(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】ガスセンサ装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/12 20060101AFI20240301BHJP
G01N 27/04 20060101ALI20240301BHJP
G01N 27/18 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
G01N27/12 B
G01N27/04 E
G01N27/18
(21)【出願番号】P 2020114785
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】糸井 清一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慎也
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0143874(US,A1)
【文献】特開2016-070931(JP,A)
【文献】国際公開第2012/017623(WO,A1)
【文献】特表2002-535651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティ構造を有する基板と、
前記基板のキャビティ構造の凹部に配置されたガスセンサと、
前記凹部を覆うように前記基板に接合され、液体を通さないが気体を通す薄膜と、を含
み、
前記薄膜は、前記凹部を覆う部分が弛むように、前記基板に接合されている、ガスセンサ装置。
【請求項2】
前記薄膜は、前記凹部を覆う部分が凹形状、凸形状、凹凸形状のいずれかの形状になるように、前記基板に接合されている、請求項
1に記載のガスセンサ装置。
【請求項3】
前記薄膜は、前記凹部を覆う部分が1つの凹形状、1つの凸形状、1つの凹凸形状のいずれかの形状になるように、前記基板に接合されている、請求項
2に記載のガスセンサ装置。
【請求項4】
前記薄膜は、前記基板の前記凹部を区画する外周壁部の主面における中央部のみに接合されている、請求項1から
3のいずれか一項に記載のガスセンサ装置。
【請求項5】
キャビティ構造を有する基板と、
前記基板のキャビティ構造の凹部に配置されたガスセンサと、
前記凹部を覆うように前記基板に接合され、液体を通さないが気体を通す薄膜と、を含み、
前記基板の前記凹部を区画する外周壁部の主面の内周部および外周部のうち少なくとも一方は、前記基板の厚さ方向の断面形状がR形状に形成されており、
前記薄膜は、前記基板の前記主面におけるR形状部分以外の平坦部のみに接合されている
、ガスセンサ装置。
【請求項6】
キャビティ構造を有する基板と、
前記基板のキャビティ構造の凹部に配置されたガスセンサと、
前記凹部を覆うように前記基板に接合され、液体を通さないが気体を通す薄膜と、を含み、
前記薄膜は、金属薄膜である
、ガスセンサ装置。
【請求項7】
前記金属薄膜の材料は、Pd、Pd合金、Pd-Cu合金、TiNのいずれかである、請求項
6に記載のガスセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、気体中に含まれる特定の原子を含む気体分子を検出するためのガスセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスセンサとは、ガスに反応してその存在を検知したり、ガス濃度を電気信号などに変換して出力する素子を表す。ガスセンサの用途としては、一般的には、家庭にあるようなガス漏れ警報器、インフラ設備や工場などにおけるパイプラインのガス漏れ検知、燃料電池自動車の制御などが知られている。以下、現在使用されているガスセンサの中で代表的な水素ガスセンサについて述べる。
【0003】
水素エネルギーは、エネルギー効率が高く、CO2排出量を大幅に低減でき、原料である水はどこでも入手することができることから、最も重要なエネルギー源と位置付けられている。しかしその反面、水素エネルギーは、危険性が高いエネルギー源でもある。水素ガスは、最小着火エネルギーが小さく、燃焼濃度範囲も広いことから、引火しやすく、さらに最大燃焼速度が非常に速く爆風圧が大きいため危険であるということも広く知られている。これらのことから、水素ガスセンサに対して、高信頼性、高耐久性が重要視される。現在実用化されているセンサ素子の方式としては、半導体式、接触燃焼式、光学式など様々な原理のものあるが、応答速度が速く、高感度、低消費電力で耐環境性の高いセンサの開発が、現在も進められている。
