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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】握り飯用包装材および包装握り飯
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/10 20060101AFI20240301BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20240301BHJP
   A23L 7/10 20160101ALI20240301BHJP
【FI】
B65D65/10 A
B65D85/50 140
A23L7/10 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020020225
(22)【出願日】2020-02-08
(65)【公開番号】P2021123408
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】509009038
【氏名又は名称】アイワ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄一郎
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-033176(JP,A)
【文献】特開2016-214204(JP,A)
【文献】特開2007-295866(JP,A)
【文献】国際公開第2009/028742(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/10
B65D 85/50
A23L 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略長方形状の外シートと、外シートの第1の側縁に沿って接続された第1内シートと、外シートの第2の側縁に沿って接続された第2内シートと、外シートの中心線に沿って設けられた開封補助帯と有し、
第1内シートと第2内シートは外シートの中心線に沿った位置において相互に重なる重なり部を有し、
第1内シートと第2内シートにはそれぞれ外シート側縁に沿って外シートに接続された側辺接続部と、側辺接続部と重なり部の間において外シートに接続された内側接続部とが設けられていて、
内側接続部として、外シートの長さ方向の概ね中央部に外シートの側辺に垂直な方向に2本の帯状の接続部が包装される握り飯の厚さ分の間隔で形成されている握り飯用包装材。
【請求項2】
透明または半透明なプラスチックシートを外シート、第1内シートおよび第2内シートの素材としている請求項1に記載の握り飯用包装材。
【請求項3】
請求項2に記載の握り飯用包装材で三角握り飯を包装した包装握り飯であり、2本の帯状の接続部が三角握り飯の底面に沿って位置している包装握り飯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、握り飯用の包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
握り飯用包装材として広く普及しているのは、外装材フィルムと内装材フィルムの間に海苔シートを収納し、握り飯を包装しているときに、海苔シートが握り飯に接触しないようになしたものである。特許文献1などに示すように、内装材フィルムは2枚が中心線に沿って縁部が重ねあうように設けられ、この重なり部は接着されていないか、簡単に離れるような弱い接続となっている。一方、外装材フィルムはカットテープなどの開封補助線が中心線に沿って設けらていて、これによって開封時に外シートを左右に切断できるようになっている。食べるときには、カットテープなどによって外装材フィルムを中心線に沿って分断する。そして、左右に引っ張ることによって外装材フィルムと内装材フィルムを握り飯から取り外す。内部の海苔シートのみが握り飯の上に残り、海苔に包まれた状態の握り飯が現われる。
【0003】
このような外装材フィルムと内装材フィルムの間に海苔シートを収納した握り飯用包装材については、握り飯を包装するための自動化装置も使用されている。これにより、人力を掛けずに包装握り飯を短時間で安く得ることができる。
【0004】
握り飯には、海苔が米飯の上に直接巻かれたものや、海苔のないものもある。たとえば、焼き込みご飯などのように具材と共に調理・加工された米飯を握った握り飯もある。このような握り飯については、例えば、特許文献2や特許文献3に示すように、一枚の厚い正方形のシートが包装材として使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-162768
【文献】意匠登録第1203540号公報
【文献】意匠登録第1204011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
2枚のシートの間に海苔シートを挟んだ従来の握り飯用包装材は、すでに海苔が巻かれた握り飯や、海苔を使用しない握り飯の包装には使用できない。そこで、この構造の握り飯用包装材から海苔シートを除いたものを使用することが考えられる。しかし、海苔シートを除くことにより包装材の全体としての厚さが減少し、曲げや皺に対する剛性、すわなち、こしが弱くなり、包装作業が行いにくくなることが判明した。特に、自動包装装置による包装ができなくなることが判明した。
