(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】被拭面回転移動式ワイパー機構
(51)【国際特許分類】
B60S 1/04 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
B60S1/04 200
(21)【出願番号】P 2019240222
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-08-10
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】520027981
【氏名又は名称】内海 歳緒
(72)【発明者】
【氏名】内海 歳緒
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-044582(JP,A)
【文献】特開2012-087006(JP,A)
【文献】実開昭55-179954(JP,U)
【文献】実開昭54-159619(JP,U)
【文献】特開昭63-064853(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018207813(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/00
B60S 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外ガラスと内ガラスの隙間を通る輪状の連続した面を持つ曲がる超薄板ガラスを、モータ等の動力装置側ピラー内に配置されたモーター等の動力装置が動力となり、そのモータ等の動力装置に連動して回るモーター等の動力装置側回転軸と、もう一方の、ワイパー機構側ピラー内に配置されたワイパー機構側回転軸間で回転移動させ、同じ、ワイパー機構側ピラー内に配置されたワイパーブレードにより、被拭面の水滴等を拭い取るワイパー機構の構造とした被拭面回転移動式ワイパー機構において、前記ワイパー機構側ピラー内へ配置されたワイパーブレードにより、被拭面の拭い取られた水滴等を排出するための排出受け容器を、同じ、ワイパー機構側ピラー内へ配置した被拭面回転移動式ワイパー機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲がる超薄板ガラスを回転移動させ、それを用いたワイパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なワイパーは、固定された被拭面を往復運動するワイパーブレードで拭き取るものであるが、例えば下記特許文献1では、被拭体を移動運動させ、ワイパーブレードを固定させたまま、水滴等を被拭面より拭い取るワイパー機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実願昭60-43471号(実開昭61-159257号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例では、従来のワイパー機構はワイパーブレードが移動運動して被拭面の水滴などを拭い取るもので、拭われる面積が狭く、ときとして水滴などを飛び散し、例えば自動車のフロントガラスなどでは、視界を得るために動いているワイパーブレードが視界を横切り、視界を妨げている欠点があるため、水滴等を拭い取るべき物である被拭体を移動運動させることにより、ワイパーブレードを固定したまま、水滴等を被拭面より拭い取るようにしている。
【0005】
しかしながら、例えば自動車のフロントガラスなどの被拭面の水滴等を拭い取る場合、自動車のフロントガラスを被拭面として移動運動をさせなければならない。
この従来例では被拭体を半球面状にして、モーターとギアを用いて被拭体を移動運動させてワイパーブレードを被拭体に添わせることにより、水滴などを拭うようにしている。
このため、連続した半球面状の被拭体があり、自動車の室内空間の両側方及び後方にも半球面状の被拭体が常時あり、それを考慮した構造設計が必要となり、構造設計に制約を伴う要因となる。
また、自動車の室内空間の広さによっては、連続した半球面状の被拭体の表面積を大きくする必要があり、大きく連続した半球面状の被拭体を移動運動させるために伴う動力エネルギーが必要となり、エネルギーロスが著しく発生する。
【0006】
そこで、本発明は、被拭面を移動させて被拭面の水滴等を拭い取るワイパー機構を、例えば自動車に装着する場合の構造設計の制約を減少させて、装着しやすくすることを目的とするものである。
また、被拭体を移動運動させるのに伴う動力エネルギーを減少させる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために本発明の被拭面回転移動式ワイパー機構は、外ガラスと内ガラスの隙間を通る輪状の連続した面を持つ曲がる超薄板ガラスを、モーター等の動力装置側ピラー内に配置されたモーター等の動力装置が動力となり、そのモーター等の動力装置に連動して回るモーター等の動力装置側回転軸と、もう一方の、ワイパー機構側ピラー内に配置されたワイパー機構側回転軸間で回転移動させ、同じ、ワイパー機構側ピラー内へ配置されたワイパーブレードにより、被拭面の水滴等を拭い取るワイパー機構の構造とした。
【0008】
本発明の被拭面回転移動式ワイパー機構は、ワイパー機構側ピラー内へ配置されたワイパーブレードにより、被拭面の拭い取られた水滴等を排出するための排出受け容器を、同じ、ワイパー機構側ピラー内へ配置した。
【0009】
