(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】気流制御システム
(51)【国際特許分類】
F04D 29/54 20060101AFI20240301BHJP
F24F 7/013 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
F04D29/54 D
F04D29/54 E
F24F7/013
(21)【出願番号】P 2023518475
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2022011613
(87)【国際公開番号】W WO2022244419
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2021084846
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇人
(72)【発明者】
【氏名】薮ノ内 伸晃
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-015490(JP,A)
【文献】特開2013-047462(JP,A)
【文献】特開2012-002392(JP,A)
【文献】特開2016-70110(JP,A)
【文献】特開2022-115491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/54
F24F 7/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端に気体の流入口を有し、第2端に気体の流出口を有する円筒状の筒体と、
前記筒体の内側に配置されているファンと、
前記ファンの軸方向において前記ファンと前記流出口との間に位置しており、旋回している気流を転向させる第1整流装置と、
前記ファンの前記軸方向において前記第1整流装置と前記流出口との間に位置しており、気流の向きを前記ファンの前記軸方向に沿った向きに揃える第2整流装置と、を備え、
前記第1整流装置は、
円筒状の筒部と、
前記筒部の内周面から前記筒部の中心軸に向かって突出しており、前記筒部の内周に沿った方向に並んでいる複数のフィンと、を有し、
前記複数のフィンの各々は、弧状であり、
前記第2整流装置は、前記ファンの前記軸方向に沿った複数の流路を有する、
気流制御システム。
【請求項2】
前記複数の流路は、前記ファンの前記軸方向に沿った直線状に形成されている、
請求項1に記載の気流制御システム。
【請求項3】
前記第2整流装置は、多孔質材料を除く材料で形成されている、
請求項1又は2に記載の気流制御システム。
【請求項4】
前記第2整流装置は、樹脂又は金属で形成されている、
請求項3に記載の気流制御システム。
【請求項5】
前記第2整流装置は、整流格子である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の気流制御システム。
【請求項6】
前記整流格子は、前記複数の流路のうち任意の隣り合う2つの流路を仕切る仕切板部を複数有し、
前記複数の仕切板部の各々は、前記ファンの前記軸方向に沿って配置されている、
請求項5に記載の気流制御システム。
【請求項7】
前記ファンは、
回転中心軸を中心として回転可能な回転体と、
前記回転体につながっており、前記回転体と一緒に回転する複数の羽根と、を有し、
前記複数のフィンの各々は、
前記筒体の内周に沿った方向に交差する第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を有し、
前記複数のフィンの各々では、
前記第1面は、前記回転体の回転方向に沿った方向において、後方に位置する凹曲面であり、
前記第2面は、前記回転体の前記回転方向に沿った方向において、前方に位置する凸曲面であり、
前記複数のフィンの各々の前記第1面は、
前記前記ファンの前記軸方向から見て、前記筒部の内周面側とは反対側の端点とフィン上の任意の点とを結んだ線分に直交する直線のうち前記任意の点から前記第2面側とは反対側に延びている半直線と、前記任意の点における接線のうち前記任意の点から前記端点側へ延びている半直線とのなす角度が90度よりも大きい、
請求項1~6のいずれか一項に記載の気流制御システム。
【請求項8】
前記ファンの前記軸方向において前記第1整流装置と前記第2整流装置との間に位置している第3整流装置を更に備え、
前記第3整流装置は、
前記筒体の内側で前記筒体と同軸的に配置されている内筒体を有し、
前記内筒体は、前記ファンの前記軸方向において前記流出口に近づくにつれて内径及び外径が小さくなっている、
請求項1~7のいずれか一項に記載の気流制御システム。
【請求項9】
空気中に拡散させる機能成分を前記流出口から吹き出す気流に供給可能な供給システムを更に備える、
請求項1~8のいずれか一項に記載の気流制御システム。
【請求項10】
前記供給システムは、
前記機能成分を含むミスト又はイオンを生成する生成装置と、
前記筒体の前記第2端において前記第2整流装置と前記流出口との間の空間につながっている機能成分搬送流路と、を有する、
請求項9に記載の気流制御システム。
【請求項11】
前記複数のフィンの各々は、
前記流入口側の第1端及び前記流出口側の第2端を有し、
前記複数のフィンの各々では、
前記ファンの前記軸方向から見て前記第1端と前記第2端とが重なっている、
請求項1~10のいずれか一項に記載の気流制御システム。
【請求項12】
前記第1整流装置は、前記筒部の中心軸が前記筒体の中心軸と揃うように配置されている、
請求項1~11のいずれか一項に記載の気流制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、気流制御システムに関し、より詳細には、ファンを備える気流制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、気体や液体等の被搬送流体を噴出部から空間内へ噴き出し、噴出部から離れた目的箇所まで拡散を抑えつつ局所的に搬送する流体搬送装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された流体搬送装置は、被搬送流体を層流噴流となる条件で噴出する第1の噴出口と、第1の噴出口の外周部を囲み第2流体を環状噴流として噴出する第2噴出口と、を有する。第1の噴出口から噴出する被搬送流体の速度をUm、第2噴出口から噴出する第2流体の速度をUaとしたとき、Ua/Um≦1であることが好ましく、Ua/Um=0.75が最適な速度比であることが記載されている。