【0004】
ここで、
図6を用いて、特許文献1のガスセンサ装置の概略について説明する。
図6は、特許文献1に記載のガスセンサ装置の説明図であり、(a)、(b)および(c)はそれぞれガスセンサ装置の要部断面図、底面図および防水透湿性素材をかしめるための部品の斜視図である。
図6の(a)および(b)に示すように、特許文献1のガスセンサ装置は、センサチップ101を備える。センサチップ101は、ステム102上に、断熱材103を介して配置されている。センサチップ101は、断熱材103の上面に貼り付けられている。ステム102には、ステム102を貫通して、ステム102の表面と裏面との両面に突出する複数のリード端子104が備わっている。リード端子104は、リード端子104の外周に設けられたガラス材102aによってステム102に固定されている。センサチップ101の主面上に形成された複数の図示しない電極パッドと、ステム102に繋がる複数のリード端子104とが、それぞれワイヤ105によって接続されている。
【0005】
さらに、センサチップ101、断熱材103および複数のワイヤ105は、円筒形状の金属キャップ106により覆われている。金属キャップ106の側部の最下部(つばの部分106a)は、ステム102の周囲と溶接によって接合されている。センサチップ101は外気中の水素ガスを検出することから、金属キャップ106には、金属キャップ106の内側に外気を導入するための穴108が形成されている。穴108は、金属キャップ106の上部のほぼ中央部に形成されている。さらに、金属キャップ106の内側には、金属キャップ106の上部に接して防水透湿性素材109が設置されている。
図6の(c)に示す円柱形状の断熱材110によって、防水透湿性素材109は、かしめられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1のガスセンサ装置は、ガスを検出するセンサチップ101へ外気を導入するための穴108を金属キャップ106に形成しておき、金属キャップ106に水が浸入しないように防水性のある防水透湿性素材109が設置されており、防水透湿性素材109が断熱材110によってかしめられている構造である。そのため、高湿度環境でガスセンサ装置を動作させる場合には、液体状態の水は通さないが蒸気である気体の水分が、防水透湿性素材109を透過しセンサチップ101の表面に存在することになる。これにより、ガス検出能力が低下するため、高感度のガスセンサ装置を実現することは困難となる。
【0008】
本開示は、高い検出感度および高速反応性を有し、厳しい環境下での動作保証ができるガスセンサ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のガスセンサ装置は、キャビティ構造を有する基板と、前記基板のキャビティ構造の凹部に配置されたガスセンサと、前記凹部を覆うように前記基板に接合され、液体を通さないが気体を通す薄膜と、を含み、前記薄膜は、前記凹部を覆う部分が弛むように、前記基板に接合されている。また、本開示のガスセンサ装置は、キャビティ構造を有する基板と、前記基板のキャビティ構造の凹部に配置されたガスセンサと、前記凹部を覆うように前記基板に接合され、液体を通さないが気体を通す薄膜と、を含み、前記基板の前記凹部を区画する外周壁部の主面の内周部および外周部のうち少なくとも一方は、前記基板の厚さ方向の断面形状がR形状に形成されており、前記薄膜は、前記基板の前記主面におけるR形状部分以外の平坦部のみに接合されている。また、本開示のガスセンサ装置は、キャビティ構造を有する基板と、前記基板のキャビティ構造の凹部に配置されたガスセンサと、前記凹部を覆うように前記基板に接合され、液体を通さないが気体を通す薄膜と、を含み、前記薄膜は、金属薄膜である。
【発明の効果】
【0010】
本開示のガスセンサ装置によれば、高い検出感度および高速反応性を有し、厳しい環境下での動作保証ができるガスセンサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の第1の実施の形態におけるガスセンサ装置の全体断面図
