品供給口43に到達する。このためポケットPKが部品供給口43に到達した(部品供給位置13Kに供給された)ところで部品BHは上方に露出した状態となっており、装着ヘッド15によって部品BHをピックアップすることができる。
【0042】
図3および
図4において、側面カバー22には、その外方からフレーム21内のテープ通路23にアクセスすることを可能にする複数(ここでは2つ)の窓部60が設けられている。各窓部60は側面カバー22の厚さ方向に貫通しており(
図6(b))、テープ通路23に沿った方向にある程度の長さを持った形状を有している。このため、先端部が「へら」状等になっている遮光物80を窓部60から挿入して(
図7(a)→
図7(b))、対応するテープ検出器50の光50Lを遮断することが可能である。
【0043】
図3および
図4において、2つの窓部60は、2つの検出位置(第1のテープ検出位置S1および第2のテープ検出位置S2)のそれぞれに対応した位置に設けられている。具体的には、フレーム21の後下部の第1のテープ検出位置S1にアクセスできる位置に第1窓部61が設けられており、フレーム21の前上部の第2のテープ検出位置S2にアクセスできる位置に第2窓部62が設けられている。
【0044】
このように、本実施の形態では、各検出位置に対応した位置に側面カバー22を厚さ方向に貫通して設けられた窓部60を備えているため、作業者は、窓部60から遮光物80を挿入してテープ検出器50の光50Lを遮断し、これをテープ検出器50が検知するか否かに基づいて、テープフィーダ13の検査(テープ検出器50の動作確認)を行うことができる。
【0045】
図6(b)に示すように、各窓部60の側面カバー22の厚み部分の内面には、傾斜面60Kが形成されている。この傾斜面60Kは、テープ通路23に沿った方向の2つの端部のうち、キャリアテープCTの進行方向側(
図6(b)では右側)に位置する端部側において、側面カバー22の外側からテープ通路23側へ向けて窓部60の開口が広がる形状を有している。
【0046】
図8(a)に示すように、テープ通路23内を搬送されてきたキャリアテープCTの先頭部(詳細にはキャリアテープCTの先頭部の幅方向の一方の端部TB)が窓部60側の端部(詳細にはキャリアテープCTの進行方向側の窓部60の端部)の傾斜面60Kに衝突した場合、キャリアテープCTの先頭部(端部TB)は傾斜面60Kの斜め形状に誘導されて、テープ通路23内に戻される(
図8(b))。このため、上述のように、遮光物80を挿入するために必要な窓部60が、テープ通路23内を搬送されるキャリアテープCTの進行の妨げとなる事態が防止される。
【0047】
窓部60がキャリアテープCTの進行の妨げとなる事態を防止する手段としては、上記のように、窓部60における側面カバー22の厚み部分の内面に傾斜面60Kを形成する代わりに、側面カバー22の外面側から取り付けられて窓部60の少なくとも一部を塞ぐ蓋部材71を取り付けるのであってもよい。例えば、
図9(a),(b)に示す蓋部材71の第1例(「第1蓋部材71A」と称する)は、窓部60の内方に位置し得る形状および大きさを有する平板状の部材から成るものである。第1蓋部材71Aは、窓部60の内部においてフレーム21の表面に接触するように取り付けられたうえで、複数の螺子71Sによってフレーム21に固定して用いられる。
【0048】
第1蓋部材71Aがフレーム21の表面に取り付けられると、
図9(a)における矢視V2-V2断面図である
図9(b)に示すように、窓部60の少なくとも一部が塞がれることになる。このため、テープ通路23内を進行するキャリアテープCTの端部TBは窓部60の端部に引っ掛かりにくい。このように、窓部60の側面カバー22の厚み部分の内面に設けられる傾斜面60Kは、キャリアテープCTの端部TBが窓部60の端部に引っ掛かってもそれが解消されるようにするものであり、蓋部材71は、キャリアテープCTの端部TBが窓部60の端部に引っ掛かりにくくするものである。
【0049】
図10(a),(b)は、蓋部材71の第2例(「第2蓋部材71B」と称する)を示している。第2蓋部材71Bは、側面カバー22の外表面に接触して取り付けられる平板状の基部71aと、基部71aから突出した形状に形成されて窓部60内に嵌入される突出部71bを有している。第2蓋部材71Bはその全体が樹脂等の弾性材料から構成されており、突出部71bを窓部60に嵌入させて取り付けるようになっている。このため第2蓋部材71Bでは、基部71aを側面カバー22に固定する螺子等は不要である。このような構成の第2蓋部材71Bによっても、キャリアテープCTの端部TBが窓部60の端部に引っ掛かる事態を防止できる。
【0050】
図11(a),(b)は、蓋部材71の第3例(「第3蓋部材71C」と称する)を示している。第3蓋部材71Cは、第2蓋部材71Bと同様に、平板状の基部71aと基部71aから突出した形状に形成された突出部71bを有している。第3蓋部材71Cは、