【0004】
気流制御システムでは、気流制御システムの小型化のために、1つのファンで気流を形成する場合、外側のほうが内側よりも流速が速くなるので、気流の拡散を抑制することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、気流の拡散を抑制することが可能な気流制御システムを提供することにある。
【0007】
本開示の一態様に係る気流制御システムは、筒体と、ファンと、第1整流装置と、第2整流装置と、を備える。前記筒体は、円筒状である。前記筒体は、第1端に気体の流入口を有し、第2端に気体の流出口を有する。前記ファンは、前記筒体の内側に配置されている。前記第1整流装置は、前記ファンの軸方向において前記ファンと前記流出口との間に位置しており、旋回している気流を転向させる。前記第2整流装置は、前記ファンの前記軸方向において前記第1整流装置と前記流出口との間に位置しており、気流の向きを前記ファンの前記軸方向に沿った向きに揃える。前記第1整流装置は、円筒状の筒部と、複数のフィンと、を有する。前記複数のフィンの各々は、弧状である。前記複数のフィンは、前記筒部の内周面から前記筒部の中心軸に向かって突出しており、前記筒部の内周に沿った方向に並んでいる。前記第2整流装置は、前記ファンの前記軸方向に沿った複数の流路を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る気流制御システムの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の気流制御システムの断面図である。
【
図3】
図3Aは、同上の気流制御システムにおけるファンの平面図である。
図3Bは、同上の気流制御システムにおける第1整流装置の平面図である。
図3Cは、同上の気流制御システムにおける第2整流装置の平面図である。
【
図4】
図4は、同上の気流制御システムの斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の気流制御システムにおける第1整流装置の機能の説明図である。
【
図6】
図6Aは、同上の気流制御システムの流速分布図である。
図6Bは、比較例に係る気流制御システムの流速分布図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る気流制御システムの分解斜視図である。
【
図8】
図8は、同上の気流制御システムの断面図である。
【
図9】
図9は、同上の気流制御システムの流速分布図である。
【
図10】
図10は、実施形態3に係る気流制御システムの断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態4に係る気流制御システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
下記の実施形態1~4等において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
(実施形態1)
以下では、実施形態1に係る気流制御システム1について
図1~5に基づいて説明する。
【0011】
(1)概要
気流制御システム1は、例えば、施設において空間ゾーニングに利用される。空間ゾーニングは、空気のゾーニングであり、壁又はパーテーション等の物理的な壁を作らずに対象空間内の特定のエリアの空気環境を作ることを意味する。
【0012】
気流制御システム1から対象空間に吹き出す気流は、噴流であり、直進性を有する指向性気流である。気流は、空気の流れである。施設は、例えば、オフィスビルである。対象空間は、例えば、オフィスビル内のフリーアドレスオフィスである。対象空間は、フリーアドレスオフィスに限らず、例えば、会議室の空間等であってもよい。
【0013】
施設の例としては、オフィスビルの他に、例えば、ホテル、病院、教育施設、戸建て住宅、集合住宅(住戸、共用部)、店舗、商業施設、美術館、博物館が挙げられる。また、施設は、建物だけではなく、建物とその建物が存在する敷地とを含んでいてもよく、例えば、工場、公園、遊戯施設、テーマパーク、空港、鉄道駅、ドーム球場が挙げられる。
【0014】
(2)詳細
気流制御システム1は、
図1及び2に示すように、筒体2と、ファン3と、第1整流装置4と、第2整流装置5と、を備える。筒体2は、円筒状である。筒体2は、第1端21に気体の流入口23を有し、第2端22に気体の流出口24(
図2参照)を有する。ファン3は、筒体2の内側に配置されている。第1整流装置4は、ファン3の軸方向D3(
図2参照)においてファン3と流出口24との間に位置しており、旋回している気流F1(
図3A参照)を転向させる。第2整流装置5は、軸方向D3において第1整流装置4と流出口24との間に位置しており、気流の向きを軸方向D3に沿った向きに揃える。第1整流装置4は、円筒状の筒部41と、複数のフィン(静翼)42と、を有する。軸方向D3から見て、
図3Bに示すように、複数のフィン42の各々は、弧状である。複数のフィン42は、筒部41の内周面413から筒部41の中心軸40に向かって突出しており、筒部41の内周に沿った方向に並んでいる。第2整流装置5は、
図2に示すように、軸方向D3に沿った複数の流路55を有する。
【0015】
気流制御システム1は、例えば、
図4に示すように、天井に設けられた配線ダクト13に取り付けられる。気流制御システム1は、取付装置14と、アーム15と、連結装置16と、を備える。取付装置14は、配線ダクト13にスライド可能に取り付けられる。アーム15は、第1端151及び第2端152を有する。アーム15では、アーム15の第1端151が取付装置14に連結されている。連結装置16は、アーム15の第2端152と筒体2とを連結している。気流制御システム1は、取付装置14が配線ダクト13に取り付けられることで、配線ダクト13に接続されている交流電源と電気的に接続される。気流制御システム1は、電源回路と、駆動回路と、制御装置と、を更に備える。電源回路は、交流電源からの交流電圧を所定の直流電圧に変換して出力する。駆動回路は、電源回路から出力される直流電圧を入力としてファン3のモータ36(
図2参照)を駆動する。電源回路と駆動回路と制御装置とは、取付装置14の筐体内に収容されている。アーム15及び連結装置16は、駆動回路に接続されている電線を通す空間を有する。