【0007】
一方、特許文献2や特許文献3などの一枚のシートによる包装材は、海苔を使用しない握り飯などの包装に適しているが、シートを手で折りながら包むのは労力と時間がかかる。このような包装材のための自動包装装置も存在するが、これは海苔シートを内包する握り飯用包装材のための自動包装装置とは全く異なる機械である。したがって、海苔のある握り飯と海苔のない握り飯の両方を自動包装するためには全く異なる2種類の設備を導入し、運用しなければならない。
【0008】
また、一枚のシートによる包装材は、開封のためにカットテープなどで中央部を切り開き始めると、まだ完了する前から即座に握り飯の表面が外部に曝され、指などに触れると不衛生であり、また不快である。
【0009】
この発明は、海苔シートを米飯本体から分離した状態で有しない握り飯でも正確に自動包装できる握り飯用包装材および包装握り飯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するため、この発明の握り飯用包装材は、略長方形状の外シートと、外シートの第1の側縁に沿って接続された第1内シートと、外シートの第2の側縁に沿って接続された第2内シートと、外シートの中心線に沿って設けられた開封補助帯と有し、
第1内シートと第2内シートは外シートの中心線に沿った位置において相互に重なる重なり部を有し、
第1内シートと第2内シートにはそれぞれ外シート側縁に沿って外シートに接続された側辺接続部と、側辺接続部と重なり部の間において外シートに接続された内側接続部とが設けられている。
内側接続部として、外シートの長さ方向の概ね中央部に外シートの側辺に垂直な方向に2本の帯状の接続部が包装される握り飯の厚さ分の間隔で形成されていることが好ましく、また、透明または半透明なプラスチックシートを外シート、第1内シートおよび第2内シートの素材とすることが好ましい。
【0011】
また、この発明の包装握り飯は、上記の飯用包装材で三角握り飯が包装されていて、2本の帯状の接続部が三角握り飯の底面に沿って位置している。
【発明の効果】
【0012】
この発明において、握り飯用包装材の外形はすでに普及している海苔シートを内包した従来の握り飯用包装材と実質的に同形であり、その自動包装機械を使用して自動的に握り飯を包装できる。第1内シートと第2内シートにはそれぞれ側辺接続部と重なり部の間において外シート側縁に接続された内側接続部とが設けられていて、腰の強いシートになっており、握り飯の底面に沿って正確に包むことができる。さらに、透明なプラスチックシートを素材にすれば、包装された握り飯を外部から観察でき、商品の魅力を商品者に示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】握り飯用包装材を示す平面図である。
図2】同底面図である。
図3】同A-A断面図である。
図4】同B-B断面図である。
図5】握り飯用包装材に握り飯を置いた状態を示す平面図である。
図6】同正面図である。
図7】握り飯用包装材を折り曲げた状態を示す平面図である。
図8】包装握り飯を示す斜視図である。
図9】包装握り飯の開封方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明を実施するための形態について図面に基づいて説明する。握り飯用包装材を示す平面図、図2は同底面図、図3は同A-A断面図。図4は同B-B断面図である。握り飯用包装材1は、略長方形状の外シート2と、外シートの第1の側縁2aに沿って接続された第1内シート3aと、外シートの第2の側縁2bに沿って接続された第2内シート3bを有する。
【0015】
ここで、外シート2、第1内シート3aおよび第2内シート3bは、食品包装材に適した強度と安全性を有するシートであればよいが、透明または半透明なプラスチックシートを使用することが好ましい。ここでは、握り飯用包装材として既に使用されている透明なポリプロピレン製の二軸延伸フィルムを用いている。
【0016】
外シート2は概ね長方形である。完全に長方形である必要はなく、たとえば、本例のように4隅において切り取られた部分があり、握り飯を包装した際に4隅部における折り重なりが少なるようにしてもよい。外シート2の中心線に沿って開封補助帯4が設けられている。本例では、開封補助帯4としてカットテープと呼ばれる帯材を、外シート2の裏面、すわなち内シート3に向いた側の面に貼り付けている。また、外シート2の2つの短辺側のうち、少なくともいずれかにおいて、その中心部付近の縁部に2本の切り込み5が、開封補助帯4を挟むように設けられている。
【0017】
次に、内シート3について説明する。内シート3は第1内シート3aと第2内シート3bに分かれている。第1内シート3aは外シートの長辺である第1の側縁2aに沿って接続されている。また、第2内シート3bは第1の側縁2aとは反対側の第2の側縁2bに沿って接続されている。この外シートの側縁2a、2bに沿った接続部を側辺接続部6とする。また、第1内シート3aと第2内シート3bは外シート2の中心線に沿った位置において相互に重なる重なり部7を有する。この状態において、第1内シート3aと第2内シート3bの組み合わせは、外シート2とほぼ同じ外形になる。第1内シート3aと第2内シート3bは外シート2の中心線に沿って左右に簡単に分離するようになっている。重なり部7は弱く接着してもよいが、本例では接続していない。
