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特許7445943情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 61/5007 20220101AFI20240301BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240301BHJP
【FI】
H04L61/5007
G06Q50/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023000258
(22)【出願日】2023-01-04
【審査請求日】2024-01-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523004442
【氏名又は名称】株式会社Prediction
(74)【代理人】
【識別番号】100218969
【弁理士】
【氏名又は名称】室伏 千恵子
(72)【発明者】
【氏名】大木 健一朗
【審査官】和平 悠希
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-121247(JP,A)
【文献】特開2014-086859(JP,A)
【文献】特開2008-109199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
H04L 41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える情報処理システムであって、
前記制御部は、
固有IDが設定された第1のユーザ端末から、IPアドレス及び日時を少なくとも含む第1のログを複数取得する第1取得ステップと、
固有IDと集団情報とを紐づけて記憶する第1のデータベースから、前記第1のユーザ端末の固有IDをキーとして集団情報を検索する検索ステップと、
取得した複数の前記第1のログにおいて、所定期間内にIPアドレスの変動がある場合、前記IPアドレスの変動の規則性に基づいて、対象期間におけるIPアドレスを推定する推定ステップと、
推定した前記IPアドレスと、検索した前記集団情報とを少なくとも対応付けた情報を、第2のデータベースに格納する第1格納ステップと
を実行する、情報処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、取得した複数の前記第1のログにおいて、所定期間内にIPアドレスの変動がない場合、前記IPアドレスと、検索した前記集団情報とを少なくとも対応付けた情報を、1のレコードとして前記第2のデータベースに格納する第2格納ステップを実行する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記制御部は、取得した複数の前記第1のログにおいて、所定期間内にIPアドレスの変動がある場合、前記所定期間内の第1のログのうち、IPアドレスに変動が生じた第1のログに含まれるIPアドレスと、検索した前記集団情報とを少なくとも対応付けた情報を、前記第2のデータベースに格納する第3格納ステップを実行する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記推定ステップにおいて、前記制御部は、前記所定期間内に同一のIPアドレスが出現する回数、IPアドレスの出現周期及びIPアドレスの変動幅の少なくとも1つに基づいて変動の規則性があるかを判定する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記制御部は、
固有IDが設定されていない第2のユーザ端末がウェブサイトにアクセスした際のIPアドレスと、ウェブ閲覧に関するログ情報と、アクセス日時とを少なくとも含む第2のログを取得する第2取得ステップと、
前記第2のデータベースから、前記第2のログに含まれるIPアドレスに対応付けられた集団情報であって、前記アクセス日時に対応する集団情報を特定し、前記ウェブ閲覧に関するログ情報と、前記アクセス日時と、特定した前記集団情報とを少なくとも対応付けた情報を、分析用データとして生成する生成ステップと
を実行する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記ウェブ閲覧に関するログ情報は、参照元を示す情報とコンバージョンとを含み、
前記制御部は集団ごとに、
前記分析用データにおいてその集団の集団情報に対応付けられたログ情報に基づいて、メディア又はアクセス経路ごとに、その集団向けの広告として配信された場合の前記コンバージョンの高さを推定する
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記制御部は、
第2のユーザ端末がウェブサイトにアクセスした際のIPアドレスと、ウェブ閲覧に関するログ情報と、アクセス日時とを含む第2のログを取得する第2取得ステップと、
前記第1のユーザ端末が広告を配信する機能を有する場合、広告配信に関する第3のログであって、配信日時及び配信コンテンツに関する情報を含む第3のログを取得する第3取得ステップと、
前記第3のログに対応する前記配信コンテンツが前記ウェブサイトに関連する場合、前記配信日時と、前記第2のログに含まれるアクセス日時とを比較し、比較結果が所定条件を満たすときに配信効果ありと判定する判定ステップと
を実行し、
前記第2のユーザ端末は、前記第1のユーザ端末が属する集団に所属するユーザに使用される端末であって、固有IDが設定されていない端末である
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記制御部は、
第2のユーザ端末がウェブサイトにアクセスした際のIPアドレスと、ウェブ閲覧に関するログ情報と、アクセス日時とを含む第2のログを取得する第2取得ステップと、
第4のユーザ端末がウェブサイトにアクセスした際のIPアドレスと、ウェブ閲覧に関するログ情報と、アクセス日時とを含む第4のログを取得する第4取得ステップと、
前記第2のログに含まれるログ情報と、前記第4のログに含まれるログ情報とを比較する比較ステップと、
比較結果を出力する出力ステップと
を実行し、
前記第2のユーザ端末は、前記第1のユーザ端末が属する集団に所属するユーザに使用される端末であって、固有IDが設定されていない端末であり、
前記第4のユーザ端末は、前記第1のユーザ端末が属する前記集団と類似する集団に所属するユーザに使用される端末であって、固有IDが設定されていない端末である
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
制御部を備えるコンピュータにおいて実行される情報処理方法であって、
前記制御部が、
固有IDが設定された第1のユーザ端末から、IPアドレス及び日時を少なくとも含む第1のログを複数取得する第1取得ステップと、
固有IDと集団情報とを紐づけて記憶する第1のデータベースから、前記第1のユーザ端末の固有IDをキーとして集団情報を検索する検索ステップと、
取得した複数の前記第1のログにおいて、所定期間内にIPアドレスの変動がある場合、前記IPアドレスの変動の規則性に基づいて、対象期間におけるIPアドレスを推定する推定ステップと、
推定した前記IPアドレスと、検索した前記集団情報とを少なくとも対応付けた情報を、第2のデータベースに格納する第1格納ステップと