【
図2】本開示の第1の実施の形態におけるガスセンサ装置の概略斜視図
【
図3】本開示の第2の実施の形態におけるガスセンサ装置の全体断面図
【
図4】本開示の第2の実施の形態におけるガスセンサ装置の平面図
【
図5】本開示の第3の実施の形態におけるガスセンサ装置の全体断面図
【
図6】特許文献1に記載のガスセンサ装置の説明図であり、(a)、(b)および(c)はそれぞれガスセンサ装置の要部断面図、底面図および防水透湿性素材をかしめるための部品の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、これらの図においては、それぞれの厚みや長さなどは図面の作成上から実施の形状と異なる。また、センサ素子上の金属パッド、ワイヤの個数および基板底部の端子や配線の個数についても、図示しやすい個数としている。さらに、各構成部材の材質も下記説明の材質に限定するものではない。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本開示の第1の実施の形態におけるガスセンサ装置の全体断面図、
図2は、その概略斜視図である。
図1、
図2を参照しながら本開示のガスセンサ装置の構成について説明していく。
【0014】
図1、
図2に示すように、ガスセンサ装置は、基板1を備える。基板1は、外周壁部と、外周壁部に囲まれた凹部とで構成されたキャビティ構造を有する。基板1の凹部の底面には、センサ素子2がペースト3によって固定されている。固定されたセンサ素子2の表面には、金属パッド4が設けられている。金属パッド4は、基板1の凹部の底面に設けられている内部端子6と、ワイヤ5を介して電気的に接続されている。内部端子6は、基板1の凹部の底部内部に形成されている内部配線7を経由して、基板1の裏面に設けられている外部端子8と電気的に接続されている。
【0015】
上述した各部材について以降に詳細を説明する。
【0016】
基板1は、セラミックを主とした材料で構成されている。基板1は、複数の層を備え、層間に金属配線が形成されることにより、基板1に実装される素子から基板外部へ電気的に接続することが可能に構成されている。基板1には、エポキシ系などの樹脂が使用されることもあり、製品の特性や耐環境性に合わせて、基板1の材料や構造が選定されることになる。
【0017】
センサ素子2は、ガスを検知するガスセンサの一例である。センサ素子2の種類には、半導体素子やマイクロヒーター素子などがある。ガスの検知方法には、酸素欠陥があるフィラメントを形成し、ガスが吸着することによって変化する半導体素子の抵抗値を検知する方法や、高熱伝導率のガスが介在することでマイクロヒーター素子の温度が低下することを利用して、温度低下に伴うマイクロヒーター素子の抵抗値変化を検知する方法などがある。検出原理の違いにより、デバイスの消費電力や測定限界濃度値、検出速度などの特性に差異が発生するため、用途に合わせた素子の選定が必要になる。
【0018】
ペースト3は、センサ素子2を基板1に固定するための機能を果たしており、一般的にはエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂が使用される。さらに導通が必要な場合にはAgフィラー、絶縁が必要な場合にはアルミナフィラーを含有するものを用いることができる。
【0019】
金属パッド4は、センサ素子2と、基板1に形成されている内部端子6とを電気的に接続するために必要である。金属パッド4の材料としては、主にAu、Al、Cuなどが使用される。金属パッド4と内部端子6を金属のワイヤ5で繋ぐことによって、金属パッド4と内部端子6との電気的な接続が取れるようになる。
【0020】
ワイヤ5は、前述したように、センサ素子2と基板1とを電気的に接続するために必要な金属からなるワイヤである。ワイヤ5の材料として、主にAu、Al、Cuなどが使用される。ワイヤ5の太さは、10μm~30μm程度である。ワイヤリングの方法としては、一般的にワイヤボンディングと呼ばれる工法が用いられる。ワイヤボンディング工法では、例えば、センサ素子2に形成された金属パッド4に対してワイヤ5の端部を接触させ、熱、超音波、荷重を加えることによって1stボンド側を接合させる。次に、2ndボンド側となる基板1に形成された内部端子6にワイヤ5の端部を接触させ、熱、超音波、荷重を加えて、2ndボンド側を接合させる。これによりセンサ素子2と基板1の間で安定した電気的接続が可能となる。