【0016】
制御装置は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、制御装置としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0017】
図1及び2に示すように、筒体2は、円筒状である。筒体2は、第1端21及び第2端22を有し、第1端21に気体の流入口23を有し、第2端22に気体の流出口24を有する。筒体2の材料は、例えば、金属又は樹脂であるが、これに限らない。筒体2は、
図2に示すように、内周面(内側面)27及び内周面27とは反対側の外周面(外側面)28を有する。
【0018】
ファン3は、筒体2の流入口23から流入した空気を筒体2の流出口24側へ送風する。ファン3は、ファン3の有する回転体31の回転中心軸30(
図2参照)を中心として回転可能な電動式の軸流ファンである。ファン3の風量は、例えば、50m
3/h~300m
3/hである。ファン3は、ファンハウジング33に流入した空気を、回転体31のまわりで螺旋状に回転させながら移動させ、下流側に流すことができる。「下流側」は、空気の流れる方向でみたときの下流側を意味する。
【0019】
ファン3は、
図2に示すように、筒体2の内側に配置されている。ファン3は、筒体2の軸方向において、筒体2の第1端21と第2端22とのうち第1端21の近くに配置されている。筒体2の軸方向において、ファン3と流入口23との間の距離は、ファン3と流出口24との間の距離よりも短い。
【0020】
ファン3は、
図1及び2に示すように、回転体(ハブ)31と、複数(例えば、4つ)の羽根(回転翼)32と、ファンハウジング33と、モータ36と、モータ取付部と、複数(例えば、3つ)の梁部と、を有する。ファン3の材料は、例えば、樹脂又は金属である。
【0021】
回転体31は、回転中心軸30を中心として回転可能である。ファン3の軸方向D3から見て、回転体31の外縁は円形状である。回転体31は、筒体2の内側で筒体2と同軸的に配置されている。「回転体31は、筒体2の内側で筒体2と同軸的に配置されている」とは、
図2に示すように、回転体31が、回転体31の回転中心軸30を筒体2の中心軸20に揃えるように配置されていることを意味する。ファン3の軸方向D3において、回転体31の長さは、筒体2の長さよりも短い。ファン3の軸方向D3は、回転中心軸30に沿った方向である。回転体31は、円筒部311と底壁312とを有する有底円筒状であり、底壁312が流入口23側となるように配置されている。回転体31は、底壁312の中央部から流入口23側とは反対側に突出したボス部313を有している。ボス部313は、円環状である。
【0022】
複数の羽根32は、回転体31とファンハウジング33との間に配置されており、回転体31と一緒に回転する。複数の羽根32は、回転体31につながっており、回転体31の外周面(側面)316からファンハウジング33の内周面333に向かって突出している。したがって、複数の羽根32は、回転体31の外周面316から筒体2の内周面27に向かって突出している。ファン3の軸方向D3から見て、複数の羽根32は、
図3Aに示すように、回転体31から放射状に突出している。複数の羽根32の各々は、ファン3の軸方向D3から見て各羽根32とファンハウジング33の内周面333との間に隙間が形成されるように配置されている。言い換えれば、ファン3では、複数の羽根32の各々とファンハウジング33の内周面333との間に隙間がある。複数の羽根32は、ファン3の軸方向D3から見て、等間隔で離れて配置されている。ここでいう「等間隔」とは、厳密に同じ間隔である場合だけに限らず、例えば、規定の間隔に対して所定の誤差範囲(例えば、規定の間隔の±10%)内の間隔であってもよい。複数の羽根32の各々では、流入口23側の第1端321(
図3A参照)が、流出口24側の第2端322(
図3A参照)よりも、ファン3の回転体31の回転方向R1(
図3A参照)において前方に位置している。
【0023】
ファンハウジング33は、回転体31及び複数の羽根32を回転可能に収容する。ファンハウジング33は、円筒状である。ファンハウジング33の外径は、筒体2の内径と略同じである。ファン3では、例えば、ファンハウジング33が筒体2に固定される。
【0024】
モータ36は、回転体31を回転駆動させる。より詳細には、モータ36は、回転体31を回転体31の回転中心軸30(
図2及び3A参照)のまわりで回転させる。モータ36は、例えば、直流モータである。モータ36は、上述の駆動回路により駆動される。モータ36は、
図2に示すように、モータ本体361と、モータ本体361から一部が突出している回転軸362と、を備える。モータ36では、回転軸362が回転体31に連結されている。モータ36の回転軸362は、回転体31のボス部313に固定されている。
【0025】
モータ取付部は、モータ36のモータ本体361が取り付けられている。ファン3の軸方向D3から見て、モータ取付部は、回転体31の外縁よりも内側に位置しているが、これに限らない。例えば、ファン3の軸方向D3から見て、モータ取付部の全部が回転体31の全部と重なっていてもよい。
【0026】
複数(例えば、3つ)の梁部は、モータ取付部とファンハウジング33とをつないでいる。複数の梁部は、モータ取付部の外縁に沿った方向において等間隔で配置されている。
【0027】
第1整流装置4は、
図2に示すように、ファン3の軸方向D3においてファン3と流出口24との間に位置している。第1整流装置4は、ファン3の下流側において旋回している気流F1(
図3A参照)を、転向させる。より詳細には、第1整流装置4は、ファン3の下流側において旋回している気流F1を、第1整流装置4における後述の筒部41の中心軸40側に向かう気流F2(
図3B参照)に転向させる。また、第1整流装置4は、ファン3の軸方向D3から見て、第1整流装置4の下流側において第1領域の気流の速度が第2領域の気流の速度よりも速い流速分布を形成する。ここにおいて、気流の速度は、ファン3の軸方向D3に沿った方向の速度である。第1領域は、筒体2の中心軸20と筒体2の内周面27との間の領域において中心軸20と内周面27とのうち中心軸20に近い領域(内側領域)である。第2領域は、筒体2の中心軸20と筒体2の内周面27との間の領域において中心軸20と内周面27とのうち内周面27に近い領域(外側領域)である。
【0028】