を実行する、情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
固有IDが設定された第1のユーザ端末から、IPアドレス及び日時を少なくとも含む第1のログを複数取得する第1取得ステップと、
固有IDと集団情報とを紐づけて記憶する第1のデータベースから、前記第1のユーザ端末の固有IDをキーとして集団情報を検索する検索ステップと、
取得した複数の前記第1のログにおいて、所定期間内にIPアドレスの変動がある場合、前記IPアドレスの変動の規則性に基づいて、対象期間におけるIPアドレスを推定する推定ステップと、
推定した前記IPアドレスと、検索した前記集団情報とを少なくとも対応付けた情報を、第2のデータベースに格納する第1格納ステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IP(Internet Protocol)アドレスからユーザが所属する集団を特定し、広告を配信するにあたり集団情報を用いることが知られている。例えば特許文献1に記載には、IPアドレスとグループIDとの対応関係を記憶し、配信対象のPC端末のIPアドレスからグループIDを特定する広告配信装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-191614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここでグローバルIPアドレスと集団との対応関係は、その集団が契約しているISP(Internet Service Provider)のみが把握しているものであり、外部から正確に特定することが困難であった。特にアドレスが変動する変動IPアドレスについては、集団との対応関係の正確な把握が困難であった。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題に鑑み、グローバルIPアドレスと集団との対応関係を容易に特定できる情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる情報処理システムは、制御部を備える。前記制御部は、固有IDが設定された第1のユーザ端末から、IPアドレス及び日時を少なくとも含む第1のログを複数取得する第1取得ステップと、固有IDと集団情報とを紐づけて記憶する第1のデータベースから、前記第1のユーザ端末の固有IDをキーとして集団情報を検索する検索ステップと、取得した複数の前記第1のログにおいて、所定期間内にIPアドレスの変動がある場合、前記IPアドレスの変動の規則性に基づいて、対象期間におけるIPアドレスを推定する推定ステップと、推定した前記IPアドレスと、検索した前記集団情報とを少なくとも対応付けた情報を、第2のデータベースに格納する第1格納ステップとを実行する。
【0007】
本開示の一態様にかかる情報処理方法は、制御部を備えるコンピュータにおいて実行される。前記制御部は、固有IDが設定された第1のユーザ端末から、IPアドレス及び日時を少なくとも含む第1のログを複数取得する第1取得ステップと、固有IDと集団情報とを紐づけて記憶する第1のデータベースから、前記第1のユーザ端末の固有IDをキーとして集団情報を検索する検索ステップと、取得した複数の前記第1のログにおいて、所定期間内にIPアドレスの変動がある場合、前記IPアドレスの変動の規則性に基づいて、対象期間におけるIPアドレスを推定する推定ステップと、推定した前記IPアドレスと、検索した前記集団情報とを少なくとも対応付けた情報を、第2のデータベースに格納する第1格納ステップとを実行する。
【0008】
本開示の一態様にかかるプログラムは、コンピュータに以下のステップを実行させる。ステップは、固有IDが設定された第1のユーザ端末から、IPアドレス及び日時を少なくとも含む第1のログを複数取得する第1取得ステップと、固有IDと集団情報とを紐づけて記憶する第1のデータベースから、前記第1のユーザ端末の固有IDをキーとして集団情報を検索する検索ステップと、取得した複数の前記第1のログにおいて、所定期間内にIPアドレスの変動がある場合、前記IPアドレスの変動の規則性に基づいて、対象期間におけるIPアドレスを推定する推定ステップと、推定した前記IPアドレスと、検索した前記集団情報とを少なくとも対応付けた情報を、第2のデータベースに格納する第1格納ステップとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示により、グローバルIPアドレスと集団との対応関係を容易に特定できる情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1にかかるシステムの構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1にかかる情報処理装置による情報処理の流れを示すフローチャートである。
図3】実施形態2にかかるシステムの概略構成を示すブロック図である。
図4】実施形態2にかかる第1のユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】実施形態2にかかる第1のユーザ端末の外観の一例を示す図である。
図6】実施形態2にかかる第2のユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図7】実施形態2にかかる情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図8】実施形態2にかかる記憶部の構成の一例を示す図である。
図9】実施形態2にかかる確定テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図10】実施形態2にかかる推定テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図11】実施形態2にかかる制御部の機能構成の一例を示す図である。
図12】実施形態2にかかる制御部による登録処理の流れを示すフローチャートである。
図13】実施形態2にかかる制御部による第2格納処理の流れを示すフローチャートである。
図14】実施形態2にかかる第2格納処理の概念を示す図である。
図15】実施形態2にかかる制御部による第3格納処理の流れを示すフローチャートである。
図16】実施形態2にかかる第3格納処理の概念を示す図である。
図17】実施形態2にかかる制御部による第1格納処理の流れを示すフローチャートである。
図18】実施形態2にかかる第1格納処理の概念を示す図である。
図19】実施形態2にかかる制御部による生成処理の流れを示すフローチャートである。
図20】実施形態2にかかる分析用データのデータ構造の第1の例を示す図である。
図21】実施形態2にかかる分析結果のデータ構造の第1の例を示す図である。
図22】実施形態2にかかる分析用データのデータ構造の第2の例を示す図である。
図23】実施形態2にかかる分析結果のデータ構造の第2の例を示す図である。
図24】実施形態3にかかるシステムの概略構成を示すブロック図である。
図25】実施形態3にかかる制御部の機能構成の一例を示す図である。
図26】実施形態3にかかる制御部による比較処理の流れを示すフローチャートである。
図27】実施形態3にかかる測定用データのデータ構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0012】
<実施形態1>