【0021】
内部端子6は、前述したように、ワイヤボンディング工法における2ndボンド側の端子である。内部端子6の材料としては、主にAu、Al、Cu、Ni、Pdなどが使用される。内部端子6は、内部配線7を介して外部端子8へ電気的に接続されている。
【0022】
内部配線7は、基板1の内部端子6と外部端子8とを電気的に繋ぐための金属配線であって、基板1の内部に配置されている。内部配線7の材料としては、主にWやMoなどの金属が使用される。特に、基板1がセラミックなどで構成される場合は、基板1の製造工程において1500℃~1600℃の高温で焼成されるため、内部配線7の材質選定は、高温に耐えられるように行われることが必須となる。
【0023】
外部端子8は、センサ素子2の電気を基板1そして外部基板へ伝達するために必要な金属端子である。外部端子8の材料としては、前述した内部端子6と同様の材料が選定される。外部基板の端子に半田を載せ、その上に外部基板端子と相当する基板1の外部端子8を位置合わせしてマウントし、リフロー炉などにより加熱することで二次実装される。外部基板にはガスセンサ以外の電子部品が同様の手法で二次実装されており、これらによりガスセンサの機能を果たすガスセンサモジュールが完成する。
【0024】
次に基板1の表面側の構成について説明する。
【0025】
基板1の表面には、接合部10を介して薄膜9が接合されている。薄膜9の厚さは、例えば10μm~50μm程度である。薄膜9は機能性膜であり、薄膜9には使用目的によってさまざまな種類の膜が使用される。薄膜9は、ガスを透過しつつ、水(液相のH2O)やガスに含まれる水分(液体)を透過しない機能を有する。このような機能を有するために、薄膜9は、撥水性フィルタの薄膜で構成されることが好ましい。撥水性フィルタの薄膜の材料としては、例えばテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリエチレンなどが使用される。さらに、ガスセンサ装置を高湿度環境下でも動作可能にするために防水、防湿機能をさらに高めつつ、ガス選択性を上げるため、例えば水素ガスセンサ装置であれば、薄膜9は、PdまたはPd合金、Pd-Cu合金、TiNなどを材料とする金属薄膜で構成されることが好ましいが、薄膜9の材料としては、上述したものに限られない。
【0026】
基板1と薄膜9の接合方式としては、超音波、熱、荷重による超音波接合、熱と加圧による熱圧着、Ag粒子などを用いて焼き固める焼結、光や熱で硬化する樹脂を用いる接着など様々な方法がある。ただし、いずれの方法においても接合時の超音波、加熱、荷重などによる振動や応力および接合以降の後工程における熱応力などによって、薄膜9が破れるなどの不良が発生するおそれがある。超音波接合であれば接合時の超音波振動や荷重によるひずみ、接着であれば接着剤硬化時の接着剤収縮による応力などが、上述の不良発生原因の代表である。そのため、基板1に薄膜9を接合する際に、薄膜9を張らずに中央部に膨らみ(弛み)を持たせることで、薄膜9に発生する応力を吸収する構造としている。
【0027】
薄膜9の代表的な形状を
図1および
図2に示しているが、薄膜9の形状は、
図1、
図2に示す形状に限ったものではなく、膨らみ部分が中央部だけではなく中央部を含むまたは含まない複数の箇所にある形状や、うねりのように膨らみとへこみを有する形状(凹、凸、凹凸形状)でも、薄膜9に発生する応力を吸収する効果がある。薄膜9は、1つまたは複数の凹、凸、凹凸形状のいずれかを有する。
【0028】
〔第2の実施の形態〕
以下、本開示の第2の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図3は、本開示の第2の実施の形態におけるガスセンサ装置の全体断面図、
図4は、本開示の第2の実施の形態におけるガスセンサ装置の平面図である。第1の実施の形態と同様の構成については、第1の実施の形態と同一名称および同一符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0029】