第1整流装置4は、円筒状の筒部41と、複数(例えば、12)のフィン42と、を有する。
【0029】
筒部41の外径は、筒体2の内径と略同じである。筒部41の内径は、ファンハウジング33の内径と略同じである。
【0030】
ファン3の軸方向D3から見て、
図3に示すように、複数のフィン42の各々は、弧状である。複数のフィン42は、筒部41の内周面413から筒部41の中心軸40に向かって突出しており、筒部41の内周に沿った方向に並んでいる。複数のフィン42の各々は、
図2に示すように、ファン3の軸方向D3において、流入口23側の第1端421と、流出口24側の第2端422と、を有する。
【0031】
複数のフィン42の各々は、筒部41の内周面413と筒部41の中心軸40との間においてファン3の軸方向D3と平行に配置されている。複数のフィン42の各々では、ファン3の軸方向D3から見て第1端421と第2端422とが重なっている。
【0032】
複数のフィン42の筒部41側の端は、筒部41の内周に沿った方向において等間隔で離れて配置されている。ここでいう「等間隔」とは、厳密に同じ間隔である場合だけに限らず、例えば、規定の間隔に対して所定の誤差範囲(例えば、規定の間隔の±10%)内の間隔であってもよい。第1整流装置4は、複数のフィン42のうち隣り合う2つのフィン42と筒部41とで囲まれた流路45を複数(例えば、12)有する。ファン3の軸方向D3から見て、
図3Bに示すように、流路45は、筒部41の内周面413から筒部41の中心軸40に近づくにつれて筒部41の内周に沿った方向の幅が狭くなっている。
【0033】
ファン3の軸方向D3において、
図2に示すように、複数のフィン42の各々の長さは、筒部41の長さと同じである。複数のフィン42の各々の長さは、筒部41の長さと同じである場合に限らず、筒部41よりも長くてもよいし、短くてもよい。
【0034】
図5に示すように、複数のフィン42の各々は、筒体2の内周に沿った方向に交差する第1面43と、筒体2の内周に沿った方向に交差し第1面43とは反対側の第2面44と、を有する。第1面43は、回転体31の回転方向R1に沿った方向において、後方に位置する面であり、第2面44は、回転体31の回転方向R1に沿った方向において、前方に位置する面である。第1面43は、凹曲面である。第2面44は、凸曲面である。
【0035】
複数のフィン42の各々の第1面43は、軸方向D3から見て、
図5に示すように、筒部41の内周面413側の端点Aと、筒部41の内周面413側とは反対側の端点Oと、を有する。複数のフィン42の各々の第1面43では、ファン3の軸方向D3から見て、端点Oと端点Aとを結んだ円弧の端点Aにおける接線T1のうち端点Aから筒部41の内側へ延びている半直線と、端点Oを中心とし端点Oと端点Aとを結んだ線分OAを半径とする円弧CAの端点Aにおける接線T2のうち端点Aから第2面44側とは反対側に延びている半直線と、のなす角度θ
Aが90度(π/2 ラジアン)よりも大きい。複数のフィン42の各々の第1面43では、ファン3の軸方向D3から見て、筒部41の内周面413側とは反対側の端点Oとフィン42上の任意の点Bとを結んだ線分OBに直交する直線L3のうち任意の点Bから第2面44側とは反対側に延びている半直線と、任意の点Bにおける接線T3のうち任意の点Bから端点O側へ延びている半直線とのなす角度θ
Bが90度(π/2 ラジアン)よりも大きい。直線L3は、端点Oを中心とし端点Oと任意の点Bとを結んだ線分OBを半径とする円弧CBの任意の点Bにおける接線に相当する。
【0036】
第1整流装置4の材料は、金属であるが、これに限らず、樹脂であってもよい。
【0037】
第2整流装置5は、
図2に示すように、ファン3の軸方向D3において第1整流装置4と筒体2の流出口24との間に位置している。第2整流装置5は、第1整流装置4の下流側において第1整流装置4からの気流の流速分布を整える。第2整流装置5は、ファン3の軸方向D3に沿った複数の流路55を有する。複数の流路55の各々は、第1整流装置4側の入口551と、筒体2の流出口24側の出口552と、を有する。複数の流路55の各々において、入口551及び出口552は、同じ形状である。複数の流路55の各々において、入口551及び出口552は、同じ大きさである。第2整流装置5は、整流格子50と、整流格子50を囲んでいる円筒状の筒部51と、を含む。整流格子50は、複数の流路55のうち任意の隣り合う2つの流路55を仕切る仕切板部56を複数有する。複数の仕切板部56の各々は、ファン3の軸方向D3に沿って配置されている。整流格子50は、ハニカム格子状である。ここで、ファン3の軸方向D3から見て、複数の流路55の各々の入口551及び出口552は、正六角形状である。見方を変えれば、複数の流路55の各々は、六角柱状である。
【0038】
筒部51の外径は、筒体2の内径と略同じである。第2整流装置5は、
図2に示すように、筒部51の中心軸が筒体2の中心軸20と一致するように筒体2内に配置されている。
【0039】
第2整流装置5の材料は、樹脂であるが、これに限らず、金属であってもよい。
【0040】
(3)気流制御システムの動作
実施形態1に係る気流制御システム1では、ファン3の回転体31及び複数の羽根32が所定の回転方向R1(
図3A参照)に回転することにより、筒体2(
図2参照)の流入口23側からファン3に空気が吸い込まれ、筒体2内においてファン3の下流側に、筒体2内を筒体2の内周面27に沿って旋回する気流F1(
図3A参照)が発生する。旋回する気流F1は、3次元の螺旋状に回転する気流である。
【0041】
気流制御システム1では、ファン3の下流側に発生して筒体2の内周面27の近くを内周面27に沿って旋回する気流F1(
図3A参照)は、第1整流装置4において第1整流装置4の中心軸40(
図3B参照)に近づく方向に転向される。より詳細には、第1整流装置4では、筒体2の内周面27に沿って旋回していた気流F1(
図3A参照)がフィン42に衝突することにより、第1整流装置4の中心軸40に近づく気流F2(
図3B参照)に転向される。言い換えれば、第1整流装置4は、ファン3により発生して筒体2の内周面27に沿って旋回している気流F1を第1整流装置4の中心軸40側に集めるので、第1整流装置4の下流側において第1領域の気流の速度が第2領域の気流の速度よりも速い流速分布を形成する。要するに、気流制御システム1では、第1整流装置4によって、内側の気流の速度が相対的に速く外側の気流の速度が相対的に遅い速度分布を形成することができる。ここにおいて、気流の速度は、ファン3の軸方向D3に沿った方向の速度である。第1領域は、筒体2の中心軸20と筒体2の内周面27との間で中心軸20に近い領域(内側領域)であり、第2領域は、筒体2の中心軸20と筒体2の内周面27との間で内周面27に近い領域(外側領域)である。