【0018】
以上の構成は、従来の海苔シートを内包した握り飯用包装材と同様である。全体的な外形も、従来の握り飯用包装材と同様でもよい。しかし、この発明では、外シート2と内シート3の間に海苔シートがない点において、従来の握り飯用包装材と相違する。
【0019】
第1内シート3aと第2内シート3bは側辺接続部6に加えて、内側接続部8においても接続されている。内側接続部8は、側辺接続部6と重なり部7の間に形成される。このような内側接続部8は、海苔シートを内包する従来の握り飯用包装材では設けることができなかった。内側接続部8により、握り飯用包装材の内側でも2枚のシートが接続され、1枚のシートのような一体性の高い状態が得られる。この発明では海苔シートを内包しないために、握り飯用包装材の全体の厚みが減少するが、この内側接続部8により、曲げや皺の発生に対抗する腰の強さが保たれる。
【0020】
内側接続部8は、外シート2の長さ方向の概ね中央部に外シートの側辺に垂直な方向に2本の帯状の接続部として形成されることが好ましい。特に、握り飯を包装する際に握り飯の底面が置かれる位置に、概ね握り飯の厚さ分の間隔で形成されることが好ましい。この2本の帯状の接続部の幅は、握り飯用包装材の腰の強さを得るのに十分なものであればよい。本例では、内側接続部8は外シートの長さ方向の真の中央部よりも10~20mm程度ずれた位置に設けている。そして、一方の接続部の幅を他方よりも広くしており、その違いを視覚で判別できるようにしている。これによって、握り飯用包装材1を包装機械にセットするときに、正しい方向に置くことを促すことができる。
【0021】
側辺接続部6と内側接続部8は、十分な接続が得られるなら、どのような方法で実施してもよいが、ここでは熱圧着により行っている。これにより、従来の握り飯用包装材の製造設備のほとんどを流用でき、内側接続部8を熱圧着するシール部材を追加する程度の変更でよい。
【0022】
本例においては、外シート2の短辺側においても第1内シート3aと第2内シート3bを外シート2に接続している。しかし、このような短辺部に狭い幅で設ける接続部は、本発明において内側接続部には含めない。
【0023】
次いで、上述の握り飯用包装材を使用した包装握り飯の包装方法について説明する。図5は握り飯用包装材に握り飯を置いた状態を示す平面図、図6は同正面図である。内シート3のある側を上にして飯用包装材1を置き、三角形の握り飯xを置く。ここで、握り飯xの底面が内側接続部8の上に位置するように置く。
【0024】
次に、握り飯用包装材1を握り飯xの底面の両側辺に沿って折り曲げる。図7は握り飯用包装材を折り曲げた状態を示す正面図である。折り曲げる位置において、握り飯用包装材1は内側接続部8により補強されており、皺やたわみに対する適度な剛性を有しており、この作業は安定して正確に実施される。こうして、握り飯xの底面および2つの三角形の面が握り飯用包装材1によって覆われる。さらに上部の余った部分を折り畳んで握り飯xの背面に回して、その上にシールなどを貼って折り畳み端を固定する。この包み方は、従来の握り飯の包装方法と特に変わることはない。したがって、従来の自動包装機械により自動的に包装できる。
【0025】
図8は包装握り飯の例を示す斜視図である。透明または半透明なプラスチックシートを外シート2、第1内シート3a、第2内シート3bの素材とすれば、視界を遮る海苔シートは存在しないので、内部の握り飯を観察することができる。したがって、店頭に陳列した時に、消費者に握り飯そのものを示すことができ、消費者も自分が食べたい握り飯を自分の目で確認して購入できる。
【0026】
包装握り飯の開封について説明する。まず、頂部にある外シート2の切り込み5の部分を指でつまむ。これを下向きに引いて、開封補助帯4に沿って外シート2を切り開く。開封補助帯4の幅に沿って外シート2が取り除かれていくが、この時点においては内シート3は握り飯xの上に残っている。したがって、握り飯xは外部に露出しておらず、握り飯xが手などに触れることはない。最後まで引き離すことによって、外シート2は左右に分断された状態で握り飯xの上に残る。図9は包装握り飯の開封方法を示す斜視図であり、開封補助帯に沿って外シートの中央部を切り開いた状態を示している。さらに、底部の耳状の部分辺りを摘まんで、左右に引き離すことによって、残った外シート2は内シート3とともに握り飯xから取り除かれ、食べられる状態になる。この開封方法も、従来の海苔シートを内包した握り飯用包装材で包装された包装握り飯と同じであり、消費者は容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0027】
1.握り飯用包装材
2.外シート
2a.第1の側縁
2b.第2の側縁
3.内シート
3a.第1内シート
3b.第2内シート
4.開封補助帯
5.切り込み
6.側辺接続部
7.重なり部
8.内側接続部
x.握り飯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9