第2の実施の形態のガスセンサ装置の基本構造は、第1の実施の形態のガスセンサ装置と同様である。キャビティ構造を有する基板1の凹部の底部には、センサ素子2がペースト3によって固定されている。固定されたセンサ素子2の表面には、金属パッド4が設けられている。金属パッド4は、基板1の凹部の底面に設けられている内部端子6と、ワイヤ5を介して電気的に接続されている。内部端子6は、基板1の凹部の底部内部に形成されている内部配線7を経由して、基板1の裏面に設けられている外部端子8と電気的に接続されている。
【0030】
基板1の表面に薄膜9が接合されている構造は、第1の実施の形態のガスセンサ装置と同じである。しかし、
図3および
図4に示すように、接合部10は、基板1の表層である額縁エリア(
図3における外周壁部の上面)の中央部分(端部を除く部分)のみにおいて、基板1と薄膜9を接合しており、額縁エリアの外周エッジ部および内周エッジ部では、基板1と薄膜9を接合しない構造となっている。
【0031】
基板1と薄膜9の接合時および後工程で発生する応力は、特に額縁エリアの外周エッジ部および内周エッジ部に集中する傾向があり、その応力集中を回避するために額縁エリアの外周エッジ部および内周エッジ部を回避した形に接合部10を形成する。また、薄膜9の破れなどの不良をさらに抑制するために、第1の実施の形態のガスセンサ装置のように、薄膜9の中央部に膨らみをもたせた状態で、基板1と薄膜9を接合する方法を組み合わせることも、より効果的である。
【0032】
〔第3の実施の形態〕
以下、本開示の第3の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図5は、本開示の第3の実施の形態におけるガスセンサ装置の全体断面図である。第1の実施の形態と同様の構成については、第1の実施の形態と同一名称および同一符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0033】
第3の実施の形態のガスセンサ装置の基本構造は、第1の実施の形態のガスセンサ装置と同様である。キャビティ構造を有する基板1の凹部の底部には、センサ素子2がペースト3によって固定されている。固定されたセンサ素子2の表面には、金属パッド4が設けられている。金属パッド4は、基板1の凹部の底面に設けられている内部端子6と、ワイヤ5を介して電気的に接続されている。内部端子6は、基板1の凹部の底部内部に形成されている内部配線7を経由して、基板1の裏面に設けられている外部端子8と電気的に接続されている。
【0034】
図5に示すように、基板1の表層である額縁エリアの外周エッジ部および内周エッジ部には、R形状が設けられている。額縁エリアのうちR形状以外の平坦部分には、接合部10が設けられており、接合部10を介して薄膜9が接合されている。
【0035】
第2の実施の形態で説明したように、基板1と薄膜9の接合時および後工程で発生する応力は、特に額縁エリアの外周エッジ部および内周エッジ部に集中する傾向がある。その応力集中による薄膜9の剥がれや破れを防止するために、基板1の表層エッジ部分(外周エッジ部および内周エッジ部)をR形状に形成している。つまり、基板1の表層エッジ部分は、基板1の厚さ方向の断面形状がR形状に形成されている。なお、外周エッジ部または内周エッジ部のみをR形状に形成してもよい。また、薄膜9の破れなどの不良をさらに抑制するために、第1の実施の形態のガスセンサ装置のように、薄膜9の中央部に膨らみをもたせた状態で、基板1と薄膜9を接合する方法を組み合わせることも、より効果的である。
【0036】
また、R形状は、内周エッジ部、または、外周エッジ部のいずれか一方のみに設けられていてもよい。また、R形状は、基板1の額縁エリア幅に対して三分の一以下の幅であって、例えば、狭くても0.1mm程度の幅であってもよいが、これらの幅に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本開示のガスセンサ装置は、これまで困難であった燃料電池内部でのセンシングによるガス制御や埋没導管の地中での漏れ検知など、厳しい環境下で高い特性が必要とされる用途において有用である。
【符号の説明】
【0038】
1 基板
2 センサ素子
3 ペースト
4 金属パッド
5 ワイヤ
6 内部端子
7 内部配線
8 外部端子
9 薄膜
10 接合部
101 センサチップ
102 ステム
102a ガラス材
103 断熱材
104 リード端子
105 ワイヤ
106 金属キャップ
106a つばの部分
108 穴
109 防水透湿性素材
110 断熱材