【0042】
気流制御システム1では、第1整流装置4の下流側の第2整流装置5(
図2参照)により、第1整流装置4側からの気流の向きがファン3の軸方向D3に沿った方向に整流される。
【0043】
気流制御システム1では、第2整流装置5により整流された気流が筒体2の流出口24から流出する。
【0044】
気流制御システム1では、ファン3を駆動すると、ファン3の下流側に流れる気流が第1整流装置4及び第2整流装置5により整流され、筒体2の流出口24から吹き出される。
【0045】
図6Aは、実施形態1に係る気流制御システム1の筒体2の流出口24近傍での流速分布を示す。
図6Aは、実施形態1に係る気流制御システム1の一実施例として、ファン3の風量を70m
3/hとし、構造パラメータを下記の通りに設定した場合の流速分布を示す。また、
図6Bは、上記一実施例において第1整流装置4及び第2整流装置5を備えていない比較例に係る気流制御システムでの流速分布を示す。
<構造パラメータ>
・筒体2の内径:144mm
・第1整流装置4のフィン42の枚数:12枚
・ファン3の軸方向D3における各フィン42の長さ:50mm
・第2整流装置5における各流路55の入口551:対辺間の距離が8mmの正六角形
・第2整流装置5における各流路55の出口552:対辺間の距離が8mmの正六角形
・第2整流装置5における各流路55の長さ:30mm
【0046】
図6A及び6Bの各々は、筒体2の中心軸20を含む一断面での流速分布を示している。
図6A及び6Bの各々では、横軸が、筒体2の中心軸20からの距離であり、縦軸が流速である。なお、横軸に関して、中心軸20を中心として右側が「正」、左側が「負(-符号)」となっているが、「正」と「負(-符号)」は、中心軸20の位置に対して右側の任意の位置までの距離か、左側の任意の位置までの距離かを区別するために付した符号である。
【0047】
比較例に係る気流制御システムでは、
図6Bに示すように、流出口24の中心から離れるほど流速が速くなっている。これに対して、実施形態1に係る気流制御システム1では、
図6Aに示すように、流出口24の内側領域での流速が外側領域での流速よりも速くなる流速分布を実現できている。実施形態1に係る気流制御システム1では、流出口24の内側領域から噴出する第1噴流と、流出口24の外側領域から噴出する第2噴流と、を含む二重の噴流を吹き出すことが可能となる。
【0048】
(4)効果
実施形態1に係る気流制御システム1は、筒体2と、ファン3と、第1整流装置4と、第2整流装置5と、を備える。筒体2は、円筒状である。筒体2は、第1端21に気体の流入口23を有し、第2端22に気体の流出口24を有する。ファン3は、筒体2の内側に配置されている。第1整流装置4は、ファン3の軸方向D3においてファン3と流出口24との間に位置しており、旋回している気流F1を転向させる。第2整流装置5は、軸方向D3において第1整流装置4と流出口24との間に位置しており、気流の向きを軸方向(D3)に沿った向きに揃える。第1整流装置4は、円筒状の筒部41と、複数のフィン42と、を有する。複数のフィン42の各々は、弧状である。複数のフィン42は、筒部41の内周面413から筒部41の中心軸40に向かって突出しており、筒部41の内周に沿った方向に並んでいる。第2整流装置5は、軸方向D3に沿った複数の流路55を有する。
【0049】
実施形態1に係る気流制御システム1は、気流の拡散を抑制することが可能となる。より詳細には、気流制御システム1では、筒体2の流出口24から吹き出す気流(噴流)の指向性を高めることが可能となり、気流の拡散を抑制することが可能となる。よって、気流制御システム1では、対象空間内の特定のエリアに、スポット的(局所的)に気流を搬送することが可能となる。
【0050】
(実施形態2)
以下、実施形態2に係る気流制御システム1aについて、
図7及び8に基づいて説明する。実施形態2に係る気流制御システム1aは、第3整流装置6を更に備える点で実施形態1に係る気流制御システム1と相違する。実施形態2に係る気流制御システム1aに関し、実施形態1に係る気流制御システム1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
第3整流装置6は、ファン3の軸方向D3(
図8参照)において第1整流装置4と第2整流装置5との間に位置している。第3整流装置6は、内筒体61を有する。内筒体61は、第1端611及び第2端612を有する。内筒体61は、第1端611に円形状の入口613を有し、第2端612に円形状の出口614(
図8参照)を有する。出口614の直径は、入口613の直径よりも小さい。内筒体61の外径は、筒体2の内径よりも小さい。したがって、内筒体61の流路断面積は、筒体2の流路断面積よりも小さい。内筒体61は、ファン3の軸方向D3において入口613から出口614に近づくにつれて内径及び外径が小さくなっている。内筒体61は、ファン3の軸方向D3において入口613が第1整流装置4側に位置し、出口614が第2整流装置5側に位置するように筒体2の内側で筒体2と同軸的に配置されている。内筒体61の材料は、例えば、金属又は樹脂であるが、これに限らない。なお、第3整流装置6は、内筒体61を筒体2に取り付けるための複数の取付部62を有している。
【0052】
第3整流装置6は、第1整流装置4の下流側において第1領域の気流の速度をより速くし、第2領域の気流の速度をより遅くするように気流を整流するしぼりとして機能する。第1領域は、筒体2の中心軸20と筒体2の内周面27とのうち中心軸20に近い領域(内側領域)であり、第2領域は、筒体2の中心軸20と筒体2の内周面27とのうち内周面27に近い領域(外側領域)である。
【0053】
図9は、実施形態2に係る気流制御システム1aの一実施例として、ファン3の風量を70m
3/hとし、構造パラメータを下記の通りに設定した場合の、筒体2の流出口24近傍での流速分布を示す。
図9の見方は、
図6A及び6Bの見方と同じである。
<構造パラメータ>
・筒体2の内径:144mm
・第1整流装置4のフィン42の枚数:12枚
・ファン3の軸方向D3における各フィン42の長さ:50mm