図11(b)から分かるように、突出部71bは窓部60の内部に一部にしか入り込まないが、代わりに、前述の窓部60の傾斜面60Kと同等の効果を発揮する傾斜部72を備えたものとなっている。このような構成の第3蓋部材71Cによっても、キャリアテープCTの端部TBが窓部60の端部に引っ掛かる事態を防止できる。
【0051】
上記構成のテープフィーダ13によって部品BHを供給する場合には、先ず、キャリアテープCTの先頭部をテープ入口24に挿入する。そして、キャリアテープCTの先頭部によって、テープ通路23に突出しているフィードスプロケット係合ピン31Pをフレーム21の前方に押圧する。これによりフィードスプロケット31はわずかに回転し、このフィードスプロケット31の回転を検知した制御部33は、テープ入口24からキャリアテープCTが挿入されたと判断し、フィードモータ31Kを作動させる。これによりフィードスプロケット31はフィードスプロケット係合ピン31PをキャリアテープCTの送り孔SHに係合させた状態で回転し、キャリアテープCTはフレーム21の前方へ向けて搬送される。
【0052】
フィードスプロケット31によって搬送されるキャリアテープCTの先頭部が第1のテープ検出位置S1に到達してその状態が第1検出器51によって検出されると、制御部33はフィードモータ31Kの作動を(すなわちキャリアテープCTの搬送を)停止させる。そして、先行してテープ通路23内を進行するキャリアテープCTがある場合には停止状態を継続させるが、先行してテープ通路23内を進行するキャリアテープCTがない場合には、フィードモータ31Kの作動を(すなわちキャリアテープCTの搬送を)再開させる。なお、先行してテープ通路23内を進行するキャリアテープCTがあるか否かは、後述する第2検出器52がキャリアテープCTを検出しているか否かによって判断される。
【0053】
フィードスプロケット31によって搬送されるキャリアテープCTの先頭部が第2のテープ検出位置S2に到達してその状態が第2検出器52によって検出されると、制御部33は搬送モータ32Kを作動させ、搬送スプロケット32を回転させる。これにより搬送スプロケット係合ピン32Pはフィードスプロケット31によって搬送されてきたキャリアテープCTの送り孔SHに係合し、搬送スプロケット32はキャリアテープCTをフィードスプロケット31から受け取って前方に搬送する。搬送スプロケット32がフィードスプロケット31からキャリアテープCTを受け取った後は、制御部33はフィードモータ31Kの駆動を停止させる。
【0054】
キャリアテープCTが搬送スプロケット32によって前方に向けて搬送されると、キャリアテープCTのうち第2のテープ検出位置S2を通り過ぎた部分(第2のテープ検出位置S2よりも下流に位置する部分)はテープガイド41の下面側を通過する。この際、キャリアテープCTに貼り付けられたトップテープTTは処理部42によって剥離され、キャリアテープCTのポケットPKは部品供給口43に到達するまでの間に上方に露出した状態となる。
【0055】
次に、テープフィーダ13の検査手順(検査方法)について説明する。
図12はテープフィーダ13の検査に用いられる検査装置90を示している。検査装置90は、
図12に示すように、架台91、架台91の上面に設けられたフィーダ装着部92、架台91の後側面に設けられた検査装置コネクタ93、架台91に内蔵された制御ボックス94、架台91から上方に延びて設けられた支柱95および支柱95に取り付けられたタッチパネル96を備えている。
【0056】
フィーダ装着部92は部品装着装置1のスロット11Sと同様の構成を有しており、検査対象のテープフィーダ13は、フレーム21の下部の連結部21Rが検査装置90のフィーダ装着部92に装着される。これによりテープフィーダ13のコネクタ27は検査装置コネクタ93と接続し、テープフィーダ13の制御部33は制御ボックス94と信号のやり取りを行うことができる状態となる。制御ボックス94は、検査に必要な指示や情報をタッチパネル96に画面表示する。
【0057】
図13はタッチパネル96に表示される操作画面の一例である。
図13に示す例では、操作画面に、開始ボタン96a、OKボタン96b、終了ボタン96cおよび表示部96dが表示される。テープフィーダ13の操作部28にも、タッチパネル96の開始ボタン96a、OKボタン96bおよび終了ボタン96cに相当する各ボタンが備えられている。このため作業者は、「開始」、「OK」および「終了」の各操作を、タッチパネル96と操作部28のどちらからでも行うことができる。
【0058】
図14に示すフローチャートは、検査装置90を用いたテープフィーダ13の検査の流れを示している。検査装置90のフィーダ装着部92に検査対象のテープフィーダ13が装着された状態で、作業者は先ず、検査装置90のタッチパネル96またはテープフィーダ13の操作部28から、開始ボタン96aを押す(ステップST1)。これにより検査装置90はテープフィーダ13の検査を開始し(ステップST2)、タッチパネル96の表示部96dに「第1窓部に遮光物を挿入してOKボタンを押して下さい」とのメッセージを表示する(ステップST3)。