まず本開示の実施形態1について説明する。図1は、実施形態1にかかるシステム1の構成を示すブロック図である。システム1は、情報処理装置10と、第1のユーザ端末20とを備えるコンピュータシステムである。情報処理装置10と第1のユーザ端末20とは、インターネット等のネットワークNWを介して通信可能に接続される。
【0013】
第1のユーザ端末20は、予め定められた集団に属する端末であり、集団に対応する固有IDが予め設定されている。第1のユーザ端末20が集団に属するとは、第1のユーザ端末20が集団の場、例えば集団の活動場所に設置されていることを示す。一例として第1のユーザ端末20は、複合機等の画像形成装置、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、無線LANルーター、又はスマートスピーカー等が挙げられる。
【0014】
集団は、目的や空間等を共有している人の集まりである。例えば集団は、企業、部署、サークル、家族、施設の利用者、マンションの住民等が挙げられる。
【0015】
情報処理装置10は、集団とIPアドレスとの対応関係を特定するコンピュータである。例えば情報処理装置10は、サーバである。IPアドレスは、グローバルIPアドレスである。情報処理装置10は、制御部11と、通信部15と、記憶部16とを備える。
【0016】
制御部11は、情報処理装置10のシステム全体を制御するプロセッサを有する。制御部11はプログラムを実行することにより、第1取得部111、検索部112、推定部113及び登録部114の機能を実現する。
【0017】
第1取得部111は、固有IDが既知である第1のユーザ端末20から計測ログを、通信部15を介して受信し、取得する。計測ログは、第1のログとも称される。計測ログは、第1のユーザ端末20のIPアドレス及び日時を少なくとも含む。計測ログに含まれるIPアドレスは、第1のユーザ端末20がネットワークNWに接続するときに割り当てられたIPアドレスである。計測ログに含まれる日時は、第1のユーザ端末20がネットワークNWに接続した日時であるが、情報処理装置10が計測ログを受信した日時であってもよいし、第1のユーザ端末20が計測ログを送信した日時であってもよい。計測ログには、第1のユーザ端末20の固有IDが含まれていてもよい。第1取得部111は、予め定められた時間間隔で第1のユーザ端末20から計測ログを受信する。しかしこれに代えて第1取得部111は、予め定められたイベントが発生したことに応じて第1のユーザ端末20から計測ログを受信してもよい。このように第1取得部111は、定期的又は不定期で計測ログを第1のユーザ端末20から受信することで、異なる日時の計測ログを複数取得する。
【0018】
検索部112は、第1のDB161から、計測ログの送信元である第1のユーザ端末20の固有IDをキーとして、集団情報を検索する。集団情報は、第1のユーザ端末20が設置された集団を特定可能な情報であれば特に限定されないが、集団名、法人番号又は集団に関するその他の公開データであってよい。
【0019】
推定部113は、第1取得部111において取得した複数の計測ログにおいて、所定期間内にIPアドレスの変動があるか否かを判定する。一例として所定期間は、1か月、1週間、1日、又は1時間である。所定期間内にIPアドレスの変動がある場合、推定部113はIPアドレスの変動の規則性を推定する。そして推定部113は、推定したIPアドレスの変動の規則性に基づいて、対象期間におけるIPアドレスを推定する。対象期間は、将来の期間であってもよいし、過去の期間であってもよい。
【0020】
登録部114は、検索部112において検索した集団情報と、推定部113において推定したIPアドレスとを少なくとも対応付けた情報を、第2のDB162に格納する。
【0021】
通信部15は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。
記憶部16は、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体を有する記憶装置である。記憶部16は、第1のDB161と、第2のDB162とを有する。
【0022】
第1のDB161は、固有IDと集団情報との対応関係を記憶する記憶装置である。第2のDB162は、集団情報とIPアドレスとの対応関係を記憶する記憶装置である。
【0023】
第1のDB161及び第2のDB162は、情報処理装置10の記憶部16に含まれるとしたが、情報処理装置10がアクセス可能な外部装置に含まれていてもよい。
【0024】
図2は、実施形態1にかかる情報処理装置10による情報処理の流れを示すフローチャートである。まず第1取得部111は、固有IDが既知である第1のユーザ端末20から、IPアドレス及び日時を含む計測ログを複数取得する(S10:第1取得ステップ)。次に検索部112は、第1のDB161にアクセスし、計測ログの送信元の第1のユーザ端末20の固有IDをキーとして集団情報を検索する(S11:検索ステップ)。次に推定部113は、取得した複数の計測ログにおいて、所定期間内にIPアドレスの変動があるか否かを判定する(S12)。推定部113は、所定期間内にIPアドレスの変動がある場合(S12でYES)、IPアドレスの変動の規則性に基づいて、対象期間におけるIPアドレスを推定する(S13:推定ステップ)。次に登録部114は、S11において検索した集団情報と、S13において推定したIPアドレスとを少なくとも対応付けた情報を第2のDB162に登録する(S14:第1格納ステップ)。
【0025】
[効果]
このように情報処理装置10は、IPアドレスの変動の規則性に基づいて集団のIPアドレスを推定する。IPアドレスが変動する場合には集団のIPアドレスの特定が特に難しいところ、実施形態1によれば集団とグローバルIPアドレスとの対応関係を容易に特定できる。
【0026】
<実施形態2>
次に本開示の実施形態2について説明する。実施形態2は、実施形態1の具体例である。図3は、実施形態2にかかるシステム1の概略構成を示すブロック図である。
【0027】
システム1は、情報処理装置10と、第1のユーザ端末20-A,20-Bと、第2のユーザ端末30-A,30-Bと、ログ収集サーバ40と、広告主側装置50とを備える。これらはネットワークNWに接続され、互いに通信可能となっている。
【0028】
実施形態2にかかる情報処理装置10は、実施形態1にかかる情報処理装置10と同様に、第1のユーザ端末20-A,20-Bの各々から取得した計測ログに基づいて、集団とIPアドレスとの対応関係を特定する。さらに実施形態2にかかる情報処理装置10は、第2のユーザ端末30-A,30-Bが広告主のウェブサイトにアクセスした際のサイトログと上記対応関係とに基づいて、集団単位のアクセス分析を実施する。そして情報処理装置10は分析結果を広告主側装置50に提供する。
【0029】
第1のユーザ端末20-A,20-Bは、実施形態1にかかる第1のユーザ端末20の具体例である。第1のユーザ端末20-A,20-Bは、それぞれ異なる集団A,Bの場に設置されているサイネージ付きの複合機である。第1のユーザ端末20-A,20-Bには、集団に応じた固有IDが設定されている。第1のユーザ端末20-A,20-Bは、広告を配信する機能を有する。例えば第1のユーザ端末20-A,20-Bは、情報処理装置10又は広告主側装置50から、自己が設置されている集団向けの広告データを取得し、広告データを表示する。そして第1のユーザ端末20-A,20-Bは、それぞれ、定期的又は不定期で計測ログを情報処理装置10に送信する。