・第2整流装置5における各流路55の入口551:対辺間の距離が8mmの正六角形
・第2整流装置5における各流路55の出口552:対辺間の距離が8mmの正六角形
・第2整流装置5における各流路55の長さ:30mm
・第3整流装置6における内筒体61の入口613の直径(内径):114mm
・第3整流装置6における内筒体61の出口614の直径(内径):100mm
・第3整流装置6における内筒体61の長さ:70mm
【0054】
図9と
図6Aとの比較結果から、実施形態2に係る気流制御システム1aは、実施形態1に係る気流制御システム1と比べて、流出口24の内側領域での流速を速くできる一方で外側領域での流速を遅くでき、内側領域の流速と外側領域との流速差を大きくできることが分かる。
【0055】
実施形態2に係る気流制御システム1aは、実施形態1に係る気流制御システム1と比べて、気流の拡散を、より抑制することが可能となる。より詳細には、気流制御システム1aでは、筒体2の流出口24から吹き出す気流(噴流)の指向性を、より高めることが可能となり、気流の拡散を、より抑制することが可能となる。
【0056】
(実施形態3)
以下、実施形態3に係る気流制御システム1cについて、
図10に基づいて説明する。実施形態3に係る気流制御システム1cは、供給システム7を更に備える点で実施形態2に係る気流制御システム1aと相違する。実施形態3に係る気流制御システム1cに関し、実施形態2に係る気流制御システム1aと同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
供給システム7は、空気中に拡散させる機能成分を、流出口24から吹き出す気流に供給可能なシステムである。供給システム7は、生成装置71と、機能成分搬送流路72と、を有する。生成装置71は、例えば、機能成分を含むミストを生成する。機能成分搬送流路72は、筒体2の第2端22において第2整流装置5と流出口24との間の空間につながっている。機能成分としては、例えば、消臭成分、芳香成分、除菌成分、殺菌成分、美容成分、薬用成分等が挙げられる。
【0058】
生成装置71は、例えば、機能成分を含む溶液を霧化する霧化部と、霧化部において溶液を霧化するために溶液にエネルギを与えるエネルギ供給デバイスと、を含む。エネルギ供給デバイスは、例えば、超音波振動子であるが、これに限らず、例えば、SAW(Surface Acoustic Wave)デバイスであってもよい。
【0059】
気流制御システム1cでは、筒体2は、第2端22において筒体2の中心軸20に交差する方向に貫通している連通孔25を有している。機能成分搬送流路72は、連通孔25を介して筒体2の流出口24につながっている。機能成分搬送流路72は、例えば、流路形成用部材73を筒体2に取り付けることによって形成される。機能成分搬送流路72は、流路形成用部材73と筒体2の外周面28との間に形成され、筒体2の連通孔25を通して筒体2内の空間とつながっている。
【0060】
供給システム7は、生成装置71で生成された機能成分を含むミストが機能成分搬送流路72、連通孔25を通して、流出口24から吹き出す気流に供給する。供給システム7は、機能成分を含むミストが筒体2内の気流に誘引されることで機能成分を含むミストが筒体2内に搬送されてもよいし、機能成分を含むミストを筒体2内へ送り出すファンを備えていてもよい。
【0061】
供給システム7は、例えば、実施形態1において説明した制御装置によって制御される。実施形態3に係る気流制御システム1cでは、制御装置は、供給システム7も制御する。制御装置は、ファン3と供給システム7とを制御することによって、空気中に拡散させる機能成分を、流出口24から吹き出す気流に供給させることができる。制御装置による供給システム7の制御としては、生成装置71での溶液の霧化の開始、溶液の霧化の停止、溶液の霧化量の制御等が挙げられる。
【0062】
機能成分は、OHラジカルを含んでいる帯電微粒子水であってもよい。この場合、生成装置71は、例えば、OHラジカルを含んでいる帯電微粒子水を生成する静電霧化装置であってもよい。帯電微粒子水は、ナノメートルサイズの微粒子イオンである。静電霧化装置は、例えば、空気中の水に高電圧をかけることで粒子径5nm~20nmの微粒子イオンを生成することができる。帯電微粒子水では、OHラジカルが様々な物質に作用しやすい。
【0063】
制御装置は、例えば、センサから取得した情報に基づいてファン3及び供給システム7を制御してもよい。ファン3の制御には、ファン3の運転開始と、ファン3の運転停止と、が含まれ、ファン3におけるモータ36の回転速度の制御を含んでもよい。センサとしては、例えば、画像センサ、人感センサ、超音波センサ、ドップラーセンサ、電波センサ、生体情報センサ、行動センサ、環境センサ等が挙げられる。画像センサは、対象空間に存在する対象物体(例えば、人)に関連する情報を出力することができればよく、例えば、赤外線画像センサ、CMOS(Complementary MOS)イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、距離を画素値とする距離画像センサ等が挙げられる。生体情報センサとしては、例えば、少なくとも心拍を計測するウェアラブル端末を用いることができる。少なくとも心拍を計測するウェアラブル端末としては、例えば、対象空間に出入りする人の手首に装着するリストバンド型又は時計型のウェアラブル端末等がある。行動センサは、例えば、位置情報取得システムにより構成できる。位置情報取得システムは、人が携帯する発信機と施設に設置される受信機とを利用して発信機の位置情報を取得するシステムであり、人が発信機を携帯しているという前提の下で、発信機の位置を人の位置として取り扱う。発信機は、無線信号を送信する機能を有している。発信機は、無線信号を所定周期で発信する。無線信号は、発信機の識別情報を含み得る。識別情報は、複数の発信機同士を互いに区別するために利用され得る。発信機では、識別情報は、例えば、発信機の有する記憶部に記憶されている。記憶部は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリである。行動センサは、ビーコンを利用する位置情報取得システムを利用するセンサであるが、これに限らず、例えば、GPS(Global Positioning System)を利用するセンサであってもよい。環境センサとしては、例えば、臭いセンサ、温度センサ、湿度センサ、CO2センサ等が挙げられる。