本発明の被拭面回転移動式ワイパー機構は、ワイパー機構側ピラー内に、ワイパーブレードの押し当て圧を受ける、当て物を配置した。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明の被拭面回転移動式ワイパー機構は、モーター等の動力装置側ピラー内へ配置されたモーター等の動力装置により、そのモーター等の動力装置に連動して回るモーター等の動力装置側回転軸と、もう一方のワイパー機構側ピラー内に配置されたワイパー機構側回転軸で、輪状の連続した面を持つ曲がる超薄板ガラスを回転移動させるようにしたので、構造設計の制約を減少させて装着しやすくなり、また、被拭体を移動運動させるのに伴う動力エネルギーを減少させることができる。
【0011】
すなわち、本発明においては、被拭面を回転移動させるワイパー機構は、進行方向の前方へ装着されるため、例えば自動車に装着する場合、被拭面を回転移動させるワイパー機構は、自動車のフロント窓部分に配置できるので構造設計の制約を減少させて装着しやすくすることができる。
【0012】
また、本発明は、外ガラスと内ガラスの隙間を通る、比較的軽量な輪状の連続した面を持つ曲がる超薄板ガラスを回転移動させるため、被拭体を移動運動させるのに伴う動力エネルギーを減少させることができる。
【0013】
さらに、本発明においては、ワイパーブレードは、ワイパー機構側ピラー内へ配置されるため、例えば自動車の外観からはワイパーブレードは視認できないため、洗練された新たなデザイン価値が創造される。
【0014】
そしてさらに、本発明は、外ガラスと内ガラスを設けてあるために、例えば自動車に装着する場合、走行中の風圧で輪状の連続した面を持つ曲がる超薄板ガラスが押されて変形することが無い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】 本発明の一実施形態に係る被拭面回転移動式ワイパー機構の正面図
【
図3】 ワイパー機構側ピラー部の詳細構造を示す平面図
【
図4】 モーター等の動力装置側ピラー部の詳細構造を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の一実施形態に係る被拭面回転移動式ワイパー機構を、添付図面を用いて説明する。
【0017】
図1において、1は、主に車両の被拭面回転移動式ワイパー機構であり、ワイパー機構側ピラー2内および、モーター等の動力装置側ピラー3内で、回転移動する曲がる超薄板ガラス4を支えた構造となっている。
また、ワイパー機構側ピラー2内の下方には、排出受け容器12が配置されており、もう一方のモーター等の動力装置側ピラー3内の下方には、モーター等の動力装置7が配置されている。
【0018】
本実施形態において特徴的なのは、
図2~
図4に示すように、外ガラス5と内ガラス6の隙間を通る輪状の連続した面を持つ曲がる超薄板ガラス4を、モーター等の動力装置側ピラー3内に配置されたモーター等の動力装置7が動力となり、回転移動させ、ワイパー機構側ピラー2内へ配置されたワイパーブレード10により、被拭面の水滴等を拭い取るワイパー機構の構造としたことである。
本実施形態では、例えば自動車のフロントガラスなどの被拭面の水滴等を拭い取るように装着した状態であり、
図2の上側を進行方向の前方として、また、
図2の下側を車室内として説明を続ける。
【0019】
進行方向の一番前方に曲がる超薄板ガラス4が配置され、その内側には、超薄板ガラス4が走行中の風圧で、押されて変形するのを防ぐための外ガラス5が配置されており、またその内側を、被拭面の水滴等を拭い取られた曲がる超薄板ガラス4が、再び配置される。
この曲がる超薄板ガラス4は、被拭面の水滴等を拭い取られたとはいえ、まだ湿気等が存在するために、この曲がる超薄板ガラス4が、直接車室内を通過しないようにするための内ガラス6が一番車室内側へ配置されている。
【0020】
そして、外ガラス5と内ガラス6の隙間を通る輪状の連続した面を持つ曲がる超薄板ガラス4を回転移動させるための、モーター等の動力装置7と、それに連動して回るモーター等の動力装置側回転軸8が、モーター等の動力装置側ピラー3内に配置され、また、ワイパー機構側回転軸9が、ワイパー機構側ピラー2内に配置されている。
【0021】
ワイパー機構側ピラー2内には、曲がる超薄板ガラス4の被拭面に付着している水滴等を拭い取るワイパーブレード10と、それを押し当てた時の受け部としての当て物11が配置されている。
そのワイパーブレード10と当て物11の間を、被拭体である曲がる超薄板ガラス4が通過する。
その時、曲がる超薄板ガラス4の被拭面に付着している水滴等をワイパーブレード10と当て物11の間で拭い取る。
【0022】
その拭い取られた水滴等は、ワイパーブレード10と当て物11の下方に流れて行き、ワイパー機構側ピラー2内の下方に配置されている排出受け容器12に流れ込み排出される。
【0023】
以上の動作を行う本実施形態の被拭面回転移動式ワイパー機構1では、被拭面を回転移動させるワイパー機構は、進行方向の前方へ装着されるため、例えば自動車に装着する場合、被拭面を回転移動させるワイパー機構は、自動車のフロント窓部分に配置できるので、構造設計の制約を減少させて装着しやすくなった。
また、外ガラスと内ガラスの隙間を通る、比較的軽量な輪状の連続した面を持つ曲がる超薄板ガラスを回転移動させるため、被拭体を移動運動させるのに伴う動力エネルギーを減少させることができる。
【0024】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明の被拭面回転移動式ワイパー機構は、例えば各種車両の各種ワイパーとして活用される。
【符号の説明】
【0025】
1 被拭面回転移動式ワイパー機構
2 ワイパー機構側ピラー
3 モーター等の動力装置側ピラー
4 曲がる超薄板ガラス
5 外ガラス
6 内ガラス
7 モーター等の動力装置
8 モーター等の動力装置側回転軸
9 ワイパー機構側回転軸
10 ワイパーブレード
11 当て物
12 排出受け容器