【0030】
第2のユーザ端末30-A,30-Bは、それぞれ異なる集団A,Bに所属するユーザ(構成員)に使用される端末である。構成員は、その集団の社員、従業員、会員又はその他の構成員であってよい。例えば第2のユーザ端末30-A,30-Bは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット端末等が挙げられる。第2のユーザ端末30-A,30-Bには、固有IDが設定されていない。第2のユーザ端末30-A,30-Bは、移動可能であっても移動可能でなくてもよい。
【0031】
以下では、第1のユーザ端末20-A,20-Bを、集団を特定せずに指す場合には単に第1のユーザ端末20と称する。また第2のユーザ端末30-A,30-Bを、集団を特定せずに指す場合には単に第2のユーザ端末30と称する。
【0032】
ログ収集サーバ40は、第2のユーザ端末30が広告主のウェブサイトにアクセスした際のサイトログを取得してサイトログDB401に格納する。そしてログ収集サーバ40は、サイトログを情報処理装置10に送信する。サイトログは第2のログとも称される。サイトログは、第2のユーザ端末30がウェブサイトにアクセスした際のIPアドレス、アクセス日時、ウェブサイトにアクセスしたユーザを直接的又は間接的に示す識別子及びウェブ閲覧に関するログ情報を少なくとも含む。例えば上記識別子は、ユーザID、端末ID、又はセッションIDである。ユーザIDは、ウェブサイトにアクセスしたユーザに固有の識別子である。端末IDは、ウェブサイトにアクセスした端末を識別する情報である。セッションIDは、ウェブサイトにアクセスしたユーザのセッションを一意に識別する情報である。サイトログは、第2のユーザ端末30のハードウェア若しくはソフトウェア、又はブラウザが保有する固有の情報を含むデバイスフィンガープリントを含んでもよい。例えばサイトログは、第2のユーザ端末30がアクセスした広告主のウェブサイトに埋め込まれたタグにより、ログ収集サーバ40に自動的に送信される。
【0033】
広告主側装置50は、広告主が使用するコンピュータである。
【0034】
図4は、実施形態2にかかる第1のユーザ端末20のハードウェア構成を示すブロック図である。第1のユーザ端末20は、システム全体を制御するための制御部21を備えている。制御部21には、通信バスを介して、通信部25、記憶部26、入力部27、表示部28、及び出力部29が接続されている。
【0035】
制御部21は、プロセッサ22と、ROM23と、RAM24とを備える。プロセッサ22は、ROM23又は記憶部26に記憶されたプログラムに従って、各種の情報処理及び制御を行う。ROM23は、ROM(Read-only memory)等の非一時的な記憶媒体であり、プロセッサ22が各種制御又は演算を行うための各種プログラム又はデータが予め格納されている。RAM24は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶媒体であり、プロセッサ22の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。このRAM24には、本実施形態による各種処理を行うためのエリアが確保可能になっている。
【0036】
通信部25はネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。記憶部26は、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体を含む記憶装置である。
【0037】
入力部27は、キーボード、マウス及びタッチパネル等のユーザからの入力を受け付ける入力装置である。表示部28は、CRT、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又はプラズマディスプレイ等の表示装置である。出力部29は、制御部21の情報処理の結果を印刷により出力する出力装置である。
【0038】
図5は、実施形態2にかかる第1のユーザ端末20の外観の一例を示す図である。制御部21、通信部25、記憶部26、入力部27及び出力部29は、一般的な複合機MFPを構成してよい。そして本図に示す通り、表示部28は外付けのデジタルサイネージであってよい。
【0039】
図6は、実施形態2にかかる第2のユーザ端末30のハードウェア構成を示すブロック図である。第2のユーザ端末30は、システム全体を制御するための制御部31を備えている。制御部31には、通信バスを介して、通信部35、記憶部36、入力部37及び表示部38が接続されている。
【0040】
制御部31は、プロセッサ32と、ROM33と、RAM34とを備える。プロセッサ32は、ROM33又は記憶部36に記憶されたプログラムに従って、各種の情報処理及び制御を行う。ROM33は、ROM等の非一時的な記憶媒体であり、プロセッサ32が各種制御又は演算を行うための各種プログラム又はデータが予め格納されている。RAM34は、RAM等の揮発性記憶媒体であり、プロセッサ32の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。このRAM34には、本実施形態による各種処理を行うためのエリアが確保可能になっている。
【0041】
通信部35はネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。記憶部36は、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体を含む記憶装置である。
【0042】
入力部37は、キーボード、マウス及びタッチパネル等のユーザからの入力を受け付ける入力装置である。表示部38は、CRT、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又はプラズマディスプレイ等の表示装置である。
【0043】
図7は、実施形態2にかかる情報処理装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。情報処理装置10は、制御部11、通信部15及び記憶部16に加えて、入力部17及び表示部18を備える。
【0044】
制御部11は、プロセッサ12と、ROM13と、RAM14とを備える。プロセッサ12は、ROM13又は記憶部16に記憶されたプログラムに従って、各種の情報処理及び制御を行う。ROM13は、ROM等の非一時的な記憶媒体であり、プロセッサ12が各種制御又は演算を行うための各種プログラム又はデータが予め格納されている。RAM14は、RAM等の揮発性記憶媒体であり、プロセッサ12の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。このRAM14には、本実施形態による各種処理を行うためのエリアが確保可能になっている。
【0045】
入力部17は、キーボード、マウス及びタッチパネル等のユーザからの入力を受け付ける入力装置である。表示部18は、CRT、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又はプラズマディスプレイ等の表示装置である。なお、入力部17及び表示部18は必須ではない。
【0046】
図8は、実施形態2にかかる記憶部16の構成の一例を示す図である。記憶部16は、第1のDB161及び第2のDB162に加えて、計測ログDB160及び第3のDB163を有する。