【0064】
また、制御装置は、例えば、人によって操作可能な操作部(例えば、リモートコントローラ、操作スイッチ)の操作に応じて、ファン3と供給システム7との少なくとも一方を制御してもよい。また、制御装置は、例えば、人の音声入力を受け付けるAIスピーカ等の出力に応じてファン3と供給システム7との少なくとも一方を制御してもよい。また、制御装置は、対象領域の人の会話等の音声に基づいてファン3と供給システム7との少なくとも一方を制御してもよい。
【0065】
実施形態3に係る気流制御システム1cは、実施形態2に係る気流制御システム1aと同様に気流の拡散を抑制することが可能なので、機能成分を含む気流の拡散を抑制することが可能となる。気流制御システム1cは、施設の対象空間に吹き出す気流に機能成分を含ませることが可能であり、かつ、対象空間内において機能成分を含む気流の拡散を抑制することが可能である。「機能成分を含む気流の拡散を抑制する」とは、機能成分を含む気流の直進性を向上させ、指向性を高めることを意味する。実施形態3に係る気流制御システム1cでは、機能成分を供給する目的の空間に機能成分が到達するまでに機能成分の濃度が低下することを抑制することが可能となり、機能成分による効果を高めることが可能となる。
【0066】
(実施形態4)
以下、実施形態4に係る気流制御システム1dについて、
図11に基づいて説明する。実施形態4に係る気流制御システム1dは、実施形態3に係る気流制御システム1c(
図10参照)の筒体2が有していた連通孔25を有していない点で、実施形態3に係る気流制御システム1cと相違する。実施形態4に係る気流制御システム1dに関し、実施形態3に係る気流制御システム1cと同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0067】
実施形態4に係る気流制御システム1dでは、機能成分搬送流路72は、筒体2の第2端22において第2整流装置5と流出口24との間の空間に、筒体2の流出口24の外側の外部空間を介してつながっている。実施形態4に係る気流制御システム1dでは、供給システム7は、機能成分を含むミストが筒体2の流出口24から吹き出される気流に誘引されることで機能成分を含むミストが筒体2の流出口24の下流側へ搬送される。
【0068】
実施形態4に係る気流制御システム1dは、実施形態3に係る気流制御システム1cと同様に気流の拡散を抑制することが可能であり、機能成分を含む気流の拡散を抑制することが可能となる。
【0069】
(変形例)
上記の実施形態1~4は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態1~4は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能であり、互いに異なる実施形態の互いに異なる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0070】
例えば、複数のフィン42の各々は、ファン3の軸方向D3から見て第1端421の全部と第2端422の全部とが重なっている場合に限らず、第1端421の少なくとも一部と第2端422の少なくとも一部が重なっていればよい。また、複数のフィン42の各々は、ファン3の軸方向D3から見て第1端421と第2端422とが重なっていない構成であってもよい。
【0071】
また、第2整流装置5では、整流格子50は、ハニカム格子状に限らず、例えば、正方格子状又は三角格子状であってもよい。
【0072】
また、第2整流装置5は、上述の整流格子50に限らず、複数(例えば、19)の細菅を束ねた形の整流格子であってもよいし、多孔板(例えば、パンチングメタル)でもよい。複数の細管の各々は、流路55を有する。多孔板は、複数の流路55を構成する複数の貫通孔を有する。
【0073】
また、気流制御システム1、1a、1c、1dでは、筒体2がファン3におけるファンハウジング33を兼ねていてもよい。また、気流制御システム1、1a、1c、1dでは、筒体2が第1整流装置4における筒部41を兼ねていてもよい。また、気流制御システム1、1a、1c、1dでは、第2整流装置5における筒部51を兼ねていてもよい。
【0074】
また、気流制御システム1aでは、内筒体61は、ファン3の軸方向D3において内径及び外径それぞれが一定の円筒状であってもよい。また、内筒体61は、内径及び外径それぞれが徐々に変化する縮径部と、内径及び外径それぞれが一定の円筒部と、を含んでいてもよい。
【0075】
また、気流制御システム1aは、第1整流装置4と第3整流装置6との間又は第3整流装置6と第2整流装置5との間に、第4整流装置を備えていてもよい。
【0076】
また、気流制御システム1、1a、1c、1dでは、筒体2の流出口24が対象空間に臨むように、筒体2が天井材に埋込配置されてもよい。また、筒体2は、壁又はスタンドに取り付けられていてもよい。
【0077】
また、気流制御システム1、1a、1c、1dは、上流側の空調設備からの空気が筒体2の流入口23に流入する構成であってもよい。空調設備は、例えば、送風装置であるが、これに限らず、例えば、換気装置、エアコンディショナ、給気キャビネットファン、送風装置と熱交換器とを備える空気調和システム等でもよい。
【0078】
また、気流制御システム1c、1dでは、生成装置71は、互いに異なる機能成分を含む溶液を霧化する複数の霧化部を有していてもよい。この場合、気流制御システム1c、1dは、制御装置によって生成装置71を制御することによって、流出口24から吹き出す気流に供給する機能成分を変えることができる。
【0079】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0080】
第1の態様に係る気流制御システム(1;1a;1c;1d)は、筒体(2)と、ファン(3)と、第1整流装置(4)と、第2整流装置(5)と、を備える。筒体(2)は、円筒状である。筒体(2)は、第1端(21)に気体の流入口(23)を有し、第2端(22)に気体の流出口(24)を有する。ファン(3)は、筒体(2)の内側に配置されている。第1整流装置(4)は、ファン(3)の軸方向(D3)においてファン(3)と流出口(24)との間に位置しており、旋回している気流(F1)を転向させる。第2整流装置(5)は、ファン(3)の軸方向(D3)において第1整流装置(4)と流出口(24)との間に位置しており、気流の向きをファン(3)の軸方向(D3)に沿った向きに揃える。第1整流装置(4)は、円筒状の筒部(41)と、複数のフィン(42)と、を有する。複数のフィン(42)の各々は、弧状である。複数のフィン(42)は、筒部(41)の内周面(413)から筒部(41)の中心軸(40)に向かって突出しており、筒部(41)の内周に沿った方向に並んでいる。第2整流装置(5)は、ファン(3)の軸方向(D3)に沿った複数の流路(55)を有する。