【0059】
タッチパネル96の表示部96dに上記メッセージが表示されたら、作業者は第1窓部61に遮光物80を挿入してOKボタン96bを押す(ステップST4)。テープフィーダ13は、作業者によってOKボタン96bが押されたことを検知したら、第1検出器51が光50Lの遮断を検出するか否かを検査する(ステップST5)。そして、テープフィーダ13はその検査結果を検査装置90に出力し(ステップST6)、検査装置90は第1検出器51の検査結果を、タッチパネル96の表示部96dに表示する(ステップST7)。
【0060】
検査装置90は、第1検出器51の検査結果をタッチパネル96に表示したら、次いで、タッチパネル96の表示部96dに、「第2窓部に遮光物を挿入してOKボタンを押して下さい」とのメッセージを表示する(ステップST8)。タッチパネル96の表示部96dに上記メッセージが表示されたら、作業者は第2窓部62に遮光物80を挿入してOKボタン96bを押す(ステップST9)。テープフィーダ13は、作業者によってOKボタン96bが押されたことを検知したら、第2検出器52が光の遮断を検出するか否かを検査する(ステップST10)。そして、テープフィーダ13はその検査結果を検査装置90に出力し(ステップST11)、検査装置90は第2検出器52の検査結果を、タッチパネル96の表示部96dに表示する(ステップST12)。
【0061】
検査装置90が第2検出器52の検査結果をタッチパネル96に表示したら、作業者は、検査装置90のタッチパネル96またはテープフィーダ13の操作部28から終了ボタン96cを押す(ステップST13)。検査装置90は、終了ボタン96cが押されたことを検知したら、テープフィーダ13の検査を終了する。
【0062】
このように、本実施の形態におけるテープフィーダ13の検査方法は、窓部60から遮光物80を挿入してテープ検出器50の光50Lを遮断する光遮断工程(ステップST4およびステップST9)と、窓部60から遮光物80を挿入した状態でテープ検出器50の動作を検査(確認)する動作確認工程(ステップST5およびステップST10)とを含んだものとなっている。
【0063】
なお、テープフィーダ13の側面カバー22に設けられた窓部60が蓋部材71によって塞がれているタイプである場合には、上記のステップST4およびステップST9において、窓部60に遮光物80を挿入する前に蓋部材71を取り外す作業と、窓部60から遮光物80を抜去した後に、蓋部材71を窓部60に取り付ける作業とが必要となる。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態におけるテープフィーダ13では、側面カバー22に設けられた窓部60から遮光物80を挿入してテープ検出器50の光50Lを遮断することができるようになっている。このため、テープフィーダ13のメンテナンス作業において、側面カバー22の全体を取り外すことなくテープ検出器50の動作確認を行うことが可能である。このため本実施の形態におけるテープフィーダ13(テープフィーダの検査方法)によれば、テープフィーダ13が備えるテープ検出器50のメンテナンス作業に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0065】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、キャリアテープCTの位置を検出するテープ検出位置が2箇所(第1のテープ検出位置S1および第2のテープ検出位置S2)であったために、テープ検出器50および窓部60をそれぞれ2つずつ備えた構成となっていたが、テープ検出器50の数および窓部60の数は必ずしも2つである必要はなく、テープ検出位置の数に応じて増減することができる。
【0066】
また、前述の実施の形態では、テープフィーダ13の検査(テープ検出器50の検査)に検査装置90を用い、検査装置90のタッチパネル96に表示される指示に従って検査を行ったが、検査装置90を用いることなく、複数の窓部60に遮光物80を順次挿入して各テープ検出器50の検査(動作確認)を行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
テープ検出器のメンテナンス作業に要する時間を大幅に短縮することができるテープフィーダおよびテープフィーダの検査方法を提供する。
【符号の説明】
【0068】
13 テープフィーダ
21 フレーム
22 側面カバー
23 テープ通路
31 フィードスプロケット(スプロケット)
50 テープ検出器
50L 光
51 第1検出器
52 第2検出器
60 窓部
60K 傾斜面
61 第1窓部
62 第2窓部
71 蓋部材
71A 第1蓋部材
71B 第2蓋部材
71C 第3蓋部材
80 遮光物
S1 第1のテープ検出位置
S2 第2のテープ検出位置
CT キャリアテープ
BH 部品