【0047】
計測ログDB160は、第1のユーザ端末20から受信した計測ログを記憶する記憶装置である。計測ログは、IPアドレスと、固有IDと、日時とを含む。
【0048】
第3のDB163は、集団情報と、アクセス分析の対象となる分析用データと、情報処理装置10による分析結果とを対応付けて記憶する記憶装置である。
【0049】
なお第1のDB161は、既知の情報に基づいて予め生成されている。
【0050】
ここで実施形態2において第2のDB162は、確定テーブル1620と、推定テーブル1621とを含む。
【0051】
図9は、実施形態2にかかる確定テーブル1620のデータ構造の一例を示す図である。確定テーブル1620は、レコード番号と、集団情報の一例として集団名と、固定IPフラグと、対象期間と、グローバルIPアドレスとを対応付ける。
【0052】
レコード番号は、そのレコードが確定テーブル1620に登録された順番を示す。
固定IPフラグは、グローバルIPアドレスが固定IPアドレスであるか否かを示す変数である。例えば固定IPフラグがONであればグローバルIPアドレスは固定IPアドレスであり、固定IPフラグがOFFであればグローバルIPアドレスは変動IPアドレスである。
【0053】
なお確定テーブル1620は、後述する情報処理装置10による登録処理によって生成されるものである。しかし確定テーブル1620は、IPアドレスが既知である集団についてのレコードを予め含んでいてもよい。
【0054】
図10は、実施形態2にかかる推定テーブル1621のデータ構造の一例を示す図である。推定テーブル1621は、レコード番号と、集団情報の一例として集団名と、規則性フラグと、対象期間と、推定グローバルIPアドレスとを対応付ける。
【0055】
レコード番号は、そのレコードが推定テーブル1621に登録された順番を示す。
規則性フラグは、グローバルIPアドレスの計測期間内の変動に規則性があるか否かを示す変数である。
推定グローバルIPアドレスは、対象期間において集団のIPアドレスであると推定されるグローバルIPアドレスである。推定グローバルIPアドレスは、単一のIPアドレスであってもよいし、複数のIPアドレスを含んでもよい。
【0056】
なお推定テーブル1621は、後述する情報処理装置10による登録処理によって生成されるものである。
【0057】
図11は、実施形態2にかかる制御部11の機能構成の一例を示す図である。制御部11は、第1取得部111、検索部112、推定部113及び登録部114に加えて、第2取得部115、生成部116及び分析部117を備える。
【0058】
第1取得部111及び検索部112は、実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0059】
推定部113は、実施形態1と同様に、第1取得部111において取得した複数の計測ログにおいて、予め定められた計測期間内にIPアドレスの変動があるか否かを判定する。推定部113は、計測期間内にIPアドレスの変動がある場合、その固有IDに対応付けられたIPアドレスの変動に規則性があるか否かを判定する。IPアドレスの変動に規則性がある場合、推定部113は登録部114とともに、後述する第1格納処理を実行する。これにより制御部11は、推定したIPアドレスと、検索した集団情報とを少なくとも対応付けた情報を、第2のDB162の推定テーブル1621に格納する。
【0060】
計測期間内にIPアドレスの変動がない場合、推定部113は登録部114とともに、後述する第2格納処理を実行する。これにより制御部11は、変動が生じていないIPアドレスと、検索した集団情報とを少なくとも対応付けた情報を、1のレコードとして第2のDB162の確定テーブル1620に格納する。
【0061】
一方、計測期間内にIPアドレスの変動がある場合、推定部113は登録部114とともに、後述する第3格納処理を実行する。これにより制御部11は、IPアドレスに変動が生じた計測ログに含まれるIPアドレスと、検索した集団情報とを少なくとも対応付けた情報を、1のレコードとして第2のDB162の確定テーブル1620に格納する。
【0062】
第2取得部115は、ログ収集サーバ40から、第2のユーザ端末30が所定のウェブサイトにアクセスした際のサイトログを取得する。所定のウェブサイトとは、例えば広告主のウェブサイトであるが、広告主に関連するコンテンツを含むウェブサイトであればどのようなものであってもよい。
【0063】
生成部116は、第2のDB162から、サイトログに含まれるIPアドレスに対応付けられた集団情報であって、サイトログに含まれるアクセス日時に対応する集団情報を特定する。生成部116は、サイトログに含まれるウェブ閲覧に関するログ情報と、アクセス日時と、特定した集団情報とを少なくとも対応付けた情報を、分析用データとして生成する。そして生成部116は、分析用データを第3のDB163に格納する。
【0064】
分析部117は、分析用データに基づいてアクセス分析を実施する。分析部117は、分析結果を第3のDB163に格納する。そして分析部117は、通信部15を介して広告主側装置50に分析結果を送信する。
【0065】
図12は、実施形態2にかかる制御部11による登録処理の流れを示すフローチャートである。
【0066】
まず第1取得部111は、固有IDが既知である第1のユーザ端末20-A,20-Bから、固有ID、IPアドレス及び日時を含む計測ログをそれぞれ収集する(S20:第1取得ステップ)。次に制御部11は、送信元の第1のユーザ端末20の固有IDごとに抽出した計測ログについて、固有IDごとにS21~S26に示す処理を繰り返す。S21において、検索部112は、第1のDB161にアクセスし、固有IDをキーとして集団情報を検索する(S21:検索ステップ)。次に推定部113は、取得した複数の計測ログにおいて、計測期間内にIPアドレスの変動があるか否かを判定する(S22)。計測期間内にIPアドレスの変動がない場合(S22でNO)、すなわちIPアドレスが固定IPアドレスである場合、推定部113及び登録部114は第2格納処理を実行する(S23:第2格納ステップ)。そして制御部11は、未処理の固有IDがあれば処理をS21に戻す。
【0067】
一方、計測期間内にIPアドレスの変動がある場合(S22でYES)、すなわちIPアドレスが変動IPアドレスである場合、推定部113及び登録部114は第3格納処理を実行する(S24:第3格納ステップ)。
【0068】
次に推定部113は、IPアドレスの変動に規則性があるか否かを判定する(S25)。このとき推定部113は、同一のIPアドレスが出現する回数、IPアドレスの出現周期及びIPアドレスの変動幅の少なくとも1つに基づいて変動に規則性があるかを判定してよい。また推定部113は、IPアドレスに変動があった計測ログに含まれるIPアドレスに基づいて、インターネットサービスプロバイダ(ISP)を特定し、ISPに基づいて規則性があるかを判定してよい。これにより推定部113が容易にIPアドレスの変動の規則性を推定できる。
【0069】
IPアドレスの変動に規則性があると判定した場合(S25でYES)、推定部113及び登録部114は、第1格納処理を実行する(S26)。そして制御部11は、未処理の固有IDがあれば処理をS21に戻す。一方、IPアドレスの変動に規則性があると判定しなかった場合(S25でNO)、未処理の固有IDがあれば処理をS21に戻す。
【0070】