【0081】
第1の態様に係る気流制御システム(1;1a;1c;1d)は、気流の拡散を抑制することが可能となる。
【0082】
第2の態様に係る気流制御システム(1;1a;1c;1d)では、第1の態様において、第2整流装置(5)は、整流格子(50)である。
【0083】
第3の態様に係る気流制御システム(1;1a;1c;1d)では、第2の態様において、整流格子(50)は、複数の流路(55)のうち任意の隣り合う2つの流路(55)を仕切る仕切板部(56)を複数有する。複数の仕切板部(56)の各々は、ファン(3)の軸方向(D3)に沿って配置されている。
【0084】
第3の態様に係る気流制御システム(1;1a;1c;1d)は、第2整流装置(5)として複数の細管を束ねた整流格子又は多孔板を採用した場合と比べて、圧力損失を抑制することが可能となる。
【0085】
第4の態様に係る気流制御システム(1;1a;1c;1d)では、第1~3の態様のいずれか一つにおいて、ファン(3)は、回転体(31)と、複数の羽根(32)と、を有する。回転体(31)は、回転中心軸(30)を中心として回転可能である。複数の羽根(32)は、回転体(31)につながっており、回転体(31)と一緒に回転する。複数のフィン(42)の各々は、筒体(2)の内周に沿った方向に交差する第1面(43)及び第1面(43)とは反対側の第2面(44)を有する。複数のフィン(42)の各々では、第1面(43)は、回転体(31)の回転方向(R1)に沿った方向において、後方に位置する凹曲面であり、第2面(44)は、回転体(31)の回転方向(R1)に沿った方向において、前方に位置する凸曲面である。複数のフィン(42)の各々の第1面(43)は、軸方向(D3)から見て、筒部(41)の内周面(413)側とは反対側の端点(O)とフィン(42)上の任意の点(B)とを結んだ線分(OB)に直交する直線(L3)のうち任意の点(B)から第2面(44)側とは反対側に延びている半直線と、任意の点(B)における接線(T3)のうち任意の点(B)から端点(O)側へ延びている半直線とのなす角度(θB)が90度よりも大きい。
【0086】
第4の態様に係る気流制御システム(1;1a;1c;1d)では、ファン(3)で発生して筒体(2)の内周面(27)付近で筒体(2)の内周面(27)に沿って旋回する気流がフィン(42)に衝突することにより、筒部(41)の中心軸(40)に近づく向きに転向される。第4の態様に係る気流制御システム(1;1a;1c;1d)では、第1整流装置(4)によって、筒体(2)の流出口(24)から吹き出される気流の速度分布に関して、内側の気流の速度が相対的には速く外側の気流の速度が相対的に遅い速度分布を形成することができる。
【0087】
第5の態様に係る気流制御システム(1a;1c;1d)は、第1~4の態様のいずれか一つにおいて、第3整流装置(6)を更に備える。第3整流装置(6)は、ファン(3)の軸方向(D3)において第1整流装置(4)と第2整流装置(5)との間に位置している。第3整流装置(6)は、筒体(2)の内側で筒体(2)と同軸的に配置されている内筒体(61)を有する。内筒体(61)は、ファン(3)の軸方向(D3)において流出口(24)に近づくにつれて内径及び外径が小さくなっている。
【0088】
第5の態様に係る気流制御システム(1a;1c;1d)は、流出口(24)から吹き出す気流の拡散を、より抑制することが可能となる。
【0089】
第6の態様に係る気流制御システム(1c;1d)は、第1~5の態様のいずれか一つにおいて、供給システム(7)を更に備える。供給システム(7)は、空気中に拡散させる機能成分を、流出口(24)から吹き出す気流に供給可能である。
【0090】
第6の態様に係る気流制御システム(1c;1d)は、筒体(2)の流出口(24)から吹き出す気流に機能成分を乗せることが可能となり、かつ、機能成分を含む気流の拡散を抑制することが可能となる。
【0091】
第7の態様に係る気流制御システム(1c;1d)では、第6の態様において、供給システム(7)は、生成装置(71)と、機能成分搬送流路(72)と、を有する。生成装置(71)は、機能成分を含むミスト又はイオンを生成する。機能成分搬送流路(72)は、筒体(2)の第2端(22)において第2整流装置(5)と流出口(24)との間の空間につながっている。
【0092】
第7の態様に係る気流制御システム(1c;1d)は、機能成分搬送流路(72)を筒体(2)内に設ける必要がなく、筒体(2)内の気流が機能成分搬送流路(72)の影響で乱れるのを抑制することが可能となる。
【0093】
第8の態様に係る気流制御システム(1;1a;1c;1d)では、第1~7の態様のいずれか一つにおいて、複数のフィン(42)の各々は、流入口(23)側の第1端(421)及び流出口(24)側の第2端(422)を有する。複数のフィン(42)の各々では、ファン(3)の軸方向(D3)から見て第1端(421)と第2端(422)とが重なっている。
【0094】
第8の態様に係る気流制御システム(1;1a;1c;1d)は、気流の向きをファン(3)の軸方向(D3)に沿った方向に転向しやすい。
【0095】
第9の態様に係る気流制御システム(1;1a;1c;1d)では、第1~8の態様のいずれか一つにおいて、第1整流装置(4)は、筒部(41)の中心軸(40)が筒体(2)の中心軸(20)と揃うように配置されている。
【0096】
第9の態様に係る気流制御システム(1;1a;1c;1d)では、気流の向きをファン(3)の軸方向(D3)に沿った方向に転向しやすい。
【符号の説明】
【0097】
1、1a、1c、1d 気流制御システム
2 筒体
20 中心軸
21 第1端
22 第2端
23 流入口
24 流出口
3 ファン
30 回転中心軸
31 回転体
32 羽根
4 第1整流装置
40 中心軸
41 筒部
42 フィン
421 第1端
422 第2端
5 第2整流装置
50 整流格子
55 流路
56 仕切板部
6 第3整流装置
7 供給システム
71 生成装置
72 機能成分搬送流路
F1 気流
F2 気流
R1 回転方向