図13は、実施形態2にかかる制御部11による第2格納処理の流れを示すフローチャートである。図14は、実施形態2にかかる第2格納処理の概念を示す図である。
【0071】
推定部113は、計測期間内にIPアドレスに変動があるかを判定し、変動がない場合に固定IPアドレスであると判定する(S230)。一例として計測期間を2022年11月1日~2022年11月30日とする。この計測期間内の株式会社イのIPアドレスは198.51.100.1で固定されているため、推定部113は固定IPフラグをONにする。
【0072】
そして登録部114は、計測期間に基づいて対象期間を設定する(S231)。図14に示す例では、登録部114は、計測期間と同じ期間を対象期間(2022年11月1日~2022年11月30日)として設定している。しかしこれに限らない。例えば登録部114は、計測期間から数か月先の将来の1か月間を対象期間に設定してもよい。
【0073】
次に登録部114は、その固定IPアドレスと、検索した集団情報と、対象期間とを対応付けた情報を、1の新しいレコードとして第2のDB162の確定テーブル1620に格納する(S232)。したがって登録部114は、計測期間内の複数の計測ログの情報を1のレコードにまとめることができる。これにより計測実績がない日時のログを補完しつつ、確定テーブル1620に記憶するデータ量を節約できる。
【0074】
なお登録部114は、計測期間内の複数の計測ログの情報を、検索した集団情報とともに複数のレコードとして確定テーブル1620に格納してもよい。この場合、レコードの数を基礎となる計測ログの数よりも小さくすることで、データ量の節約を実現できる。
【0075】
図15は、実施形態2にかかる制御部11による第3格納処理の流れを示すフローチャートである。図16は、実施形態2にかかる第3格納処理の概念を示す図である。
【0076】
推定部113は、計測期間内にIPアドレスに変動があるかを判定し、変動がある場合に変動IPアドレスであると判定する(S240)。図16に示すように、例えば計測期間を2022年11月1日~2022年11月30日とする。図16に示すように、計測期間内で株式会社ロのIPアドレスには変動が生じている。したがって推定部113は固定IPフラグをOFFにする。
【0077】
そして推定部113は、計測期間内の変動タイミングを検出する(S241)。次に推定部113は、変動タイミングに基づいて対象期間を設定する(S242)。図16に示すように、IPアドレスが切り替わる2022年11月1日12:00:00及び2022年11月1日12:01:00は変動タイミングである。推定部113は、2022年11月1日12:00:00~2022年11月1日12:00:59と、2022年11月1日12:01:00~2022年11月1日17:59:59とを各レコードの対象期間に設定する。
【0078】
そして制御部11は、レコードごとに、つまり対象期間ごとにS243~S244に示す処理を繰り返す。S243において登録部114は、計測期間内の計測ログのうち、変動後の1の計測ログを選択する。登録部114は変動が生じた直後の計測ログを選択してよいが、変動直後から次の変動が生じるまでの計測ログを任意で選択してもよい。
【0079】
そしてS244において登録部114は、選択した計測ログに含まれるIPアドレスと、検索した集団情報と、対象期間とを対応付けた情報を、1の新しいレコードとして第2のDB162の確定テーブル1620に格納する。したがって登録部114は、選択されなかった計測ログに含まれるIPアドレスについては、レコードの生成を省略する。これにより計測実績がない日時のログを補完しつつ、確定テーブル1620に記憶するデータ量を節約できる。
【0080】
なお登録部114は、計測期間内の変動後の計測ログを複数選択し、検索した集団情報とともに複数のレコードとして確定テーブル1620に格納してもよい。この場合、レコードの数を、選択した計測ログの数よりも小さくすることで、データ量の節約を実現できる。
【0081】
図17は、実施形態2にかかる制御部11による第1格納処理の流れを示すフローチャートである。図18は、実施形態2にかかる第1格納処理の概念を示す図である。
【0082】
まず推定部113は、計測期間に基づいて対象期間を設定する(S260)。図18に示す例では、推定部113は、計測期間と同じ期間を対象期間(2022年11月1日~2022年11月30日)として設定している。しかしこれに限らず、例えば登録部114は、計測期間から数か月先の将来の1か月間を対象期間に設定してもよい。
【0083】
次に推定部113は、S25で判定したIPアドレスの変動の規則性に基づいて、対象期間におけるIPアドレスを推定する(S261)。例えば推定部113は、同一のIPアドレスが出現する回数、IPアドレスの出現周期及びIPアドレスの変動幅の少なくとも1つに基づいてIPアドレスを推定してよい。また例えば推定部113は、特定したISPに応じた規則性に基づいて、対象期間におけるIPアドレスを推定してもよい。また例えば推定部113は、対象期間内でIPアドレスと日時との回帰式を生成し、対象期間内におけるIPアドレスを推定してもよい。
【0084】
そして登録部114は、S261において推定したIPアドレスと、S21において検索した集団情報と、対象期間とを対応付けた情報を、第2のDB162に格納する(S262)。このような方法を実施することで、情報処理装置10は集団と変動IPアドレスとの対応関係を容易に特定できる。
【0085】
図19は、実施形態2にかかる制御部11による生成処理の流れを示すフローチャートである。
【0086】
まず第2取得部115は、第2のユーザ端末30がウェブサイトにアクセスした際のサイトログを、ログ収集サーバ40から収集する(S30:第2取得ステップ)。次に生成部116は、各サイトログに含まれるIPアドレス及びアクセス日時をキーとして、第2のDB162の確定テーブル1620又は推定テーブル1621から集団情報を検索する(S31)。ここで変動IPアドレスであって変動に規則性があるアドレスについては、確定テーブル1620にも推定テーブル1621にもレコードが存在することになる。生成部116は、要求される分析精度に応じて、検索先を確定テーブル1620にするか推定テーブル1621にするかを決定してよい。
【0087】
次に生成部116は、サイトログごとに、アクセス日時、S31において検索した集団情報及びセッションIDを少なくとも含むように、サイトログのデータを整形する(S32)。例えば生成部116は、サイトログに集団情報を付加する。なおS32において生成部116は、セッションIDに代えて又は加えて、ユーザID又は端末IDを含むように、サイトログのデータを整形してもよい。
【0088】
次に制御部11は、集団ごとにS33~S37に示す処理を繰り返す。S33において生成部116は、同じ集団の整形済データを集めて、集めた整形済データを含む分析用データを生成する(S33:生成ステップ)。
【0089】
次に分析部117は、1の集団に対応する分析用データの量が十分であるか否かを判定する(S34)。ここで分析部117は、1の集団について分析用データに含まれる整形済データの数(つまり分析用データの基礎となるサイトログの数)が予め定められた数以上である場合、分析用データの量が十分であると判定する。あるいは分析部117は、1の集団の、あるパラメータについて分析用データに含まれる整形済データの数が予め定められた数以上である場合、分析用データの量が十分であると判定してよい。
【0090】
分析部117は、1の集団に対応する分析用データの量が十分であると判定した場合(S34でYES)、その集団に対応する分析用データを分析する(S35)。
【0091】
一方、分析部117は、1の集団に対応する分析用データの量が十分であると判定しなかった場合(S34でNO)、その集団と類似する集団の分析用データ又は分析結果を用いて分析用データを分析する(S36)。集団の類似度は、集団の属性情報、例えば集団の業種、顧客層、黒字若しくは赤字の別、シェア、及び組織体制に基づいて決定されてよい。一例として同じ自動車業界に属し、黒字の属性を有する集団A及び集団Bは、類似企業として認定される。したがって分析部117は、集団Bで欠如したデータを集団Aのデータで補完して分析を実施する。
【0092】
そして分析部117は、分析結果を第3のDB163に格納する(S37)。なお分析部117は、分析結果を広告主側装置50に送信してよい。
【0093】
図20は、実施形態2にかかる分析用データのデータ構造の第1の例を示す図である。一例としてサイトログに含まれるログ情報は、参照元/メディア、コンバージョン、ページURL及びその他の指標を含む。参照元/メディアは、ユーザがどのウェブサイトやメディアからそのウェブサイトにアクセスしたのかを示す情報、つまり参照元を示す情報である。生成部116は、S32において集団情報をサイトログに付加した整形済データを生成する。そして生成部116は、S33において集団Aという集団名でフィルタリングした整形済データの集合を、分析用データとして生成する。
【0094】
分析部117は、S35において集団ごとに分析用データを分析する。一例として分析部117は、集団Aの分析用データにおけるコンバージョンに基づいて、参照元のメディアごとのスコアを算出する。
【0095】
図21は、実施形態2にかかる分析結果のデータ構造の第1の例を示す図である。スコアの大きさは、メディアが有するコンバージョンの高さを示している。本図によれば集団Aの社員向けに広告を配信する場合、メディアaを通じて広告を配信することが最も効果的であることを示している。
【0096】
このように分析部117は、分析用データの分析により、その集団向けの広告として効果的なメディアを特定できる。
【0097】
ここで集団Bの分析用データにメディアcのコンバージョンに関するデータが不足している場合、分析部117は、類似企業である集団Aのメディアcのスコアを、集団Bのメディアcのスコアとして代用してよい。
【0098】
図22は、実施形態2にかかる分析用データのデータ構造の第2の例を示す図である。生成部116は、S33において集団Aという集団名でフィルタリングした整形済データの集合を、さらにセッションIDでフィルタリングして、参照元のメディアの推移からアクセス経路を特定する。そして生成部116は、アクセス日時、セッションID、アクセス経路及びその他のログ情報を集団ごとに集め、集めたデータを分析用データとして生成する。
【0099】
分析部117は、S35において集団ごとに分析用データを分析する。一例として分析部117は、集団Aの分析用データにおけるコンバージョンに基づいて、アクセス経路ごとのスコアを算出する。
【0100】
図23は、実施形態2にかかる分析結果のデータ構造の第2の例を示す図である。スコアの大きさは、アクセス経路が有するコンバージョンの高さを示している。本図によれば集団Aの社員向けに広告を配信する場合、メディアaからメディアbに誘導する形態で広告を配信することが最も効果的であることを示している。
【0101】
[効果]
実施形態2によれば、実施形態1と同様の効果を有する。
【0102】
また情報処理装置10の制御部11は、複数の計測ログにおいて計測期間内にIPアドレスの変動がない場合、IPアドレスと集団情報とを少なくとも対応付けた情報を1のレコードとして格納する。これにより確定テーブル1620に記憶するデータ量を節約できる。
【0103】
また情報処理装置10の制御部11は、複数の計測ログにおいて計測期間内にIPアドレスの変動がある場合、変動が生じた計測ログに含まれるIPアドレスと集団情報とを少なくとも対応付けた情報を、変動ごとに1のレコードとして格納する。これにより確定テーブル1620に記憶するデータ量を節約できる。
【0104】
実施形態2によれば集団とグローバルIPアドレスとの対応関係を容易に特定できるため、集団単位での広告主ウェブサイトへのアクセス分析が容易となる。また実施形態2によれば集団とグローバルIPアドレスとの対応関係の精度が高まるため、集団単位での広告主ウェブサイトへのアクセス分析の精度が高まる。
【0105】
なお、計測ログDB160、第1のDB161、第2のDB162及び第3のDB163は、情報処理装置10の記憶部16に含まれるとしたが、情報処理装置10がアクセス可能な外部装置に含まれていてもよい。
【0106】
<実施形態3>
次に、本開示の実施形態3について説明する。図24は、実施形態3にかかるシステム1aの概略構成を示すブロック図である。システム1aは、システム1と基本的に同様の構成を有する。しかしシステム1aは、情報処理装置10に代えて情報処理装置10aと、第3のユーザ端末60-Cと、第2のユーザ端末30-Cとを備える点でシステム1と異なる。
【0107】
集団Cは、集団Aと類似する集団である。より具体的には、集団Cは、集団Aとの類似度が所定閾値以上である集団である。集団の類似度は、集団の属性情報、例えば集団の業種、顧客層、黒字若しくは赤字の別、シェア、及び組織体制に基づいて決定されてよい。
【0108】
第3のユーザ端末60-Cは、集団Cに設置される、複合機等の画像形成装置、無線LANルーター、又はスマートスピーカー等である。第3のユーザ端末60-Cは、固有IDが設定されている端末ではあるが、第1のユーザ端末20と異なり、広告を配信する機能を有さない。一例として第3のユーザ端末60-Cは、サイネージを有さない複合機である。
【0109】
第2のユーザ端末30-Cは、第4のユーザ端末とも称される。第2のユーザ端末30-Cは、集団Cに属するユーザに使用される第2のユーザ端末30である。第2のユーザ端末30-Cは、固有IDが設定されていない。
【0110】
情報処理装置10aは、制御部11に代えて制御部11aを備える点で情報処理装置10と異なる。
【0111】
図25は、実施形態3にかかる制御部11aの機能構成の一例を示す図である。制御部11aは、制御部11の構成に加えて、第3取得部118と、比較部119とを備える。
【0112】
第3取得部118は、通信部15を介して、第1のユーザ端末20から配信ログを受信し、取得する。配信ログは第3のログとも称される。配信ログは、第1のユーザ端末20の広告データの配信に関するログであり、配信日時及び配信コンテンツに関する情報を含む。
【0113】
比較部119は、配信ログに対応する配信コンテンツが所定の集団に関連する場合、配信日時と、サイトログに含まれるアクセス日時とを比較する。所定の集団とは、広告主であってよい。そして比較部119は、比較結果が所定条件を満たすとき、配信効果ありと判定する。例えば所定条件とは、配信日時がアクセス日時よりも前であることであってよい。また例えば所定条件とは、上記条件に加えて配信日時からアクセス日時までの期間が所定期間内であること、及びコンバージョンがあったことの少なくとも一方を含んでよい。これにより広告配信とアクセスとの関係に基づいて広告配信の効果を容易に測定できる。
【0114】
また比較部119は、集団Aの第2のユーザ端末30-Aが広告主のウェブサイトにアクセスした際のサイトログのログ情報と、集団Cの第2のユーザ端末30-Cが広告主のウェブサイトにアクセスした際のサイトログのログ情報とを比較する。これにより広告配信の有無に基づいて広告配信の効果を容易に測定できる。なお第2のユーザ端末30-Cが広告主のウェブサイトにアクセスした際のサイトログは、第4のログとも称される。また第2取得部115が第4のログを取得するステップは、第4取得ステップとも称される。
【0115】
そして比較部119は、各種比較結果を広告主側装置50に送信する。これにより広告主に対して広告配信の効果をフィードバックできる。
【0116】
図26は、実施形態3にかかる制御部11aによる比較処理の流れを示すフローチャートである。まず制御部11aは、集団ごとにS40~S46に示す処理を繰り返す。S40において第3取得部118は、第2のユーザ端末30が広告主のコンテンツにアクセスした際のサイトログをログ収集サーバ40から収集する。
【0117】
次に比較部119は、第2のユーザ端末30が属する集団の場に広告配信先の第1のユーザ端末20が設置されているか否かを判定する(S41)。具体的には比較部119は、サイトログのIPアドレス及びアクセス日時に基づいて、第2のDB162を用いて集団を特定する。そして比較部119は、集団情報をキーとして第1のDB161を検索し、対応する固有IDがある場合は第1のユーザ端末20が設置されていると判定する。
【0118】
比較部119は、集団の場に第1のユーザ端末20が設置されていない場合(S41でNO)、処理をS46に進める。一方、比較部119は、集団の場に第1のユーザ端末20が設置されている場合(S41でYES)、第3取得部118は第1のユーザ端末20から配信ログを取得する(S42:第3取得ステップ)。
【0119】
次に比較部119は、広告データに含まれる配信コンテンツと広告主のウェブサイトのコンテンツとが関連しているか否かを判定する(S43)。具体的には比較部119は、配信コンテンツの属性情報と、広告主のウェブサイトのコンテンツの属性情報とに基づく関連度が所定値以上であるか否かに基づいて、上記判定をする。配信コンテンツと広告主のウェブサイトのコンテンツとが関連していない場合(S43でNO)、制御部11aは処理をS46に進める。
【0120】
一方、比較部119は、配信コンテンツと広告主のウェブサイトのコンテンツとが関連している場合(S43でYES)、サイトログのアクセス日時が配信ログの配信日時よりも後であるかを判定する(S44:判定ステップ)。アクセス日時が配信ログの配信日時よりも後でない場合(S44でNO)、制御部11aは処理をS46に進める。
【0121】
一方、アクセス日時が配信ログの配信日時よりも後である場合(S44でYES)、比較部119は、配信効果ありフラグをONにする(S45)。
【0122】
そしてS46において、比較部119は測定用データを生成する。
【0123】
図27は、実施形態3にかかる測定用データのデータ構造の一例を示す図である。比較部119は、測定用データとして、ログ情報に基づいて配信効果を示す指標の値を配信前と配信後とに分けて算出する。また比較部119は、配信前後の指標の変化率を測定用データに含める。
【0124】
S47において比較部119は、第1のユーザ端末20の設置の有無で、類似企業の測定用データを比較する(比較ステップ)。例えば比較部119は、第1のユーザ端末20が設置されている集団Aの測定用データと、第1のユーザ端末20が設置されていない集団Cの測定用データとを比較する。そして比較部119は、比較結果を広告主側装置50に出力する(出力ステップ)。
【0125】
[効果]
実施形態3によれば、実施形態1及び2と同様の効果を有する。
【0126】
また情報処理装置10aの制御部11aは、配信ログに対応する配信コンテンツが広告主のウェブサイトのコンテンツに関連し、配信後にアクセスしたものであるとき配信効果ありと判定する。これにより広告配信とアクセスとの関係に基づいて広告配信の効果を容易に測定できる。
【0127】
また情報処理装置10aの制御部11aは、広告配信の有無でログ情報を比較する。これにより広告配信の有無に基づいて広告配信の効果を容易に測定できる。
【0128】
<その他の実施形態>
実施形態1~3では、情報処理装置10,10aとして単一の装置である場合を説明したが、情報処理装置10,10aの各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現されてもよい。この場合、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、情報処理装置10,10aの機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0129】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記によって限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0130】
例えば実施形態2~3では、第1のユーザ端末20はサイネージ付きの複合機であるとしたが、これに限らない。一例として第1のユーザ端末20は、サイネージが外付けされた、その他の画像形成装置、無線LANルーター、スマートスピーカー、又はその他の通信機器であってよい。また一例として第1のユーザ端末20は、サイネージと一体となった通信機能を有する端末であってもよい。
【符号の説明】
【0131】
1,1a システム
10,10a 情報処理装置
11 制御部
12 プロセッサ
13 ROM
14 RAM
15 通信部
16 記憶部
17 入力部
18 表示部
20 第1のユーザ端末
21 制御部
22 プロセッサ
23 ROM
24 RAM
25 通信部
26 記憶部
27 入力部
28 表示部
29 出力部
30 第2のユーザ端末
31 制御部
32 プロセッサ
33 ROM
34 RAM
35 通信部
36 記憶部
37 入力部
38 表示部
40 ログ収集サーバ
50 広告主側装置
60 第3のユーザ端末
111 第1取得部
112 検索部
113 推定部
114 登録部
115 第2取得部
116 生成部
117 分析部
118 第3取得部
119 比較部
160 計測ログDB
161 第1のDB
162 第2のDB
163 第3のDB
401 サイトログDB
1620 確定テーブル
1621 推定テーブル
NW ネットワーク
【要約】
【課題】グローバルIPアドレスと集団との対応関係を容易に特定する。
【解決手段】情報処理装置10は制御部11を備える。制御部11は、固有IDが設定された第1のユーザ端末20から、IPアドレス及び日時を少なくとも含む第1のログを複数取得する第1取得ステップと、固有IDと集団情報とを紐づけて記憶する第1のDB161から、第1のユーザ端末20の固有IDをキーとして集団情報を検索する検索ステップと、取得した複数の第1のログにおいて、所定期間内にIPアドレスの変動がある場合、IPアドレスの変動の規則性に基づいて、対象期間におけるIPアドレスを推定する推定ステップと、推定したIPアドレスと、検索した集団情報とを少なくとも対応付けた情報を、第2のデータベースに格納する第1格納ステップとを実行する。
【選択図】図1
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